2025年12月15日
公益財団法人産業雇用安定センター(ジョブ産雇)

~全体の6割がキャリアチェンジ、うち半数は異業種かつ異職種へと転職~

 

公益財団法人産業雇用安定センター(本部:東京都江東区 理事長:岡崎淳一 愛称:ジョブ産雇)は、2025年10月、10年以内に転職経験のある40歳-59歳までの正社員の「転職に関する意識調査」をWEB調査により実施し、2000人分の回答を得て今般その結果を取りまとめました。

産業雇用安定センターでは、今回の調査結果を踏まえ、失業なき労働移動の実現に向けた再就職・出向のあっせんの取組について、一層効果的なサポートに活用してまいります。


 

【調査結果のポイント】

◆転職を考えるきっかけとしては、複数回答(以下、MA)によると「給与・待遇(評価・査定)への不満」(37.3%)、「職場の人間関係」(32.9%)、「仕事内容への不満、ミスマッチ」(27.0%)といった要素が多くみられる。

◆転職時の不安(MA)として、「年齢による採用の厳しさ」(52.2%)、「給与、年収がどうなるか」(44.5%)、「新しい職場環境への適応」(33.8%)が上位に並んだ。

◆転職に際し重視したこと(MA)は、「希望の仕事内容に従事できるか」(53.5%)、「希望の年収が確保できるか」(48.2%)などが挙がった。

◆転職先の決定時期は、離職前が3割、離職から3ヶ月以内が4割となっている。

◆転職後の職種について、転職前と「同業種の同職種」4割に対し、「異業種」または「異職種」へのキャリアチェンジが6割となった。キャリアチェンジの中でも半数が「異業種の異職種」へと転職している。離職から転職先決定までの期間が長いほど、キャリアチェンジの割合は増加傾向にある。

◆転職後の年収がアップしたとの回答は46.3%となった。

◆転職して良かった点・後悔している点(MA)について、良かった点としては「給与・待遇が改善された」(35.8%)が最も多く見られ、転職経験者の半数近くが後悔している点は「特にない」(46.7%)と回答した。

◆転職にあたり必要なこと(MA)は「希望条件の明確化」(36.3%)、「自分自身のキャリアの棚卸し」(33.2%)、「将来のキャリアプラン、ライフプラン」(24.1%)などで、特に「将来のキャリアプラン、ライフプラン」は転職に後悔のある者がより必要と回答していた。

 

■今回調査概要

 時期:2025年10月

 方式:民間調査会社への委託によるWEBアンケート方式

 対象:10年以内に転職経験のある40歳から59歳までの正社員

 回答:2,000人

 

 

 

「転職経験のあるミドルシニア世代の転職に関する意識調査」結果概要

1.転職を考えたきっかけについて(MA)【図1】

 「給与・待遇(評価・査定)への不満」(37.3%)、「職場での人間関係」(32.9%)、「仕事内容への不満・ミスマッチ」(27.0%)の三つが上位を占める。「給与・待遇(評価・査定)への不満」においては、40代前半が特に割合が高く(42.8%)、対して50代後半が最も低い(31.4%)。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O10-b8wU5mri

 

 

2.転職に際しての不安について(MA)【図2】

 「年齢による採用の厳しさ」(52.2%)、「給与、年収がどうなるか」(44.5%)、「新しい職場環境への適応」(33.8%)が上位3項目となっている。「年齢による採用の厳しさ」は年齢が上がるにつれて割合が高くなる傾向があり、50代後半は特に高い(60.4%)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O15-4Scdg3F7

 

 

3.転職で重視した点について(MA/上位3つまで)【図3】

 「希望の仕事内容に従事できるか」(53.5%)、「希望の年収を確保できるか」(48.2%)、「希望の勤務エリアであるか」(41.9%)、「希望の勤務時間、休日休暇であるか」(36.4%)が四大要素であり、ワークライフバランスも重要と考えられていることが分かる。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O13-jHiIocDh

 

 

4.転職活動の開始時期について【図4】

 約4分の3(76.7%)が離職前に転職活動を開始しているが、年齢が上がるにつれて開始時期は遅くなっている。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O8-PAWsJ2qi

 

 

5.転職先が決まった時期について【図5】

 離職前に転職先が決まっているのは約3割(32.6%)だが、離職後であっても3ヶ月以内が約4割(39.7%)と、転職先は早期に決定する傾向がみられる。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O2-16l9ctW3

 

 

6.転職活動で利用したサービスについて(MA)【図6】

 全体で見ると「ハローワーク」(34.0%)、「求人情報サイト」(29.2%)、「転職エージェント」(27.1%)が上位を占めている中で、50代後半はハローワークのウエイトが高いが、対して40代前半は3位となっている。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O14-334DYqUt

 

 

7.転職先の会社規模について【図7】

 転職先の会社規模については、転職前と「変わらない」との回答が最も多く(44.6%)、「大きくなった」を加えると、約4分の3(76.0%)が同規模以上の会社に転職している。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O1-2019fAv6

