神聖かまってちゃんインタビュー、後半はバンドそのものについて、の子とmonoの2人に突っ込んでいく。
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2009年以降、このバンドが現れ、その異様な存在感に驚いた音楽シーンは彼らに様々な形容を試みた。
思えば、デビューからすでに10年以上。現時点での気持ちをストレートに語ってくれた。
「神聖かまってちゃん」というバンドについて
――インタビューの後半は、まずお2人それぞれに、好きな、あるいは思い出深いアニメソングを挙げてもらいたいです。
の子 けっこうあるなあ。『ドラゴンボール』とか言っちゃうね、僕。
mono 『ドラゴンボール』はやっぱり浮かぶよね。アニメの曲って、子供のときが一番印象に残ってるもんだと思う、思い入れ的なものでね。“つかもうぜ”という、あの曲が好きというか、色々思い出させるというか(「摩訶不思議アドベンチャー」)。
――その世代であるということでしょうね。
mono そうなんですよね。好き嫌いのレベルじゃないというか。
の子 あと、パッと出てきたのは「アラレちゃん音頭」と……「熱血!!勇者ラムネス」だっけ?それを昔、(ライブ開始時の)SEとかでも使ってたんですよ。『姫ちゃんのリボン』とか、最近は「恋愛サーキュレーション」も素晴らしいと思います。ものすごくキャッチーで。あとは……『マクロスF』や『カウボーイビバップ』だったり、菅野よう子さん、僕は好きですね。尊敬してます。メロディメイカーとして、すごいですもん。
――アニソンとなると、やっぱり少年時代までのものが多くなるんですかね。
の子 そうですね。でも僕なんかは、ニコ生とかツイキャスで配信するたびにリスナーに色々聞いてるんですよ。
mono あとは……『ルパン三世』はいまだにに好きですね。今もやってるからね。やっぱり、おっさんなんですね。
の子 昭和のおっさんの感じですね、多分。
――(笑)。では、ここからかまってちゃんというバンドについて話を。2人はバンドを立ち上げたメンバーということになるんですか?
mono 僕は立ち上げたわけではないですね。
の子 最初の結成時には、ほかのメンバーがいたんですよ。僕がいて、ギターがいて、ベースがいて。ドラムはいなかったのかな?僕は18歳くらいで、オリジナルバンドのときはインターネットの掲示板でメンバー募集して。monoくんとは元々幼稚園からの知り合いで、(千葉県)柏にある僕らが使ってたスタジオでたまたま会ったんだよね。「おー、久しぶり」って。その縁で、最初「怒鳴るゆめ」のデモを渡したら「なんだかよくわかんないけど、良かった」みたいな感じで返事がきて。当時ガラケーでメールもらったときね。で、「一緒にやるわ」みたいな。最初、(monoは)ドラムで入ったんだよね。それが18歳か19歳かってときですね。そこから元々いたメンバーは離れて、サポートだったり、ちばぎんだったりが入って。
――で、みさこさん(ドラムス)が入って?
の子 みさこさんが入ったのは22、23歳とかですね。ほんとに基盤がもう出来上がって入ったんで。良いとこで入ったと思います。そこから「出れんの!?サマソニ!?」(サマーソニック出演バンドオーディション/2009年に出演)があって、そのままメジャーデビューと、トントントンって。
――その頃には「神聖かまってちゃん」という名前になってたんですね。
の子 ああ、そうです。そういえばちょうど昨日、うちのファンがですね……うちら、ずっと配信やってるじゃないですか。今だったらニコ生とかツイキャスとかがメジャーだけど、当時はPeerCast(ピアキャスト/ライブストリーミング配信ソフトウェア)というスラム街があって。そのときの配信を録画してくれた方がいて、それをTwitterのリプでたまたま知ったんですけど、懐かしすぎてずっと観ちゃったんです。コメントとか僕の様子とか含めて、ほんとスラム街でしたよ。
mono 今(の自分たちの配信)はめちゃくちゃ平和だよね。
の子 そんな感じで僕は2008年から配信をするようになって……配信をやりつつライブやって、それでほんとに楽しかったんですよ。
――そう、かまってちゃんの最初の頃は、色んなことを生配信をするバンドということでも注目されてましたね。
の子 PVを自分らで作って、YouTubeに上げて、そんなこんなで話題になっていって。それで劔さん(劔 樹人/初代マネージャー)が見つけてくれて、パーフェクトミュージック(事務所)に入って、メジャーデビューして……と、トントン拍子ですね。
――その頃「こういうバンドになっていけたらいいな」という目標って、何かありましたか?
