水樹奈々、アーティストデビュー25周年!時代と向き合いながら...の画像はこちら >>

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21世紀というあらたな時代まであとわずかという2000年末、ひとりの声優がアーティストとして活動を開始した。以降、水樹奈々は持ち前の歌唱力とイマジネーション、そして絶えず前進し続ける姿で、およそ25年間に渡ってトップランナーとして絶えず刺激的な音楽を届けてきた。

今回は最新ベストアルバム『THE MUSEUM Ⅳ』リリースを記念して、数々の記録を塗り替えながら自身の最高を更新し続けてきた“水樹奈々の音楽”、その偉大な四半世紀を振り返っていこう。

TEXT BY 澄川龍一

【2000~2005】最初のブレイクと、“水樹奈々の時代”の幕開け

2000年12月6日にリリースされたデビューシングル「想い」にて、水樹奈々としての音楽キャリアは本格的に幕を開けた。1990年代の残香を感じさせるR&Bテイストのミディアムナンバーである本作で水樹は早くもその才能の片鱗を見せることとなる。あどけなさも残る純白のアートワークのピュアネスに対し、楽曲のなかで聴かせる歌唱は、今からするとエバーグリーンな魅力を感じさせつつも本格派そのものだった。この歌唱力というものが、およそ1990年代以降続く声優アーティストのムーブメントのなかでも破格の存在感を放ち、以降の水樹の代名詞となるとともに、彼女の音楽というものを拡張していく重要なファクターとなっていく。

翌2001年には「Heaven Knows」「The place of happiness」と2枚のシングル、1stアルバム『supersonic girl』をリリースし、ここでもダンサブルなサウンドのなかで抜群の歌唱を聴かせるというスタイルは続いていく。そして2002年には「LOVE & HISTORY」「POWER GATE」を2枚同時リリース。現在までライブアンセムとして愛される「POWER GATE」では、『supersonic girl』収録の「TRANSMIGRATION」で参加した矢吹俊郎がプロデュースで初参加。1990年代に奥井雅美らを手がけたヒットメーカーとのタッグによって水樹の音楽表現の幅が広がっていく。2枚同時リリース形態からしてもやはり“破格”ではあったが、声優としてのキャリアのほかにも4月からは現在まで続く冠ラジオ「水樹奈々スマイルギャング」がスタートするなど露出が広がっていく頃で、それに応じてチャートアクションも上向いていく。また同年11月には2ndアルバム『MAGIC ATTRACTION』もリリースし、アルバムも2004年まで年に一枚のペースで発表していくという制作体制が築き上げられていった。シングルとしてもコンスタントなリリースのなかで自身のチャート記録を更新し続け、2004年には、自身がフェイト・テスタロッサ役として出演するTVアニメ『魔法少女リリカルなのは』OPテーマとなる「innocent starter」では初のオリコンシングルチャートにて週間9位という、初のTOP10入りを記録する。いよいよ水樹奈々という存在がシーンで見逃せない存在となっていった。

そして、ついに水樹奈々最初のブレイクスルーとなる2005年が到来する。まず1月2日にはツアー“NANA MIZUKI LIVE RAINBOW 2004-2005”ファイナルにして、声優として2人目となる日本武道館公演を実現。2000年のデビュー前から20歳のバースデーライブや全国をまわる精力的なライブを展開していった水樹だが、そのキャパシティも年を追うごとに拡大し続けていった。そんななかで達成された偉業は、以降の水樹奈々の時代の幕開けと呼ぶに相応しい瞬間でもあった。

そして同年10月19日、実に12枚目となる「ETERNAL BLAZE」をリリース。TVアニメ『魔法少女リリカルなのはA’s』OPテーマとして制作された本作は、2004年に初タッグを結成した上松範康(Elements Garden)との楽曲で、ストリングスを主体とした壮大なスケールのサウンドのなかで、水樹の歌唱力がいかんなく発揮された、彼女のディスコグラフィーのみならずアニソンシーンにおいても掛け値なしの名曲である。ここから水樹奈々の音楽性は大きな拡大を見せていく。ドラマティックかつ高難易度の楽曲をこなす歌唱力や、アニメタイアップを機に2004年以降から本格化した作詞というソングライティングといった水樹のイマジネーションが時代を射抜いたのだった。

