2010年7月21日にシングル「君がいる場所」でソロアーティストとしてのキャリアをスタートさせた声優高垣彩陽。高い歌唱力とその人懐っこいキャラクターで多くの支持を集めてきた彼女も、昨年ソロキャリアとして10周年を迎えるに至った。
そして今回、10年という歩みの中で様々な縁によって生み出された楽曲をコンパイルした初のベストアルバム『Radiant Memories』をリリースした。このインタビューでは、そんな彼女のキャリアと楽曲たちをじっくり振り返ってもらった。

高垣彩陽を初めてアニソンアーティストとして認めてもらった場所
――高垣さんのソロ活動10周年を記念したベストアルバム『Radiant Memories』がリリースされました。まずは2020年にソロアーティストとして10年のキャリアを数え、今の気持ちは?

高垣彩陽 ソロとしての活動が10周年を迎える前にスフィアの10周年もありまして、10年という期間を振り返ったりすることがここ最近何度かあったのですが、あまり実感がないんですよね(笑)。デビュー当時はこうして10年も続けられるとも思っていませんでしたから。ただ必死に目の前にあることを1つずつ必死にやっていたら10年経っていた、という感じです。

――スフィアとソロアーティストとそれぞれ10周年を経験したわけですが、気持ちに違いはありますか?

高垣 結構違いますね。ソロアーティストとしての活動に関しては事務所に入るきっかけとなった“ミュージックレインスーパー声優オーディション”を受けるときから「いつか歌える声優になりたい」っていう夢をもっていました。でも、実際には事務所に入ってから二度ほどソロデビューの話があったものの、タイミングが合わずになくなってしまったこともあったんです。そんなときに同期が先にソロデビューをしていったり、スフィアの結成が決まったときも、ありがたいと思う一方で、「高垣彩陽としてはアーティストデビューすることはないんじゃないか」みたいにも思っていました。そんな苦しさや焦りを感じていた時期も経てのソロデビューから10年なので、思い入れもひとしおですね。

――そうしたなかで自身の念願が叶ったのが2010年7月21日、最初のシングルとなる「君がいる場所」ですね。


高垣 『世紀末オカルト学院』というアニメにキャストで出演させていただくことになって、そこでのご縁に恵まれてエンディングを歌わせていただくことになり、ソロデビューという流れでした。ソロデビューできなくてもどかしかった時期含めて「やっとその時が来たんだな!」と思ったのをよく覚えていますね。

――2010年というのは高垣さんのソロキャリアにおいても大きな転機となったわけですが、この年末には“リスアニ!LIVE 2010”にもソロで出演していただきました。

高垣 そうなんですよ! リスアニ!さんといえば、高垣彩陽を初めてアニソンアーティストとして認めてもらった場所、そう思っているんです。ソロでフェスに出させていただいて、そこで高垣彩陽がソロアーティストとして自分の曲を歌ったのはあのときが初めてでしたから。あのときは「認めていただいた」と思えてすごく嬉しかったです。当時着た衣装とかまだ実家にとってありますよ。自分で用意した青いドレープの服なんですけど。

――あれから10年という時間を集約したのが今回の『Radiant Memories』。制作にあたって選曲で悩まれたりということはありましたか?

高垣 かなり悩みました。私、すごく優柔不断なので(笑)。私の楽曲ってこれまでありがたいことにタイアップで歌わせていただくことが多かったんですよ。
そうなると作品に合わせて楽曲が作られるのでジャンルが多岐に渡るんですよね。ファンタジーっぽい楽曲もあればアップテンポのバトルものもありますし、なかには大陸系の音楽に近いものもあったりして。そういうものを全部ひっくるめたアルバムにしようと思ったときにどの曲を選ぶかすごく迷って、最終的にはマネジメントと音楽チームで話し合って投票して決めました。

私が私のまま曲に向かい合えばそれが高垣彩陽の曲になる
――今回は限定盤に付いてくるBlu-rayでベスト盤には収録されていない楽曲も、ライブ映像として収録されていますね。

高垣 実を言うと収録曲を完全にしぼり切ることができていなくて……。もっとたくさん入れたい曲があった中から「ライブの印象が強いよね」という意見が出た曲を限定盤についてくるBlu-rayに入れたんです。私の優柔不断さがこういうところにも表れています(笑)。

――ここからは今回収録されている楽曲についてお話を伺っていきたいと思います。まずは1曲目、デビューシングルの「君がいる場所」ですが、ご自身の中でこれは外せないという想いがありましたか?

