天才アラーキー「写真ってノスタルジーだ」【インタビュー連載第5回】

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美容誌「VOCE」で約20年続いた、写真家・荒木経惟のインタビュー連載。写真とは、一瞬の中に永遠を写し出すもの。第113回を振り返る。

──2010年8月13日。東大病院で放射線治療を受けたあと、ふと思い立って、三四郎池に立ち寄った。そこで見た風景は、まるで、少年時代にタイムスリップしたかのような懐かしさに溢れていた。誰にとっても、子供時代がいちばん輝いていたと錯覚させるほどに。

◎“自分が大切だと思うその時間に、空間に、どれだけ愛情を注げるか。それが写真です”

天才アラーキー「写真ってノスタルジーだ」【インタビュー連載第5回】

去年の夏(※2010年)に、前立腺がんの放射線治療のために、毎日のように本郷の東大病院に通っててさ。その間に撮った写真を、『東京ホーシャセン』(’10年12月刊)っていう写真集にまとめたんですよ。写真っていうのは、旬じゃないとダメだから。せめて先週撮ったものとか、先月撮ったものを見せたい。1年間撮り溜めて、っていうのはアタシはなんか、写真のこととは違う気がするんだ。

旬っていうのは、食べ物とか人にあるって思われがちだけど、実は、写真にもあるんだよ。誰にも、毎日生活する中での、大切なこと、愛おしいことがあって、その情を写し出すのが写真だからね。自分が大切だと思うその時間に、空間に、どれだけ愛情を注げるか。もっといえば、その日を、どういうふうに過ごしたか。実は、それが写真家にとって重要なことなんです。

最近さ、写真家がみんな、大切なことをやっていない気がするね。とくに、若いヤツの写真に、情が感じられないんだよな。だいたい、なんで自分の恋人を撮らないんだ! 女でも何でも、建築写真みたいに撮りやがって(笑)。シャッターを押していくうちに、お互いの感情が行ったり来たりして、心が熱を持って、身体が濡れてきて、湿っぽさとか情が写るから写真なのに、最近はさ、みんな写真家と被写体の間に、距離がある。そういう乾いた感じほうが、アートっぽいのかもしれないけど、写真はそれじゃダメなんですよ。男の写真家だったら、彼女を撮った写真が、絶対に一番いいはずなんだよ。もっとせっかちに、その日の自分がどう生きたのかを写せばいい。それができるのが写真なんだから。アートとか、時代とか、そんなことはどうでもよくて、自分のタメの写真を撮ればいいんですよ。だいたいさ、絵画だったら、仕上げるのに時間がかかりすぎて、旬もへったくれもなくなっちゃうだろ?


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