の子 目標というか、なんだろう……自分にしかない自分、という感じですね。属したくないんですよ。常にあるのは。カルチャーとか、なんでもいいんですけど。個人でありたいというか。それはもうバンドでも、僕自身も、神聖かまってちゃんでも。
――なにかの中の1つではなくて、独立した自分でないと、ということですね。
の子 そうですね。確立したなにか、という。なかなかそういうのも、時として難しい場合、ありますけどね。僕にしても僕らにしても、仕事で、社会人としてやってるんで、色んな関係があるんですけども……そことのせめぎ合いとか。
――そう、まさにそのせめぎ合いをこの10数年やってきたんですよね。
の子 やってきた。上手いことやったり、やれなかったり、ですよね。
――ポップな曲を作ったりもしたしね。「フロントメモリー」みたいな。
――monoくんはどんなバンドになっていくだろうと思ってました?その頃。
mono いや、何も考えてなかったです。ほんとに。「とりあえずついていくか」っていうくらいの気持ちで。まあ今も変わらないんですけど。
――じゃあ、ついていくだけの才能を持っている人だとは思っていたんですね?の子くんのことを。
mono そうですね。それはもちろん。まあ、才能……ここまでくると、才能とかのレベルではないですけどね、正直。そういう感覚では、もう、ないんで。ただ「助けられるところは助けていかなきゃな」という気持ちはいまだに常に持ってます(笑)。
僕ができないことを(の子は)全然やるんですよね。(mono)
――2010年に「ロックンロールは鳴り止まないっ」と最初のアルバム『友だちを殺してまで。』が出て、そこで一気に「何だこれは?」みたいに注目されたわけですが。そのときのことはどんなふうに記憶してますか?
の子 ああ、だから、メジャーデビューしたタイミングって、どのバンドも若い勢いというか、若い奴が出てきた!って、みんなヨイショするもんじゃないですか。それは昔から、伝統的なもので。ヨイショしてヨイショして、あとは捨てるっていう、音楽業界の……別に悪しきサイクルとは言いませんけど。音楽だけじゃないですけど、すぐオワコンってネットで言われる感じじゃないですか。神聖かまってちゃんも10年前に「もうオワコン」って言われ。
――10年前に?それは早いですね(笑)。
の子 でも続けていけばこういう(大きなタイアップのような)こともあって、みたいな。だから、僕としては、一気に目まぐるしく、メジャーデビューまでいって、そこから注目浴びて。それで社会性帯びて、ストレスも一気にMAXになりましたね。顔面もやつれてたし。あの頃は、良い意味でも悪い意味でも、取り憑かれてました。でも、あれがあったから突き抜けられたと思うし。それはやっぱり……僕はこういうの、口に出すものでもないですけど、やっぱ支えがあったから、と改めて思いますね。それは。メンバーなりから。
――うん。それは今、ちょっと大人になったからそう言えるんでしょうね。
の子 そうですね、やっぱ客観的に。でも、色々思いますね。歌詞にもしてますけど、歳をとるというのは、失っていく過程なので。若さしかり、メンバーもそうですし。僕の飼い猫もいなくなったりとか。そうして歳をとってくのは、変化……良い意味でも、得るものもありますけど、やっぱり失っていく過程なわけで。でも「昔は良かった」「若いときは良かった」なんて、人間誰でも簡単に言えるじゃないですか。だから今生きてるから「これから」を作るという、それだけですよ。「ロックンロールは鳴り止まないっ」ですよ。
――(笑)。上手く結びつけましたね。
の子 僕らだけじゃないですけど、バンドとか、表現してる人はそういった精神性みたいなものがあるじゃないですか。その年代年代で。
――気持ち的な部分で、その年齢ごとに向き合わないといけないものがね。
の子 その年代年代で向き合う葛藤とか……うん、色んな葛藤とかは、あるんですよ。だから常に戦い、油断できないですね。それなのに(葛藤を続ける自分にmonoが)ついてこれたのは偉い!ありがたい、改めて。
mono なんでついてきたんですかね?(笑)なんか、わかんないですね。
――そうそう。ライブ中に大げんかしたり、血を流して殴り合いしてたようなバンドが、よく続いてるなって思いますよ。
mono まあ、そうなんですよね。
の子 元々メジャーデビューする前から、僕は血を流して。それ、(何をするのかを事前に)メンバーに言わないんです。で、ライブ終わったら血を流してる僕がいて。
――それは自分で自分を流血させたときのことですね(笑)。monoくんはそういうのを見て、どういう気持ちだったの?
mono いや、かっこいいなと思ってました。僕ができないことを(の子は)全然やるんですよね。だから見てて楽しいんですよ。一緒にいると、つまんなくないなって。楽しいなって思えたんですよね。ヒマじゃないなって。
――(笑)。目が離せないからね。
の子 でも、あれは若さもあったと思うよ。そういった時期の。色んなことがあってのああいった時期だったと僕は思ってる。昔の配信を見てもそう思います。
――その頃のかまってちゃんは、人間のネガティブな部分を表現して共感を得るイメージが特に強かったですよね。
の子 売りですね。
――そういう反響については、どんなふうに感じてました?
の子 自分の病んだ部分をストレートに出して、社会的にみんなに言われることに対しては……僕、昔からそれに対して、捻くれた気持ちはまったくないんですよね。「自分でそれを出してるから、そう思われるだろう」っていう、そのままです。ただ、自分でもいつからこういうのができるようになったのかが、ちょっと……。僕、学生時代とか、10代の頃とかは、まったく正反対の人間だったんですよ。学校を辞めてからなんですよね。monoくんと一緒に高校に行って、でも高校1年生で僕だけ辞めて。そっから頭がおかしくなって……社会から逸脱してって、ネジが外れて、何かできるようになったんですかね。そういう表現が。
――そこから音楽で自分の感情を吐き出すようになって?
