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angela 2年ぶり12枚目のフルアルバム『Answer』がリリースされた。シティポップな新曲「不器用なI love you」を含めた新録5曲は、大切な人との絆やangela自身のルーツやソウル、コミカルさなど、自身の魅力を様々な形で表出させる。
INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉
20年前の未来予想を回収した『Answer』
――TV番組でも紹介されていましたが、ニューアルバム『Answer』は、新たなプライベートスタジオを開設されて以来、初めてのアルバム制作となりましたが、いかがでしたか?
KATSU 自分が伝えたいもの、作りたいものを作れた気がします。2023年秋に体調を崩したのを境に、「どうせ残すのであれば、とことんこだわりたい」という思いが強くなり、それがスタジオ作りの1つの理由としてありました。これまでであれば、スタジオの時間に制限があって諦めざるを得なかったことや、急に思いついたアイディアのようなことでも、自分たちのスタジオがあればすぐに録ることができます。
atsuko 気持ち的に楽になったことも大きくて。たとえば喉を痛めてしまった場合も、回復を待つ間の制作スケジュールを心配することなく、自分の体調の良いときを見計らっていつでも収録できる環境はありがたいですね。
――今回のアルバムタイトルであり新録曲の「Answer」は、ある種の重みを持った言葉に感じます。込められた思いやコンセプトを教えていただけますか?
atsuko 既発曲も含めて1枚のアルバム全体を表現できる言葉は何なんだろうかと考えたとき、今年の1月に開催したファンクラブ向けのライブで、「未来とゆう名の答え」を歌ったときのことを思い出しました。今から20年前、デビュー3年目の私たちはその作品の主人公と同じく悩んでもがいて、戦って前に進まないといけない状況でした。自分たちの状況と、「それでも未来になれば答えが見つかる」という内容の歌詞がまさにリンクしていたんです。そこから20年経って、あのとき歌った“未来”とは、“今”のことだったんだと気づかされました。ここまでいろんな曲を書いてきて、ライブ環境とかリリース状況、人間関係すべてにおいて、とても良い状態で“今”を迎えられている。良くない時期もどうにか乗り越えてきた自分たち。
KATSU angelaをここまで応援してくれて、今回のアルバムを聴いてくれる皆さんに対し、自信を持って言ってあげられる言葉が、ラスサビの「さらけ出していけ あなたをもっと」です。フェスとかでangelaに少しでも興味を持ってくれて、ちょっとライブを覗いてみようかなと思った方に対する答えが集約されている1行です。僕も体を壊したときから、音楽に対する考え方が一変しました。我慢したり、自分を押し殺すことはやめよう。やりたいときにやっておかないと、そのときに後悔するだけだと思って。
――この言葉はどういう背景から生まれてきたのでしょうか?
atsuko 結構、人の目を気にしてしまって生きている部分があるんですよ。こんな私でも(笑)。とはいえ、我々も50歳を過ぎて、20代の頃とは違う感情で曲作りに臨むとなったとき、ただただ「頑張れ、頑張れ」と言っても何を頑張ればいいのか分からないし、「もう頑張ってるし」という方も世の中にたくさんいらっしゃると思います。そういう方に向け、そこまで強く後押しするわけでもなく、「angelaを応援しててよかったな」と思ってもらえるような曲にしたくて、命令系も含めて1箇所ぐらい強く押し出す部分があってもいいかなと思いながら書きました。
――サウンド面はいかがでしたか?
KATSU まさにやりたかったサウンドという感じです。最近流行の’80~’90年代サウンドのムーブメントに乗っている部分はあるのですが、これは元々得意なジャンルなんです。
意外にも(?)angelaがシティポップを得意とする理由
――その流れにおいてもTVアニメ『不器用な先輩。』の主題歌「不器用なI love you」のトレンディドラマ感のある楽曲には納得です。オファーをどのように受け止めましたか?
