ボーカルのぽん、サウンドクリエイターの小島英也による音楽ユニットのORESAMAが、待望のニューアルバム『CONTINEW WORLD』を10月27日にリリースする。CD2枚組の豪華ボックス仕様で届けられる本作は、DISC 1に「ホトハシル」「OPEN THE WORLDS」「CATCH YOUR SWEET MIND」「Gimmme!」などのアニメタイアップ曲と新曲6曲を含む全12曲を収録。
“変わり続けていく世界”のなかで、ORESAMAが届けたい音楽
――新作『CONTINEW WORLD』は、前作『Hi-Fi POPS』以来、約3年半ぶりのアルバムになります。どんなコンセプトのもと制作を進めましたか?
ぽん 『CONTINEW WORLD』というタイトルは、“続く=CONTINUE”と“新しい世界=NEW WORLD”を掛け合わせた造語なんですけど、自分としては、(新型コロナウイルスの影響による)長い自粛期間で、時間の流れを今まで以上に強く感じたんです。ライブやイベントが延期・中止になって、ファンの方と面と向かって話す機会も減ったなかで、どれだけもどかしい思いをしても時間は止まらないし、世界は日々、新しく変わり続けていく。そんなどうしようもない状況を、ORESAMAとしてポップに昇華したいと思ったときに、自分の中では“命ある限り、私たちの人生は続いていく”というメッセージ性と、変わり続けていく自分たちの世界を恐れず、背筋を伸ばして生きていけるように”という願い、それと“時間の移り変わり”というテーマがありました。
小島英也 今はライブでみんなと音楽をリアルタイムで共有する時間が本当に少なくなってしまったなか、音楽を作ることが僕らと聴いてくれる人を繋ぐ架け橋になると思うので、今回はできるだけ多く新曲を入れたくて。しかも新曲は全部アルバムを作ることが決まってから制作したので、その意味でもタイムラグなく今のORESAMAの音楽を届けられると思います。
ぽん 曲順に関しては、もちろん全体の流れも意識しつつ、アルバムのテーマとして“変わり続けていく”というメッセージ性があったので、私はどうしても表題曲の「CONTINEW WORLD」を最後にしたくて。
――ここからはアルバムの新曲を中心にお話を聞いていきます。まずは3曲目に収録の「パラレルモーション」。ORESAMAらしいポップでポジティブなディスコファンクですね。
小島 これが新曲の中では最初にできた楽曲で、実は僕的にはアルバムの表題曲にするつもりで制作したんです。なので今のORESAMAとして表現できる最大のものをここにぶつけていて。今までの楽曲との違いとしては、生音の要素が強くなっていることで、ギターやベースなどの生楽器の質感を前に押し出しています。
――全体的にリズミカルで、すべての楽器が有機的に絡み合ってグルーヴを形成しているような印象を受けました。
小島 これはほかの新曲にも言えることですが、今回はライブにすごく影響を受けていて。この曲もベースとギターのユニソンから始まって、楽器同士によるセッション感、まるでライブレコ―ディングしたかのような質感にこだわりました。6曲目の「ロマネスク」もそういう意識で作っていて、自分のライブをやりたい願望が反映されているのかもしれないです。
――サウンドだけでなく、ぽんさんの歌と歌詞もリズムに上手くハマっていますよね。
小島 歌に関してはかなりリズミカルに遊んだ部分があって。特に2Aの後半のリズムは僕的にも「これは歌詞をつけづらいかな?」と思いつつ作ったんですけど、ぽんちゃんが書いてきた歌詞は最初から完璧にハマっていて。
ぽん 「音のハマりがすごくいい」って言われて、その日は今まで活動してきたなかで一番チームに褒められました(笑)。
――ぽんさんは、リズムに合わせた歌詞の書き方について、以前よりもコツを掴んだ実感があったりしますか?
ぽん 自分では上手くなったかはわからないんですけど……上手くなってるんですかね?
