三世界ねこは、漫画家志望の25歳無職。今日も手応えを感じないまま打ち合わせを終え家に帰ると、そこには殺人鬼のような風貌をした男が立っていた。
漫画家とそのファンのクロニクル
何年たっても好きな漫画がある。自分の口からポロッと出る言葉や、いざというときの態度に、その漫画の線が写り込んでいるのを自分だけが知っている。あるいは、あまりにおもしろい漫画の最新刊が2巻だがどう考えても10巻以上続きそうなとき(かつ、その先生が遅筆で知られているとき)、クラクラしながら「結末を見届けるまで絶対に生きてやる」と思う。リアルに「死ぬまいぞ~」と決意するのだ。命を燃やして、その作品をがんばって描いているのは作家なのに、待っているこちらまで謎に力んで、勝手に一蓮托生のつもりでいる。あれはなんなんだ。そして、なんて重たいんだ。 『星描けるぼくら』の“ノラくん”が“三世界ねこ(ペンネーム)”に向けるクリアなまなざしもまた、まさにファンが作家へ傾ける重た~い愛そのものだ。ノラくんは三世界ねこ先生のことを「神」と呼び、崇拝し、先生の「ある漫画」の続きを待つ。
待つというのはドラマチックな行為だ。10秒でも100年でもドラマになる。そして待つ側と待たせる側の両方に物語が広がり、やがてひとつの世界に包まれていくことを感じさせる。
もう、何年だって待ちますよ、必ず描いてくれるって信じてます。で、待ちに待った最新作をやっと手にして、いざ読んでみると……?
『星描けるぼくら』は美しいクロニクルだ。とても豊かな全5話のなかで作家とそのファンが結びつき、それぞれの命が輝いている。
売れてたらさっきのノラ猫も飼えるのに
三世界ねこ先生とノラくんの付き合いは長い。子供の頃から漫画を描くことが大好きだった先生は、漫画家になる夢を抱えたまま25歳を迎えていた。デビューを目指して出版社に通うも、編集者との打ち合わせで「なるほど」と全体的にほめられたのち、鋭いダメ出しと曖昧な返事にガックリしたり(胃がキュッとなる!)。日々が手応えゼロで、無職だし疎外感がものすごいし、唯一心が躍るのはノラ猫をなでるときだけ。そのノラ猫さえ、貧しい自分には飼うことができない。
そんな行き詰まった彼のもとに“その人”は突然現れた。
ノラくんは飢え死にしそうな先生のために焼肉をふるまう。
ノラくんは、三世界ねこ先生が小学生時代に描いた漫画『ムゲンミライ』で人生が変わったのだという。それは名もなき星の開拓漫画だった。
無理やり描いてもらうのは違います
どこか浮世離れしたノラくんは、ときどき三世界ねこ先生の前にふらりと現れる。あの漫画の続きはまだですか、楽しみに待っていますよ、と。
これはノラくんが『ムゲンミライ』を待つ物語であり、漫画を描くことそのものと、誰かのクリエイティビティを愛すること、そして三世界ねこ先生の物語でもある。すべてがきれいに響き合う。
あるときは「担当編集とやらとの戦い」に参戦してみたり。
著 : 梨川 リサ
ネガティブ漫画家×謎多き古参ファンの、ハラハラ青春コメディ! 詳細を見る 既刊・関連作品
レビュアー
花森リド
ライター・コラムニスト。主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」などで執筆。
X(旧twitter):@LidoHanamori
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