
『arikoの 美味しいルーティン』(著:ariko)
在宅勤務をするようになって、家での食事が増えた。困ったのはごはんの種類である。以前ならば、ランチはその日の気分に合わせて職場周りのお店から選べたし、予定があれば夜も作らずに済んでいた。そういった選択肢がなくなった今は、テイクアウトを使いつつも、基本的には自分で作るしかない。とはいえ、私が知っているレシピの数では、あっという間に飽きてしまう。だからネット上の情報はもとより、書店や図書館に行っては料理書をチェックするようになっていた。
そんな中で読んだ本書は、レシピブックとして一風変わっていた。まず、「はじめに」とある冒頭の挨拶文は、著者ではなく担当編集者からのもの。その意図は、著者が「意識せずに行っていることを紹介したい」ことにあるのだそうだ。そして本文も変わった進行で、レシピ紹介よりも前に、編集者とライターが著者にあれこれ聞く様子が、インタビュー形式で収録されていた。これもまた新鮮な展開。
聞き手たちは時に「読者の視点」から、著者へ気になる点を質問していく。また別の場面では、著者から調理のコツやヒントを聞き出したり、料理を食べた感想などを元に、著者の知識を読者へ噛み砕いて伝える「良きアシスタント」としても存在していた。まるで、テレビの料理番組が2次元で再現されているかのよう! 対談中でわかったポイントや新たな情報は、インタビュー下部でまとめられている。読み返し時にもわかりやすいのはありがたい。