パチンコ・スロット遊技場を展開するアイランドとアニメーション制作会社のProduction I.Gのコラボレーションによる、新たなアニメプロジェクト「ステージ・バイ・ステージ」。バーチャルライブなどの技術が発達した世界を舞台に、バーチャルアーティストとして活動する3人の女の子たちが成長していく姿を、オリジナル楽曲とそのPVなどを通じて描く、従来のスタイルに捉われないアプローチが光るコンテンツだ。


現在までに、杏道リア(CV:夏吉ゆうこ)が歌う第1弾楽曲「Synchronicity」、井伊嶋美沙(CV:mido)と府良わらび(CV:あかまる)のキャラクターボイスを担当するTHE BINARYによる第2弾楽曲「ただしい感情」が発表されている本作。今回はその2曲を通じて各キャラクターを表現する夏吉ゆうこ、THE BINARYの2組に加え、両楽曲のPVを監督したほか原案として作品に携わる大城丈宗(Production I.G)に集まってもらい、「ステージ・バイ・ステージ」の世界観や楽曲・MVの魅力、その可能性について大いに語り合ってもらった。

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「バーチャルアーティスト」を軸にした、3人の女の子たちの成長物語
――まず大城監督に聞きたいのですが、「ステージ・バイ・ステージ」には原案としてどのように関わっているのですか?

大城丈宗 世界観やキャラクターの性格や生い立ちといった設定、作品の大まかなベースとなる部分は、自分が提案したものを採用していただきました。バーチャルアーティストというモチーフについても、そういう設定があると後々ライブなどの展開がしやすくなるかな?という意識もあって、自分から提案させていただきました。

――夏吉さんとTHE BINARYのお二人は、最初にこのプロジェクトのお話をいただいたときにどんな印象を抱きましたか?

夏吉ゆうこ 最近はバーチャルアーティストの文化が根付いてきて、そういった活動をされている方が多くなってきた印象があるのですが、そのなかで声優としてそういったコンテンツに関われること、杏道リアの「声」として自分が1つの素材になれることが楽しみだなと思いました。

mido 私たちは実際にバーチャルのスキンを使って活動しているので、すごく共感できました。バーチャルアーティストは今タイムリーなコンテンツだと思いますし、私は普段から現実をベースにしたフィクションのお話が好きなので、このプロジェクトは単純に自分の好みでもあって。しかも自分たちがアニメーションの世界で演じたり歌ったりできることが、新鮮で嬉しかったです。

あかまる 今midoちゃんが言ってくれたように、(「ステージ・バイ・ステージ」のキャラクターたちと)我々の活動内容はかなり似ているので、お話を聞いてピッタリだなと思いました。ただ、私たちは声優の経験がなかったので、キャラクターボイスを担当するのはちょっと不安で(苦笑)。でもすごく楽しみでしたし、キャラクターデザインも3人ともすごくかわいかったので、全力で挑戦して良いものを作れたらと思いました。

――ご自身が担当されたキャラクターの印象についてもお聞かせください。


夏吉 私はオーディションを受けさせていただいたのですが、杏道リアの設定や課題のセリフをいただいたときに、割と楽観的でマイペースな性格だけど、意外と繊細なところがあって、3人のキャラクターの中では一番人間くさいところがある子だと感じました。18歳という年齢もキャラクターの味を出すのには良い年ごろなので、色々と多感なところをセリフに落とし込めたら、と思いながらオーディションに挑みました。

mido 井伊嶋美沙ちゃんは個人的に共通点が多いなと感じていて、彼女は理想が高くて完璧主義者なところがあると思うんですけど、私もそういうところがあるので「すごくわかる!」と思いました。実は私、こういう取材を受けるのは今日が初めてで、昨日は「ちゃんとしゃべれるかな?」と思って寝れなかったんです(笑)。

大城 そんなそんな!心苦しいです(笑)。

mido 多分それも完璧にこなしたい気持ちがあるからこそだと思うんですね。ただ、私は美沙ちゃんみたいに会社勤めをした経験がないですし、お姉さん感もあまりないので(苦笑)、演じるときは頭の中でキャリアウーマンとか、ちょっとドジ属性のあるお姉さんとか、色々と妄想しながら演じました。