2005年はほかにも、7月にシーンに大きな現象を巻き起こしたアニソンフェス“Animelo Summer Live”にてトリを務めるなど、水樹奈々がまさに時代の顔となった年であった。同時にそれはこのシーンを牽引するトップランナーの地位をたしかなものとした、“水樹奈々の時代”がいよいよ到来した瞬間でもあったのだ。この頃のディスコグラフィーについては、2007年にリリースされた初のベスト盤『THE MUSEUM』で詳しく知ることができるので、水樹奈々のブレイクまでの道程をぜひその耳で振り返ってほしい。

【2006~2009】記録を塗り替え、未踏の地へとたどり着いた2000年代

2006年以降の水樹奈々は、「ETERNAL BLAZE」での音楽的拡大と呼応するように、彼女の音楽キャリアそのものが巨大化していくこととなる。アルバムでは『HYBRID UNIVERSE』(2006年)、『GREAT ACTIVITY』(2007年)とその音楽性をより拡げた、ある意味求道的ともいえる進化を繰り返していく。

一方シングルにおいても初めて水樹が作詞作曲を手がけた、軽快なピアノのフレーズも印象的なロックナンバー「SUPER GENERATION」(2006年)以降も次々とヒット曲を記録。そして出色なのが「STARCAMP EP」という4曲入りのシングルである。ここでは収録曲が表題曲とカップリングという分け方ではなく、すべてAサイド=リードトラックという体裁になっている。こうした収録形態はセンセーショナルさが先行するが、一方でそれぞれの収録曲においてもストリングスやポップ、ダンサブルナンバーやバラードなどといった音楽ジャンルを横断していくさまを1枚の中で聴くことができる。トップアーティストとして称賛を浴びるなかでも貪欲に音楽的進化を求めていくという、スター的な煌びやかさとストイックさが両立された、現在まで続くバラエティ豊かなディスコグラフィーはこの頃すでにみられていた。

またこの頃の水樹奈々の活動において、やはりライブという場も語らずにはいられないだろう。2005年の日本武道館以降もそのライブ規模はさらなる拡大をみせていき、2006年には自身二度目となる日本武道館や地元・愛媛を含む大規模な全国ツアーと規模・本数ともに精力的なサーキットを展開し、以降も横浜アリーナ(2007年)、さいたまスーパーアリーナ(2008年)、国立代々木競技場第一体育館(2008年)とアリーナクラスのステージを踏破していく。しかもそうしたキャパシティの拡大とともにライブのスケールも巨大化。盤石のバンド勢“Cherry Boys”とダンサー勢“team YO-DA”とのパフォーマンスはもちろんのこと、演出面においてもさらなるスケールアップが見られている。これについては2010年代にさらに加速し、ライブで定番となった巨大乗り物に水樹が乗ってパフォーマンスするなど、極上のエンターテインメントショーとしての色を強めていった。また2008年には新宿コマ劇座長公演”水樹奈々大いに唄う”が開催。演歌をルーツとする彼女がこの年閉館となる新宿コマ劇場に立ったというのも忘れられない瞬間だろう。

そしてシーンの先頭をひた走った2000年代の終わりとなる2009年。ここでも水樹は年代および自身のディケイドのフィナーレを飾るに相応しい活躍を見せた。まずリリースではシングル「深愛」(1月)と「夢幻」(10月)をそれぞれヒットさせる一方で、6月には7枚目のアルバム『ULTIMATE DIAMOND』を発表。本作ではオリコンチャート史上初となる声優によるアルバム首位獲得という前人未到の記録を達成した。またライブにおいても”声優初”をこれまで記録してきた彼女がついにスタジアムに進出。7月5日、西武ドーム(現ベルーナドーム)にて単独公演”NANA MIZUKI LIVE DIAMOND 2009”を開催した。

水樹奈々の圧巻の一年となった2009年の締めくくりは、まさに最後の最後となる大晦日ことだった。12月31日に放送された「第60回NHK紅白歌合戦」にて、声優として史上初の出場を果たしたのだ。アニソンというシーンにおいてチャートやライブ、そしてメディアと誰も辿り着いたことのない景色がこの年数々見られた。それらはすべて、水樹奈々によるものだったのだ。そんなトップランナーとして独走した姿は二枚目のベスト盤『THE MUSEUM Ⅱ』に記録されている。今聴いても彼女の当時の勢いというものがありありとわかるはずだ。