の子 そうして、ものづくりをやっていって。ライブでも配信とかでも、自分の身体を使ってもできるようになって。で、こんだけペラペラしゃべれるようになったという。
――いつしか落ち着いて話せるようになりましたよね。デビューの頃に比べると。
の子 そうですね。ほんとに、混沌の中に、カオス状態の中にいたんで。デビュー当時とかは。
――昔はインタビュー中に叫んだり泣き出したりとか、あったじゃないですか。
の子 頭おかしかったので……自分で自分を奈落に突き落とす、みたいな感じでした。破滅が、スリルが趣味です!みたいな。
――で、monoくんはそういう姿を見て、憧れてたと?
mono まあ、そうですね。昔のライブとかもそうでしたけど、色々、めちゃくちゃやってるのは後ろから見てて、「ああ、こいつ、すげえなあ」って……まあ憧れなんですかね。でも自分がやりたいかというと、そういうわけではなくて。
――でも当時、monoくんもわりとそれに乗っかってた気がしますけど。
mono あ、そうでしたっけ?……ああ、乗っかってたなあ。でも、かと言って、前には出たくないタイプだったんですね。地味に乗っかって、みたいな(笑)。
の子 でも、そこらへんは、みんな役割を……各々のポジションもわかりつつだったんで。つまり、社会性も帯びてたいうか。それは僕もそうだったと思うんですよ。そういう自分に憑りつかれてたというか。20代はかっこつけてたなと思います。色々と、今に比べて。落ち着いたって言われるのは、そういうところもあるのかな、と。それは悪かったとは思わないんですけどね。ある意味、必要悪というか。
――その、上手くバランスがとり切れない感じや、つい正直に本音を叫んでしまうところまで含めて、すごく面白かったですけどね。
の子 ああ、それはそうですね。今、神聖かまってちゃんみたいなバンドは……元々(音楽シーンから)出づらい?
――なかなか出てこないでしょう、それは(笑)。そうそうは生まれてこない。
の子 だからそれがこうやって活動して、今回みたいなでっかいタイアップがあったりとか……すごいですよね。この引きというか。
――そうそう。ギリギリのところをよく歩いてきてますよね。
の子 僕はやってる身なんですけど、客観的にも見ちゃうんですよ。神聖かまってちゃんを。僕自身も、神聖かまってちゃんに憑りつかれてるわけで。今でこそ、ほんとにすげえバンドだなと思えるけど。あまり驕りすぎないようにしたいんですけどね、自分自身は。「神聖かまってちゃんはすごくても、自分自身は頑張っていかないと」という。昔からそうなんですけど、神格化されそうな、熱狂的な(支持のような)ものがあるので。そこで自分はあんまり驕りすぎないようにって思ってます。甘えちゃいますからね、僕は。「たまに反省をしないとな」「ダメだな」って。
――そうなんですか。でも反省しなきゃという視点をちゃんと自分に持てるだけでもいいと思いますよ。だって曲になると、ちゃんと感情をむき出しにするもんね。近年の曲では、「るるちゃんの自殺配信」なんかもそうだし……。
の子 ああー、そうですよね。「僕の戦争」に関してもそうなんで。今、リアルタイムなんですよ。今でもドン底にあることはあるんで。「僕の戦争」を作ったときもドン底にいたので。
の子 だから……自分では考えないようにしてるんです。今36歳で、色々経てきて、自分で過去のことを分析できる年代になってきて。それって別に自分だけじゃなくて、ミュージシャンでも絵描きさんでも、アーティストって、みんな歳とっていくサンプルがあるじゃないですか、過去の(笑)。自分も同じようになっていくのか?とか……あんまりそういうのは考えたくないです。やっぱ自分は自分なんで。そのときのことに正直にいたいな、って。もう、楽しめることが一番、って思ったりしますね。病むこと含めて。ネガティブなことも全部。負の感情すら楽しめるようになったというか。「死にたいな」と思ったりとか…それってプレシャスなことだなって。残り少ないとか、たまに思っちゃうんで。「早いよ」って言われるんですけど。
――人生が?
の子 うん。なんかもう、晩年なのかな、みたいな。
――そんなことないと思いますよ。
の子 うん……まあ、そんなことはなくても、やっぱりこの年代、36歳、身体的なことも含めて、色んな変化はあったりする時期なんで。だから「自分もヘンな感じで悟っちゃってイヤだなあ」と思ってる時期が、今ですね。
――なるほど。成長してることは認めつつも、それについてはイヤだと。
の子 葛藤ですよね、それもまた。これも体質だと思うんですけどね。それがまた40、50まで生きたとして、どんどんボケてくと思うんで(笑)。言い方悪いですけど。
――monoくんはどうですか?今こうしてバンドをやってることについて。
mono いやあ、これがずっと続いたらいいなと思う気持ちはありますけどね。でも僕ほんとに、彼と違って、考えることができない人間なんで(笑)。ただ、考えないことが良いわけでもないんですけど、考えすぎるのってあんまり良くないかな、って思うタイプなんで。「なんとかなるでしょ」精神で毎日を生きてるんで、これからもそれでやっていきたいなと(笑)。
の子 そうそう。ほんとにマインドが逆ですよね。僕は考えることがほんとに大切だな、と。禅問答じゃないですけど、日々自分と向き合ってるから(笑)。
mono そうなんだよね。いや、ほんとはそうあるべきなんだけどね(笑)。
の子 でも同じバンドとして考えたら、そういうのがほかにいるとぶつかると思うんですよね(笑)。monoくんはこういう感じだからウマが合うという感じはあると思いますよ。
次ページ:自分の代弁者だったり、そういう存在は否定したくはない(の子)
自分の代弁者だったり、そういう存在は否定したくはない(の子)
――あの、10年前に作った映画(『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』/入江 悠監督)の中で、劔くんが演じるマネージャーが音楽業界の偉い人に「10年続くバンドにならなくてもいいです」ということを話すシーンがありましたよね。でも気がつけば10年以上続いてますよね?
