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コンポーザーのnariとshamによる“記憶を音楽にする”をテーマにした音楽プロジェクトのMIMiNARIが、初のフルアルバム『freq.』を完成させた。固定のボーカリストを立てず、楽曲ごとにその世界観にマッチした歌い手とコラボレーションして様々な“記憶”を音楽にしてきた彼ら。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
MIMiNARIの“切なさ”を纏った音楽が届ける“周波数”
――これまでEPを4タイトル発表してきましたが、フルアルバムは今回が初になります。制作にあたりどんな作品にしたいと考えましたか?
sham 初めてのアルバムということで僕たちの名刺代わりになる、MIMiNARIが辿ってきた約3年間の道筋を網羅できる作品を目指して制作しました。MIMiNARIのアーティスト像をしっかりとお伝えできるラインナップ、そして作品としてのストーリー性にも重きを置いた曲順を意識しています。
nari 2023年にリリースした「眠れない feat. 楠木ともり」が僕たちにとっての代表曲になった頃から、アルバムのビジョンが見えてきて。これまでは単曲でのリリースが中心だったので、1曲に集中して制作をすることが多かったのですが、今回はアルバムという形態だからこそ向き合える楽曲にも取り組みました。それこそ新曲の「東京愛’s feat. 吉乃」は「られない feat. Such」、「想い槍 feat. Sanghee」は「会えない feat. 相沢」からの文脈を意識して制作して作ったものになります。
――なるほど。タイトルの『freq.(フリークエンシー)』の由来は?
sham まず僕たちのユニット名であるMIMiNARI(耳鳴り)に通じる言葉であること。そして僕たちの最大の特徴は、楽曲ごとに歌い手とサウンドメイクが変化することを踏まえて、それらの音楽が皆さんの耳に波形となって届いていくイメージを込めて、“周波数”を意味する英単語の『freq.』と名付けました。
nari “frequency”だと言葉的にも見た目的にも少し固い印象があったのですが、省略語の“freq.”であれば字面としてもポピュラーなので、このタイトルにしました。
――楽曲によって歌い手だけでなくサウンドが大きく様変わりするなかで、逆にお二人が一貫して意識している“MIMiNARIらしさ”はありますか?
nari 特別意識しているわけではないのですが、僕らの作る楽曲には“切なさ”が常にあることが、MIMiNARIらしさに繋がっていると思います。それがロックサウンドやトゲのある楽曲だったとしても、サウンドや歌詞、アレンジのどこかに“切なさ”を纏っている。そこはMIMiNARIを結成する以前からあった僕らの共通点でもあると思います。
sham 底抜けに明るい楽曲というよりも、なぜか切なさが滲み出る楽曲が出来てしまうんですよね。なんでなのかは僕らもわからないのですが(笑)。
――今回のアルバムには新曲だけでなく、これまでのアニメタイアップ曲もすべて収録されています。特にTVアニメ『ひきこまり吸血姫の悶々』のEDテーマだった「眠れない feat. 楠木ともり」は、主演の声優・楠木ともりさんが歌唱を担当した相乗効果もあって大きな話題になりました。
sham サウンドの転機になった楽曲はいくつかあるのですが、色んな方々からの反響をいただいたという意味では、やはり「眠れない」は大きかったです。MIMiNARIが大切にしてきた切なさや儚さを保ちつつ、変拍子を用いたり、浮遊感のサウンドを取り入れた、それまでの活動とは一線を画した楽曲ではあったのですが、以降の制作の指針になった感触があります。
――アニメ主題歌やタイアップ曲を作る経験についてはどのように感じていますか?
sham よく言われる「制約の中にクリエイティブが生まれる」ということを身をもって感じています。わかりやすいところで言うと、アニメの主題歌には89秒という物理的な尺の制約がありますし、映像とのマッチングや作品に寄り添いたい想いもあるなかで、どうMIMiNARIというユニットを表現していくか。
nari 楽曲制作の際は映像をイメージしてメロディや歌詞を作ることが多いのですが、アニメタイアップの場合は作品やシナリオという極上の素材があるので、僕たちの能力以外の何かをグッと引き上げていただいた感覚がいつもあるんです。その経験が結果として他の楽曲にも派生しているように思います。
――MIMiNARIはデビューから一貫して“〇〇ない”というタイトルの楽曲を発表してきて、2024年10月リリースの「クランシック feat. 北澤ゆうほ」(TVアニメ『魔王様、リトライ!R』EDテーマ)以降はその法則に捉われないタイトルになりました。それ以前と以後でどのような意識の変化がありますか?