小島 いや、上手くなってますよ(笑)。
ぽん 私の書き方が上手くなったというより、小島くんのやりたいことを以前よりもわかるようになってきたのかもしれないです(笑)。
――歌詞からは、思い悩むよりも先にまずは新しい世界に飛び込もう!といったようなメッセージ性が感じられました。
ぽん この曲は元々「ポジティブで広がりのある曲を作ろう」という漠然としたテーマがあったなかで、ORESAMAのパラレルワールドをもっと広げていきたい、という願いを込めて歌詞を書きました。今はみんなとなかなか会えないからこそ、ネットやMV、配信ライブ、各々の電波で開かれるORESAMAの世界を大切にしていきたくて。この曲はMVも制作したのですが、そちらもいつもお世話になっているうとまるさんではなく、イラストレーターのはなぶしさんにキャラクターをデザインしていただいて、今までとは一味違ったパラレルな世界観に挑戦しています。
――ORESAMAのMVでは毎回、小島さんがどこで登場するかも見どころになっていますが、今回は冒頭から登場しますね。
ぽん 小島くんが最初からいるのは珍しいよね。
小島 たしかに。毎度のことながら、僕の撮影時間は非常に短くて(笑)。いいところで使っていただいてありがたいです。
――ぽんさんも、サビの振り付けがいつも以上にかっこよくキマっていました。
ぽん ありがとうございます。
ポップなファンクからゴスペルまで!バラエティ豊かに進化した新曲たち
――4曲目の「Chewy Candy」は、エレクトロスウィング調の雰囲気あるナンバー。
小島 前作(『Hi-Fi POPS』)に収録した「cute cute」がライブでも盛り上がれる楽曲になったので、その流れで今回もエレクトロスウィングを1曲入れたくて作りました。この曲に関しては、僕は『ざしきわらしのタタミちゃん』(2020年放送のミニアニメ)で初めて劇伴を作らせていただいたのですが、そのときの「音で雰囲気を作る」という経験が活きていて。ちょっと不気味な効果音を追加することで、音としても独特な雰囲気を表現した曲です。
ぽん 私は以前からずっと「歌で、音で遊んでいるような楽曲がほしい」と言っていたんですけど、この曲はポイントとなる箇所以外は歌詞がなくて、スキャットでダバダバ歌っている曲にしました。私たちのつくったものが、噛んだあとに吐き捨てられるチューイングガムではなく、噛み砕いたあとに聴き手のなかに溶けていくようなものでありたい、というテーマで歌詞を書いて。
小島 仮メロを送ったときは、ここまで歌詞がないものになるとは思わなくて(笑)。でも、こういう遊び方は今までしていなかったので面白かったですね。
――6曲目の「ロマネスク」はライブを意識して作られたとのことですが、個人的には80sファンク、とりわけプリンス周辺のミネアポリスサウンドのようなノリを感じました。
小島 かなり影響を受けていると思います。プリンスのバンドでも活動していた、イーダ・ニールセンというベーシストが大好きで、この曲を制作していた頃はその方の音源をよく聴いていました。
――間奏のシンセソロがブニョブニョうねっているところからは、特にファンク魂を感じました。
小島 ありがとうございます(笑)。僕はJUNO(ローランド製のアナログシンセサイザー)が大好きで、その部分もJUNOで作りましたね。今回のアルバムは、シンセを効果的に入れてエッセンスになるような作り方をしています。
――ぽんさんはどんな想いを込めて歌詞を書きましたか?
ぽん 先ほどもお話しした“時間の移り変わり”というテーマで、どんな瞬間も永遠になることはなくて、さらさらと流れていく時間のなかで、今日も自分は自分なりに凛として生きていきたい、という強い気持ちを込めました。「ロマネスク」という言葉には“小説のように奇異なあれこれ”という意味があるのですが、音のハマり的にもこの言葉しかないと思ってタイトルにしました。
――“酸いも甘いも 嘘も期待も 交差する今日も 凛々しくいきましょうか”という歌詞がすごく良くて。ぽんさんはORESAMAの歌詞を通じて、自分の弱い部分も表現してきましたけど、今回もそういう要素はありつつ、よりたくましくなっている印象を受けました。
ぽん 人間というのは、強い自分も、弱い自分も内包しているものだし、ORESAMAはそういうものをどちらも音楽に昇華して、最後は笑い合えるようなユニットだと思うんです。今回のアルバムでもそういう部分を見せたくて。
――その「ロマネスク」とは逆に、人間の弱い部分を表現したのが、次の新曲「Baby Baby Blue」と言えそうですね。
ぽん この曲も“時間の移り変わり”をテーマに歌詞を書いたんですけど、「ロマネスク」の強い気持ちとは裏腹に、やわらかい部分を歌いたかったんです。時間が進んで自分が変わっていくなか、後ろ髪を引かれる、過去への執着をそっと手放すような、そんな気持ちに寄り添うはなむけの曲だと思います。
――特に“遠ざかるすべてがプラチナみたいだ”というフレーズからは、大切な時間が過ぎ去っていくことの切なさを感じてグッときました。
ぽん 過去ってどうしても美しくなっていくじゃないですか。「Baby Baby Blue」は大きな青春というよりも、一区切りごとにあった自分の愛しい青春というイメージがあって。「ロマネスク」と合わせて、これが私なのかなって思います。
――表裏一体な部分もあるわけですね。楽曲としてはクールかつメロウな曲調ですが、小島さんはどんなイメージでこの曲を作ったのですか?
小島 これはまさにブルーのイメージで、実は最初のデモはかなりR&Bっぽい、もっとメロウで青い雰囲気の楽曲だったんです。そこから仮歌を入れたりするうちに、歪んだギターや強めのシンセを加えたくなって。なので初期のメロウな部分も残しつつ、僕の中のロックを詰め込んだ曲になります。ただ、出来上がったものはまったくロックではないですけど(笑)。
――とはいえギターリフのかっこよさがこの曲の肝になっているのかなと。
小島 ありがとうございます。この曲はアレンジに時間がかかって、ギターソロも実は終盤で追加したんです。歌をレコーディングしたあとも、それを聴きながらギターやベースを全部録り直して。ギターのリフがハマったときに、楽曲の方向性が固まった気がします。
――ちなみに8曲目の「Waiting for…」は今回新しいミックスで収録されていますが、元々はシングル「流星ダンスフロア」(2017年)のカップリング曲ですよね。4年ほど前の楽曲を今作に改めて収録したのは?