mono ああ……(笑)。
の子 はい。右往左往は、ほんとにありましたけれどもね。解散だなんだというのは……まあ僕自身が発狂してたんですけど(笑)。
――解散の危機がね。
の子 うん。でも今に至りますね。これ以外ないんで、単純に(笑)。人生。僕もすがっちゃってるから、神聖かまってちゃんに。自分は一番のファンだと思ってるから、神聖かまってちゃんの。
――はい。で、リスナーに、ファンにとっても、すがるべき存在になってますよね。そこも大きいのでは?
の子 ああ、そこは純粋にありがたいです。その気持ちはずっと聞いてますけど。色んな形で。それはもう感謝ですね。
――だから、このバンドの歌に触れて感動する人たちにとっては、こういう生き方をしている人間がいること、こういうバンドが存在していることは大きいと思うんですよね。そこで自分の感覚を肯定されてると感じられるはずだろうし。
の子 まあ神聖かまってちゃんみたいな存在っていうのは、稀有ですよね。なかなかないですよね、自分みたいな立ち位置……メンヘラバンドのカリスマ?なんでもいいですけど、そういう感じのはその世代世代で出てくるでしょうけど。今だったら「うっせぇわ」?わかんないですけど、自分の代弁者だったり、そういう存在は否定したくはないし。でも僕らもまだまだ知られてないと思います。やり甲斐はありますよね。ただ、使命感ではやってないんですよ。むしろ使命感にならないように考えてます。
――「聴いてくれる人たちのためにこのバンド続けなきゃ」というのは違うと。
の子 はい。「そういう存在だから続けないといけない」とかは考えたくないし、そうありたくないんですよ。それは僕が捻くれ者なんで。
――わかりました。でも、上手く続いていってほしいです。
mono そうですね。
の子 あんまり余裕ぶっこきたくないですね。油断すると、コケちゃうんで。
――そして、しばらく新曲のリリースがないんですけど、作ってはいますか?
の子 ああ、作ってます。そろそろ新曲とか、そのPVもまた出して、次のアルバムのレコーディングに来年辺りから入ろうかと考えてるところですね。
mono そろそろ動き出せると思うんで。
――うん。でもこのバンド、良い感じで成長はしてますよね。
mono ……そうなんですかね?
の子 まあ、そうですね。ただ、良い感じなのか?っていう部分もあるんです。良い感じが良いのか?って。いや、そこを悪いように、捻くれて見ちゃうのもいけないなと自分では思ってるんで。
――いや、そこは、の子くんらしいと思います。
の子 そうそう。そこを破壊!破壊!でいってたのが20代だと思うんです。そりゃ破壊するっしょ!って。
――はい。では今は、30代なりの破壊を。
の子 30代なりの破壊を(笑)。まあ破壊があってまた再生、じゃないですけど。自分の色んな表現でも曲作りでも、上達……ってあるのかな?って気はしますね。
――わかりました。ありがとうございました。
の子 ありがとうございます!今日はもう思いのたけをしゃべりました(笑)。
PHOTOGRAPHY BY 山本マオ
TEXT & INTERVIEW BY 青木 優
●リリース情報
神聖かまってちゃん
「僕の戦争 / 夕暮れの鳥」
2021年11月27日(土)発売
予約ページ(海外通販共通)はこちら
形態:7inch アナログ盤
価格:¥2,420(税込)
品番:CMRS148
<収録曲>
side-A 「僕の戦争」(アニメ「進撃の巨人 The Final Season」 OPテーマ主題歌)
side-B 「夕暮れの鳥」(アニメ「進撃の巨人 Season 2」 EDテーマ主題歌)
●ライブ情報
神聖かまってちゃん 「Net Generation.21」
12月18日(土) @ 大阪 味園ユニバース
大阪府大阪市中央区千日前2丁目3−9 味園ユニバースビル B1
12月27日(月) @ 東京 恵比寿リキッドルーム
東京都渋谷区東3丁目16−6
※3部制の公演になります。
【有観客ライブ】
12月18日(土) OPEN 16:00 / START 17:00 終演予定 21:00
12月27日(月) OPEN 16:00 / START 17:00 終演予定 21:00
【有料配信ライブ】
12月18日(土)配信OPEN 16:45 / START 17:00
12月27日(月)配信OPEN 16:45 / START 17:00
詳細はオフィシャルサイトへ
関連リンク
神聖かまってちゃんHP
https://shinseikamattechan.jp/
神聖かまってちゃんTwitter
https://twitter.com/kamattechaninfo
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2009年以降、このバンドが現れ、その異様な存在感に驚いた音楽シーンは彼らに様々な形容を試みた。