nari “〇〇ない”シリーズの途中から、「これはしんどいことになるぞ」ということに気付いたんですよね(笑)。タイトルのネタを絞り出す大変さもあるのですが、歌詞を書く際にその曲のタイトルとは直接関係ない“〇〇ない”というフレーズを使いにくい、という制限も実はありまして。僕たちとしても“〇〇ない”をテーマにした楽曲制作が自然と身についてきたところではあったのですが、デビュー2周年を区切りとして、その縛りにこだわらない楽曲制作に切り替えました。でも、逆にめちゃくちゃ難しくなりまして(笑)。
sham そう、選択肢があり過ぎるんですよね(笑)。
nari 「クランシック」はその1年以上前に出来上がっていたのですが、楽曲タイトルを付ける時は、“〇〇ない”とは別の縛りを設ける可能性も含め一番話し合いました。“〇〇ない”というフレーズは発音を含めてすごく使いやすかったのですが、自由性が高まったことで歌詞のハマり具合を考える部分で難しくなりましたね。
sham ただ「クランシック」以降は、最初の頃と比べてより等身大の音楽表現が出来るようになってきた感覚が個人的にはあって。それこそ1st EPの『言えない EP』や2nd EP『厭わない EP』の頃はすごく気合いが入っていて、もちろんそれはそれで良かったのですが、今は背伸びせず、萎縮もせず、いい意味で肩の力の抜けた楽曲制作が出来ています。
――ということは今回のアルバムに収録の新曲も肩肘を張らず作れたわけですか?
sham そうですね。いい意味で柔軟になってきて、ジャンルを問わず色んなサウンド感の楽曲を作っています。世の中のトレンド感も恐れることなく取り入れつつ、MIMiNARI流にアップデートする技術も上がってきたように感じていて。
nari 正直、曲自体は難しいので、聴いている人からすると「伸び伸びと作っている感」は伝わっていないかもしれませんが(笑)、単純に活動していく中で僕らがスキルアップしたこともあって、以前は難しく感じていたことも自然体でやれるようになったのが大きいです。そのベースがあったうえで、色んなスパイスをまぶしていく。以前はずっと強火で火にかけていた感じだったのが、今は引き算の考え方になってきました。
これまでの活動や過去曲の文脈から生まれた新曲たち
――ここからはアルバム収録の新曲を軸にお話をお聞かせください。アルバムは代表曲の「眠れない」で始まり、2曲目はリードトラックとなる新曲「スペクトル feat. HACHI」。オリエンタルなフレーズが耳に残るポップなナンバーです。
nari オリエンタルっぽさは意識して制作しました。3曲目の「酔えない feat. Anonymouz」やこれまでの曲にもそういう要素を散りばめていたのですが、この曲ではより印象的に取り入れていて。
――そのカラフルな曲調を深みのある歌声で表現されているのが、バーチャルシンガーのHACHIさんです。
sham 「スペクトル」に関しては、「眠れない」の系譜に連なる楽曲を作る、というサブテーマもあったので、浮遊感や変拍子を取り入れた楽曲になっているのですが、そもそもMIMiNARIにおける“オリエンタル”の元を辿ると「眠れない」だったと思うんですよね。そこから「酔えない」などでブラッシュアップしていくなかでこの曲に辿り着いたので、「眠れない」の時に作り上げたボーカルの音像感にもう一度トライしたいと思い、かねてから楽曲を聴いて魅力に感じていたHACHIさんにお願いしました。楽曲を整えていく際にも、HACHIさんの吐息がふんだんに入った歌声を想定していました。
――ただ、HACHIさんがこういう曲調の楽曲を歌うのは新鮮でした。普段歌っている楽曲にはあまりないタイプだと思うので。
sham 確かにそうかもしれないですね。
nari これは全曲通して言えることですが、僕らはそのシンガーの方が普段やっているのとは違う表現が出来る楽曲をあえてオファーしているところがありまして。HACHIさんもお会いした時、「自分の楽曲にはあまりないかっこいい楽曲なので、ぜひ歌いたいと思いました」と言ってくださって。
――でも、新鮮なのに不思議と合っているのがMIMiNARIのマジックですよね。レコーディングではどんなやり取りがありましたか?
