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8月31日、さいたまスーパーアリーナにて「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!”」(以下、アニサマ)のDAY3が開催。毎年夏恒例の世界最大級のアニソンフェスの3日目には、アニソン・声優アーティストシーンを引っ張り続けるトップランナーやレジェンドアーティストが次々登場!長年愛され続ける楽曲から最新ナンバーまで、世代をまたいだ名曲の数々が次々に披露され、超満員のSSAを埋め尽くしたアニソンファンの心を滾らせていった。
TEXT BY 須永兼次
節目のアニサマのトップを、衝撃的なスペシャルコラボが飾る!
DAY3も本編を前に、“REALITY × アニサマ ~スターVシンガーオーディション~”選出の2人がオープニングアクトを担当。まず1人目・音ノ癒いろははミドルバラード「Eternal Resonance」を披露。ややハスキーめな声質を生かして優しく歌い始めると、サビではそこに明るさを加えて希望の光が差し込むようなイメージを与え、歌唱前の「みんなの未来を明るく照らしたい」といった言葉どおりの想いを乗せてじっくり聴かせてくれた。それに続くのは、昨年に続いて出演の水瀬なな。観客との「ただいま!」「おかえり!」のコールアンドレスポンスを経て、オリジナル曲「ナナイロミライ」を歌唱する。大観衆を前に、みずみずしく伸びのある歌声を響かせる堂々たるパフォーマンスを展開。大サビではコールが巻き起こるほど観客をしっかり乗せ、魅力あふれるボーカルワークでDAY3へのわくわくを十二分に高めてみせた。
そして出演アーティスト紹介を絡めたオープニング映像を経て、いきなり過去最大級のサプライズが超満員のSSAを大熱狂させる。水樹奈々「Pray」のイントロが流れ始めると、明転したステージにはその水樹奈々に加え、なんとLiSAが並び立っているではないか!まさに「アニサマでしか見られない」であろう、奇跡のスペシャルコラボだ。2人とも冒頭から大きな声を上げ喜びを表す大観衆に向けて力強く伸びやかな歌声を響かせていき、間奏では微笑みとともにその声を受け止めていく。そして今度は“攻守交代”して、LiSAの「Rising Hope」もともに歌唱。さらに鋭く攻撃性を持たせた2人の歌声は、このキラーチューンに乗って大観衆の心へ次々と突き刺さる。大サビ以降では向き合って歌声をぶつけ合うと、最後は客席に向かって拳を突き出し曲を締めくくってみせた2人。
2人がステージを終えてもなおざわめきが残るなか、その熱を「Paradise Lost -at next nest-」で見事に受け止め引き継いでみせたのが茅原実里。「アニサマ3日目、いくよー!」のシャウトとともに一気に客席を染め上げれば、Dメロでは炎も上がるなか高らかに伸びやかにロングトーンを響かせるなど、歌声と演出の両面を通じてさらにアツさをもたらしていく。落ちサビではオレンジの海から大合唱を引き出し、歌いきって気持ちよさそうな表情をみせると、そのまま「TERMINATED」へ。ステージ上を歩きながらの歌唱で、観客とさらに距離を詰めてパワフルな歌声を浴びせるなど、引き続きタフなステージを展開してオーディエンスの心をさらにぐっと掴んでみせた。
歌唱後にはこの2曲がともに長年愛されている曲であることに言及すると、「次は未来のアニソン!」との言葉に続けて、2026年放送のTVアニメ『魔法少女育成計画 restart』OPテーマとなる「No tears here」を全世界初披露!疾走感を強く持ったロックナンバーを、そこにマッチするシャープさも伴いながら、会場中に力いっぱいパワフルな歌声を発して響かせていく。終盤にはセンターステージで歌いながら、ぐるりと360度を向いて、会場中のアニソンファンに向けて力強く“未来”を提示してもみせたのだった。
