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2010年に「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」でメジャーデビューを果たした岸田教団&THE明星ロケッツ。2025年は15周年を記念した“岸田教団15周年記念総決算大セール”や豪雨での野外ライブ“岸田教団リベンジワンマンライブ 「雨が降るなって言ってんじゃないの。
INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
ヘビーなサウンドのなかにあるアニソンらしさ、岸田教団&THE明星ロケッツらしさ
――TVアニメ『野生のラスボスが現れた!』のOPテーマとなりました岸田教団&THE明星ロケッツの配信シングル「レベルを上げて物理で殴る」ですが、これまでになくヘビーな仕上がりになりましたね。
岸田 そうですね。これはまずアニメサイドが「メタルで」というオーダーを出してきたのが始まりだったんです。ウチらもやったことのない方向性ではあったんですけど、やろうと思ったらできるのはわかっていたので。
はやぴ~ そもそも俺たちのルーツにもメタルはないわけではないんですからね。
岸田 ただそういったモロにオーセンティックなメタルを求められているわけじゃないのもわかっていたんですよ。しかもアニソンじゃないですか。それとバンドのこれまでのキャリアのことも考えると、自分たちの音楽性とアニソンというもの、あと今流行っている近代のメタルの要素をちょっとずつ持ってきて合体したものを作れないかなと思って。
――たしかに今回の楽曲はオーセンティックではない、メタルコアなど昨今のメタリックなサウンドですよね。
岸田 うん。アニソンメタルコアとでも言うべき新ジャンルを生み出そうと苦闘した結果生まれたのがこの曲でした。だからメタルコアといってもそこになりすぎないように逆に気をつけましたね。逆に思いっきりメタルコアのほうが多分楽にできたと思う。でもそれをアニソンとして出すことの意味もあまり感じられないし、別にアニソンでそんなスクリームを聴きたいかと言われたらそうでもないし。要は単なるメタルコアじゃなくて、アニソンがあくまで基本。メタルコアの要素が入ってるアニソンにしたかったのでこういうバランスに仕上がった感じです。
ichigo そもそもスクリームしろって言われてもできないしね。高い声出すとキティちゃんみたいになっちゃう(笑)。スクリームというよりかはシャウトの出し方なんだろうけど、ファルセットと地の声の間ぐらいのミックスで出しているので、あんまりメタルっぽい音質にはならないんだよね。
はやぴ~ 僕もスクリームする音楽があんまり自分のルーツにないし。技術面どうこうよりも、自分たちにあんまりイメージがない。
みっちゃん 完全のメタルでやってと言われてもできないしな。
岸田 その辺もあってモダンにするにしても限度はあるんですよ。それも加味しつつバランスを頑張って考えた結果、この辺が良いところかなって思って作ったのはあります。逆に思いっきりモダンなメタルコアっぽいアレンジをしろって言われたほうが楽よ。お手本が無限にあるし、弦のチューニングも思いっきり下げたほうが楽だし。
はやぴ~ かっこ良く言えば既存のメタルにないオリジナリティーを開拓するというか(笑)。
岸田 そこまで前向きな気持ちではやっていない(笑)。でもそこはアニソンを作っている感覚なのかな。アニソンを作るという行為ってオファーを受けて作るものだからそこに本物のメタルコアを求められてはいないでしょうし。
――あくまでジャンル的なオーダーではなく、作品に合う音楽としてのオーダーですよね。
岸田 そう。だから出来た時のバランスもこのくらいが一番良いところなのではないでしょうか? とお客さんに対して思ったところでした。
――なるほど。それにしても冒頭のリフからしてだいぶヘビーな音色で、結構チューニングを下げたのかなと。
岸田 ドロップCだから2音下げですね。でも今のメタルバンドだったらもっと低いですよ。今のバンドは7弦ギターを使っていますから、その7弦のチューニングよりはまだ高い。そこまで極端に下げずに、でもエグ味のある音が出ているというところに収めましたね。だからみんなが思っているほどは重くないわけです。
はやぴ~ ドロップチューニングしたギターがヴィンテージギターというのは他のバンドにはないところですよね。ヴィンテージギターでドロップCなんてやる人いないもんね。
岸田 いないいない(笑)。ちなみに今回僕はテレキャスターで弾きました。
はやぴ~ 俺はヴィンテージのレスポールジュニアとレスポールを混ぜた気がする。
岸田 レスポールはまだわかるけど、オーセンティックなテレキャスターはメタルで弾くには向いてないですよ。
みっちゃん ドラムの場合は考え方をまず変えないといけなかったですね。
はやぴ~ 今回みっちゃんが一番ひどい目にあったかも。
みっちゃん 自分でもこれでいいのかわからなかったんですよ。あまりにも通ったことないジャンルだったから(笑)。だから今回はかなり新鮮でしたね。仕上がりを聴いて「新しいものが出来たな」みたいな感じはしましたけどね。ただ、ライブでもまだ緊張しますよ。閉じこもっている感じ。
岸田 開放的にはまだなってない。ライブの本数重ねてきて、だんだん大きくなっていくわけです。
はやぴ~ ツアーで演奏する直前なんて、すごい真剣な顔になってるもん。
ichigo 全員真顔だよね(笑)。
岸田 でもボーカルは言うてあんま変わらないかな?