sham HACHIさんが歌詞をすごく紐解いてくださったのが印象に残っています。レコーディング前に歌詞の意味合いや伝えたいことを質問してくださったり、当日もこの楽曲の主人公の年齢感といった細かいディテールを聞いてくださって。それらを歌のニュアンスに活かしてくださったからこそ、楽曲にフィットするボーカルになったんだと思います。
nari そういう深掘りの時間があったにも関わらず、レコーディング時間はMIMiNARI史上最速で終わったんですよ。「いつもこんな感じなんですか?」と聞いたら「いつもはもっと早いです」とおっしゃっていました(笑)。
――分厚いブラスサウンドも大陸っぽさが出ていていいなと思いました。
sham 今回はホーンセクションも生で録りました。
nari 生だとこんなに変わるんだな、と思いましたね。
――そして先ほど「られない」からの流れを意識して制作したとお話ししていたのが、吉乃さんを迎えた5曲目の「東京愛’s」。
sham 1年くらい前に“デモ曲チャレンジ”という、毎週1曲、サビのパートだけをSNSにショート動画でアップする企画をやっていたのですが、それと同じように毎週と言わずとも新曲をアップしていきたいなと思って、4th EP『クランシック』の制作後に先行でショート動画を発表したのがこの楽曲だったんです。
nari そのAIのボーカルを気合いを入れて打ち込み過ぎまして(笑)。ガナリ声とかもたくさん入れてしまったので、そのハードルの高い曲を歌っていただける方として、吉乃さんがすぐ思い浮かびました。
――吉乃さんはガナリ声が印象的ですが、色んな声音で歌える七色の歌声の持ち主ですものね。
sham まさにセクションを多くすることを意識して楽曲を作り上げたので、それが結果的に吉乃さんの七色の歌声を引き立てるような形になっていれば嬉しいですね。
――アップテンポでギラギラした曲調も吉乃さんにマッチしている印象です。
nari ありがとうございます。吉乃さんとはリモートでのやり取りだったのですが、ボーカルのミックスに関してもイメージをお伝えしてくださって。右チャンネルから左チャンネルに動く感じであったり、ボリューム感を徐々に上げていくようなミックスアレンジをご提案いただきました。
――6曲目の「インスタント・ラヴ feat. natsumi」は、2ndシングル「見えない feat.natsumi」を歌っていたnatsumiさんが2度目の登板になります。
sham この楽曲の制作の起点としては“振り付けをイメージしやすい楽曲”というテーマが大枠にありました。それを元にMVを制作したり、皆さんが踊ってくれるような曲を作りたいなと。その前に制作した「クランシック」や「あこがれ feat. Myuk」はサウンドとメッセージ性が振り切っていて重ためなテーマだったこともあって、もう少しライトに聴いてもらえるような作風、僕ららしい切なさはありつつ疾走感のある曲にしたいと考えて。それでリズムから制作した結果、ラテンミュージックっぽい軽快な曲になりました。
sham 最初はもっとレゲエっぽいリズムだったのが、色々とこねていくうちにラテンっぽくなったんですよね。そこからメロディを付けていくにしたがって、natsumiさんの歌声がふと浮かんできたんです。「見えない」とは全然違う曲調なのですが、メロディライン自体は少し90sというか平成っぽさのあるところが、natsumiさんの透き通った歌声、ふわっと中和するイメージに合うだろうなと思って。
――この楽曲もブラスサウンドが印象的ですが、これも生演奏ですか?
