OLIVIA、アニメ『NANA』の名曲「Wish」セルフカバ...の画像はこちら >>

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大崎ナナと小松奈々、2人の“ナナ”の出会いから始まる矢沢あい原作の人気コミック『NANA』。昨年に連載25周年、今年TVアニメの放送から20周年を迎えるなか、世界中の『NANA』ファンに向けて嬉しいサプライズが届けられた。

アニメ版『NANA』で劇中に登場するバンド・TRAPNESTの楽曲の歌唱を担当したOLIVIAが、14年ぶりに音楽活動を再開。同アニメの2ndオープニングテーマ「Wish」を新たに解釈した「Wish Reimagined」を、3月18日に配信リリースしたのだ。アレンジを手掛けたのは、OLIVIAと共に原曲を制作したrui (fade)。『NANA』との出会いによって人生が大きく変わったという2人が、今回の楽曲制作に込めた思い、そしてOLIVIAが今改めて新しい歌を届ける理由について、話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

生まれ変わった「Wish」から始まるOLIVIAの新しい音楽ライフ

――個人的に、OLIVIAさんの楽曲はD&D時代から聴いていたので、取材できて光栄ですし、ちょっと緊張しています。

OLIVIA ワーオ!ありがとうございます!でも、私も日本語のインタビューは十数年ぶりなので、緊張しています(笑)。

――リラックスしてお話しいただければと思います!さて、まずは音楽活動から離れていた時期について伺いたいのですが、OLIVIAさんはこの十数年、どのような時間を過ごされていたのでしょうか?

OLIVIA アメリカに拠点を移しました。まずはロサンゼルスに引っ越して、そこで旦那さんと結婚し、子供を授かりました。今はサンフランシスコに近いサンノゼという街に住んでいます。子供はもう12歳になりました。実は、音楽は細々とずっと作り続けていたんです。主人はミュージシャンで、CalArts(カリフォルニア芸術大学)でミュージック・テクノロジーの教授をしているので、音楽的な知識がすごく豊富なんです。彼と一緒に、家でたくさんの曲を作ってきました。

でも、それを「今すぐ世の中に出そう」という気持ちにはならなかった。母親としてのライフスタイルがすごく忙しかったですし、何より幸せだったから(笑)。「やらなきゃいけない」という強迫観念のようなものはなくて、ただ「いつか戻りたいと思う時が来るだろうな」とは思っていました。

――その「いつか」が、今だったわけですね。

OLIVIA はい。2年ほど前から、世界中が少し暗い時期に入ってしまった感覚があって。その時に、自分の中にあった音楽への情熱に再び火が灯ったんです。再び音楽の道が、はっきりと見えるようになった。その大きなきっかけは、ファンの皆さんからのメッセージと、今日一緒にいるruiの存在でした。「いつ戻ってくるの?」「あなたの曲に救われた」というたくさんの声が、ずっと私の心の中に積み重なっていて、みんなが待ってくれているという実感が、大きなパワーになりました。今、私が作っている音楽には、間違いなくファンの皆さんのメッセージがエコー(反響)として入っています。

――ruiさんとは、音楽活動から離れている間も連絡を取り合っていたのですか?

OLIVIA そうなんです。

1ヵ月に1回ぐらいは話しているよね。

rui そうだね。僕はずっと「また音楽をやったほうがいいよ」と言い続けていたけれど、彼女には結婚や子育てという優先すべき大切なことがあったので、なかなか音楽に集中することができなくて。でも、改めて話していた時に、彼女が「また曲を書いていて、それをリリースしたいんだよね」と言い出したんです。それでせっかく戻るのなら、まずは『NANA』時代の楽曲をリアレンジして出すのがいいんじゃないかと提案しました。

――それはなぜですか?

rui 今の時代、Spotifyとかのサブスクリプションサービスでは1日に10万曲くらいがアップロードされているなかで、いきなり新曲をただポーンと出すだけでは、本当に届けたい人に届かない可能性がある。でも、OLIVIAには『NANA』という、今も世界中で愛されている作品との結びつきがあります。今回セルフカバーした「Wish」は、実は元々、僕とOLIVIAが遊びで書いていた曲だったんですよ。そうしたらOLIVIAから「あの曲、アニメで使いたいっていう話があるんだけど、いい?」って連絡が来て、それが『NANA』という作品だった。当時、OLIVIAも僕も、正直『NANA』のことはよく知らなくて。

