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TVアニメ『かくりよの宿飯 弐』のOP主題歌「とおりゃんせ」とED主題歌「涙のレシピ」を収録したシングル「とおりゃんせ」が11月5日に発売された。大石昌良が作詞・作曲・編曲を担当した「とおりゃんせ」は、声優歌手・東山奈央の新たな一面を感じさせる楽曲になっている。

さらに「涙のレシピ」は、アニメ限定盤に収録されている「ひと匙の光」と同じコード進行の曲になっていて、この2曲が合わさった楽曲がアニメの第3話のエンディングで流れたことでも話題になっている。今回はOP主題歌のこと、そしてED主題歌での仕掛けについてを中心に、たっぷりと話してもらった。

INTERVIEW & TEXT by 塚越淳一

『かくりよの宿飯 弐』と
声優・歌手 東山奈央への想いを込めた曲

――アーティスト写真やジャケットの花がきれいですね。

東山奈央 これ、生花なんですよ!スタジオに入ったら、お花屋さんみたいで、きれいなお姉さんがいらっしゃったので、「この方は?」とお訪ねしたら、フラワーコーディネーターさんで、「今日の撮影はガチだ……!」と思いました(笑)。こんなに生花に囲まれるのは初めての経験で、本当はかんざしなどを頭に付けようかと話していたんですけど、お花が素敵だったので「これを付けちゃおうよ!」と、その場のノリで付けることになりました。頭に花を生けてもらうような斬新な体験でした。

――生花ならではの魅力が出ていますよね。

東山 写真の撮影で生花にしたので、MVはどうしよう!と思ったんですけど、MVもフラワーコーディネーターさんが来てくださることになったんです。撮影ごとに頭の花が変わるというのも良いなと思ったので、そこは再現性というよりは、花との一期一会を楽しむ感じでした。もちろん生花にしたことで、スタッフさんは大変になるんですけど、みんなでテンション高く気合を入れて取り組むシングルになりました。

――そもそも、花というモチーフはどこから来たのですか?

東山 ジャケットデザイナーさんとの打ち合わせの中で決まっていったんですけど、赤いカーペットが真ん中にあるのですが、その外側が少し怪しげな森になっていて、内側に入ってくるとお花が咲いていく。ここで、生と死ではないですけど、幽世(かくりよ)と現し世(うつしよ)の狭間をイメージしているんです。なので、現し世を表現するためにお花が咲いているっていうのはどうですか、というところから始まりました。

――このジャケットにはそんな意味が込められていたのですね。ちなみに【豪華初回限定盤(VICTOR ONLINE STOREのみで販売)】の特典のオリジナル箸もいいですよね!(笑)。

東山 これ、めっちゃ出来が良いんですよ!緑と黒のバイカラーというのもおしゃれですし、滑り止めも付いているし、なんと食洗機でも使えるんです!

――大事!(実物を見せてもらいながら)かなり高級感があって、長さもいいですね。

東山 かなり実用的ですし、男女問わずに使っていただける色がいいなと思ったんです。黒とか茶色は皆さんも持っている色だと思うので、おうちで食器入れに入っているときにすぐに見つけられるように、みんなが持ってなさそうな色で男女ともに使える色は、緑なのかなと思いました。

――東山さん演じる津場木葵の着物の色でもありますしね。相変わらずパッケージに気合いが入っていますね。

東山 熱量は見えるところから伝えていかなければ!と思っているので(笑)。

――収録曲もすごく豪華で、TVアニメ『かくりよの宿飯 弐』のOP主題歌とED主題歌が同時に入っていて、3曲目がそれぞれの形態で違う楽曲になっています。

東山 このインタビューの掲載が発売日付近であれば、話せることがたくさんあるんですよ!

――それは、【アニメ限定盤】の3曲目に収録されている「ひと匙の光」絡みのことですかね?