atsuko 曲調を含め、先方から「トレンディドラマの主題歌みたいな感じだと嬉しいです」というリクエストをいただきました。私にとってもデビュー前に憧れていた時代のサウンドでもありますし、この作品を作るにあたり自分たちが子供の頃に聴いていたアニメソングを聴き直してみたところ、あの頃のアニソンにもシティポップ感のあるものが結構多くて、聴くほどにこの年代の感覚を出したいと思えたんです。メロディラインもわかりやすく、ちょっとゆったり目のテンポ感にして、オフィスラブ作品に合わせてビジネス用語を歌詞に散りばめて雰囲気が出るように書いていきました。
KATSU デビューする前のもがいていた10年間がやっと実った感じです(笑)。実際、その時に磨いた感覚はいろんなアニソンを書く時に役に立っているんですけど。angelaとしては久々にシリアス一辺倒ではない曲を書けた感じがします。
――メロディも新曲として聴いた感じがしない、スッと入ってくるキャッチーさがあります。
atsuko 実はこういう曲を書く時って、結構勇気が要るんですよ。というのも、前にどこかで作られたメロや歌詞を知らず知らずのうちに内面化しているのではないかとドキドキして、確かめながら作っていきました。
KATSU ’90年代感を出す言葉として最初に出てきたのは「抱きしめて」で、次が「ロマンス」(笑)。
――サウンド面でも一聴してあの時代を感じさせるものがありました。どのような工夫があるのでしょう?
KATSU これは’80年代にJ-POPで使われていた定番のシンセが決まっていたから、その音像を聴くと時代が思い浮かぶんだと思います。Moog Synthesizerや、YAMAHA DX-7、Roland D-50とかですね。そこから’90年代に入ると、さまざまな機材が登場しレコーディング方法も雑多なものになっていき、細分化していきます。今ではパソコンで当時のシンセサウンドを再現できるようになり、この曲でもそうした作り方をしています。
――歌唱に関してはどんなところがポイントでしょうか?
atsuko 最近の曲と比べて、俄然テンポが遅いので、やっぱり歌いやすいですね。つまりその分、歌詞も聴き取りやすくなるので、そのあたりを意識しました。作り手としてはつい難しくしようとしたり、こねくり回したりとしがちなのですが、それって良し悪しなんですよね。この間、“長野アニエラフェスタ”というフェスでこの曲を初披露したときに、サビの部分の振り付けでワイパー(手を挙げて大きく左右に振る)をしたんですけど、こういう動きって、「cheers!」とか「綺麗な夜空」の頃(2003~4)以来だなと思って(笑)。
angelaの地元・岡山のサッカーJ1チームへの応援歌を(勝手に)制作
――次のアルバム新録曲「正⾯突破 We are!」は、J1チーム・ファジアーノ岡山の 「勝手に応援ソング」とのことですが、これはどういった経緯で作られた楽曲でしょうか?
atsuko 昨年12月にキャンペーンで岡山を回っていたとき、ちょうど「今日の試合にファジアーノ岡山が勝てばJ1昇格」というタイミングだったんです。その時、出演した岡山のラジオ番組のパーソナリティさんがサッカーの実況もする方で、軽いノリで「angelaさんも応援ソング書いちゃいなよ!」と、おっしゃって、アルバム用の曲作りにちょうど良いお題をもらったぞと(笑)。我々は岡山市の観光大使もしているし、スポーツアニメの曲はこれまで書いたことがないから、分かりやすく後押しする応援歌を書いてみたくなり、すぐに作り始めました。
KATSU ファジアーノって、いわゆる親会社を持たない地元密着型のチームで、スポンサー集めにも苦労して、20年近くかかってようやくJ1に立ったチームなんです。この過程がangelaにとって他人事に思えなくて。僕らも路上ライブや小さなライブハウスから2人だけで始まり、ファンを含めて支えてくれるいろんな人たちや組織のおかげで今がある。これはぜひ曲にしたいなと思いました。
――アニソンとのアプローチの違いは感じられましたか?
KATSU アニソンというのはその作品のキャラクターへの応援歌でもあると思っていて、その意味で「正面突破 We are!」は、頑張ってきた選手のために曲を作りたいと思ったんです。選手たちが大切な試合前に聴いてくれて、「それが力になって勝った」と言ってもらえることが、この曲のゴールだと思っています。
――岡山弁の歌詞にも迫力がありますね!
atsuko この曲は普通にメロに歌詞をあと載せすると不自然になってしまうので、まずワンコーラス分、岡山弁で歌いながら作っていきました。それでKATSUさんに面白いと言ってもらえたので続きを2人で作っていきました。岡山弁をご存じない方は何を言っているかわからないかもしれないけど、流れで聴いてもかっこよく聞こえるようなラインを目指しました。
――サウンド面はいかがでしょうか?
