表題曲は、メインキャラ以外の想いとも重ね合わせられるEDテーマに
――前作「Pale Blue」のリリース後に、シンフォニックコンサート“Ani Love KYOTO presents 内田彩Symphonic Concert~en and ett~”を開催されました。初めての試み、いかがでしたか?
内田 彩 とっても楽しかったです!コロナ禍の開催でもあったので、参加するお客さん側の気持ちやオーケストラの皆さんと合わせることなど、未知なことへの心配や不安もあったんです。でも、始まってしまったら「なーんて楽しいんだ!」と思って!
――シンプルに楽しかったんですね。
内田 はい。素直に「歌って楽しいなぁ」とか「音楽って素敵だなぁ」という気持ちを味わうことができました。あと、これはもしかしたらファンの皆さんにとってはちょっと寂しいことかもしれないんですけど、お客さんとのやりとりがないぶんオーケストラの方々とのやりとりに集中できたといいますか。客席の反応を観て歌以外の部分で遊ぶ、みたいなことができなくなっちゃったんですけど、逆に集中できる方向は定まっていたように思っています。
――アレンジがオーケストラ仕様になっていたのも、また普段と違う楽しさがあったのでは?
内田 開催前には、アレンジをすべて担当してくれたコンサートマスターの大嵜慶子さんと色々なことを直接細かく話し合わせていただけたんですよ。逆にオーケストラの皆さんとは一度だけしかリハーサルができなかったぶん、ちょっとライブ感というか、演奏中に聴いた音を受けて「ここでこう盛り上げていこう」みたいに歌うような感覚があったんです。なのでお芝居じゃないですけど、そういうリアルタイムのやりとりみたいなものも、すごく楽しかったですね。
――オーケストラと一緒に、ジャズセッションのようなことをされたというか。
内田 本当にそんな感じでした!それを大嵜さんが、上手くコントロールしてくださったんです。
――それを観たファンの方も、音と歌をすごく楽しんで味わわれたと思います。
内田 開催前には、「やっぱりはしゃぎたい人もいるだろうしなぁ」という心配もあったんです。それがライブの中でのメインじゃないとはいえ。でも、そういうことができないコンサート形式の公演を、あれはあれで1つの形としてすごく楽しんでもらえていた雰囲気が伝わってきたんです。みんなが平等に“初めて”だったから、同じ目線で見られたのも良かったのかな?とも思っているんですけど。
――たしかに、あの形式は全員が初めてでしたからね。
内田 たまに「声優さんのライブに初めて行くんですけど、どういう雰囲気なんでしょう?」みたいなメールやお手紙をいただくこともありますが、今回はみんなが同じスタートラインに立っていた気がして。誰も置いてけぼりにならなかったことで、観に来るみんなのハードルもちょっと下がったような感じがしたことも、すごく良いことだったなと思っています。
――そんなコンサートを経て、この度ニューシングルがリリースされました。表題曲「Canary Yellow」は、1期に引き続き『やくも』のEDテーマとなっています。2期続けての主題歌担当というのは初めてですよね?
内田 そうですね。
――2期では本編にも、真土泥右衛門役や松瀬理央役で出演されています。
内田 泥右衛門については、元々2期では本編に出てくると監督から聞いていました。なので、1期のときには土から泥右衛門が出来上がるまでの原作エピソードを読んで、現場で皆さんと一緒にキャラ作りをしていたんです。でもまさか、松瀬さんが泥右衛門よりも先に本編に登場するとは思っていなかったので、それには驚きましたね(笑)。
――泥右衛門が先だと思っていたのに(笑)。
内田 そうなんです。原作とアニメでは話の流れが違う部分もあるのでそうなったんですけど。でも松瀬さんを演じて本編に加わって掛け合いをできたことが、すごく楽しかったですね。泥右衛門は1期では1人で予告を担当していましたし、2期になってもキャラクターの性質上、誰とも関われなかったので(笑)。
――では続いて、「Canary Yellow」についての最初の印象も聞かせていただけますか?