東山 そうなんです!ED主題歌の「涙のレシピ」が、私が演じる葵目線。そして「ひと匙の光」が大旦那様目線の曲になっているんです。そして、実はアニメでは大旦那役の小西克幸さんに「ひと匙の光」を歌っていただいていて、この2曲を合わせた「涙のレシピ ✕ ひと匙の光」が、アニメの第3話のED主題歌として流れることになっているんです(※インタビューはアニメ放送前に実施)。

この2曲は、アレンジも使っている楽器も、メロディラインも違う曲なんですけど、コード進行が同じなんです。そして、2曲をかけ合わせると1曲になるという仕掛けがあるんです。

――「ひと匙の光」を聴いているとき、「涙のレシピ」とあまりに似ていて混乱していたんですけど、そんな仕掛けがあったのですね!

東山 ただ、1曲ずつでも成立するように作っているので、この2曲をそのまま合わせると複雑になるところがあるんですけど、場所によっては追っかけみたいになる作りになっているんです。だから、作ってらっしゃる方も同じなんです。

――なるほど。「ひと匙の光」の詳しい話は後ほど改めてさせていただきますが、そもそもオープニングとエディングのダブルタイアップというのも、すごいことですよね!

東山 まず私としては『かくりよの宿飯』の第2期決定というニュースに驚きました。これだけ長い年月が経って続編が決まる作品って、そんなに多くないんです。しかも『かくりよの宿飯』は、絶えず動いていたコンテンツではなく、アニメのアフレコが終わってから、演じていない期間が長かったんです。ドラマCDやゲームの収録といった形でも演じる機会がなかったので、また葵たちに会えることが夢みたいでした。しかも第1期のOP主題歌「灯火のまにまに」は、私が歌手活動1年目のときに出会った曲で、日本武道館での初のワンマンライブで初解禁・初披露をさせていただいたので、いろいろな思い出が積もりに積もっているんです。しかも、ワンマンライブの前の日に第1期の「かくりよの宿飯」のアフレコもしているんですよ(笑)。本当にいろんな思い出が、この曲に紐づいているので、私にとって特別な作品なんです。

そんな作品に、ちょっと成長できた自分で再会できることが嬉しかったし、そのうえ、OP主題歌も続投させていただけて、またその作品の顔になる部分を任せていただけるんだ!と思って、身が引き締まる思いでした。ただ、ED主題歌に関しては、あとから決まったので「えっ!?」と、嬉しさ半分、プレッシャー半分みたいな感じでした。

――両方を同じ方が担当するというのも珍しいですよね。

東山 以前、TVアニメ『月がきれい』という作品で私は経験があるんですけど、あまりないですよね。そのときも驚きましたけど、今回はさらに驚きました。でもED主題歌を任せていただけたのも、葵目線で歌っている曲だから、ということで合点がいく部分はありました。本編でも葵がたくさんしゃべっていて、30分の中で自分が任された役割みたいなものが、それぞれ違うものだと思ったので、一つ一つ大切に届けていくことができたらなと思いました。

――OP主題歌「とおりゃんせ」を作るに当たり、大石昌良さんに作詞・作曲・編曲をお願いしようと思ったのはなぜですか?

東山 これは私自身の念願でもあったんですけど、実はオーイシマサヨシさんとはアニソンフェスで同じ日に出演する機会が多かったんです。そこで「いつかご一緒できればいいですね」というお話もさせていただいていたんですね。それで今回、誰に楽曲をお願いするかとなったとき、前回の「灯火のまにまに」が本当に素晴らしい楽曲で、今でもライブ定番の楽曲に育っているなかで、その曲のように皆さんに愛していただける新しい楽曲を生み出さないといけないよね、という気持ちがチームとしてあったんです。そこでスタッフさんから、「大石さんがいいと思う」という声が上がったんです。その方は、大石さんと接点のある方で、「素敵な曲を書いてくださる方だから、胸を借りましょう!」とオファーをしてくださって、私の念願も同時に叶ったということになりました。

――今や、アニソン界を引っ張る存在ですからね。

東山 はい!業界を第一線で駆け抜けられている大石昌良さんにキラーチューンを書いていただきました。大石さんも「なおぼうの曲が書けて嬉しかったで」と言ってくださったので、その言葉に恥じないよう、しっかり歌い上げたいなと思いました。