【2010~2018】シーンの頂点を経てもなお進化を繰り返す変革期

数々の偉業に彩られた水樹奈々の音楽の10年間は2009年で華々しく締め括られたのだが、以降の10年はというと、それをも凌駕するようなさらなる革新の10年であったといえるだろう。それを裏づける最初の号砲は、2010年というあらたなディケイドの始まりとともに鳴らされる。1月にリリースされた「PHANTOM MINDS」がオリコン週間シングルチャートで1位を記録し、アルバム『ULTIMATE DIAMOND』に続いてシングルでも声優初となる偉業を達成したのだ。ある種2009年の勢いそのままに、2010年代も彼女の時代であることを誇示するようでもあった。さらにそこから1ヵ月を待たずにシングル「Silent Bible」をリリース、同月すぐさま横浜アリーナ2Daysや初の大阪城ホール公演を含むツアー”NANA MIZUKI LIVE ACADEMY 2010”をスタートさせる。7月にはアルバム『IMPACT EXCITER』を発表したのちに2度目の西武ドーム公演を実現するなど、目まぐるしい活躍を繰り広げていく。しかしそれらがピークではないことはこれまでの活動からもわかるだろう。まさに2010年代の水樹奈々は自身が築いた偉業、その限界をことごとく突破していく姿が次々と見られていった。そのひとつが2011年のことである。

2011年は1月に横浜アリーナにてオーケストラとの共演を果たしたあとは、4月にシングル「SCARLET KNIGHT」「POP MASTER」を2枚同時リリース、5月からは自身最大規模となる全国ツアー“NANA MIZUKI LIVE JOURNEY 2011”を3ヵ月にわたって開催。8月にはシングル「純潔パラドックス」、11月には『THE MUSEUM Ⅱ』……とこの年も精力的な活動を見せたのち、12月には誰もが夢見た瞬間が訪れる。12月3、4日の2日間にわたって開催された“NANA MIZUKI LIVE CASTLE 2011”にて、初の東京ドーム公演を実現したのだ。これまで偉業あるいは前人未到を繰り返してきた水樹だったが、ライブにおけるこれまですべてを更新するような巨大空間は、まさにシーンの最高到達点と呼べるものだったし、紛れもなく水樹奈々というアーティストの円熟の極みというものを見た瞬間だった。

そうした偉業の数々ののちの2014年には、芸術各分野において優れた業績を上げた人物らに文化庁から贈られる「平成25年度(第64回)芸術選奨 芸術選奨文部科学大臣賞」新人賞を受賞。贈賞理由には「声優をめぐることごとくを変えた、それほどまでに画期的な存在」と称され、まさに誰もが認める存在として水樹の名が知られることとなった。

繰り返される記録更新。その先に待っているものは何か。さらなる限界突破を本格化させていくようでもあった。その口火を切ったのが、1月にリリースされた「Synchrogazer」だった。TVアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』OPテーマとなった本作ではシンセと高速ビートが高いテンションで交錯する、上松範康とのタッグで生み出されてきた楽曲のなかでもとりわけハイパーな一曲。自身が築いたアーティストイメージをさらに激化させていくという、水樹奈々の音楽があらたなフェーズに突入したと感じさせる一曲だ。また2013年にはアニメ続編となる『戦姫絶唱シンフォギアG』OPテーマとなる「Vitalization」をリリース。ここでは「Synchrogazer」をさらにエクストリーム化させたような、より攻撃的なサウンドと歌唱を聴くことができる。以降も「Exterminate」(2015年)、「TESTAMENT」(2017年)と『シンフォギア』楽曲とともにアグレッションを獲得した水樹のパフォーマンスを聴くことができる。もちろんそうした攻撃的なアプローチだけではなく、「BRIGHT STREAM」(2012年)や「Angel Blossom」(2015年)、「Destiny’s Prelude」(2017年)といった『魔法少女リリカルなのは』楽曲では、自身のディスコグラフィーを深化させていくようなキャッチーさを体感することができるし、「エデン」(2015年)や「STARTING NOW!」(2016年)ではロッキンなポップネスが聴かれる。

