今年1月に初の配信アルバム『Colorful Diary』をリリースし、アーティストとしても精力的に活動する声優の熊田茜音が、ニューシングル「Brand new diary / まほうのかぜ」を完成させた。収録曲はそれぞれ、自身も声優として出演するTVアニメ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』、そしてスーパーカブ×少女の青春ストーリー『スーパーカブ』のオープニング主題歌。
豪華クリエイターの参加により新たな表現に挑戦した、さらなる飛躍を感じさせる1枚だ。ますます自然体で明るく元気に新しいページを開く彼女に話を聞いた。

まさかのあの人が作詞を! 『転スラ』の縁が育んだ新たなダイアリー

――2曲のアニメタイアップ曲を両A面で収録した今回のニューシングル。まずは『転生したらスライムだった件 転スラ日記』のオープニング主題歌「Brand new diary」についてお聞かせください。熊田さんは『転スラ』シリーズにエレン役で出演しているので、タイアップが決まったときは喜びもひとしおだったのでは?

熊田茜音 初めて聞いたときは「て、て、転スラ!?」ってなりました(笑)。自分が演じているエレンちゃんも大好きだし、声優デビューさせていただいた作品でもあるので、すごく思い入れが強くて。『転スラ日記』も以前からコミックを読んでいて、アニメ化されることを喜んでいたので、まさか自分がそのオープニング主題歌を担当させていただけるなんて思ってもみませんでした。お話をいただいたときは身が引き締まりましたけど、それ以上に「嬉しい! 楽しみ!」って思いました。

――『転スラ日記』にはどんな魅力を感じますか?

熊田 『転スラ』シリーズは色んなキャラクターが登場するので、推しキャラができやすい作品だと思うんです。私は個人的にゴブゾウやゴブタといったゴブリン族が大好きなのですが、そういった推しキャラたちの日常を見られることが魅力だと思います。

――ちなみにゴブゾウのどんなところに惹かれるのですか?

熊田 見ていてほっとけないところです。ゴブゾウはずっとぼーっとしていて、いつも何かしらに巻き込まれてしまうので。
でも『転スラ』のTVアニメ第2期で、自分の身を省みることなくシュナを護るシーンがあって、号泣しました。

――熊田さんは『転スラ日記』にも引き続きエレン役で出演されているとのことですが、アフレコはいかがでしたか?

熊田 『転スラ』は私が初めて声優として参加した作品でしたので、2期のアフレコでは、自分の成長した姿を皆さんに見せたくて、少し気負っていたんです。でも『転スラ日記』で描かれるのは日常なので、普段のエレンちゃんを大切にしたくて、気合いは入っているけど気負い過ぎず、自分がエレンちゃんになり切って、生活感を大切に演じました。

――そんな『転スラ日記』のオープニング主題歌となる「Brand new diary」は、『転スラ』第1期のオープニング主題歌「Nameless Story」「メグルモノ」を歌った寺島拓篤さんが作詞を担当、STEREO DIVE FOUNDATION名義で第2期エンディング主題歌「STORYSEEKER」を担当したR・O・Nさんが作編曲した爽やかなロックチューン。楽曲を受け取ったときの第一印象を教えてください。

熊田 憧れのR・O・Nさんが書いてくださった楽曲ということもあって、聴いた瞬間から「素敵な曲!」と思いました。でも、なぜか作詞をしたのは誰なのかを誰も教えてくれなくて。その後、「ネムルトビラ」(2020年11月リリースの配信シングル)をレコーディングした日に、同時進行で「Brand new diary」のプリプロをしたんですけど、その作業がひと段落してスタッフさんたちとお話していたら、突然、寺島さんがいらっしゃったんです!