高垣 やはり外せない曲でしたね。ベストを作るとなったときに1曲目は絶対「君がいる場所」にしようって真っ先に思いました。



――ご自身の楽曲として初のレコーディングだったと思うのですが、難しい部分はありましたか?

高垣 この楽曲をリリースするまでもキャラクターソングを歌った経験はあったんです。ただ、キャラクターソングってキャラクターという拠りどころがあるので、私の中ではアフレコの延長線上に歌があるんです。
キャラクターがセリフとして言えなかった想いを歌で補ったり、キャラクターの魅力を楽曲に乗せて伝えたり……という感じで。でも自分の曲となるとそれがない、高垣彩陽としてこの曲を歌わなければいけないってことになるじゃないですか。それがすごく難しくて、レコーディングのときに何度も「キャラを作らないで」って言われたのを覚えています。別に作っているつもりはないんですけど、これまで自身の楽曲として歌ったことがなかったので私の中に高垣彩陽という軸がなかったんですよね。なので歌いながら少しずつ自分自身という軸を構築していきながらのレコーディングでした。

――「君のいる場所」のレコーディングを経験することによって高垣彩陽としての楽曲へのアプローチを培った、ということなんですね。

高垣 そうですね。結局行き着いたところは「あんまり考えなくていいや」なんですけど(笑)。高垣彩陽らしさみたいなものがどこにあるのか、というのはまだ自分の中でも言葉にできないんです。でも、私が私のまま曲に向かい合えばそれが高垣彩陽の曲になるんだ、というのは感じていて。そこに至るまでは仮歌の方のレコーディングとか見学に行ったりして「自分の歌」というのものがなんなのか探ったりしていましたね。

――高垣さんにとって「君がいる場所」がとても大切な楽曲だということが伝わってきます。
そこから2曲目に選ばれたのが2ndシングルである「光のフィルメント」。


高垣 この曲はTVアニメ『伝説の勇者の伝説』のエンディングとして歌わせていただきまして。私自身もフェリスという役で出演させていただいたアニメなんですけど、とにかく現場がすごく楽しくて、今でもすごく好きな作品なんですよ。あと、この作品で福山 潤さんと小野大輔さんとラジオをやらせていただいて、そこで私のダジャレが培われたと思っています。この作品には色んな意味で影響受けていますね(笑)。



――なるほど(笑)。そこで自身の歌唱がエンディングに流れることも大きかったわけですね。

高垣 アフレコがスタートしたときは、私がエンディング歌うという話は全然出ていなかったんです。でも後期に入ったときに「エンディングは高垣さんにお願いします」って言っていただけて。この楽曲はeufoniusさんに作っていただいたんですけど、それは私からリクエストをしたんですよ。『true tears』でeufoniusさんに出会って以来ずっと大好きで、『伝説の勇者の伝説』はアニメの音楽制作のレーベルが(eufoniusが作品をリリースしていた)ランティスさんだったのもあってお願いしてみました。本当に色んなご縁に恵まれて生まれたのがこの曲なんです。


――そして「たからもの」。こちらはこれまでのアニメタイアップではなくご自身も出演されたドラマとのタイアップということで。

高垣 そうなんです。私、当時は自分自身がTVドラマに出るようなお仕事が来るなんて想像もしていなかったんです。それがスフィアの日本武道館ライブで舞台をやったことがあって、それを観てくださった方が私にオファーしてくださり、まさかのドラマ出演をすることになりました。「春休みの恋人」というドラマで、高校生の子たちの卒業から春休みを経て次のスタートまでを描いていた作品だったんです。そのなかで私が演じた倉持紅緒という子が歌う卒業ソングとして作られたんですよ。



――ドラマ出演に関しては想像もしていなかった、とのことでしたが、実際に出演してみた印象はいかがでしたか。

高垣 全然知らない世界に飛び込んだ感じでしたね。役者としてもすごく大きなチャレンジでした。いただいた末光 篤さんの楽曲は本当に素晴らしくて、そこに私がデビュー当時からお世話になっているmavieさんがとてもいい歌詞を提供してくださって。最高の卒業ソングになったと思っています。


――本作がリリースされたのが2011年、時期的にも3.11後のリリースとなりました。そういった部分でも感じるところはありましたか?

