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キャリア20周年記念フェス『Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026 supported byリスアニ!』の開催を発表した渡辺 翔に、その想いを聞くスペシャル・インタビュー実施!先日公開した前編の続きをお届けする。

INTRVIEW & TEXT BY冨田明宏

インタビュー前編はこちら 

――もう少し現在のアニソンの多様化について掘り下げたいんですけど、ある意味「何でもアリ」な状況の中で、翔さん的に、アニソンにおいて最も大切な要素って何だと思いますか?

渡辺 翔 でも究極を言ってしまえば、「どんなジャンルでも、いい曲ならみんな許してくれる」と思っているんですよね。

そこには多分、自分の中にある程度の自信があって。やっぱり最後はメロディと歌詞だと思うんです。

――メロディと歌詞。

渡辺 よくロック系のアーティストがEDMを作って、「なんでEDMになってんだよ!」って怒るファン、いるじゃないですか。でも僕はそれに対していつも、「いやいや、EDMが悪いんじゃなくて“その曲”がマッチしてなかっただけでしょ」と思っていて。もっと上手い音作りでEDMに落とし込めていたら、多分そんなに文句も出なかったんじゃないかな、と。音楽を構成する要素っていくつかありますけど、その中でもやっぱり言葉とメロディ抜きでは語れない。ここ20年くらいの間で、サビにドロップを持ってくるような構造とか、新しい手法は増えましたし、明らかに「構造」は変わってきていると思います。でも、どれだけトレンドが変わっても、メロと歌詞って絶対に必要不可欠な核であり続ける。
トレンドとしてわかりやすく変化するのは、アレンジだったり、取り入れる音だったり、リズムだったり。そのあたりはいわば“エッセンスの掛け合わせ”で、少しの工夫で新しくも聞こえるし、同時に安心感も生み出せる。だからこそ、自分はずっと本質の部分=歌詞とメロディで勝負してきたつもりです。

――まさにその「本質」で20年勝負してきたクリエイターだと思います。一方で、アレンジについては「あまり得意ではない」とよくおっしゃいますよね。

渡辺 事務所や周りの方から「そろそろアレンジもやりなよ」と、何度も言われてきました。経験を積めば上手くなっていくこともわかっていたし、「制作費もちゃんと入るし、今やらないとダメだよ」とも、ほかの作家さんたちから散々言われてきて。でも、自分の性格的に好きじゃないことをやるとすごく苦しくなるのがわかっていたので、「好きなものだけやっていたい」という気持ちが勝ったんですよね。アレンジってどうしても時間がかかるので、そこに時間を割くと一生のうちに書ける曲の数が減ってしまう。だったら自分は作詞作曲、もしくは作曲に特化していきたいと。お金のことも、元々あまり考えてこなかったんです。ヒットが出る前からそうだったので、むしろお金に無頓着だったからこそ、作詞作曲特化でやってこられたのかもしれないな、と思います。

――編曲までやれば制作費として予算がつくわけですが、「作りたい曲を数多く作る」という選択を優先してきた、と。

渡辺 そうですね。もちろん仕事なので、お金の話がまったくどうでもいいわけじゃないです。

けれど、自分の中では「とにかく作りたい曲を、できるだけたくさん作る」というほうに軸があった。だから、クリエイターを目指す人に「自分みたいにやらなくていいよ」とは思っていて(笑)。誰かに「編曲もやったほうがいいですか?」と聞かれたら、僕はいつも「やったほうがいいよ」と答えています。少しでも楽しいと思えるなら、楽器が弾けるなら、表現の幅も広がるし、曲の最後まで自分で面倒を見られる。それは本当に良いことだと思うので。

――その一方で、ここまでのキャリアの中で、渡辺さんご自身の「考え方」や「作り方」を大きく変えたターニングポイントもあったと思います。20周年目前の今の目線で、「これは大きかった」と思う出来事を挙げるとしたら?