nari はい。この頃からブラスも生にこだわるようになりまして。やっぱり印象が相当変わるんですよね。ただ生演奏だけでなく、サンプリングも貼っているところが、この曲のポイントだと思います。
sham 生音を録ったうえで、それをエディットして切り貼りしています。
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生演奏主体の楽曲に息づく2人のミュージシャンシップ
――8曲目の「想い槍 feat. Sanghee」はシンガーソングライターのSangheeさんを迎えたメロウな雰囲気のナンバー。
nari これは7曲目の「会えない」からの流れを意識していて、歌詞も「会えない」とはまた別の失恋の形を切り取っています。この曲は最初、もっと邦ロック感のあるアレンジだったんですよ。メロディはほぼ変わっていないのですが、どこかしっくりこなかったので、余白をしっかりと出して、アコギの質感を大事にしていった結果、メロディに気持ちよくハマるアレンジになって。そこにSangheeさんの独特の表現、抑揚の付け方が加わって、他にはない楽曲になりました。
sham アレンジの方向性に少し手を加えたことで大きく化けたので、今後の制作の糧になった、すごく勉強になった楽曲です。今後も「ちょっとハマらないなあ」という気持ちになったら、思い切ってアレンジを変えてみる勇気が湧きました。
――どこかソウルっぽい雰囲気がありますよね。
nari そこはSangheeさんの歌声で演出していただいた部分でもあると思います。Sangheeさんは「想い槍」からイメージを膨らませて小説も書いたらしいんですよ。本当に深くまで楽曲を聴いてくださって、ありがたかったですし、そういった想いも歌声に乗っていると思います。
――レイジーな歌声が素敵です。ちなみにお二人がお声がけするシンガーに傾向はありますか?
sham もちろん楽曲のイメージに合った方という前提はありますが、やはり切なさを帯びた楽曲が多いので、声に倍音が含まれている方、低い声で歌っても煌びやかさがある方にお願いする傾向は強いかもしれないですね。
nari とはいえ、ご一緒している方々は素晴らしいシンガーさんばかりですし、皆さんのオリジナルの楽曲を聴いて「ご一緒できたらなあ」と思いを馳せながら制作してきた結果、皆さんにご参加していただいているので、単純に言うと僕らの好みだと思います(笑)。
――そして13曲目、「Ring Line feat. nene」は、ユーザーが小説を投稿して繋がり合うプラットフォーム・monogatary.comとのコラボ企画で制作された楽曲です。
sham 元々はそのコラボのお題になるデモ楽曲として、まったく別の曲名でSNSにサビだけアップしていたんです。歌詞はその後に、受賞作品の内容に合わせて衣替えしました。なので小説と合わせて聴いていただけると、より楽しんでいただけると思います。
nari そのデモ曲のタイトルが「ランドリーロマンス」だったのですが、今回、僕らが大賞作品に選出させていただいた小説「大阪環状線福島駅」は、ランドリーとはまったく関係ない物語だったんです。“リング”がキーワードになっていたのですが、おそらくランドリーのぐるぐる回っている感じを環状線という形で表現されていて。そういう風に自分たちの作品から派生したものを受けて制作する作り方は初めてだったので面白かったですね。余談ですが、僕は福島駅の隣に住んでいたことがあるので、歌詞を相当イメージしやすかったです(笑)。
――neneさんとはどんなご縁で?
nari neneさんの楽曲は以前から聴かせていただいていまして。ソロでもバンドでも活動していますし、フィーチャリングで参加している楽曲もいくつかあるのですが、芯のあるハスキーボイスで、僕的には意志を感じる歌声の方なんです。発言や佇まいを含め詩的な表現をお持ちの方なので、それが歌声にも表れているように感じて、今回オファーさせていただきました。
――この楽曲は軽やかに跳躍するギターのフレーズも印象に残りました。MIMiNARIの楽曲はテクニカルなフレーズの入っているものが多いですよね。
nari この曲のギターはMIMiNARIの楽曲の中で一番難しいかもしれないです。もう一回弾けと言われてもしんどいですね(笑)。僕のギターもshamが弾く鍵盤もそうなのですが、楽曲制作の時はお互いに話し合いながらリアルタイムで作っているので、盛り上がっていくうちにどんどん難しくなっていくんですよ。
sham やっぱり少年時代の「楽器で目立ちたい!」という精神を失わず持っておきたいので(笑)。それにサウンド面でも驚きを与えたり予定調和を崩すことが、僕たちの活動のキーになっているので、そこはこだわってしまいますね。
nari 僕らは姿を見せずにMIMiNARIというプロジェクトをやっているので、演奏の部分で思わず我が出てしまうのかもしれないですね(笑)。
――生演奏主体の楽曲では、主にベースはわかざえもんさん、ドラムは山本晃紀さんが演奏されていて、「言えない」では柏倉隆史さんがドラムを叩いていました。ミュージシャンの選定にもやはりこだわりが?
