2026年2月3日、節分。Xにある動画付きのポストが投稿され、話題となった。
「能登の古民家の蔵から出てきた九谷の盃」だという。盃の外側には鬼、内側には福が描かれている。
「鬼は外、福は内」を鑑賞しながら、美酒を味わえるという、なんとも節分にふさわしい粋な趣向となっている。
投稿者「ぴんぽいんと」(@pinpoint_m)さんのポストには、4万7000件の「いいね」が付けられた。Xには、こんな声が寄せられている。
「可愛い」
「こういうウィットの効いた作品に惚れる」
「このセンス! 最高!」
「見事な遊び心」
鬼の部分はざらりとした触感、福の部分は艶のある滑らかな表情になっている、というXユーザーからの細かい指摘もあったという。
「鬼は外、福は内」を表した盃は、いったいどこでどのような経緯で発見したのだろうか。投稿者「ぴんぽいんと」さんに詳しい話を聞いた。
先人の発想の面白さと造形の巧みさ
投稿者「ぴんぽいんと」さんは新宿・能登・尾瀬で多拠点生活をしながら、石川県志賀町の漁村・赤崎集落で、古民家宿「TOGISO」を開業した人物だ。
「2017年に日本海側で海辺の古民家を探していた際に見つけた物件で、現地を訪れた際、建物そのものだけでなく、町並みが非常に美しく保たれていることに強い衝撃を受けました」
「国内でもここまで手つかずの景観が残る地域は珍しいと感じ、空き家の多さも踏まえ町並みの保存と活用を目的に購入を決めました」(「ぴんぽいんと」さん)
この盃は、能登の古民家を購入した際、付属していた蔵の中で発見したものだという。
「当初は、能をモチーフにした般若と小面の盃だと思っていました。同一の盃で表裏一体を表現した逸品だなと」
「しかし、節分の掛け声である『鬼は外、福は内』を表現していると気づいたとき、先人の発想の面白さと造形の巧みさに強く感銘を受けました」(「ぴんぽいんと」さん)
盃は節分の日に実際に使い、これからも大切に使い続けたいと、「ぴんぽいんと」さんは語った。
ところで、「ぴんぽいんと」さんは、能登半島地震前の2017年から赤崎集落の町並み保存の活動を続けている。現在も複数の古民家を譲り受けており、中には北前船船主の家も含まれるという。
「能登半島地震で損壊した建物であっても、赤崎集落の景観を構成する重要な建物については可能な限り取得・再生を進めています」
「木造建築は修復が可能であり、また赤崎集落は地盤が抜群に良いことも確認されたので今後も残す価値のある景観が維持されていると考えています」(「ぴんぽいんと」さん)
古民家には蔵が付属していることが多く、そこには100年前の輪島塗や九谷焼など、当時の職人技が残る器が保管されていることが多い。「これらを現代に引き継ぎ、実際に使われる形で活かしたいと考えています」と、「ぴんぽいんと」さん。
古民家宿「TOGISO」には、震災後に蔵からレスキューされた輪島塗や九谷焼を、お土産として持ち帰れる「古物店」も併設されている。
能登の古民家に泊まる旅。ホタルイカの季節に楽しんでみるのは、いかが?
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