『18歳からの「契約」超入門 マンガと図解 デジタル時代に だまされないための』(著:遠藤 研一郎)
最初のページを開いた途端、目から鱗だった。というのも、日常の中で「契約」を意識する場面は多くなく、むしろ特別な感すらある。
それゆえ
本書で取り上げる「契約」は、特に現代に生きる私たちの生活・社会にとって、必要不可欠なものです。
という著者の言葉には、驚きと重みがあった。私たちが意識するかどうかはともかく、今の世の中で生きていく限りは、何らかの「契約」をし続けるしかない。だからこそ契約にまつわるルール(=法律)を知ることは、生活をする上で重要な備えとなるだろう。本書では全3章にわたり、「契約」の便利さと、隣り合わせにある危険性、そしてトラブルの事例を取り上げながら、それらに対処するため整備された法律知識が伝授される。
1971年生まれの著者は、中央大学大学院法学研究科博士前期課程を修了後、岩手大学人文科学部や獨協大学法学部の助教授、中央大学法学部准教授などを経て、現在は中央大学法学部の教授を務めている。専門は民法で、これまでにも多数の著書を執筆。専門的な内容を一般的な言葉で解きほぐし、法学の初心者にもわかりやすく伝えてきた。
さて本書では、事例ごとに2ページのマンガが掲載されている。

中でも目を引いたのは、関連する法律に添えられた「超訳」。法の言葉は時に難しく、言い回しにも不慣れな身には、その意味をつかむのにもハードルがある。だが著者の「超訳」は法律を噛みくだいて伝えてくれる。内容も言葉遣いも易しく、法律の知識が少なくとも十分に理解できるものとなっていた。また重要な部分は太字で示し、ピンク色の線も引かれているため印象に残る。まさに、タイトルの「超入門」に偽りなし……!

ちなみに本書の内容は、学生だけでなく社会人生活でも十分に生かされる。問題のある株式投資や投資信託、マルチ商法、労働基準法から外れた労働など、その状況に巻き込まれて初めて気づくトラブルも多くある。私自身、社会人になった時にこれらの知識があれば、もっとうまく、たくさんの問題に対処できただろうと思ってしまった。順調に暮らしている間は、法律に頼ることはそれほどないし、意識もせずに済む。
本書を通し、「契約」を知ることはより良く生きる上で確かな武器となると感じた。これからの時間を楽しむためにも、新生活が始まるこの時期にこそ、多くの方に読んでほしい。
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■レビュワー
◎田中香織
元書店員。在職中より、マンガ大賞の設立・運営を行ってきた。現在は女性漫画家(クリエイター)のマネジメント会社である、(株)スピカワークスの広報として働いている。
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■本の紹介
◎18歳からの「契約」超入門 マンガと図解 デジタル時代に だまされないための
■狙われる成人年齢18歳
成人年齢が18歳に引き下げられました。保護者の同意なしで、携帯電話の購入からローンの契約など、自分の判断で様々な契約ができるようになります。そのため、契約の知識がない若者が狙われています。
■契約トラブルは、年間92.4万件!
日本では契約について学校で丁寧には教えておらず、日本人は契約の意識が薄いといわれます。実は、コンビニでおにぎりを買うのも、電気が家に来るのも、アルバイトも、結婚も、就職も、実は契約を前提に成り立っています。
■デジタル詐欺に気をつけろ
オンラインゲームの課金やアダルトサイトの高額請求を皮切りに、有料の出会い系サイトに誘導されたり、化粧品やダイエット商品の「お試し」が高額商品の契約になっていたりなどといったケースで被害が増加しており、若者の多くは泣き寝入りです。
■マンガと図解で契約を解説
本書では、マンガや図解を使って、特に若者や一般生活で関係のある契約をわかりやすく解説。高校生から大人まで、自分の身を守るために知っておきたい契約の知識を得る1冊です。
- - 主書名:『18歳からの「契約」超入門 マンガと図解 デジタル時代に だまされないための』
- - 著:遠藤 研一郎
- - ISBN:9784065312681
- - この本の詳細ページ:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784065312681