――「とおりゃんせ」は、賑やかな祭りのような感じの楽曲ですよね。

東山 そこは大石さん節なのかもしれないですね。「灯火のまにまに」は和ロックとして確立している曲なので、その印象を超えるという部分は、スタッフさんによる采配が強いと思うんですけど、かっこよさを極めるという方向ではなく、お祭りとか、妖の世界に迷い込んだカオス感みたいなものがプラスされた曲だったので、新しい境地に踏み出したんだなという感覚にさせてもらえたし、「こう来たんだ!」と思いました。しかも、仮歌のオーイシさんの歌が素晴らしすぎたんですよね(笑)。いつかこの曲もオーイシさんのセルフカバー集で歌ってほしいんですけど、私の「とおりゃんせ」と方向性が少し違うんですよ。特にラップ部分は、オーイシさんが歌うとすごくかっこよくて、「これ、私が歌いこなせるかな?もはやこのままでいいのでは?」という気持ちになりました(笑)。でも、きっと私に合うように作ってくださっているし、私にもできると思って書いてくださっているのだから頑張ろうと、食らいついて練習しました。

――仮歌も参考にしながら?

東山 はい!やっぱり一流の方の仮歌があるのはいいですね。そこからエッセンスをかなりもらえるんです。

最近だとAIで歌っている仮歌もあって、それもそれでまっさらな印象のまま自分色だけで歌えるという良さがあるんですけど、今回はオーイシさんのエッセンスをたくさんお借りしながら、自分にはない扉を開かせていただけたと思いました。だからすごく良かったです。

――それで、新しい境地ということだったんですね。

東山 ラップとかは歌っていくうちに手応えも感じていったので、レコーディングでは、スタッフさんも「こんな東山さんは初めて聴いたけど、向いてるね!」と言ってくださったので、良かったです(笑)。

――でも、ラップの経験はありましたよね?

東山 ここまでオラついた感じのパワー系のラップはあまりやっていないんですよ。K-POP系のクールなラップはやっていたんですけど。だからオーイシさんの仮歌がなければ私は途方に暮れていたと思います。レコーディングが終わったあとは、「これで自信を持ってオラつけます!」ってなりました(笑)。あと、レコーディングの前に仮レコーディングをして大石さんに聴いてもらったんですけど、「なおぼう、ここ(ラップ)でこのニュアンスを入れれんのや。びっくりしたわ」というようなことを言っていただけて、大石さんが思い描いていたものをちょっと超えることができたのかな?と思えて、嬉しかったです。

――あとは演歌っぽい、コブシっぽいところもあって。

東山 そこは仮歌ではなかったんですよ。

でも気がついたらコブシを入れていて(笑)。「灯火のまにまに」にも実はコブシっぽく歌っている箇所があるんですけど、そのときは打率低めだったんです。でも今回は、いつでもできます!みたいな感じだったので、地味なところかもしれませんが自分の成長を感じたし、これを入れたことによって、前作のオマージュ的なものにもなったので、良かったなと思いました。

――そして歌詞ですが、おっしゃる通り、作品に沿ったものでしたよね。

東山 1番は『かくりよの宿飯 弐』のテーマソングみたいな感じで、歌詞にアニメのタイトルが入ってくるような、どストレートな歌詞なんです。ただ2番の“別の世界で出会った人々に こんなにも涙が出るのはなぜだろう”は、現し世にいた葵ちゃんが、幽世にさらわれて来て、いろんな人に心を動かされてきたという意味があるのと同時に、大石さんはそこに「東山奈央が声優・歌手として作品に関わっている、その様子を描きたい」という意思を込めてくださったそうなんです。つまり、私がアニメの世界で出会った人々に、こんなにも涙がこぼれるのはなぜだろうという意味にしてくださったんですね。だからサビも“共鳴する役どころ パッと咲かそう!”という歌詞があって、私と葵が共鳴して想いを咲かすという意味に取れる。“境界線を飛び越え 会いに行くから”も、現し世と幽世という意味もあれば、2次元と3次元を行ったり来たりする声優としての私の在り方を歌ってくださっていて、エモエモな大石さんからのプレゼントになっているんです。

