2022年2月23日にやなぎなぎのメジャーデビュー10周年を記念したセレクションアルバム『Roundabout』がリリースされる。これはファンからの投票をもとに選曲されたアルバムで、現在では入手が困難なデビュー前の楽曲も多数収録されているファンとアーティストのこだわりが詰まった1枚。
メジャーデビュー10周年、“アーティスト・やなぎなぎ”の歩みを辿る
――『Roundabout』はファンによる投票をもとにセレクションしたアルバムですが、この企画が実施されることについてどんな感想をお持ちになりましたか?
やなぎなぎ 昔の作品は自分でも拙い部分があるとわかっていたので、それを今のリスナーに聴いていただくことには正直、恥ずかしいなと思う部分もあって(笑)。でもデビューしてから10年という時間が経過し、そのなかでライブでもたくさん歌わせていただいていたので、その変化が「こういうこともやってきたんだよ」と今聴いてくださる方に改めて伝わればいいなと思いました。
――今回、メジャーデビュー10周年の企画でありながらも、選ばれた楽曲はそれよりさらに遡ったアマチュア時代の楽曲も数多く含まれています。
やなぎなぎ ソロデビューからは10年なんですけど、やなぎなぎとして活動してきたのは2005年からなので、その時代を含めてどういう活動をしてきたのかを知ってもらえたらいいなという気持ちもあって、せっかくだからメジャーデビュー以降をまとめた表以外にも自由に書いていただけるフォームを作っていただきました。そうしたところ、自分でも予想してなかった曲をたくさんの方に挙げていただきました。きっとそれほど広くは知られていないけれども、昔から好きで推してくださる方がいるんだと知ることができたのは嬉しかったです。少し前にベストアルバムをリリースさせていただいたのですが、それとほとんど曲が被っていないんです。なので、本当に色んなところから、やなぎなぎという存在を知って入ってきてくださったのだと改めてわかりました。それらの結果を参考に、今では聴く手段が難しい曲もできる限りピックアップして収録をさせていただきました。
――「飛べない魔法使い」なんてまさにそんな曲ですね。
やなぎなぎ そうですね。
――さらにそれ以前の同人活動で頒布していた時代の楽曲もいくつか収録されています。やなぎさんはプロとしての活動をする以前から、楽曲を音楽コミュニティサービスに投稿し、ネットを通じて離れたところにいる様々な方に音楽を聴いてもらっていました。そうした状態を経験してからのデビューでしたが、音楽を日々の糧とするプロとしての意識はどのように芽生えていったのでしょうか?
やなぎなぎ 音楽を始めた当初は本当に趣味だったので、同人でゲストボーカルとして入るときも、金銭のやり取りは一切しなかったんです。でも、あるとき知り合いに、「それはちゃんと対価をもらうべきだよ」と言われまして。それを聞いて最初は「自分が好きでやっていることでお金を取るのはいかがなものだろうか」と思ったのですが、「いつか音楽で食べていこうとしたときに、それは自分の価値を下げることに繋がるから」と。そう言われたことが今思えば意識の分かれ目だった気がします。逆に言えば、そのときまでは音楽で食べていこうとは考えていなかったんです。
――メジャーデビュー以降も、10年間絶え間なく活動を続けてこられています。安定して継続されていること自体も素晴らしいことだと思いますが、それができた理由をご自身ではどのように思いますか?
やなぎなぎ 音楽を作っていないと自分というものが保てないので、逆に作らないと不安というか(笑)。多分それをやめちゃったらもうほんと空っぽなんです。
――タイトルトラックの「Roundabout」について伺わせてください。直訳すると“遠回り”“回り道”という意味ですが、この言葉にはどんな想いを込めていますか?