KATSU 最初のメロディの段階で高揚感があり、応援歌だなと思いました。そこでやっぱり必要になってくるのはみんなで肩組んで一丸となるような感覚でしたので、「Wow Wow」の部分を作っていきました。強くて尖ってるサウンドで、ストリングスやピアノは表立ってはなく、シンプルにロックで攻めて仕上げました。
次ページ:大切な仲間に捧げた曲でツアーを一緒に回る思い
大切な仲間に捧げた曲でツアーを一緒に回る思い
――続いての曲は、angelaのライブでずっと大道具を担当されていたTさんに捧げた楽曲「Dear T」。以前もクラウンのダイアナさんへの曲も書かれましたが、どのように気持ちの整理をつけて曲作りに臨まれましたか?
atsuko 我々の活動20周年を締めくくる“angela 20th Anniversary☆THE『〆』”(2024.5.24、25開催)の1週間前、本当に急な出来事でした。彼も楽しみにしていたライブだったし、本番ではなんとか泣かないように気丈に振る舞って、すべての公演が終わって楽屋に戻った瞬間、みんなで号泣しました。なかなか受け入れられずにいたんですけど、それでも時は流れゆくじゃないですか。それでアルバムに彼の曲を書けばツアーを一緒に回れるのかなと思って作り始めました。
KATSU 僕の中で「音楽とはSong for One」であるべきという思いがあります。だから、atsukoさんから「Tさんの曲にしたい」という話を聞いたときとても良い考えだと思いました。
atsuko KATSUさんが軽くアレンジされたメロディラインを用意してくれて、さあこの日に歌詞を書こう!と思った、まさにその日が命日だったんです。状況は受け入れられないにしても、1年経った今なら書けるかもと思って、それで書き始めたら、普段だったらもっと時間が掛かって1回で決まらない事が多いのですが、今の完成形とほとんど変わらない歌詞がすぐに書けました。
KATSU この曲はTさんの曲なんですけど、レコーディングをしていく中で、自分の周りでも亡くなった方のことを思い出して、それぞれの人にとっての「Song for One」として当てはめられる曲になっていたのが素晴らしいなと思いました。
――この曲聞いた時に、少し声の質感が違う感じをしたのですが、どのようなねらいがあったのでしょうか。
atsuko 風邪を引いてしまって、ちょっと喉をやられて治りかけくらいのときにメロディラインや譜割りのチェックのつもりで一度レコーディングをしたんです。ちょっと掠れ気味だったんですけど、KATSUさんがこの声が良いと言ってくれて。
KATSU この時の感情と、この時にしか出せない声がちょうど合っていたんです。治ってからもう一度録るけど、今の状態で一度録っておこうと。アルバムという意味でも、この時の声を収めたかったんです。それができたのもまさに自分たちのスタジオがある強みです。
atsuko 歌手としてはもうちょっと声が出ている方がいいんでしょうけど、私の声はどちらかというと強めに出てしまいがちで、これは優しい曲でもあるので、掠れてまではいかないけど、その一歩手前ぐらいの丸みのある声ぐらいがちょうど良いかなと思って。
開演前から始まる「angela体操」で一体感を
――最後に「angela体操」について教えて下さい。
atsuko これはラジオ番組「angelaのsparking!talking!show!」のなかにあった「angelaにやってほしいこと」というコーナーへ寄せられたアイディアをいただきました。以前、fripSideさんのライブを観に行ったときにファンの皆さんがロビーで準備体操をしていて、飛ぶための本気を見たんです(笑)。そこでangelaもライブが始まる前に「angela体操」を流せば面白かろうと。初めてangelaのライブに来てくださった方は、多少なりとも緊張されていると思うんです。そんなときにこの曲を流せば体も心もほぐれた状態で、ライブに臨めるのではないかと思ったわけです。
KATSU ライブ前にこの体操をやることによって一体感を先に作ることができます。皆が同じ恥ずかしいことをした仲間であるという意識を持てば、ライブ本線も盛り上がることでしょう(笑)。ただ実際やろうと思うと、スペース的にけっこう大変だったので、振り付けをコンパクトにしています。僕のピアノの師匠の蓮沼健介さんにスタジオに来てもらって、イントロについては僕が口で言ったものを弾いてもらって、丸一日がかりで作った曲です。
atsuko スタジオの同じ空間にマイクを立てて、隣にピアノを置いて、「次は首を回したいです。波のような流れるような感じで弾いていただけますか?」みたいに、私の動きを見てもらいながら、その場でピアノに落とし込んでもらうという、セッション的な作りでした。CDの歌詞カードにQRコードが印刷されていて、それを読み込むと、我々が体操している動画に飛べる仕様になっております。
KATSU そのロケ地が、さいたまスーパーアリーナの玄関前なんです。これがangelaなりの「Answer」という意味で、さいたまスーパーアリーナへ立つための準備体操を始めたよという裏メッセージを込めています。この前、ドイツのアニメイベントに行ったときも現地で撮影してきたので、今後、各地に行くたびにロケをしたいですね。
