「アイドルマスター ミリオンライブ!」のライブイベント“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn”DAY2が2021年5月23日、山梨県・富士急ハイランド コニファーフォレストにて開催された。
DAY2には山崎はるか(春日未来役)、Machico(伊吹 翼役)、稲川英里(大神 環役)、上田麗奈(高坂海美役)、角元明日香(島原エレナ役)、種田梨沙(田中琴葉役)、藤井ゆきよ(所 恵美役)、末柄里恵(豊川風花役)、伊藤美来(七尾百合子役)、髙橋ミナミ(馬場このみ役)、浜崎奈々(福田のり子役)、阿部里果(真壁瑞希役)、桐谷蝶々(宮尾美也役)、夏川椎菜(望月杏奈役)、山口立花子(百瀬莉緒役)、木戸衣吹(矢吹可奈役)、中村温姫(ロコ役)が出演した。
ライブ開演直前には舞浜歩がスクリーンに登場し、会場BGMとして歩の「Beat the World!!!」がソロバージョンで流された。ライブの0曲目とばかりにタオルを回す観客たちの姿から、熱い応援の気持ちが伝わってくる。ライブ諸注意は二階堂千鶴が担当し、今回キャストはライブに出演できなかったアイドルもライブ演出に取り入れることで、“ひとりも手放さない”という「ミリオンライブ!」のスタンスが感じられた。
キャンプらしい楽しいテイストのoverture(序曲)とともに、ステージには活動的な装いのダンサーたちが登場。ステージ上にキャンプセットを設営するような演出を行なった。続いてステージにアイドルたちが登場すると、山崎はるかの手には火がついたトーチが。メインステージ中央と両翼に設営されたキャンプファイアに火がくべられ、「Flyers!!!」の先頭に立った山崎がセンターステージのキャンプファイアにも火種を投げこんで、燃え盛る炎とともに“Q@MP FLYER!!! Reburn”DAY2はスタートした。
続くナンバーは出演者全員による「サンリズム・オーケストラ♪」。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」DAY1のために制作された公演テーマ曲で、チーム「Sunshine Rhythm」のメンバーしか歌ったことがない楽曲だ。この曲を屋外の抜けるような青空の下で歌うことができる日が来るとは! 演者からは彼方の富士山がくっきりと見えていたようだ。もくもくと雲が立つ夏のような日差しの元で、ハッピーで楽しい曲調に乗せて全力でクラップを呼びこみ、叫ぶように煽りながら花道を駆けていくアイドルたち。その姿は燃えるように熱い最高のライブを予感させた。
開幕MCで山崎が「一年ごしに同じ会場で7thライブを開催することができました!」と報告すると、仲間たちの歓声と客席からの万雷の拍手が沸き起こった。キャンプ、再燃焼(reburn)というライブコンセプトと、ガールスカウトをモチーフとした新衣装を紹介して、いよいよライブは本編へ。
「遊びましょう!」の声とともに流れたのは「ジャングル☆パーティー」!盛り上がりが約束されたナンバーを歌うのは、稲川英里、髙橋ミナミ、木戸衣吹、中村温姫の4人だ。会場はかなり風が強く、木戸がストレートヘアを風になびかせながら軽快にステップを踏む姿は野外感満点!稲川は今回地毛のショートヘアだが、雨風があった場合にウィッグが崩れないようにと考えたというからプロ意識を感じる。弾けるような「ウンババ!」の掛け合いと共に花道からセンターステージへ。センターステージで歌う中村の満面の笑顔が、キャンプファイアーの炎の陽炎で揺れて見えた。アウトロの締めの「じゃーん!」に合わせてぐっとにぎって突き上げた4人の手からは、トップバッターを最高の形でやりきった充実感があふれていた。
ここで早くもオリジナルメンバーの「Growing Storm!」を持ってくるのが、今日は一切手加減なしに嵐を巻き起こし続けるという宣言のようだ。「Growing Storm!」はユニット・乙女ストーム(山崎はるか、Machico、伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜)の楽曲で、初めて名前のついたユニットの楽曲、ゲームのシナリオと連動した楽曲、そしてシアター組だけでのユニット歌唱と、2014年当時の新しい挑戦が詰まった楽曲だ。この曲で嵐を巻き起こした彼女たちは、やがてはじめての全国ツアーを牽引する存在になっていく。その5人が成長した姿で、待ちに待ったライブへの熱情を爆発させるのだからもはや無敵だ。花道を駆ける乙女たちが、ステージに嵐を巻き起こす!スクリーンでアップで見ると、阿部の前髪や後れ毛の遊ばせ方が瑞希っぽい。
「マイペース☆マイウェイ」は浜崎奈々のソロ曲で、今回は桐谷蝶々が加わったデュオバージョンで披露した。メインステージの両翼に立つ2人の個性は両極端。浜崎の力強さに対し、桐谷のふわりと自分のペースで道を行くのんびりしたマイペースさが加わった。間奏で駆け寄った2人が、一緒に仲良く観客に手を降る姿が微笑ましい。落ちサビの浜崎のロングソロに包みこむような柔らかなニュアンスがあって、ボーカルと表現の両面での成長を感じさせた。
「未来飛行」は山崎はるか(春日未来)にとって2曲目のソロ曲だ。「ミリオンライブ!」黎明期に数多く歌った「素敵なキセキ」をどう超えていくかを悩んだ結果、観客と一緒に歌い一緒に楽しむ楽曲として昇華されたイメージがある。今回はその曲を、ユニット・STAR ELEMENTSの面々(山崎はるか、種田梨沙、木戸衣吹)で歌うという趣向だ。スタエレでは劇中劇のアイドルを演じていることもあり、素の3人の共演はまた違う魅力がある。カチューシャをつけた種田の琴葉感がかなり強く、野外活動風のネッカチーフが活動的なイメージだ。
伊藤美来と夏川椎菜は「成長Chu→LOVER!!」を披露。「LIVE THE@TER DREAMERS 02」に収録されたデュオ曲だが、個人的には当時のシアターアイドル37人で繋いだ“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!”を象徴する楽曲の1つという印象が濃い。それぐらい、仙台公演のリーダーコンビとしてこの曲を歌った2人の輝きは強かった。それから5年を経て、2人が放つ瑞々しいアイドルらしさは変わることなく、光を増すばかり。「もっともっと LOVEしたい!」のフレーズに合わせて、2人で1つの大きなハートを描くと、その指先をなぞるように、スクリーンにも星をあしらったハートが踊った。
「絶対的Performer」はユニット・miraclesonic☆expassionより上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々が担当。会場のコールが是非ともほしい楽曲だが、「オン・ザ・ウェーブで手を上げてね!」「行くよ、せーの!!」と動きを煽って客席を巻き込んでいく。とにかくステージ上の3人のエネルギーがすごい!観客や参加できなかったユニットの仲間の分まで声を出して盛り上げる気迫と覚悟が素晴らしく、3人で声を揃える「オン・ザ・ウェーブ!」の圧倒的なパワーに全部持っていかれるようなステージだ。躍動感にあふれた動きはフィットネスMVのようで、上田の無敵の笑顔にも引き込まれるものがあった。この陽性のパフォーマンスを開放感のある日差しのもとで見ることができたのは、何物にも代えがたい経験だった。