やなぎなぎ 環状の道というものは、色んなところから入って、色んなところに抜けていける、とても自由度が高いものだと思います。自分の曲を聴いてくださる方たちが、今すごく良いなと思ってくれることも嬉しいですし、未来でそんな人に出会えるかもしれないし、過去にこの“Roundabout”にいた人もいるかもしれない。そんな自由度が高くて集まれる場所というイメージですね。
――10年を祝いつつ、その先を目指す前向きさが溢れる歌声が印象的でした。
やなぎなぎ やっぱりアルバムの出発の曲という意識があったのと、皆さんに明るい気持ちになってほしいし、自分自身も明るい気持ちでいることが伝わってほしいなという気持ちがありました。なので今までの10年がありつつも、ここで終わりではなくその先にも行けるような力のある曲にしたいなという思いで歌いましたね。作曲の北川勝利さんにも、色んな時代とジャンルの曲の出発点として、盛大で明るく走っていけるような曲にしたいとお話しして作っていただきました。自分としても10年間はあっという間で、それだけの月日が経っているという印象はあまりなかったのですが、振り返ってみると本当に多くの作品を作らせてもらっていて。最初は北川さんもテンポを上げたほうがいいのかなとおっしゃっていたのですが、それよりもストリングスの動きなどで気持ちの高まりみたいなものを出したいというお話をされて、心象風景の高まりを曲として表現していただきました。
やなぎなぎのルーツともいえる「深遠」に込めた想い
――今回収録された同人時代の楽曲についてもいくつか解説を伺わせてください。
やなぎなぎ 「オールトの雲」という、彗星の家とされる場所が宇宙にはあって、それをテーマに表現してみたいと思って作った曲です。ディレイをかけるといった、当時覚えたての技術を使って空間を表現していきました。
――技術を覚えること自体も楽しんで作られていた頃だったんですね。
やなぎなぎ 思い返すと技術的にも機材的にも発展途上という感じでした。音楽を始めたのは中学生の頃だったのですが、当時はソフト音源も今よりもずっと少なくてお金もなかったので、色々検索してフリー素材を探したり、左右にパンすることを覚えただけで“大発明”って感じでした(笑)。
――15曲目の『深遠』は同人時代の1stアルバム『雨の海』収録曲。折に触れてライブでも歌われてますよね。
やなぎなぎ そうですね。自分のルーツのような曲として歌っています。これは10 代よりもっと幼い頃の心象風景で、公園で1人で遊んでいたらどこかから晩御飯の匂いが漂ってくるといったノスタルジックな気持ちをずっと覚えていて、それを音にしてみようと作った曲です。これも当時はまだ技術がなかったので、電子オルガンからライン出力させてモノラルに挿して、それを聴きながら歌ったものを録っています。音質が申し訳ない形なのですが、そういうことを描きたいなという気持ちだけはすごく詰まっている曲だと思います。
――ラストの「CorLeonis」は発表がさらに以前の曲ですが、これもライブで歌われています。やなぎさんにとってどんな位置づけでしょうか?
やなぎなぎ これは同人活動の1周年アニバーサリーとしてWebアルバムを作ったときの1曲で、無料公開していました。活動における自分のテーマソングとして作った曲で、ほかの曲ももちろん大事なんですけど、自分が音楽を作りたいと思ったルーツや感情を忘れたくないなという気持ちで歌っています。何の表現がしたいかや自分にとって興味のあるものを詰めた曲になっていて、作ろうと思ったときには言語化するより前にそのパッションの勢いで一気に作り上げました。
――特典CDにはやなぎさんがこれまで楽曲提供をされた曲のセルフカバーが収録されています。やなぎさんはセルフカバーを歌うときはどのような姿勢で臨まれましたか?