――サプライズで知らされたんですね(笑)。

熊田 寺島さんとは以前にアフレコで一度お会いしたきりで、正直、自分のことを覚えてくださっているかもわからなかったので、「熊田茜音です!」とご挨拶をさせていただきました。そうしたら「実はこの曲を作詞してます」と明かしてくださって。私のレコーディング現場にはいつも密着のカメラが入っているので、多分いつかどこかで、私が「うひゃー!」と驚いている映像が使われると思います(笑)。

――それは驚きますよね。
寺島さんがほかの方に歌詞を提供するのはこれが初めてですし。


熊田 そうなんですよ! 本当に光栄なことです。この曲の歌詞をいただいたときから、“Sunny Sunny song”や“茜色”といったワードが入っていたので、誰が書いてくださったのか、ずっと気になっていたんです。

――たしかに。熊田さんのデビュー曲「Sunny Sunny Girl◎」を彷彿させる言葉が歌詞に散りばめられているんですよね。

熊田 なので「これは絶対に私の活動を追ってくださっている方だよなあ」と思って。スタッフの方からは「(作詞者が誰かは)絶対に予想できない」と言われていたので、「もしかして(ランティスの)ディレクターさん?」って本気で思っていたんですけど(笑)、まさか寺島さんだとは思いませんでした。寺島さんが「『転スラ日記』という作品にも寄り添いつつ、熊田さんがこれからアーティストとして歌い続けていくうえでも良い曲になってほしいので」とおっしゃってくださったときは、すごく嬉しかったです。


色とりどりの日々に寄り添ってくれる、熊田流ロックソング!
――クリエイター陣を含め『転スラ』らしさのある曲になりましたが、熊田さんのお気に入りポイントは?

熊田 たくさんありますけど、まず出だしの部分から何かが始まる雰囲気を感じてワクワクしました。サウンド的に特に好きなのが、落ちサビ後のギターソロで、初めて聴いた瞬間に「うわー! かっこいい! こういう曲を歌いたかった!」って思ったんです。私は昔からロックなサウンドが好きなんですけど、自分でそういう曲を歌うと「ちょっと違うかも……」という気持ちがあったんです。自信がなくて。


――そうだったんですね。

熊田 だけどこの曲は、私でも歌いやすいポップさを入れてくださったうえでのロックだったので、「これは私が歌えるロックだ!」と感じて。それとR・O・Nさんの楽曲には必ず「あれ?」と思わせるポイントが入ってるのがすごく好きなのですが、この曲もサビではライブで盛り上がるようなイメージがありつつ、“願いのかけらが~”の部分からスッと音色が変わっていくところに、R・O・Nさんを感じました。

――たしかにあそこの転調していくパートはこの曲の肝になっていると思います。あと、この曲はギターだけでなく、ピアノが前面に出ているところもポイントに感じました。

熊田 私もそう思います! 以前からスタッフさんが、私にはピアノロックが合うんじゃないか?ということを言ってくださっていたんですけど、今回、R・O・Nさんに最上級の形のピアノロックを作っていただきました。ピアノの音が入ることによって、ガツガツしたロックさが中和されるといいますか。レコーディングのときも、すごくすんなりと自分の中に入ってきたので、これからもピアノロックの曲を歌っていきたいなと思いました。

――歌詞のお気に入りポイントは?

熊田 “空色のノート”や“晴れ時々色とりどり”には日記っぽさを感じますし、“無邪気に不器用に さぁ ページをめくって”というフレーズも大好きです。私はすごく不器用で、自分でも「もーっ!」って思うことが多いんです。そのことをコンプレックスに感じていたんですけど、この曲を歌って「ああ、不器用でもいいんだ」と思うことができて。これからは不器用でもいいからみんなを巻き込んで楽しく生きて行こう!と思うようになりました。


――“空色のノート”や“色とりどり”といったフレーズは、今年1月にリリースされた配信アルバム『Colorful Diary』のテーマとも通じる部分がありますよね。

熊田 『Colorful Diary』の次のリリースが「Brand new diary」になることを知ったときはすごくドキッとしました。私は色んなことが楽しくなる性格で、一年中、毎日、色とりどりの日々でありたいので、自分の気持ちにもピッタリだし、『転スラ日記』の内容にも合っていて、すべてが一致したと思いました。

――熊田さんは普段から日記を書くタイプですか?