ここでのMCは「遊びましたね!」というここまでのまとめから、「まだまだ明るいからもう少しみんなで運動を」というまだまだ休ませるつもりのない予告で締めた。
だがそんな身構えも、環(稲川)の「次は何して遊ぼうかな?」という心からウキウキの言葉が聞こえるとぶっとんでしまった。環がもっと遊ぼというなら仕方ない。「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」はソロ持ち歌の稲川英里と、種田梨沙、藤井ゆきよ、木戸衣吹という構成。種田の弾むようなハッピーな歌唱はかなり新鮮だ。環が大好きな仲間と一緒に遊んで歌う、という解釈を強く感じた楽曲で、虹色の照明の中遊び回った環の、心から満足した様子の「くふふっ」の笑い声の余韻が心に残った。
角元明日香の「ファンタジスタ・カーニバル」は桐谷蝶々とのCleaskyコンビが披露。裏テーマと思いきや、「エレナさん、今日はとってもきれいなクリアスカイですね!」「そうだね、すっごく気持ちいいよ☆」としっかり明言していた。まるで夏のように澄んだ高い空はまさにCleasky。間奏で、桐谷がサッカーのシュートをするように右足を大きく蹴り出すダンスがこの曲ならではで、ちょっと不慣れな感じがいかにも美也らしい。これで終わりかなというところで角元が「まだまだ行くよ!」と宣言すると、アウトロの最後のしっぽまで2人で軽やかに舞い踊っていた。
意外な組み合わせに感じたのが、山崎はるかと中村温姫の「ビッグバンズバリボー!!!!!」だ。同曲は投票企画から生まれた楽曲で、今日のメンバーにもCD歌唱のオリジナルメンバーがたくさんいたからだ。
そして運動の時間と予告したならこの曲は外せないのが「ココロ☆エクササイズ」だ。上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々のmiraclesonic☆expassion組が再び登場だ。活動的なイメージのアイドル3人による「腹筋背筋胸筋!」の大合唱が野外会場に響き渡る。声は出せないものの、観客たちもしっかり心と身体のエクササイズをしていることが伝わってくる。躍動する汗とともにある3人の笑顔は輝いていて、このブロックの主役はこの3人と言ってもいいぐらいのナイスエクササイズだった。
「Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~」は先陣としてMachico、伊藤美来、桐谷蝶々、山口立花子が登場。
「Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~」という楽曲は前半でカオスな要素を全て消化し、終盤は正統アイドルソングに着地するという立てつけだと思っていたのだが、DAY2は桐谷の美也としては最大の声量(かつかわいい)の「私たちはチュパカブラです~!」の叫びや、アイドルとしてのキラキラ感にあふれた伊藤の「チュパカブラ!」など、前半からしっかりアイドルしていたような気がする。富士山を彼方に見ながら険しい崖を登りきったアイドルたちは、力いっぱいの「私たちはアイドルです!」の魂の叫びを響き渡らせていた。
MCコーナーではMachicoの衣装のアレンジや、会場で観客が着ているチュパカブラTシャツが話題になった。ネクストブロックへの煽りはMachicoの「もう少しはしゃぎたいと思います!では行くぞ!」だった。
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「Eternal Harmony」は種田梨沙、藤井ゆきよ、末柄里恵、阿部里果、中村温姫が披露。オリジナルメンバーが初日に多くいた楽曲なので意外な選曲だが、唯一のオリメン末柄がセンターに立ってめいっぱい“はしゃいで”みせた。メンバーが変われば歌唱も変わるもので、エモーショナルな落ちサビを末柄から阿部に繋ぐのはとても新鮮だ。「スマイル見たい!」のフレーズを弾けるように歌った中村が満開の笑顔を見せたのは最高の瞬間だった。今回のライブでは新鮮な組み合わせが目立つが、どのアイドルがどの楽曲を歌ってもいい、「シアターデイズ」時代ならではの構成で初期楽曲を再解釈しているのかもしれない。
そして待ちに待った披露となったのが、Machico、上田麗奈、伊藤美来による「インヴィンシブル・ジャスティス」だ。同曲は「ミリオンライブ!」屈指の人気劇中劇「アイドルヒーローズ」から生まれた楽曲。原曲ではマイティセーラーズとしてMachicoと上田麗奈が歌っているが、ストーリー上のマイティセーラーズは翼、海美、そして百合子の3人。今回のライブでは初のマイティセーラーズ揃い踏みの歌唱が実現した。
屋外、そして夕暮れ時という地形効果をもっとも受けていたように感じたのがこの曲で、輪郭に光の輪っかを背負って歌う上田や、夕日を真っ向から受けて歌うMachicoなど、立ち位置によって見え方が変わる天然の照明効果だ。光のエッジを輝かせながら歌う伊藤の姿は作り込まれたMVのように美しい。センターステージのキャンプファイアを囲むように歌っていることもあり、立ち位置をチェンジするとまた見え方が変わる。クライマックスでは輪唱のような掛け合いから歌声が溶け合って、「ツヨクヒカレ!」のフレーズで爆発するようなテンションに。転調部の伊藤の歌い上げ、そしてMachicoと上田のキャラクターボイスを完璧に維持した見事な掛けあい。まさに最強の3人だった。
キャンプといえばカレーがなければ始まらない。ならばこれしかないという楽曲が星座ユニット・カプリコーンの「NO CURRY NO LIFE」だ。歌うのはもちろん、オリジナルメンバーの夏川椎菜、山口立花子、木戸衣吹の3人だ。キャンプ=カレーというシンプルな着想でありながら、強い楽曲の流れに投じてもハマるだけの地力があるのがこの曲だ。夕暮れの日差しの中、どこか切なくもクールな歌声が響く。この歌が「NO 彼 NO LIFE」の切なくも激しい恋の歌でもあると看破したのは山口だったか。三者三様の「ダメ」にも個性が見えて、見どころの多いパフォーマンスだった。
「ドリームトラベラー」はMachico、髙橋ミナミ、浜崎奈々、中村温姫が披露。歌い出しのロングソロは、ユニット・ミックスナッツのオリジナルメンバーである髙橋が担当。髙橋の歌声には、旅立ちの予感とワクワクを自然にイメージさせる伸びやかさと広がりがある。意図してのものかはわからないが、ピンク色のポンチョをまとった髙橋以外は全員黄色のカラーなのが少し面白く、キュートさと活動的なイメージを合わせもったチームだ。声の成分としてMachicoの歌声が抜群に効いていて、特に「イケてるでしょ?翼のトリコロール」を彼女が担当したのは当て書きかと思うほどハマっていた。
