女子高生が日常の中で面白おかしく魅せていく会話劇……の皮を被ったエキセントリックなコント劇が繰り広げられるピクチャーボイスドラマ「VOISCAPE」。3人の女子による終始ぶっ飛んだ会話の応酬は、現在YouTube上で6話まで公開されている。
その作品をストーリーから音楽までプロデュースするのが、アニメ監督・水島精二だ。あまりに新感覚な音声コントはどのようにして生まれたのか?そしてその先で我々を待っているものとは――?

水島監督が各話のストーリーや楽曲の解説を行う短期インタビュー連載、第1回は「VOISCAPE」誕生秘話を監督にじっくり聞いてみた。

水島精二が提唱するボイスドラマは――声優によるコント!?
――現在YouTube上で展開されすでに多くの人が聴かれているピクチャーボイスドラマ「VOISCAPE」。非常にキュートでゆるく……というか、かなりぶっ飛んだお話が展開されていますが……。

水島精二 「なにやってんだ」っていう(笑)。ぶっちゃけみんなそう思ってるよね。

――そのぶっ飛び具合についてもお話をお伺いしたいのですが、まずは監督が本作に関わられることになった経緯を教えてください。

水島 これ、面白いから経緯からぶっちゃけて話しますね。元々弊社(株式会社一二三)とNBCユニバーサル(・エンターテイメントジャパン)さんで、小さい実験的なコンテンツをやろう、と言う話があったんです。で、ちょうど僕は一二三に入ってそんなに間もない頃で、特別顧問って称号を与えられていて、これって「すべての企画のクリエイティブな部分は水島さんに相談していい」っていうルールになっていて(笑)。

――なるほど(笑)。

水島 それで一二三のスタッフがNBCさんと新しい企画を考えていて、その方向性で悩んでいるって言うから、じゃあ手伝ってあげるよって。
そのときは、女の子の日常ものだけど最後にグッとドラマチックな展開が……という話をしていたので「こういう感じの構成だったらできるんじゃない?」ってひな型を作ったんです。その後「アリスインデッドリースクール」を書いてる麻草 郁という劇作家の先生と仲が良かったので、彼を入れてやろうっていう流れになってシナリオに入ったときに、コロナ禍になってしまい企画が1回ストップしちゃったんです。こんな時期に実験的なことやってる場合じゃねぇだろうと(笑)。

――となると、コロナ以前から企画自体は動いていたんですね。

水島 そう。それでコロナ禍でどこも厳しくなり、NBCさんからも少し見直したい」っていう話になったんですけど、結果昨年それが復活して「ちゃんとした企画にしたい」と言われて。そのなかで「ほかの作品とどこで差別化してビックリさせるか」ということになり――要は、最近声優さんがコントめいたことをやることが多かったりするから、徹底的に音響ドラマとしてそれをやるのはどうかっていう。

――コロナ禍を経て、現在のコント的な構成になっていったと。

水島 で、元々音響演出は自分でやりたかったから、そういう小さい作品とかであれば全部やるよって。そしてどういう話にしようかってなったときに、キャラクターの名前やキャスティングもそのままだけれど、最初の構想とまったく違う話を急に収録することにしたの(笑)。なので、鈴代紗弓さん(中沢 栞役)と大野柚布子さん(太田 希役)は、当初予定していた構想が書かれた資料を見ているんですよ。



――今回の方向性になる前のVOISCAPEを知っている鈴代さんと大野さんとしては驚かれたのでは?

水島 台本を見たときに「すごく困惑した」って言ってました(笑)。


――中島由貴さん(飯森みちる役)がキャスティングされたのはそのあとからだったんですか?