ichigo 高い・速い・リズムが難しいぐらいですかね。
――難易度が高いのはいつも通りだと(笑)。
ichigo でもやっていて私はメタルが好きなんだなって思った。そもそもリンキン・パーク好きだったし。だからこのリフとかキーの高さは心地良いですよ。
はやぴ~ でもやっぱりメロについてはかなりアニソンだよね。
岸田 そう、そこはichigoさんが歌うわけだからバランスを取って、メタルだけどポップなラインを意識して作った。
はやぴ~ うんうん、疲れるリズムで歌わされているけど(笑)。
ichigo きっと1年前なら歌えていない、ここ数年で色々改善して、頑張って練習しての最近のボーカルだから歌えていると思う。
岸田 そうね。
ichigo キーなんていまだに年々上がってるんですよ(笑)。
岸田 今の日本経済と一緒。スタグフレーションですよ(笑)。
――物価とキーは上昇し続けると(笑)。
はやぴ~ 結果音楽のクオリティと生活の格差が開く。
岸田 そこは痛みを伴うものなので(笑)。
――バンドのコンディションが良い今だからこそichigoさんが歌える曲でもあるわけですね。
ichigo うん。モニターの改善とかディレクションの変化とかもあって歌えるようになっていったという感じ。
岸田 日々改善はしているし、パフォーマンスもだいぶよくなっていますからね。
――アルバム『BERSERKERS』の頃からですが、メンバーの強度も増してバンドがタフになっていますよね。
岸田 だから出す音源も前よりは刺激的になっている。やっぱり『BERSERKERS』ぐらいから明確によくなってきている実感はあります。正確にはその前の同人で出した『超々キューカンバー』ぐらいから明らかに改善の傾向が見られるんですけど、『BERSERKERS』ぐらいから明確に、もう誰が聴いてもわかるぐらいに変わっていると思いますね。
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メジャーデビュー15周年を経て臨む“新しい岸田教団&THE明星ロケッツ”とは
――あとこれも聞いておきたかったのが、岸田さんの歌詞ですね。タイトルも直球ですが、非常に攻撃的になっていて。
岸田 タイトルもギリギリまで「野生のラスボスが現れた!」にするというアイディアもあって、どっちにするか迷ったんですけどね。でも、やっぱり曲のなかのフレーズをタイトルにしたほうがわかりやすいかなって。「レベルを上げて物理で殴る」も事実上アニメのタイトルを言ってるのと変わらない気もするし。あとは歌詞も含みがないというか、書いたままの意味しかないんだよね(笑)。
ichigo 歌っていてもタイトル通りの曲なんですよ。でも私の声って明るくキャンキャンするので、サウンドや歌詞のハードさに沿うというか、なるべく要所要所でかっこいい声が出るように努力はしています。
――その結果、今回より直球さが際立つというか、ドスの効いた感じが出ているわけですよね。
ichigo 強いというか、私の中では織田信長の雰囲気なんです。そんななか、“是非もなし”というフレーズのが私はすごく好みですね。あと、たしかサビ前のフレーズを岸田が迷っていて、2人で「何にする?」「じゃあ“焼き払う”で」って話もしました(笑)。
岸田 偉そうではありますよね。メジャーデビュー前にはこんな音楽をやるとは思っていなかったですけど、アニメ作品と色々とコラボすることによって変わっていきました。
――そうやってメジャーデビュー15周年を迎えたわけですね(笑)。
はやぴ~ あの頃に比べると我々も丸くなったなあ(笑)。
――そのなかで今回のようなタフな楽曲が出てきたのも興味深いですよね。もしかしたらこの曲が今後の試金石になるかもしれない。
岸田 俺たちも音楽性に合わせて見た目がちょっといかつい感じになるかも。履いてるズボンが太くなるとか(笑)。
はやぴ~ 角のついた仮面をつけて(笑)。
岸田 お客さんもだんだんメタル化していって、急に肩にトゲをつけ始めたりね。流石にそれは「どうした?」って言われると思うけど(笑)。
はやぴ~ 大丈夫だよ、昔マグロヘッドとかあったじゃん。
