Kalafina・Hikaruが発足した新たなソロプロジェクト・H-el-ical//の勢いが凄まじい。1月26日(水)に発売された4thシングルは4作品目となるアニメタイアップ。
表題曲「JUST DO IT」は、現在放送中のTVアニメ『終末のハーレム』の幕開けを飾っている。

登場人物たちの心の機微を描いた歌詞、1つのジャンルに捉われない多彩な表現で孤高のスタイルを確立してきたH-el-ical//だが、本作でもまた新しい表現に果敢に挑戦している。大人びた色気を放ちながら、アニソンならではの疾走感を持った「JUST DO IT」。曰く「昔はできなかった、今だからできた表現」。そして「新しい出会いが新しい引き出しを増やしてくれる」と嬉しそうに語る。彼女の表現への欲求は留まることを知らない──。初の舞台演劇に挑戦することも発表したばかりのHikaru//へ話を聞く。

ライブでの感触
――2022年第1弾となる新作がリリースされます。先日ライブで披露されたそうですが感触はいかがでしたか?

Hikaru// 昨年12月、京都で開催された“京 Premium Live -2021-”で初めて「JUST DO IT」を披露したんです。年明けにあった、鹿児島の“りなメロ♪”というフェスでは「JUST DO IT」とカップリングの「IMPOSSIBLE LOVE」を歌わせていただきました。皆さんに生の音で新曲を感じていただける機会なので、歌っている身としてもより気持ちが入りましたね。ライブでは、そのときそのときのお客さんの反応を見ながら声に感情を乗せられるので、生とCDとでは違ったものがあるなと改めて感じています。


――「JUST DO IT」は疾走感のあるナンバーなので盛り上がるだろうなと。特にDメロは一体感がすごそうです。

Hikaru// 生で歌うとより皆さんと一緒に盛り上がっていく感覚がありました。ただ、結構大変で(笑)。ストレートで強いところもあれば、それだけじゃない色気を表現する場所もある。パートによって少しずつ感情を変えるようにしているので、どう組み立てていくかは考えました。レコーディングであれば繊細な部分も伝わるんですけど、ライブの場合は繊細に歌ってしまうと逆に伝わりにくい部分があるので、そこをどう昇華していくかというか。その難しさも、歌いがいがあって楽しいんですよね。

――「JUST DO IT」は前作とはまったく違うテイストですね。アートワーク然り、良い意味で毎回予想を裏切られるというか。

Hikaru// ありがとうございます。「H-el-ical//は色々な楽曲に挑戦しています」というのがジャケットを並べるだけでもわかってもらえるかなと。
アートワークも含め、全部同じチームに制作してもらっているので毎回すごいなと思います。

――今回の「JUST DO IT」は『終末のハーレム』OPテーマ。作品にはどのような印象がありましたか?

Hikaru// 主題歌のお話をいただいて「どういう作品なんだろう?」と思って原作を読ませていただいたところ、すごく大人な作品で。「どこまでTVアニメとして描いていくんだろう」と思いつつ、こういう大人な作品にオファーをいただけるような年齢になったんだなと(笑)。この作品のSFっぽさと大人な感じを上手く融合して表現しなきゃなと思ったとき、「若い時期だったらできなかっただろうな」と……今だからこそできる1曲になったのかなと思っています。

――作品に寄り添っていることもあってか、歌声に色気が増したような気がします。

Hikaru// やった!年齢的にも少し大人な部分は見せていってもいいのかなとも思ってるのですが、色気はないほうなのでそう言ってもらえると嬉しいです(笑)。

――作詞は今回もHikaru//さんが手がけられています。アニメサイド側からは何かリクエストはあったのでしょうか?

Hikaru// 「かっこいい曲にしてほしい」というリクエストをいただいていました。今回は作曲・編曲を加藤裕介さんにお願いしていて。基本的にタイアップ曲の場合は、作曲家さんとプロデューサーの冨田(明宏)さんにお任せしているんです。楽曲が完成したあとに作詞を始めるという流れなので、「ああ、あの世界観と『かっこいい』というリクエストを組み合わせたらこうなるんだな」と驚きましたね。
楽曲自体がすでにかっこいい状態だったので、歌詞は“かっこいい”に意識を置かなくても良くなるだろうなと。なので、作品の世界観や作品を読んだときに感じたものを書いていきました。

――オケがかっこいいですよね。H-el-ical//としては珍しく、王道のアニソンらしい疾走感があるというか。

Hikaru// ザ・アニソン!って感じますよね。自分でもすごく新鮮でした!今まではどこかJ-POP感があったり、色々なジャンルが混ざっていたりしたんですけど、今回は普段アニメをご覧になられている方たちにも「アニソン感があるな」と思っていただけるような曲になったかなと思います。