渡辺 もちろんClariSやLiSAとの出会いや、メインソングライターをやらせてもらっているCYNHNとか、色々挙げられるんですけど、一番大きかったのはsajou no hanaかもしれませんね。自分が中心に立つプロジェクトの中に、実際にプレイヤーとして飛び込んだというか。そこでは、いいなと思うことも、嫌だなと思うことも、とにかくめちゃくちゃ多かった。作家ってどうしても「一方向」からしか現場を見ないじゃないですか。でも、自分が真ん中に立つと、アーティスト、制作、スタッフ……本当に色んな職種の人たちの視点が見えてくる。元々アーティストや制作の方々に対するリスペクトは強かったんですが、その真ん中に立ったことで、曲の作り方や解像度の感覚がガラッと変わった感じがします。

――sajou no hanaのメンバーとしての立場・バンドでの活動が、作家としての思考にもう1個“別軸”を増やしてくれたような。

渡辺 そうですね。ただ自分でも、本当にそれが「本質」だったのかどうかは、正直まだわかっていなくて。ただ、sanaというボーカルがいて、キタニ(タツヤ)くんという作曲・編曲もできるクリエイターがいて、その組み合わせの中で「じゃあ俺はどうする?」と考え続けた時間は、すごく大きかったです。プロデューサー的な目線で、「この2人が一番生きるにはどうしたらいいか」「自分の得意を出すならどこか」と常に考えるようになった。おかげで、普通のお仕事でリファレンスをもらったときにも、以前より一歩踏み込んだ提案ができるようになりました。「人気曲を目指して作る」のはもちろんですが、その人のもう一歩先を作りたい、という感覚が強くなった気がします。

――その経験が、ほかのアーティストへの楽曲提供にも反映されていると。

渡辺 そう思います。1つのアーティストを長くやっていると、どうしても「この前こういうのやったしな」という制約が増えてくるじゃないですか。でもsajou no hanaでの活動は、むしろ制約だらけの中でどう抜け出すかを常に考える現場だった。だからこそ、「リクエストを100%なぞるのではなく、少しずらしてみる」「こう求められているなら、こういう方向もアリだよね」といった“ずらし方”の感覚が鍛えられたと思います。

――そこから見えてきたのが、例えば声優アーティストたちの“底なしの表現力”でもありますよね。早見沙織さんをはじめ、井口裕香さん、私がプロデュースを担当する内田真礼……みんな本当に幅広い。

渡辺 声優さんって、本来「相応しい役さえ与えられれば何にでもなれる職業」だと思うんです。優秀な表現者であればあるほど、音楽的なスタイルを1つに決めるよりも、どんな表現でも引き出せてしまう。早見さんなんて、本当に“終わりが見えない”感じがあるんですよ。「この人はどこまでやってしまっていいんだろう?」と。多分ご本人も、まだ枠を決めていないと思うんです。だからこそ、こちら側があえて制限してあげないといけない場面もある。何でもできてしまうからこそ、「どこまで踏み込むのが今の彼女に相応しいのか」「どれくらいはみ出したらファンが驚き、本人も喜んでくれるのか」を、クリエイターが責任を持って考えないといけない。そこは腕の見せどころですよね。

―― その意味では、ディレクターやプロデューサーとの関係性の中で、自分の枠を意図的に“壊してもらう”こともありますよね。たとえば内田真礼でいうと「ラウドヘイラー」のときのように。

渡辺 そうですね。あれも、冨田さんが「もっとやっていい」と言ってくれたからこそ、あそこまで攻められた部分があります。クリエイターだけだと怖くて踏み切れないことも、ディレクターやプロデューサーに「やっていいんだよ」と背中を押してもらえると、一気にアクセルを踏める。逆に、発注側から「あなたの持ち味を今回は使わないでください」と言われるケースもある。普通だったら「なんで発注したの?」って思うかもしれないけど(笑)、僕はむしろそういう制約をもらえるのが嬉しいタイプなんです。「その次」を見たいといってもらえるのは光栄なことなので。

――そういう制約や後押しの積み重ねが、「まだ聴いたことのない渡辺 翔の曲」を聴きたい、というリスナー側の期待にも繋がっている気がします。

渡辺 それは自分でも嬉しいですね。「まだ聴いたことない何かを」と期待してもらえる状況は、作り手としてすごく幸せだと思います。

――そして今回、その20年の歩みが一堂に会するようなフェスが開催されます。当日はきっと「翔さんおめでとうございます!」で溢れる1日になると思いますが……前回のお話から察するにその祝われ方は、ちょっと苦手だったり?

