「これからも、私たちの歌を聴けー!!」シェリル&ランカが1万...の画像はこちら >>

【その他の画像・動画等を元記事で観る】

『マクロスF』単独公演としては4年ぶりとなる大型ライブ“SANKYO presents マクロスF ギャラクシーライブ☆ファイナル 2025”が2025年7月26日、27日の2日間にわたって神奈川・Kアリーナ横浜にて開催された。両日ともに「マクロス」シリーズ史上最大規模となる1万9000人の観客を集めた公演で、ステージに立つのはもちろん“銀河の妖精” シェリル・ノーム starring May’n、そして“超時空シンデレラ” ランカ・リー=中島愛の2人。

ここでは、驚愕のスペシャルゲストも駆けつけたDAY2の模様をレポートする。

TEXT BY 仲上佳克

(レポートの最後にはDAY1、DAY2両日のセットリストも掲載します!)

アルトの愛機・YF-29 デュランダルが飛翔し、最高の一夜が幕を開ける

May’n、そして中島愛という最強歌姫2人が揃い踏みする『マクロスF』単独ライブは2021年の“マクロスF ギャラクシーライブ 2021[リベンジ] ~まだまだふたりはこれから!私たちの歌を聴け!!~”以来、実に4年ぶり。4年前の公演は一度開催延期になった関係でライブタイトルに[リベンジ]の4文字が追加されたが、コロナ禍のさなかにあった当時は観客による公演中の発声が制限されており、それが解禁されてからの開催となる今回は真の意味での[リベンジ]を果たすライブといえる。しかも今回は、“ファイナル”という気になる文言もタイトルに含まれていて……。はたしてこの“ファイナル”が何を意味するのか? Kアリーナ横浜に集結した大勢のファンが固唾を飲んで見守るなか、ライブは静かに幕を開ける。

「マクロス」シリーズのライブといえば作品の世界観を色濃く反映していることに定評があるが、今回のライブでは物語の時間軸を2021年公開の『劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』に合わせているのだろうか。シェリルが歌で命を燃やして長い眠りにつき、主人公・早乙女アルトも宇宙生命体バジュラとの激しい戦闘の末に姿を消した世界。静けさの中にそっと響き渡る水の音と共に、眠っているはずのシェリルの歌声がどこからか聴こえてくる。楽曲は「サクリファイス」だ。

歌声の主を観客が探すと、なんとアリーナ上方の上手側にあるバルコニーで歌うMay’nがそこにいた。その歌声に導かれるように中島が現れ、劇場短編に登場したプロトカルチャーの遺跡の映像を背景に「時の迷宮」を歌い始める。2人の美しい歌声を堪能できる感動的なオープニングとなったが、シェリルが眠ったままではこのライブは始まらない。すると、シェリルの復活を願う人々の想いが届いたのか、ステージ上で巨大なオブジェのように風化した姿で置かれていたアルトの愛機・YF-29 デュランダルが突如として光り輝きながら浮かび上がり、轟音と共にステージの上空へと飛んでいく。

そのサプライズ演出に客席からは驚きの声が沸き起こり、息つく暇もなく爆音が鳴ると、完全復活したシェリルとランカがステージ中央に並び立つ! 歌う曲は「トライアングラー(fight on stage)」で、つまりこれは時の迷宮による何らかの力で時間が巻き戻されたということなのだろうか? いや、そんな考察をするのも野暮というものだろう。『マクロスF』TVシリーズの放送開始から数えると17年という長い時を経た今でも、2人がシェリルとランカとしてステージに立ってくれている奇跡に心から感謝しつつ、これから始まる最高の一夜に胸を躍らせずにはいられなかった。

2人での歌唱後、ソロでの前半ステージを務めたのはシェリルだった。トップを飾る「Welcome To My Fanclub’s Night!」から「What ‘bout my star?」、TVシリーズ後期エンディングテーマの「ノーザンクロス」と、圧倒的な歌唱力とパフォーマンスでその場を支配していくさまは、まさにシェリルそのもの。「Kアリーナ、私の歌を聴け!」と、おなじみのセリフで始まる「射手座☆午後九時Don’t be late」では、4年前のライブでは聴けなかった観客からの「持ってけ!」「飛んでけ!」の声も真っ直ぐに飛んできて、それをMay’nは満足そうに両手を広げて全身で浴びていた。