高垣 すごくありましたね。ドラマの放送もその時期だったので私自身も楽曲に描かれていることも含めたくさんのことを考えさせられました。ドラマ作品という枠を超えてこの曲には本当に色んなものが込められていると感じて、そういった部分でもすごく特別な1曲です。

――最初の3曲はご自身の初期シングルからのチョイスでしたが、そこから次にアルバム『relation』から「ソプラノ」が入ります。

高垣 『機動戦士ガンダム00』との出会いがあって、そこで石川智晶さんと出会えたから生まれた曲ですね。声優としてデビューする前から智晶さんの楽曲はずっと聴かせていただいていたんですよ。それで、1stアルバムの表題曲をどういった方に作ってもらいたいかな、ということを考えたときに智晶さんに作っていただきたいと思ってお願いしました。



――曲を作っていただくにあたってどのようなお話をされたんですか。

高垣 実はこの曲は直接の打ち合わせとかをほとんどしていなくて。私の今までの歌やコンサートの映像を智晶さんが観てくださって、それを元に曲ををあげてくださったんです。私がまだ知らない私を智晶さんは見てくださったんじゃないかと感じました。レコーディングのときに智晶さんが「高垣さんはこの楽曲の歌詞みたいなところがあると思いますよ」っておっしゃられていたのがすごく印象に残っています。

自分の中にあるものを作品にしたい
――続いて同じく『relation』から「夢のとなり」。こちらは田淵智也さんと黒須克彦さんコンビによるロックオペラ。

高垣 以前に田淵さんにはお会いしたことがあって、そのときに「いつかご一緒したいですね」って言ってくださったんです。私もぜひともお願いしたいって気持ちがあったので、アルバムリリースのタイミングでお願いして書いていただいたんです。高垣彩陽らしさが伝わるような楽曲ということでお願いして、壮大なロックオペラを作っていただきました。もう歌詞も素晴らしいし、曲も素晴らしくて。田淵さんの書く歌詞って口馴染みが良くて歌っていて気持ちいい。本当に素晴らしい音楽だっていつも思っているんです。そんな田淵さんが私のために楽曲を作ってくださって、結果的にそれが私を代表する1曲になったと思っています。

――高垣さんのボーカル性が非常によく出ていますよね。続く「月のなみだ」はいかがでしょうか。

高垣 「十三支演義 ~偃月三国伝~」という乙女ゲームの主題歌なんですが、私、元々乙女ゲームが大好きで。なので自分が乙女ゲームの主題歌を歌えたのはすごく嬉しかったですね。あと、このゲームは私の同級生が関わっていまして。一人がキャラクターデザインをしていて、もう一人がコミカライズをしているんです。学生時代その子たちとお互いに夢を追って切磋琢磨してきた関係性がここで繋がったというのもすごく思い出深くて、これまでとは違った特別な想いがこの曲にはありますね。



――そして7曲目が「愛の陽」。こちらはEvan Callさんの作編曲で、初めて聴いたときは「これは高垣さんしか歌えないよな」と思いました(笑)。

高垣 ありがとうございます。「愛の陽」がノンタイアップで初めてリリースするシングルだったんです。なので、これまでタイアップは、作品の世界観に寄り添いながら歌っていたのにいきなり「好きなことやっていいよ」って話を振られて。「どうしたいかな」というのを考えた結果行き着いたのがクラシカルでありながらもインパクトのある曲をやりたい、ということだったんです。それでTVアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』で出会ったEvanさんにお願いして作っていただいたんです。Evanさんはクラシックにも精通しているのでオーケストレーションやコーラスの作り方とか壮大でかっこよくて。そんなEvanさんに自分の楽曲を作っていただけて嬉しかったです。