――先ほど「作品の世界観や、作品を読んだ時に感じたことを書かれた」とおっしゃっていましたが、作品を読んだときに感じたことについて、もう少し詳しく伺っても良いでしょうか。

Hikaru// 作品を読んだとき(主人公・水原怜人が)昔した約束を胸に、芯を貫いていくところが素敵だなと。そのメッセージをサビにしたいなと思ったところからスタートしました。いつもタイアップの作品の歌詞を書くときは、主人公のことと「ほかのキャラクターのことも歌っているのかな?」と思うようなところも入れているんですよね。ほかのキャラクターを好きな人も置いてけぼりにしないようにしているというか……。

――そこはアニメが大好きなHikaru//さんならではというか。


Hikaru// ふふ。パッと聴くと主人公の曲なんですけど、「深読みしたら……」ってところも考えて言葉を選びました。なので、男子目線からの風景と、「どのキャラクターかはわからないけど女性からの視点かな」と思うようなところを少しずつ織り交ぜています。

――アニメが進んでいくとさらに深みが増していきそうですね。

Hikaru// そう思ってもらえたら嬉しいです。“約束”というのも──アニメが進んでいくうちに「この人との約束のことを歌ってるのかな」って思う部分が出てくると思います。そこも楽しみにしていて欲しいですね。

レコーディングについて
――今回はコーラスが多いですよね。

Hikaru// 今回はコーラスも多重に録っているんです。上から下までびっちりと。3声だけでなく、たしか……4声でも録った記憶があります。上2本、下2本という感じで。
今回のコーラスはめちゃくちゃ主張するわけではなく、自然と聴こえてくるものとして成立してほしいという想いが自分の中にあって。あえて歌詞は日本語にせず英詞にして、耳障りの良さを意識しました。

――耳馴染みはすごく良いんですけど、その一方で耳に残るところもあって。

Hikaru// アタック音はしっかり聴こえるようにしました。あまりに流れすぎてしまうのは違うかなと思っていて。そこはコーラスで気をつけたところかも……。実はだいぶ前に収録したんですよ。だから思い出しながら話すような感じになってしまうんですけども。

――アニメ放送が一度延期になった関係で、CDの発売も10月から延期になりましたもんね。3rdシングル「The Sacred Torch」(2021年11月リリース・TVアニメ『最果てのパラディン』OPテーマ)のレコーディング前後あたりで録られていたのでしょうか。

Hikaru//  3rdシングルの前辺りに録っていました。なので、3rdと4thシングルが入れ替わったような感じなんです。
特にコーラスはレコーディングでしかやらないので結構前のことに感じますね。

――ではレコーディングについて、覚えてらっしゃる範囲で教えていただいでもいいでしょうか。

Hikaru// 加藤さんがお忙しくてタイミングが合わなかったこともあって、ディレクションは普段H-el-ical//の楽曲を作ってくれているグシミヤギ(ヒデユキ)くんがしてくれています。なのでいつも通りといいますか。Hikaru//がやりたいことを汲んでくれつつ、加藤さんが作ってくださった楽曲の世界観を表現していくような感じでした。ただコーラスが多かったのでいつものレコーディングよりは少し長めだったかな。

――このインタビューをしている今現在、TVアニメは2話まで放映されていますが、ご覧になられていかがですか?

Hikaru// 地上波での放送を観て楽しませていただいています。タイアップをいただいている作品はいつも親も一緒に観ているんですが、今回は1人で(笑)。時間もちょっと遅いですし、大人な作品なので、家族と見るには気まずい空気が流れてしまうかなと(笑)。

カップリングはラブソング
――カップリング「IMPOSSIBLE LOVE」についても教えてください。「JUST DO IT」に続き珍しいテイストのラブソングですね。

Hikaru// 「JUST DO IT」は割と男子目線っぽい感じの歌詞にしたので、「カップリングは女子感があっても良いかもしれないね」という話になったんです。ちょっとツンデレというか、ヤンデレというか(笑)。若さゆえの強さや弱さを持った女の子を主人公にした歌詞を書きました。若い女の子の恋愛の歌詞はなかなか書いてこなかったので、自分でも新鮮でしたね。

――若さゆえの強さや弱さというのは、“叶わない恋なんて辛いだけなんてことはわかってる この気持ち捨てられない だからまだこのポジションにいたい”という歌詞からも感じます。一方で、個人的には『終末のハーレム』の絵理沙、美来も関係しているのかなとも思いました。

