日本は、地震や台風、豪雨などの自然災害が発生しやすい国です。万一の災害に備え、食品のほか、ガスや電気といったライフラインが寸断したときに困らないようにカセットボンベやカセットこんろ、携帯発電機などを用意している人も多いかと思います。
しかしながら、これらの製品で製品事故が発生し、死亡者も出ています。

 独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]は、9月1日の「防災の日」に合わせて、災害時に活躍する製品で気を付けるポイントを注意喚起します。

 

 

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 災害時に活躍する製品として、例えば、“ガス”供給が停止した際に代用となるカセットボンベ等(※1)、“電気”供給が停止した際に代用となる携帯発電機があります。NITEに通知があった製品事故情報(※2)では、2020年から2024年までの5年間にカセットボンベ等の事故(※3)は204件、携帯発電機の事故は21件ありました。経年劣化や誤った使い方が原因で発生している事故もあり注意が必要です。「買いそろえたから万全」と油断することなく、使用期限(劣化していないか)や正しい使用方法を確認しましょう。

 いざ災害時に使おうとした際に事故に遭わないように、気を付けるポイントを改めて確認してください。また、お持ちの製品がリコール対象になっていないか常に最新情報をチェックしてください。

 

 

【災害時に活躍する製品で気を付けるポイント】

■“ガス”供給停止時の代用製品

○カセットボンベ等

・経年劣化に注意する。

・カセットボンベ等を機器に正しく装着し、ガス漏れがないか確認する。

・カセットボンベ等が異常に熱くなるような誤った使い方はしない。

・カセットボンベ等は使用機器から取り外し、室内の40℃未満の場所に保管する。


 

■“電気”供給停止時の代用製品

○携帯発電機

・携帯発電機は屋内では絶対に使用せず、屋外の風通しの良い場所で使用する。

 

(※) 本資料中の全ての画像は再現イメージであり、実際の事故とは関係ありません。

(※1)本資料中ではカセットボンベ及びアウトドアボンベを総称して「カセットボンベ等」と呼びます。

(※2)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故を含みます。

(※3)カセットボンベ等を使用する製品で発生した事故も含みます。

 

 

 

事故の発生状況

 NITEが受け付けた製品事故情報のうち、2020年から2024年までの5年間に発生したカセットボンベ等の事故204件、携帯発電機の事故21件について、事故発生状況を以下に示します。

 

 

年別・被害状況別の事故発生件数

 カセットボンベ等の事故204件、携帯発電機の事故21件について、年別・被害状況別の事故発生件数を表1、表2にそれぞれ示します。

 カセットボンベ等の事故では、火災により周辺が燃えたり、人的な被害に遭ったりしているケースが多くなっています。また、携帯発電機の事故は、屋内で使用したことで一酸化炭素(CO)中毒になり、1件の事故で複数人の方が被害に遭っているケースが多く、かつ死亡事故となっている割合が高くなっています。

 

 

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(※4)()は被害者数。物的被害(製品破損または拡大被害)があった場合でも人的被害のあったものは、人的被害に区分している。また、人的被害(死亡・重傷・軽傷)が複数同時に発生している場合は、最も重篤な分類で事故件数をカウントし、重複カウントはしていない。


(※5)製品本体のみの被害(製品破損)にとどまらず、周囲の製品や建物などにも被害を及ぼすこと。

 

 

原因別の事故発生件数

 調査が完結した174件(カセットボンベ等:157件、携帯発電機:17件)の事故について、原因別の事故発生件数を図1、図2にそれぞれ示します。なお、カセットボンベ等については、事故発生時に取り付けられていた製品毎に件数を示しています。

 カセットボンベ等は使用製品によって事故原因の傾向が異なっており、特に、ガストーチは製品自体に問題があって発生した事故が多く、2025年2月6日から「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)」の規制対象となりました。

 その他、誤使用や不注意などによる事故が各製品で発生しているため、取扱説明書をしっかり確認し、禁止されている行為は絶対にしないでください。

 

 

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事故事象別の事故発生件数

 調査が完結した事故174件のうち、原因不明を除く140件(カセットボンベ等:128件、携帯発電機:12件)の事故について、事故事象別・被害状況別の事故発生件数を表3に示します。

