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TVアニメ『アルマちゃんは家族になりたい』のOPテーマをZAQが担当。可愛い学習型自立戦闘ロボット「アルマ」、その生みの親である天才科学者のエンジとスズメが織りなすアットホームなSFコメディ作品に対し、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND(石川智久・フジムラトヲル・松井洋平)という知己を召喚し、最高にキュートなテクノポップ「ドラマチック・オーバーレイ」を10月6日に配信すると、続けて10月20日に「L 荒野のコトブキ飛行隊」遊技機オリジナル楽曲「ホシノナ」を配信リリース。
INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司
少し強引に声で「可愛い」に持っていったところも
――「ドラマチック・オーバーレイ」は、イントロからキュートさとオシャレさのある電脳感にあふれて最高に耳を惹きつける曲ですね。ZAQさんの才能にTECHNOBOYSさんの才能が重なった成果ですか?
ZAQ いやいやいや、それは本当にTECHNOBOYSさんのおかげです。最初に可愛さを伝えよう、この曲がどういう曲なのかイントロからサウンド感で伝えよう、と考えていたところはありましたけど、やっぱりZAQにはああいうテクノポップは作れないですね。
――TECHNOBOYSさんにお願いした意図もそのあたりでしょうか?
ZAQ そうですね。最初は自力でなんとかしようと思っていたんですけど、実は。アニメの制作サイドさんが「エキストラレボリューション」(2013年10月23日リリースの4thシングル)を聴いてくださったらしく、そういう感じの曲というオーダーだったと思います。当時きゃりーぱみゅぱみゅさんがすっごく流行っていたので、可愛い声のアッパーチューンでかっ飛ばす曲にしました。今回は、最初から私が「ピアノロックで」という話をしていて、デモもそういう曲を提出したんですけど、そうしたら大人っぽくてシリアスな感じが強いという話をいただきました。それで結構、ZAQの音楽性と今の私の声質の中でちょうどいい塩梅を取れる場所を探り続けた記憶があります。「こういう感じはどうでしょう?」「こっちでしょうか?」と、リファレンスの像を縁取っていくような。結構シリアスめだけどポップだしミステリアスな感じもある、というところでDAOKOさんみたいな曲もどうかと思ったんですけど、まだ「可愛い」ではないので「可愛いに全振りしてください」とお願いされました。そこから、歌詞もメロディもまるっと作り直し、小細工なしにストレートなコードにして、王道の可愛い感じに持っていきました。
――チップチューン的な。
ZAQ そうそう。それをTECHNOさんにブラッシュしていただいたことで超可愛くなりました。
――でも、ZAQさんが可愛く作っていたからこそTECHNOBOYSさんもブラッシュアップできたのでは?
ZAQ 「可愛さ」に関しては強引に声でどうにかした感覚があります。(可愛い声を作って)超倍音多めのー、パワーも何も感じられない、芯のないぼやーんみたいな感じで空気が多いようなー(笑)。そういう歌い方にオートチューンをかければロボ感を出せるし。声も、シングルではなく3本くらい重ねているんですね。無機質な感じを出すために。そのあたりでアルマちゃんらしさも出しています。
――TECHNOBOYSさんにはどういったオーダーを出されましたか?
ZAQ TECHNOさんとはお付き合いも長いですし、ZAQがどういう曲を作ってどういうライブをしてきたかを全部知っているし、フジムラトヲルさんにはいつもZAQの歌を録ってもらっているので完成形をつかんでももらいやすいし。
――その結果、ZAQ曲にしてはシンプルで可愛い曲に仕上がりました。
ZAQ シンプル可愛い曲を作るのはめちゃくちゃ緊張しましたけど、XをエゴサしたらZAQが作ったと気づかない人も多くて、「しめしめ」と思いましたね。こんな声を出すなんて無茶しやがって、みたいな意見とか(笑)。
――こういう声で歌ってこういう加工をしたら可愛くなる、というところに確信はありましたか?
ZAQ ありました。声優さんに曲を提供する時、可愛く歌ってほしいことを伝えるためにああいう声で仮歌を入れることもありますし、レコーディングでの歌い方もわからなくはないので。そもそも、いろんな声を出せるインターネットラッパー、がZAQの始まりでもあるので。
――では、全然無茶はしていなかったんですね。
ZAQ そうですね。
――ライブで回数を重ねた先が楽しみな曲でもあるわけですね。
ZAQ あと、振りを入れた方が絶対可愛い曲だとは思っていて。上半身しか使わない、TikTok的な縦型(動画)に向いたダンスを入れたいとは思っているんですけど……。
――そこも楽しみにしています。歌詞について意識した点はありましたか?