それに続いたのは、客席通路奥のトロッコに乗って「STRIKE WITCHES ~わたしにできること~」の歌い出しとともに登場した石田燿子。爽やかな楽曲にみずみずしい歌声を乗せて響かせながら観客たちと笑顔を交わせば、1コーラス歌唱後にそのまま「STRIKE WITCHES 2 ~笑顔の魔法~」を続けてさらなる歓喜を呼び起こしていく。引き続き、青のペンライトの輝きが形作る青空の中を力強くも爽やかに歌声を響かせながらメインステージに到着すると、今度は9年前に出演した際にも歌った自身のデビュー曲「乙女のポリシー」を新しいアレンジで披露。ポップでどこかキュンと来るアンセムのひとつを引き続きみずみずしい歌声で彩りつつ、クラップなども呼び起こしながら歌唱し、そのまま「COLORFUL BOX」へ。
そして「WILL」のイントロとともにセンターステージに登場し、大歓声を浴びて出番を始めたのが米倉千尋。力強くて希望をもたらす歌声が、会場に集ったアニソンファンの心を捉え揺さぶる。続く「フェアリーテイル~約束の日~」では歌声に力強さをプラスしていき、手を振るなど観客とのコミュニケーションも取って歌唱しながらメインステージへ向かって、さらに「約束の場所へ」を歌唱。この曲ではダンサーを従え、OP映像も背負ったアニメ『カレイドスター』にもピッタリな形で披露。明るく華やかに、前向きなメッセージを届けていった。
そんな彼女が続いて歌い始めたのは、現在放送中のアニメ『9-nine- Ruler’s Crown』のED主題歌「Pale Blaze」。ベテランシンガーでありながら前へと進み続ける姿勢を、このロッキンなナンバーを通じて示す。楽曲の疾走感を生かして力強く歌い始めれば、サビではサウンド合わせて歌声には晴れやかさも付加。最後のロングトーンも伸びやかに聴かせると、第1回目のアニサマで最初に歌ったデビュー曲「嵐の中で輝いて」へ。赤と青の2色に客席が染まり歓喜を表すなか、ここでもエネルギッシュなボーカルワークでその光の源を魅了。
そんななか場内には『君が望む永遠』の涼宮遙の“おまじない”が流れると、彼女を演じる栗林みな実が登場。同作アニメ版のEDテーマ「星空のワルツ」を歌い始めていく。ブルーのペンライトとスクリーンの映像とが作り出す壮大な“真夏の星座”に包まれながら、微笑みもたたえて美しくもイノセントさを伴った歌声でじっくり聴き入らせてみせた。そしてMCで、ソロとしてのもう1曲を「翼はPleasure Line」だと明かす栗林。DAY1に“In memory of”という形で映像出演を果たした黒崎真音と、2011年のアニサマやツーマンのアンコールでともに歌ったことなどを選曲理由にあげて歌い出すと、疾走感強いサウンドに良好にマッチする、持ち前の涼やかさに加え天へと突き抜けていくような鋭さを併せ持ったボーカルを披露。活動を重ねるなかで増した歌声の力強さも相まって、名曲に“今”ならではの輝きを与えていった。
……と、歌唱後にも栗林はステージに残り、そこに「Get along」のイントロが流れるとステージ上には石田と米倉が再登場し、さらに2階ステージには奥井雅美の姿が!2005年のアニサマ初回に出演した4人が、往年の名曲を彩っていく。どのシンガーも力強く確かなボーカルの力を発揮し、ときにステージ上で視線も交わしながら歌唱。ソロパートでは各々の個性も色濃く放ちながら、確実に観客の熱を高めていった。
歩んできた道や積み重ねてきたものが、ステージにもたらす歓喜と感動
そんな魅力あふれるステージからバトンを受けたのが、蒼井翔太。ブルーの海を前に、まずはハードでダークなロックチューン「BAD END」を披露する。サビなどのハイトーン部分では歌声を透き通らせつつ、確かな力強さと伸びやかさを持ち合わせた歌声を通じて、アニソンファンのハートを熱くし魅了してみせた。
歌唱後にはこの日の衣装が10年前・初アニサマでのものをセルフオマージュしたものだと明かし、改めてアニサマへの感謝を言葉にすると、ハイトーンな歌声を甘く響かせ心を掴んでから幕を開ける「イノセント」へ。楽曲がロッキンな雰囲気へと展開すると、ステージ上を移動しながら、客席の隅々にまで視線を配ったり手を振ったりしながらのステージを展開。さらに会場モニター用のカメラを独占してのアピールまで繰り出して、歌に加えて魅せ方に至るまで気を配ったステージでSSAを多面的に魅了していけば、「Eclipse」ではのっけから荒々しさ全開の歌声を轟かせ大観衆の心へと牙を剥く。サビの冒頭などでも効果的に歌声をザラつかせて、またここまで2曲とは違ったアプローチで豊かな表現力を発揮すると、2-Aメロでは歌詞に合わせてカメラにキスして、場内は大熱狂!最後は長く伸ばしたハイトーンボイスを響かせ、観客を魅了しきって出番を終えた。