「オレンジの空の下」は末柄里恵、稲川英里、桐谷蝶々、木戸衣吹が披露。元は末柄(風花)のソロ曲だが、しっとりとしたユニット曲のようにこの4人にぴったりとハマっていた。何より、今まさに日が没しようとする大自然の中で、オレンジの余韻の中での歌唱というのが最高だ。バラード寄りの楽曲ということで、稲川演じる環のエモーショナルな歌い上げがとても新鮮かつ絶品だ。そのあとを木戸の優しくあたたかい表現が包み込んだりと、別のアイドルの歌だからこそ見られる表情があった。ラストの「笑っていようね」のフレーズでの、末柄の慈愛に満ちたおだやかな微笑みがとても印象的だった。
「カワラナイモノ」は最初のCDシリーズ「LIVE THE@TER PERFORMANCE」世代の楽曲で、披露の機会が非常に限られてきた楽曲だ。今回は詞の世界で描かれる時を重ねても変わらない友情、支え合う姿になぞらえて、親友同士ユニットのトライスタービジョン(角元明日香、種田梨沙、藤井ゆきよ)がカバー的に歌うという意欲的な組合わせだ。イントロのダンスで、種田が一番躍動しているように感じたのがなんだか新鮮だ。時折トライアングルの立ち位置を入れ替えながら、ソロパートを担当するメンバーのいる場所がセンターポジションになるような不思議なバランスだ。ラスト、藤井と角元のエモーショナルなソロを受けての種田の“いくつも時をかさねて”のフレーズが本当に伸びやかで、想いのこもった美しさだった。“出会えた奇跡にありがとう”のフレーズで、種田を見つめる藤井の最高の笑顔が記憶に残った。
MCパートでは、「カワラナイモノ」の余韻にひたっていた角元があわててステージに走っていったのが微笑ましかった。挨拶では「(プロデューサーたちに)すっごく会いたかった」「会えて嬉しい!」の声が飛びかっていた。そしてここからは“熱い夜”にライブテーマが移るようだ。
今日の顔ぶれ、そして今回のライブの“炎”のモチーフを見れば、この曲を誰もが予想したはず。それでも声が漏れるのを抑えるのに苦労したのが、灼熱少女(稲川英里、上田麗奈、種田梨沙、藤井ゆきよ、桐谷蝶々)の「ジレるハートに火をつけて」だった。メインステージの中央、両翼、センターステージの各所に5人が登場。メインステージ上段では上田が妖しくも愉しげな表情で炎を背負って歌う。種田はきりっと真剣で力強い表情でそれぞれにニュアンスが違う。個々のアイドルの個性から見れば新しい魅力を示した楽曲だが、そこに「灼熱少女」というユニットとしての歴史と経験を重ねてきた分厚さがある。4thライブ→5thライブと変化してきた間奏の口上は、今回は「灯し続けた希望の光」「みんなの炎がひとつになって」「不安だって燃やしちゃうんだ!」「アタシたちなら、きっと大丈夫だよ!」「どんな時も、絶やさずに行こう!」「「灼熱少女、ブレイズアップ!!」」と、共に歩み続けてきたことを感じさせるものになっていた。叫び終えた5人はセンターステージに集まって1つの炎になった。
夜のパートにふさわしい存在として選ばれたのは、ユニット・Chrono-Lexicaより伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜、中村温姫が歌う「dans l’obscurité」だった。本気で魅せる中二病というバランス感が大切な楽曲だが、炎が照らし、夜が迫る屋外という外套をまとうとよりクールでスタイリッシュな面が際立つ。夏川がポンチョ衣装のカラーが紫だと中二っぽいとMCで笑っていたが、この時ばかりはその色合いが最高に映えた。印象的なのは間奏の操り人形を演じるようなダンスパート。間奏明けの「いいの世界が壊れても~」のフレーズの歌割りが今回は阿部に振られており、深く燃える情念のこもった歌声はまた違った魅力だった。「-ジュテイム-」のキメフレーズをはじめとした見せ場では演者の表情がスクリーンにきっちり抜かれていて、この楽曲は凛とした表情を見せるんだという意図が見えた。
続いての大人の楽曲はユニット・Sherry ‘n Cherry(髙橋ミナミ、山口立花子)の「Cherry Colored Love」。シアターの大人コンビとして人気のこのみと莉緒がデュオユニットとしてステージに立った。大人のおしゃれな雰囲気のイントロで、ダンスでも魅せる2人。山口の憂いを帯びた大人の空気感。高橋の自在に音階を駆け上がっていく歌声が気持ちいい。山口の“自分だけの恋綴り どうしたいのよ?”のフレーズの無重力感も見事で、この難曲をよくもライブでここまでと感嘆した。夜の時間にふさわしい、大人のショウタイムだった。
ここで今回のライブならではの幕間、ランタンパフォーマンスの時間だ。雄大な音楽に乗せて、フードをかぶったアイドルたちがランタンを片手にゆったりと花道を行く。センターからサイドに広がると、舞うように手を差し伸べ、掲げたランタンを足元へ。淡い光の道を作り出し、ここからはさらに深い夜の時間であることを告げた。
「瞳の中のシリウス」は山崎はるか、末柄里恵、髙橋ミナミ、阿部里果が披露。髙橋はランタンパフォーマンスを挟んで連投だが、歌声に抑揚と表情のニュアンスをつけることに特化したようなチームには彼女が必要だったのだろう。夜の空間に、おだやかで美しい歌声の四重奏が広がる。夜の空と木々を背景に歌う末柄の姿がスクリーンの絵としてとても印象的だ。サビのファルセットもそれぞれのニュアンスを込めて色合い豊かに。空気が浄化されるような時間だった。
「Marionetteは眠らない」はMachico、角元明日香、夏川椎菜、山口立花子が披露。この曲といえば美希、そして美希に憧れる翼というイメージがある。今回の組み合わせでは夏川や角元…というか、杏奈やエレナのクールでかっこいい表情を存分に見ることができた。特に印象的だったのはオフボーカル時の夏川が踊る姿とたたずまいの鮮烈なかっこよさで、普段の歌唱時は杏奈スイッチの安定感から見えにくい一面かもしれない。落ちサビの“さっきまでの価値観~”のキメフレーズはライブではMachicoが歌うイメージが強かったが、今回は山口と角元のリレーへとアレンジ。オリジナルメンバーがいても新しい表現を追求する姿勢が徹底していた。
星座ユニット・サジタリアスの「Raise the FLAG」はオリジナルメンバーの藤井ゆきよと阿部里果に、山崎はるか、上田麗奈、末柄里恵、浜崎奈々という壮観な顔ぶれ。戸田という替えが効かないオリジナルな個性の不在を、6人編成の分厚さでカバーしていく。ロックテイストの楽曲に込めるヘビーなエモーションの部分では、上田の存在が抜群に効いている。灼熱のシャウトは浜崎たち参加メンバーの新しいカラーを引き出していて、「新しい時代……掲げろ!」を高らかに叫ぶ山崎の振り絞るような全力の表情が記憶に残った。
