日本列島が桜の花で染め上げられていくような、華やかな春がやってきた。満開となった桜が早くも散り始めているところもあるが、それはそれで美しいものだ。
2026年4月1日には、長崎県から1枚の春らんまんな光景が投稿された。
桜を背景に疾走する新幹線、よく見ると「かもめ」という文字が読める。
2022年に開業した武雄温泉~長崎間を結ぶ西九州新幹線「かもめ」である。
この1枚には、こんな呟きが添えられていた。
「新幹線から見えるのは、ほんの5秒。でもこの桜は、18年かけて地域の人々が守ってきた風景」
「新幹線から見えるのは、ほんの5秒」といのは、どういうことだろう? 写真の中に「5秒の桜」という看板も見えるようだが......?
投稿したのは、くめ まゆみ(@okaziya)さん。長崎県大村市在住のグラフィックデザイナー。「西九州新幹線大好き鉄オタ」とも、プロフィールで名乗っている。
「5秒の桜」って、何ですか? くめ まゆみさんに早速聞いてみた。
5秒の桜、現在は800本
投稿者・くめ まゆみさんによると、撮影場所は長崎県東彼杵町。
西九州新幹線の俵坂トンネル~三ノ瀬トンネルの間に、「5秒の桜」はある。
距離にして約400メートル、新幹線がたった5秒で通過するその区間にある、車内から5秒間だけ楽しめる桜園だ。
くめ まゆみさんはそれを外から、2026年3月31日午後2時ごろに撮影した。
「桜がちょうど時期を迎えていて、天候も穏やかな日でした。新幹線の通過タイミングに合わせて構図を決め、待ちながら撮影しました」
「実際に通過する時間は本当に一瞬で、その『5秒』を逃さないよう集中して撮影」
「現地では、他の撮影の方もいらっしゃって、会話をしながら和やかな雰囲気で撮影していたのも印象的でした」(くめ まゆみさん)
東彼杵町の公式インスタグラムやJR九州新幹線部の公式Facebookによると、「5秒の桜」は地元の有志の皆さんによって作られた。
発起人は、当時地区の会長を務めていた川添要介さん。退職を機に「地域のために何かしたい」と考えた。
そして2009年、整備した耕作放棄地に、購入した桜の苗木500本を、地域の人々と一緒に植えたという。それ以降も植樹は続けられ、今や800本ほどになっているそうだ。
かもめに乗って長崎へ
写真の投稿者・くめ まゆみさんは、2024年、はじめてこの場所を訪れた。その際に、発起人の川添さんと偶然出会ったという。
「どこから来たの?」と声をかけてもらい、「それ以来、毎年訪れてお話をさせていただいています」と、語る。
「川添さんはいつも『みなさんのおかげ』と話されていて、撮影してみんなに広めてくれてありがとうと、温かく迎えてくださいます」
「そんな川添さんに写真のことを喜んでいただいてとても嬉しいです」(くめ まゆみさん)
投稿した写真について「あの場所はどこですか?」などと尋ねられることもあるという、くめさん。「かもめに乗って長崎へくる方が増えれば、嬉しいです」と話した。
残念ながら、桜の季節は短い。
だが、かもめに乗って長崎へ、という楽しみは1年じゅういつだって味わっていい。
魅力的な体験がたっぷりと待っているはずだ。
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