小島 僕的には比較的最近の活動だけでなく、もっと過去からの流れもアルバムで感じてほしかったのと、「Waiting for…」はシンセサイザーと生楽器のバランスが良くて挑戦的な楽曲だったので、このタイミングで再ミックスして、今の自分たちの音で収録することで、僕らの音の流れがよりわかるようにしたい意図がありました。
――なるほど。11曲目の新曲「Moonlight」はゴスペルの要素を取り入れたナンバー。小島さんは以前の取材で、ゴスペルが好きでいつかORESAMAでもそういう楽曲を作ってみたいとおっしゃっていましたね。
小島 そうですね。今はコロナ禍の影響で音楽の状況が変わってしまって、非常につらくて過酷な部分もあるじゃないですか。そういうものに対して、そしてこれからの自分たちの未来に対して、祈りを捧げるニュアンスの楽曲をアルバムに入れたくて。それをぽんちゃんの歌詞だけに任せるのではなく、音の面でもしっかりと表現したくて、ゴスペル調の曲にしました。
ぽん この曲が一番今の小島くんの趣味嗜好が詰まっている気がする。
小島 そうだね。この曲はクワイア的なコーラスをかなり大きくして、ぽんちゃんがコーラスに包まれて歌っているイメージで作ったんです。早くみんなで合唱しながらライブができる日が来てくれるように、そういう願いを込めたので、“祈り”が大きなキーワードになっています。
――ぽんさんも歌詞を書くにあたり、そういった“祈り”や“願い”を意識しましたか?
ぽん 私はいつも応援してくれるみんなの存在を書きたいなと思って。私がつらかったり、しんどかったときに、みんなの温かさが糧になったように、今度はみんなが後ろ向きになってしまうことがあったときに、この曲がみんなを照らせたらという願いを込めました。
――歌詞には“あの状景想い 刻む わたしの在り処”というフレーズもありますが、やはりお二人はライブの景色が思い浮かんだりするのでしょうか?
ぽん まさにそれを思いながら書きました。(ライブの)幕が開いた瞬間のみんなの顔は忘れられないですし、それを思い出して踏ん張れたところもあるので。私たちはいつもみんなからもらうばかりだなって思っていて。「みんなのことを肯定したい」とは言っていますけど、みんなが私たちの力になっていることを、この曲で伝えられたらと思います。
――サウンド面の話に戻りますが、この曲は2番以降に足踏みの音が入っていたり、今までとは一味違った工夫を感じました。
小島 足踏みや手拍子は全員で空間を共有しているイメージ、ライブでみんなと一緒にできる要素の1つとして入れました。音楽的にも人間のアナログ感や生感が出ますし、実際に僕が足踏みや手拍子した音を混ぜて使っています。
――クワイアコーラスも実際に録音したのですか?
小島 録りました。あれは何十本もの声が重なっているんですけど、その9割はぽんちゃんが歌っています(笑)。ただ、全部ぽんちゃんだと、メインの歌とコーラスが同じ質感になってしまうので、残りの1割は僕も歌っていますし、僕やぽんちゃんの声を加工したデジタルな要素も加えて厚みを出しました。ぽんちゃんにも「ゴスペルっぽく」とか「もっとパワフルに」とか、色々リクエストして声質を変えて歌ってもらって。
ぽん 信じられないほど高い音とか、今まで出したことのない声でも歌いました(笑)。
――そしてアルバムを締め括るのが表題曲の「CONTINEW WORLD」。サウンド的には、視界が一気に広がるようなスケール感の開放的なディスコナンバーです。
小島 この曲は僕の中では、前作(『Hi-Fi POPS』)のリード曲「Hi-Fi TRAIN」から繋がる系譜の楽曲で、例えばイントロのストリングスは「Hi-Fi TRAIN」のセルフオマージュ的なフレーズを入れたりすることで、過去も全部引き連れて、このアルバムに入っていることを表現しました。あと、僕はこの曲が1曲目になると思って制作を始めたので、派手です(笑)。
――それがぽんさんの意向で……。
ぽん 強い訴えによってアルバムの最後の曲になりました(笑)。「Moonlight」で終わる案もあったんですけど、今回のアルバムのテーマは“続いていく”なので、それは違うかなと思って。私の中では、この曲でエンドロールが流れるイメージがあったので、どうしても最後がいいって言い続けたんです。
小島 でも、また1曲目に戻っていくようなニュアンスもあるので、結果的に良かったですね。
――この曲の歌詞は本当にキラーフレーズだらけで、“刹那的いのち抱え 痛いほどゾクゾク感じたい”など、世界が変わり続けるなかで生きることを力強く肯定する言葉に溢れています。
ぽん 生きている限り、自分がこの人生の主人公ということは変わらないですけど、それって自分も含め結構忘れがちだと思うんですよね。そういうことを今一度思い出すきっかけになったり、誰かの背中を押せる曲、私にとっても自分の背中を押すような気持ちで書きました。今のこの状況って、いたしかたなく変わることもあると思うんですけど、それをポジティブに昇華したかったので。
――最後は“振り返らず進むよ 僕らのNEW WORLD”で終わるところも、ORESAMAの世界がこれからも続いていくことが感じられて素敵です。
ぽん 目まぐるしく変化していく世の中でこれからも生きていくみんなを少しでも応援できたら嬉しいです。
CD2枚組の豪華ボックス仕様でさらに広がるORESAMAのニューワールド!
――そして今回、アルバムのDISC 2にて、“Dressup cover”シリーズで発表された全12曲が初CD化となります。やはりYouTubeだけでなく、作品として残したい気持ちがあったのでしょうか?