Hikaru// そう感じていただけたのであれば、そうなのかもしれません。そういうイメージができても面白いなとは思っているんですが……知っていると深読みができるけど、知らなくても楽しんでいただけるような歌詞にしています。曲はそういうことは意識していないと思うんですけど。

――お洒落なサウンドですよね。

Hikaru// 曲を先に作っていただいたんですが「お洒落な曲がきたな!」と思いました(笑)。だからこそ、ここまでわがままっぽい女の子の歌詞が書けたというか。キャピキャピな感じの曲だったとしたらちょっと違ったかもしれません。逆に大人っぽい歌詞を入れてたかも。ただメロディの音はめちゃくちゃ高いわけではないので、若い世代に限らず大人っぽくも感じる曲になっていると思います。

――作曲・編曲を手がけたfu_mouさんがディレクションもされているのでしょうか。

Hikaru// はい。いつもレコーディング前に仮歌を録ってるんですけど、それを送ってやりとりをしつつ、当日もfu_mouさんにディレクションをしていただきました。でもディレクションしてくださる方に「○○をしてください」と言われることがあまりなくて。Hikaru//がイメージしていたものを3パターンくらい録って、そのなかでイメージが合致したものを選んでもらうことが多いですね。

――それはHikaru//さんが事前にしっかりと練り込まれているから。

Hikaru// ありがとうございます(笑)。良いものを作りたいという一心でやっています。だから今回も大きなリクエストのようなものはなかったので、かわいさと大人な部分を混ぜて歌った感じですかね。

――かわいさと大人な部分、どちらもあるというのは今のHikaru//さんならではなのかなと思いました。特に英詞の部分の歌声はすごくセクシーですよね。

Hikaru// 英語の部分は吐息まじりというか。少し大人びた感じで、息の成分を多めに歌いました。『終末のハーレム』という作品を担当させていただけたからこそ、こういう歌唱を皆さんに聴いていただけるのかなと思っています。昔の自分と、今の等身大の自分をミックスさせたような……。とはいえ(歌詞は)自分の体験談じゃなく、完全なる妄想の世界なんですけどね(笑)。実年齢からは少し下げて、心のなかでは駄々をこねている感じです。

――完全なる妄想の世界ということですが、小説や映画に触れたときのような楽しさがありました。

Hikaru// ありがとうございます。その世界観に入ってもらえるというのがすごく嬉しいです。どこか「わかる!」と思ってもらえるような部分が入れられたいいなと考えながら毎回歌詞を書いています。

新しい表現への挑戦・欲求
――新しい一面の出た曲が新年一発目に。

Hikaru// 新しいことを新しい年にしている感がありますね。持ちうるだけの引き出しを今後も出していきたいなと思っています。

――その引き出しが年々増えていますよね。

Hikaru// 色々な楽曲や作品に触れたりすると、自分の中でも「この曲こういうふうに歌ってみたいな」って欲が出てきて。それが今持っているものだと表現できないとなると、(新しい表現ができるように)自分の歌い方を研究しています。そうやって今までも自分の引き出しを少しずつ増やしていっているので、今後の新しい出会いが新しい引き出しを増やしてくれるんじゃないかなって。基本的に人とコミュニケーションを取るのがそこまで上手じゃないんですけど(笑)、ソロになったこともありますし、2022年は色々な人と出会えたらいいなと思っています。

――Hikaru//さんはむしろ色々な方とコミュニケーションを取られるのが上手なイメージがあります。最近はReoNaさんとの出会いもあり。

Hikaru// イベントでご一緒して以来、仲良くさせてもらっていて。自分が先輩という立場にいるのがなんだか不思議な気分です(笑)。

――私自身もHikaru//さんと初めてお会いしてから10年以上経ってるんですが、Hikaru//さんがお姉さんの立場になっているんだなと、なんだか不思議な気持ちです(笑)。

Hikaru// 不思議ですよね(笑)。これまでは自分の年齢ってあまり意識してこなかったんです。でも身近に、同じ職業で、年下で、頑張ってる人がいるってすごく刺激的だなって。自分より上の年齢の方や、同じ年の方の姿を見て「頑張ろう」と思うこともあるんですが、後輩が下からぐいぐい来てるっていうのもすごく新鮮。世代によって見てきたことや流行も違うので、新しい感覚・視点があって。自分ももっと視野を広げたいなと思いました。

――新しい感覚と言えば、発売日にはスペースで試聴会もやられるんですよね。

Hikaru// そうなんです!喋りが苦手と言い続けてきて──。

――そして機械が苦手ともおっしゃり続けて(笑)。

Hikaru// そう、本当に苦手なんですけども(笑)。新しいことにも挑戦していかなきゃいけないなと。そうやって、皆さまと繋がれるような機会を設けていきたいなと思っています。