続くfhánaは「星屑のインターリュード」とともに登場。たまらないあどけなさを伴ったtowana(Vo.)のハイトーンなボーカルが、大観衆を一気に魅了していく。そして、4年ぶりのアニサマとなった彼らは、続いてその間にリリースされた「天使たちの歌」を披露。towanaは微笑みとともに歌声に優しさも込めつつ、途中スカートの裾をつまんだりと魅せ方にもキュートさをちりばめながら、ポップかつ晴れやかに歌い・演奏していった。
MCでは佐藤純一(Key.&Cho.)が、20周年に加えSSAが来年改修予定であることも踏まえて今年のアニサマが“様々な節目”であろうことに言及し、「今日は歴史の集大成」とメッセージをおくる。そして後半は、「『小林さんちのメイドラゴン』主題歌アニサマスペシャル」と題したメドレーへ。REAL AKIBA BOYZも登場し、劇場版OP主題歌「涙のパレード」からスタートする。RABがアクロバティックなダンスで視覚的にも盛り上げるなか、ポップなサウンドに伸びやかに歌声を乗せていくtowana。
その余韻冷めやらぬなかセンターステージに登場したアイドルマスター SideMは、ゲーム版のテーマ曲「DRIVE A LIVE」から出番スタート。長年愛され続けるアンセムで会場中から大きな「SideM!」のコールを呼び起こし、引き続き緑に輝く光の海へと、アイドルとしてのきらめきあふれるパフォーマンスを展開しながらメインステージへと移る。
曲明けのMCでは、天道輝役・仲村宗悟による「ここからは、アイマスですよ!」との突然の“フリ”にすかさず「アイマス!」と返した観客と心を繋げれば、続いては“315プロ スペシャルメドレー”。まずは神速一魂の2人が切り込み隊長として「バーニン・クールで輝いて」を披露。大会場に向けてこの日は熱く力強くステージングし、サビではコールも巻き起こしたりと大観衆を気持ちよくノセていく。それに続くC.FIRSTは、一転してスタイリッシュなダンスの映えるラップ混じりのナンバー「We’re the one」でオーディエンスを魅了。さらに天ヶ瀬冬馬(演:寺島拓篤)・天道輝・天峰秀(演:伊瀬結陸)の3人による「True Horizon」はまたもテイスト異なるポップなナンバーで、きらめきあふれるパフォーマンスを披露。多彩なアイドルの揃った事務所全体の魅力をも想像させる、バリエーション豊かなメドレーをみせた。
そして再び7人がステージに集まると、今までの応援への感謝を込めたブランド10周年記念曲「SUPREME STARS !!!」を最後に届ける。
前半戦のトリを務めたのは、6年ぶり出演のPoppin’Party。まずはメインステージに登場したメンバーが音を奏で始め、鈴木このみの「DAYS of DASH」のカバーから出番スタート……と思ったら、ここでセンターステージに戸山香澄役・愛美(Gt.&Vo.)とともに、原曲を歌う鈴木このみも登場!2人向き合ってギターを弾きながら、愛美は香澄としての甘めでハイトーンな歌声を響かせ、鈴木は持ち前のパワフルな、それでいてこの曲に似合う希望も込めたボーカルを発していく。終盤にはメインステージへと移り6人一同に会して1曲を作り上げ、すさまじい盛り上がりを生み出してみせた。
そして改めて「イニシャル」から、Poppin’Partyのステージがスタート。ややハードめなナンバーが、コラボとは違った熱を場内にもたらす。サビ明けには花園たえ役・大塚紗英(Gt.)がギタープレイで魅せれば、続けてセッションするメンバーも誰もが楽しそうに演奏を繰り広げていき、そのまま「ティアドロップス」へ。さらにハードさを増したサウンドと歌声がいっそうのアツさを放つと、サビ明けには牛込りみ役・西本りみ(Ba.)のヘドバンのように身体を折りながらのプレイが視覚的にも高まりをもたらす。