あかまる 私も自分と似ているところがかなりありました。府良わらびちゃんはコミュ障で、自分の意志や意見は持っているけれど、それを他人に伝えるのが苦手なことを知って、私はきっと適任だなと思いましたね。それと、彼女はほかの2人と違って、元々ネットでアーティスト活動をやっていて知名度があるけど、そこに伸び悩みを感じて悶々とした日々を過ごしている女の子なんです。そこからバーチャルアーティストになったことで、新しい自分の輝くステージを見つけることができて。そういうところにロマンを感じるし、私もそんなふうになりたいなと思いました。


――THE BINARYのお二人は2.5次元的な部分を打ち出したステージ活動を行っていますが、本作でも描かれている「バーチャルアーティスト」的なものにどんな魅力を感じますか?

mido 私たちは紗幕を使って3Dアバターでライブを行ったり、ときには完全に3Dの舞台でライブをすることもあるのですが、そういったバーチャル技術を使ったライブだと現実に縛られない演出ができるんです。例えば空間にすごく大きな心臓が現れたり、海の底で歌っているような演出もできて。現実では絶対にできないパフォーマンスをお届けできる魅力はあると思います。

あかまる バーチャルの姿だと可能になることが無数にあって、今後技術が進化することでさらに色んな演出やパフォーマンスができると思いますし、不可能が限りなく少ないことがバーチャルの魅力だと思います。

――夏吉さんは普段「キャラクターとして生きる」ことも多いと思うのですが、その意味で声優のお仕事と「バーチャルアーティスト」に近しい部分を感じることは?

夏吉 たしかに共通点はたくさんあると思いますが、バーチャルアーティストとアニメのキャラクターは何が違うのかを考えたときに、バーチャルアーティストさんには“生感”があるのが魅力だと思ったんです。キャラクターを演じるお仕事は、しっかりと完成されたキャラクターに命を吹き込むところがあって、物語の道筋やキャラの向かう先も見えていたりするのですが、バーチャルアーティストさんは実際のアーティストと同じで、この先どんな活動をしていくのか道筋が決まっていなくて。その現実にいる感じがかっこいいなと思います。

大城 「バーチャルアーティスト」は本人とはまた別に1つの姿を用意するものなので、どんな人でも好きな姿で活動できるという意味では、人を選ばないというのも大きな魅力ですよね。

キャラクターとしての歌唱表現と繊細な映像演出が光る「Synchronicity」
――ここからは各楽曲とPVについてお話を聞いていきます。杏道リア(CV:夏吉ゆうこ)の「Synchronicity」は大人っぽい雰囲気のグルーヴィーな楽曲で、率直に言ってめちゃくちゃかっこいいですね。

夏吉 ですよね。そのかっこいい曲がオーディションの課題だったんです(笑)。
セリフをいくつかと、この楽曲をワンコーラス歌わせていただいたのですが、リズムや曲調がかっこいいぶん、すごく難易度が高いですし、多分何通りもの歌い方がある曲で……。私は最初、杏道リアのキャラクター的に弾むような歌い方をしたのですが、その場で「もっと滑らかに、BGMとして聴いていられるような歌い方も試していただいていいですか?」と言っていただいて。オーディションだったのに、まるでレコーディングみたいに色々と歌わせていただきました(笑)。

――実際のレコーディングはいかがでしたか?

夏吉 杏道リアは割と精神年齢が低くて自由な子だと思うんですけど、この曲は心の中で静かに何かに傷ついていたり、「もっと頑張らなくちゃ」と悶々としているリアの生の部分を表しているのかなと、レコーディングしている間に自分の中で勝手な解釈が生まれてきて。そこからはノッて歌えるようになった思い出があります。

――たしかに、歌声もキャラクターのイメージよりだいぶ大人っぽい雰囲気があります。

mido 私もちょっと背伸びしているというか、大人びている感じを楽曲から受けました。個人的に夏吉さんの歌い回しが独特に感じたのですが、普段はどんな音楽を聴いたり、どういう歌をうたうのがお好きなんですか?