nari もちろんこだわっています。生のベースは「スペクトル」以外、わかざえもんに弾いてもらっているので、MIMiNARIのサウンドの軸の1つと言っても過言ではないです。
sham ベースって動くと歌を食ってしまうことが多いと思うんですよ。でも、わかざえもんのベースは置き方が秀逸で、ちゃんとアンサンブルもしているので、僕らにとっては要のミュージシャンですね。
伊澤一葉、竹内アンナらとの出会いが紡ぐ新しい可能性
――新曲としてはもう1曲、アルバムの通常盤のみに収録される「水槽の中の脳 feat. 竹内アンナ」があります。
nari 実はこの曲、昔からデモ曲としてあったもので、結成して2~3曲目くらいに作った曲なんです。スタッフさんからの評価もいただいていたので、今回リアレンジして収録しました。昔の楽曲に今のMIMiNARIとして手を加えたらどうなるのか、というのを楽しんだ楽曲ですね。
sham 実はアルバム全体の制作スケジュールが結構押していたので、当時のアレンジのまま発表することも考えていたんです。でも、せっかくなら手を加えようということになり、最初は1~2箇所を変えるつもりだったのですが、そうしたら全部変えたい気分になってしまって(笑)。なので元のデモから大幅にブラッシュアップしました。
nari 着せ替えしようと思ったらいつの間にか裸になってた感じでしたね。「あれ?履いてない?」っていう(笑)。なおかつ竹内さん本人がアコギも弾いてくださることになったので、それは気を抜くわけにはいかないということで、他の部分のアレンジも手を入れていきました。
sham アコギは元のデモにも入っていたのですが、それは普通にストロークする感じだったんです。竹内さんは指弾きも得意な方なので、その部分も活かせるようにアレンジを考えていきました。結果、すごく難しいフレーズになってしまって申し訳なかったのですが(苦笑)。
――竹内さんとの作業はいかがでしたか?
nari HACHIさんの話とも被るのですが、「こういうかっこいい楽曲を自分ではやったことがないので嬉しいです」と言ってくださったので、いやいや!と思いました(笑)。まず歌を録ったのですが、ちょっと後ろにリズムを取るような、ブラックミュージックみのある歌い方でがすごくかっこよくて。アコギも繊細に弾いてくださって、質感も大事にしながら楽曲に入れ込んでいただきました。
sham アメリカ生まれらしいグルーヴをお持ちというのが印象的で。そもそもこの楽曲は跳ねたグルーヴが難しいと思うので、そういうリズム感が得意な方とご一緒したいと思い、竹内さんにオファーさせていただいた流れもあったので、文句なしにばっちりハマって、本当にありがたかったです。
――そして通常盤には、TVアニメ『彼女、お借りします』第2期EDテーマの「言えない」を北澤ゆうほさんが歌うアコースティックバージョンも収録されます。オリジナル版はasmiさんが歌っていたわけですが、今回、北澤さんに歌ってもらったのは?
nari これはただの僕らのわがままですね(笑)。『彼女、お借りします』のアニメ第1期のOPテーマ「センチメートル」を歌っていたのがthe peggiesの北澤さんだったので、第2期EDテーマを担当した僕らがコラボレーションしたらすごくいいなと思ってお声がけしたところ、快くお引き受けしてくださいました。
sham やはり「言えない」で僕たちを知ってくださった方も多いと思うので、作品のファンの皆さんにとっても特別感のあるものをお届けしたい想いもありました。
――ピアノとギターはお二人が演奏されているのですか?