小島 正直、“Dressup cover”を作っていた当初は、これを一枚にまとめようとは想像していなかったんですけど、みんなから「商品化してほしい」という声をいただいて。ただ、この12曲では、色んなジャンルを取り入れたり、初めてミックスまで自分で手がけていて、自分の音をこれから作っていくうえで重要な作品、ORESAMAの新しい挑戦や未来に向けたものになっているので、今回のアルバムに収録できてすごく嬉しいです。しかも、「オオカミハート」のときからお世話になっている、マスタリングエンジニアの茅根(裕司)さんに自分のミックスをマスタリングしてもらう貴重な経験もできたので、その意味でも心のこもった一枚になりました。
――なおかつ今回のアルバムは、CD2枚組にブックレットや特典グッズなども同梱した豪華ボックス仕様になっているそうですね。
ぽん そうなんです。アートワークはうとまるさんやいつもお世話になっているデザインチームに制作していただいて。かつて人間が不可能だと決めつけていた「空を飛ぶ」ことを実現した時代と、タイトルの『CONTINEW WORLD』を紐づけて、私たちORESAMAが飛行機を完成させて新しい世界に飛び立つというストーリーを、スチームパンク風の世界観に落とし込んでいただきました。新しさと懐かしさが融合したアートワークを含め、ORESAMAの世界観を楽しんでいただけると思います。
――今の時代は配信やストリーミングが主流になってきていますが、そのなかでアルバムを豪華ボックス仕様でリリースするというのは、やはり何らかの考えがあってのことですか?
小島 今はほとんどの方がCDを買わないと思いますし、僕も聴くぶんにはサブスクを使うことが多くて。じゃあCDの役割は何かと考えたら、僕は“自分たちの分身”だと思うんですね。例えばレコードにはすごく所有欲がありますけど、それは音はもちろん盤面を見ているだけでそのアーティストを感じられるし、それを所有している気持ちになれるからで。CDの役割も、自分たちの分身をみんなの自宅とかに置いてもらうことで、僕らのことを思い出してもらえるきっかけになるもの、僕らと聴き手を繋いでくれる橋になるものなのかなと思っていて。今回のアルバムにはカレンダーも付きますけど、今はライブやリアルでの交流が難しいなかで、家でもORESAMAを感じてもらえるものが大切になってくると思うんです。
――たしかにCDやモノとしての実体があれば、ORESAMAという存在を実感できる機会も増えるでしょうからね。それこそお二人は最近、YouTubeでラジオ番組を配信するなど、色々な形でファンとの交流を図っていますが、今後ORESAMAとしてやってみたいことはありますか?
ぽん まずは一人一人にアルバムが届くことが願いですね。あとはこういう難しい状況で何ができるかを考えて、小島くんもさっき言っていたように、ORESAMAが目に入るような感覚、直接会えないからこそ接点が持てる場所を……まあ二人ともSNSが苦手問題はすごくあるんですけど(苦笑)、そこに苦しみながらも、できることをコツコツやっていきたいです。
小島 コロナ禍で、音楽は比較的、不要不急のほうに入れられてしまったと思うんですけど、音楽の大切さはもっと重要視されるべきだと思うし、ただ生きていくためにはなくてもいいかもしれないけど、ただ生きていくことに色を加えてくれるのが、音楽でありエンターテインメントだと思うんですね。そういうことを再び実感して、今はとにかく音楽を続けることが、僕の一番やりたいことです。そのなかでネットやコメントを通じて、みんなとコミュニケーションを取れる時間はすごく大切だなと思っていて。そこからモチベーションやアイデアをもらうことがあるので、そういう関わりはこれからも引き続き継続していきたいですね。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
●リリース情報
『CONTINEW WORLD』
10月27日発売
品番:ANR-551
価格:¥5,500(税込)
※P36外付けブックレット、BOX入り
※封入特典:2022カレンダー/エンブレムロゴステッカー同梱
予約URLはこちら
※予約受付期間10/14(木)23:58まで
<CD>
DISC 1
01. Gimmme! (TVアニメ『魔王城でおやすみ』ED主題歌)
02. OPEN THE WORLDS (TVアニメ『叛逆性ミリオンアーサー』第2シーズンOP主題歌)
03. パラレルモーション
04. Chewy Candy
05. CATCH YOUR SWEET MIND (ミニアニメ『ざしきわらしのタタミちゃん』主題歌)
06. ロマネスク
07. Baby Baby Blue
08. Waiting for… -Album mix-
09. ホトハシル (TVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』EDテーマ)
10. 夜行ノ雨
11. Moonlight
12. CONTINEW WORLD
DISC 2
01. 銀河 -Dressup cover-
02. 綺麗なものばかり -Dressup cover-
03. カラクリ -Dressup cover-
04. Morning Call -Dressup cover-
05. 秘密 -Dressup cover-
06. 迷子のババロア -Dressup cover-
07. あたまからモンスター -Dressup cover-
08. 耳もとでつかまえて -Dressup cover-
09. 恋のあじ -Dressup cover-
10. ワンダードライブ -Dressup cover-
11. 密告テレパシー -Dressup cover-
12. 「ねぇ、神様?」 -Dressup cover-
関連リンク
ORESAMAオフィシャルサイト
https://www.orsm.jp/
ORESAMAオフィシャルTwitter
https://twitter.com/o_oresama
ORESAMAオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCwJpCPxmkVoTBqshUhF0ghg
ORESAMA 3rd ALBUM『CONTINEW WORLD』予約受付サイト
https://anarchic.booth.pm/items/3132447
DISC 2には、YouTubeで人気を集めるセルフリメイク音源“Dressup cover”シリーズが全曲収録され、ボリューミーかつ濃厚な作品に仕上がっている。時代の変化をしっかりと見据えつつ、ORESAMAらしいダンサブルで前向きになれる音楽を満載した本作に込めた想いを、二人に聞いた。
“変わり続けていく世界”のなかで、ORESAMAが届けたい音楽
――新作『CONTINEW WORLD』は、前作『Hi-Fi POPS』以来、約3年半ぶりのアルバムになります。どんなコンセプトのもと制作を進めましたか?
