TikToker・あかせあかり。彼女が、コスプレをテーマにしたTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』のEDテーマ「恋ノ行方」でメジャーデビューを果たす。


ここではコスプレの魅力から、コスプレにこだわりまくって撮影したというMV、さらには彼女のこだわりが詰まった楽曲についてたっぷりと語ってもらった。特にMVの完成度は秀逸なので、何度も繰り返し観てほしい。

MV撮影は、改めて推しキャラクターに近づける楽しさを実感した瞬間でした
――1stシングル「恋ノ行方」でメジャーデビューとなりますが、決まったときは驚いたのではないですか?

あかせあかり 歌自体は元々好きだったのですが、「好き」というところからメジャーデビューをすることになるとは思ってもいなかったです。好きなことをさせていただけることはもちろん嬉しいのですが、デビュー曲からアニメのEDテーマということで、今までに感じたことがない緊張がありました……。

――いきなりのタイアップで、しかも人気原作ですからね。ただ、あかせさんもコスプレイヤーですし、作品自体は知っていたんですよね?

あかせ はい。元々原作は読ませていただいていて好きな作品だったので、(タイアップの知らせを)聞いた瞬間は「え!」って。動揺がすごかったですし、心が追いついていなかったですね。

――あかせさんはコスプレイヤーで、女優業やTikTokでも活躍されています。また1つ項目が増えましたね。

あかせ 小さい頃の夢が女優さんで、中学生までに事務所に入れなかったら諦めてと母に言われていたんです。結構母が厳しくて、コスプレをしたいと相談したときも「ダメだよ、やめてね」と言われてしまいました。
でも、どうして夢を諦めて、コスプレもダメだと言われるんだろうって思っていたんですよね……。

――そうだったんですね。コスプレをやりたいと思ったきっかけはあったのですか?

あかせ 高校生のときにアニメ好きな人が教室内にもいて、そこで友達ができて。その友達とアニメを調べていたらコスプレイヤーさんが出てきて、それがきっかけでコスプレをやりたいと思ったんです。でも反対されたので最初は従順に我慢していたんですけど、やりたい思いが強かったので衣装を買ってしまい、着てみたらメイクもしたい、ウィッグを被ってみたい……という想いが強まってきて、始めました。

――それは時期的にいつ頃だったのですか?

あかせ コスプレは高校2年生の終わりくらいから始めました。今となっては母も理解してくれているんですけど、当時は全然でした(笑)。

――でも、それがきっかけになって夢であった女優業にも繋がったんですよね?

あかせ そうですね。コスプレイヤーの友達から勧められ、会話ツールレベルの感覚でTikTokを始めて、それがきっかけで事務所さんにも声を掛けていただいたので、TikTokをやっていなかったら女優にもなっていなかったと思います。

――夢を一度諦めても、巡り巡って叶うこともあるんですね。人生が変わったという意味では、コスプレをやって良かったですね。ちなみにどんなコスプレが好きなのでしょうか?

あかせ ゲーム作品やCDコンテンツのものが好きで、初めてやったコスプレも男装でした。
あとは少年マンガのキャラクターですね。ただ、なぜか少年誌のマンガだと、女の子のほうを好きになるんです。かっこいい女の子が好きなので、そういうコスプレをやりがちでした。

――『その着せ替え人形は恋をする』でも男装の話がありましたけど、原作マンガを読んで共感するところもあったのではないですか?

あかせ コスプレで共感することは多いのですが、アニメの1話でもあった自分で作ったボロボロの衣装なんかは、自分も通った道なんですよ(笑)。服を購入する前に一度自分で作ってみるのですが、初めは裏地とかわからないじゃないですか。それで検索もせずに自分の知恵だけでミシンを使ってみたのですが、キャラクターと見合わせると、なんでこの布はこんなにペラペラなんだろう?とか、形にはなっているけど形が良くないとか、かけ離れていたんですよね。だから五条(新菜)くんの言葉が痛かったというか(笑)。昔の自分に言われているみたいで、こんなこと言われたら泣いちゃうよって思いました。