――東山さんのことも想われて書いてくれたのですね。

東山 本当に!心を込めて作っていただいたのを感じます。しかも最初の締切は、オーイシさんの2回目の日本武道館公演のときくらいだったので、超ご多忙なときにこの曲を書いてくださって、ありがたいです。

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大旦那目線の楽曲「ひと匙のレシピ」を
どう歌っていったのか

――ED主題歌「涙のレシピ」は、すごく良い歌詞で、泣ける曲だなと思いました。

東山 一行ずつ染みちゃう感じの曲ですよね。最初、ここまで料理な歌詞でいくのかどうかという議論があったみたいなんです。特に1Bのあたりですね。すごく料理のシーンを大切に描いてくださっている作品なので、わかりやすく料理の方向で行くのか、もう少し普遍的な歌詞にするのかという話だと思うんですけど、私は絶対に変えないでほしい!と思ったんです。だから「私は気になりません」と伝えました。

――東山さん名義の曲だから普遍的に、ということですかね。

東山 そうなのかなぁ。もう少し範囲を広げるような感じだったと思うんですけど、料理だって、みんなの身近にあるテーマだし、風景も浮かびやすいので、このままでいいと思ったんです。

――まさに1Bの“痛みは湯がいてしまいましょう 不安は炒めてしまいましょう”の歌詞が良いなと思っていたんです。

東山 そうですよね!本当に大丈夫になれる気がする言葉だなと思ったんですよ。痛みや不安って、自分一人で抱えなくても良くて、その痛みを誰かが湯がいてくれたり炒めてくれたりすることで、苦い思い出もちょっと美味しい何かに変わるのかもしれない、みたいな。一人で抱えずに誰かが寄り添ってくれている感じがしたんですよね。だからここの歌詞は、私もすごく良い歌詞だなぁって思ったんです。

――“息をするように隣にいさせて 抱き締めるみたいに君の名前呼ばせて”も良いんですよね。

東山 歌詞が優しいですよね。『かくりよの宿飯 弐』の物語は、相手を思うことで強くなれたり、胸が苦しくなったりするシーンが多いんです。特に今作は葵と大旦那様が離れ離れになって、そばにいない相手を思っている歌詞になっているので、とても切なくて、胸がぎゅっと痛くなるんです。“何処にいようとも 何をしていても 心の中から君が消えることはないでしょう”は、「ひと匙のレシピ」にも同じフレーズが入っているんです。そこまでは、2曲が違うメロディラインで進んでいくんですけど、ここが曲の合流地点になるんですね。そこが本当に感動的なんです!2人とも同じことを思っているんだというのが伝わってくるので。

――一番最後も合流地点になっていますし、本当にその仕掛けを知ると、より感動できます。2曲とも東山さんの歌声だから、曲が合わさるとは思いもしませんでしたが……。

東山 最初は、私が歌ったものを普通に2曲収録して、ミックスバージョンも私の声だけでやろうという話だったんですよ。でも私、気づいてしまったんです。同じ人の声が2線一緒に流れたら、たぶんカオスだと(笑)。

――そうですね(笑)。

東山 それでスタッフさんがどうしようとなったとき、私が「小西さんに歌っていただくのがいいと思うなー。私、直談判してくる!」と言ったんです(笑)。で、アフレコのときに「こういう企画があるのですが、オファーしたら歌っていただけますでしょうか……!?」と聞いてみたら、「いいよ~」って(笑)。