熊田 はい。私はいつもスケジュール帳に予定を書いているのですが、毎日、その日の良かったことや感じたことを書く“一言日記”というのをつけていて。例えばレコーディングのときに、「今、異空間に行った感じだったな」とか、抽象的な感情を感じることが多いんですけど、そういう説明はしにくいけど、自分の中でこの感情は大切にしたほうがいいなと思えた出来事を、一言だけ書く日記をずっと続けています。

――歌声からはこれまで以上の力強さがあって、ロッキンなかっこよさを感じました。

熊田 きっと私自身、相当こういう曲を歌いたかったんだと思います(笑)。ディレクターさんから「こういう曲調が好きなんだね」と言われたぐらいなので。この曲はキーも最初からドンピシャで、テンポも含めてすごく自分に合う形で、レコーディングでもスムーズに歌うことができました。突き抜けて楽しく歌ったら、それがOKテイクになって。録り直した部分も少なかったですし、歌っているときは自分がレコーディングブースにはいない感覚がありました。


――逆にどういうところで歌っている感覚だったんですか?

熊田 説明が難しいんですけど、すごく開けたところにいる気持ちでした。私はマイクだけに向かって歌うと、狭い表現になってしまうのが嫌なので、日本武道館で歌っているのを想像しながらレコーディングすることがあるんですけど、今回はそれを想像する間もなく飛んでいけるような曲だったので、きっと楽曲が寄り添ってくれたんだと思います。曲と詞と自分の一体感がありましたし、すごく気持ち良かったです。

――先ほどサウンド面でのポイントとおっしゃっていた、2番サビ後の転調するパートでは、歌の逞しさも増してグッとエモくなりますが、そういった歌の抑揚をつけるうえで気を付けた部分はありますか?

熊田 この曲に関しては本当に気持ちのまま歌ったので、特別歌声に変化をつけようとは考えていなかったのですが、この部分は意志の強さを感じさせる部分で、サウンド的にも切ない要素が組み込まれているので、色んなものを全部自分の力にして、みんなと一緒に飛んでいきたい!っていう気持ちが自然と歌にこもりました。

――そのあとの落ちサビの箇所は切々とした歌い口になっていますが、ここも楽曲の雰囲気に合わせて自然に出てきた表現でしょうか。

熊田 自然に出たものですが、ここは配信アルバムでの経験が強く出たと思います。私は元々、自分の陰の部分を見せたくなかったのですが、配信アルバムで色々な歌を歌ったことで、陰の部分も見せ方によっては聴いてくださる方も苦しく感じるわけではないことを学べたので。この曲も結果的には前を向いている楽曲だし、その意味で、自分の陰の部分も程よく込めて歌うスキルが、少しだけ身についたのかなと感じました。

――ちなみに、レコーディング時にR・O・Nさんとはお会いしましたか?

熊田 今回は残念ながらお会いできていないのですが、3年ほど前にランティスの新年会で初めてお会いしてご挨拶したときに、「熊田さんにはすごく芯の強い曲が似合うと思う」と言ってくださったんです。そのことがすごく嬉しくて、自分の中にずっと残っていたんですけど、今回の曲はR・O・Nさんがそのときの印象を込めてくださったのかなと、個人的に思っています。

――『転スラ』との縁も含め、色々な繋がりがリンクして生まれた曲だったんですね。MVでは、熊田さんがバンドをバックにパフォーマンスしていますが、撮影はいかがでしたか?

熊田 今回、初めてスタンドマイクを使って撮影したのですが、マイクスタンドを振り回そうと思っていたのに、想像していたよりも重たくて全然上手くいかなかったんです。
もう棒立ちしか成す術がなくて、「どうしよう……」って本当に泣きそうになってしまって(笑)。でも、監督さんが「好きに動いていいよ」「ライブみたいに歌っちゃっていいよ」とおっしゃってくださって、リラックスしながら撮影できたので、なんとかいいテイクを撮ることができました。

――ロックな衣装も似合っていました。

熊田 ありがとうございます! 珍しく赤リップで、パシっと憧れのロックをやりました。今回着ていたライダースジャケットは、スタイリストさんがこだわってスタッズを1つ1つ手打ちで付けてくださったんです。それが15時間もかかったらしくて。なので着るときには愛情を感じました。