ZAQ アルマちゃんの視点から目線が動かない歌詞、というところは意識しました。
――歌詞に登場する単語もこれまでに書いてきた歌詞に比べるとシンプルで優しいですね。
ZAQ 優しいです。アニメ自体、どんでん返しや裏切りがある作品ではないので。しかも全3巻なんですよ。とっても読みやすい! 日曜夜になんてぴったりなアニメなんでしょう!(笑)。そこを曲でも表現したかったんですよね。だから、超平和な気持ちで作れたところもありました。
――個人的には「決してファンタジーじゃないの」が象徴的な箇所だと感じました。先ほど仰った、実は絆を結んでいくさまに現実感がある作品、というところを表しているようで。
ZAQ あそこは私も好きです(笑)。Dメロは気に入っているんですよね。
――それにはどういった意図が?
ZAQ いや、TECHNOさん感が欲しかっただけですね。せっかく一緒に作るわけですし、彼らのライブで石川さんが燃えて弾きまくる姿を見たかったんです。あと、アウトロの最後に入っているピアノの音、あれもめっちゃ好きです。でも、最終のデモには入っていなかったんですよ。その前のデモには入っていたのに。だから「絶対入れてほしい」「なんで抜いたんですか」と言ったら入れてくれました(笑)。
――何度もタッグを組んできたTECHNOBOYSさんですが、今回あらためて感じたところはありますか?
ZAQ めっちゃ仕事が早いですね。ZAQからデモをお渡ししたのは、「この時までにフルサイズくれないと厳しいです」と言われたギリギリのタイミングだったんですよ。それなのに納期内に仕上げていただき、「ありがたいな」って思いました。
――バランスといえば、ドラムなどのリズム感も絶妙ですよね。可愛さが失われない速さとか四つ打ち過ぎない感じとか。
ZAQ リズム周りも全部お任せしました。私はサンプラーとか使っていたんじゃないかな? ドラムループだけで渡していた気がする。サビも含めて全部打ち込み直してくれています。TECHNOさんはドラムとベースも超気持ちいいところで作ってくれるというか、ZAQには絶対出せないリズムの感覚ですね。ZAQは上物にしかこだわらないのでドラムはいつも適当に渡しちゃうんですけど(笑)、実は大事なところなので。曲の感触や印象を最初に与えるのがドラムやベースなので、そこはさすがだと思います。ノリやすくて本当にめっちゃ好きです。スネアやタムの種類もいっぱいあると思うんですよね。ZAQはテクノを通ってきていないので、「これがテクノサウンドというものなのか」って勉強になりました。
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作家活動とアーティスト活動のどちらもやりたいことができていて
――続いてもう1曲、「L 荒野のコトブキ飛行隊」遊技機オリジナル楽曲の「ホシノナ」で意識したところも教えてもらえますか?
ZAQ この先『コトブキ』の新曲が出ることはもうないだろう、という確信を持って全部入れ込みました。これまでの集大成、進化版ですね。みんなが聴きたかった『コトブキ』の新曲を作ろう、という気持ちだけでした。原点回帰として、ブラスのいっぱい入ったビッグバンドジャズにしようは考えていて。ホイッスル(=口笛)から始まってホイッスルで終わるのも、開放感のあるサビと疾走感のあるドラムで進めていくことは決めていたと思います。『コトブキ』はキャラクターソングやアプリゲーム(『荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ!』※現在はサービス終了)の曲も全部作らせてもらっているので、歌詞に、アプリゲームに登場する飛行隊(ハルカゼ飛行隊、怪盗団アカツキ、ゲキテツ一家、カナリア自警団、ムラクモ空賊団)を全部入れました。「乱戦 襲来 決戦 無窮」もアプリゲームのイベント・クエスト名なので、やっていた人には「懐かしい!」ってなると思います。アプリゲームの主題歌名(「カゼノワ」)も入っていますし。
――当然、TVアニメのオープニング主題歌「ソラノネ」も入っていますね。
ZAQ 実は、「空の音が今 飛び立つ」の「飛び立つ」は、「ソラノネ」の「飛び立つ 重力を味方につけて」の「飛び立つ」とメロディも譜割りも一緒なんです。それから「不思議で歪な僕たちの世界」は、『コトブキ』の舞台となっている世界が「イジツ」と言うので、「歪な」が「イジツな」にも聴こえるように歌っています。
――確かに集大成ですね。
ZAQ まさに。もう次はできないと思います。まず、曲名=カタカナ4文字しばりが無理かもしれない(笑)。
――主人公のキリエが所属するコトブキ飛行隊は女性ばかりですが、主題歌の歌詞では一人称が「僕」ですよね。「私」である、アプリゲーム主題歌の「カゼノワ」を除いて。
ZAQ あ、確かに!