――これからアルバムを引っ提げたライブハウスツアーが始まります。
atsuko 今年の5月にアニメ『K』の曲オンリーのライブをファンクラブ向けに演ったのですが、そのときに懐かしさを含めたライブハウスの良さを再確認したので、今回ライブハウスツアーという形に落とし込んでみました。ホールと比べるとライブハウスは正直、できることは限られているから、音楽だけで勝負するしかない。その意味で「さらけ出す」ライブハウスツアーになるんじゃないかなと思っております。
KATSU 2023年の『Welcome!』ツアーでは体の不調で皆様にご迷惑と心配をかけ、そこから体調をきちんと管理し、現在は先生から「何をやっても良い」と言われるまでになりました。僕にとっては今回のツアーをすべて成功させることが本当の完全復帰だと思ってます。僕だけ半分『Welcome!』ツアーを背負って、この『Answer』ツアーに挑みたいと思っています。
●リリース情報『Answer』
10月8日発売
【初回限定盤(CD+M-CARD)】
品番:KICS-94216
価格:¥4,400(税込)
【通常盤(CDのみ)】
品番:KICS-4216
定価:¥3,300(税込)
<CD> ※全形態共通
1.「不器用なI love you」(TVアニメ「不器用な先輩。」OPテーマ)新録
2.「Fly Alive」(パチンコ機「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3」搭載曲)
3.「命ノヒカリ」(パチンコ機「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3」搭載曲)
4.「正面突破 We are!」新録
5.「晴れのちハレルヤ!」(劇場版『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』主題歌)
6.「Dear T」新録
7.「僕等の歌」
8.「蒼穹の彼方」(「蒼穹のファフナー」シリーズアンサーソング)
9.「JUST COMMUNICATION」カバー曲
10.「Answer」新録
11.「angela体操」新録
<M-CARD> ※初回限定盤のみ
・「不器用なI love you」リリックビデオ
・12th アルバム収録曲カラオケ音源11曲
(M-CARDの絵柄は全4種からランダムで1種封入)
●ライブ情報
angela Live Tour 2025 「Answer」
愛知公演
10月26日(日) [開場] 16:15 / [開演] 17:00
会場:ボトムライン
問い合わせ:サンデーフォークプロモーション:052-320-9100(12:00~18:00)
群馬公演
11月1日(土) [開場] 16:30 / [開演] 17:00
会場:高崎Club JAMMERS
問い合わせ:ホットスタッフプロモーション:050-5211-6077(平日12:00~18:00)
栃木公演
11月9日(日) [開場] 16:30 / [開演] 17:00
会場:宇都宮HEAVEN’S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2
問い合わせ:ホットスタッフプロモーション:050-5211-6077(平日12:00~18:00)
岡山公演
11月15日(土) [開場] 16:30 / [開演] 17:00
会場:YEBISU YA PRO
問い合わせ:キャンディープロモーション岡山:086-221-8151(月~金 11:00~17:00)
大阪公演
11月16日(日) [開場] 16:30 / [開演] 17:00
会場:LIVE HOUSE バナナホール
問い合わせ:キョードーインフォメーション:0570-200-888(12:00~17:00)※土日祝休業
千葉公演
11月29日(土) [開場] 16:30 / [開演] 17:00
会場:柏PALOOZA
問い合わせ:ホットスタッフプロモーション:050-5211-6077(平日12:00~18:00)
京都公演
12月6日(土) [開場] 16:30 / [開演] 17:00
会場:京都FAN J
問い合わせ:キョードーインフォメーション:0570-200-888(12:00~17:00)※土日祝休業
神奈川公演
12月19日(金) [開場] 18:00 / [開演] 19:00
会場:1000 CLUB
問い合わせ: 045-671-9911(土日・祭日を除く11:00~15:00)
海外公演
angela Live Tour 2025「Answer」in Beijing
11月22日(土) [開場] 12:00 / [開演] 13:00(現地時間)
会場:Mao Livehouse・東郎(北京)
angela Live Tour 2025「Answer」in Shanghai
11月23日(日) [開場] 17:00 / [開演] 18:00(現地時間)
会場:バンダイナムコ上海文化センター・ドリーム劇場(上海)
関連リンク
angelaオフィシャルサイト
https://angela-official.com/
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