夏吉 お仕事柄、キャピッとしたキャラクターソングだとかロック調の曲を歌うことが多いのですが、洋楽もすごく好きですし、学生時代はボーカロイドやネット音楽で青春を過ごしてきたので、その辺りの音楽の影響もあると思います。そこまで気にして聴いていただけて嬉しいです(笑)。

mido すごく不思議な魅力があるなあと思って。今日も聴きながらここまで来ました(笑)。

あかまる とても歌がお上手ですよね。
声優さんってなんでもできるんだなって思いました。きっと色んな歌い回しを試して今のものに行き着いたと思うんですけど、あまりはっちゃけすぎていない感じが、PVの雰囲気にもリアちゃんのキャラクター像にも合っていて。今の夏吉さんのお話を聞いてしっくりきました。

――監督は夏吉さんの歌入れした音源を聴いたうえでPVを制作したのですか?

大城 はい。実際の制作に取り掛かる前に、まずビデオコンテというものを制作するのですが、その作業を行う少し前に夏吉さんのオーディションがありまして、そこで夏吉さんが歌われたのを聴いて自分の中でイメージが固まったというか、大きく影響を受けたと思います。パッと明るい感じだけでなく、キャラクターの繊細な部分もその場で即興で歌い分けられていたので、そのテンション感を意識しながらPVを作っていったところはありますね。

夏吉 そうだったんですね。ありがとうございます。

――PVは細やかな表現が積み上げられた映像に仕上がっていますが、具体的にどんな部分にこだわって制作しましたか?

大城 まず楽曲自体の明るすぎないけれど軽快な印象と、もう一方の「ただしい感情」を聴いたうえで、両方のPVに大きな方向性として統一感はありつつ、それぞれ差別化できる部分も1つ作りたいなと思って、「ただしい感情」は夜や夕方、「Synchronicity」は早朝や日中の絵作りになるようにしました。内容的には、杏道リア本人とステージに立っているときの自分の姿、2人の杏道リアを1つの画面に出してしまって、自分と向き合うイメージを軸に映像を作っていきました。

夏吉 CMサイズのPVを観ただけで、映画を1本観たような感情がワッと湧き出してきて、特に現実の自分とバーチャルアーティストの自分の対比みたいな部分にグッときました。人が誰しも抱く「本当はこうなりたいな」「こうなれたらいいのにな」という気持ちが、共感としてすごく押し寄せてきて。
映像も美しくて本当にいいMVだなと思いましたし、そこに自分の声が使われていることにすごくドキドキしました。「これ、自分の声なのかな?」と思ったくらいで(笑)。

大城 ありがとうございます!

mido 私は水槽に入った魚が出てくるのが印象に残っていて。あの魚はベタ(※東南アジア原産の熱帯魚)ですか?

大城 そうですね。

mido やっぱり!私がソロで歌っている「ベクターフィッシュ」という楽曲のMVにも、ベタが出てくるシーンがあるので嬉しくなりました(笑)。その水槽の中のベタが、現実世界で生きているリアちゃんと同じような存在に思えて。でも、彼女はそこから外に出て、理想の自分になるために飛び出していく。リアちゃんがここからどうなっていくのか、続きがもっと観たくなりました。

あかまる 私はお気に入りのポイントが2つあって。1つはmidoちゃんと同じかわいいお魚が出てくるところ、もう1つはリアちゃんが最初は暗い表情で外を眺めていたり、ハサミで植物を切るちょっとダークなシーンが入ってますけど、中盤や後半になるとバーチャルな存在のリアちゃんが自信満々でステージに向かって歩いたり、両手を思い切り広げてニコニコで歌っているんですよね。その光と影の対比がすごく素敵だなって思いました。