sham はい。カホンはいつもドラムを叩いてもらっている山本晃紀さんにお願いしました。実はこの曲の歌は「クランシック」と同じ日に録っていただいたんですよ。なのでかなり温めていた音源なのですが、北澤さんらしさもありつつ、アコースティックのオーガニックなサウンドに合わせて、等身大な歌い方をしてくださって。それが「クランシック」とは対照的で印象深かったです。
nari 僕の中でasmiさんは感情を置いていくような歌、北澤さんはよりストレートに感情をぶつけるような歌い方という印象があって。その等身大な歌がサウンドともマッチして、総じて最高なコラボレーションになったと思います。この並びに反応してくれているファンの方もSNSで見かけたので嬉しいです。
――一方の初回生産限定盤にはスタジオライブ映像が収録。伊澤一葉さんのアレンジ・演奏による特別なピアノバージョンで、asmiさんが「言えない」を、楠木ともりさんが「眠れない」を歌っています。
nari 僕たちが演奏する案や、わかざえもんや山本さんを含めたバンド体制でやる案もあったのですが、自分たちが観たいものを考えた時に、僕らのルーツであり憧れのミュージシャンのひとりである伊澤さんとボーカリストのお二人のコラボが見たいという想いから実現しました。
sham 実はほぼ一発録りに近い環境だったので、演者さんもスタッフさんも含め、現場はいい意味で緊張感がありました。伊澤さんのピアノとボーカリストのお二人の息の合った瞬間、オーディエンスとして見とれてしまった瞬間がいくつもあって。映像にもそういった緊張感や、原曲とは違った表情や歌声を見せてくれるお二人のボーカル、そして伊澤さんのリアレンジといった贅沢なライブ感が余すことなく収録されているので、ぜひ観ていただきたいです。
――最後に、改めてアルバムが完成した今の手応え、その中での新たな気付きや次に繋がる発見があれば聞いてみたいです。
nari 間違いなく名刺代わりになる1枚が出来たと思います。通常盤は20曲収録、初回生産限定盤には映像作品も収録されているので、自信をもってお届けできますし、いざ完成して1曲目から流れで聴いてみると、その当時は感じていなかったメンタルの動きや試行錯誤の足跡が自分でも感じ取ることができて。その先をイメージした時に、今までとは違う土地に少し手を伸ばしたい感覚にもなれたので、今後はいい意味でより自由度を持って、もっと幅を広げていけたらと思います。
sham 僕も同じくですね。次に繋がる種の部分で言うと、さっきお話ししたように「東京愛’s」のショート動画は色んな反応をいただいたんです。なのでそういった横の繋がりと言いますか、今後は女性ボーカリストに限らず、男性ボーカリストの方やイラストレーターの方、動画師さん、プロアマを問わず色んなクリエイターの方々とSNS上での交流を増やしていければと思っています。
――おお、男性ボーカリストをフィーチャーする可能性もお二人の中にあるんですね。
sham あります。
nari 実はこれまにでも何度か考えたことがあって、今はタイミング待ちなところがあるので(笑)、期待していただければと思います。
●リリース情報MIMiNARI 1st Full Album
『freq.』
3月26日発売
【初回生産限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:VVCL-2668~9
価格:¥5,500+税
【初回仕様限定盤(通常盤、CD】
品番:VVCL-2670
価格:¥4,000+税
※初回仕様:freq.オリジナルしおり封入
※初回仕様がなくなり次第、通常盤(freq.オリジナルしおり無し)に切り替わります。
<CD>(★:新曲)
1. 眠れない feat. 楠木ともり
2. スペクトル feat. HACHI ★
3. 酔えない feat. Anonymouz
4. られない feat. Such
5. 東京愛’s feat. 吉乃 ★
6. インスタント・ラヴ feat. natsumi ★
7. 会えない feat. 相沢
8. 想い槍 feat. Sanghee ★
9. とけない feat. EMA
10. 言えない feat. asmi
11. 消えない feat. 春茶
12. きゃない feat. 麻婆豆腐
13. Ring Line feat. nene ★
14. クランシック feat. 北澤ゆうほ
15. 厭わない feat. 富田美憂, 市ノ瀬加那
16. 醒めない feat. WaMi
17. しくない feat. 水槽
18. 戻らない feat. 八木海莉
19. 言えない -Acoustic ver.- feat. 北澤ゆうほ ※Bonus Track:通常盤のみ収録
20. 水槽の中の脳 feat. 竹内アンナ ★ ※Bonus Track:通常盤のみ収録
<Blu-ray>
1.言えない -Acoustic ver.- feat. asmi STUDIO LIVE
2.眠れない -Acoustic ver.- feat. 楠木ともり STUDIO LIVE
3.言えない -Acoustic ver.- feat. asmi STUDIO LIVE Behind The Scenes
4.眠れない -Acoustic ver.- feat. 楠木ともり STUDIO LIVE Behind The Scenes
関連リンク
MIMiNARI オフィシャルサイト
https://www.miminari-official.com/
MIMiNARI X
https://twitter.com/MIMiNARI_staff
MIMiNARI Instagram
https://www.instagram.com/miminari_official/
MIMiNARI 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCh6msqU_94_LfnNNJN7brrw