渡辺 めちゃくちゃ苦手ですね(笑)。誕生日プレゼントとかサプライズとかも、本当にダメで。

「ありがとう」と思う一方で、申し訳なさのほうが勝っちゃうタイプなんです。自分の「嬉しい」のベクトルが、どうやらそこにはあまり向いていなくて。曲を提供して、「いい曲ですね」と言ってもらえて、アーティストやスタッフ、ファンの皆さんが喜んでくれたら、それで十分なんですよね。自分の曲が“無風”ではなかったとわかれば、それだけで嬉しい。

――フェスを企画したことで、ご自身の今後や「やりたいこと」を考えるきっかけにもなりましたか?

渡辺 正直なところ、「これを機に新プロジェクトを発表します!」みたいな野望は、今のところ何も考えていなくて(笑)。自分で自分の野望を言語化しようとすると、「あるようで、ないようで……」という、ずっとフワフワした感覚なんです。このフェスが終わったあとに、「あ、こういうことをやりたいかもしれない」と何か芽生えるかもしれないな、とは思っています。だって、自分が楽曲提供してきた方々が一堂に会するなんて、ほとんどありえないじゃないですか。全員がステージに立ってくれている状況を見たとき、自分の中で何かが変わるかもしれない。それはちょっと楽しみでもありますし、同時にプレッシャーでもありますね。

――では最後に、ちょうどこのインタビューが公開されるタイミングでチケットの一般発売が始まります。フェスに行こうか迷っている方、楽しみにしている方へ、メッセージをお願いします。

渡辺 まず、ラインナップは本当にとんでもないものになっています。まだ「誰がどの曲を歌うか」は発表していませんが、こちらから「この曲を歌ってほしい」というリクエストはちゃんと出しているので、皆さんもセットリストを予想しながら楽しんでほしいです。僕の曲が好きな方でも、知らない曲もきっとあると思います。でも、多分全部好きになってもらえるはずだと思っているので、安心して飛び込んできてください。あとは……スタンディングなので(笑)、筋トレと有酸素運動をしてから来てください。本当に体力勝負の1日になると思います。先に謝っておきます、ごめんねって(笑)。でも、その分だけ、必ず濃い時間になる。僕はあくまで“助力”で、ステージで皆さんを楽しませてくれるのはアーティストたちですけど、オーガナイザーとして胸を張って「素晴らしいラインナップです」と言えるフェスになりました。渡辺 翔の曲だけで埋め尽くされた1日なんて、自分でも「夢に見てた」ような光景です。もし少しでも興味があれば、ぜひ、その“夢みたいな一日”を一緒に目撃してもらえたら嬉しいです。

●イベント情報
Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026 supported by リスアニ!
2026年4月19日(日)

開場 16:00 / 開演 17:00
会場:豊洲PIT(東京都江東区豊洲6-1-23)

【出演者】
第2弾出演者: 麻倉もも/石原夏織/S応P/東山奈央/早見沙織 (五十音順)

【SUPPORT MUSICIAN】
Ba. & Bandmaster 黒須克彦 / Gt. 山本陽介 / Key. 今井隼 / Dr.村田一弘

チケット
スタンディングVIP:¥19,000(税込) ※VIPエリア ※グッズ付き(Tシャツ/VIPラミネートパス)
スタンディングA:¥14,000(税込) ※Aエリア
スタンディングB:¥9,000(税込) ※Bエリア
※ご入場時に別途ドリンク代が必要となります。
※整理番号順入場
※ご入場時にスタンディングVIPとスタンディングAはリストバンドの着用をお願い致します。リストバンドが破損・外れた場合は無効となりますのでご注意ください。リストバンドの再発行は致しませんので予めご了承ください。
※VIPエリア・Aエリアの入口にてリストバンドチェックをさせていただきます。
※お一人様4枚まで。
※未就学児童入場不可

オフィシャル2次先行抽選受付
受付期間:2025年12月23日(火)12:00 ~ 2026年1月12日(月祝) 23:59
https://l-tike.com/showatanabe/

チケットに関するお問い合わせ:ローソンチケット
https://l-tike.com/contact/
公演に関するお問い合わせ:DISK GARAGE
https://info.diskgarage.com/

関連リンク

『Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026』公式X
https://x.com/ShoWatanabeFes

『Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026』公式Instagram
https://www.instagram.com/showatanabefes.2026/

渡辺翔オフィシャルX
https://x.com/watanabesho

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