まだライブ序盤とは思えないほど最高潮に盛り上がったシェリルのターンが終わると、ランカはなんとアリーナの客席下手側から「アイモ~鳥のひと」で登場。アカペラから始まり、ゆっくりと歩きながら歌うその様子は慈愛の心に満ちあふれているようで、あれだけ熱狂していた空間を一気に癒しの空気へと変えていった。このランカパートは「ねこ日記」「アナタノオト」と癒しの楽曲が続き、先述したようにTVシリーズから時間が経っていてもランカの初々しさや瑞々しさをまったく失わない中島の表現力には驚かされるばかりだ。そして、ランカもシェリルに負けじと「みんな、抱きしめて! 銀河の果てまで!」の決めゼリフと共に代表曲「星間飛行」を繰り出す。「キラッ☆」で一緒に盛り上がった後は、ランカがシェリルの楽曲をカバーした「What ‘bout my star?@Formo」を披露。曲の後半からいわゆる“ご本人登場”のようなスタイルでMay’nが合流して一緒に歌い、再び2人がステージに揃う形となった。

この時点で開演から1時間近くが経過していたが、ようやく一息ついてMCの時間に。

「こうやって時が経っても単独公演ができることを本当に幸せに思っています」(May’n)、「私たちも時を経て、みんなもそれぞれの歩みがあって、今この奇跡がみんなのおかげで生まれました」(中島)とこの日のライブを開催できたことに感謝を述べつつ、話題はライブ当日がアルトの誕生日(2042年7月27日生まれ)という件へ。ここ1年で、シェリルの誕生日である11月23日に「超時空ファンクラブ マクロス魂」のファンクラブイベントが開催されたり、ランカの誕生日である4月29日には「マクロスF オールタイムベストアルバム『娘々グレイテスト☆ヒッツ!』」の発売日&リリースイベントを迎えたりと、キャラクターの誕生日をファンと共に過ごせていることを喜びながら、会場の全員で「ハッピーバースデー、アルト(く~ん)!」と、アルトへのお祝いのメッセージを送った(「く~ん」の部分はアルトを“君”付けで呼ぶランカ役の中島と、観客が担当)。

ここからは、「娘々グレイテスト☆ヒッツ!」限定盤特典のCDに収録された、シェリルとランカがお互いの楽曲を歌い合うカバーソング企画「デカルチャー歌合戦」を生で披露するという特別なコーナーがスタート。ステージ上のモニターに映し出される映像もカラオケ風に歌詞のテロップが出るという凝った演出が見られた。「pink monsoon」をランカが背伸びしながら歌っているように見えるのも微笑ましいし、「CMソングメドレー」ではランカのCMソングメドレーを色気を纏いかっこよく歌うシェリルも面白い。「ニンジーン Loves you yeah!」で「シェリル!」とコールが入るのも、なかなかレアな光景だった。最後は「ギラギラサマー(^ω^)ノ」で会場全体がノリノリになって、上体を大きく後ろに反らす独特の敬礼ポーズで締めくくった。

次ページ:この“ファイナル”とは、来たるべき未来へのプロローグなのかもしれない

この“ファイナル”とは、来たるべき未来へのプロローグなのかもしれない

「デカルチャー歌合戦メドレー」を終えた2人がいったんステージから下がると、地球付近を飛行するアルトの可変戦闘機 YF-29が“S.M.S地球極東アジア方面ヨコハマ・ベース”と交信する模様が超大型のモニターに映し出される。指示に従い、ヨコハマ・ベース・Kアリーナ横浜エリアNo.9滑走路への着陸を目指すアルト。大気圏突入時や着陸時にはステージ上のYF-29の降下と共に轟音と振動が座席に響き渡り、まるで4DXの映画かアトラクションを見ているような感覚をもたらした。

そして、YF-29が着陸シークエンスに入るところで映像は幕となり、『劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~』のエンディングテーマ「そうだよ。」のイントロが流れ出す。ここからいよいよライブもラストスパート。シェリルの「永遠」「ユニバーサル・バニー」、ランカの「虹いろ・クマクマ」とそれぞれの楽曲を交互に歌い、「オベリスク」の前奏ではなんとMay’nが全力疾走でステージへと駆け込んできて、そのままアリーナの客席をぐるっと走り回ったかと思えば、すぐにステージに戻ってきて歌に入る。

これは『イツワリノウタヒメ』の作中でシェリルが「オベリスク」のイントロと共に駆け出したシーンの再現だが、あれだけ走り回ったのに息一つ切らさずに歌い切ってしまうMay’nの体力が何よりも驚異的だった。

続くランカの「放課後オーバーフロウ」では『劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ~』の戦闘シーンの映像が流され、曲の終わりに後ろを振り返りアルトたちの戦況を見つめる中島の姿も印象的。ここまで2人のソロ曲を中心に披露されてきたライブだが、続く「サヨナラノツバサ ~the end of triangle」で2人のデュエットを聴くと、やはりこの2人の掛け合いには2人にしか出せない魅力があるのだと実感させられる。このまま幸せな音楽空間に浸っていたいが、ライブには必ず終わりが来るもの。本編ラストはシェリル、ランカの2人が歌う超人気曲であり、TVシリーズ後期オープニングテーマでもあった「ライオン」により、最高のテンションを迎えたところでフィナーレを迎えた。