大城 皆さんちゃんと観てくださっていて、本当にありがたいです……。


THE BINARY「ただしい感情」とそのPVに息づくリアリティ溢れる表現
――THE BINARYの楽曲「ただしい感情」は、たなかさんと白神真志朗さんが楽曲提供したラップ入りのレイドバックしたナンバー。今までのTHE BINARYにはあまりなかった曲調で、その意味でも新鮮なチャレンジになったのではないかと。

mido 実はレコーディングの段階ではキャラクターの詳しい情報がまだない状態だったので、夏吉さんみたいにキャラクターのバックボーンを歌に乗せるやり方とはまた違うアプローチで歌いました。私がレコーディングしたときは、現場にたなかさんと白神さんがいらっしゃったので、お二人のディレクションを受けて楽しみながら作り上げていって。私は元々たなかさんのファンだったのでわくわくもあり、とても楽しいレコーディングでした。

あかまる 私はスケジュールの都合で別日にレコーディングしたので、たなかさんたちには会えなかったのですが、先に録っていたmidoちゃんの歌を聴きながら、自分なりに考えて歌いました。この曲は大人レディ?な感じがあったので、その雰囲気を出すのがすごく難しかったです。しかもラップのパートもあって。ここまで長いラップが入ってる曲は、今までのTHE BINARYにはなかったので……「イキハル」(「呼吸する春たち」)くらい?

mido でもジャンルは違うかも。

あかまる たしかにあれは語りっぽいもんね。ここまでいわゆるラップっぽいノリの曲はなかったので苦戦しました。でもお互いの良さが出せたと思います。

mido お互いフルで録ったので、せっかくだから何かのタイミングで使っていただけたら嬉しいです。美沙ちゃんバージョンと、わらびちゃんバージョンみたいな感じで。

大城 それは面白そうですね。自分もシンプルに聴きたいです(笑)。

――夏吉さんのこの曲を聴いた感想はいかがですか?

夏吉 最初に聴いたとき、キャラクターが歌っているというよりも、何も作ろうとしていない生っぽい感じ、ともすればただ訥々としゃべっているような印象を受けまして。でも、それが良い意味でデフォルメされていなくて、すごく細かいニュアンスが入っていて素敵だなと思いました。映像ともすごくマッチしていて。普段の2人(井伊嶋美沙と府良わらび)は割と現実味のあるキャラクターなので、PVを観ているとドラマを観ているような気持ちになって、すごく現実感が濃い映像だなと思いながら楽しみました。

――「ただしい感情」のPVは、先ほど監督がおっしゃっていたように夜の雰囲気が濃厚な映像になっていますね。

大城 楽曲がデモの段階からそういう印象があったので、映像もそっちの方向に振り切りました。「Synchronicity」は杏道リアを2人に分裂させて向かい合わせる感じでしたけど、「ただしい感情」は井伊嶋美沙と府良わらび、それぞれの行き詰まりを感じている日常生活の描写と、そこから切り離したステージ上の姿、2人が頭の中で描いている理想の姿を描こうかなと思いながら作りました。

mido PVには、現実の美沙ちゃん・わらびちゃんのシーンと、彼女たちの理想のバーチャルアーティストとしての姿が織り交ぜられていて。現実では年齢も性格も全然違う2人が、バーチャルの世界では一緒に歌って、1つの曲でハーモニーを奏でている姿が、シンプルにエモいなと思いました!冒頭の2人でソファーに座っているシーンとか、色々妄想がはかどるシーンも多くて(笑)、この2人はどうやって出会ったのかが気になります。

あかまる 描写もリアルで、美沙ちゃんの社員証が映りこんだり、鏡の前で衣装を当てているシーンがあり、美沙ちゃんは社会人としてストレスフルな日々を暮らしているんだろうなと思って。わらびちゃんも学校の中でしゃがみこんでいるシーンがあったりして、そういう一歩踏み出せない自分がいるところに、みんな共感できるんじゃないかなと思いました。2人が楽しそうに歌っている映像もすごく綺麗で、特に横顔の揺れ方がすごくリアルで好きです。

