「さいたま市のタクシー会社『日栄交通』は、自社敷地内や空き家できくらげを栽培している」
そんな呟きと共に紹介された〝事業〟が、X上で注目を集めている。
タクシー会社が、きくらげを栽培?
ちょっと意味が分からない。
2026年3月2日にXユーザーのまつじ(@matsujun5213)さんが投稿したのは、日栄交通の本社事務所を訪問した際の記録だ。
何の変哲もない、事務所の外観。しかし、黄色い求人看板に近付いてみると......。
会社に近付いてみると...
あ、ほんとだ! 本社前の塀に、「生きくらげ」1パック500円、とか書いてある! な、なんで......!?
取材に応じたまつじさんが日栄交通を訪問したのは25年8月28日の昼ごろのことだ。
日栄交通がきくらげ事業を展開しているというニュースを数年前に見て以来、「いつか訪問したい」と思っていたという。
「コロナ禍による社会の変化で、タクシー業界が大きなダメージを受けているのは知っていました。日栄交通さんは特に思い切って新たな市場に進出したなと驚き、興味を持ちました」(まつじさん)
現地でまつじさんが購入したのは、生きくらげ。日栄交通オススメの食べ方である、軽く湯通しした刺身の状態で食べたそうだ。
「これまで食べたきくらげとは一線を画す肉厚で、歯切れのいいプルプルな食感が印象的でした。炒め物にしても楽しい食感は変わらず、美味しかったです」
それにしても、一体どうしてタクシー会社がきくらげを? 記者は5日、日栄交通にも話を聞いた。
会社をたたむ事も考えたが...
日栄交通常務取締役の清水雄一郎さんによると、同社では本当に、きくらげを栽培し、販売している。
そのきっかけとなったのは、コロナ禍の影響でタクシー会社の売り上げが一気に下がったことだった。
「駐車場の空きスペースで新しく事業ができないか探していたところ、従業員からきくらげ栽培を提案されました。調べたところ、国産が希少であることや栄養素が豊富なことからすぐにシャワー室で試験的に栽培してみたところから始まりました」(清水さん)
そうして始まったのが、国産の生きくらげの生産・販売ブランド「あの日のはごたえ」。
日栄交通公式サイトによると、菌床から国産のものを使用しているこだわりのきくらげだ。
「会社の駐車場にプレハブを建てて栽培しています。このほか、桶川市の空き家を改装して栽培していましたが、昨年火災により封鎖。現在は桶川市に借りたビニールハウスで栽培しつつ、新たに加須市に借りた空き家を改装中です」(清水さん)
会社敷地内に留まらず、空き家やビニールハウスでも栽培するなど、順調に軌道に乗っているらしいきくらげ事業。
今のところ、タクシー事業とどちらの方が利益が出ているのだろうか。記者の質問に、清水さんはこう答えた。
「まだタクシーの方が出ていますが、利益率がかなり違うため、このまま拡大していくとタクシーを超えそうです」
「タクシー×きくらげ」という異色の組み合わせに、X上では2万1000件以上のいいね(6日夕時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「タクシー会社が広告してるだけと思ってたんだけど違ったんだ!」
「コロナ禍ではタクシー業界も大変でしたよね。ビジネス転機でいいものをチョイスできたようでなにより」
「事業多角化による経営危機打開の成功例。キクラゲってそんなに儲かるのか...」
「もうきくらげ屋さんがタクシーもやってるレベル」
こうした反響について、清水さんは
「元々コロナでタクシー会社をたたむ事も考えていた時期もありました。諦めずに考え続けた結果今があるので、そういったことが誰かの勇気になるのであれば幸いです」
とコメントしている。
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