ぽん 『CONTINEW WORLD』というタイトルは、“続く=CONTINUE”と“新しい世界=NEW WORLD”を掛け合わせた造語なんですけど、自分としては、(新型コロナウイルスの影響による)長い自粛期間で、時間の流れを今まで以上に強く感じたんです。ライブやイベントが延期・中止になって、ファンの方と面と向かって話す機会も減ったなかで、どれだけもどかしい思いをしても時間は止まらないし、世界は日々、新しく変わり続けていく。そんなどうしようもない状況を、ORESAMAとしてポップに昇華したいと思ったときに、自分の中では“命ある限り、私たちの人生は続いていく”というメッセージ性と、変わり続けていく自分たちの世界を恐れず、背筋を伸ばして生きていけるように”という願い、それと“時間の移り変わり”というテーマがありました。
小島英也 今はライブでみんなと音楽をリアルタイムで共有する時間が本当に少なくなってしまったなか、音楽を作ることが僕らと聴いてくれる人を繋ぐ架け橋になると思うので、今回はできるだけ多く新曲を入れたくて。しかも新曲は全部アルバムを作ることが決まってから制作したので、その意味でもタイムラグなく今のORESAMAの音楽を届けられると思います。
ぽん 曲順に関しては、もちろん全体の流れも意識しつつ、アルバムのテーマとして“変わり続けていく”というメッセージ性があったので、私はどうしても表題曲の「CONTINEW WORLD」を最後にしたくて。
――ここからはアルバムの新曲を中心にお話を聞いていきます。まずは3曲目に収録の「パラレルモーション」。ORESAMAらしいポップでポジティブなディスコファンクですね。
小島 これが新曲の中では最初にできた楽曲で、実は僕的にはアルバムの表題曲にするつもりで制作したんです。なので今のORESAMAとして表現できる最大のものをここにぶつけていて。今までの楽曲との違いとしては、生音の要素が強くなっていることで、ギターやベースなどの生楽器の質感を前に押し出しています。
――全体的にリズミカルで、すべての楽器が有機的に絡み合ってグルーヴを形成しているような印象を受けました。
小島 これはほかの新曲にも言えることですが、今回はライブにすごく影響を受けていて。この曲もベースとギターのユニソンから始まって、楽器同士によるセッション感、まるでライブレコ―ディングしたかのような質感にこだわりました。6曲目の「ロマネスク」もそういう意識で作っていて、自分のライブをやりたい願望が反映されているのかもしれないです。
――サウンドだけでなく、ぽんさんの歌と歌詞もリズムに上手くハマっていますよね。
小島 歌に関してはかなりリズミカルに遊んだ部分があって。特に2Aの後半のリズムは僕的にも「これは歌詞をつけづらいかな?」と思いつつ作ったんですけど、ぽんちゃんが書いてきた歌詞は最初から完璧にハマっていて。
ぽん 「音のハマりがすごくいい」って言われて、その日は今まで活動してきたなかで一番チームに褒められました(笑)。
――ぽんさんは、リズムに合わせた歌詞の書き方について、以前よりもコツを掴んだ実感があったりしますか?
ぽん 自分では上手くなったかはわからないんですけど……上手くなってるんですかね?
小島 いや、上手くなってますよ(笑)。
ぽん 私の書き方が上手くなったというより、小島くんのやりたいことを以前よりもわかるようになってきたのかもしれないです(笑)。
――歌詞からは、思い悩むよりも先にまずは新しい世界に飛び込もう!といったようなメッセージ性が感じられました。
ぽん この曲は元々「ポジティブで広がりのある曲を作ろう」という漠然としたテーマがあったなかで、ORESAMAのパラレルワールドをもっと広げていきたい、という願いを込めて歌詞を書きました。今はみんなとなかなか会えないからこそ、ネットやMV、配信ライブ、各々の電波で開かれるORESAMAの世界を大切にしていきたくて。この曲はMVも制作したのですが、そちらもいつもお世話になっているうとまるさんではなく、イラストレーターのはなぶしさんにキャラクターをデザインしていただいて、今までとは一味違ったパラレルな世界観に挑戦しています。
――ORESAMAのMVでは毎回、小島さんがどこで登場するかも見どころになっていますが、今回は冒頭から登場しますね。
ぽん 小島くんが最初からいるのは珍しいよね。
小島 たしかに。毎度のことながら、僕の撮影時間は非常に短くて(笑)。いいところで使っていただいてありがたいです。
――ぽんさんも、サビの振り付けがいつも以上にかっこよくキマっていました。
ぽん ありがとうございます。
今回もELEVENPLAYのNON先生に振りをつけていただいたんですけど、ノリがある曲なので、妥協せずそこに振りをハメていきたいということで、今までのなかで一番難しい振り付けでした。
ポップなファンクからゴスペルまで!バラエティ豊かに進化した新曲たち
――4曲目の「Chewy Candy」は、エレクトロスウィング調の雰囲気あるナンバー。
