――今年2月にリリースされた1st アルバム『超革命的恋する日常』の反響はいかがでしたか?
和氣あず未 ラジオのゲストに呼んでいただく機会が増え、アルバムのお話をたくさんしたんです。そのときにMCの方たちが「アルバム、めっちゃ良かった!」って褒めてくださって、本当に嬉しくて。また、そこまで話したことのなかったアニメのスタッフさんにも「アルバム聴いたよ」と声を掛けられることも。お話しするきっかけにもなって、すごく嬉しかったですね。あと、おじさま世代には「安曇野小夜曲(セレナーデ)」の人気が高かったです(笑)。
――ああ、わかる気がします(笑)。長野県の安曇野は“あず未”の名前の由来であり、お父さんお母さんの思い出の地でもあるんですよね。ご両親の反応はいかがでしたか?
和氣 めちゃくちゃCD買って周りの人たちに配ってました(笑)。お父さんは「安曇野小夜曲」が、お母さんは「いそげあじゅじゅ」が特に好きって言ってましたね。でも全部好きって言ってました(笑)。
――お父さん、お母さんはファン代表ですね(笑)。
和氣 重たいファンです(笑)。でも身内もそう思ってくれているというのが嬉しいです。
――そして、アルバムの発売のあと「第十五回声優アワード」で新人女優賞を受賞されました。受賞したときはどんなお気持ちでしたか?
和氣 学生の時から「声優アワード」のことは存じ上げていましたが、自分は無関係だと思っていたんです。受賞されている声優さんに「おめでとうございます!」って声を掛けたり、「今年はこの方が受賞されたんだ! 活躍されていたもんなぁ」って思ったり、ファン目線で見ていました。だからマネージャーさんから連絡があったとき「7年目ですけど、私で良いんですか?」って。ありがたいお話すぎて……あんまり実感がなくて、逆にマネージャーさんのほうが興奮されていたくらい、非現実的な感じがしました。好きな仕事をしていただけなのに賞をいただけて、不思議な感じがしましたが、本当にありがたかったです。
――声優としても充実した日々を過ごされているなかで、ニューシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした』がリリースされます。「Viewtiful Days!」はTVアニメ『スライム倒して300年』(以下スライム倒して300年)EDテーマです。
和氣 実は元々4thシングルを出してからアルバムを出す予定だったんです。そのときに『スライム倒して300年』のEDテーマを歌うことは伺っていたのですが、コロナの影響で作品の放映が延期になって。それで急遽「4thシングルの前にアルバムを出しましょう」という話になって。だから実は「Viewtiful Days!」は去年の5月にレコーディングはしていました。私がこの作品に参加したのがドラマCD(ドラマCD付き小説第12巻・第14巻・第16巻限定特装版)からで、そのころから私が演じるフラットルテちゃんがすごくかわいい!と思っていました。「めちゃくちゃ良いキャラクターだな」って。ドラゴンだけどワンちゃんのような(笑)、とても賑やかなキャラクターです。周りの方々は3年前くらいからドラマCDに参加していたようなんですが、私も皆さんの空気感に入りながらだったので、すごくお芝居しやすくて。その皆さんがアニメのときもいてくださったので、収録もすごくスムーズでした。アフレコも歌も、深く考えることなくというか。ほんわかする物語なので、良い意味で肩の力を抜いて挑むことができました!
――主人公・アズサの声優を務めるのは悠木 碧さん。アフレコ現場も和気あいあいとしていそうですね。
和氣 そうなんです! メインキャストの方はもちろん、キャスト同士がすごく仲が良くて。女性が多いので、女子高のようなほんわかとした雰囲気のなかでアフレコしていました。曲にも作品にも、そういう現場の雰囲気がのってるんじゃないかなと思います。
――「Viewtiful Days!」は明るく爽やかな曲ですよね。また新しい景色を見せる曲ですが、曲をいただいた当時はどのような印象を受けましたか?