やなぎなぎ 自分の曲は勢い重視なところもあるのですが、人様に曲を提供するときは自分自身の曲を書くのとはまったく違って、どちらかというとゆっくり練って作る感じです。歌詞の選び方も、この方はこの言葉の発音が気持ちいいから使おうといった感じで、相手のパーソナリティを意識します。やっぱりボーカルの力がとても大きいと思うので、誰かの手に渡ったものはその人の曲という意識にスイッチします。自分で書いた曲であっても手触りがまったく異なるので、カバーするときも本当にその方の曲をカバーするという意識ですね。歌うときもその方が歌ってくださったものをどこまでリスペクトできるかが大事になってきますし、今回もその意識で歌いました。
――デビュー記念日の2月28日には大阪で、翌日は横浜のビルボードライブでの公演が控えています。
やなぎなぎ これまで何度か歌わせていただいたことがありますが、雰囲気も含めとても音楽に集中できる会場ですよね。
INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉
●リリース情報
『やなぎなぎ 10周年記念 セレクションアルバム – Roundabout-』
2022年2月23日発売
【あにばーさる完全限定盤 (本編CD+特典CD+特典Blu-ray)】
価格:¥9,900(税込)
品番:GNCT-0028
※各DISCに加えグッズ(オリジナルコインケース)を特注豪華BOXに収納
【初回限定盤 (本編CD+特典CD)】
価格:¥4,950(税込)
品番:GNCA-1608
※限定パッケージ仕様
【通常盤(本編CD)】
価格:¥3,300(税込)
品番:GNCA-1609
<収録曲>
1. Roundabout
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:北川勝利
2. メルト 10th ANNIVERSARY MIX
作詞・作曲・編曲:ryo(supercell)
3. 芽ぐみの雨
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:北川勝利
4. 宝石の生まれるとき
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:北川勝利
5. melee
作詞:やなぎなぎ 作曲:小野貴光 編曲:戸田章世
6. 飛べない魔法使い
作詞:藤倉絢一 作曲・編曲:ピクセルビー
7. 恋文
作詞:都乃河勇人 作曲:折戸伸治 編曲:MANYO
8. オールトの夢
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
9. 未明の君と薄明の魔法
作詞・作曲:やなぎなぎ 編曲:保刈久明
10. 三つ葉の結びめ
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:出羽良彰
11. 終わりの世界から
作詞・作曲:麻枝准 編曲:SHOGO
12. 君という神話
作詞・作曲:麻枝准 編曲:MANYO
13. Tachyon
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:MANYO
14. ビードロ模様
作詞:やなぎなぎ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
15. 深遠
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
16. CorLeonis
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
<特典CD> ※[ ]はオリジナルアーティスト
1. astro traveler [鈴木みのり]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
2. Tiered [逢田梨香子]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
3. PersonAll [この子]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
4. behind [夏目美緒(cv.礒部花凜)、森川葉月(cv.芳野由奈)、小宮恵那(cv.Lynn)]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
<特典Blu-ray>(やなぎなぎMV集*初Blu-ray化)
・ビードロ模様
・Ambivalentidea
・ラテラリティ
・Zoetrope
・ユキトキ
・アクアテラリウム
・三つ葉の結びめ
・トコハナ
・Sweet Track
・春擬き
・オラリオン
・カザキリ
・ターミナル
・瞑目の彼方
・時間は窓の向こう側
・over and over
・here and there
・夜明けの光をあつめながら
・間遠い未来
・無形のアウトライン
・未明の君と薄明の魔法
・芽ぐみの雨
・アウトサイダー
・エメラロタイプ
・標火
●ライブ情報
「やなぎなぎ 10th Anniversary Special Live」
会場:ビルボードライブ大阪(1日2回公演)
日程:2022年2月28日(月)
時間:
・1stステージ 開場15:30 開演16:30
・2ndステージ 開場18:30 開演19:30
料金
・サービスエリア¥8,000(税込)
・カジュアルエリア¥8,000(税込)(1ドリンク付き)
※ご飲食代は別途ご精算となります。
会場:ビルボードライブ横浜(1日2回公演)
日程:2022年3月1日(火)
時間:
・1stステージ 開場15:30 開演16:30
・2ndステージ 開場18:30 開演19:30
料金
・サービスエリア¥8,000(税込)
・カジュアルエリア¥8,000(税込)(1 ドリンク付き)
※ご飲食代は別途ご精算となります。
関連リンク
やなぎなぎ オフィシャルサイト
http://yanaginagi.net/
やなぎなぎ 10周年記念特設サイト
https://nbcuni-music.com/yanaginagi/10th/
やなぎなぎ 公式Twitter
https://twitter.com/yanaginagi
やなぎなぎ 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCgUepAaP4bK0c_GnGX8rAFg
このアルバムに書き下ろされた新曲とレアトラックの解説、そして彼女の音楽への向き合い方を根本の部分を伺った。
メジャーデビュー10周年、“アーティスト・やなぎなぎ”の歩みを辿る
――『Roundabout』はファンによる投票をもとにセレクションしたアルバムですが、この企画が実施されることについてどんな感想をお持ちになりましたか?