――あれ? 意図的ではない?(笑)。だから、「ソラノネ」も「翼をもつ者たち」も「太陽が呼んだ虹」も、コトブキ飛行隊ではなく、飛行機たちの視点だと感じました。その上で「ホシノナ」では、今までよりも俯瞰で世界を見ている、飛行機があらためて「イジツ」で空を飛ぶ意味を語っているような歌詞になっている感覚がありました。飛行機が活躍するこの世界を慈しんでいるような。
ZAQ その通りです!(笑)。いや、全然そんなつもりはなかったですけど、でもその解釈でもいいかもしれない(笑)。仰る通り、今回は俯瞰で世界全体を見ているところがあって、その意味でも詰め合わせですね。ファンの方に喜んでもらえるように、『コトブキ』ってこんな世界だったよね、というメモリアルな歌詞にはなっています。「ソラノネ」の歌詞には、死ぬかもしれないけど飛ばなければいけないという覚悟がありましたけど、そういったメッセージ性や意思はないかもしれない。
――思い出を語る感覚というか。
ZAQ そう、思い出感がありますね。
――楽曲面に戻れば、ビッグバンドジャズの曲を書く上で以前と変わったところはありますか?
ZAQ 「ソラノネ」ではドブロギターを入れて荒野感を強く出していましたけど、「ホシノナ」はむしろ逆で。「空」に重きを置いているので、荒野はあまり感じられないサウンド感になっているとは思います。ギターがないのは結構肝かもしれないですね。
――あえて入れなかった理由は何ですか?
ZAQ いや、入れてもいいかな、とは今も思っているんですけど、声とブラスバンドのバトル感を出したかったんですね。今回入っているのは、自分で弾いたエレ(クトリック)ピ(アノ)と、サックスとトロンボーン? くらいかな。生バンドでJamっている感を出したかったんです。
――「Let’s Jam」と歌っていますし。
ZAQ 言っていますね。完全に楽器だけでシンセも何も入っていない間奏はすごく好きです。あそこは掛け合いというか、交互に戦っていく感じが出せたら、と思っていました。
――ギターを消すことで、入っている楽器にスポットをより際立たせられる?
ZAQ そう、際立たせています。相変わらずピアノが暴れてはいるので(笑)、バランスを取っていけたら、みたいなところは確かにありました。今回、ブラス奏者さんは前回と一緒なんですけどブラスアレンジの方は違っていて、結構ZAQのアレンジにもなっているので楽譜が結構変わったとは思います。
――その意味でも楽しめる仕事だった?
ZAQ そうですね。そもそも、ここまでハッチャけたビッグバンドジャズをアニソンのタイアップの中でやれることはなかなかないので。「またブラスを入れていいんだ」「ビッグバンドジャズをやっていいんだ」と、やりたくて仕方のないサウンド感を出せたことが超嬉しかったです。
――歌唱の面も手慣れた感じでレコーディングできましたか?
ZAQ いや、「ソラノネ」の頃の歌い方を思い出しながら歌った感じですね。
――思い出す必要があったというのは?
ZAQ 今は声質がかなり太くなっていて、年齢を重ねることで筋肉が下がり、ドスンという声になってきているので、軽やかな感じの発声を思い出しながら歌いました。今回は付点や3連符も多く、かなりリズムの難しい歌でしたし。「乱戦 襲来 決戦 無窮」もリズムがかなりジャズしているので。
――今回の2曲は2024年の『マイナーピース』以来の新曲となります。その前年の2023年はシングルリリースがなく、デビュー10周年ということでベストアルバムの発売、それを引っさげてのライブ、その間にシングル3枚リリースという2022年からすると一転という感じもありましたが、一方で2023年は結束バンド(『ぼっち・ざ・ろっく!』)や『響け!ユーフォニアム3』などへの楽曲提供で充実した作家活動を見せました。年単位でアーティストと作家を行き来する感のあるZAQさんですが、自身としては現在の活動の幅やバランスについてどのような感覚がありますか?