――バンドシーンのほかにも、ストーリー性を感じさせる様々なシーンが登場しますね。

熊田 私は昔から体全体を使ってお芝居をするのも好きで、ドラマを観ながらモノマネをしたりしていたので、楽しく撮影することができました。台本を読み込んでいるシーンがあるんですけど、あれは本物の『転スラ日記』第1話の台本なんです。個人的には、後ろにライトがたくさん置かれている夜のシーンがお気に入りです。セットチェンジでスタジオに戻ってきたらあの空間が出来上がっていて、本当に異空間みたいで「ハリー・ポッター?」と思っちゃいました(笑)。あのシーンでは、バンドシーンとのギャップをお見せしたくて、気合いを入れてちょっと大人な自分で頑張りました。


みんなと手を繋ぎながら風を感じて――nano.RIPE提供の「まほうのかぜ」
――もう一方の楽曲「まほうのかぜ」は、TVアニメ『スーパーカブ』のオープニング主題歌。まずは『スーパーカブ』という作品の印象についてお聞かせください。

熊田 原作小説のコミカライズを読ませていただいたのですが、すごく面白くて一気に読んでしまいました。主人公の女の子は、どちらかと言うと内にこもるタイプで、自分に自信がなくて、なかなか周りに馴染めなかったりするのですが、それが自分の学生時代と重ねられる部分が多くて。彼女がスーパーカブに出会ってからの人生の変わり方や、好きなことに対する情熱にも、すごく共感できたんです。作品の全体的な雰囲気としては、灯りがほわっと灯るような優しい世界観なのですが、登場人物たちの意志の強さ、好きなことに対する熱意が魅力的な作品だなと思います。

――主人公の小熊はスーパーカブに出会って人生が変わりますが、熊田さんは何に出会って人生が変わりましたか?

熊田 私は音楽です。音楽に出会ってから世界が開けたし、日本の音楽だけではなく、海外の楽曲や女性・男性を問わず色んな曲を聴くようになってから、すごく視界が広がって、一気に楽しくなったんです。しかも音楽は触れやすいものなので、自分でどんどん調べていって、色んな曲に触れるたびに、明るくなっていって。理由はわからないけど、だんだん自分にも自信がついて、外に出ていきたい気持ちが生まれて。いつの間にか熱中していたので、そういう部分を小熊ちゃんと重ねて「わかるよ」と思いました。私は学生時代のその経験が、今にもすごく良い影響を与えていると思うので、今そういうことを感じている若い子にも良い出会いがあればいいなと思います。

――熊田さんが歌われる「まほうのかぜ」は、nano.RIPEのお二人による提供楽曲になりました。

熊田 nano.RIPEさんの楽曲は元々聴いていて、自分の中ではロックでかっこいい印象があるのですが、この間ヒーラーガールズ(礒部花凜・熊田茜音・堀内まり菜・吉武千颯によるコーラスユニット)で「ハナノイロ」をカバーさせていただいたときは“癒しの歌”という解釈で歌ったんですよ。でも、この間、配信ライブ(“日清食品POWER STATION [REBOOT] presents Virtual anisong power JAM!!!Produce By Lantis”)でnano.RIPEさんとご一緒したときに、「ハナノイロ」を歌われているのを観て、すごく強い曲なんだなと思って。

――nano.RIPEはライブのパワーがすごいですからね。

熊田 “涙の雨が頬をたたくたびに”という部分も、きみコさんは真っ直ぐな瞳で歌われていて。見ている側が生命力をもらえるような力強さがあって、それを目の前で観たときに、自分にはまだできない表現だということを感じました。でも、それは悔しくはあるけど、悲しいことではなくて。そういう先輩がいてくださり、上限が見えないっていうのはすごく良いなあと思いました。

――そんなお二人に書いていただいた楽曲を最初に受け取ったときの印象はいかがでしたか?

熊田 風が吹くようなサウンドが「まほうのかぜ」というタイトルにぴったりで、すごく好きな楽曲でした。イントロの「トゥトゥ♪」というコーラスがすごくかわいいなあと思って。しかもきみコさんが仮歌を歌われていたので、「うわーっ!」と興奮してしまって(笑)。その時点で素晴らしい作品として私の手元に届いたので、「これを自分がどう表現するか?」という作業から始まりました。

――自分らしいアプローチを探っていったわけですね。

熊田 しかも、この曲は去年の夏頃のレコーディングだったので、配信シングルもまだほとんど歌っていない状態だったんです。なのでまだ自分の中で歌に対する悩みが多い時期で。歌詞を朗読して、きみコさんの歌も聴き込んでから、レコーディングに臨みました。