曲明けには愛美がアニサマ初出演時の思い出を回想すると、彼女たちの結成10周年記念曲「Tomorrow’s Door」へ。Poppin’Partyの物語をなぞるようなアニメのカットを用いた映像を背負いながら、デビュー曲や「きらきら星」といった重要な楽曲のモチーフもちりばめられた大事な曲を楽しそうに歌い演奏する姿は、会場中の人々の胸を熱くしたはず。そしてそれに続けた「キズナミュージック♪」は、今度はアニサマでの演奏やバックステージの映像を通じて、また別の角度から足跡を振り返りながらの披露。それを背負いながら演奏される5人が結んだ絆を強く感じさせるナンバーが、盛り上がりとともに観客の胸を熱くして、DAY3前半を見事に締めくくったのだった。
初出演からベテランまで、それぞれが作った世界が大観衆を魅了するDAY3後半
DAY3の後半、幕開けを飾ったのはSPYAIR。彼らは「サムライハート(Some Like It Hot!!)」から、アニサマのステージをはじめていく。YOSUKE(Vo.)の「回せ!」の声を合図に、イントロから客席ではペンライトが回り、コールも大きく響き渡る。1サビ前には「さいたま!歌え!」の声を合図にサビ頭「Hey!!Hey!!」 の声が場内に響き渡ると、YOSUKEも熱量を込めた歌声を響かせ、さらなるアツいコールを引き出した。それに続けた「RAGE OF DUST」ではイントロプレイ中に起こったクラップの反応に満足気な表情をみせると、ソリッドな歌声とヘヴィなサウンドが場内の熱をさらに高めていき、大サビではその熱を受け取ってエネルギーを爆発させるかのようなステージングを展開。後奏でハイトーンなシャウトを炸裂させて締めくくると、「よかったら一緒に歌ってください!」の言葉に続いて『ハイキュー!』のアニメ映像を背負って「オレンジ」を歌唱。曲名どおりオレンジのペンライトが客席を染め上げるなか、序盤は歌声にやや温かみを持たせて歌い出すと、疾走感の生まれるサビではそのサウンドに合わせて歌声にも力と勢いが乗る。サビの最後には観客からコールが響き渡れば、その大きなコールをイヤモニを外して聴いたYOSUKEは満足気な表情をのぞかせ、「今までで一番のオレンジだよ、ありがとう」と“ThanXX!”を伝えて初アニサマのステージを締めくくった。
そんなアツくてぐっとくる空気を妖しいInterludeで塗り替えて、「亡國覚醒カタルシス」から久々のアニサマのステージに現れたのがALI PROJECT。ダンサーを従えてオンリーワンの世界観を一気に構築し、甘くて妖艶な宝野アリカ(Vo.)の歌声とともに場内の空気を飲んでしまう。さらに2曲目「聖少女領域」でも、イントロからオーディエンスが大歓声を上げ喜びを表すなか、中盤からはダンサーを従えてセンターステージへと闊歩しつつ歌唱。引き続きゴシックでダークな唯一無二の世界へといざなっていく。
歌唱後のMCでは9年ぶりのアニサマへの感慨も語りつつ、「来年も再来年も出たいけど、それにはタイアップが必要」と関係者に向けてまさか逆オファーを出し、笑いとざわめきを生む。そんなMCを「特別な、『禁じられた遊び』をしましょう」と閉じると、その「禁じられた遊び」を、蒼井翔太と茅原実里を“召喚”しての特別なバージョンで披露。蒼井も茅原も無機質な表情でこの世界にたゆたいながら、そのうえで2人とも歌声に個性もにじませつつ、アリプロらしい妖しさ・艷やかさを前面に出したボーカルワークを原曲キーで展開。サビラストの難解なフレーズも、蒼井も茅原も見事に歌い上げてみせるなどして、ラストまで宝野とともにダークにステージを彩ってみせた。
そこに、太鼓の音とともにトロッコに乗った内田真礼の姿が映し出されると、「お祭り騒ぎ、しません!?」の言葉とともに「モラトリアムダンスフロア」から出番スタート。踊れるナンバーを歌声も跳ねさせながらおてんばに歌唱し、大観衆を踊らせて言葉どおりに“お祭り騒ぎ”をもたらす。2サビ最後のフレーズをがなり気味にして歌声をザラつかせるといった生ならではのラフな表現もまた、観客の熱を高めたことだろう。