本編ラストナンバーは「Starry Melody」。“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!”DAY3のために制作された公演テーマ曲だ。新しい組み合わせの「Starry Melody」を聴いて、今回このシリーズを歌ったのは、4thの武道館に出演できなかった種田と一緒にこの曲を歌うためだったのではないか、とふと思った。それも彼女の存在に必要以上にフォーカスすることなく、当たり前の日常として共にあるためには「7th Reburn」というタイミングがぴったりだったのだろう。今回の公演は一年前の再演という特異な位置づけだったこともあり、最初期のなかなか光があたってこなかった楽曲を歌ったり、忘れ物を見つける側面があったような気がする。すでに日没の時間はとうにすぎたが、会場は意外に明るい。会場いっぱいに響くラララの歌声に合わせて、うねるように揺れるサイリウムは光の海と呼ぶのにふさわしかった。
アンコール中には様々な発表が行なわれたが、中でも反応が熱く感じられたのはプラチナスターシアターへの「リフレインキス」の琴葉も含めたフルメンバー実装だった。イベントビジュアルの志保、海美、琴葉、亜利沙の、この楽曲ならではの表情にも期待が高まった。また、2021年6月7日に、「ミリシタ 4周年まで待てない!生配信」が配信されることが告知された。今回のライブで一年の時間を取り戻し、これから6月末の4周年記念日に向けて新たな動きが加速していくことになりそうだ。
アンコールは「THE IDOLM@STER」シリーズ15周年記念曲「なんどでも笑おう」から。歌い出しは山崎からMachicoのソロリレーで、ダブルセンターのイメージだ。色とりどりのキャンプ衣装に身を包んだアイドルたちがステージいっぱいに広がる。やはり一年の我慢の時間を経て、再び最高のライブに辿り着いた彼女たちが高らかに歌う「なんどでも笑おう」の言葉には強い説得力がある。天上には月が光り、本当の夜闇の中で光る虹色のサイリウムはこんなに美しいんだと改めて感じた。
やっと辿り着いた一年越しの「Glow Map」の、落ちサビで広がったオレンジの海は忘れることのない光景になった。そして、万感の思いを込めた「行ってきます!!」の言葉は、上田麗奈が担った。この曲がリリースされた「シアターデイズ」3周年のセンターにいたのは、彼女が演じる高坂海美だったのだ。“3周年”の間に、どうにかこの言葉が間に合った。花道を駆け出したアイドルたちの前途には、無限に広がる「ミリオンライブ!」の新しい世界が広がっている気がした。
最後の挨拶で、種田が「(「リフレインキス」の実装を受けて)プロデューサー、琴葉、お待たせしました!」と感謝の言葉を伝えると、会場は温かい拍手に包まれた。夏川の「応援ください!」に代表されるコールアンドレスポンスの際には、観客が拍手のリズムでコールを表現する新しいコミュニケーションが成立していたのも印象的だった。
ラストナンバーははじまりの曲、「Thank You!!」。山崎とMachicoが元気いっぱいに花道を駆け出す姿や、仲間たちの言葉にもらい泣きしていた木戸が涙を拭いながらもまっすぐに歩む姿が印象的だった。キャンプの締めくくりに大輪の花火の華が咲く下で、アイドルたちの無数のありがとうの声が、いつまでもこだましていた。
Text by 中里キリ
「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn」DAY2
2021.05.23.山梨県・富士急ハイランド コニファーフォレスト セットリスト
M01:Flyers!!!(ミリオンスターズ)
M02:サンリズム・オーケストラ♪(ミリオンスターズ)
M03:ジャングル☆パーティー(稲川英里、髙橋ミナミ、木戸衣吹、中村温姫)
M04:Growing Storm!(山崎はるか、Machico、伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜)
M05:マイペース☆マイウェイ(浜崎奈々、桐谷蝶々)
M06:未来飛行(山崎はるか、種田梨沙、木戸衣吹)
M07:成長Chu→LOVER!!(伊藤美来、夏川椎菜)
M08:絶対的Performer(上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々)
M09:ホップ♪ステップ♪レインボウ♪(稲川英里、種田梨沙、藤井ゆきよ、木戸衣吹)
M10:ファンタジスタ・カーニバル(角元明日香、桐谷蝶々)
M11:ビッグバンズバリボー!!!!!(山崎はるか、中村温姫)
M12:ココロ☆エクササイズ(上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々)
M13:Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~(Machico、伊藤美来、桐谷蝶々、山口立花子(+ミリオンスターズ))
M14:Eternal Harmony(種田梨沙、藤井ゆきよ、末柄里恵、阿部里果、中村温姫)
M15:インヴィンシブル・ジャスティス(Machico、上田麗奈、伊藤美来)
M16:NO CURRY NO LIFE(夏川椎菜、山口立花子、木戸衣吹)
M17:ドリームトラベラー(Machico、髙橋ミナミ、浜崎奈々、中村温姫)
M18:オレンジの空の下(稲川英里、末柄里恵、桐谷蝶々、木戸衣吹)
M19:カワラナイモノ(角元明日香、種田梨沙、藤井ゆきよ)
M20:ジレるハートに火をつけて(稲川英里、上田麗奈、種田梨沙、藤井ゆきよ、桐谷蝶々)
M21:dans l’obscurité(伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜、中村温姫)
M22:Cherry Colored Love(髙橋ミナミ、山口立花子)
M23:瞳の中のシリウス(山崎はるか、末柄里恵、髙橋ミナミ、阿部里果)
M24:Marionetteは眠らない(Machico、角元明日香、夏川椎菜、山口立花子)
M25:Raise the FLAG(山崎はるか、上田麗奈、藤井ゆきよ、末柄里恵、浜崎奈々、阿部里果)
M26:Starry Melody(ミリオンスターズ)
-encore-
EN1:なんどでも笑おう(ミリオンスターズ)
EN2:Glow Map(ミリオンスターズ)
EN3:Thank You!(ミリオンスターズ)
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
関連リンク
「アイドルアスター ミリオンライブ!」ランティスサイト
https://www.lantis.jp/imas/
DAY2には山崎はるか(春日未来役)、Machico(伊吹 翼役)、稲川英里(大神 環役)、上田麗奈(高坂海美役)、角元明日香(島原エレナ役)、種田梨沙(田中琴葉役)、藤井ゆきよ(所 恵美役)、末柄里恵(豊川風花役)、伊藤美来(七尾百合子役)、髙橋ミナミ(馬場このみ役)、浜崎奈々(福田のり子役)、阿部里果(真壁瑞希役)、桐谷蝶々(宮尾美也役)、夏川椎菜(望月杏奈役)、山口立花子(百瀬莉緒役)、木戸衣吹(矢吹可奈役)、中村温姫(ロコ役)が出演した。