和氣 めちゃくちゃ明るい曲なので、自分自身も明るくなりました。今までは“キュンキュン!”って感じの恋愛曲が多かったですが、「Viewtiful Days!」はすごく爽やかなラブソングで。めちゃくちゃラブソングというわけではないけど、“君との景色が眩しくて”とポジティブに歌っているのがすごく良いなって思いました! 最初に曲をいただいたときは1コーラスだけだったんですが、「歌うの大変そう!」ってくらい駆け抜けていくテンション感があるように感じました。フルだとまた違った印象がってそれが面白いなって。
――EDテーマではあるのですが、オープニングっぽい印象がありますよね。
和氣 そうなんです! 「いっせーのっせ!」っていうのところもOP感があって、「これがエンディングなんだ! 不思議な感じがするな」って思いました。でも『スライム倒して300年』は、スローライフ作品でありながらドタバタしているところもあって。シリアスな面があまりない作品なので、こういうポップなエンディングもこの作品ならではだなって。
――歌詞の1つ1つが来週の物語を楽しみにさせてくれます。
和氣 “まだまだ 物語のページをめくろうCome on! Viewtiful Days!”という言葉があって、次の物語、もっというと未来が楽しみになるような、前向きな歌詞になっています。
――「歌うのが大変そうと思った」とおっしゃっていましたが、実際レコーディングはいかがでしたか?
和氣 難しかったです! でも、感情面はそこまで難しくなくて。のんびり過ごしている時間って本当に素敵な時間だと思うので、私もそういう日常が大好きなんです。だからすごく共感できるような歌詞でもありました。ただ、勢いがあったり、ポジティブな気持ちを忘れちゃいけなかったりするところで、体力がいる曲だなって。自分の気持ちに体力が追いついてこないというのが、難しいところでした。
――なんでもない日も実は特別だったり、楽しかったりしますよね。そうした思いは今回のMVにも反映されています。
和氣 そうなんです! ガーデニングだったり、お料理だったり、オンライン飲み会だったり、家での日常シーンをたくさん撮っていただきました。外に出て遊びたい!という方もいらっしゃると思うんですけど、私自身は家で何かするほうが好きなんです。
――(笑)D.I.Yに挑戦するコーナーもありましたよね。
和氣 事前に「この穴に釘を刺してね」といった感じで教えてもらったんですが、作り方を教えてもらったわけではなく「じゃあ、カメラ回しておくのでやっておきましょう!」って。だからこそ本当にそのまま自然体というか。日常的な和氣あず未がこのMVで観られるんじゃないかなと。
――料理のシーンも、あのワタワタ感が自然体で良いなって。
和氣 ありがとうございます(笑)。なんとなく手順は教えてもらったんですが……実際のiPadの画面は真っ暗で「メニュー見てる風で」って(笑)。「次どうすればいいんだっけ?」って慌てているところも入っているので、日常生活を見ているような──日常で料理はしてませんけど(笑)、そんな気分になれるかと思います!
――リモート飲み会のシーンも想像しながらという感じだったんです?
和氣 スタジオの奥の方にスタッフさんのたまり場があって、そこでスタッフさんたちがお話ししてくれたので、リモートでお話してる雰囲気で撮影しました。梅酒を片手に(笑)。
――楽しい現場だったんですね。
和氣 今まではダンスだったり、演技だったり、ということが多かったんですが、手順だけ教えてもらって「あとはお任せします!」という感じだったので、失敗もオッケーといった現場で。だからすごく楽しかったです。
――今回のアーティスト写真にはマスク姿のものもあります。2曲目に収録されたダンスロックナンバー「2030」の内容にも掛かってるのかなと思いつつ。
和氣 2020年で一番誰もがしてきたファッションはマスクだと思うんです。マスクをファッションと表現することに抵抗がある方もいるかもしれませんが、私としては、ファッションの一部になって良いんじゃないかなと思っていて。私のお仕事では日常的にマスクを付けられている方が元々多かったんですが、普通の生活の中でマスクをつけることって、これまではそう多くなかったと思うんです。風邪をひいたときや、予防のためだったり、花粉症だったり。でもコロナ禍になって身に着ける人が増えて、色々な種類のかわいいマスクも登場して。お洒落なマスクがファッションの一部になってるのは、新しいし、かわいいし、この時期ならではなんじゃないかなって。
――ジャケ写は着せ替えになっててかわいいですね。中には色々な種類のマスクも!