――実際、主人公の(喜多川)海夢も涙目でしたけどね(笑)。

あかせ 「それは泣くよね!」っていう気持ちになりました(笑)。

――参考の本があるのに、なんでできなかったんですか?みたいなことも言われていましたよね。

あかせ さすがに私はそのあとに本を買って、衣装は少しずつ作れるようになりましたが、独学では限界もあるのでまだまだです。


――五条くんみたいな人がいると、コスプレもしやすいですよね。

あかせ そうですが、私は結局自分で作ったかもしれないです。今回の「恋ノ行方」のMVの衣装はお願いして作っていただいたものなのですが、ウィッグやカラコンは全部自分で選んでいるんです。選ぶところから自分でやりたくなってしまうんですよね……。好きなキャラクターに近づける、好きなキャラクターの衣装が手元にあることが嬉しくて。あと、ウィッグをセットしているときに一度洗ったりするのですが、それを乾かしているときに「今、好きなキャラクターの髪を乾かしてる!」って気持ちになるんです(笑)。自分で作る魅力を知ってしまったため、自分で作りたい!と思ってしまうんですよね。

――原作でも言っていましたが、コスプレってやはり究極の愛なんですね。

あかせ 愛ですね!愛がないとできないですし、そのキャラクターを何度も何度も追いかけて見ているからこそできる仕草や表情もあると思うので。

――MVの話をしてしまうと、(黒江)雫たんのコスをしているときの眉毛の角度が完璧で、最高でした。

あかせ 仕事上眉毛を全部剃ることができないので、最初は相談して眉潰しをしようということになったのですが、映像だと粗が目立ってしまうということでずっと困り眉をして撮っていたんです(笑)。自分でコスプレの撮影をするときは、眉を潰して角度を変えたりするのですが、映像は勝手が違うこともあり、雫たんの眉毛には苦労しました。


――あれは気合いの賜物だったんですね。そのほかにもかなりこだわりが感じられるコスプレMVでしたよね。

あかせ MVでは、ウィッグは色々なメーカーさんから取り寄せて、海夢ちゃんだけで6個以上のウィッグを取り寄せ、より地毛っぽいもの、人間らしいものを選びました。キャラクターというよりは3次元に寄せるためのカラーリングにして、生え際もちゃんと人工頭皮にしているので、かなり人間味がある感じに仕上げています。カラコンも発色が良すぎないもので、色が完全に付いているものとほんのり付いているものがあるんですけど、ほんのり付いているものを選びました。ほかの2人は完全にコスプレをするときと同じウィッグのメーカーさんから取り寄せて、カラコンも発色がよく、海夢のコスのときよりも目のミリ幅が大きめのものを使っているので、そういうところにもこだわっています。

――コスプレをするキャラをコスプレするって面白いと思いながら見ていましたが、そういうこだわりがあったのですね。

あかせ そうですね。海夢ちゃんは3次元寄りに、キャラクターのコスプレのときは2次元寄りにするという区別をしっかり付けたかったんです。

――ちなみに海夢ちゃんのコスプレよりマニアックなポイントはありますか?

あかせ 海夢ちゃんは、つけまつげを自分で付けられないというキャラクターなのですが、さすがに二次元のバサバサまつ毛はできないと思いましたし、まつエクをすると雫たんが下がりまつ毛になるのでほかのコスプレにも影響してしまうと思い、つけまつげを付けました。ただ、まつ毛バチバチのギャルメイクにはしたけれど、コスプレメイクにしすぎない仕上げにしているので、本当にこういうギャルがいるんじゃないかな?と思う仕上がりになっていると思います。

――本当にいそうだなと思いました。
MVは反応も良かったんじゃないですか?


あかせ 私の中で限りなく正解に近い出来であったとしても、様々な解釈があるので、少し心配な気持ちはありました。ほかの方のコスプレを見て、私大丈夫かな?と思ったりはしました。でもいざMVが公開され、コスプレを見ていただいたらとても良いという声をいただいたので安心しましたし、こだわって良かったなと思いました。色んなメーカーさんから取り寄せたり、カラコンを何度も付け直したり、メイクを直して肌が荒れたりしますが、やっぱりそれが楽しいんですよね。改めて好きなキャラクターに近づける楽しさも実感した瞬間でした(笑)。

“お願い♡”を表現するため、色々なアニメの告白シーンを見ました
――あかせさんが、原作で好きなシーンはどこですか?

あかせ コスプレのイベントに参加したあとに、電車で五条くんが「喜多川さん……とても綺麗でした……」と言って、その言葉にキュン!とするシーンがあるのですが(原作2巻、アニメ第5話)。あそこで海夢ちゃんが五条くんのことを意識し出すところがすごくかわいくて!何度観ても好きだなぁって思います。好きが“しゅき”になるのがポイントです!

