公益財団法人産業雇用安定センター(ジョブ産雇)https://www.sangyokoyo.or.jp/
~今後の働き方についてイメージを持つ者のうち約3割が
「定年前」「定年時」「雇用延長したあと」のいずれかで転職を希望~
公益財団法人産業雇用安定センター(本部:東京都江東区 理事長:岡崎淳一 愛称:ジョブ産雇)は、2025年7月、60歳定年-65歳までの継続雇用制度を有する大企業に勤務する45歳~59歳の社員の「セカンドキャリアに関する意識」をWEB調査により実施し、900人分の回答を得て今般その結果を取りまとめました。
産業雇用安定センターでは、今回の調査結果を踏まえ、失業なき労働移動の実現に向けた出向・再就職のあっせんの取組について、一層効果的なサポートに活用してまいります。
【調査結果のポイント】
◆今後の働き方のイメージについては、「まだ決めていない」が31%で最多(図1)。それを除く回答全体の中では、定年前・定年時に転職したい者と定年後同じ会社で雇用延長しそのあと転職したい者を合わせた数、定年を機に働くのをやめたい者、定年後同じ会社で雇用延長しそこで働くのをやめたい者が、それぞれ3割で同率となった(図1②)
◆定年前・定年時に転職を希望する者の動機は、「これまでと違う新しい仕事に取り組みたい」(34%)と「スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したい」(26%)が合わせて6割、「役職定年や定年で処遇が大きく下がるから」(19%)など同じ会社に残るデメリットを考慮したものが3割などとなった(図2)
◆定年後に同じ会社で雇用延長を希望する者は、「スキル・経験が生かせるから」など自身キャリアの発揮場所、働き場所として今の会社を評価する者が6割、「新しい職場に馴染めるか不安」など転職先、転職活動への不安等を理由とする者が4割(図3)
◆今後の働き方について「定年を機に働くのをやめたい」、「同じ会社で雇用延長しそこで働くのをやめたい」、「まだ決めていない」と答えた者の中にも、自分の知識・経験が必要とされたり、自分に合った中小企業があれば転職を考えてもよいとする者が4割あった(図4)
◆転職を考える際に会社に求める支援(複数回答)では、「定年後の資産管理等ライフセミナーの実施」(27%)、「具体的な転職先の紹介など転職支援」(25%)、「労働市場の情報や求人情報などの提供」(22%)が多かった(図5)
■今回調査概要
時期:2025年7月
方式:民間調査会社への委託によるWEBアンケート方式
対象:大企業(従業員300人以上。60歳定年-65歳までの継続雇用制度を有する企業)に
15年以上勤務する45~59歳の社員
回答:900人
「ミドルシニア世代のセカンドキャリアに関する意識」結果詳細
1. 今後の働き方に対するイメージについて(図1、1②)
今後の働き方に対するイメージについては、「まだ決めていない」(31.3%)が最も多かった(図1)。それを除いた回答全体の中では(図1②)、「定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい」(34.5%)と「定年をもって働くのをやめたい」(32.7%)と並んで、「定年前に転職または独立したい」(7.8%)、「定年を機に、転職または独立したい」(14.4%)、「定年後は同じ会社で雇用延長しそこから転職または独立したい」(10.7%)を合わせた転職希望者(計32.9%)がそれぞれ33~35%で、ほぼ同率となった。
年齢別にみると、50代後半層では、「定年をもって働くのをやめたい」(22.9%)が他の年齢層に比べて10ポイント以上少ない一方、「定年前・定年時または雇用延長したあと転職(または独立)したい」の割合は39.3%と他の年齢層に比べて10ポイント近く多かった。
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2. 定年前、または定年を機に転職を希望する者の転職動機について(図2)
1.において「定年前に転職(独立)したい」、「定年を機に転職(独立)したい」と回答した者を対象にその動機を尋ねたところ、「これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたい」(33.6%)、「スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したい」(26.3%)が合わせて約6割となった。
一方、「役職定年や定年によって待遇が大きく下がるから」(19.0%)、「会社に残ると希望しない仕事をしないといけないから」(7.3%)と、同じ会社に残るデメリットを考慮し転職を選択したものが約3割みられた。そのほか、「家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせて働きたい」(11.7%)といった声があった。
年代別では、40代後半層は「スキルや経験を生かして活躍したい」(42.9%)、50代前半層は「これまでと違う新しい仕事に取り組みたい」(45.2%)がそれぞれ4割を超えて最多となった。50代後半層では、「これまでと違う新しい仕事に挑戦したい」(26.4%)が最多で、「役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから」(24.5%)がほぼ拮抗した。