――非常に壮大な楽曲ですよね。

高垣 そうですね。この曲は先に曲が出来上がって、あまりに壮大で、それに加えて今回曲のテーマを「愛」にしたいというのは前から思っていたので。誰に作詞をお願いするかすごく迷いました。そこで頭に浮かんだのが「キグルミ惑星」を書いてくださった只野菜摘さんだったんですよ。あの「キグルミ惑星」を書ける只野さんだったらきっと素敵な歌詞を書いてくださると思って。結果的に歌詞含めて本当に壮大な楽曲ができて、とてもありがたかったですね。

――続く「3 leaf clover」からはアルバムの景色が変わっていくのを感じました。

高垣 「愛の陽」がすごくインパクトのある楽曲なので、その次は楽に、フラットに聴ける楽曲がいいと思ったんです。それで選んだのがこの「3 leaf clover」でした。この曲に関しては、私自身もとても気に入っている1曲なんですが、それ以上にスタッフの皆さんが気に入ってくださっていて。なかには「泣きたいときにこれを聴きながら一人酒をする」なんて話もあって(笑)。なので、カップリングの曲ではあるんですけど満場一致で入れましょう、ということになりました。身内人気がすごい(笑)。

――さらにそこから「Walking On Sunshine」「縁」と続く流れがとても気持ち良かったです。

高垣 「Walking On Sunshine」は2ndアルバム『individual』のリード曲なんです。このアルバムを制作していたときに私は29歳で、リリースしたときには30歳になるという人生の節目で。私の中では20代から30代になるっていう大事件だったんですよ。今にして思えばただ歳を重ねただけなんですけどね。なのでここで改めてスタートを刻む、いわば新しい私のデビュー曲として作りたいと思ったんです。なのでデビュー曲を作っていただいた藤田淳平さんに曲をお願いして。作詞は最初期からお世話になっていたmavieさんですね。



――高垣さんと長く関わってきた二人だからこそ作れた記念碑的な楽曲だと感じました。

高垣 本当にそうなんですよ。mavieさんからいただいた歌詞を読んだら、打ち合わせで言ってなかった私の内面とかを汲み取って歌詞にしてくださっていて。読みながらmavieさんからお手紙をいただいたような気持ちになったんです。曲としても私の好きなミュージカルのような世界を作っていただいて、ストーリーも感じられて感激したのを覚えています。

――ご自身で作詞作曲をなさった「縁」についてもお伺いさせてください。

高垣 今回のアルバムの4曲目に選んだ「ソプラノ」を歌って以降、自分の中にあるものを作品にしたい、という想いが渦巻いていて。今までもちろん、言いたいことを歌に乗せてきたんですが、作詞家さんに気持ちを伝えてそれをより良い形で歌詞にしていただくという流れだったんです。でも、これまでの作り方とは趣向を変えて、この曲は自分の言葉と音で作ってみたくて。スフィアでもソロでもライブでお世話になっている籠島(裕昌)さんにアレンジをしていただきました。

――「縁」というタイトルに込めた想いは?

高垣 実はタイトルの「縁」というのはずっと前から考えていたんです。縁という言葉で、いつかみんなに「ありがとう」を届けられるような楽曲を歌うぞって。なのでフレーズなんかも自分のなかに少しずつ考えていて。それをやっと形にしたのがこの曲なんです。

――そして「Live & Try」です。

高垣 カノンさんを最初に知ったのはアニメの『金色のコルダ』で、そのときにエルガーの「愛の挨拶」というクラシックの楽曲をクロスオーバーさせた曲を歌っていたんです。それを聴いたときに「この方の曲すごく好きだ!」って思って。いつかご一緒したいとずっと願っていたんですよ。そうしたらノンタイアップで楽曲をリリースするタイミングをいただき再び好きなことをやっていいと言われたので、ここはカノンさんにお願いするしかないと思ったんです。それでカノンさんに私の大好きなクラシックの「カノン」をアレンジして楽曲を作っていただきました。



――歌詞の内容や世界観もこれまでとは違ったものが広がっていますよね。

高垣 私、ちょうどこの頃に一人で海外に行ったんです。それは自分自身にとってすごく大きなチャレンジで。そこですごく色んなものを得たし自信もついたので、この曲ではそのときの旅で感じたことだったりを歌詞にしたいと思いました。今回のアルバムが出るにあたって改めて歌詞を読み返したら、今この時代だからこそより深く心に響く内容になっていて。私の希望で今回のアルバムに収録することになった曲です。

本当に素晴らしいご縁に生かされている
――そしてここから「戦姫絶唱シンフォギア エンディングメドレー」そして「Lasting Song」という形でクライマックスとなるわけですが、「戦姫絶唱シンフォギア エンディングメドレー」はどのようにして生まれたんですか?