やなぎなぎ 昔の作品は自分でも拙い部分があるとわかっていたので、それを今のリスナーに聴いていただくことには正直、恥ずかしいなと思う部分もあって(笑)。でもデビューしてから10年という時間が経過し、そのなかでライブでもたくさん歌わせていただいていたので、その変化が「こういうこともやってきたんだよ」と今聴いてくださる方に改めて伝わればいいなと思いました。
――今回、メジャーデビュー10周年の企画でありながらも、選ばれた楽曲はそれよりさらに遡ったアマチュア時代の楽曲も数多く含まれています。
やなぎなぎ ソロデビューからは10年なんですけど、やなぎなぎとして活動してきたのは2005年からなので、その時代を含めてどういう活動をしてきたのかを知ってもらえたらいいなという気持ちもあって、せっかくだからメジャーデビュー以降をまとめた表以外にも自由に書いていただけるフォームを作っていただきました。そうしたところ、自分でも予想してなかった曲をたくさんの方に挙げていただきました。きっとそれほど広くは知られていないけれども、昔から好きで推してくださる方がいるんだと知ることができたのは嬉しかったです。少し前にベストアルバムをリリースさせていただいたのですが、それとほとんど曲が被っていないんです。なので、本当に色んなところから、やなぎなぎという存在を知って入ってきてくださったのだと改めてわかりました。それらの結果を参考に、今では聴く手段が難しい曲もできる限りピックアップして収録をさせていただきました。
――「飛べない魔法使い」なんてまさにそんな曲ですね。
やなぎなぎ そうですね。
この曲はコアなファンの方からの投票が多かったです。ゲームの主題歌だったので、メーカーさんの主題歌コレクションにしか入ってなくて、それも「入手が困難なので聴きたいです」と投票の際にコメントをいただいたので、プロデューサーがかけあって収録することができました。
――さらにそれ以前の同人活動で頒布していた時代の楽曲もいくつか収録されています。やなぎさんはプロとしての活動をする以前から、楽曲を音楽コミュニティサービスに投稿し、ネットを通じて離れたところにいる様々な方に音楽を聴いてもらっていました。そうした状態を経験してからのデビューでしたが、音楽を日々の糧とするプロとしての意識はどのように芽生えていったのでしょうか?
やなぎなぎ 音楽を始めた当初は本当に趣味だったので、同人でゲストボーカルとして入るときも、金銭のやり取りは一切しなかったんです。でも、あるとき知り合いに、「それはちゃんと対価をもらうべきだよ」と言われまして。それを聞いて最初は「自分が好きでやっていることでお金を取るのはいかがなものだろうか」と思ったのですが、「いつか音楽で食べていこうとしたときに、それは自分の価値を下げることに繋がるから」と。そう言われたことが今思えば意識の分かれ目だった気がします。逆に言えば、そのときまでは音楽で食べていこうとは考えていなかったんです。
――メジャーデビュー以降も、10年間絶え間なく活動を続けてこられています。安定して継続されていること自体も素晴らしいことだと思いますが、それができた理由をご自身ではどのように思いますか?
やなぎなぎ 音楽を作っていないと自分というものが保てないので、逆に作らないと不安というか(笑)。多分それをやめちゃったらもうほんと空っぽなんです。
今はお仕事になっていますが、自分の意識としてはこれまでやってきたことの延長線上にあって、生活の一部みたいな感じなので飽きることなく続けられているんだと思います。
――タイトルトラックの「Roundabout」について伺わせてください。直訳すると“遠回り”“回り道”という意味ですが、この言葉にはどんな想いを込めていますか?