曲明けには「アニサマにはたくさん救われてきました。アニメにはそんな力があると思います」と語ると、「そんな大好きなアニメの曲を、メドレーでお届けします!」と宣言し、「ストロボメモリー」の歌唱へ。どこか寂寥感漂うナンバーに情感を込めて歌い始めると、サビにはエモーショナルさもぐっと込めて聴く者の胸を熱くし、「youthful beautiful」を続ける。心に熱を溜め込んだ観客からイントロでジャンプとコールを引き出すと、楽曲の持つ爽やかな切なさを十二分に響かせていく内田。サウンドに強さのこもるサビでは内田も歌声に力を込め、まっすぐな歌声を響かせて見事に表現しきっていく。大サビではボーカルにも身振りにもより力が入り、その姿がまた私たちの胸を熱くしていった。そして最後に内田は、ハードなナンバー「ラウドヘイラー」でSSA中のハートを燃やしにかかる。歌いながらセンターステージに移動し、360度ぐるりと囲んだ観客に向けて力いっぱい歌声を叩きつける内田。間奏などでは笑顔ものぞかせこの大舞台を楽しんでいることもうかがわせつつ、Dメロ最後のロングトーンを力いっぱいのシャウトに変え、自身も熱く完全燃焼してみせた。
そしてスクリーンに青空が映し出され、ピアノの調べが場内に流れると、「アルカテイル」のイントロともに鈴木このみが登場。爽やかかつ切ないこの曲を、歌声のパワー感は若干押さえめに、かわりに涼やかさが出るような塩梅で歌いゆく。サビではそこに少し力を乗せてスケール感を表現し、落ちサビでは情感もたっぷり込めるとそのまま「Lasting Moment」へ。今度はサウンドに乗せて観客の腕振りを呼び起こしながら、夏の終わりの“今”だからこそ聴きたいナンバーをポップに歌い、『Summer Pockets』楽曲2曲で大観衆をとりこにしてみせた。
歌唱後に鈴木は毎年アニサマで出会う観客を「いろんなものを一緒に乗り越えてきた同志だと思っています」と語り、さらには様々な局面をともに乗り越えてきた存在に「相棒!」と呼びかけると、場内にはその“相棒”、『Re:ゼロから始める異世界生活』の主人公ナツキ・スバル(CV.小林裕介)の声が。ステージを紫の光が包むと、彼のセリフに続いて「Reweave」が始まり、衣装を早替えした鈴木が再登場。一転してパワフルなボーカルを大会場へと叩きつけると、その歌声はサビでは一段と圧力感じるものに。しかもそれを力感そこまでなく響かせていく姿が、彼女のすさまじい成長ぶりを改めて痛感させる。さらに鈴木は、そのままもう1曲の『リゼロ』曲「Realize」へ。最初から全力全開の歌声を響かせ場内を熱く熱く燃やしにかかる鈴木。だがBメロでは声を震わせて、感情があふれるすれすれにした繊細な表現も行うなど、そのボーカルワークは決して力任せではない巧みなものだ。そして大サビでは溜め込んだ感情を再度爆発させれば、ラストは「アニサマ、大好きだぞー!」のシャウトとともに出番を終えた。
ラストを飾るのも、やはりこの2人!トップランナーが熱狂の渦を巻き起こす
そして白の逆光の中、LiSAがステージに登場。「crossing field」のイントロ流れた瞬間、再びSSAには熱狂の渦が巻き起こる。パワフルかつ伸びやかにA・Bメロを歌うと、サビではパワーを一段と爆発させ、オーディエンスもペンライトの輝きやサビ中のジャンプやコールで高まった心を表現。最後に「ただいまアニサマ、LiSAでーす!」との改めての挨拶で楽曲を締めると、次の曲へと向かいつつ「歌ってアニサマー!」のシャウトで大きなコールを呼び起こし、自身も太鼓を叩きながら「ADAMAS」へ。イントロではさらに荒々しく太鼓を叩くことで自らの高ぶりを表すと、その熱を歌声にもそのまま込め、力強さとカッコよさを詰め込んで放ちオーディエンスをさらに高まらせていく。ラストも会場中の大合唱をバックに歌声に熱を乗せて響かせていき、そのまま「QUEEN」がスタート。序盤の「Red or Green?」のコールのリフレインがさらに観客のボルテージを上げれば、ステージ上を動きながらさらにオーディエンスの近くでパワフルなボーカルを叩き込む。力をいっぱいに歌声にぐっと込めているのに、それでいてめちゃめちゃ楽しそうなことも伝わる姿もまた、自然と心を惹き付ける。センターステージに移って最後まで歌いきると、オーディエンスを「こんなんじゃ先輩に渡せないんですけど!」