夏吉 バーチャルアーティストのシーンでは、アクセサリーがチラッと光ったりと煌びやかですけど、全体的には色味が暗めで、それが「心の曇りを表しているのかな?」と思って、現実の2人の心情とリンクしているように感じました。お二人の歌声と映像の色味と演出とが全部マッチしていて、そのどれか1つがワッと主張しない感じといいますか。

大城 色味に関しては「Synchronicity」も含めて気を配っていたところで、どちらの楽曲も地に足の着いた印象があったので、その温度感や雰囲気に寄せるために、色味も派手になり過ぎず、落ち着きを持った映像にしようと思っていました。アニメの場合、アニメ特有の外連味のある表現でいくらでもテンションを高くすることができるのですが、今回はそういうふうにアニメのほうに引き込むのではなく、頑張れば実写でも撮れそうな絵を意識していましたね。

――カメラワークもかなり実写の映像っぽい作りですよね。

大城 そこもかなり気を配った部分です。アニメでは基本的に背景は平面の絵で描くので、カメラワークを付けても平面の絵が流れていく見え方になるのですが、今回は多くのシーンで3Dを使って背景を制作したので、そのなかでカメラを動かすと背景も立体的な動きや変化ができるんです。それが実写っぽさ・生っぽさに繋がっているのかなと思います。

――その意味では、様々な技術を結集させた映像でもあるわけですね。

大城 そうですね。元々自分の中で作りたかった方向性の映像だったので、今自分が持っているものは全部盛り込もうと思いながら制作しました。

「ステージ・バイ・ステージ」とバーチャル技術の可能性
――「ステージ・バイ・ステージ」ではバーチャル技術が発展した世界が描かれていますが、今は実際にVR・ARなどの技術を駆使したコンテンツやライブ演出が増えています。皆さんはそういった状況にどのような可能性を感じますか?

大城 先ほどTHE BINARYのお二人がお話されていたように、できる演出の幅も増えていると思いますし、メディアの境目が曖昧になったおかげで表現の選択肢が増えているのかなと感じます。去年、ポーター・ロビンソンさんがVR空間の中でライブを楽しむことができるオンラインフェス“SECRET SKY MUSIC FESTIVAL”を開催したり、トラヴィス・スコットさんがゲームの「フォートナイト」内でワンタイムイベントを開催して、ライブステージを越えたアトラクションのようなものを提供したり。普段みんなが使っているプラットフォームからそう遠くはない場所で、スッとライブや映像演出・音楽を提供できる垣根のなさを感じるので、今までのライブやMVという形だけではなく、提供の仕方そのものの選択肢がもっと増えるんじゃないかと思いますね。

――夏吉さんはいかがですか?それこそ先日開催されたサンリオ主催のバーチャル音楽フェス“SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland”に、『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』のマシマヒメコ役として参加していましたが。

夏吉 「SHOW BY ROCK!!」では私たち声優がリアルにバンドを組んで楽器を弾かせていただくライブもやっているのですが、キャラクターがバーチャル空間でライブをやることもありまして、“SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland”では現地のサンリオピューロランドにも観に行けるし、VRキットがあればオンラインでも参加できるライブだったんです。それこそ今は感染症対策でライブがやり辛くなっているなか、今後VRという手段がどんどん活発になっていくと思いますし、オンラインであればチケットの枚数にも制限がないので、色んな人が観に来れるのは喜ばしいことだと思います。あと、最近はVTuberの方が地上波のバラエティ番組で芸人の方と同じ空間で普通におしゃべりしているのが本当にすごいなと思っていて。きっとバーチャルの体で色んなところに進出できる未来がくるんだろうなって、色々妄想しています(笑)。

――THE BINARYのお二人はいかがですか?

mido 人生で出会える人間の数には限りがあると思うんですけど、普段のリアルな姿とは別のスキンを持つことによって、出会える人が増えていく楽しさがあるなと感じていて。私たちも昨年の夏、VTuberの方々が集まるフェス“TUBEOUT!FES -2021 SUMMER-”に出演させていただいたんですけど、そこで初めて私たちのことを見て興味を持ってくださった方もいたんです。良い意味でリアルとバーチャルの使い分けができたら、もっとたくさんの人と出会えて音楽も広まっていくんじゃないかなと思います。

