【エッセイ連載】「伊藤美来のmoi!」第20回目:日記の画像はこちら >>

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声優アーティスト・伊藤美来が日常で感じたことを切り取り、私らしく文章にしていくエッセイ連載「伊藤美来のmoi!」。

「初めましての方や応援してくれている方にも、表面的な私だけではなく自分の頭の中を見てもらう気持ちで書いていきたい。

“伊藤美来”がどんな人間か知ってほしい」。
そんなオモイを込めて言葉を綴っていきます。

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私は5年前から日記を書いている。学生の頃は夏休みなどに書く一言日記すら忘れてしまって、2週間分をまとめて書いたりした。天気と気温の欄だってもちろん適当。内容も「ご飯がおいしかったです」とか「ゲームが楽しかったです」とか。そもそも宿題は全部嫌いだった。
日記を書き始めたのは、ありがたいことにお仕事がもらえるようになってきた頃。色んな方の期待に応えたくて常に必死で、自分を保つためにやらなきゃならないこともあって、とにかく時間が足りなかった。まだ仕事のサイクルにも慣れず、時間の使い方も思うようにいかない日々。仕事に行っては何もできない自分が嫌になって、「明日は大丈夫かな」なんて考えても意味のない不安を持ち帰って。でも家族と会話する時間、お笑い番組を観る時間もないとダメになりそうだったし、もー!どうしよう!と文字どおり頭を抱えていた。

毎日が充実しているはずなのになぜか寝る頃には記憶がない……みたいな。ふと、「このまま、一日一日が過ぎ去ってしまうのかな。あーもったいないな。」とやんわりとした危機感を覚え、どうしたら1日をもっと大切に生きられるのだろう考え始めた。年末のある日、いつも通り本屋をふらふらしていたところ、手帳のコーナーで日記帳を見つけた。いや、書いてる時間なんかそもそも……だって私三日坊主だし……うーん無理。と一度は売り場から去ったのだが、書くことが私の何かを変えてくれるかもしれないと希望だけを持って、購入を決めた。

日記なんてちゃんと書いたことないし、何を書いたらいいのか。悪い癖でつい「手帳 書き方」とYouTubeで調べていて、いかんいかんと携帯を閉じた。確か昔叔母さんが、1日にあった嬉しかったことを3つ書く3行日記を書いていると聞いたことがある。短い方が時間もかからないし、続くかもしれない。まずはその日にあった前向きなことを1行、箇条書きで書いてみることにした。だがこれがなかなか進まない。

出来事を1行にまとめるのって、こんなに難しいのか。1行書いたらどんどん1日を思い出してきて、ハイライトが決められない。しかも誰に見られるわけでもないのに、「これは小さい出来事すぎるか……」「これは面白くないもんな」と自分の喜びをそのまま書くのを躊躇してしまう。これは練習が必要だな。何度かチャレンジした結果、いいことだけを抜粋して1行にまとめるやり方は私には合わなかった。もっと頭の中を整理するように、書きたいことは制限なく書いていくほうが良いかもしれない。ノートにばーっとその日にあったことを書いてページが埋まっていった。達成感があり、やっぱりいっぱい書けるほうが私にはいいなと気づけた。次の日、さあ今日も書くぞと昨日の日記を読み返して驚いた。「今日はこの仕事に行った。そのあとこれを食べて、この仕事に向かって……」その日のスケジュールがつらつらと書かれていて日記というより、仕事の記録だったのだ。昨日は無理なくページが埋まったことが嬉しくて満足していたけど、全然日記として機能してないじゃん!いや記録することとしては正解だけど。
私的には、もっと感じたことや考えをまとめるようなものが理想なのだ。少し落ち込んだ。でもまだ日記帳は始まったばかり。もう一度書き方の見直しをしよう。

次は、1つの出来事につき、1つの感情や考えを書いてみた。するとそのときの感情がどんどん溢れてきて筆が進み始めた。かっこつけず、文の決まりも決めず、ただただ書いていく。すべてを書き出し終わって一息ついてみると、なんだか不思議な気持ちになった。スッキリというよりは、書くことによって考えることや謎が深まってる気がするし、セルフケアというには強い言葉が並んでいるし……。これでいいのかな、とよくわからないまま、書くことは好きなのでとりあえず続けることにした。1年が経過し、今年1年頑張ったなーと年末の振り返りとして、書いてきた日記をめくってみた。泣けた。

え、私こんなにもがいて、こんなに小さなことにも心動かされて……一日一日、ちゃんと生きたんじゃん。と初めて自分を尊敬することができた。そうか、これが日記のすごさか。1年間、感情のゴミ箱のように日記を書いて、書いてたときは今日もこんなに書くことがあってまだまだ穏やかには程遠いな、と思っていたが、それでよかったんだな。ここに書かれた感情が私を形成していく、一部になってたんだ。

私は今年も新しい日記帳を買って、いつものように日々の感情を詰め込んでいる。不器用で面白くなくて、きれいじゃない日記。それでも私の生きてる証だから。また1年後、読み返すのが楽しみだ。皆さんは良い年末年始を過ごせただろうか。日記ですら苦戦する私のエッセイが、2度目の年明けを迎えられるとは思わなかった。読んでくださる皆様のおかげです。

ありがとう。今年もまったり書いていこうと思います。今年もどうぞ、よろしくお願いします。

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