ライブ開演直前には舞浜歩がスクリーンに登場し、会場BGMとして歩の「Beat the World!!!」がソロバージョンで流された。ライブの0曲目とばかりにタオルを回す観客たちの姿から、熱い応援の気持ちが伝わってくる。ライブ諸注意は二階堂千鶴が担当し、今回キャストはライブに出演できなかったアイドルもライブ演出に取り入れることで、“ひとりも手放さない”という「ミリオンライブ!」のスタンスが感じられた。
キャンプらしい楽しいテイストのoverture(序曲)とともに、ステージには活動的な装いのダンサーたちが登場。ステージ上にキャンプセットを設営するような演出を行なった。続いてステージにアイドルたちが登場すると、山崎はるかの手には火がついたトーチが。メインステージ中央と両翼に設営されたキャンプファイアに火がくべられ、「Flyers!!!」の先頭に立った山崎がセンターステージのキャンプファイアにも火種を投げこんで、燃え盛る炎とともに“Q@MP FLYER!!! Reburn”DAY2はスタートした。
続くナンバーは出演者全員による「サンリズム・オーケストラ♪」。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」DAY1のために制作された公演テーマ曲で、チーム「Sunshine Rhythm」のメンバーしか歌ったことがない楽曲だ。この曲を屋外の抜けるような青空の下で歌うことができる日が来るとは! 演者からは彼方の富士山がくっきりと見えていたようだ。もくもくと雲が立つ夏のような日差しの元で、ハッピーで楽しい曲調に乗せて全力でクラップを呼びこみ、叫ぶように煽りながら花道を駆けていくアイドルたち。その姿は燃えるように熱い最高のライブを予感させた。
開幕MCで山崎が「一年ごしに同じ会場で7thライブを開催することができました!」と報告すると、仲間たちの歓声と客席からの万雷の拍手が沸き起こった。キャンプ、再燃焼(reburn)というライブコンセプトと、ガールスカウトをモチーフとした新衣装を紹介して、いよいよライブは本編へ。
「遊びましょう!」の声とともに流れたのは「ジャングル☆パーティー」!盛り上がりが約束されたナンバーを歌うのは、稲川英里、髙橋ミナミ、木戸衣吹、中村温姫の4人だ。会場はかなり風が強く、木戸がストレートヘアを風になびかせながら軽快にステップを踏む姿は野外感満点!稲川は今回地毛のショートヘアだが、雨風があった場合にウィッグが崩れないようにと考えたというからプロ意識を感じる。弾けるような「ウンババ!」の掛け合いと共に花道からセンターステージへ。センターステージで歌う中村の満面の笑顔が、キャンプファイアーの炎の陽炎で揺れて見えた。アウトロの締めの「じゃーん!」に合わせてぐっとにぎって突き上げた4人の手からは、トップバッターを最高の形でやりきった充実感があふれていた。
ここで早くもオリジナルメンバーの「Growing Storm!」を持ってくるのが、今日は一切手加減なしに嵐を巻き起こし続けるという宣言のようだ。「Growing Storm!」はユニット・乙女ストーム(山崎はるか、Machico、伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜)の楽曲で、初めて名前のついたユニットの楽曲、ゲームのシナリオと連動した楽曲、そしてシアター組だけでのユニット歌唱と、2014年当時の新しい挑戦が詰まった楽曲だ。この曲で嵐を巻き起こした彼女たちは、やがてはじめての全国ツアーを牽引する存在になっていく。その5人が成長した姿で、待ちに待ったライブへの熱情を爆発させるのだからもはや無敵だ。花道を駆ける乙女たちが、ステージに嵐を巻き起こす!スクリーンでアップで見ると、阿部の前髪や後れ毛の遊ばせ方が瑞希っぽい。
Machicoが衣装をアレンジして、出演者でただひとりおなかを見せているのがいかにも彼女ならではだし、翼らしくもある。「未来の風はいつだって~」の口上にも似たパートを気持ちよさそうに歌う山崎の姿は、まさに春日未来そのものだった。
「マイペース☆マイウェイ」は浜崎奈々のソロ曲で、今回は桐谷蝶々が加わったデュオバージョンで披露した。メインステージの両翼に立つ2人の個性は両極端。浜崎の力強さに対し、桐谷のふわりと自分のペースで道を行くのんびりしたマイペースさが加わった。間奏で駆け寄った2人が、一緒に仲良く観客に手を降る姿が微笑ましい。落ちサビの浜崎のロングソロに包みこむような柔らかなニュアンスがあって、ボーカルと表現の両面での成長を感じさせた。
「未来飛行」は山崎はるか(春日未来)にとって2曲目のソロ曲だ。「ミリオンライブ!」黎明期に数多く歌った「素敵なキセキ」をどう超えていくかを悩んだ結果、観客と一緒に歌い一緒に楽しむ楽曲として昇華されたイメージがある。今回はその曲を、ユニット・STAR ELEMENTSの面々(山崎はるか、種田梨沙、木戸衣吹)で歌うという趣向だ。スタエレでは劇中劇のアイドルを演じていることもあり、素の3人の共演はまた違う魅力がある。カチューシャをつけた種田の琴葉感がかなり強く、野外活動風のネッカチーフが活動的なイメージだ。
「未来飛行」のソロパートを歩きながら高らかに歌う木戸の姿はとても新鮮!花道のセンターに立つのはもちろん山崎で、「外から内側にウェーブ行くよ!」と呼びかけると、両サイドにいた種田と木戸が屋外の開放的なウェーブを先導した。
伊藤美来と夏川椎菜は「成長Chu→LOVER!!」を披露。「LIVE THE@TER DREAMERS 02」に収録されたデュオ曲だが、個人的には当時のシアターアイドル37人で繋いだ“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!”を象徴する楽曲の1つという印象が濃い。それぐらい、仙台公演のリーダーコンビとしてこの曲を歌った2人の輝きは強かった。それから5年を経て、2人が放つ瑞々しいアイドルらしさは変わることなく、光を増すばかり。「もっともっと LOVEしたい!」のフレーズに合わせて、2人で1つの大きなハートを描くと、その指先をなぞるように、スクリーンにも星をあしらったハートが踊った。
「絶対的Performer」はユニット・miraclesonic☆expassionより上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々が担当。会場のコールが是非ともほしい楽曲だが、「オン・ザ・ウェーブで手を上げてね!」「行くよ、せーの!!」と動きを煽って客席を巻き込んでいく。とにかくステージ上の3人のエネルギーがすごい!観客や参加できなかったユニットの仲間の分まで声を出して盛り上げる気迫と覚悟が素晴らしく、3人で声を揃える「オン・ザ・ウェーブ!」の圧倒的なパワーに全部持っていかれるようなステージだ。躍動感にあふれた動きはフィットネスMVのようで、上田の無敵の笑顔にも引き込まれるものがあった。この陽性のパフォーマンスを開放感のある日差しのもとで見ることができたのは、何物にも代えがたい経験だった。