――以前のライブであったマグロの被り物ですね。
岸田 そうか、じゃあトゲ生やしても「今日はそういう日なんだ」って流されるかもな(笑)。むしろ綺麗めで出たら「どうした?」って言われるかもね。
ichigo 今回のMVは綺麗めじゃん。
はやぴ~ あれは葬式で礼服着てるだけじゃん! 岸田さん死んでるし(笑)。
――いずれにせよ15周年の今年、“岸田教団ワンマンライブツアー「15周年記念総決算大セール」”をしたあとの2026年岸田教団はどうなっていくのかなと。5月には”特段記念する事とかないけど楽しそうなライブツアー”が控えてはいますが。
岸田 ツアーで総決算したら、次はやっぱり新しいことをやらなきゃいけないんですよ。15周年から新しいことをしようとしてる時点でだいぶ問題だけど(笑)。本音
を言えば過去の焼き増しで飯を食わしてほしい。
はやぴ~ そういうのに失敗してきたわけで。俺たちだって年相応にバラードで売っていきたいですよ(笑)。
岸田 みんなで合唱するような? 無理だな(笑)。
ichigo 絶対途中で飽きるよ(笑)。
はやぴ~ じゃあやっぱり肩にトゲをつけよう(笑)。
ichigo 今度つけてあげるよ、右だけつけてあげる。みんなもやるんだよ?
はやぴ~ 俺、絶対ぶつけるもん、ギターとかichigoさんに。今ですらたまにギターを
ichigoさんにぶつけてるのに(笑)。
岸田 でもアニソンを始めたからにはね、どんな年になっても「CHA-LA HEAD-CHA-LA」って歌うべきなんだっていうのは先人が証明してるんだから。
はやぴ~ そうだね。俺たちも膝の軟骨が擦り切れない限りはツアーをしていきましょう。
岸田 そうですよ。みっちゃんの膝の軟骨だって永遠じゃないんだから。
みっちゃん 大丈夫かな……?(笑)。
ichigo 残念ながらみっちゃんの膝もichigoの喉も丈夫なんだよな。
岸田 そうですよね。むしろ俺とはやぴ~さんのほうが危ういですよ。
はやぴ~ そうなったら光る車椅子作ろう、足元をトゲトゲにして……っていうと友達が本当に勝手に作ってくるんですよ。マグロヘッドがそうだったし(笑)。
――そういった部分も含めて今後も楽しみにしております。
ichigo トゲの話ばっかりしてしまったね(笑)。
はやぴ~ トゲは客席に向けて発射できるようにしたいな(笑)。ライブハウスだとそういうのNGだから、これをやるために大きいライブ会場を埋められるぐらいの存在になります!
岸田 すごい! いい締めです(笑)。
ichigo そうか?(笑)。
●配信情報
岸田教団&THE明星ロケッツ DigitalSingle
TVアニメ『野生のラスボスが現れた!』OPテーマ
「レベルを上げて物理で殴る」
作詞:岸田
作曲:岸田
編曲:岸田教団&THE明星ロケッツ
配信リンクはこちら
https://kisidakyodan.lnk.to/butsuri
●ツアー情報
岸田教団 QUATTRO TOUR 2026
「特段記念する事とかないけど楽しそうなライブツアー」
2026年5月2日(土)大阪・梅田CLUB QUATTRO
17:00開場 / 18:00開演
2026年5月3日(日)名古屋・名古屋CLUB QUATTRO
16:00開場 / 17:00開演
2026年5月10日(日)東京・渋谷CLUB QUATTRO
16:00開場 / 17:00開演
チケット申込み
https://eplus.jp/kisidakyoudan2026/
通常前売券:¥7,000-(消費税込/ドリンク代別)
※入場時ドリンク代別途必要/3才以上チケット必要
関連リンク
岸田教団&THE明星ロケッツオフィシャルサイト
https://kisidakyoudan.jp/
公式Xアカウント
https://x.com/kisida_info
Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/kisidakyoudan
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