OLIVIA そうだったね。

rui でも、実際にその楽曲がリリースされたら、ものすごい反響があった。

作品のファンの方たちも、未だにOLIVIAの当時の曲が好きと言ってくれたり、僕にもコメントを届けてくれるくらい、たくさんの人に愛され続けている。なので、まずは、その思い出を大切にしてくれているファンの方々へ恩返しをすることから始めるのが、一番いい流れなんじゃないかと考えたんです。

OLIVIA そう。私は最初、新しい曲を発表したい気持ちが強かったけど、ruiが「まずはファンにギフトを贈ろう」と言ってくれて。すごくいいアイデアだと思ったんですよね。で、私は重苦しい世界の中でみんなを活気づけられるような音楽を届けたかったから、ruiと一緒に作った『NANA』の曲の中でも、アップテンポでエネルギッシュな「Wish」を選びました。タイトルを“Renewal(リニューアル)”ではなく“Reimagined(リイマジンド)”としたのも、ただの焼き直しではなく、新しいエネルギー、新しい始まりを象徴したかったからです。

rui 僕自身も、こうやって音楽で生活できるようになったのは『NANA』のおかげだったんですよ。当時は自分のバンドをやっていたけど、OLIVIAと出会って『NANA』の曲を作ったのが、初めてのメジャーでの大きな仕事で、そこから僕の作曲や裏方のキャリアが始まった。今、よく一緒に曲を作っているReoNaちゃんとの出会いも、元を辿れば僕が『NANA』の楽曲を手掛けていたことが縁で紹介してもらって、「ピルグリム」(神崎エルザ starring ReoNa)の頃から関わらせてもらうようになったんです。だから「Wish」は僕にとってもすごく大事な曲だし、どの曲をカバーするとなった時に、自然と「Wish」に決まりましたね。

――「Wish」は歌詞のメッセージ的にも新しい世界に飛び立つような感覚があるので、ぴったりだと思います。

今回、アレンジは一新しつつ、あくまでも原曲のイメージを踏襲した音作りになっていますが、制作はどのように進めたのでしょうか。

OLIVIA ここは、ruiと結構戦いました(笑)。原曲はすごくロックな印象が強いじゃないですか。私はもっとポップで、シンセサイザーの音を前に出した、ギター控えめのサウンドにしたかったんです。でも、ruiは「Wish」が持つ魔法をなくしたくないから、ギターの音を大切にしたい。ruiは「ロック!ロック!」、私は「ポップ!ポップ!」って感じで(笑)、その絶妙なバランスを探るのが大変でしたね。

rui 彼女は昔からロックだけでなくエレクトロニカ系の曲も好きで、確かにそこがOLIVIAの強みだとは思うんですけど、ただ今回の「Wish Reimagined」に関しては、ファンがこの曲を聴いた時に、当時の記憶を呼び起こすような、ノスタルジックな気分になってほしかったんです。だから原曲から印象がガラッと変わることはないようにしました。テンポを1、2個だけ上げたり、イントロのフレーズを変えて、あえてストレートなエイトビートのシンセサウンドから始めることで今っぽさを出しつつ、間奏以降はより原曲へのリスペクトが感じられるサウンドにしていて。アウトロのキメなんかは原曲と全く同じにしています。

――OLIVIAさんの歌声も、ブランク知らずの力強さと気品があって、エンジェリックボイスの健在ぶりを感じました。1番Aメロの重層的なコーラスなど、歌の面でも当時とは違う工夫が加えられていますよね。

OLIVIA ああ、気づいてくれましたか!ありがとうございます!コーラスは私が自分で入れたんですけど、当時はやらなかったようなハーモニーをたくさん重ねました。そういう部分で、今の私のカラーを出せたかなと思います。ただ、正直、歌うのはかなり大変でした(笑)。私は今46歳。やっぱり昔に比べると、高い声を出すのにウォーミングアップが必要なんです。昔は何も考えずにすぐ出せていたものが、今はしっかり準備しないと出てこない。1日レコーディングすると、次の日はもう声がカサカサになってしまいます。でも、だからこそ今の私の力強さが出せたとも思っています。

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OLIVIAとレイラ、似た者同士の2人だからこそ生まれた音楽と縁

――今回の「Wish Reimagined」は、MVも実写とイラストやアニメーションが融合した幻想的な世界観が印象的です。どのようなイメージで制作されたのですか?