水島 中島さんは今の方向に舵を切ってからの参加で、「こういうのやるんだ」っていうノリできていたので、戸惑っている2人を見て「えっ、何?どうしたの?」っていうやり取りが最初の収録のときはありましたね(笑)。それで、「きっと2人は戸惑っていると思うので説明します。オーディションをしてからずいぶん経ったと思いますが……」みたいな説明をして。

――そこで改めて仕切り直しという。

水島 以前お伝えしたあの企画が色々あって、こねこねこねされてこうなりましたと。で、脚本もコントを書けるライター、神谷(浩史)くんと小野(大輔)くんの「Dear Girl ~Stories~」のサブ作家でもある高垣雄海くんという、高垣彩陽の弟ですね。彼もなにか一緒にやりたいと言ってくれていたので、「あ、こりゃいいや!」と思い、彼にコントを書いてもらうことにしたんです。

――高垣さんの台本によって、コントに振り切った方向性になったわけですね。

水島 制限をかけず、とにかく振り切ったものがいいやと思って。お題としては、後半のほうに「これから先にやるかもしれない方向性の設定や、匂いだけ入れてほしい」って話しています。なので、5話が「よくわからない笑い寝の世界」になったのはそれが理由なんですよ。その後の6話では多元宇宙に飛んでいく話になる。
そこで「水島はこれをやろうと思ったのかな?」ってなるのかなと。

――5話あたりから、本来想定していた方向性を見せ始めていくと。

水島 でもね、いつかそこに行き着きたいって思っているけど、行き着くかどうかはわからない。本はもうあるんですよ。13話分くらいのうちの10話くらいまではとっくの昔にあがってる。ただ、今の方向性からその本に直接繋げるにはちょっと無理がある(笑)。だから、今回CDに入っている新作ドラマは麻草さんに書いてもらって、そこにも本来のものに繋がるヒントを散りばめてもらって。でも、それを録る頃にNBCさんから、「今やってる方向でめちゃめちゃウケがいいんで、この方向で作ってください」って言われて。嬉しいけど……遠のいた(笑)。

――本来想定していたものからまた遠のいたと(笑)。

水島 だから、最後そこに行き着かずに、途中でバツンと切られる可能性がまだある企画ということで、超スリリングという。今までやったことがないタイプのお仕事です(笑)。


――まだパッケージ版も発売前ですが、ここから先どうなるのかもわからないと。

水島 でもとにかく面白くて、ファンが「なんだこりゃ」と思ってくれることをやっていかないと。元々僕が一二三に入ったときに、自社コンテンツを作りたいというのは社長からも言われていて、そのなかでこれは割と続けられそうな匂いがしてるから、とりあえずアクセル踏んで、バットをブンブンぶん回してみっか!みたいな感じになっていたの。

――「バットはこうやって振るんだ!」ってぶん回していたら、あらゆる方向から球が飛んでくるように(笑)。

水島 そう!本当にそうなのよ(笑)。「あれ?なんか全部僕のところにきてない?」みたいな。

ボケてツッコんで、爆走していくキャスト陣の演技
――そんな「VOISCAPE」ですが、改めて女子3人による真正面からのコント作という驚きの第1話となりましたね。

水島 よもや水島精二がこんなことを始めるとは思ってなかったでしょ?っていう部分もあるじゃん。「あの人、真面目に作品を作ってたよね?」って言われてるほうだと思うんで。でも別にこういうの、嫌いじゃないんでね。ナンセンスな感じとか。

――導入は驚きがありますが、会話劇としても実に興味深い作りですよね。


水島 意外と丁寧に作ってありますからね。“ヘッドホン推奨”って言ってるんですけど、話が進むにつれてどんどん音の演出が細かくなっていく。実はこれって、単純に僕が成長しているだけでもあるんですよ。やっぱりSE必要だよなとか、ここの音の出方をこういうふうにしたいな、とかやっていって、どんどんエンジニアを困らせてます。最初はざっくりしていたんだけど、だんだん細くなって。大量のやり取りをして「ここは違います」「そこの編集はこうです」みたいなね。最終的に「僕がちゃんとPro Toolsを使えるようになれば、みんなも幸せになるのでは?」と思ったので、最近はPro Toolsも覚えようって思っています。