――わかります。EDテーマの「恋ノ行方」も、そんな海夢の「しゅきしゅき」な気持ちが弾けている曲でしたよね。

あかせ 最初に歌詞を見たときに、原作を片手に何度も見比べて、ここは海夢のここの気持ちじゃないかなってピックアップしていったんです。それこそ歌詞が読めなくなるくらいの勢いでメモをしました。海夢ちゃんってどこからこういう気持ちになったんだろうって、漫画を読み返すのが楽しくなっちゃって(笑)。
レコーディングまであまり時間がないのに何度も見返してしまいました。海夢ちゃんの魅力が伝えられる曲だし、かわいいところが詰まった曲だなと思います。

――海夢に寄った歌詞ではあるけれど、あかせさん名義でのリリースなので、ボーカルのアプローチの仕方もバランスが難しかったのではないですか?

あかせ かっこいい曲を聴くことが多かったので、元々は低い声で歌いがちでした。でもレコーディングでは、アニメを感じる、アイドルのような声を出して歌うということをしています。海夢とも離れすぎず、自分からかけ離れすぎないようにしようと、声の出し方も色々試して、現場で少しずつ調整しながら決めていきました。

――「恋ノ行方」を歌ってみていかがでしたか?

あかせ この曲って“きゅんきゅんきゅん”とか、“ズキュンときたの”の「きた~の」のところとか、音符が下がっているところがあるんですけど、そこがアクセントになっていて、頭に残りやすいんじゃないかなと思いました。

――そこはかわいいポイントですよね。あと“だから ねぇ お願い♡”のハートマークの表現はいかがでした?

あかせ ここは語尾が上がるとハートではなくハテナになってしまうというか、その違いが家で練習していてもずっとわからなくて、何度も色々な表現を試してみたんです。でもだんだんわからなくなってしまったので、色々なアニメのヒロインの告白シーンを見ました(笑)。それで、これだ!みたいな。

――あったんですね(笑)。

あかせ はい。色々なアニメを観てきたからこそできた表現かもしれないです。

――例えば作家さんがディレクションしてくれたなど、レコーディングでのエピソードはありますか?

あかせ レコーディングが初めてだったのですが、ブースの窓越しに大人の方がたくさんいる光景が、とても緊張する感じで……。窓が見えない方向を向いて歌っていたらそれが定着し、今でも窓は見ずに歌っています。

――ブースの外って声が聞こえないから、何を話されているかわからないし、見えると気になりますよね。今回3曲歌ってみて、レコーディング必須アイテムは決まりましたか?

あかせ 前日に歌詞を自分で書いたものを作っていて、そこにアクセントをここに付けるとか、表現をこうするというのを書いているんです。それは絶対に持っていくようにしています。それとペンとお水は持っていこうと。「恋ノ行方」は、原作のここのシーンだろうと抜き出した紙も持っていきました。

――エンディングのアニメーションを見た感想を教えてください。

あかせ あの映像は曲調に合わせて作っていただいたもので、かわいらしいタッチというか。あのキャラクターって手の上に乗せたくなるようなかわいさじゃないですか!実はMVの撮影中に見させていただいたのですが、言葉が出なかったですね(笑)。自分の名前がクレジットに入っているのもまだ慣れない感じですが、言葉にならないくらい嬉しかったです。

――カップリングの「輝きフォトグラフ」は好きな子がいる女の子の気持ちを歌ったような曲ですね。

あかせ リアルが充実していそうな曲です(笑)。この曲は「恋ノ行方」と同じ日に録ったのですが、曲調がだいぶ違って明るい曲なので、テンション感が追いつかなかったりして、ちょっとだけ苦戦しました。

――スケジュールが合わなくて寂しいと歌っているところは、本当に寂しそうに歌っていて、表現が良いなと思いました。

あかせ 歌の表現の仕方って人それぞれで、色々あると思うんです。ボイトレにも行かせていただいているのですが、その先生に「表現をしようというより、セリフを言うような気持ちで歌ったほうがあかせさんの場合は良いと思う」と言っていただいたので、歌をセリフっぽく歌っているところはあるのかなと思います。歌うというより演じているという感じですかね。

――苦戦したというのは、テンションだけでした?