あかまる 今日はこうやってのこのこ出てきましたけど(笑)、私たちは普段、顔を出さずに活動を行っていて、最近はそういうアーティストやクリエイターが世の中でも当たり前になっていると思うんです。そういう人たちの活動の場所として、アニメーションや3DCGは活用しやすいと思いますし、今後色んな技術が進化すると可能性が一気に広がるだろうなと思っていて。我々もライブや色んな表現でもっと斬新なことを行って、みんなを魅了できればと思っています。

――そういった状況のなかで、皆さんはこの「ステージ・バイ・ステージ」というプロジェクト自体にどんな期待を持っていますか?

夏吉 私はやっぱりライブができればいいなと思っています。声優は今、表立ってライブをやる機会も多いですけど、個人的には声を素材として提供するときが一番輝くのではないかな?と思っているので、いつか「ステージ・バイ・ステージ」のライブで杏道リアというバーチャルアーティストのキャラクターに私の声を提供させていただける日が来ることを楽しみにしています。せっかくキャラクターが3人いるので、この3人でのステージが観られることを願っています。

mido 私はアフレコが新鮮で楽しかったのもありますし、MVだけでも充分妄想したり考察できる楽しみがたくさん詰まっていますけど、彼女たちが何を抱えていて、これからどうなっていくのか、その物語を見てみたいので、いつかアニメになってほしいなあと思っていて。

一同 おーっ!

mido それともう1つ、私ももちろんライブがしたいです。「ステージ・バイ・ステージ」はバーチャルアーティストがモチーフになっているので、例えばアクリルパネルに映像を投影して、リアルの人間とバーチャルのキャラクターが一緒にステージに立ったりとかしたら、新しいライブの形ができて楽しそうだなって思います。

あかまる 私もライブがやりたいですし、MVでは分かれていた3人が集まったらすごく面白そうだなと思っていて。それと私たちはファンのことをスイミーと呼んでいるのですが、私たちがキャラクターボイスを担当したことを発表したときに、スイミーたちがものすごく喜んでくれたんです。なので……アニメ化?

大城 ……自分からは何とも言えないですが(笑)。

あかまる MVもストーリー性があったので、改めて個々のキャラクターのショートストーリーとかがあっても面白そうですよね。

mido たしかに!いきなり全12話のアニメだと難しいと思うので、まずはショートアニメから攻めていって(笑)。

大城 自分も次のPVを作りたいですし、ライブもやりたいですし、アニメも12話でも24話でも作りたいですね(笑)。今回のPVは基本的に匂わせるようなところで終わっているので、ここからキャラをそれぞれ掘り下げたものを見ていただいたうえで、ライブを見ていただけたら、より濃い体験ができると思いますし、そういった部分も込みで色んなメディア展開がやっていけると嬉しいですね。

――今回のPVを制作するなかで構想が広がったりしたのでは?

大城 それはありましたね。作りながら「このキャラクターはこういう子なんだな」というのを掴めた部分も大いにありましたし、そうしたなかで「こういうお話にしたらアニメにしやすそうだな」というのは色々と考えていたので。アイランドさん、何卒よろしくお願いします!

INTERVIEW & TEXT BY北野 創(リスアニ!)

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●作品情報
「ステージ・バイ・ステージ」

既にトップアイドルとなったアイラ、シマ、はなたちに憧れた女の子たちのミュージックライフが今始まる―。
TVアニメ「でびどる!」のその先の、さらに未来を描くスピンオフアニメシリーズ!!
バーチャルライブ等の技術が著しく発達し、バーチャルでのアーティスト活動がカルチャーとして定着した世界。
育った環境も経歴もそれぞれ異なる3人の女の子達が、同じバーチャルアイドルとして日々成長していく物語。

関連リンク
「ステージ・バイ・ステージ」オフィシャルサイト
http://sta-by.com/
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