OLIVIA ナナ(『NANA』の主人公・大崎ナナ)と私が歌を担当したレイラ(TRAPNESTのボーカル・芹澤レイラ)、その二人のリンクを感じさせつつも、あまり直接的になりすぎない絶妙なラインを狙いました。私がストーリーボードを書いて、メイクはオリジナルと同じ丹羽寛和さんが担当、カメラマンのwongrockさんのプロフェッショナルなライティングと、EffectManさんのエフェクトとアニメーションを融合させることで、色々なイメージが浮かぶ形にしていて。OLIVIAとレイラのバイブスが混ざり合ったようなMVになったと思います。

rui MVは彼女の中にイメージがあったので、OLIVIA中心で制作しました。

EffectManさんも彼女が見つけてきたんですよ。「この人に頼みたいんだよね」っていうところから始まって。

OLIVIA そうそう。EffectManさんはInstagramで見つけたんですけど、彼は「Procreate Dreams」(2Dアニメーションアプリ)を使っていて、私も自分のイラストを動かしたいなと思って、彼の手法を学べるコースにエンロール(入学)したんですよ。結局、自分ではやらなかったんですけど(笑)。でも、彼と一緒に自分のイメージを形にできて、本当に嬉しかったです。

――MVのイラストには鳥かごや羽のモチーフなどが登場しますが、これはOLIVIAさんのアイデアですか?

OLIVIA イエス、そうです。

rui OLIVIAと僕が一緒に作った「Stars Shining Out」という曲があるんですけど、その曲のMVも似たようなモチーフの世界観で、僕の中ではそのイメージが「OLIVIA」なんですよ。何年経っても「OLIVIA節」というか、彼女のカラーは消えていないんだなと、彼女が出してくるアイデアを見て強く感じました。今回のMVでも、OLIVIAの世界観がちゃんと表現されているなと思います。

――そういったOLIVIAさん独自の世界観と、レイラのイメージ、あるいは『NANA』の世界観を重ね合わせた部分もあったのでしょうか。

OLIVIA そうですね。レイラと私自身のイメージが混ざった感じで、あんまり「レイラ」になりすぎないように、上手いバランスで。でも、私とレイラはすごく似ていると思うから、やりやすかったです。レイラは、パラレル次元のOLIVIAだと感じています。

――レイラのどんなところが自分自身と重なりますか?

OLIVIA 彼女の光と闇を併せ持った部分、寂しさと強さ、クリエイティビティ……そういう相反する世界観が、私の葛藤とすごく似ていると思うんです。アニメの中に、彼女が心から歌うシーンがあるんですけど、その時にようやく「本当のレイラ」が見えるというか。そういうシーンにはすごくコネクトできます。私も昔、日本の音楽業界にいた時に「生きる意味がわからない」って感情的になっていた時期があったんですけど、ステージの上で歌っている時だけは「これが真実だ……!」ってクリアにわかる瞬間があったんです。だから、すごく共感できるし、彼女の気持ちがよくわかるんです。

――当時、レイラの歌唱キャストのお話をいただいた時は、運命的なものを感じたのでは?

OLIVIA さっきruiも話していましたけど、最初は『NANA』のことを知らなかったんです。でも、原作を読んで「ワオ……!」と思いました。レイラは私の声に合っていると確信しましたし、原作者の矢沢あい先生も「彼女は(レイラに)すごく似ている」と言ってくださって、すごく嬉しかったんですよね。

――矢沢先生のお墨付きだったんですね!

OLIVIA 矢沢先生にお会いした時、すごくミステリアスな感じで。彼女の目が、私のすべてをわかっているっていう感じがして……なぜか繋がっている感じがしたんです。彼女が私を信頼してくれて、本当に嬉しかったです。

――先ほど「Wish」は、『NANA』とは関係なくruiさんと制作していた楽曲というお話がありましたが、作品に提供するにあたって調整などされたのでしょうか?

OLIVIA はい。昔の話なので細かいことは忘れましたけど、ギターの感じとか色んなリクエストがありました。私の所属していたレーベル(エイベックス)、『NANA』チームや制作会社……色んなところからの意見を反映したうえで通さなくてはいけなかったので、結構大変でした(笑)。

rui 時間もなかったしね。他の曲も同時進行でやらなくちゃいけなかったし。あと、1曲、矢沢先生が「この曲をOLIVIAに歌ってほしい」というリクエストがあったのを手伝ったりもして。

OLIVIA 「a little pain」?それとも「Rock you」のこと?

rui そうそう、「Rock you」だ。OLIVIAが歌った曲のうち8割くらいは僕が一緒にやらせてもらったんですけど、とにかく時間がなくて、元旦も仕事していたのをよく覚えています(笑)。OLIVIAからも「もっとこうしたい」っていうのが色々あって。