内田 今回は、楽曲の方向性を決める段階から携わらせていただきまして。私からは「シティポップみたいな感じにしたい」というお話をさせていただいたので、曲自体は完成形よりもちょっとお洒落寄りだったんです。
――“爽やかさ”という部分も、2曲通ずるものがあるように思います。
内田 ありますね。しかも青春感や始まり感みたいなものをテーマにした前作から、今回は青かったものが芽吹いていくようなイメージのところもあって……そういう部分が主人公たちの成長や、お互い心が開いて距離感が近づいていくところとも結びつくように思ったんですよね。ただ、アフレコが進むにつれて、その印象が少しずつ変わっていきまして……。
――どう変わっていったんですか?
内田 最初は今お話ししたように、メインになる4人の子たちが日常の中で感じたことや成長が落とし込まれた曲という印象だったんですけど、『やくも』は2期になってからメインの4人以外のお話も結構描かれているので、「あれ?こっちの人の歌でもあるのかも……?」と思うようになったんです。
――たしかに。例えば序盤では、主人公・豊川姫乃の両親の過去話もありました。
内田 そうなんです。姫乃ちゃんがほかの人から聞く自分の知らなかったお母さんの話を通じて、お母さんへの焦がれる気持ちを歌ったようにも取れる話数があったりもしましたし。
――俯瞰して見ている感じというか。
内田 はい。しかも2番は「Pale Blue」に続いて恋愛要素濃いめの歌詞になっているので、もしかしたら松瀬さんからの熱い(青木)十子ちゃんへの片想いのように聴こえる方もいるかもしれないし(笑)。でもそういうふうに、登場する色んな人の想いと重ね合わせて様々な感じ方をしてもらえるところも、すごく素敵だなぁと思いますし。登場人物が増えてどんどん賑やかになっていく感じも、「Blue」から「Yellow」に変わって花開いていくようで、いいですよね。
――内田さんの歌声がサウンドと合わさることで、キュンとくるポイントもたくさんありました。逆に内田さんからそう感じさせるために、歌ううえで工夫したことはありましたか?
内田 私自身はこういうかわいらしいテイストの曲がすごく好きなんですけど、私が出しやすい音域が少し高めなので、良くも悪くもかわいらしくなっちゃうんですよ。でもそういうところを、雰囲気を変えることで逆に切なく聴こえたらいいなぁ……ということは常に意識しているところではありますね。こういう話を私がしているから、hisakuniさんが私に宛てて歌詞や曲を作ってくれているのかもしれないんですけど。
――例えば、地声だけで歌うとかわいくなりすぎてしまいそうなところも、ファルセットなどを織り交ぜて切なさをより強く感じさせたり。
内田 ただ今回は、「Pale Blue」とも少し視点が違っていまして。1期はメイン4人の女子高生が「これから新しいことを始めるぞ!」というところだったので、自分の青春時代をちょっと懐かしみながらお姉さんのような気持ちも少しだけ持ちながら歌ったんです。でも「Canary Yellow」はそれよりもちょっとだけかわいらしい雰囲気にしつつ、質感みたいなものを少し変えて歌えたらと思っていました。
――どのように変えられたら、と思われていたのでしょうか?