とさらに煽り、その盛り上がりが最高潮を迎えたところでキラーチューン「紅蓮華」を歌い始める。ぐるり囲んだ観客の、近くへ遠くへ歌声を届かせていけば、サビ前には「歌ってー!」とパスして大合唱を起こす。そうして会場中からのパワーを受け取ったLiSAは、サビで一段とパワフルな歌声を炸裂。時折腕を掲げながらぐっと情感を込めたりしつつ、大サビでは溜め込んだパワーを全て放出するかのような力強い歌声を響かせていき、ラストはかき回しから20回目のアニサマに捧げる決め20連発で締めくくると、「この後頼んだよ?」念押ししてロックヒロインは“先輩”へとバトンを繋げた。
そしてアニサマ2025のラストアーティストとして、ステージに立つのが水樹奈々。ノイズ混じりのなか上映される過去に出演した際の映像が期待と高揚感をもたらすと、1曲目として「拍動」を歌唱。「いくよアニサマー!」のシャウトとともに爽やかさのあるナンバーにぐっと力を込め、ペンライトの光とともに場内に青空を広げてみせる。まずは自身の最新アニメタイアップ曲を通じて“今”の彼女の姿や進み続ける姿勢を示すと、そのまま続けた「DISCOTHEQUE」には会場中から大歓声!ピシッと締まったダンスとともに、伸びやかかつこの曲ならではのほどよくキュートな甘さを乗せた歌声を披露。またサビ最後の“ちゅるぱやコール”は「みんなでいくよー!」と観客に委ね、またも大きな声がSSAに響き渡っていく。Dメロ後の間奏中でもFIRE HORNSの演奏をバックにダンスを決め、魅せ聴かせる充実の1曲として届けてくれた。
2曲歌って「すっごくアツくて気持ちいいね!」とこのステージに立った感慨を表すと、「世界中で一番アツい場所にするぞー!」と宣言。客席をLvごとに煽ってから「WILD EYES」を、尊敬する奥井雅美とのデュエットで披露!第1回目のアニサマの幕開けも飾ったこのタッグが、ただの力押しだけでは歌いこなせないナンバーを、しっかり向き合って視線を交わしながら歌唱。伸びやかでパワフルな歌声を重ね、この曲での初コラボを通じてさらにステージを熱く盛り上げてくれた。
そして歌唱後、水樹は「まだ走ってないんで、走り回っていいですか?」と問いかけると、それに続けて歌い始めたラストナンバーは「Synchrogazer」。歓喜の声の中、冒頭から美しくも力強い歌声を高らかに響かせていけば、直後言葉どおりにAメロまでに上手の端にダッシュで到達。そのうえ息切れなどは全くなく、歌い続けてもそのボーカルには一切支障がない。しかも1サビ後には、2コーラス目が始まるまでに、ステージの反対側へとまたもダッシュで到達。これでも息切れ全くなく歌声のパワフルさも不変という事実が、水樹奈々という存在の“凄さ”を改めて心に刻み込む。終盤にはステージ中央に戻って美しく高らかにDメロを歌い上げれば、場内を包むオレンジの輝きへと最後まで力いっぱいにエネルギーをぶつけ、“圧倒的”という言葉の権化のようなステージを完成させたのだった。
最後に、DAY3出演のアーティストがステージに勢揃いして、テーマソング「ONENESS -20th Anniversary-」を歌唱。ゆっくりと揺れるペンライトの輝きが会場を彩るなか、誰もが自身のパートを大事に歌い、歌声を繋いでいく。ハモも美しく重ねつつDAY3でもまさに“ONENESS”な光景を作り出して、20周年という節目の年のアニサマは大団円を迎えたのだった。
改めて今年のアニサマを振り返ると、他の年であればトリを務めてもおかしくないアーティストが非常に多数出演した、20周年という節目に実にふさわしい豪華なものになったことを感じる。そんな彼ら・彼女らがバトンを繋ぎ、形作ったひとつのステージは、この上なく尊いものだったようにも思った。
来年のアニサマは久々の7月開催、そして会場も幕張メッセとなる。MCでfhánaの佐藤純一も語っていたが、アニサマもアニソンシーンも、少しずつ変わりゆくものなのだろう。だがこの日もラストにテーマソングに乗せて歌われ、3日間のステージを形にした“ONENESS”の精神があれば、アニサマはアニソンを繋ぎ続ける。世界最大級のアニソンライブイベントとして、アーティストにとってもアニソンファンにとっても、大切な存在であり続けられるはずだ。