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3.定年後は同じ会社で雇用延長を希望する理由について(図3)
1.において、「定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長する」を選んだ者を対象に、その理由を尋ねたところ、「自らのスキル・経験を今の会社で生かせるから」(40.9%)、「働きやすい職場だから」(19.0%)と、自身キャリアの発揮場所、働き場所として今の会社を評価するものが6割あった。
他方、「新しい職場に馴染めるか不安だから」(12.5%)、「中・高齢期の転職は難しいと思うから」(10.8%)、「転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがある」(10.4%)など、転職先の環境や待遇、転職活動への不安等から会社に残ることを選択する者も約4割あった。
特に、定年を間近に控える50代後半層では、転職先の環境や待遇、転職活動への不安等から会社に残ることを選択する者の割合(計46.4%)が他の年齢層に比べて高く、転職に慎重な姿勢が伺えた。
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4.「今の会社で働くのをやめたい」、「まだ決めていない」層は中小企業等への挑戦をどう考えているか(図4)
1.において、「定年後は同じ会社で雇用延長し、そこで働くのをやめたい」、「定年をもって働くのをやめたい」、「まだ決めていない」と回答した者を対象に、「大企業での経験等を生かして中小企業、NPOに挑戦すること」について尋ねたところ、「今の会社をもって働くのをやめたい」(50.6%)と答えた者が半数を占めた一方、「自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい」(19.5%)、「中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい」(18.4%)と中小企業への転職に前向きな回答も4割近くあった(図4)。
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5.転職(独立)に向けて会社に求める支援について(図5)
1.で、転職(独立)を希望すると回答した者、及び4.で中小企業・NPOに挑戦してもよいと回答した者に、転職(独立)に向けて会社に求める支援を尋ねたところ、「特にない」(35.0%)のほか、「定年後の年金、資産管理などのライフセミナーの実施」(27.1%)、「具体的な転職先の紹介、出向を利用した転職支援などの制度」(25.4%)などの回答がみられた。
内訳別では、雇用延長しそのあと転職(独立)したい者は「リスキリングなどのスキルアップ支援」(28.6%)が最多(図5③)、雇用延長しそこで働くのをやめたい(うち求められれば中小企業等に挑戦してもよい)者では「具体的な転職先の紹介、出向を利用した転職支援など」(37.4%)が最多であった(図5④)。
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6.転職で希望する仕事について(図6)
5.と同じ対象者に、転職(または独立)で希望する仕事を尋ねたところ、「これまでの経験や知識、専門性を生かした仕事」と回答したものが51.9%と半数を超えた。次いで、「経験等はないが事務補助的な仕事」が12.0%などとなった。
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7.転職で希望する働き方について(図7)
5.と同じ対象者に、転職先で希望する働き方について尋ねたところ、「週5日フルタイム勤務で残業はしない」(29.1%)と「週5日フルタイム勤務で残業もする」(28.2%)が、合わせて6割となった。
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8.転職先で希望する通勤時間について(図8)
転職先で希望する通勤時間について、「30分~60分程度」(44.2%)が最も多かった。次いで、「30分以下」(19.5%)、「60分以上でもかまわない」(11.4%)、「リモートワークや在宅勤務の選択肢がある職場を希望」(9.2%)などとなった。
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9.転職(独立)を検討する場合、現在の収入と比較してどの程度の変動なら許容できるか(図9)
転職を検討する際、現在の収入と比べてどの程度の変動なら許容できるかの質問に対し、「10%~30%程度の減少」が31.1%と最も多かった。次いで、「現在の収入は維持したい」(21.2%)、「30%~50%程度の減少」(18.2%)、「50%以上の減少」(11.2%)、「10%未満の減少」(10.5%)、「現在よりも年収を上げたい」(7.9%)の順となった。
内訳別では、定年前に転職したい者、定年を機に転職したい者では、30%以上の減少を許容するという回答がそれぞれ4割近くあり、他の層と比べ10ポイント程度以上高い割合となった。
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