ここでのMCは「遊びましたね!」というここまでのまとめから、「まだまだ明るいからもう少しみんなで運動を」というまだまだ休ませるつもりのない予告で締めた。
だがそんな身構えも、環(稲川)の「次は何して遊ぼうかな?」という心からウキウキの言葉が聞こえるとぶっとんでしまった。環がもっと遊ぼというなら仕方ない。「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」はソロ持ち歌の稲川英里と、種田梨沙、藤井ゆきよ、木戸衣吹という構成。種田の弾むようなハッピーな歌唱はかなり新鮮だ。環が大好きな仲間と一緒に遊んで歌う、という解釈を強く感じた楽曲で、虹色の照明の中遊び回った環の、心から満足した様子の「くふふっ」の笑い声の余韻が心に残った。
角元明日香の「ファンタジスタ・カーニバル」は桐谷蝶々とのCleaskyコンビが披露。裏テーマと思いきや、「エレナさん、今日はとってもきれいなクリアスカイですね!」「そうだね、すっごく気持ちいいよ☆」としっかり明言していた。まるで夏のように澄んだ高い空はまさにCleasky。間奏で、桐谷がサッカーのシュートをするように右足を大きく蹴り出すダンスがこの曲ならではで、ちょっと不慣れな感じがいかにも美也らしい。これで終わりかなというところで角元が「まだまだ行くよ!」と宣言すると、アウトロの最後のしっぽまで2人で軽やかに舞い踊っていた。
意外な組み合わせに感じたのが、山崎はるかと中村温姫の「ビッグバンズバリボー!!!!!」だ。同曲は投票企画から生まれた楽曲で、今日のメンバーにもCD歌唱のオリジナルメンバーがたくさんいたからだ。
実は2人は新入生役とキング役の投票で僅差の2位に入っており、ドラマCDにも出演していた。そこにフォーカスするのは今までにない新しいアプローチ。ふたりは両翼に別れて掛け合いを交えながら、燃えるように熱い真夏のパフォーマンスを見せた。「わたしたちは……一心同体!」のフレーズで中村が「一心同体!?」みたいなリアクションをしているのが微笑ましい。花道を疾走りながら客席に強烈なスパイクを打ちこんだ2人はセンターで対峙。未来とロコのちょっとはみ出すぐらいにアッパーなテンションを楽曲が引き出している感じだった。
そして運動の時間と予告したならこの曲は外せないのが「ココロ☆エクササイズ」だ。上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々のmiraclesonic☆expassion組が再び登場だ。活動的なイメージのアイドル3人による「腹筋背筋胸筋!」の大合唱が野外会場に響き渡る。声は出せないものの、観客たちもしっかり心と身体のエクササイズをしていることが伝わってくる。躍動する汗とともにある3人の笑顔は輝いていて、このブロックの主役はこの3人と言ってもいいぐらいのナイスエクササイズだった。
「Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~」は先陣としてMachico、伊藤美来、桐谷蝶々、山口立花子が登場。
前日に続いての披露だが、チュパカブラ人形を肩から下げるチュパホルダーが衣装に追加されている。あまりにも鷲づかみにされすぎのチュパカブラを気づかったのかもしれない。結局、途中から登場したミリオンスターズも含めて、前日以上にワイルドに扱われたチュパカブラたちだった。
「Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~」という楽曲は前半でカオスな要素を全て消化し、終盤は正統アイドルソングに着地するという立てつけだと思っていたのだが、DAY2は桐谷の美也としては最大の声量(かつかわいい)の「私たちはチュパカブラです~!」の叫びや、アイドルとしてのキラキラ感にあふれた伊藤の「チュパカブラ!」など、前半からしっかりアイドルしていたような気がする。富士山を彼方に見ながら険しい崖を登りきったアイドルたちは、力いっぱいの「私たちはアイドルです!」の魂の叫びを響き渡らせていた。
MCコーナーではMachicoの衣装のアレンジや、会場で観客が着ているチュパカブラTシャツが話題になった。ネクストブロックへの煽りはMachicoの「もう少しはしゃぎたいと思います!では行くぞ!」だった。
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「Eternal Harmony」は種田梨沙、藤井ゆきよ、末柄里恵、阿部里果、中村温姫が披露。オリジナルメンバーが初日に多くいた楽曲なので意外な選曲だが、唯一のオリメン末柄がセンターに立ってめいっぱい“はしゃいで”みせた。メンバーが変われば歌唱も変わるもので、エモーショナルな落ちサビを末柄から阿部に繋ぐのはとても新鮮だ。「スマイル見たい!」のフレーズを弾けるように歌った中村が満開の笑顔を見せたのは最高の瞬間だった。今回のライブでは新鮮な組み合わせが目立つが、どのアイドルがどの楽曲を歌ってもいい、「シアターデイズ」時代ならではの構成で初期楽曲を再解釈しているのかもしれない。
そして待ちに待った披露となったのが、Machico、上田麗奈、伊藤美来による「インヴィンシブル・ジャスティス」だ。同曲は「ミリオンライブ!」屈指の人気劇中劇「アイドルヒーローズ」から生まれた楽曲。原曲ではマイティセーラーズとしてMachicoと上田麗奈が歌っているが、ストーリー上のマイティセーラーズは翼、海美、そして百合子の3人。今回のライブでは初のマイティセーラーズ揃い踏みの歌唱が実現した。
屋外、そして夕暮れ時という地形効果をもっとも受けていたように感じたのがこの曲で、輪郭に光の輪っかを背負って歌う上田や、夕日を真っ向から受けて歌うMachicoなど、立ち位置によって見え方が変わる天然の照明効果だ。光のエッジを輝かせながら歌う伊藤の姿は作り込まれたMVのように美しい。センターステージのキャンプファイアを囲むように歌っていることもあり、立ち位置をチェンジするとまた見え方が変わる。クライマックスでは輪唱のような掛け合いから歌声が溶け合って、「ツヨクヒカレ!」のフレーズで爆発するようなテンションに。転調部の伊藤の歌い上げ、そしてMachicoと上田のキャラクターボイスを完璧に維持した見事な掛けあい。まさに最強の3人だった。
キャンプといえばカレーがなければ始まらない。ならばこれしかないという楽曲が星座ユニット・カプリコーンの「NO CURRY NO LIFE」だ。歌うのはもちろん、オリジナルメンバーの夏川椎菜、山口立花子、木戸衣吹の3人だ。キャンプ=カレーというシンプルな着想でありながら、強い楽曲の流れに投じてもハマるだけの地力があるのがこの曲だ。夕暮れの日差しの中、どこか切なくもクールな歌声が響く。この歌が「NO 彼 NO LIFE」の切なくも激しい恋の歌でもあると看破したのは山口だったか。三者三様の「ダメ」にも個性が見えて、見どころの多いパフォーマンスだった。