和氣 これまではあまりこだわりがなくて、不織布の白いマスクが使い捨てで楽だなぁって思ってたんです。アルバムのイベントでお話し会をするにあたって、衣装に合わせてお洒落なマスクを自分で買ってつけてみたら、「お洒落なマスクってかわいいし、良いな!」って。それから普段お洒落するときにマスクを意識するようになりました。「2030」もお洒落やガールズライフを楽しんでいる曲なんです。ジャケ写の着せ替え人形のような感じの……コスメ、ファッション、今の女の子を楽しんでいる感じがとてもかわいくて大好きです。
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――和氣さんもメイクやファッションがお好きですよね。
和氣 好きです! お洒落自体も好きなんですけど「2030」のようにキラキラしている感じではなくて(笑)。「2030」の子も“ダラけて日曜日”とは言ってるんですけど、いつか晴れた日の未来のために、お洒落したり、キラキラしたり、自分磨きをしたりしていて。私には足りてなかった部分が多いので見習いたいなって。
――和氣さんはそうではない……?
和氣 はい(笑)。人前に立つときはキラキラしなきゃなって思うんですけど、休みが多いととことん最悪な人間になっていくんですよ。
――最悪な人間(笑)。そんなことないですよ。
和氣 いや、そんなことあるんです! もう人に見せられないくらいのだらけ具合になってしまって。ライブに近づくにつれ「キラキラしなきゃ!」って思うんですけど。この曲を聴いて「めちゃくちゃ意識高い子だ!」って思って。今のうちからキラキラしないとなって思いました。
――キラキラモードに入らないと(笑)。「2030」は“口元隠して恋をするなんて 新しい世界だね”という歌詞も今ならではですよね。
和氣 そうなんですよね! 本当に今ならではの歌詞で面白いですよね。
――ところで「2030」というのは2030年のことなんでしょうか?
和氣 そうらしいです! これは(担当ディレクターの)井上さんから話していただいてもいいですか?
井上ディレクター はい、では私のほうから(笑)。(作詞・作曲・編曲の)ARAKIさんによると、1つはマスクなしの世界になるのが、一説によると2030年くらいと言われているからということだそうです。もう1つは和氣さんが今20代半ばなので、20代から30代になっていく和氣さんという意味を込められたと伺っています。その年代の女性像をイメージしているというお話をされていました。
――3曲目であり、タイトル曲でもある「記憶に恋をした」はミドルバラード。作られたのは、アルバム曲「恋じゃないならなんなんだ」などを手がけられた鶴崎輝一さんです。これまでの鶴崎さんの楽曲とは一味違った、すごく切ない曲ですね。
和氣 鶴崎さんが作ってくださる恋愛曲がすごく好きなんです。「記憶に恋をした」は発売する時期(初夏)にピッタリな、すごく綺麗な曲だなって。この曲の主人公は、ずっと心の中に過去の“君”との思いが残っていて、ずっと考えているわけではなかったけど、夏や、ふとした瞬間に思い出して「あのときの記憶懐かしいなぁ」って胸がキュッてなってるのかなって。記憶には忘れずにあるけど、時間が経って、現実世界にはもうなくなっていたり、変わってしまったものがあったり……。
――歌詞を読ませていただく限り、当時からは時間が経っているんですよね。
和氣 そうだと思います。青春時代の思い出だったと思うんですけど、時間が経って、当たり前だと思っていたものもなくなってしまうんだなっていうのが切ないですね。
――その一方、4曲目「hopeless」は「いそげあじゅじゅ」を手がけられた金子麻友美さんが作詞をされています。無機質な空気感で、良い意味でゾクッとするような楽曲です。
和氣 最近レコーディングしたんですが……苦しい感じの歌詞なので、私も苦しい歌い方をしたら、金子さんに「聴いてると苦しすぎちゃうから、もうちょっと抑えめにしてください」というディレクションをいただきました。歌詞がただでさえ苦しいので、歌い方まで苦しくしたら、聴いてる人が辛くなってしまうんじゃないかと。歌詞の中にも“Nothing 痛いのにNothing 痛くない”っていう言葉がって。人から見たら痛いかもしれないけど、自分自身は痛みすら感じないくらいになってるんじゃないかなと。苦しいを通り越した虚無感、希望も何もないような歌い方を心がけました。今までは日常を描いた曲が多かったんですが「hopeless」の希望のない日常もリアルな世界にはあるんじゃないかなって。でも……苦しいですよね。深い海の底に一人でいる感じがして、寂しくなっちゃいます。
――その一方で「Viewtiful Days!」もある。色々な日常が詰まったシングルともいえます。
和氣 そうなんですよね(笑)。最初から聴いていくと「明るい!」「幸せ!」からの「切ない」「悲しい」という流れになるので、またぜひ戻って最初から聴いていただきたいなと思ってます。
――7月18日(日)には“和氣あず未 1st LIVE -超革命的恋する音楽会-”を中野サンプラザで行うことが決まっています。1stライブにしてかなりの曲数があるという……!