小島 前作(『Hi-Fi POPS』)に収録した「cute cute」がライブでも盛り上がれる楽曲になったので、その流れで今回もエレクトロスウィングを1曲入れたくて作りました。この曲に関しては、僕は『ざしきわらしのタタミちゃん』(2020年放送のミニアニメ)で初めて劇伴を作らせていただいたのですが、そのときの「音で雰囲気を作る」という経験が活きていて。ちょっと不気味な効果音を追加することで、音としても独特な雰囲気を表現した曲です。
ぽん 私は以前からずっと「歌で、音で遊んでいるような楽曲がほしい」と言っていたんですけど、この曲はポイントとなる箇所以外は歌詞がなくて、スキャットでダバダバ歌っている曲にしました。私たちのつくったものが、噛んだあとに吐き捨てられるチューイングガムではなく、噛み砕いたあとに聴き手のなかに溶けていくようなものでありたい、というテーマで歌詞を書いて。
小島 仮メロを送ったときは、ここまで歌詞がないものになるとは思わなくて(笑)。でも、こういう遊び方は今までしていなかったので面白かったですね。
――6曲目の「ロマネスク」はライブを意識して作られたとのことですが、個人的には80sファンク、とりわけプリンス周辺のミネアポリスサウンドのようなノリを感じました。
小島 かなり影響を受けていると思います。プリンスのバンドでも活動していた、イーダ・ニールセンというベーシストが大好きで、この曲を制作していた頃はその方の音源をよく聴いていました。
“Dressup cover”シリーズ(2020年よりスタートした、ORESAMAが自身の楽曲をリアレンジするシリーズ)で色んなジャンルを取り入れたことで、楽曲制作の幅も広がってきたので、その意味でもこういうサウンドになったんだと思います。
――間奏のシンセソロがブニョブニョうねっているところからは、特にファンク魂を感じました。
小島 ありがとうございます(笑)。僕はJUNO(ローランド製のアナログシンセサイザー)が大好きで、その部分もJUNOで作りましたね。今回のアルバムは、シンセを効果的に入れてエッセンスになるような作り方をしています。
――ぽんさんはどんな想いを込めて歌詞を書きましたか?
ぽん 先ほどもお話しした“時間の移り変わり”というテーマで、どんな瞬間も永遠になることはなくて、さらさらと流れていく時間のなかで、今日も自分は自分なりに凛として生きていきたい、という強い気持ちを込めました。「ロマネスク」という言葉には“小説のように奇異なあれこれ”という意味があるのですが、音のハマり的にもこの言葉しかないと思ってタイトルにしました。
――“酸いも甘いも 嘘も期待も 交差する今日も 凛々しくいきましょうか”という歌詞がすごく良くて。ぽんさんはORESAMAの歌詞を通じて、自分の弱い部分も表現してきましたけど、今回もそういう要素はありつつ、よりたくましくなっている印象を受けました。
ぽん 人間というのは、強い自分も、弱い自分も内包しているものだし、ORESAMAはそういうものをどちらも音楽に昇華して、最後は笑い合えるようなユニットだと思うんです。今回のアルバムでもそういう部分を見せたくて。
――その「ロマネスク」とは逆に、人間の弱い部分を表現したのが、次の新曲「Baby Baby Blue」と言えそうですね。
ぽん この曲も“時間の移り変わり”をテーマに歌詞を書いたんですけど、「ロマネスク」の強い気持ちとは裏腹に、やわらかい部分を歌いたかったんです。時間が進んで自分が変わっていくなか、後ろ髪を引かれる、過去への執着をそっと手放すような、そんな気持ちに寄り添うはなむけの曲だと思います。
――特に“遠ざかるすべてがプラチナみたいだ”というフレーズからは、大切な時間が過ぎ去っていくことの切なさを感じてグッときました。
ぽん 過去ってどうしても美しくなっていくじゃないですか。「Baby Baby Blue」は大きな青春というよりも、一区切りごとにあった自分の愛しい青春というイメージがあって。「ロマネスク」と合わせて、これが私なのかなって思います。
――表裏一体な部分もあるわけですね。楽曲としてはクールかつメロウな曲調ですが、小島さんはどんなイメージでこの曲を作ったのですか?
小島 これはまさにブルーのイメージで、実は最初のデモはかなりR&Bっぽい、もっとメロウで青い雰囲気の楽曲だったんです。そこから仮歌を入れたりするうちに、歪んだギターや強めのシンセを加えたくなって。なので初期のメロウな部分も残しつつ、僕の中のロックを詰め込んだ曲になります。ただ、出来上がったものはまったくロックではないですけど(笑)。
――とはいえギターリフのかっこよさがこの曲の肝になっているのかなと。
小島 ありがとうございます。この曲はアレンジに時間がかかって、ギターソロも実は終盤で追加したんです。歌をレコーディングしたあとも、それを聴きながらギターやベースを全部録り直して。ギターのリフがハマったときに、楽曲の方向性が固まった気がします。
――ちなみに8曲目の「Waiting for…」は今回新しいミックスで収録されていますが、元々はシングル「流星ダンスフロア」(2017年)のカップリング曲ですよね。4年ほど前の楽曲を今作に改めて収録したのは?