「ドリームトラベラー」はMachico、髙橋ミナミ、浜崎奈々、中村温姫が披露。歌い出しのロングソロは、ユニット・ミックスナッツのオリジナルメンバーである髙橋が担当。髙橋の歌声には、旅立ちの予感とワクワクを自然にイメージさせる伸びやかさと広がりがある。意図してのものかはわからないが、ピンク色のポンチョをまとった髙橋以外は全員黄色のカラーなのが少し面白く、キュートさと活動的なイメージを合わせもったチームだ。声の成分としてMachicoの歌声が抜群に効いていて、特に「イケてるでしょ?翼のトリコロール」を彼女が担当したのは当て書きかと思うほどハマっていた。
「オレンジの空の下」は末柄里恵、稲川英里、桐谷蝶々、木戸衣吹が披露。元は末柄(風花)のソロ曲だが、しっとりとしたユニット曲のようにこの4人にぴったりとハマっていた。何より、今まさに日が没しようとする大自然の中で、オレンジの余韻の中での歌唱というのが最高だ。バラード寄りの楽曲ということで、稲川演じる環のエモーショナルな歌い上げがとても新鮮かつ絶品だ。そのあとを木戸の優しくあたたかい表現が包み込んだりと、別のアイドルの歌だからこそ見られる表情があった。ラストの「笑っていようね」のフレーズでの、末柄の慈愛に満ちたおだやかな微笑みがとても印象的だった。
「カワラナイモノ」は最初のCDシリーズ「LIVE THE@TER PERFORMANCE」世代の楽曲で、披露の機会が非常に限られてきた楽曲だ。今回は詞の世界で描かれる時を重ねても変わらない友情、支え合う姿になぞらえて、親友同士ユニットのトライスタービジョン(角元明日香、種田梨沙、藤井ゆきよ)がカバー的に歌うという意欲的な組合わせだ。イントロのダンスで、種田が一番躍動しているように感じたのがなんだか新鮮だ。時折トライアングルの立ち位置を入れ替えながら、ソロパートを担当するメンバーのいる場所がセンターポジションになるような不思議なバランスだ。ラスト、藤井と角元のエモーショナルなソロを受けての種田の“いくつも時をかさねて”のフレーズが本当に伸びやかで、想いのこもった美しさだった。“出会えた奇跡にありがとう”のフレーズで、種田を見つめる藤井の最高の笑顔が記憶に残った。
MCパートでは、「カワラナイモノ」の余韻にひたっていた角元があわててステージに走っていったのが微笑ましかった。挨拶では「(プロデューサーたちに)すっごく会いたかった」「会えて嬉しい!」の声が飛びかっていた。そしてここからは“熱い夜”にライブテーマが移るようだ。
今日の顔ぶれ、そして今回のライブの“炎”のモチーフを見れば、この曲を誰もが予想したはず。それでも声が漏れるのを抑えるのに苦労したのが、灼熱少女(稲川英里、上田麗奈、種田梨沙、藤井ゆきよ、桐谷蝶々)の「ジレるハートに火をつけて」だった。メインステージの中央、両翼、センターステージの各所に5人が登場。メインステージ上段では上田が妖しくも愉しげな表情で炎を背負って歌う。種田はきりっと真剣で力強い表情でそれぞれにニュアンスが違う。個々のアイドルの個性から見れば新しい魅力を示した楽曲だが、そこに「灼熱少女」というユニットとしての歴史と経験を重ねてきた分厚さがある。4thライブ→5thライブと変化してきた間奏の口上は、今回は「灯し続けた希望の光」「みんなの炎がひとつになって」「不安だって燃やしちゃうんだ!」「アタシたちなら、きっと大丈夫だよ!」「どんな時も、絶やさずに行こう!」「「灼熱少女、ブレイズアップ!!」」と、共に歩み続けてきたことを感じさせるものになっていた。叫び終えた5人はセンターステージに集まって1つの炎になった。
夜のパートにふさわしい存在として選ばれたのは、ユニット・Chrono-Lexicaより伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜、中村温姫が歌う「dans l’obscurité」だった。本気で魅せる中二病というバランス感が大切な楽曲だが、炎が照らし、夜が迫る屋外という外套をまとうとよりクールでスタイリッシュな面が際立つ。夏川がポンチョ衣装のカラーが紫だと中二っぽいとMCで笑っていたが、この時ばかりはその色合いが最高に映えた。印象的なのは間奏の操り人形を演じるようなダンスパート。間奏明けの「いいの世界が壊れても~」のフレーズの歌割りが今回は阿部に振られており、深く燃える情念のこもった歌声はまた違った魅力だった。「-ジュテイム-」のキメフレーズをはじめとした見せ場では演者の表情がスクリーンにきっちり抜かれていて、この楽曲は凛とした表情を見せるんだという意図が見えた。
続いての大人の楽曲はユニット・Sherry ‘n Cherry(髙橋ミナミ、山口立花子)の「Cherry Colored Love」。シアターの大人コンビとして人気のこのみと莉緒がデュオユニットとしてステージに立った。大人のおしゃれな雰囲気のイントロで、ダンスでも魅せる2人。山口の憂いを帯びた大人の空気感。高橋の自在に音階を駆け上がっていく歌声が気持ちいい。山口の“自分だけの恋綴り どうしたいのよ?”のフレーズの無重力感も見事で、この難曲をよくもライブでここまでと感嘆した。夜の時間にふさわしい、大人のショウタイムだった。
ここで今回のライブならではの幕間、ランタンパフォーマンスの時間だ。雄大な音楽に乗せて、フードをかぶったアイドルたちがランタンを片手にゆったりと花道を行く。センターからサイドに広がると、舞うように手を差し伸べ、掲げたランタンを足元へ。淡い光の道を作り出し、ここからはさらに深い夜の時間であることを告げた。
「瞳の中のシリウス」は山崎はるか、末柄里恵、髙橋ミナミ、阿部里果が披露。髙橋はランタンパフォーマンスを挟んで連投だが、歌声に抑揚と表情のニュアンスをつけることに特化したようなチームには彼女が必要だったのだろう。夜の空間に、おだやかで美しい歌声の四重奏が広がる。夜の空と木々を背景に歌う末柄の姿がスクリーンの絵としてとても印象的だ。サビのファルセットもそれぞれのニュアンスを込めて色合い豊かに。空気が浄化されるような時間だった。
「Marionetteは眠らない」はMachico、角元明日香、夏川椎菜、山口立花子が披露。この曲といえば美希、そして美希に憧れる翼というイメージがある。今回の組み合わせでは夏川や角元…というか、杏奈やエレナのクールでかっこいい表情を存分に見ることができた。特に印象的だったのはオフボーカル時の夏川が踊る姿とたたずまいの鮮烈なかっこよさで、普段の歌唱時は杏奈スイッチの安定感から見えにくい一面かもしれない。落ちサビの“さっきまでの価値観~”のキメフレーズはライブではMachicoが歌うイメージが強かったが、今回は山口と角元のリレーへとアレンジ。オリジナルメンバーがいても新しい表現を追求する姿勢が徹底していた。
星座ユニット・サジタリアスの「Raise the FLAG」はオリジナルメンバーの藤井ゆきよと阿部里果に、山崎はるか、上田麗奈、末柄里恵、浜崎奈々という壮観な顔ぶれ。戸田という替えが効かないオリジナルな個性の不在を、6人編成の分厚さでカバーしていく。ロックテイストの楽曲に込めるヘビーなエモーションの部分では、上田の存在が抜群に効いている。灼熱のシャウトは浜崎たち参加メンバーの新しいカラーを引き出していて、「新しい時代……掲げろ!」を高らかに叫ぶ山崎の振り絞るような全力の表情が記憶に残った。
