EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 近藤 聡、以下EYSC)で戦略・M&Aトランザクションアドバイザリー業務を行うEY-Parthenon(EYパルテノン)は、2025年上半期(1月~6月)に開催された株主総会における株主提案の動向を分析し、結果を発表しました。
近年、アクティビストによる株主提案は「量」だけでなく「質」においても変化を見せています。
<主な分析結果>
1. PBR1倍超企業への株主提案が増加
これまで低PBR企業が主なターゲットでしたが、時価総額1,000億円以上かつPBR1倍超の企業にも提案が広がっています。資本効率が改善されていても、キャッシュアロケーション(配当・投資)が不十分な企業は株主提案の対象となる傾向が強まっています。
2. アクティビストの株主提案は経営戦略上の提言実行を意図したものが多数
アクティビストの株主提案は、表面的には資本政策や役員選解任、情報開示を求める内容が中心ですが、それらは並行して行われるキャンペーンと連動し、事業ポートフォリオの見直しなどの経営戦略上の提言実行を促す意図が込められています。
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3. ISSの推奨傾向
議決権行使助言会社ISSは、アクティビストによる株主提案に対し、4割の議案に賛成を推奨。議案種類別では役員の報酬制度に対して8割弱、資本政策に対して6割弱の議案に賛成を推奨しています。
4. アクティビストの株主提案への賛成動向
賛成率が20%以上の議案の割合は前年から微減していますが、情報開示以外の議案は2025年でも3~5割の議案が20%以上の賛成率を得ており、アクティビストの影響は大きいと考えられます。資本政策関連の株主提案(主に配当・自己株取得)は事業投資を積極的に行わない企業が、役員の報酬制度(主に株式報酬制度)は株主へのリターンを創出できていない企業が、賛成率が高くなる傾向にあります。
<本分析を受けての考察>
EYSCでは、こうした動向を踏まえ、企業が市場からの支持を得るためには「企業価値最大化に向けた戦略策定」が求められると分析しています。株主提案の対象がPBR1倍超の企業にも広がっている現状を踏まえ、単なるPBR改善ではなく、企業価値の本質的な向上として、事業ポートフォリオの抜本的な見直しや、中長期での成長領域を踏まえたメリハリのある資源配分が、これまで以上に求められています。企業は、資本コストを上回る成長領域への投資を進める一方で、余剰キャッシュは配当や自社株買いに活用し、株主価値の低下を回避する必要があります。
EY-Parthenon ストラテジー・アンド・エグゼキューションリーダー パートナー 篠原 学のコメント:
「東京証券取引所は上場維持基準の厳格化を通じて、機関投資家に近い目線で中長期的な企業価値の向上を図れない企業に対して市場からの退出を促しています。『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請も3年目を迎えますが、PBR1倍以上は必達条件に過ぎず、株主提案の提出状況からは企業とアクティビストとの間で依然として企業価値の認識にギャップが大きいことが読み取れ、資本市場との対話は重要性を増していると言えます」
本分析の詳細および、クライアントの企業価値向上に向けた取り組みを支援する「戦略的株主エンゲージメント支援サービス」については、下記をご覧ください。
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戦略的株主エンゲージメント支援 | EY Japan
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