「明日のない日々を生きる若者の音楽」、「インターネット世代の寵児」、「メンヘラバンドのカリスマ」……だいたいこんな論調だったはずだ。それも時間が経つにつれて小康状態となり、かまってちゃんはメジャーレーベルで活躍するプロとして続いてきた。しかしこのバンドの歌は、いつもスレスレのところで生きる心理を歌にしてきていて、そこはずっと変わらないし、それでこそかまってちゃん!だと思う。そしてそれは「僕の戦争」の奥底にも、地続きであるものなのだ。
思えば、デビューからすでに10年以上。現時点での気持ちをストレートに語ってくれた。
「神聖かまってちゃん」というバンドについて
――インタビューの後半は、まずお2人それぞれに、好きな、あるいは思い出深いアニメソングを挙げてもらいたいです。
の子 けっこうあるなあ。『ドラゴンボール』とか言っちゃうね、僕。
mono 『ドラゴンボール』はやっぱり浮かぶよね。アニメの曲って、子供のときが一番印象に残ってるもんだと思う、思い入れ的なものでね。“つかもうぜ”という、あの曲が好きというか、色々思い出させるというか(「摩訶不思議アドベンチャー」)。
――その世代であるということでしょうね。
mono そうなんですよね。好き嫌いのレベルじゃないというか。
の子 あと、パッと出てきたのは「アラレちゃん音頭」と……「熱血!!勇者ラムネス」だっけ?それを昔、(ライブ開始時の)SEとかでも使ってたんですよ。『姫ちゃんのリボン』とか、最近は「恋愛サーキュレーション」も素晴らしいと思います。ものすごくキャッチーで。あとは……『マクロスF』や『カウボーイビバップ』だったり、菅野よう子さん、僕は好きですね。尊敬してます。メロディメイカーとして、すごいですもん。
――アニソンとなると、やっぱり少年時代までのものが多くなるんですかね。
の子 そうですね。でも僕なんかは、ニコ生とかツイキャスで配信するたびにリスナーに色々聞いてるんですよ。
リスナーは情報早いんで。『鬼滅の刃』とか、僕、最初、「おにめつのは」って読みましたもん、流行る前に。「めつ」しか合ってない。僕のアニメは多分『あずまんが大王』で止まってますね。秋葉原まで行ってDVD買ったりしたし。
mono あとは……『ルパン三世』はいまだにに好きですね。今もやってるからね。やっぱり、おっさんなんですね。
の子 昭和のおっさんの感じですね、多分。
――(笑)。では、ここからかまってちゃんというバンドについて話を。2人はバンドを立ち上げたメンバーということになるんですか?
mono 僕は立ち上げたわけではないですね。
立ち上げたあとに入った、みたいな感じです。
の子 最初の結成時には、ほかのメンバーがいたんですよ。僕がいて、ギターがいて、ベースがいて。ドラムはいなかったのかな?僕は18歳くらいで、オリジナルバンドのときはインターネットの掲示板でメンバー募集して。monoくんとは元々幼稚園からの知り合いで、(千葉県)柏にある僕らが使ってたスタジオでたまたま会ったんだよね。「おー、久しぶり」って。その縁で、最初「怒鳴るゆめ」のデモを渡したら「なんだかよくわかんないけど、良かった」みたいな感じで返事がきて。当時ガラケーでメールもらったときね。で、「一緒にやるわ」みたいな。最初、(monoは)ドラムで入ったんだよね。それが18歳か19歳かってときですね。そこから元々いたメンバーは離れて、サポートだったり、ちばぎんだったりが入って。
――で、みさこさん(ドラムス)が入って?
の子 みさこさんが入ったのは22、23歳とかですね。ほんとに基盤がもう出来上がって入ったんで。良いとこで入ったと思います。そこから「出れんの!?サマソニ!?」(サマーソニック出演バンドオーディション/2009年に出演)があって、そのままメジャーデビューと、トントントンって。
――その頃には「神聖かまってちゃん」という名前になってたんですね。
の子 ああ、そうです。そういえばちょうど昨日、うちのファンがですね……うちら、ずっと配信やってるじゃないですか。今だったらニコ生とかツイキャスとかがメジャーだけど、当時はPeerCast(ピアキャスト/ライブストリーミング配信ソフトウェア)というスラム街があって。そのときの配信を録画してくれた方がいて、それをTwitterのリプでたまたま知ったんですけど、懐かしすぎてずっと観ちゃったんです。コメントとか僕の様子とか含めて、ほんとスラム街でしたよ。
mono 今(の自分たちの配信)はめちゃくちゃ平和だよね。
の子 そんな感じで僕は2008年から配信をするようになって……配信をやりつつライブやって、それでほんとに楽しかったんですよ。
自分らは突き抜けてるっていう確信があったんで。実際それは結果として出たんです。僕もめちゃくちゃやったり、スタジオ配信やったりという日々だったんですけど。
――そう、かまってちゃんの最初の頃は、色んなことを生配信をするバンドということでも注目されてましたね。
の子 PVを自分らで作って、YouTubeに上げて、そんなこんなで話題になっていって。それで劔さん(劔 樹人/初代マネージャー)が見つけてくれて、パーフェクトミュージック(事務所)に入って、メジャーデビューして……と、トントン拍子ですね。
――その頃「こういうバンドになっていけたらいいな」という目標って、何かありましたか?