 

 

8.転職後の業種・職種について【図8】

 転職後の業種・職種は、転職前と「同業種の同職種」が最も多い(38.9%)が、次いで「異業種の異職種」が多く(30.5%)、とりわけ50代後半については「異業種の異職種」に就いている割合が高い(35.0%)。

 全体として見ると、「同業種の同職種」約4割に対し、「異業種の同職種」、「同業種の異職種」、「異業種の異職種」へのいわゆるキャリアチェンジ転職が6割を超えている。

 転職活動開始時期との関連を見てみると、離職前に開始した場合は「同業種の同職種」への転職が約4割(41.3%)を占める一方、離職後の場合は約3割(30.7%)に下がり、「異業種の異職種」という全く新しい仕事への転職が半数近く(42.6%)にのぼる。

 また、転職先の決定時期から見ても、離職前に転職先決定した者のうち、半数近く(45.1%)が「同業種の同職種」であるが、離職から期間が開くにつれて異業種や異職種への転職が概ね増加する傾向にある。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O6-U8676P9m

 

 

9.転職後の業種について【図9】

 転職前と同じ業種に転職することが多いが、特に「医療・福祉」(76.9%)、「情報通信業」(69.5%)、「製造業」(63.4%)、「建設業」(63.1%)でその傾向が強い。


 異業種への転職として、「運輸業・物流業」や「卸売業・小売業」等から「製造業」、「サービス業(生活系)」から「医療・福祉」などが比較的高い。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O5-3u1x1snh

 

 

10.転職後の職種について

 (1)転職前後の職種【図10-1】

 いずれの職種も転職前と同じ職種に就く傾向が強く、特に「技術職(IT系)」(85.2%)、「事務・経理・総務」(83.1%)、「専門職(士業、医療など)」(82.8%)が高い。

 対して異職種への転職では、「企画・マーケティング」、「製造・生産」などから「営業・販売」、「事務・経理・総務」へ、または「営業・販売」から「事務・経理・総務」などへの割合が高い。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O4-qnKimb7X

 

 

(2)転職後の職種と転職先決定時期【図10-2】

 職種による偏りが見られ、「技術職(IT系)」、「技術職(技術系)」、「専門職(士業、医療など)」などが早期決定している一方、「製造・生産」は離職前の割合が群を抜いて低い(19.1%)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O11-tIpt1ezG

 

 

11.転職後の年収について【図11】

 転職により年収がアップした者は、半数近く(46.3%)を占める一方、年収減少は約3割(28.4%)となっており、50代前半までは処遇改善傾向にあるが、50代後半になると年収アップは約3分の1(33.6%)にとどまる。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O3-1366Q7wI

 

 

12.転職して良かった点について(MA)【図12】

 転職して良かった点について、「給与・待遇が改善された」と最も高く(35.8%)、特に40代前半はポイントが高い(42.0%)。次いで「仕事内容に満足している、やりがいがある」(26.3%)、「ワークライフバランスの改善」(24.9%)、「人間関係が良好になった」(23.2%)が続く。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O7-Fh204FEM

 

 

13.転職して後悔した点について(MA)

 転職経験者の半数近く(46.7%)が後悔した点は「特にない」と回答しており、各年代とも同様の傾向である。

 後悔した点がある者の中では、「給与・待遇が期待以下だった」が最多(18.1%)となり、特に50代後半で割合が高かった(22.8%)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O12-9KDa0AK7

 

 

14.転職に必要だと思うことについて(MA)

 転職を経験したうえで必要だと思うことについて、「希望条件の明確化」(36.3%)、「自分自身のキャリアの棚卸し」(33.2%)などが上位項目となり、次いで「将来のキャリアプラン、ライフプラン」(24.1%)となった。

 また、転職に対しての後悔の有無別(※)に見ると、順位はどちらもほぼ同様であったが、全体的に「後悔あり」の者の回答割合がより高く、特に「将来のキャリアプラン、ライフプラン」、「情報収集力」などは差が大きくなり、転職に後悔がある者は将来について具体的に考えることや的確な情報収集について重要と感じていることが分かった。

転職前の職種別では、「技術職(IT系)」や「技術職(技術系)」で「自分自身のキャリアの棚卸し」が高く、これまでの技術が通用するか否かの見極めが特に重要視されているほか、「企画・マーケティング」など求人が少ない職種においては、キャリアチェンジを踏まえた「職業選択における柔軟性」、「キャリアコンサルタントなど専門家のアドバイス」等も必要としていることが分かった。


 ※後悔なし:「13.転職して後悔した点について」にて「特にない」を回答した者

  後悔あり:上記項目にて「特にない」以外を回答した者                           

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512120896-O9-Wl9Ej6QD

 

 

 *本文中の各グラフ上の数値は小数点以下1桁で表記しており、

  端数処理の関係上、合計が100.0%とならない場合があること。

             
編集部おすすめ