――作品のトーンに合ったゆったりしたテンポの楽曲で、歌詞もかなり作品に寄り添った内容ですよね。

熊田 たしかに“ギアを上げて”とかバイクを連想させる言葉が多いのですが、私は最初に受け取ったとき、この歌詞が自分の心にスッと入ってきて。楽曲自体は柔らかくて温かみのあるサウンドですけど、歌詞には意志の強さがすごくあって、きみコさんらしさを感じたんです。優しいし、かわいいし、みんなと一緒に手を叩きたくなるような内容なんですけど、それと同時に、強い思いがないと歌えないなと思って。

――というのは?

熊田 私はこの曲を聴くと、すごく柔らかいのに、切なくもなるんです。歌詞に“私ひとりでは作れない風だ”とありますけど、私にとっては出会いの1つ1つが宝物で大切だから、その気持ちにすごく重なって。自分は周りの方たちがいなかったら今こうしていられなかったし、初心を思い出すというか、ちゃんと周りのことが見えているのが良いなあと思ったんです。無理なく引っ張ってくれるんですよね。今までになかった自分の感情を呼び起こしてくれたように感じました。

――そのある種の切なさも感じる要素は、この楽曲を歌う際にも影響がありましたか?

熊田 ありました。小熊ちゃんはあまり自分からガツガツいくタイプではないですけど、ちゃんと熱意を持っていて。私も楽しいことばかりではないし、悔しい想いもあるけど、でも絶対に前を向いていたいから。歌詞に“坂道 いばら道 諦めるばかりじゃつまらない”とありますけど、自分を奮い立たせてくれるような楽曲だったので、私もみんなに伝えたいこと、色んなことがあるけど、未来に向かって明るい道を寄り添って歩きたいという気持ちを込めて歌いました。ただ、レコーディングでは苦戦しまして。意志が強いあまりに“戦い”に出てしまったんですよね。

――“戦い”というのは?

熊田 私は人に頼ってはいけないという気持ちが昔から強くて。それは自分がお姉ちゃんだからというのもあるのかもしれないですけど(熊田には妹がいる)、その根底には「自分の力でやりたい」というのが大きくて。その今までの経験上、“私はもうひとりじゃない”とか“諦めるばかりじゃつまらない”という歌詞に入り込み過ぎてしまったんです。だけど、この曲はもっと横に並ぶ人たちとの繋がりを意識しながら、爽やかで明るい楽曲にしたかったので、自分の理想と表現がちぐはぐになってしまって。でも、一度自分の気持ちをガーっと吐き出して歌ったあとに、一旦休憩して録り直したら、肩の力を抜いてスッと歌うことができて。そこで納得のいくものを録ることができました。

――「まほうのかぜ」という曲名の通り、気持ち的にも余裕や風通しの良さが必要な曲なのかもしれないですね。

熊田 この間「日清食品POWER STATION[REBOOT] presents virtual anisong power JAM!!! Produce By Lantis」で初めて歌ったときに、みんなと手を繋ぎながら風を感じて一緒に歩いて行きたい!という感覚がスッと入ってきたんです。でも、自分でこのライブを観返して思ったんですけど、まだすごく未完成だと思いまして。多分この曲は、みんなと同じ空間で歌って初めて完成されるんだと思いますし、未完成さも含めてこの曲なんじゃないかなと思います。『スーパーカブ』の主人公も、私自身も未完成ですし。きっと歌うたびに成長していく曲だし、みんなと一緒に成長していく曲だと思います。


いつでも新しいページを開く彼女の、新しい“始まり”
――「まほうのかぜ」のMVについてもお聞かせください。自然に溢れたロケーションで自転車に乗っている熊田さんが印象的な映像ですね。

熊田 これは自分から「できれば黄色い自転車に乗りたいです」と希望を伝えていました。そうしたらスタッフさんが準備してくださっていて。自分から発信したことが形になることがすごく嬉しかったです。それと道を走っているようなイメージをお伝えしたら、監督さんから「じゃあ空を飛んじゃう?」とご提案いただいて、クレーンを6メートルぐらいの高さまで上げてもらって撮影しました。まさかこんな体験ができるとは思っていなかったので、クレーンが出てきたときはすごくテンションが上がりました(笑)。

――怖くなかったんですか?