小島 僕的には比較的最近の活動だけでなく、もっと過去からの流れもアルバムで感じてほしかったのと、「Waiting for…」はシンセサイザーと生楽器のバランスが良くて挑戦的な楽曲だったので、このタイミングで再ミックスして、今の自分たちの音で収録することで、僕らの音の流れがよりわかるようにしたい意図がありました。
――なるほど。11曲目の新曲「Moonlight」はゴスペルの要素を取り入れたナンバー。小島さんは以前の取材で、ゴスペルが好きでいつかORESAMAでもそういう楽曲を作ってみたいとおっしゃっていましたね。
小島 そうですね。今はコロナ禍の影響で音楽の状況が変わってしまって、非常につらくて過酷な部分もあるじゃないですか。そういうものに対して、そしてこれからの自分たちの未来に対して、祈りを捧げるニュアンスの楽曲をアルバムに入れたくて。それをぽんちゃんの歌詞だけに任せるのではなく、音の面でもしっかりと表現したくて、ゴスペル調の曲にしました。
ぽん この曲が一番今の小島くんの趣味嗜好が詰まっている気がする。
小島 そうだね。この曲はクワイア的なコーラスをかなり大きくして、ぽんちゃんがコーラスに包まれて歌っているイメージで作ったんです。早くみんなで合唱しながらライブができる日が来てくれるように、そういう願いを込めたので、“祈り”が大きなキーワードになっています。
――ぽんさんも歌詞を書くにあたり、そういった“祈り”や“願い”を意識しましたか?
ぽん 私はいつも応援してくれるみんなの存在を書きたいなと思って。私がつらかったり、しんどかったときに、みんなの温かさが糧になったように、今度はみんなが後ろ向きになってしまうことがあったときに、この曲がみんなを照らせたらという願いを込めました。
――歌詞には“あの状景想い 刻む わたしの在り処”というフレーズもありますが、やはりお二人はライブの景色が思い浮かんだりするのでしょうか?
ぽん まさにそれを思いながら書きました。(ライブの)幕が開いた瞬間のみんなの顔は忘れられないですし、それを思い出して踏ん張れたところもあるので。私たちはいつもみんなからもらうばかりだなって思っていて。「みんなのことを肯定したい」とは言っていますけど、みんなが私たちの力になっていることを、この曲で伝えられたらと思います。
――サウンド面の話に戻りますが、この曲は2番以降に足踏みの音が入っていたり、今までとは一味違った工夫を感じました。
小島 足踏みや手拍子は全員で空間を共有しているイメージ、ライブでみんなと一緒にできる要素の1つとして入れました。音楽的にも人間のアナログ感や生感が出ますし、実際に僕が足踏みや手拍子した音を混ぜて使っています。
――クワイアコーラスも実際に録音したのですか?
小島 録りました。あれは何十本もの声が重なっているんですけど、その9割はぽんちゃんが歌っています(笑)。ただ、全部ぽんちゃんだと、メインの歌とコーラスが同じ質感になってしまうので、残りの1割は僕も歌っていますし、僕やぽんちゃんの声を加工したデジタルな要素も加えて厚みを出しました。ぽんちゃんにも「ゴスペルっぽく」とか「もっとパワフルに」とか、色々リクエストして声質を変えて歌ってもらって。
ぽん 信じられないほど高い音とか、今まで出したことのない声でも歌いました(笑)。
――そしてアルバムを締め括るのが表題曲の「CONTINEW WORLD」。サウンド的には、視界が一気に広がるようなスケール感の開放的なディスコナンバーです。
小島 この曲は僕の中では、前作(『Hi-Fi POPS』)のリード曲「Hi-Fi TRAIN」から繋がる系譜の楽曲で、例えばイントロのストリングスは「Hi-Fi TRAIN」のセルフオマージュ的なフレーズを入れたりすることで、過去も全部引き連れて、このアルバムに入っていることを表現しました。あと、僕はこの曲が1曲目になると思って制作を始めたので、派手です(笑)。
――それがぽんさんの意向で……。
ぽん 強い訴えによってアルバムの最後の曲になりました(笑)。「Moonlight」で終わる案もあったんですけど、今回のアルバムのテーマは“続いていく”なので、それは違うかなと思って。私の中では、この曲でエンドロールが流れるイメージがあったので、どうしても最後がいいって言い続けたんです。
小島 でも、また1曲目に戻っていくようなニュアンスもあるので、結果的に良かったですね。
――この曲の歌詞は本当にキラーフレーズだらけで、“刹那的いのち抱え 痛いほどゾクゾク感じたい”など、世界が変わり続けるなかで生きることを力強く肯定する言葉に溢れています。
ぽん 生きている限り、自分がこの人生の主人公ということは変わらないですけど、それって自分も含め結構忘れがちだと思うんですよね。そういうことを今一度思い出すきっかけになったり、誰かの背中を押せる曲、私にとっても自分の背中を押すような気持ちで書きました。今のこの状況って、いたしかたなく変わることもあると思うんですけど、それをポジティブに昇華したかったので。
――最後は“振り返らず進むよ 僕らのNEW WORLD”で終わるところも、ORESAMAの世界がこれからも続いていくことが感じられて素敵です。
ぽん 目まぐるしく変化していく世の中でこれからも生きていくみんなを少しでも応援できたら嬉しいです。
CD2枚組の豪華ボックス仕様でさらに広がるORESAMAのニューワールド!
――そして今回、アルバムのDISC 2にて、“Dressup cover”シリーズで発表された全12曲が初CD化となります。やはりYouTubeだけでなく、作品として残したい気持ちがあったのでしょうか?