あかせ “ちょっぴり緊張気味”とかはキーが高いんですよ。急に高くなると音って外れやすいし、高くてセリフっぽく歌うのが無理だ!って思ってしまうと集中が切れちゃったりするので、そこは難しいなと思いました。

――ただ、この曲もギャルっぽいというか、海夢っぽさもあるんですよね……。

あかせ 実はこの曲、「恋ノ行方」と同じタイミングでデモを聴いているんです。そのときはまだEDテーマをどちらにするかという感じだったので、この「輝きフォトグラフ」はリアルが充実している状態の海夢を想定して歌の感じも考えていたんです。でも最終的にこちらがカップリング曲になることになり、どうやって私に近づけようかと考えましたね。私、高校1年生のときは結構テンションが高かったこともあるので、その頃を思い出しながら歌いました(笑)。このテンションに持っていくことで、色んなことを思い出しましたね。

――そして3曲目の「ダイスキ」も、好きが溢れている曲ですね。聴きどころを教えてください。

あかせ 歌の最中に英語を発音するのが苦手なので、受け取ったときはドキッとしました。この曲は最近っぽいというか、K-POP感もある曲で掛け声があるんです。“Let’s go!”と言っているところは、カラオケで一緒に歌いたくなっちゃうような元気をもらえる部分だと思うので、ぜひ覚えて口ずさんでほしいなって思います!

――この曲はもちろん、3曲ともカラオケで歌ってほしい曲ですよね。TikTokを見ている女の子もこの歌は合うのではないかなと思いました。

あかせ TikTokを見ている世代の子って、中高生や若い子が多いので、それこそ恋愛とかが楽しい時期だと思うんです。なので共感できるところはあると思うので、気持ちに寄り添えるんじゃないかなと思っています。

――そして、リリースまでカバー動画を毎週YouTubeにアップしていますが、それもクオリティが高いですよね。選曲は自身でされているそうですが、ルーツなども意識しているのですか?

あかせ ルーツもありますが、自分の声で歌って違和感がなさそうな曲という部分でも選んでいます。色々な曲をピックアップし提案しましたが、一番自分の声が魅力的に聴こえる曲、気持ちが込めやすい曲を歌っています。あとは私だけではなく、みんなが知っている曲というところも考えていますね。現在12週間連続で毎週水曜日に投稿していますが、12曲の中に、絶対に1曲は聴いたことがある曲があると思います。また、初めて聴いた曲でも好きになってくれたら嬉しいです。

――HoneyWorksの曲も多いですよね。好きなのですか?

あかせ 早坂あかりさん(HoneyWorksのプロジェクト「告白実行委員会」に登場するキャラクター)が昔から好きで、小説も買っていました。なのでカバーできて嬉しかったです。

――ほかに薦めの曲はありますか?

あかせ 「プロセカ」(「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」)というゲームの曲で、「アイディスマイル」という曲のカバーですね。この曲は、もどかしい女の子の気持ちや絶対に誰もが持っている気持ちが入っている歌詞で、私は昔の自分を思い出しちゃう歌詞だったので、共感してほしいし、もっとみんなに知ってほしいなと思います。

――「アイディスマイル」はかなりの名曲ですから、ぜひ何度も聴いてもらいたいですね。ちなみによく聴くアーティストは誰ですか?

あかせ 『ソードアート・オンライン』が好きで、LiSAさんはよく聴きますし、『PSYCHO-PASS』の主題歌を歌っていたEGOISTさんとか、ロック調の曲をよく聴いているかもしれません。

――ロックなあかせさんの曲も聴きたくなりました。今後どういうアーティストになっていきたいですか?

あかせ まだまだ歌も始めたばかりなので、引き出しがこれからもっと増やせると思います。表現の仕方をもっと上げ、様々な曲調に触れて色んな曲を出せたら良いなと思います。そして、今は色々な活動をさせていただいていますが、それと並行して歌手も続けられたらな、と。女優、コスプレ、TiKTok、グラビアでは伝えられない新しい一面を歌で見せられたらなぁと思います。

INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一

●リリース情報
TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』EDテーマ
あかせあかり 1stシングル
「恋ノ行方」
2月23日(水)発売

【初回仕様限定盤(CD+DVD)】
品番:VVCL-2007~2008
価格:¥1,650 (税込)

【通常盤(CD)】
品番:VVCL-2009
価格:¥1,100 (税込)

【アニメ絵柄盤(CD+DVD)】
品番:VVCL-2010~2011
価格:¥1,650 (税込)

関連リンク
公式HP
https://www.sp-1.tokyo/pages/4787640/biography

TikTok
https://www.tiktok.com/@ao_akase?

Twiiter
https://twitter.com/akase_official

YouTubeチャンネル あかせあかり【Akase Akari】
https://www.youtube.com/channel/UC_7hhYHUWNcabctizf9zn8w

Instagram
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