『起源を知れば上手に書ける 読める わかる 親子で楽しむ「ひらがな」の本 くずし字手本付き』(著:角田 恵理子)
◎ちょっと読めなかった祖母の手紙
美術館で掛け軸や巻物を見るとき、いつも「あー、もったいない……」と思う。書いてあることが読めないのだ。◎字母って?
恥ずかしながら、この本を読んで初めて「字母」という言葉を知った。字母はひらがなの元になった漢字のことを意味する。全ひらがなの字母で一番びっくりしたのは「へ」。字母は「部」だ。

今まで「いろんな書体がある」くらいのことしか知らなかったが、こんな系統になっていたのか。家系図のようだ。本書はひらがなの一文字一文字の説明の合間に、ひらがなの世界にまつわるコラムがたくさん入っている。どれも楽しい上に「子供は文字を学ぶ上で、どういうところを面白いと喜ぶか」といった目線もあって、とてもためになる。
◎なぞって書いてみる!
さて、実践だ。3段階ある。まず、「草書」から「かな」へくずしていく過程を知る。

おそるおそるなぞる。失礼します……という気持ちだ。

「もうちょっとふんわりしてよ」「いや、ここは傾斜がつきすぎ」などと気になるうちに、どんどん増える「わ」。半紙を重ねて書けばよかったのにと、あとになって気がついた。なぞってなぞって、最後に「えいや」とガイドなしで書いてみるときの緊張感は初めて自転車に乗ったときのような気持ちだった。「この部分は水平に書くと美しい」と言ったポイントもありがたい。
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■レビュワー
◎花森リド
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。
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■本の紹介
◎起源を知れば上手に書ける 読める わかる 親子で楽しむ「ひらがな」の本 くずし字手本付き
ひらがなは、日本語を漢文に翻訳することなく表記するために漢字の音と草書体をさらに崩して1000年前には完成していた文字。本書では、基本である48文字のひらがなを軸に、そのルーツを探り、元の漢字にまでたどって、形の異なる変体仮名も読めるようにする、とともになぞり書きスペースを設け、美しいひらがなが書けるようにします。元の漢字を知れば、書き順もわかるし、ワープロの文字を真似して書いても美しくないのがよくわかります。
48文字を見開きで(右ページは現在のかな 左ページはよくみかける、読めそうで読めない変体がなやつづき書きを)。
随所に「美しく書くコツ」「字母を知ると字体が違う」「筆順も形も一つとは限らない」「部首を知って仲間も一緒に覚える」などのコラム。
手本の横になぞり書きのスペースを設けました。
鉛筆と消しゴムを使って、繰り返し書けます。
- - 主書名:『起源を知れば上手に書ける 読める わかる 親子で楽しむ「ひらがな」の本 くずし字手本付き』
- - 著:角田 恵理子
- - ISBN:9784065186688
- - この本の詳細ページ:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784065186688