小島 正直、“Dressup cover”を作っていた当初は、これを一枚にまとめようとは想像していなかったんですけど、みんなから「商品化してほしい」という声をいただいて。ただ、この12曲では、色んなジャンルを取り入れたり、初めてミックスまで自分で手がけていて、自分の音をこれから作っていくうえで重要な作品、ORESAMAの新しい挑戦や未来に向けたものになっているので、今回のアルバムに収録できてすごく嬉しいです。しかも、「オオカミハート」のときからお世話になっている、マスタリングエンジニアの茅根(裕司)さんに自分のミックスをマスタリングしてもらう貴重な経験もできたので、その意味でも心のこもった一枚になりました。
――なおかつ今回のアルバムは、CD2枚組にブックレットや特典グッズなども同梱した豪華ボックス仕様になっているそうですね。
ぽん そうなんです。アートワークはうとまるさんやいつもお世話になっているデザインチームに制作していただいて。かつて人間が不可能だと決めつけていた「空を飛ぶ」ことを実現した時代と、タイトルの『CONTINEW WORLD』を紐づけて、私たちORESAMAが飛行機を完成させて新しい世界に飛び立つというストーリーを、スチームパンク風の世界観に落とし込んでいただきました。新しさと懐かしさが融合したアートワークを含め、ORESAMAの世界観を楽しんでいただけると思います。
――今の時代は配信やストリーミングが主流になってきていますが、そのなかでアルバムを豪華ボックス仕様でリリースするというのは、やはり何らかの考えがあってのことですか?
小島 今はほとんどの方がCDを買わないと思いますし、僕も聴くぶんにはサブスクを使うことが多くて。じゃあCDの役割は何かと考えたら、僕は“自分たちの分身”だと思うんですね。例えばレコードにはすごく所有欲がありますけど、それは音はもちろん盤面を見ているだけでそのアーティストを感じられるし、それを所有している気持ちになれるからで。CDの役割も、自分たちの分身をみんなの自宅とかに置いてもらうことで、僕らのことを思い出してもらえるきっかけになるもの、僕らと聴き手を繋いでくれる橋になるものなのかなと思っていて。今回のアルバムにはカレンダーも付きますけど、今はライブやリアルでの交流が難しいなかで、家でもORESAMAを感じてもらえるものが大切になってくると思うんです。
――たしかにCDやモノとしての実体があれば、ORESAMAという存在を実感できる機会も増えるでしょうからね。それこそお二人は最近、YouTubeでラジオ番組を配信するなど、色々な形でファンとの交流を図っていますが、今後ORESAMAとしてやってみたいことはありますか?
ぽん まずは一人一人にアルバムが届くことが願いですね。あとはこういう難しい状況で何ができるかを考えて、小島くんもさっき言っていたように、ORESAMAが目に入るような感覚、直接会えないからこそ接点が持てる場所を……まあ二人ともSNSが苦手問題はすごくあるんですけど(苦笑)、そこに苦しみながらも、できることをコツコツやっていきたいです。
小島 コロナ禍で、音楽は比較的、不要不急のほうに入れられてしまったと思うんですけど、音楽の大切さはもっと重要視されるべきだと思うし、ただ生きていくためにはなくてもいいかもしれないけど、ただ生きていくことに色を加えてくれるのが、音楽でありエンターテインメントだと思うんですね。そういうことを再び実感して、今はとにかく音楽を続けることが、僕の一番やりたいことです。そのなかでネットやコメントを通じて、みんなとコミュニケーションを取れる時間はすごく大切だなと思っていて。そこからモチベーションやアイデアをもらうことがあるので、そういう関わりはこれからも引き続き継続していきたいですね。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
●リリース情報
『CONTINEW WORLD』
10月27日発売
品番:ANR-551
価格:¥5,500(税込)
※P36外付けブックレット、BOX入り
※封入特典:2022カレンダー/エンブレムロゴステッカー同梱
予約URLはこちら
※予約受付期間10/14(木)23:58まで
<CD>
DISC 1
01. Gimmme! (TVアニメ『魔王城でおやすみ』ED主題歌)
02. OPEN THE WORLDS (TVアニメ『叛逆性ミリオンアーサー』第2シーズンOP主題歌)
03. パラレルモーション
04. Chewy Candy
05. CATCH YOUR SWEET MIND (ミニアニメ『ざしきわらしのタタミちゃん』主題歌)
06. ロマネスク
07. Baby Baby Blue
08. Waiting for… -Album mix-
09. ホトハシル (TVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』EDテーマ)
10. 夜行ノ雨
11. Moonlight
12. CONTINEW WORLD
DISC 2
01. 銀河 -Dressup cover-
02. 綺麗なものばかり -Dressup cover-
03. カラクリ -Dressup cover-
04. Morning Call -Dressup cover-
05. 秘密 -Dressup cover-
06. 迷子のババロア -Dressup cover-
07. あたまからモンスター -Dressup cover-
08. 耳もとでつかまえて -Dressup cover-
09. 恋のあじ -Dressup cover-
10. ワンダードライブ -Dressup cover-
11. 密告テレパシー -Dressup cover-
12. 「ねぇ、神様?」 -Dressup cover-
関連リンク
ORESAMAオフィシャルサイト
https://www.orsm.jp/
ORESAMAオフィシャルTwitter
https://twitter.com/o_oresama
ORESAMAオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCwJpCPxmkVoTBqshUhF0ghg
ORESAMA 3rd ALBUM『CONTINEW WORLD』予約受付サイト
https://anarchic.booth.pm/items/3132447
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