熊田 周りからは「大丈夫?」って心配されたんですけど、私は高いところが好きなのですごく楽しかったです(笑)。栃木の牧場で撮影したんですけど、朝の4時半集合で、すごく寒かったんですよ。でも、監督さんがとても熱い方で、「茜音ちゃんが衣装なのに、俺が上着なんて着てられない!」と言ってくださって(笑)。ドローンを使った撮影もしたり、映像はずっと憧れだったフィルムっぽい色合いにもしていただいて、やりたいことがギュっと詰まったMVになりました。

――映像を観ていても、熊田さんがすごく楽しそうだなと思って。

熊田 ただただはしゃいでる熊田が映っています(笑)。

――その意味では、今回のアーティスト写真もすごくいいんですよね。公園の遊具で遊んでいるカットを選ぶのが、熊田さんらしいなと思って。

熊田 これは本当に遊具でグルグル回って遊んでいるところを、カメラマンさんがその遊具の中から撮ってくださったんです。今回、ジャケットの写真もそうなんですけど、いつ撮られていたのか自分でもわからなくて(笑)。キメのカットも撮ったんですけど、まさかこのカットが使われるとは思わなかったですし、「私、このときはこんな表情をしてたの!?」と思いました。

――「Brand new diary」の歌詞の“無邪気に”じゃないですけど、この写真には熊田さんの魅力が集約されているように感じました。

熊田 最初は絶対に清楚のほうがいいと思っていたんですけど、スタッフさんたちにはもうバレてるみたいです(笑)。

――やっぱり自然体が一番ですから(笑)。最後に、今回のシングルはご自身にとってどんな作品になりましたか? その手ごたえについてお聞かせください。

熊田 新しいことに挑戦できたことで、また新たな始まりに立てたと思いますし、ここから熊田茜音がまた始まっていくんじゃないかなと思います。その意味では、私は常に“始まり”にいるのですが(笑)。今までレコーディングを重ねてきたことによって、写真も含めて自分らしさはダントツで表現できた作品になったと思うので、ぜひ聴いてください!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

●リリース情報
熊田茜音 両面A面2ndシングル
TVアニメ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』/『スーパーカブ』オープニング主題歌
「Brand new diary / まほうのかぜ」
4月21日(水)発売

【アーティスト盤(CD+BD)】

品番:LACM-24096
価格:¥2,970(税込)

<CD>
01.Brand new diary
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:R・O・N
02.まほうのかぜ
作詞:きみコ 作曲・編曲:佐々木淳
03.Brand new diary(Instrumental)
04.まほうのかぜ(Instrumental)

<Blu-ray>
01.Brand new diary(Music Clip)
02.Making of Brand new diary
03.まほうのかぜ(Music Clip)
04.Making of まほうのかぜ

【転スラ日記盤(CD Only)】

品番:LACM-24097
価格:¥1,320(税込)

<CD>
01.Brand new diary
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:R・O・N
02.まほうのかぜ
作詞:きみコ 作曲・編曲:佐々木淳
03.Brand new diary(TV size)
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:R・O・N

【スーパーカブ盤(CD Only)】

品番:LACM-24098
価格:¥1,320(税込)

<CD>
01.まほうのかぜ
作詞:きみコ 作曲・編曲:佐々木淳
02. Brand new diary
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:R・O・N
03.まほうのかぜ(TV size)
作詞:きみコ 作曲・編曲:佐々木淳

(C)柴・伏瀬・講談社/転スラ日記製作委員会
(C)Tone Koken,hiro/ベアモータース

関連リンク
熊田茜音 公式サイト
https://kumaka.jp/

熊田茜音 公式Twitter
https://twitter.com/official_kumaka

熊田茜音 公式Instagram
https://www.instagram.com/kumadakane_official/

熊田茜音 公式YouTube channel
https://www.youtube.com/channel/UCM_5BE5ckx_PQdYcBRkuMhg

TVアニメ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』公式サイト
https://www.ten-sura.com/anime/tensura-nikki

TVアニメ『スーパーカブ』公式 サイト
https://supercub-anime.com/
編集部おすすめ