 カセットボンベ等は、ガスが漏れたことによる事故がほとんどであり、使用する際にガス漏れがないか確認することが大切です。また、携帯発電機は、排ガスがこもるような場所で使用したことによる一酸化炭素(CO)中毒の事故が多く発生しているため、必ず屋外の風通しの良い場所で使用してください。

 

 

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カセットボンベ等で気を付けるポイント

 

経年劣化に注意する

 カセットボンベ等は、気密性を保つためO(オー)リングやパッキンと呼ばれる部品が使われていますが、時間の経過とともに劣化(硬化してひび割れ)して、使用時にガス漏れなどが生じるおそれがあります。特に、製造から長期間経過したカセットボンベ等は、ガス漏れやさびなどが生じていないことを確認した上で、早めに使い切るようにしてください。

 食品に消費期限があるのと同様に、カセットボンベ等についても使用期限があります。使用期限が過ぎないように古いものから使い切り、新しいものを補充することを心がけて備蓄(ローリングストック)をしましょう。


 

 

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カセットボンベ等を機器に正しく装着し、ガス漏れがないか確認する

 カセットボンベ等を機器に装着する場合は、取扱説明書の指示に従って確実に装着してください。カセットボンベ等の装着を誤った状態で使用すると、ガス漏れが生じて火災に至るおそれがあります。

 もし、装着後に異音(シューというガスが漏れる音)や異臭などが生じた場合は、ガス漏れのおそれがありますので、点火動作を絶対に行わず、直ちにカセットボンベ等を取り外して使用を中止してください。また、火気を近付けないようにするとともに、換気をしてください。

 

 

カセットボンベ等が異常に熱くなるような誤った使い方はしない

 カセットボンベ等の中には液化石油ガスが液体と気体に分かれて入っています。カセットボンベ等が過熱されてしまうと液化石油ガスが液体から気体になろうと膨張し、内圧が上昇して限界を超えると破裂します。使用する際は、取扱説明書の注意事項を守って使いましょう。カセットボンベ等のガスの出が悪くなったからといって、意図的に温めることも絶対にやめてください。

 

 

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 また、避難先としてのテント内や車内など、狭い場所でカセットこんろを使用しないでください。周囲の可燃物に着火して火災になるおそれがあります。さらに、狭い場所で使用すると、不完全燃焼して一酸化炭素(CO)中毒に至るおそれがあり大変危険です。

 

 

カセットボンベ等は使用機器から取り外し、室内の40℃未満の場所に保管する

 カセットボンベ等を保管する際は、40℃以上の高温下や熱源のそばには放置しないよう気を付けてください。
こんろなどの熱源のそばや直射日光が当たるような場所に放置すると破裂のおそれがあり、大変危険です。使用後は、カセットボンベ等を取り外し、室内の40℃未満の涼しい場所に保管するようにしましょう。また、保管時はカセットボンベ等のキャップを忘れずに付けてください。キャップをせずに保管していると、劣化を早めてしまうおそれがあります。

 

 

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携帯発電機で気を付けるポイント

 

携帯発電機は屋内では絶対に使用せず、屋外の風通しの良い場所で使用する

 携帯発電機は、排ガスに一酸化炭素(CO)などの有害物質が含まれています。使用時に換気が不十分な場合、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。

 

 

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 携帯発電機は、屋内や換気が悪く排ガスがこもる場所(物置、倉庫、自動車内、テント内など)では、絶対に使用しないでください。

 なお、屋外で使用する場合でも、排ガスが屋内に入らないように風向きなど空気の流れに注意し、風通しが良い場所で使用してください。また、漏電や感電のおそれがあるため、雨天時に濡らさないよう注意してください。

 

 

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NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)のご紹介

 NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)」のサービスを行っています。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報やリコール情報を検索することができます。

 また、事故事例の【SAFE-Lite検索キーワード例】で例示されたキーワードで検索することで、類似した事故が表示されます。


 

 

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https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-lite.html

 

 

 

今回の注意喚起動画はこちら

>> カセットボンベ「3.経年劣化によるガス漏れ」 

 

【動画:https://www.youtube.com/watch?v=m8SCR3UxWpw

 

 

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要

 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。

 
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