会場中から「シェリル!」「ランカ!」と交互に繰り返し呼びかけるアンコールを受けて、暗闇の中から白い光に包まれリフターでステージに上がってきたのはバンドメンバー……ではなく、1台のグランドピアノとその前に座る女性だった。その顔ははっきりとは映し出されていなかったが、ファンはすぐに気づいて大歓声を上げる。そう、『マクロスF』の音楽の生みの親であり、May’nと中島の2人にとっては育ての親ともいうべき、菅野よう子がシークレットゲストとしてこのライブに参戦したのだ。初期の『マクロスF』のライブでは2人と共に音楽を作り上げていた菅野だが、こうして2人とステージと共演するのは2010年開催の“マクロスF 超時空スーパーライブ ~Merry Christmas without You~”以来、なんと15年ぶり! 菅野のピアノ伴奏で「ダイアモンド クレバス」を歌うMay’nは涙ぐみながら感極まった表情を浮かべていたし、NHK「うたコン」での菅野との共演も記憶に新しい中島は水を得た魚のように生き生きと「Songbird」を歌う。さらに、「Songbird」のアウトロからはそのまま「愛・おぼえていますか」のメロディーが始まり、中島とMay’nの2人が“I love you, so”と美しい歌声を響かせていた。

2曲を歌い終えたところで、アリーナ中から響き渡る盛大な拍手に応える3人。「今日の私たちはどうでしたか?」と感想を求められた菅野は「いい歌でした」と一言。

短い言葉だったが、それが2人にとっては何よりの賛辞だったに違いない。MCも最高潮に盛り上がったところで、再びバンドメンバーとストリングス隊がステージに帰ってくる。感動の2日間を締めくくるのは「娘々サービスメドレー」で、菅野もショルダーキーボードで演奏に参加しライブのエンディングを笑顔で盛り上げた。

すべての楽曲が終わり、一緒にライブを盛り上げたメンバーとゲストを見送り、ステージに2人だけとなったところでMay’nが思いの丈を語り出す。

「『マクロスF』に出会えたのは2008年、準備のことも思うと2007年です。私はその2年前の2005年、15歳でデビューをしました。3歳からコンテストに出たりして、歌を歌っていました。とにかく歌うことが大好きで、毎日歌をうたえる歌手という職業になりたいなと思って、9歳で歌手になることを決め、15歳でデビューすることができました。一番の趣味だった歌うこと、それが15歳のときに職業になりました。そのときに強く誓った言葉が“生きるために歌わない”ということです。生きるために歌わなきゃいけない人生が来たら、私はそのとき、歌うことを辞めようと思って、デビューを決めました。そして、おばあちゃんになっても、死ぬまでステージで歌い続けるぞ。

そう思って、私の歌の人生が始まりました。

そこからシェリル・ノームに出会って、新しい、確固たる言葉をシェリルは教えてくれました。“歌で生きる”ということです。私はこれからも、どんなことがあっても、歌のために生きていきたいなと思っています。シェリルの歌を歌うときに、ステージで歌を歌わせてもらっているときに、最高の声援を、最高の景色を皆さんが見せてくれるたびに、“ああ、ここで死んでもいいな”と思えるくらいの気持ちでいつも歌を歌っています。だけど、同時に“こんなに最高の景色が見られるなんて、だからこそ死ねないな”とも思います。ステージに立つたびに、死ねない理由もどんどん増えていきます。私はこれからも、自分の音楽人生をかけて、シェリル・ノームを、シェリルの歌を生かしながら、生きていくことを誓います。今日はありがとうございました!」

その言葉を受けて、中島の目には光るものが……。「この気持ちを話すMCの部分は事前に話し合ったりして内容を決めているわけじゃなくて、お互いにこの場に立ってみて思ったことを話しています。なので、私も泣かないようにしようと思っていたけど、May’nちゃんの言葉を聞いて自然と涙が出ました。May’nちゃんの言葉を受けて、話してみたいと思います――。

私はMay’nちゃんと歌声も性格もきっと真逆だと思うし、それがとてもいいと思ってもらえて、引き寄せられて今ここにいると思っています。私は子供の頃から自分のためだけに歌ってきました。自分を癒すため、自分を励ますために、歌ってきました。何かを否定したいとか、逆のことを言いたいとか、そういう気持ちはまったくなくて、本当に自然と、ただ私は生きるために歌っていたんだと思います。

