毎年夏恒例の野外ライブは「間違いなく私の生きがいでした」
――毎年夏恒例の野外ライブですが、今年の“SUMMER CHAMPION 2021 ~Minori Chihara Final Summer Live~”は活動休止前最後の野外ライブとなりました。このライブが決まったときの率直なお気持ちを教えてください。
茅原実里 長い歴史に幕を閉じる大切な2日間になるので、無事に開催できるように、祈るような気持ちでした。
――リハーサルではどんなお気持ちで歌われていましたか?
茅原 2009年から夏を過ごしてきたあの場所には思い出がたくさん詰まっているので、歌っていると色んな景色や気持ちが蘇ってきたんです。だから「歌っていて楽しいんだけど、気づいたら泣いてる」みたいな感じで……リハーサルでは1人でよく泣いていました(笑)。自分でも自分の感情がよくわかりませんでしたね。正直、本番できちんと歌いきれるのか心配でした。でも、久しぶりの有観客ライブでみんなに会えるということが本当に嬉しかったですし、とにかく当日が楽しみでした。
――ちなみにこれまで河口湖で過ごしてきた夏の思い出の中で、印象深い出来事はありますか?
茅原 会場に向かうまでの時間も、現地リハーサルも、前夜祭のバーベキュー大会も、公演日の河口湖駅巡りも、本番も、打ち上げも……。思い出がたくさんありすぎて絞ることができませんが、ある年の打ち上げ後に、バンドメンバーがホテル前で大喧嘩したことがあって(笑)。あのときは本当にどうしたらいいのかわからなくて泣くことしかできなかったのですが、今振り返るととても良い思い出ですね。青春でした。
――そんなことがあったんですね(笑)。当日のセットリストは茅原さんのキャリアを丁寧に追った構成でしたが、セットリスト作りはどのようにして進められていったんでしょうか?
茅原 「ファンのみんなが喜んでくれる内容にしたい」というのが一番にあって、それを実現できるようにセットリストを考えていきました。ステラシアターに育てられた茅原実里と、楽曲たちと、ファンのみんなが、笑顔で1つになれる。そんなライブで締め括れたらいいなと思っていました。
――歓声NGというレギュレーション下での開催となり、「We are stars!」では掛け声の事前募集もありました。
茅原 そうなんです。ほかにも、初回である< Minori Chihara Live 2009 “SUMMER CAMP” >のSEやセットリストをトレースしたり、この野外ライブで誕生したサマ鳥を久しぶりに登場させてみたりして、色々な制約はありましたが、そのなかでできることを考えていく過程は勉強になりました。
――ライブの前日はどのように過ごされましたか?
茅原 久々にファンのみんなに会ったときに自分がどうなっちゃうのか想像できなくて、とにかく不安だったんです。だからリハが終わってホテルの部屋に辿り着いてからもまったく眠れなくて、友達に付き合ってもらって夜中まで電話していましたね。ライブとはまったく関係のない他愛もない話をしていると不思議と眠たくなってくるもので、友達に感謝です(笑)。
――2DAYS初日、ステージセンターに立ってあの景色を見たときのお気持ちはいかがでしたか?
茅原 本っ当に嬉しかったです。だって目の前にみんながいるんですよ。
――当日はライブ配信が実施され、ドローンを使った映像も届けられましたね。
茅原 あの映像も圧巻でしたね!河口湖の自然、そしてステラシアターは、本当に本当に美しいんですよ。あの場所ならではの開放感を味方にしながら、いつも通りの、いつも以上の愛に溢れた、素敵なライブになりました。夏の河口湖ライブは間違いなく私の生きがいでした。
――そんな生きがいであるライブをここまで一緒にやってきたCMBは、茅原さんにとってどんな存在ですか?