内田 特に「Canary Yellow」はある2人が、その瞬間はすれ違ったとしてもまたどこかで交わるときがきたり……というものが描かれているように感じて。それが例えば姫乃ちゃんのお母さんとお父さんみたいに、話数ごとに色んな人に当てはまるんですよ。だから「わー!hisakuniさんズルいー!」と思ったりもして(笑)。なのでその交差する2つの線が、それぞれ違う感じで表すことができたらいいなと意識しながら歌っていましたね。
――なるほど、そういう部分へのこだわりが。
内田 hisakuniさんは毎回「実はこう」みたいな裏テーマのようなところまで考えて歌詞を書いてくださっているので、いつも「どこまで考えてるんだろう?」って思うんですよね。
あえて“っぽくない”曲や歌い方を目指した、カップリング曲「KANRANSHA」
――そして今回のMVも、前作に続きタイトル内のカラーをメインにしたものとなっていますね。
内田 はい。ただ今回は、マグカップの使われ方がちょっと違いまして。
――その他、随所に挿し込まれた手がフィーチャーされたカットも印象深いものでした。
内田 そのフィンガーアクションを出したいというお話自体はMVの監督からいただいたものなんですけど、私も『やくも』に関しては“手”というもののイメージが強かったんですよね。陶芸自体が手でやるものですし、『やくも』の後半の実写パートでメインキャラ4人を演じている子たちが実際に陶芸している光景も、結構印象に残っていまして。そのなかで、みんなの手がろくろと一緒に映っていたりもしたんです。
――実際に挑戦している場面ですね。
内田 はい。なので、マグカップと私だけの空間だった前回とは違って、今回はもうちょっと広い空間で。お花の芽吹きもあったりして、動き出す感じや人との交わりを表現できていたらいいなと思っています。
――そしてもう1曲、カップリング曲として「KANRANSHA」も収録されています。
内田 この曲はスタッフさんとカップリングについての打ち合わせをしていたときに、「あんまり普段自分が歌わない感じの曲がいいなぁ」というお話をしたら、さっそく10曲くらいデモを集めてくれたんです。
――仕事が早い(笑)。
内田 全部メロディがシンセメロみたいな、本当にデモのデモ状態のものだったんですけど……それを一気に聴いたうえで私が気に入ったのが、「KANRANSHA」の原型だったんです。しかもスタッフさんも同じ感覚だったみたいで、すんなりこの曲に決まりました。
――表題曲同様に恋愛要素が含まれていたりと、2曲に共通する部分も多いですよね。
内田 そうなんです。それはあとから歌詞をいただいてから気づいたことで。例えば「KANRANSHA」には“恋をしたんだ”というフレーズがあるんですけど、「Canary Yellow」にも“恋してるんだ”というフレーズがあって。「どっちも恋してる自分に気づいちゃってる!」と思ったんです。でもそれぞれにまた違う背景を感じられて、それも面白いところなんですよね。ただ、観覧車はずっと縦に回っているものですけど、『やくも』に出てくるろくろは横に回るものじゃないですか?そういう視点の違いみたいなものも、実は含まれている……というのも素敵なところなんです。
――歌声としては特に序盤に気だるさが強く出ていたりと、まさに普段のアプローチとの違いを感じました。
内田 今までは言葉がしっかり伝わることを心がけて歌ってきたんですけど、今回は語感と雰囲気を重視しました。今まではファンのみんなの中にあるであろう“声優・内田 彩に求める歌い方”みたいなイメージも意識してはいたんですけど、今回みたいな歌い方も、また新しい挑戦として良かったなぁと思っています。
――ファンの方にも、新しいことをやってほしいという気持ちもあるでしょうし。
内田 何か新しい挑戦をすると「うっちーっぽくない」と言われることもあるんですけど、「みんなが“っぽくない”と思うんだったら、みんながイメージする私が今ちょっと広がったわけだから、それでいいんだろうなぁ」と受け止めています。みんなに「うっちーっぽい」というイメージを持ってもらえていること自体は嬉しいですけど、ちょっとずつ“っぽさ”を広げていって、みんなにもそれを楽しんでもらえたらいいなぁ……と思っています。
――さて、年明けにはパシフィコ横浜と高崎芸術劇場でワンマンライブ“AYA UCHIDA 5+2 ANNIVERSARY LIVE”を開催されます。パシフィコも群馬でのライブも、ともに“So Happy”のツアー以来となりますね。
内田 3年半ぶりくらいかな?今は、何をやったらいいのか悩ましいところで……。
――その間にリリースも重ねられて、曲のバリエーションも増えましたし。