ZAQ 「ドラマチック・オーバーレイ」もですけど、今年から来年に放出される曲を作り貯めていたのが2024年でした。そこから、「自分自身の幸せ」みたいなところを追求する気持ちも生まれてきていて、2025年はその想いを爆発させる意味でライブがかなり多くなりました。ZAQとしては、やりたいことをやらせてもらえている感覚はあって、例えば今年のZAQの日(=3月9日)に弾き語りライブ『ZAQの日 vol.5 孤高に弾き語る。』をさせてもらいましたけど、弾き語りが上手いわけではないので準備と練習に時間がかかってかなり悔しい思いをしていたら、9月23日に『QAZの日 -孤高に弾き語る-』という弾き語りライブをやらせてもらいました。去年の『ZAQの日』にやったセルフカバーライブが好評だったことから「もう一度やりたい」とお願いしたら、11月に大阪で『ZAQ’s Selfjack Day』ができるとか。ただ、最近の子はZAQがどんな曲を歌っているか知らないと思うので、自分の歌をどんどん世に出し、ZAQの曲を浸透させたい気持ちもあります。
――アーティスト活動のための作家活動ですか?
ZAQ でも、『Turkey!』に挿入歌「幾星霜」を提供した時、フィルムスコアリングで作ったのが超楽しくて! 最近はインスト物を作る機会を増やしてもいますし、朗読劇の劇伴をちょうど作っていますけどそれも楽しいんですよ。だから、これからの10年は歌物だけではなく、頭を使って幅広く音楽全般を作っていくのが楽しいかも、という私もいます。
――ライブと持ち歌と提供曲とインストと、違う形での活動のどれにも意欲が湧いているような。
ZAQ そうなんですよ。曲を作っている時はこれだけをやっていたいと思うし、ライブをすると「ライブだけを」と思うし、謎の心理状況ですね。提供楽曲が世に出始める来年にはワンマンライブの機会もあるだろうから、もう少し大きな場所でやりたい気持ちもありますし。その時その時の気分で変わるんですよね。
――次の新作がどこから登場するのか、アンテナを張って待つ必要がありますね。
ZAQ いやいや申し訳ない、気まぐれで(笑)。
●配信情報TVアニメ『アルマちゃんは家族になりたい』OPテーマ
「ドラマチック・オーバーレイ」
作詞・作曲:ZAQ 編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、ZAQ
10月6日配信開始
配信リンクはこちら
https://lnk.to/LZC-3271
「L 荒野のコトブキ飛行隊」遊技機オリジナル楽曲
「ホシノナ」
作詞・作曲・編曲:ZAQ
10月20日配信開始
配信リンクはこちら
https://lnk.to/LZC-2912
●ライブ情報
『KURUIZAQ 2025』
2025年12月24日(水)
時間:OPEN 18:00 / START 18:45
会場:渋谷asia
チケット情報
前売りチケット:料金:¥8,500(+1ドリンク¥700)
二次先行・抽選受付中!
受付期間:10月11日(土)12:00~10月26日(日)23:59
抽選結果発表:10月27日(月)12:00
チケット購入はこちら
https://t.livepocket.jp/e/kuruizaq25
公演お問い合わせ先:
CAT entertainment株式会社(https://cat-ent.jp/)
企画・制作:CAT entertainment株式会社 / HANDYMAN
後援:株式会社バンダイナムコミュージックライブ
ZAQ セルフカバーライブ『ZAQ’s Selfjack Day』
2025年11月29日(土)
時間:開場17:00/開演17:30
会場:心斎橋JANUS
チケット情報
前売りチケット:料金:¥6,500(+1ドリンク¥600)
プロモーター先行受付中
チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/zaq-o/ [Pコード︓311-979]
プレリザーブ受付期間:10/16(木) 11:00 ~ 10/28(火) 11:00
抽選日:10/29(水)
確定日:10/30(木)
ローソンチケット
https://l-tike.com/zaq/ [Lコード︓54414]
プレリザーブ受付期間: 10/16(木) 12:00 ~ 10/28(火) 23:59
抽選日:10/30(木)
確定日:10/31(金)
イープラス
https://eplus.jp/zaqzaqzaq/
プレリザーブ受付期間:10/15(水) 12:00 ~ 10/26(日) 23:59
抽選日:10/28(火)
確定日:11/1(土)
公演お問い合わせ先:
CAT entertainment株式会社(https://cat-ent.jp/)
関連リンク
ZAQオフィシャルサイト
https://zaqzaqzaq.jp/
ZAQ オフィシャルX
https://x.com/zaxic_r
【YouTube】ZAQ Official Channel
TVアニメ『アルマちゃんは家族になりたい』公式サイト
https://alma-chan.com