OLIVIA ボツになった曲もあったよね。私たちが作った曲で。

rui あったあった(笑)。

――今話題にあがった「a little pain」はアニメの1st EDテーマで、「Wish」と同様、ファンの印象に強く残っている曲です。こちらもOLIVIAさんが作詞で制作に参加していますが(川村真澄との共作)、せっかくの機会なので、当時どんなイメージで書いたのかお伺いしたいです。

OLIVIA 完全にレイラのことを考えて、そのマインドで作りました。OLIVIAという自分の存在を置いておいて、キャラクターに入り込んだ感じですね。これは今まで誰にも言ってこなかったのですが、“I’m here waiting for you”という歌詞は、誰か他の人を待っているのではなくて、レイラが自分に対して歌っているんです。自分自身を待っていて、自分を叩き起こすような感じ。レイラの葛藤や、若さゆえの自分との戦い。自分自身に対して「Wake up, Wake up!」と言っているように書きました。

rui それは僕も今、初めて聞きました。

OLIVIA これまで誰にも言ってこなかったのは、みんなに自由に想像してほしかったから。でも、私はそう思って書きました。「レイラが自分のために曲を書く」というイメージです。

――貴重なお話をありがとうございます。今回、改めて「Wish Reimagined」で音楽活動を再開されるわけですが、OLIVIAさんにとって、『NANA』という作品に関わったことは、その後の人生にどのような影響を与えましたか。

OLIVIA この経験、『NANA』ファミリーに入れたことは、自分にとって想像以上に大きなことでした。実は『NANA』に出会うまで、私はそれほどアニメを観るタイプではなかったんです。でも、『NANA』がアニメの世界への入り口にもなって、それから色んなアニメを観始めました。『攻殻機動隊』『ダンダダン』『チェンソーマン』『ワンパンマン』『僕のヒーローアカデミア』『ONE PIECE』『ソードアート・オンライン』『鬼滅の刃』『モブサイコ100』『マッシュル』『極主夫道』……。

――めちゃくちゃたくさん観てますね(笑)。

OLIVIA 観てます!I Love Anime!今はもう、ビッグ・アニメ・オタクです(笑)。子供と一緒に、家族3人でいつも観ています。

――素晴らしいですね。それに『NANA』はずっと愛されている作品なので、今でも作品をきっかけにOLIVIAさんのことを知る方も多いのでは?

OLIVIA その通りです!最近『NANA』を見て私を知ってくれたという人もたくさんいます。1、2年前にNetflixで配信が始まった時は、そこからまた新しいファンが増えて。本当に『NANA』のパワーはすごいです。去年、フランスのイベントに行った時もすごかった。

――フランスで開催されたアニメのイベントにゲストで招かれたらしいですね。

OLIVIA 私がレイラの歌声を担当していたので呼んでくださって。世界中のファンが、ナナに出てくるキャラクターみたいな格好で集まっていて、「ナナの世界に入ったみたい!」って感動しました。パンクファッション、ヴィヴィアン・ウエストウッド……あの矢沢あいの世界観は日本でも再注目されているらしいですよね。去年の12月くらいに日本にいた時、ニュースで「今、『NANA』のファッションが流行っています」ってやっていて「ワオ!」と思いました。『NANA』のファッションはタイムレスだと思います。私も今でもヴィヴィアン・ウエストウッドの靴が欲しいし(笑)。

――OLIVIAさんならかっこよく着こなせると思います!最後に、今後の音楽活動について伺わせてください。オリジナル曲も制作中とのことですが、今後の構想や予定はありますか?

OLIVIA 新曲はたくさん作っていて、今、デモ段階のものが10曲くらいあります。できれば秋くらいから、毎月コンスタントに発表していきたいなと思っています。それからライブもやりたいけど、新しい曲をもっと溜めてからやりたいなと。今年の終わりくらいに、日本でライブができたら嬉しいですね。それからヨーロッパとかも行けたらいいなと思っています。

――楽しみにしています。個人的に、2ndアルバムの『Lost Lolli』が大好きなので、ああいった尖った世界観も期待しています。

OLIVIA ありがとうございます!ただ、ああいうダークな感じも好きなんですけど、今年出すのはちょっと明るめかな。もっとエネルギッシュで、ポップな感じ。今、世界中がちょっとおかしくなっているじゃないですか。そんな中で暗い音楽を出すよりは、みんなをインスパイアしたり、ポジティブなバイブスを送りたいんです。自分をもっと好きになれるような、磨きをかけたくなるような、そういう曲をみんなに届けられたらと思います。

●リリース情報
OLIVIA New Single
「Wish Reimagined」

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