の子 目標というか、なんだろう……自分にしかない自分、という感じですね。属したくないんですよ。常にあるのは。カルチャーとか、なんでもいいんですけど。個人でありたいというか。それはもうバンドでも、僕自身も、神聖かまってちゃんでも。
個々人でありたいんです。芸術家って個人であるべきだと、僕は思ってるんで。
――なにかの中の1つではなくて、独立した自分でないと、ということですね。
の子 そうですね。確立したなにか、という。なかなかそういうのも、時として難しい場合、ありますけどね。僕にしても僕らにしても、仕事で、社会人としてやってるんで、色んな関係があるんですけども……そことのせめぎ合いとか。
――そう、まさにそのせめぎ合いをこの10数年やってきたんですよね。
の子 やってきた。上手いことやったり、やれなかったり、ですよね。
――ポップな曲を作ったりもしたしね。「フロントメモリー」みたいな。
――monoくんはどんなバンドになっていくだろうと思ってました?その頃。
mono いや、何も考えてなかったです。ほんとに。「とりあえずついていくか」っていうくらいの気持ちで。まあ今も変わらないんですけど。
――じゃあ、ついていくだけの才能を持っている人だとは思っていたんですね?の子くんのことを。
mono そうですね。それはもちろん。まあ、才能……ここまでくると、才能とかのレベルではないですけどね、正直。そういう感覚では、もう、ないんで。ただ「助けられるところは助けていかなきゃな」という気持ちはいまだに常に持ってます(笑)。
僕ができないことを(の子は)全然やるんですよね。(mono)
――2010年に「ロックンロールは鳴り止まないっ」と最初のアルバム『友だちを殺してまで。』が出て、そこで一気に「何だこれは?」みたいに注目されたわけですが。そのときのことはどんなふうに記憶してますか?
の子 ああ、だから、メジャーデビューしたタイミングって、どのバンドも若い勢いというか、若い奴が出てきた!って、みんなヨイショするもんじゃないですか。それは昔から、伝統的なもので。ヨイショしてヨイショして、あとは捨てるっていう、音楽業界の……別に悪しきサイクルとは言いませんけど。音楽だけじゃないですけど、すぐオワコンってネットで言われる感じじゃないですか。神聖かまってちゃんも10年前に「もうオワコン」って言われ。
――10年前に?それは早いですね(笑)。
の子 でも続けていけばこういう(大きなタイアップのような)こともあって、みたいな。だから、僕としては、一気に目まぐるしく、メジャーデビューまでいって、そこから注目浴びて。それで社会性帯びて、ストレスも一気にMAXになりましたね。顔面もやつれてたし。あの頃は、良い意味でも悪い意味でも、取り憑かれてました。でも、あれがあったから突き抜けられたと思うし。それはやっぱり……僕はこういうの、口に出すものでもないですけど、やっぱ支えがあったから、と改めて思いますね。それは。メンバーなりから。
――うん。それは今、ちょっと大人になったからそう言えるんでしょうね。
の子 そうですね、やっぱ客観的に。でも、色々思いますね。歌詞にもしてますけど、歳をとるというのは、失っていく過程なので。若さしかり、メンバーもそうですし。僕の飼い猫もいなくなったりとか。そうして歳をとってくのは、変化……良い意味でも、得るものもありますけど、やっぱり失っていく過程なわけで。でも「昔は良かった」「若いときは良かった」なんて、人間誰でも簡単に言えるじゃないですか。だから今生きてるから「これから」を作るという、それだけですよ。「ロックンロールは鳴り止まないっ」ですよ。
――(笑)。上手く結びつけましたね。
の子 僕らだけじゃないですけど、バンドとか、表現してる人はそういった精神性みたいなものがあるじゃないですか。その年代年代で。
――気持ち的な部分で、その年齢ごとに向き合わないといけないものがね。
の子 その年代年代で向き合う葛藤とか……うん、色んな葛藤とかは、あるんですよ。だから常に戦い、油断できないですね。それなのに(葛藤を続ける自分にmonoが)ついてこれたのは偉い!ありがたい、改めて。
mono なんでついてきたんですかね?(笑)なんか、わかんないですね。
――そうそう。ライブ中に大げんかしたり、血を流して殴り合いしてたようなバンドが、よく続いてるなって思いますよ。
mono まあ、そうなんですよね。
の子 元々メジャーデビューする前から、僕は血を流して。それ、(何をするのかを事前に)メンバーに言わないんです。で、ライブ終わったら血を流してる僕がいて。
――それは自分で自分を流血させたときのことですね(笑)。monoくんはそういうのを見て、どういう気持ちだったの?
mono いや、かっこいいなと思ってました。僕ができないことを(の子は)全然やるんですよね。だから見てて楽しいんですよ。一緒にいると、つまんなくないなって。楽しいなって思えたんですよね。ヒマじゃないなって。
――(笑)。目が離せないからね。
の子 でも、あれは若さもあったと思うよ。そういった時期の。色んなことがあってのああいった時期だったと僕は思ってる。昔の配信を見てもそう思います。
――その頃のかまってちゃんは、人間のネガティブな部分を表現して共感を得るイメージが特に強かったですよね。
の子 売りですね。
――そういう反響については、どんなふうに感じてました?
の子 自分の病んだ部分をストレートに出して、社会的にみんなに言われることに対しては……僕、昔からそれに対して、捻くれた気持ちはまったくないんですよね。「自分でそれを出してるから、そう思われるだろう」っていう、そのままです。ただ、自分でもいつからこういうのができるようになったのかが、ちょっと……。僕、学生時代とか、10代の頃とかは、まったく正反対の人間だったんですよ。学校を辞めてからなんですよね。monoくんと一緒に高校に行って、でも高校1年生で僕だけ辞めて。そっから頭がおかしくなって……社会から逸脱してって、ネジが外れて、何かできるようになったんですかね。そういう表現が。
――そこから音楽で自分の感情を吐き出すようになって?
