オプスミット®、小児の肺動脈性肺高血圧症に対する治療薬として承認を取得
オプスミット®、小児の肺動脈性肺高血圧症の患者さんに対する1日1回経口投与の治療選択肢を提供
本承認は、オプスミット®の有効性と一貫した安全性プロファイルを示したPAH1010試験、TOMORROW試験および国内PAH3001試験に基づく
Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・リーガー、以下「J&J」)は22日、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)のオプスミット®について、国内において、小児の肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary Arterial Hypertension: PAH)の治療薬として、小児用分散錠1.0mgおよび2.5mgの新規剤形と用法および用量(生後3カ月以上)、同10mgの用法および用量追加(50kg以上)の承認を取得しました。
国内において、PAHは指定難病1であり、4,900人以上の患者さんに影響を及ぼしています2。
今回の承認は、67896062PAH1010試験(NCT05433675、以下「PAH1010試験」)、海外TOMORROW試験(NCT02932410)と国内67896062PAH3001試験(NCT05167825、以下「PAH3001試験」)の結果に基づくものです。
オプスミット®は国内では2015年に初めて承認を取得し、成人PAH治療において最も広く使用されているERAであり、海外および日本のガイドラインにおいて第1選択薬として推奨されています。日本では小児PAH患者さんに対する治療選択肢はあるものの、未だアンメットニーズが存在しており、オプスミット®は、新たな選択肢を提供するだけでなく、これらの課題の解決にも貢献することが期待されています。
J&Jの代表取締役社長であるクリス・リーガーは、次のように述べています。「本承認により、日本における小児のPAH患者さんに対する新たな治療選択肢が可能になります。患者さんが国内でこのERAにアクセスできるようになると、オプスミット®の1日1回の経口投与と小児分散錠は、患者さんおよびそのご家族の負担軽減に役立ちます。オプスミット®の確かな実績を背景に、私たちはできるだけ早く全国の必要とする小児患者さんにこの新しい治療選択肢をお届けできることを期待しています」」
東邦大学医療センター大森病院 小児科 教授髙月晋一先生は次のように述べています。「オオプスミット®は、高い安全性と忍容性を有しており、成人PAH患者に最も処方されている治療薬です。欧州ではすでに小児PAH治療に対し承認が得られており、本邦でも生後1年未満を含む小児 PAH患者に対するオプスミット®治療への期待は大きいです。
国内において、オプスミット®は、2024年11月に小児を対象に「肺動脈性肺高血圧症」を効能・効果とした「希少疾病用医薬品」に指定され、2025年3月に小児に対する用法及び用量について「特定用途医薬品」に指定されました。
なお、オプスミット®の医療従事者への情報提供活動については、日本新薬株式会社(本社:京都市南区、代表取締役社長:中井亨)と共同で実施します。
肺動脈性肺高血圧症(PAH)について
PAH(肺動脈性肺高血圧症)はPH(肺高血圧症)の特定の形態で、肺動脈(心臓の右側から肺へ向かう血管)の壁が厚く硬くなり、血液が流れる空間が狭くなって肺内の血圧が上昇する状態を引き起こします。PAHは重篤で進行性の疾患であり、原因は多岐にわたり、患者さんの活動機能だけでなく身体的・心理的・社会的な健康にも大きな影響を与えます。現時点でPHを根治する治療法はなく、しばしば死に至る疾患です5,6,7。しかし、ここ10年間でPAHの病態生理に関する理解が大きく進み、10年前の運動耐容能の症状改善が中心だった予後から病気の進行遅延へと変わりつつあります。
PAH1010試験について(NCT05433675)
PAH1010試験は、健康な外国人被験者を対象に、空腹時におけるオプスミットⓇ分散錠(4 x 2.5mg)とオプスミットⓇ錠10mgの生物学的同等性を評価する単施設、非盲検、単回投与、無作為化、2剤クロスオーバー第I相試験です。
TOMORROW試験について(NCT02932410)
TOMORROW試験は、生後1カ月以上18歳未満の外国人小児PAH患者さんを対象に、標準治療(SoC)を対照として、オプスミット®の薬物動態(PK)、安全性および有効性を評価する多施設共同、非盲検、無作為化、単群延長第III相試験です。WHO 肺高血圧症機能分類(WHO-FC)I度からIII度に該当する治療歴のない小児PAH患者さん(2歳から17歳)148名は、オプスミットⓇ群(n=73)またはSoC群(n=75)に無作為に割り付けられました8。主要評価項目は、12週におけるオプスミットⓇとその有効代謝物であるアプロシテンタンの定常状態におけるトラフ血漿濃度でした。小児患者さんにおけるオプスミットⓇおよびアプロシテンタンの曝露は、成人患者さんで認められているプロファイルと一貫していました 9。15例(20.8%)の患者さんで、オプスミットⓇに関連する有害事象(AE)が報告されました。
PAH3001試験について(NCT05167825)
PAH3001試験は、生後3カ月以上15歳未満の日本人の小児PAH患者さんを対象に、オプスミット®の有効性、安全性およびPKを評価する多施設共同、非盲検、第III相試験です。本試験では、主要評価項目であるベースラインから投与開始24週後の肺血管抵抗係数(PVRI)の変化比を比較し、24週時におけるベースラインからの変化率の幾何平均値は59.43%で、事前に規定した閾値の≤81.6%を満たしました。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnsonは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。Johnson & Johnson Innovative Medicineは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又は Johnson & Johnson の予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、2024年12月29日に終了した会計年度のForm10-Kに基づく Johnson & Johnson の年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、や「リスク要因(Item 1A)」のセクション、または Johnson & Johnson の四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくは Johnson & Johnson 宛てにご請求ください。Janssen Research and Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
参考文献
1 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/171
2 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/5354
3 McLaughlin VV, et al. J Am Coll Cardiol. 2009; 119(16):2250-94.
4 Schermuly RT, et al. Nat Rev Cardiol 2011; 8(8):443-55.
5 Vachiéry JL and Gaine S. Eur Respir Rev 2012; 21:313-20.
6 Galiè N, et al. Eur Heart J 2016; 37:67–119.
7 Hoeper MG, Gibbs SR. Eur Respir Rev 2014; 23:450–7.
8 Berger RMF, Ivy DD, Borissoff JI, et al. Macitentan in pediatric pulmonary arterial hypertension: results from the phase 3 randomized controlled TOMORROW study. Oral Presentation presented at: 58th Annual Meeting of the AEPC; 2025; Hamburg, Germany.
9 Issac M, Dingemanse J, Sidharta PN. Pharmacokinetics of Macitentan in Patients With Pulmonary Arterial Hypertension and Comparison With Healthy Subjects. J Clin Pharmacol. 2017;57(8):997-1004.