この世界に入ったときも、自分のために歌ってきた歌をもっと磨きたいという思いで、13歳のときにこの世界に飛び込みました。初めに入った事務所の方に、君は絶対にグループには入れない、あなたは絶対ソロ、ということを、何も言っていないのに断言されまして(笑)、そうなんだ、わかる気がする、と思いながら、いつかデビューできるのかな? でも、職業にしたいというよりも歌を続けていける人生だったらいいなという気持ちで、ずっと歌ったり、演技のレッスンを受けて、みんなと励まし合ったりしてきました。そんななか『マクロスF』に18歳のときに出会って、私はMay’nちゃんという1人のソロアーティスト、すごく特別な存在に出会うことになります。そこで初めて、歌は1人で歌ってもいいんだけど、誰かと一緒に歌えたらもっと楽しい、ということを知りました。『マクロスF』に出会ったことも私の大きな人生の分岐点だったと思うけど、何よりも一番の宝物、私にとってのギフトはMay’nちゃんに会えたことだと思います。いつも自分は1人だなと思っていた私を、1人じゃないって思わせてくれる『マクロスF』のみんなと、そしてMay’nちゃん。そして『マクロスF』、「マクロス」シリーズを愛し続けている皆さん! そのおかげで私は今日ここにいます。本当に、本当にありがとうございました!」

涙、涙のフィナーレとなったが、最後は笑顔で未来を目指す。

「ちょっと長くなってしまいましたが、今回はあくまで“ギャラクシーライブ”のファイナルということで、私たちは(『マクロスF』の設定年代である)2059年を目指して歌うって、最初にMay’nちゃんが言い出しました(笑)」(中島)

「でも本当に、ファイナルという気持ちでいつも私たちは歌っているので、そういった意味では悔いがなく今日を終えることができているのですが、でも、2059年まで私たちは共に歌うことを決めております。愛ちゃん、これからもよろしく!!」(May’n)

そしてガッチリと固い握手と抱擁を交わした2人は、声を合わせて「これからも、私たちの歌を聴けー!!」と、熱いメッセージを残してステージを去っていった。

2059年と聞くと、気の遠くなるような未来に感じるかもしれない。だが、その時は確実にやってくる。そして、その日もきっと2人は全力で歌を歌っている。この日の“ファイナル”は、来たるべきその日へのプロローグでもあるのだろう。

SANKYO presents マクロスF ギャラクシーライブ☆ファイナル 2025
2025年7月26日(土)、27(日) Kアリーナ横浜
<セットリスト>

DAY1:7月26日(土)
M01. サクリファイス
M02. 時の迷宮
M03. トライアングラー(fight on stage)
M04. Welcome To My Fanclub’s Night!
M05. What ‘bout my star?
M06. インフィニティ
M07. 射手座☆午後九時Don’t be late
M08. アイモ~鳥のひと
M09. 私の彼はパイロット
M10. アナタノオト
M11. 星間飛行
M12. What ‘bout my star?@Formo
M13. デカルチャー歌合戦メドレー
M14. 蒼のエーテル
M15. 妖精
M16. ユニバーサル・バニー
M17. 虹いろ・クマクマ
M18. オベリスク
M19. 放課後オーバーフロウ
M20. サヨナラノツバサ ~the end of triangle
M21. ライオン
<アンコール>
M22. ダイアモンド クレバス
M23. ホシキラ
M24. dシュディスタb
M25. Get it on ~光速クライmax

DAY2:7月27日(日)
M01. サクリファイス
M02. 時の迷宮
M03. トライアングラー(fight on stage)
M04. Welcome To My Fanclub’s Night!
M05. What ‘bout my star?
M06. ノーザンクロス
M07. 射手座☆午後九時Don’t be late
M08. アイモ~鳥のひと
M09. ねこ日記
M10. アナタノオト
M11. 星間飛行
M12. What ‘bout my star?@Formo
M13. デカルチャー歌合戦メドレー
M14. そうだよ。
M15. 永遠
M16. ユニバーサル・バニー
M17. 虹いろ・クマクマ
M18. オベリスク
M19. 放課後オーバーフロウ
M20. サヨナラノツバサ ~the end of triangle
M21. ライオン
<アンコール>
M22. ダイアモンド クレバス(Piano ver.) with 菅野よう子
M23. Songbird(Piano ver.) with 菅野よう子
M24. 娘々サービスメドレー with 菅野よう子

2日間のセットリストを網羅した公式プレイリストが公開中!
DAY1:7月26日(土)https://jvcmusic.lnk.to/macrossF_galaxylivefinal_day1
DAY2:7月27日(日)https://jvcmusic.lnk.to/macrossF_galaxylivefinal_day2

関連リンク

「マクロス」シリーズ 公式サイト
https://macross.jp/

「マクロス」シリーズ公式X
https://twitter.com/macrossD

「マクロス」シリーズ 公式YouTubeチャンネル マクロスch
https://www.youtube.com/channel/UCKeM8HXpwR0qc0RtH0GKyMg

編集部おすすめ