――あっさり(笑)。

東山 そんな流れもありまして、実は小西さんに歌ってもらうことはあとから決まったことなんです。ニューシングルに収録されるのは私のCDということで当初の予定のまま私の歌った「ひと匙の光」になるのですが、ミックスバージョンを作るのであれば、2人の声が混ざったほうが絶対に感動的だなと思ったんです。それに第1期のときから「大旦那様と葵の曲が歌いたいです」という話もしていたんです。それを叶えていただき、しかもそれが第3話で流れたので、皆さんには、2つの曲が絡み合うんだというアハ体験を楽しんでいただけたら嬉しいなと思っています。おそらくサントラなどで聴けるようになると思いますので。

――ここまでお話を聞いて、改めて考えてみると、「ひと匙のレシピ」は全体的に東山さんのボーカルの雰囲気が違う気がしたんですよね……。

東山 そうですね。きっと、自分の演じている葵として歌っているのではなく、その葵のことを想っている大旦那様として歌っているからなんじゃないかなって。そんなことは今まで経験したことがなかったですから。基本的に自分の演じるキャラクターの感情で歌うものだから、そのキャラクターを想って歌うことって、キャラソンでもあり得ないことじゃないですか。歌手として作品の主題歌を歌うときのことを考えても、今までにない構造だったので、すごく不思議だったんです。だから、歌っていると大旦那様の気持ちが入ってきて、気づかないうちに声が男らしくなってしまったみたいなんですよね。だからレコーディングで、「声は東山さんのままで」と言われたりして、「あれ?低くなっていましたか?」みたいなやり取りはありました(笑)。ただ、この曲を男っぽく差別化して歌おうという作為的なものは入れたくはなくて、本当に気持ちだけで歌おうと思ったので、声を変える工夫はしていないんです。出来上がったときに違うものになっていれば、それはそれでいいなと思っていて、結果として、自然と違うものになったので、それが答えなのかなと思いました。

――【初回限定盤】の3曲目に収録の「歌声を目印に」は、歌詞を見たとき、私はずっと変わらずここで歌っているから、また聴きに来てね、みたいな一度離れてしまったファンとの関係性を歌っているのかな?と思いました。

東山 確かに!全然考えていなかったけど、それも当てはまりますね。でも、めっちゃ重たくないですか?(笑)。私は、その人が幸せでいれくれたらいいんです。いろんな生活が皆さんあると思うけど、うちの現場は、ファン同士で仲も良いので、同窓会的に、会うきっかけみたいにしてくれたらいいかなと思っているんです。もちろん、楽しい時を一緒に分かち合いたい、と思ってくれたらそれが一番嬉しいなと思いますけどね。

――すいません、変な解釈で(笑)。

東山 いえいえ全然!この曲の歌詞は、旅をしていくなかでいろんな出会いや別れがあるけど、それでも強く進んでいくんだ!みたいなことを想像して作っていただいた曲なんです。めちゃくちゃかっこいい、私の曲にはあまりなかったパワー型ソングで、ここまで歌い上げる感じの曲はやったことがないなと思いました。声質的に柔らかいタイプなので、突き抜ける感じの強さをストレートに出せるかは不安だったんですけど、本当に楽曲の持っているパワーが強くて、私も歌ってて、自分が鼓舞されている感覚がありましたし、レコーディング中はずっとゾーンにいるような感じでした。レコーディングはそこまで難航しなかったんですけど、ひたすらゾーンの中で歌っている感じだったので、エネルギーをものすごく消耗して、張り上げて歌うところは、気を失いそうになるくらいでした。何とか歌い切らなきゃ!という精神力だけで、この日は歌い抜いたんですけど、リリイベやライブで歌うときは、魂で歌うことになりそうです。

――それは聴いている人にも、必ず伝わりますからね。

東山 だから、そうやって心をさらけ出せるような楽曲をいただけるのが嬉しかったんです。最近、ちょうど思っていたことなんですけど、歌もお芝居も“心を見せていくもの”なんですよね。練習をしていて、“上手くできるかな?”とか、そういう考えが頭をかすめたりするけど、いざやるとなったときは、上手くできるかどうかではなく、ひたすら心をさらけ出すしかないんです。それで噛んだり、声が裏返ったりしようが、それはきっと些末なことで、心がさらけ出されていれば、そういう些末なことを凌駕する、人間にしかできないことを成し遂げられるはずだと思うんですよね。さっきから当たり前のことしか言ってないんですけど、改めてそういうことが大事だなと、立ち返って感じていたところなので、良いタイミングで出会えた曲でした。