アートワークは「近未来風に」
――作品の話に戻りますが、今回は初回盤に“H-el-ical// acoustic LIVE 2020 咲 -SHOW-」 Day”の音源も収録されるんですよね。

Hikaru// そうなんです。2020年のアコースティックライブの夜の回で歌った曲を全曲収録しています。CDよりもボリュームがあります(笑)。インタビュー冒頭でもお話をさせていただいたんですけど、CDで聴くH-el-ical//の歌と、ライブのH-el-ical//の歌って多分違うと思うんです。お客さんが目の前にいる状態で歌唱すると「歌ってこんな変化するんだ」って感じてもらえる音源になってると思うので、ぜひ耳で感じてもらえたらいいなと。このライブで歌った曲たちはサブスクでもダウンロードしてもらえるので、聴き比べていただけるとわかりやすいかと思います。

――今回のアートワークも今までにない雰囲気です。

Hikaru// 近未来を少し感じてもらえるような作りにしたかったんです。ちょっと不思議な世界観ですよね。シルバーのベストを作っていただき、ライトの色はピンクとブルーの2色だけ。メイクもナチュラルにして、素肌感のある感じにしました。作り込むというよりは自然な雰囲気なんですけど、あえてそうすることで、人なんだけどちょっと違う世界にいる感じに見えるんだなと思いました。

――通常盤のジャケットは怜人がコールドスリープしていた時の雰囲気も感じました。

Hikaru// そういうイメージが湧くようなジャケットになってますね。寝て撮るというのは初めての経験でした。後ろのアニメの絵は描き下ろししていただいているので、そちらも楽しんでもらえたらなと思います。

――では、今お話できる範囲で、今年の活動について教えていただけますか。

Hikaru// 「JUST DO IT」を発売した後、5月、7月、初の舞台演劇に挑戦します(劇団GAIA crew 第17回本公演「Good Luck Your Memories:Re』・Creative Company Colors 10th Anniversary Stage『アンビエントボーダー』出演)。初めてづくしの2022年です。

――初のストレートプレイ。すごく楽しみです。

Hikaru// 舞台という場所で初めて学ぶこともたくさんあると思うので、新しいものを吸収して、それを音楽に昇華していけたらと思っています。

――また引き出しが増えますね!

Hikaru// 増やしていきたい!(笑)。初めてのことに挑戦しつつ、新しいH-el-ical//を皆さまに見せていけたらいいなと思っています。成長できるように、止まらず頑張ります!

――最後に、改めてシングルを楽しみにされている方に向けてお一言いただけたらなと。

Hikaru// 4thシングルとして「JUST DO IT」をリリースします。今までH-el-ical//の楽曲を聴いてくださっている方も、初めての方も、きっと驚いてくださるはずです。初回生産限定盤のライブ音源を聴くと、また別の角度からH-el-ical//の音楽性を感じてもらえると思うので、オススメは初回盤ですが通常盤でも聴いていただけたら嬉しいです。1枚通して聴いていただけるとたくさん発見があると思います。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

●リリース情報
4thシングル
TVアニメ『終末のハーレム』OPテーマ
「JUST DO IT」
1月26日(水)発売

【初回限定盤(CD+特典CD)】

品番:GNCA-0641
価格:¥2,420(税込)

【通常盤(CD)】

品番:GNCA-0642
価格:¥1,320(税込)

<CD>
1.JUST DO IT
作詞:Hikaru// 作曲・編曲:加藤裕介
2.IMPOSSIBLE LOVE
作詞:Hikaru// 作曲:fu_mou 編曲:グシミヤギ ヒデユキ
3.JUST DO IT <instrumental>
4.IMPOSSIBLE LOVE <instrumental>

<特典CD>
『H-el-ical// acoustic LIVE 2020 「咲 -SHOW-」 Night』ライブ音源 収録

法人別購入特典
・アニメイト:複製サイン&コメント入り2L判ブロマイド
・TSUTAYAオンライン:L判ブロマイド
・ソフマップ:L判ブロマイド
・とらのあな:L判ブロマイド
・楽天ブックス:A4クリアファイル
・Amazon.co.jp:メガジャケ
※【Amazon.co.jp限定】商品のみ対象となります

※通常盤は対象外となります。
※特典は数に限りがございます。各店舗様にて無くなり次第終了となりますので、詳細に関しては各実施店舗様にお問い合わせください。

関連リンク
H-el-ical// オフィシャルサイト
https://h-el-ical.com/

H-el-ical// オフィシャルTwitter
https://twitter.com/Helicalproject

Hikaru// オフィシャルTwitter
https://twitter.com/Hikaru_0702_
編集部おすすめ