高垣 ここは私の優柔不断さが為せる技と言いますか(笑)。『戦姫絶唱シンフォギア』に関してはこれまでタイアップを5曲歌わせていただいていて、私のことをここで知ってくださった方も多くいらっしゃったと思うんです。だから『シンフォギア』関連の曲はすべて入れたいという想いはあったんです。ただ、14曲しか収録できないのでどうしても選ばなくちゃいけなくて…。だから、。なんとかメドレーにしていただけないか、とダメ元で藤田さんにアレンジをお願いしたんです。そうしたらありがたいことにOKしてくださって、本当に素晴らしいメドレーを作っていただけたんです。このときばかりは優柔不断でよかったと思いましたね(笑)。藤田さんの楽曲って元々緻密に計算されて色んな音が重なり合った上で出来ているじゃないですか。それが繋がって、曲と曲の合間にもものすごいワクワク感があって、聴いていてすごくアドレナリンが出るんですよね。かなり熱いメドレーなので作品ファンの方にも楽しんでほしいです。

――「Lasting Song」へ繋がる流れ、感動しました。

高垣 私としては「戦姫絶唱シンフォギア エンディングメドレー」と「Lasting Song」合わせて1つだと思っているのでそこは続けて堪能していただきたいです。プレビューのときに大きなスピーカーのあるスタジオで聴かせてもらったんですけど、もう音の圧がすごくて……。ビクッて身体が跳ね上がるぐらいに色んな音が混ざり合って体にぶつかってくるんです。ぜひこれはいいヘッドフォンだったりとか、環境が整う方はスピーカーで聴いていただけたらさらに臨場感を味わっていただけるのではないかと思います。



――そしてラストに収録されているのが新曲「Dear One」。こちらは高垣さんご自身で作詞をされていますね。ここまでの楽曲を聞いたうえで、この曲の一節目“ここまで遠く歩いてきたから”というのはすごく刺さりました。

高垣 ありがとうございます。

――上松範康さんと藤田淳平さんという馴染みの深いお二人との制作でしたが、どういった経緯で依頼したんですか?

高垣 いつか書いていただけたらと願っていたのですが、ちょうどスフィアのドキュメンタリー番組を一昨年撮らせていただきまして、そのときに上松さんがインタビューに答えてくれていたんです。そこで「高垣さんと一緒に曲が作れたらいいですよね」って上松さんも言ってくださったと聞いて、「ベストアルバムでお願いしよう!」となりました。最初は作詞もお願いできたらと思っていたのですが、打ち合わせで「今こんなことが歌いたいんです!」って話を上松さんにしたところ、「それだけ熱い想いがあるなら自分で書いたほうがいいですよ」って言っていただいて。そんなこんなで作詞は自分で担当することになりました。ただ、すごく悩んで、悩みまくって、実はレコーディングを二回飛ばしちゃっていて……(笑)。本当に周りにご迷惑をおかけしながらなんとか書き上げることができました。

――かなりこだわって作詞をなさったということですね。歌詞はどんな思いで書かれたのでしょうか。

高垣 最初は皆さんに向けた感謝の気持ちを込めようと思っていたんです。でも、今回のアルバムには「縁」を収録するので、感謝の想いはそちらに託していいのかな、と思って。なので今回は誰のためでもなく自分のために歌詞を書くことにしたんです。ベストアルバムに入る新曲が自分に対しての歌っていうのも自己中心的かな、とも悩んだりしたんですが、これを聴いてくださった方のなかには今の私の想いに共感してくださって、そこから何かを感じ取ってくれる方もいるかと思ったので、最終的にはそのままいくことに決めました。

――自分のための詞を書こうと思ったきっかけはなんだったんですか?