本編ラストナンバーは「Starry Melody」。“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!”DAY3のために制作された公演テーマ曲だ。新しい組み合わせの「Starry Melody」を聴いて、今回このシリーズを歌ったのは、4thの武道館に出演できなかった種田と一緒にこの曲を歌うためだったのではないか、とふと思った。それも彼女の存在に必要以上にフォーカスすることなく、当たり前の日常として共にあるためには「7th Reburn」というタイミングがぴったりだったのだろう。今回の公演は一年前の再演という特異な位置づけだったこともあり、最初期のなかなか光があたってこなかった楽曲を歌ったり、忘れ物を見つける側面があったような気がする。すでに日没の時間はとうにすぎたが、会場は意外に明るい。会場いっぱいに響くラララの歌声に合わせて、うねるように揺れるサイリウムは光の海と呼ぶのにふさわしかった。
アンコール中には様々な発表が行なわれたが、中でも反応が熱く感じられたのはプラチナスターシアターへの「リフレインキス」の琴葉も含めたフルメンバー実装だった。イベントビジュアルの志保、海美、琴葉、亜利沙の、この楽曲ならではの表情にも期待が高まった。また、2021年6月7日に、「ミリシタ 4周年まで待てない!生配信」が配信されることが告知された。今回のライブで一年の時間を取り戻し、これから6月末の4周年記念日に向けて新たな動きが加速していくことになりそうだ。
アンコールは「THE IDOLM@STER」シリーズ15周年記念曲「なんどでも笑おう」から。歌い出しは山崎からMachicoのソロリレーで、ダブルセンターのイメージだ。色とりどりのキャンプ衣装に身を包んだアイドルたちがステージいっぱいに広がる。やはり一年の我慢の時間を経て、再び最高のライブに辿り着いた彼女たちが高らかに歌う「なんどでも笑おう」の言葉には強い説得力がある。天上には月が光り、本当の夜闇の中で光る虹色のサイリウムはこんなに美しいんだと改めて感じた。
やっと辿り着いた一年越しの「Glow Map」の、落ちサビで広がったオレンジの海は忘れることのない光景になった。そして、万感の思いを込めた「行ってきます!!」の言葉は、上田麗奈が担った。この曲がリリースされた「シアターデイズ」3周年のセンターにいたのは、彼女が演じる高坂海美だったのだ。“3周年”の間に、どうにかこの言葉が間に合った。花道を駆け出したアイドルたちの前途には、無限に広がる「ミリオンライブ!」の新しい世界が広がっている気がした。
最後の挨拶で、種田が「(「リフレインキス」の実装を受けて)プロデューサー、琴葉、お待たせしました!」と感謝の言葉を伝えると、会場は温かい拍手に包まれた。夏川の「応援ください!」に代表されるコールアンドレスポンスの際には、観客が拍手のリズムでコールを表現する新しいコミュニケーションが成立していたのも印象的だった。
ラストナンバーははじまりの曲、「Thank You!!」。山崎とMachicoが元気いっぱいに花道を駆け出す姿や、仲間たちの言葉にもらい泣きしていた木戸が涙を拭いながらもまっすぐに歩む姿が印象的だった。キャンプの締めくくりに大輪の花火の華が咲く下で、アイドルたちの無数のありがとうの声が、いつまでもこだましていた。
Text by 中里キリ
「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn」DAY2
2021.05.23.山梨県・富士急ハイランド コニファーフォレスト セットリスト
M01:Flyers!!!(ミリオンスターズ)
M02:サンリズム・オーケストラ♪(ミリオンスターズ)
M03:ジャングル☆パーティー(稲川英里、髙橋ミナミ、木戸衣吹、中村温姫)
M04:Growing Storm!(山崎はるか、Machico、伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜)
M05:マイペース☆マイウェイ(浜崎奈々、桐谷蝶々)
M06:未来飛行(山崎はるか、種田梨沙、木戸衣吹)
M07:成長Chu→LOVER!!(伊藤美来、夏川椎菜)
M08:絶対的Performer(上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々)
M09:ホップ♪ステップ♪レインボウ♪(稲川英里、種田梨沙、藤井ゆきよ、木戸衣吹)
M10:ファンタジスタ・カーニバル(角元明日香、桐谷蝶々)
M11:ビッグバンズバリボー!!!!!(山崎はるか、中村温姫)
M12:ココロ☆エクササイズ(上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々)
M13:Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~(Machico、伊藤美来、桐谷蝶々、山口立花子(+ミリオンスターズ))
M14:Eternal Harmony(種田梨沙、藤井ゆきよ、末柄里恵、阿部里果、中村温姫)
M15:インヴィンシブル・ジャスティス(Machico、上田麗奈、伊藤美来)
M16:NO CURRY NO LIFE(夏川椎菜、山口立花子、木戸衣吹)
M17:ドリームトラベラー(Machico、髙橋ミナミ、浜崎奈々、中村温姫)
M18:オレンジの空の下(稲川英里、末柄里恵、桐谷蝶々、木戸衣吹)
M19:カワラナイモノ(角元明日香、種田梨沙、藤井ゆきよ)
M20:ジレるハートに火をつけて(稲川英里、上田麗奈、種田梨沙、藤井ゆきよ、桐谷蝶々)
M21:dans l’obscurité(伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜、中村温姫)
M22:Cherry Colored Love(髙橋ミナミ、山口立花子)
M23:瞳の中のシリウス(山崎はるか、末柄里恵、髙橋ミナミ、阿部里果)
M24:Marionetteは眠らない(Machico、角元明日香、夏川椎菜、山口立花子)
M25:Raise the FLAG(山崎はるか、上田麗奈、藤井ゆきよ、末柄里恵、浜崎奈々、阿部里果)
M26:Starry Melody(ミリオンスターズ)
-encore-
EN1:なんどでも笑おう(ミリオンスターズ)
EN2:Glow Map(ミリオンスターズ)
EN3:Thank You!(ミリオンスターズ)
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
関連リンク
「アイドルアスター ミリオンライブ!」ランティスサイト
https://www.lantis.jp/imas/
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