の子 そうして、ものづくりをやっていって。ライブでも配信とかでも、自分の身体を使ってもできるようになって。で、こんだけペラペラしゃべれるようになったという。
――いつしか落ち着いて話せるようになりましたよね。デビューの頃に比べると。
の子 そうですね。ほんとに、混沌の中に、カオス状態の中にいたんで。デビュー当時とかは。
――昔はインタビュー中に叫んだり泣き出したりとか、あったじゃないですか。
の子 頭おかしかったので……自分で自分を奈落に突き落とす、みたいな感じでした。破滅が、スリルが趣味です!みたいな。
――で、monoくんはそういう姿を見て、憧れてたと?
mono まあ、そうですね。昔のライブとかもそうでしたけど、色々、めちゃくちゃやってるのは後ろから見てて、「ああ、こいつ、すげえなあ」って……まあ憧れなんですかね。でも自分がやりたいかというと、そういうわけではなくて。
――でも当時、monoくんもわりとそれに乗っかってた気がしますけど。
mono あ、そうでしたっけ?……ああ、乗っかってたなあ。でも、かと言って、前には出たくないタイプだったんですね。地味に乗っかって、みたいな(笑)。
の子 でも、そこらへんは、みんな役割を……各々のポジションもわかりつつだったんで。つまり、社会性も帯びてたいうか。それは僕もそうだったと思うんですよ。そういう自分に憑りつかれてたというか。20代はかっこつけてたなと思います。色々と、今に比べて。落ち着いたって言われるのは、そういうところもあるのかな、と。それは悪かったとは思わないんですけどね。ある意味、必要悪というか。
――その、上手くバランスがとり切れない感じや、つい正直に本音を叫んでしまうところまで含めて、すごく面白かったですけどね。
の子 ああ、それはそうですね。今、神聖かまってちゃんみたいなバンドは……元々(音楽シーンから)出づらい?
――なかなか出てこないでしょう、それは(笑)。そうそうは生まれてこない。
の子 だからそれがこうやって活動して、今回みたいなでっかいタイアップがあったりとか……すごいですよね。この引きというか。
――そうそう。ギリギリのところをよく歩いてきてますよね。
の子 僕はやってる身なんですけど、客観的にも見ちゃうんですよ。神聖かまってちゃんを。僕自身も、神聖かまってちゃんに憑りつかれてるわけで。今でこそ、ほんとにすげえバンドだなと思えるけど。あまり驕りすぎないようにしたいんですけどね、自分自身は。「神聖かまってちゃんはすごくても、自分自身は頑張っていかないと」という。昔からそうなんですけど、神格化されそうな、熱狂的な(支持のような)ものがあるので。そこで自分はあんまり驕りすぎないようにって思ってます。甘えちゃいますからね、僕は。「たまに反省をしないとな」「ダメだな」って。
――そうなんですか。でも反省しなきゃという視点をちゃんと自分に持てるだけでもいいと思いますよ。だって曲になると、ちゃんと感情をむき出しにするもんね。近年の曲では、「るるちゃんの自殺配信」なんかもそうだし……。
の子 ああー、そうですよね。「僕の戦争」に関してもそうなんで。今、リアルタイムなんですよ。今でもドン底にあることはあるんで。「僕の戦争」を作ったときもドン底にいたので。
の子 だから……自分では考えないようにしてるんです。今36歳で、色々経てきて、自分で過去のことを分析できる年代になってきて。それって別に自分だけじゃなくて、ミュージシャンでも絵描きさんでも、アーティストって、みんな歳とっていくサンプルがあるじゃないですか、過去の(笑)。自分も同じようになっていくのか?とか……あんまりそういうのは考えたくないです。やっぱ自分は自分なんで。そのときのことに正直にいたいな、って。もう、楽しめることが一番、って思ったりしますね。病むこと含めて。ネガティブなことも全部。負の感情すら楽しめるようになったというか。「死にたいな」と思ったりとか…それってプレシャスなことだなって。残り少ないとか、たまに思っちゃうんで。「早いよ」って言われるんですけど。
――人生が?
の子 うん。なんかもう、晩年なのかな、みたいな。
――そんなことないと思いますよ。
の子 うん……まあ、そんなことはなくても、やっぱりこの年代、36歳、身体的なことも含めて、色んな変化はあったりする時期なんで。だから「自分もヘンな感じで悟っちゃってイヤだなあ」と思ってる時期が、今ですね。
――なるほど。成長してることは認めつつも、それについてはイヤだと。
の子 葛藤ですよね、それもまた。これも体質だと思うんですけどね。それがまた40、50まで生きたとして、どんどんボケてくと思うんで(笑)。言い方悪いですけど。
――monoくんはどうですか?今こうしてバンドをやってることについて。
mono いやあ、これがずっと続いたらいいなと思う気持ちはありますけどね。でも僕ほんとに、彼と違って、考えることができない人間なんで(笑)。ただ、考えないことが良いわけでもないんですけど、考えすぎるのってあんまり良くないかな、って思うタイプなんで。「なんとかなるでしょ」精神で毎日を生きてるんで、これからもそれでやっていきたいなと(笑)。
の子 そうそう。ほんとにマインドが逆ですよね。僕は考えることがほんとに大切だな、と。禅問答じゃないですけど、日々自分と向き合ってるから(笑)。
mono そうなんだよね。いや、ほんとはそうあるべきなんだけどね(笑)。
の子 でも同じバンドとして考えたら、そういうのがほかにいるとぶつかると思うんですよね(笑)。monoくんはこういう感じだからウマが合うという感じはあると思いますよ。
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自分の代弁者だったり、そういう存在は否定したくはない(の子)
――あの、10年前に作った映画(『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』/入江 悠監督)の中で、劔くんが演じるマネージャーが音楽業界の偉い人に「10年続くバンドにならなくてもいいです」ということを話すシーンがありましたよね。でも気がつけば10年以上続いてますよね?