やなぎなぎ 環状の道というものは、色んなところから入って、色んなところに抜けていける、とても自由度が高いものだと思います。自分の曲を聴いてくださる方たちが、今すごく良いなと思ってくれることも嬉しいですし、未来でそんな人に出会えるかもしれないし、過去にこの“Roundabout”にいた人もいるかもしれない。そんな自由度が高くて集まれる場所というイメージですね。
――10年を祝いつつ、その先を目指す前向きさが溢れる歌声が印象的でした。
やなぎなぎ やっぱりアルバムの出発の曲という意識があったのと、皆さんに明るい気持ちになってほしいし、自分自身も明るい気持ちでいることが伝わってほしいなという気持ちがありました。なので今までの10年がありつつも、ここで終わりではなくその先にも行けるような力のある曲にしたいなという思いで歌いましたね。作曲の北川勝利さんにも、色んな時代とジャンルの曲の出発点として、盛大で明るく走っていけるような曲にしたいとお話しして作っていただきました。自分としても10年間はあっという間で、それだけの月日が経っているという印象はあまりなかったのですが、振り返ってみると本当に多くの作品を作らせてもらっていて。最初は北川さんもテンポを上げたほうがいいのかなとおっしゃっていたのですが、それよりもストリングスの動きなどで気持ちの高まりみたいなものを出したいというお話をされて、心象風景の高まりを曲として表現していただきました。
やなぎなぎのルーツともいえる「深遠」に込めた想い
――今回収録された同人時代の楽曲についてもいくつか解説を伺わせてください。
「オールトの夢」は12年前の曲ですが、どんな思いで作られた楽曲でしょうか?
やなぎなぎ 「オールトの雲」という、彗星の家とされる場所が宇宙にはあって、それをテーマに表現してみたいと思って作った曲です。ディレイをかけるといった、当時覚えたての技術を使って空間を表現していきました。
――技術を覚えること自体も楽しんで作られていた頃だったんですね。
やなぎなぎ 思い返すと技術的にも機材的にも発展途上という感じでした。音楽を始めたのは中学生の頃だったのですが、当時はソフト音源も今よりもずっと少なくてお金もなかったので、色々検索してフリー素材を探したり、左右にパンすることを覚えただけで“大発明”って感じでした(笑)。
――15曲目の『深遠』は同人時代の1stアルバム『雨の海』収録曲。折に触れてライブでも歌われてますよね。
やなぎなぎ そうですね。自分のルーツのような曲として歌っています。これは10 代よりもっと幼い頃の心象風景で、公園で1人で遊んでいたらどこかから晩御飯の匂いが漂ってくるといったノスタルジックな気持ちをずっと覚えていて、それを音にしてみようと作った曲です。これも当時はまだ技術がなかったので、電子オルガンからライン出力させてモノラルに挿して、それを聴きながら歌ったものを録っています。音質が申し訳ない形なのですが、そういうことを描きたいなという気持ちだけはすごく詰まっている曲だと思います。
――ラストの「CorLeonis」は発表がさらに以前の曲ですが、これもライブで歌われています。やなぎさんにとってどんな位置づけでしょうか?
やなぎなぎ これは同人活動の1周年アニバーサリーとしてWebアルバムを作ったときの1曲で、無料公開していました。活動における自分のテーマソングとして作った曲で、ほかの曲ももちろん大事なんですけど、自分が音楽を作りたいと思ったルーツや感情を忘れたくないなという気持ちで歌っています。何の表現がしたいかや自分にとって興味のあるものを詰めた曲になっていて、作ろうと思ったときには言語化するより前にそのパッションの勢いで一気に作り上げました。
――特典CDにはやなぎさんがこれまで楽曲提供をされた曲のセルフカバーが収録されています。やなぎさんはセルフカバーを歌うときはどのような姿勢で臨まれましたか?
やなぎなぎ 自分の曲は勢い重視なところもあるのですが、人様に曲を提供するときは自分自身の曲を書くのとはまったく違って、どちらかというとゆっくり練って作る感じです。歌詞の選び方も、この方はこの言葉の発音が気持ちいいから使おうといった感じで、相手のパーソナリティを意識します。やっぱりボーカルの力がとても大きいと思うので、誰かの手に渡ったものはその人の曲という意識にスイッチします。自分で書いた曲であっても手触りがまったく異なるので、カバーするときも本当にその方の曲をカバーするという意識ですね。歌うときもその方が歌ってくださったものをどこまでリスペクトできるかが大事になってきますし、今回もその意識で歌いました。
――デビュー記念日の2月28日には大阪で、翌日は横浜のビルボードライブでの公演が控えています。
やなぎなぎ これまで何度か歌わせていただいたことがありますが、雰囲気も含めとても音楽に集中できる会場ですよね。
横浜は横にグッと広がっているので舞台の見え方がいつもとは違って空間的にも楽しめますし。大阪は“やなぎなぎ color palette ~2021 Purple -”がコロナ禍で中止になってしまったので、久々の公演で、地元のファンの方に会えることも楽しみにしています。アーティスト・やなぎなぎの10周年プロジェクトはこのあとも色々と予定されているので、ぜひ皆さん楽しみにお待ちいただければと思います!
INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉
●リリース情報
『やなぎなぎ 10周年記念 セレクションアルバム – Roundabout-』
2022年2月23日発売
【あにばーさる完全限定盤 (本編CD+特典CD+特典Blu-ray)】
価格:¥9,900(税込)
品番:GNCT-0028
※各DISCに加えグッズ(オリジナルコインケース)を特注豪華BOXに収納
【初回限定盤 (本編CD+特典CD)】
価格:¥4,950(税込)
品番:GNCA-1608
※限定パッケージ仕様
【通常盤(本編CD)】
価格:¥3,300(税込)
品番:GNCA-1609
<収録曲>
1. Roundabout
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:北川勝利
2. メルト 10th ANNIVERSARY MIX
作詞・作曲・編曲:ryo(supercell)
3. 芽ぐみの雨
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:北川勝利
4. 宝石の生まれるとき
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:北川勝利
5. melee
作詞:やなぎなぎ 作曲:小野貴光 編曲:戸田章世
6. 飛べない魔法使い
作詞:藤倉絢一 作曲・編曲:ピクセルビー
7. 恋文
作詞:都乃河勇人 作曲:折戸伸治 編曲:MANYO
8. オールトの夢
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
9. 未明の君と薄明の魔法
作詞・作曲:やなぎなぎ 編曲:保刈久明
10. 三つ葉の結びめ
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:出羽良彰
11. 終わりの世界から
作詞・作曲:麻枝准 編曲:SHOGO
12. 君という神話
作詞・作曲:麻枝准 編曲:MANYO
13. Tachyon
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:MANYO
14. ビードロ模様
作詞:やなぎなぎ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
15. 深遠
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
16. CorLeonis
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
<特典CD> ※[ ]はオリジナルアーティスト
1. astro traveler [鈴木みのり]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
2. Tiered [逢田梨香子]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
3. PersonAll [この子]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
4. behind [夏目美緒(cv.礒部花凜)、森川葉月(cv.芳野由奈)、小宮恵那(cv.Lynn)]
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
<特典Blu-ray>(やなぎなぎMV集*初Blu-ray化)
・ビードロ模様
・Ambivalentidea
・ラテラリティ
・Zoetrope
・ユキトキ
・アクアテラリウム
・三つ葉の結びめ
・トコハナ
・Sweet Track
・春擬き
・オラリオン
・カザキリ
・ターミナル
・瞑目の彼方
・時間は窓の向こう側
・over and over
・here and there
・夜明けの光をあつめながら
・間遠い未来
・無形のアウトライン
・未明の君と薄明の魔法
・芽ぐみの雨
・アウトサイダー
・エメラロタイプ
・標火
●ライブ情報
「やなぎなぎ 10th Anniversary Special Live」
会場:ビルボードライブ大阪(1日2回公演)
日程:2022年2月28日(月)
時間:
・1stステージ 開場15:30 開演16:30
・2ndステージ 開場18:30 開演19:30
料金
・サービスエリア¥8,000(税込)
・カジュアルエリア¥8,000(税込)(1ドリンク付き)
※ご飲食代は別途ご精算となります。
会場:ビルボードライブ横浜(1日2回公演)
日程:2022年3月1日(火)
時間:
・1stステージ 開場15:30 開演16:30
・2ndステージ 開場18:30 開演19:30
料金
・サービスエリア¥8,000(税込)
・カジュアルエリア¥8,000(税込)(1 ドリンク付き)
※ご飲食代は別途ご精算となります。
関連リンク
やなぎなぎ オフィシャルサイト
http://yanaginagi.net/
やなぎなぎ 10周年記念特設サイト
https://nbcuni-music.com/yanaginagi/10th/
やなぎなぎ 公式Twitter
https://twitter.com/yanaginagi
やなぎなぎ 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCgUepAaP4bK0c_GnGX8rAFg
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