そう確信させたこの3日間のステージに携わった全ての人へのリスペクトと、最大級の“ThanXX!”を捧げ、アニサマ2025のレポートの結びとしたい。
「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!”」DAY3
2025.08.31@さいたまスーパーアリーナ
【SET LIST】
M01. Pray / 水樹奈々×LiSA ~ Rising Hope / LiSA×水樹奈々
M02. Paradise Lost -at next nest- / 茅原実里
M03. TERMINATED / 茅原実里
M04. No tears here / 茅原実里
M05. STRIKE WITCHES ~わたしにできること~ ~ STRIKE WITCHES 2 ~笑顔の魔法~ / 石田燿子
M06. 乙女のポリシー / 石田燿子
M07. COLORFUL BOX / 石田燿子
M08. WILL ~ フェアリーテイル~約束の日~ ~ 約束の場所へ / 米倉千尋
M09. Pale Blaze ~ 嵐の中で輝いて / 米倉千尋
M10. 星空のワルツ / 栗林みな実
M11. 翼はPleasure Line / 栗林みな実
M12. Get along / 奥井雅美×栗林みな実×石田燿子×米倉千尋
M13. BAD END / 蒼井翔太
M14. イノセント / 蒼井翔太
M15. Eclipse / 蒼井翔太
M16. 星屑のインターリュード / fhána
M17. 天使たちの歌 / fhána
M18. 「小林さんちのメイドラゴン」主題歌アニサマスペシャル / fhána feat. REAL AKIBA BOYZ
涙のパレード ~ 愛のシュプリーム! ~ 青空のラプソディ
M19. DRIVE A LIVE / アイドルマスター SideM
M20. バーニン・クールで輝いて / 神速一魂 ~ We’re the one / C.FIRST ~ True Horizon / 天ヶ瀬冬馬、天道輝、天峰秀
M21. SUPREME STARS !!! / アイドルマスター SideM
M22. DAYS of DASH / Poppin’Party×鈴木このみ
M23. イニシャル ~ ティアドロップス / Poppin’Party
M24. Tomorrow’s Door / Poppin’Party
M25. キズナミュージック♪ / Poppin’Party
M26. サムライハート(Some Like It Hot!!) / SPYAIR
M27. RAGE OF DUST / SPYAIR
M28. オレンジ / SPYAIR
M29. 亡國覚醒カタルシス / ALI PROJECT
M30. 聖少女領域 / ALI PROJECT
M31. 禁じられた遊び / ALI PROJECT feat. 蒼井翔太&茅原実里
M32. モラトリアムダンスフロア / 内田真礼
M33. ストロボメモリー ~ youthful beautiful / 内田真礼
M34. ラウドヘイラー / 内田真礼
M35. アルカテイル ~ Lasting Moment / 鈴木このみ
M36. Reweave / 鈴木このみ
M37. Realize / 鈴木このみ
M38. crossing field / LiSA
M39. ADAMAS / LiSA
M40. QUEEN / LiSA
M41. 紅蓮華 / LiSA
M42. 拍動 / 水樹奈々
M43. DISCOTHEQUE / 水樹奈々
M44. WILD EYES / 水樹奈々×奥井雅美
M45. Synchrogazer / 水樹奈々
M46. ONENESS -20th Anniversary- / アニサマフレンズ
©Animelo Summer Live 2025
関連リンク
「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!”」公式サイト
https://anisama.tv/