mono ああ……(笑)。
の子 はい。右往左往は、ほんとにありましたけれどもね。解散だなんだというのは……まあ僕自身が発狂してたんですけど(笑)。
――解散の危機がね。
の子 うん。でも今に至りますね。これ以外ないんで、単純に(笑)。人生。僕もすがっちゃってるから、神聖かまってちゃんに。自分は一番のファンだと思ってるから、神聖かまってちゃんの。
――はい。で、リスナーに、ファンにとっても、すがるべき存在になってますよね。そこも大きいのでは?
の子 ああ、そこは純粋にありがたいです。その気持ちはずっと聞いてますけど。色んな形で。それはもう感謝ですね。
――だから、このバンドの歌に触れて感動する人たちにとっては、こういう生き方をしている人間がいること、こういうバンドが存在していることは大きいと思うんですよね。そこで自分の感覚を肯定されてると感じられるはずだろうし。
の子 まあ神聖かまってちゃんみたいな存在っていうのは、稀有ですよね。なかなかないですよね、自分みたいな立ち位置……メンヘラバンドのカリスマ?なんでもいいですけど、そういう感じのはその世代世代で出てくるでしょうけど。今だったら「うっせぇわ」?わかんないですけど、自分の代弁者だったり、そういう存在は否定したくはないし。でも僕らもまだまだ知られてないと思います。やり甲斐はありますよね。ただ、使命感ではやってないんですよ。むしろ使命感にならないように考えてます。
――「聴いてくれる人たちのためにこのバンド続けなきゃ」というのは違うと。
の子 はい。「そういう存在だから続けないといけない」とかは考えたくないし、そうありたくないんですよ。それは僕が捻くれ者なんで。
――わかりました。でも、上手く続いていってほしいです。
mono そうですね。
の子 あんまり余裕ぶっこきたくないですね。油断すると、コケちゃうんで。
――そして、しばらく新曲のリリースがないんですけど、作ってはいますか?
の子 ああ、作ってます。そろそろ新曲とか、そのPVもまた出して、次のアルバムのレコーディングに来年辺りから入ろうかと考えてるところですね。
mono そろそろ動き出せると思うんで。
――うん。でもこのバンド、良い感じで成長はしてますよね。
mono ……そうなんですかね?
の子 まあ、そうですね。ただ、良い感じなのか?っていう部分もあるんです。良い感じが良いのか?って。いや、そこを悪いように、捻くれて見ちゃうのもいけないなと自分では思ってるんで。
――いや、そこは、の子くんらしいと思います。
の子 そうそう。そこを破壊!破壊!でいってたのが20代だと思うんです。そりゃ破壊するっしょ!って。
――はい。では今は、30代なりの破壊を。
の子 30代なりの破壊を(笑)。まあ破壊があってまた再生、じゃないですけど。自分の色んな表現でも曲作りでも、上達……ってあるのかな?って気はしますね。
――わかりました。ありがとうございました。
の子 ありがとうございます!今日はもう思いのたけをしゃべりました(笑)。
PHOTOGRAPHY BY 山本マオ
TEXT & INTERVIEW BY 青木 優
●リリース情報
神聖かまってちゃん
「僕の戦争 / 夕暮れの鳥」
2021年11月27日(土)発売
予約ページ(海外通販共通)はこちら
形態:7inch アナログ盤
価格:¥2,420(税込)
品番:CMRS148
<収録曲>
side-A 「僕の戦争」(アニメ「進撃の巨人 The Final Season」 OPテーマ主題歌)
side-B 「夕暮れの鳥」(アニメ「進撃の巨人 Season 2」 EDテーマ主題歌)
●ライブ情報
神聖かまってちゃん 「Net Generation.21」
12月18日(土) @ 大阪 味園ユニバース
大阪府大阪市中央区千日前2丁目3−9 味園ユニバースビル B1
12月27日(月) @ 東京 恵比寿リキッドルーム
東京都渋谷区東3丁目16−6
※3部制の公演になります。
【有観客ライブ】
12月18日(土) OPEN 16:00 / START 17:00 終演予定 21:00
12月27日(月) OPEN 16:00 / START 17:00 終演予定 21:00
【有料配信ライブ】
12月18日(土)配信OPEN 16:45 / START 17:00
12月27日(月)配信OPEN 16:45 / START 17:00
詳細はオフィシャルサイトへ
関連リンク
神聖かまってちゃんHP
https://shinseikamattechan.jp/
神聖かまってちゃんTwitter
https://twitter.com/kamattechaninfo
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