――【通常盤】の3曲目に収録の「そういう感じのn回目」は、キャラクターソングっぽさがあり、和楽器も入っているので、可愛らしい楽曲ですね。

東山 おっしゃってくださった通り、キャラクターというか、私とは別軸の人格を立てて歌っている感じなんです。今回は「久々に、恋愛の曲を歌いたいな」と私が言い出しまして……(笑)。これまでは初々しいラブソングが多かったんですけど、「東山さんも30代ですし、年下の男の子に翻弄されちゃうみたいな角度の曲はどうですか?」という提案があって、「今の年齢的に面白いかもしれないですね!」と思い、作っていただいたんです。なので、最近の若者の感じがよくわからない!っていう感じが滲んでいる曲なんですよね。最近の言葉に慣れてないとか、LINEとかで、これって何とか構文じゃないかなとか、あるじゃないですか(笑)。そういう要素が散りばめられています。私世代でなくても、若い子が聴いても、自分のセンスを悩んだりすることもあると思うので、どの世代の方にも刺さる曲になると思っています。そんな、ごちゃごちゃ悩んでいる感じも含めて、最後の“そういう感じの好きです”に集約されていくので、とてもハッピーな恋愛ソングになっています。

――そして、“東山奈央ワンマンライブ2026「祭 – Matsuri -」の発表がありました。2月8日(日)J:COMホール八王子で2部構成の公演になります。

東山 どどんと「祭」というタイトルを付けさせていただきました。チームの中では、「エンタメいっぱいの東山のライブの構成の中で、“祭”は一度チャレンジしたいテーマだよね」って話が上がっていたので、やるなら、この「とおりゃんせ」を引っ提げたタイミングでやるのが一番ハマるのではないかと思い、ズバリタイトルに付けさせていただきました。「祭」ってワクワクする響きでしかないし、かつエネルギッシュなものを感じるので、私もそれに負けない、すごいお祭りを作り上げたいと思っています。このシングルが、和楽器盛りだくさんの「和」という感じなので、普段はできないアプローチのステージングにも挑戦できる気がしています。もちろん歌ありダンスありトークありでやりたいんですけど、やりたい曲がありすぎて、MCがほぼなくなるかもしれない、みたいな感じで今作戦を練っているところです(笑)。歌いたい曲があるのも嬉しい悲鳴だなと思いつつ、ダンスも入れたいので、ジムの回数増やして、体作りもしています。必ず皆さんに大きなパワーを届けられるライブをしたいと思っているし、やりたいことは山ほどあるので、あとはどうそれを形にしていくかの勝負です。残りの準備期間、それを頑張りますので、楽しみにしていてください!

●リリース情報
TVアニメ『かくりよの宿飯 弐』OP主題歌&ED主題歌
「とおりゃんせ」

【初回限定盤/CD+Blu-ray】

価格:¥3,740(税込)
品番:VTZL-257

【アニメ限定盤/CD+DVD】

価格:¥2,860(税込)
品番:VTZL-258

【通常盤/CD】

価格:¥1,540(税込)
品番:VTCL-35388

【豪華初回限定盤[1,200セット限定]】

価格:¥8,800(税込)
品番:FLDZM-6
(初回限定盤+アニメ限定盤+オリジナル箸+[オンライン1on1お話し会]参加券)
VICTOR ONLINE STOREのみで販売

〈CD〉
【初回限定盤】
01. とおりゃんせ
作詞・作曲・編曲:大石昌良
02. 涙のレシピ
作詞・作曲:傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲:半田翼
03. 歌声を目印に
作詞:カシラテ 作曲・編曲:先田貴裕
04. とおりゃんせ Instrumental ver.
05. 涙のレシピ Instrumental ver.
06. 歌声を目印に Instrumental ver.

