食欲の秋が到来です。調理家電は火を使わないため安心と思われがちですが、使用者の誤使用・不注意から火災などの重大な事故も発生しています。
独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]は、「調理家電の事故」を防ぐために注意喚起を行います。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O16-sVX7e6XO

 

 NITEに通知された製品事故情報(※1)のうち、2020年から2024年までの5年間に発生した調理家電の事故は合計515件ありました。製品別では「電子レンジ」、「IHこんろ」が多く、原因別では使用者の誤使用・不注意が関係しているものが約4割と最も多くなっています。

 

 調理家電は、「電子レンジ」におけるレンジモード(レンジ加熱)とオーブン・グリルモード(ヒーター加熱)、「IHこんろ」におけるIHヒーターとラジエントヒーターなど、複数の加熱方式を備えた多機能な製品があります。しかし、それぞれの機能がどのような仕組みで加熱を行っているのかを理解しないまま使用したり、モード選択やタイマー設定のボタンを押し間違えたりすると、事故につながるおそれがあります。

 

 『面倒だから・・・』といって注意事項を読むことをキャンセルしないでください。安全に美味しく調理するために、取扱説明書の確認を習慣化しましょう。

 

 

【調理家電の事故を防ぐために気を付けるポイント】

○加熱の仕組みを理解した上で使用する。

○取扱説明書や商品パッケージに記載の注意事項を守る。

 ▶モード選択やタイマー設定が正しいか確認する。

○こまめに掃除し、熱くなる場所には調理器具以外の物を置かない。

 

(※) 本資料中の全ての画像は再現イメージであり、実際の事故とは関係ありません。


(※1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故を含みます。

 

 

 

 

 

 

事故の発生状況

 NITE に通知された製品事故情報のうち、2020年から2024年までの5年間に発生した「調理家電の事故」515件について、事故発生状況を以下に示します。

 

年別の事故発生件数

 調理家電の事故における「年別の事故発生件数」を図1に示します。火災事故が多く、全体の約75%(515件中388件)を占めています。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O4-48Z4nFte

 

 

 

 

製品別の事故発生件数

 調理家電の事故における「製品ごとの事故発生件数」を図2に示します。例年「電子レンジ」、「IHこんろ」の事故が多く発生しています。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O5-6M5G3Czz

(※2)同じ型式の「電気ケトル」を使用中に、電気ケトル本体と電源プレートとの接続部から発煙する事故が2022年に45件発生しております(2023年1月にリコールを実施)。そのため、2022年の調理家電全体及び電気ケトルの事故発生件数が多くなっています。

 

 

 

 

原因別の事故発生件数

 調理家電の事故515件のうち、調査中の事故(78件)及び原因不明の事故(217件)を除く220件についての「原因別の事故発生件数」を図3に示します。調理家電の事故は、使用者の誤使用・不注意が関係しているものが最も多く、事故原因の約4割を占めています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O6-GKgstxi8

 

 

 

事故事例

■電子レンジ[引用元:NITEアンケート調査から]

【事故・ヒヤリハットの内容】

 さつまいもをアルミホイルでくるんでレンジでチンしてしまって発火した。煙もすごくてあともう少しで火災報知器が鳴りそうだった。


 

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アルミホイルに包んださつまいもの発火(再現実験)

 

 

■IHこんろ [事故発生年月 2021年6月(大阪府、90歳代・男性、拡大被害)] 

【事故の内容】

 施設でIHこんろ及び周辺を焼損する火災が発生した。

【事故の原因】

 詳細な状況が不明のため原因の特定には至らなかったが、身体等がボタンに触れてラジエントヒーターのスイッチが入り、ラジエントヒーター上に置かれていた可燃物(タオル)を焼損した可能性が考えられる。

 

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ラジエントヒーター上の可燃物が発火 (再現実験)

 

 

 

 

「調理家電の事故」を防ぐためのポイント

 

加熱の仕組みを理解した上で使用する

■レンジ加熱とヒーター加熱の違い

 多機能タイプの電子レンジには大きく2種類の加熱方式があります。「レンジ加熱」は電磁波で食品の内側から温める方式で、「ヒーター加熱」はヒーターからの熱で食品の外側から焼き上げる方式です。加熱方式を誤ると、発煙や発火などの事故につながるおそれがあります。NITE が行ったヒヤリハット・事故の経験についてのアンケート調査では『金属製品をレンジ加熱した』が最多でした。アルミ箔やステンレス容器等の金属製のものをレンジ加熱すると、電磁波が金属の中の電子の動きを活発化させることでスパーク(火花が発生)し、火災につながるおそれがあります。

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【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O8-gJMtj5Q3

 

 

■IHヒーターとラジエントヒーターの違い

  IHこんろの中には「IHヒーター」と「ラジエントヒーター」という2種類の加熱方式が備わっているものがあります。「IHヒーター」は磁力によってIH対応の鍋(※3)自体が発熱する方式で、「ラジエントヒーター」はトッププレート内部の電熱線が発熱し、その熱がトッププレートを介して鍋を加熱する方式です。どちらもトッププレートが高温になるため火傷に注意が必要ですが、ラジエントヒーターはより高温になりやすく鍋がなくても発熱するため、可燃物を放置して発火しないよう特に注意が必要です。

 

(※3)IH対応の鍋

鉄製・ステンレス製・ホーロー製などの磁性の鍋(鍋底に磁石が付くもの)が使用できます。例外的に、オールメタル対応のIHこんろでは、非磁性の鍋(鍋底に磁石が付かないもの)も使用できます。


 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O15-Nf5BGZ4f

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O10-VPeDrzAC

 

 

 

 

取扱説明書や商品パッケージに記載の注意事項を守る

 ▶モード選択やタイマー設定が正しいか確認する

 加熱のしくみを理解していても、操作ボタンを押し間違えたり、モード対応外のものと気づかぬまま加熱を開始したりすると事故につながるおそれがあります。取扱説明書や商品パッケージに記載されている注意事項をよく確認し、モード選択やタイマー設定が正しいかどうかを必ず確認してから加熱を開始しましょう。また、IHこんろは、油温度調節機能が働いて調理中の油が発火点(370度以上)に達しないように油の温度を一定に保つ「揚げ物用の運転モード・コース」を有する製品があります。「揚げ物用の運転モード・コース」がある製品では、必ずそのモードやコースを使用しましょう。

 

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調理油の発火点

 

 

 

 

こまめに掃除し、熱くなる場所には調理器具以外のものを置かない

 調理家電はこまめに掃除を行ってください。電子レンジは庫内やドアの内側に食品かすなどの汚れが付着した状態で使用すると、炭化してスパーク(火花が発生)し、発火するおそれがあります。IHこんろは、IHヒーターの上でカセットボンベや缶詰等を誤って加熱すると破裂するおそれ、ラジエントヒーターの上で可燃物を誤って加熱すると発火するおそれがあります。調理器具以外のものはトッププレートの上に置かないようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)のご紹介

 NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)」のサービスを行っています。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報やリコール情報を検索することができます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509185430-O12-H7Z28J83

https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-lite.html

 

 

 

 

今回の注意喚起動画はこちら

 

>>電子レンジ「13.アルミ箔で包んだ芋の発火」

【動画:https://www.youtube.com/watch?v=CfYFkNGJKTo

 

>>IH調理器「5.ラジエントヒーター上の可燃物が発火」

【動画:https://www.youtube.com/watch?v=izNW4ctnhEY

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要

 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。
原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。
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