高垣 2020年って、私だけじゃなくて多くの方にとって自分と向き合う時間がすごく多かった年だったと思うんです。そんななかで私は自分と向き合って、自分のことがすごく嫌いになったんですね。

――嫌いに、ですか……。

高垣 自分の嫌な部分とかダメな部分とかを目の当たりにしてしまって。それで、自分を攻撃する気持ちになる時期が長かったんです。でもやっぱり少しでも愛せるようになりたい、今の自分を受け入れたいという想いを綴りました。

――実際に曲を聴かせていただき、MVも観させていただいて、これまで追ってきたファンの方にも刺さる部分、共感する部分がすごく多い感じました。MVも素晴らしくて、客席に座っていた高垣さんが、ラストシーンでステージに立って、歌う側に立つシーンは非常に印象的でした。

高垣 ありがとうございます。今はまだ不安の拭えない情勢ですが、自分が今いちばん行きたい場所、いちばんみんなに会いたい場所がコンサートホールなんです。それを映像に残したいという想いがあってMVはああいった感じに仕上がりました。



――やはり今、高垣さんの願望としてはステージに立ちたい、という部分が大きい?

高垣 そうですね。コンサートやりたい気持ちがやっぱり強くあります。会うことで生まれるエネルギーっていうのはすごく大きかったなっていうのはここ最近改めて感じてます。



――今後のアーティスト・高垣彩陽としても気持ちを新たにこの先のキャリアを進んでいこうと。

高垣 そうですね。今回インタビューをしていただいて、自分でも改めて1曲1曲を振り返ることができて。そのなかで自分が役者として、声優として、出会った人たちのおかげでこれまで新しい作品で生み出してこれたんだな、本当に素晴らしいご縁に生かされているなというのを改めて感じました。これからも声優、役者、歌手として人との縁を大切にしながら、許されるならば今後も歌い続けたいです。あとは、長く歌える体づくりも頑張っていかなければいけないなとも思いますね。

――コンサートはもちろんですが、そのほかでアーティスト活動の中で今やってみたいことはなんですか?

高垣 つい先日まではアルバムを作るのに必死で今後どうするか、ということは全然考えられていたなかったんです。でも、今はこの間までの自分と違って、色々とやりたいことが思い浮かんでどこから手をつけようかな……という状態ですね。やっぱりものを作るって大変だけど楽しいんですよね。そんななかで1つ、今自分が作りたいのは……ダジャレの曲!(笑)。

――得意のダジャレを曲に!(笑)。

高垣 次にシングルがリリースできるのならダジャレの曲を入れたいと思います!(笑)。どなたか作品とかタイアップがあればぜひ! 喜んでダジャレの曲を歌いますのでよろしくお願いします!

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一

●リリース情報
『Radiant Memories』
発売中

【完全生産限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:SMCL-710~SMCL-712
価格:¥8,000(税込)

【通常盤(CD)】

品番:SMCL-713
価格:¥3,100(税込)

<CD>
01. 君がいる場所
02. 光のフィルメント
03. たからもの
04. ソプラノ
05. 夢のとなり
06. 月のなみだ
07. 愛の陽
08. 3 leaf clover
09. Walking On Sunshine
10. 縁
11. Live & Try
12. 戦姫絶唱シンフォギア エンディングメドレー BEST edit
13. Lasting Song
14. Dear One

<Blu-ray>
01. 「Dear One」Music Clip
02. 「Dear One」TV SPOT 15sec+30sec
03. わたしだけの空 from 1st concert tour 「Memoria×Melodia」
04. Defying Gravity from 1st concert tour 「Memoria×Melodia」
05. You Raise Me Up from 1st concert tour 「Memoria×Melodia」
06. Be with you from 2nd concert tour 「relation of colors」
07. 夢のとなり from 2nd concert tour 「relation of colors」
08. Brand New Smile from 3rd concert tour 「individual」
09. Ave Maria from 3rd concert tour 「individual」
10. 私の時計 from 3rd concert tour 「individual」
11. 風になる from 3rd concert tour 「individual」
12. 縁 from Making of 3rd concert tour 「individual」


関連リンク
高垣彩陽 公式サイト
https://www.takagakiayahi.com/

高垣彩陽 オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/takagakiayahi-blog//

高垣彩陽 10周年記念Twitterアカウント
https://twitter.com/ayahi_10th
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