~06.各Instrumental ver.

【アニメ限定盤】
01. とおりゃんせ
作詞・作曲・編曲:大石昌良
02. 涙のレシピ
作詞・作曲:傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲:半田 翼
03. ひと匙の光
作詞・作曲:傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲:半田 翼
04. とおりゃんせ Instrumental ver.
05. 涙のレシピ Instrumental ver.
06. ひと匙の光 Instrumental ver.

【通常盤】
01. とおりゃんせ
作詞・作曲・編曲:大石昌良
02. 涙のレシピ
作詞・作曲:傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲:半田 翼
03. そういう感じのn回目
作詞・作曲・編曲:ヤマモトショウ
04. とおりゃんせ Instrumental ver.
05. 涙のレシピ Instrumental ver.
06. そういう感じのn回目 Instrumental ver.

〈初回限定盤Blu-ray〉
2025年2月22日開催 ワンマンライブ『わたしのかんがえたむてきのセトリ!』ダイジェスト映像
・むてきなガール!
・ DJメドレー(灯火のまにまに/SLOW MOTION/de messiah/オトメイロ)
• Shut Out My Lie
• OVER!!
• むてきなガール!(Encore ver.)

〈アニメ限定盤DVD〉
・TVアニメ『かくりよの宿飯 弐』の作中に登場する料理を、東山奈央本人が再現するスペシャルバラエティ番組「Nao’sキッチン~かくりよ出張版~」

●イベント情報
東山奈央ワンマンライブ2026「祭 – Matsuri -」
日時:2026年2月8日(日)
〈1部〉開場:14:00/開演:15:00 〈2部〉開場:18:00/開演:19:00
会場:J:COMホール八王子
座席:全席指定チケット:¥9,900 (税込)
※未就学児童入場不可
主催:フライングドッグ 企画:フライングドッグ・インテンション
制作:リトルオアシス 運営:キョードー東京

●作品情報
TVアニメ『かくりよの宿飯 弐』
TOKYO MXほかにて放送中

〈イントロダクション〉
南の地の宿〈折尾屋〉での試練を越え、〈夕がお〉へと帰ってきた葵。
しかし、穏やかな日々は束の間――〈天神屋〉に、
かつてない危機が迫っていた。
守りたい居場所がある。信じてくれる仲間がいる。
幾多の出会いと絆に育まれ
――物語は再び、動き出す。

【スタッフ】
原作:友麻 碧
株式会社KADOKAWA/富士見L文庫「かくりよの宿飯」シリーズ
キャラクター原案:Laruha
監督:吉崎 譲
シリーズ構成:金春智子
キャラクターデザイナー:桂 英未
美術設定:合六典代
色彩設計:手嶋明美
撮影監督:陳 以儂、戴 斯豪
音響監督:本山 哲
音楽:伊賀拓郎
音楽制作:フライングドッグ
オープニング主題歌:「とおりゃんせ」東山奈央
エンディング主題歌:「涙のレシピ」東山奈央
アニメーション制作:GONZO×マカリア
製作:かくりよの宿飯 弐 製作委員会

【キャスト】
津場木葵:東山奈央
大旦那:小西克幸
銀次:土岐隼一
白夜:田丸篤志
お涼:加隈亜衣
春日:中恵光城
チビ:石見舞菜香
アイ:洲崎 綾
サスケ:井上雄貴
乱丸:石川界人
雷獣:日野 聡
暁:内田雄馬
千秋:江口拓也
静奈:上田麗奈
砂楽:関 智一
女将:儀武ゆう子
葉鳥:寺島拓篤
戒・明:鈴木みのり
縫ノ陰:増元拓也
律子:水橋かおり
津場木史郎:井上和彦

©2025 友麻碧・Laruha/KADOKAWA/かくりよの宿飯 弐 製作委員会

関連リンク

東山奈央オフィシャルサイト
https://toyamanao.com/

東山奈央オフィシャルX
https://x.com/naobou_official

東山奈央オフィシャルYouTube

東山奈央 TikTokアカウント

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