和氣 そうなんです! 26曲あるので、1stライブなのに曲を選ばなきゃいけないという(笑)。イベントで人前で歌うこともそこまで多くなかったので、自分自身も楽しみにしています。今回はバンドの方がいらっしゃることが心強いなって。一人でステージに立ってたくさんの曲を歌うというのは……寂しいというわけじゃないんですが、どう立ち回っていいか分からなくなることがあると思うんです。バンドの方がいるおかげで、支えてもらってる感じがするし、一緒にライブを作り上げていこう!って気持ちにもなりますし。豪華なメンバーなので心強いなぁって。でもどんなテーマにしようか、まだ自分の中で決まってないんです。(取材時の段階では)リハーサルもしてないので掴めていないところも。だからこそすごく楽しみです! でも意外と7月ってすぐですよね……。う~ん。
――キラキラモードをオンにしないと(笑)。
和氣 そうですね!(笑) 5月からオンにします!
――8月には“ウマ娘 プリティーダービー 3rd EVENT「WINNING DREAM STAGE」”もありますし!
和氣 そうなんですよね! やっぱり体力をつけなきゃですね。「リングフィット アドベンチャー」を買ったのにまだやってないんです。これを機会に、やります!(笑)
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
●リリース情報
和氣あず未 4thシングル
「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」
2021年6月16日(水)発売
【初回限定盤(CD+DVD)】
品番:COZC-1751/2
価格:¥2,000+ 税
【通常盤(CD)】
価格:COCC-17881
価格:¥1,500+ 税
<CD収録内容>
M1 Viewtiful Days! 作詞:坂井竜二 作曲・編曲:持田裕輔
M2 2030 作詞・作曲・編曲:ARAKI
M3 記憶に恋をした 作詞・作曲・編曲:鶴崎輝一
M4 hopeless 作詞:金子麻友美 作曲・編曲:和音
M5~8 =M1~4のIstrumental
<DVD収録内容>
Viewtiful Days! Music Video+Making Movie
記憶に恋をした Music Video(Short ver.)
●ライブ情報
和氣あず未 1st LIVE-超革命的恋する音楽会-
公演日:2021年7月18日(日)
昼公演:開場14:00/開演15:00 夜公演:開場17:30/開演18:30
会場:東京・中野サンプラザ
全席指定 6,600円(税込)
※6歳以上チケット必要、6歳未満入場不可
【出演】
和氣あず未
黒須克彦(ベース)
堀崎 翔(ギター)
石井悠也(ドラムス)
紺野紗衣(キーボード)
※鶴崎輝一の「崎」は「たつさき」が正式名称
関連リンク
和氣あず未 日本コロムビア公式HP
https://columbia.jp/wakiazumi/
和氣あず未 公式Twitter
https://twitter.com/azumi_wakih
和氣あず未STAFF公式Twitter
https://twitter.com/staff_azumih