そして、この時期のもうひとつのハイライトといえば、T.M.Revolutionとのコラボレーションを欠かすことはできない。シーンを代表するシンガーの頂上決戦ともいうべき「Preserved Roses」「革命デュアリズム」という2枚のコラボシングルは、手法はそれぞれ異なるが、卓越したふたつの歌がぶつかりあう刺激的なもの。ここでも水樹はアニメ主題歌におけるあらたな地平を見せることとなった。これらの楽曲を収めた3枚目となるベスト盤『THE MUSEUM Ⅲ』には激化と深化という、水樹奈々の音楽性が放射状に放たれるような円熟味のあるバラエティさを楽しむことができるだろう。

【2018~2025】時代と向き合いながら生まれるあらたな水樹奈々の音楽たち

平成から令和へと元号が変わり、あらたな時代に突入した現在。水樹奈々の音楽は今、何を鳴らしているのだろうか。それは、このたびリリースされた通算4枚目となるベスト盤『THE MUSEUM Ⅳ』に刻まれている。そこにはあらたな時代と向き合う水樹の姿があった。

『THE MUSEUM Ⅲ』後の2018年以降にリリースされた楽曲が収録された本作は、初の配信という形態でリリースされた「BLUE ROSE」から幕を開けるというのも、現在のシーンと呼応しているようで興味深い。また以降の楽曲たちを聴いていくと、「WHAT YOU WANT」(2018年)や「METANOIA」(2019年)、「ADRENALIZED」(2024年)ではモダンなロックサウンドでの水樹奈々スタイルを聴くことができるし、「ダブルシャッフル」(2022年)や「Sugar Doughnuts」(2023年)でのスタイリッシュな試みは現代のシーンともアジャストしたような印象だ。オリジナルアルバムとしては最新作となる『CONTEMPORARY EMOTION』でも昨今の音楽シーンとリンクするようなスタイルを見せてきた傑作だったが、自身のらしさを見せながらも柔軟なアプローチを見せていくという姿は『THE MUSEUM Ⅳ』でも楽しむことができる。ほかにも「METANOIA」と同じく『シンフォギア』楽曲である「FINAL COMMANDER」(2019年)ではエクストリーム化したアプローチの最新型を聴かせてくれるし、水樹にとっては欠かせない『なのは』楽曲としては「NEVER SURRENDER」(2018年)がある(もちろん、「innocent starter ーMUSEUM STYLEー」も)。いずれにせよ、進化と激走を止めることなくここまで来た水樹奈々の現在地は、今なお刺激的で我々をワクワクさせてくれる魅力に溢れていた。そしてこれまでもそうだったように、次はどのような驚きと喜びをもたらしてくれるのか。ひとまず今は25年という偉大な歴史を振り返りながら、きたる未来を心待ちにしていこう。

●リリース情報

New Single『CRIMSON BULLET』
2026年7月8日(水)発売
発売元:キングレコード
品番:KICM-2170
価格:定価¥1,430(税抜価格¥1,300)
初回特典:外箱仕様
【収録内容】
「CRIMSON BULLET」
★TVアニメ「魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance」オープニングテーマ
他 2曲収録予定

『THE MUSEUM Ⅳ』
2026年1月21日発売
発売元:キングレコード
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:KICS-94238
価格:¥8,470 (税込)
初回限定盤特典:Blu-ray+スペシャルフォトブック+特製BOX仕様

【通常盤(CD)】
品番:KICS-4238
価格:¥3,300 (税込)

●ライブ情報
アジアツアー「NANA MIZUKI LIVE VISION 2025-2026+」
香港公演:2026年2月15日(日) マクファーソン・スタジアム(MacPherson Stadium)
上海公演:2026年3月7日(土),8日(日) 回响之地Music Park (公演中止)
ソウル公演:2026年3月21日(土), 22(日) 世宗大学校 デヤンホール
台北公演:2026年4月11日(土), 12(日) 台北国際会議センター(TICC)
※アジアツアーのチケット情報等、詳細につきましては随時特設サイトにて発表いたします。

特設サイト
https://www.mizukinana.jp/special/2025_livevision/

『NANA MIZUKI LIVE GRACE 2026 -OPUS Ⅳ-』
2026年9月22日(火・祝)、23日(水・祝)
国立代々木競技場第一体育館

関連リンク

水樹奈々オフィシャルサイト
https://www.mizukinana.jp

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