内田 それもなんですけど、普段通りのライブをやるのに完全に今までの形には戻せないというところで、自分の中ではまだ何か制限されてしまっているような感覚のままなんですよ。そこをどう解消して、上手く形にできるかな……という気持ちはありますね。
――有観客ではあっても今までと違う部分があるというところに、まだ戸惑いがあるというか。
内田 そうなんですよ。みんなのほうを向いてのライブなのに、みんなは声を出せないじゃないですか?その時間に何を生み出せるのかが、まだちょっとわからなくて。独り相撲になっちゃったら、きっと観る側も辛いだろうし……。それに「本来だったらできたのに、やれない!」みたいなことを感じたときが一番もどかしいと思うので、そういう気持ちが残らないようなものにもしたくて。
――制限を感じさせないものにしたいというか。
内田 逆に「なるほど、だからこうやったのか!」みたいに違う楽しみへ変えられるようなものを作っていきたいんです。そういうふうにマイナスなことを感じさせないライブを目指しているので、ぜひ今回のシングルを聴きながら、来年のワンマンライブを楽しみに待っていていただけたら嬉しいです。
TEXT & INTEVIEW BY 須永兼次
●リリース情報
内田彩 6th Single
「Canary Yellow」
11月10日(水)発売
【限定盤(CD+DVD)】
品番:COZC-1826-7
価格:¥2,090(税込)
【通常盤(CD)】
品番:COCC-17923
価格:¥1,430(税込)
<CD>
1. Canary Yellow(アニメ『やくならマグカップも 二番窯』EDテーマ)
作詞・作曲・編曲:hisakuni
2. KANRANSHA
作詞:螺子アリサ・Yocke 作曲・編曲:Yocke
3. Canary Yellow (Instrumental)
4. KANRANSHA (Instrumental)
<DVD>
1. Canary Yellow (Music Video)
2. Canary Yellow (MV & Jacket Making Movie)
『AYA UCHIDA 5+2 ANNIVERSARY LIVE』CD購入者先行
11月10日(水)に発売される内田彩 6thシングル「Canary Yellow」にCD購入者最速先行チラシ封入決定!
CD購入者先行受付期間:11/9(火)18:00~11/21(日)23:59
CD購入者特典
・アニメイト:初回限定盤:缶バッヂ(56mm)通常盤:ブロマイド(全3種・ランダム)
・ゲーマーズ:初回限定盤:缶バッヂ(56mm)通常盤:ブロマイド(全3種・ランダム)
・とらのあな:ブロマイド(全3種・ランダム)
・タワーレコード:ブロマイド
・HMV:ブロマイド
・WonderGOO/新星堂:ブロマイド
・TSUTAYA:ブロマイド
・ソフマップ・アニメガ:ブロマイド
・ネオ・ウィング:ブロマイド
・Amazon.co.jp:初回限定盤…メガジャケ / 通常盤…メガジャケ
・楽天ブックス:ブロマイド
・玉光堂・バンダレコード/ライオン堂:ブロマイド
・コロムビアミュージックショップ:アナザージャケット
・メーカー特典:ポストカード
●ライブ情報
AYA UCHIDA 5+2 ANNIVERSARY LIVE
2022年1月9日(日)
①開場 12:30 / 開演 13:30
②開場 16:30 / 開演 17:30
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール
2022年1月29日(土)
①開場 12:30 / 開演 13:30
②開場 16:30 / 開演 17:30
会場:高崎芸術劇場
全席指定
[S席] ¥11,000 / [A席] ¥8,800
チケット発売
CD購入者先行:11/9(火)18:00~11/21(日)23:59
当落&入金:11/25(木)18:00~11/28(日)23:59
内田彩OFFICIAL WEB SITE先行:11/26(金)12:00~12/5(日)23:59
当落&入金:12/9(木)18:00~12/12(日)23:59
プレイガイド先行:12/10(金)~
一般発売:詳細は決まり次第ご案内いたします。
関連リンク
内田 彩 公式サイト
https://aya-uchida.net/
内田 彩 公式Twitter
https://twitter.com/aya_uchida
内田 彩 レーベルサイト
https://columbia.jp/uchidaaya/
TVアニメ&実写『やくならマグカップも』アニメ公式サイト
https://yakumo-project.com/