茅原 空気みたいな存在ですよ。
「玉置浩二さんと同じ世界で歌っているようで……」二度目のオーケストラコンサート
――そして9月12日には、延期を重ねたオーケストラコンサート“Minori Chihara ORCHESTRA CONCERT 2020「Graceful bouquet」”がようやく開催されました。
茅原 やっぱりオーケストラとなると、リハーサルにしても本番にしても、コンサートに携わる人の数がどうしても多くなるじゃないですか。最後の最後まで開催できるかどうかわからなかったので、開催が決まったときは嬉しい気持ちでいっぱいで、ファンのみんなに歌を届けられる喜びが溢れました。
――オーケストラとの相性ぴったりな楽曲が多く選ばれましたが、セットリストはどのようにして決めていきましたか?
茅原 本来であれば去年の5月に開催されるはずだったので少し変更した曲目がありましたが、旬な曲から過去の曲まで、オーケストラで歌ってみたい曲を幅広く選んでいきました。例えば、「暁月夜」は「どんなアレンジになるんだろう?」っていう興味から選んだり、「花束」はタイトル通り感謝の気持ちを届けるためにマストだと思って選んだり。基本的には私が歌いたい楽曲で構成されています(笑)。
――大嵜さんはアレンジだけでなく演奏、指揮も務められましたが、一緒にやりとりをされてみていかがでしたか?
茅原 すべての編曲が本当に素晴らしかったですし、リハーサルを終えたあとに「何かあったらアドリブのピアノ演奏で時間を繋ぐから、とにかく楽しんで自由に歌ってくださいね!」という温かい言葉をかけてくださって緊張がほぐれました。ステージに上がってからも振り返るといつも笑顔の大嵜さんがいてくれるので、安心して歌に夢中になることができましたね。大嵜さんは人間力があって頼れるし、とても優しくて大きな愛情で包み込んでくれるスーパーハイパーウーマンです!(笑)。その素晴らしいエスコートのおかげで、「慣れない環境ではあるけれど臆することなく楽しんで歌おう!」という気持ちになれました。
――単独でのオーケストラコンサートは2回目でしたが、前回と違ってオーケストラのみの編成で。その点では歌ってみていかがでしたか?
茅原 歌っていて最高に気持ち良かったですよ!私は玉置浩二さんの大ファンで、そのオーケストラコンサートに何度も足を運んでいるんですけど、まさに同じ世界の中で歌っているようで幸せを感じました。実はリハーサルが1回だけだったので「大丈夫かな?」と心配していて、始まってみたら楽団の皆さんの安定感ある演奏にびっくりでした。私の曲はミュージシャン泣かせの難しい楽曲が多いので、オーケストラになるとなおさら大変なんじゃないかって思っていたのに、信じられないくらいにとてもスムーズで。無駄な心配でしたね(笑)。
――オーケストラコンサートとなると、ボーカルのアプローチは普段のライブと変わってくるものなんでしょうか?
茅原 歌の部分では、このコンサートを通して新しいものを掴んだ感覚がありますね。
――なるほど。最後、「花束」でコンサートを終えてステージを下りたあとのお気持ちはいかがでしたか?
茅原 ホッとしました(笑)。届けたいすべての想いを歌にすることができたと思っています。コンサートを一緒に作ってくださった大嵜さんをはじめ、東京21世紀管弦楽団の皆さん、そして応援してくれたファンのみんなに、心からの感謝の気持ちでいっぱいになりました。普段はなかなか触れ合うことのできないたくさんの楽器たちと一緒に大好きな歌をうたえる幸せ、ファンのみんなにいつもとは違った魅せ方で楽曲たちを楽しんでもらえる幸せ。とても贅沢な空間、時間でした。
INTERVIEW BY 澄川龍一
TEXT BY 友安美琴(セブンデイズウォー)
●リリース情報
「Minori Chihara Live Re:Collection
~SUMMER CHAMPION 2021 & ORCHESTRA CONCERT 2020 Graceful bouquet~」
発売中
詳細はこちら
※茅原実里ラストライブ「Minori Chihara the Last Live 2021 ~Re:Contact~」のライブレポートも後日公開予定
関連リンク
茅原実里オフィシャルサイト
https://www.minorichihara.com/