――Pro Toolsを使うアニメ監督!(笑)。それも長いキャリアの中でも新鮮なお仕事ですね。

水島 新鮮ですね。アニメだとずっとコンビの音響監督がいて、そういう人に音を見てもらっているから。そこで学んできたことを、限られた予算内で自分でやるという。
しかもそれで1話は結局10分を超えてるんだけど、最初は1話5分くらいの想定で始めていたんですよ。だからそういう意味では大変なことになってるんだけど、周りが止めないんですね。止めないうえに、僕も止まらなくなっちゃってるから、これはもう……頑張ってNBCさんに売っていただいて(笑)。

――そのなかで中島さん、鈴代さん、大野さんといったキャスト陣の演技もまた型破りなものになっていますね。

水島 3人の役者さんにはお芝居のうえで色々なチャレンジをしてもらうという意味で、そこのハードルも高めに設けてやっていきたいね、みたいな話を最初にしました。ちなみにキャスティング、僕の意見は反映されていないです。

――そうなんですか?

水島 オーディションでディレクションはしたんだけどね。そこは「D4DJ」と同じで、まったくノータッチ、きたものを受ける(笑)。

――でも作品の方向性が変わったというのもあって、鈴代さんと大野さんのオーディション時とはまた狙いが変わってきているわけですよね。

水島 はい。そもそもが大野さんがやってくれている希という子はもっとかわいらしい、大野さんが演じそうな役だったんですよ。でもそれがちょっと不思議な子になっていき。逆に鈴代さんが演じる栞はすごく大人しい子。逆に今の栞のほうがが鈴代さんっぽくありますよね。ただ、ご本人たち的には自分のイメージとちょっと違った役がオーディションで決まって喜んでいたみたいで、いざ収録用の台本もらったら「なんだこりゃ?」ってビックリしたみたい。その気持ちはよくわかります。

――そのギャップを埋めてからの収録となったと。

水島 中島さんは途中から入ったから「こんな感じなんだ」っていう感じでしたけどね。3人とも最初にやったときにはオーディオドラマを録っているような感じだったんだけど、“コントをやる”ことになるから、とにかく「テンポ感」が大事だとリハのときから言っていたんですよ。でも今の声優さんは、前の人のセリフを潰してまで食って入ってくる人ってなかなかいないんですよ。それでいて間を作るから、非常にちゃんとしてる。その分、コントの間になかなかならない。

――そこがまず普段の演技との違いですよね。

水島 なのでこちらも、とりあえずメリハリ考えて、良いところに引っ張り上げて、あとはこっちで編集しようと思って。コントの間はある程度こっちで作るから、被らないように、でも勢いのあるセリフとかハイテンションなお芝居をとにかく引っ張り出して。だから本人たちは収録が終わって「OKです」ってなったとき、「すごく体力消耗したけど、どうなるんだろう」と、手応えがつかめないまま帰ったって言ってました(笑)。

――水島さんの中にあるコント的な間というものに、演技から寄せていくのではなく、録り終わったものをコントにしていくというか。

水島 そうですね。演劇みたいに稽古を重ねて、って時間は無いので。だからそのときに面白いお芝居とかを使えるように、素材として間のこととかもこっちで調整できるようにはしてありますね。

――そうして仕上がったものは実にコント的ですよね。いわゆる大ボケ小ボケ、ツッコミというトリオのコント師的な構成というか。

水島 うん、そうなんですね。そういう意味では声優さんのお芝居の良いところを引っ張り出してテンポさえ作ればこんなに面白くなるぞ、こんな変なことをできるぞ、っていうのを、1つのパターンとして提示できたら面白いんじゃないかなと思った(笑)。なにより自分でキャスティングしたわけではないから、どういうお芝居を持ってくるかもわからないんですよ。だから鈴代さんなんて、こっちが面白がって持ち上げたらどんどんアクセルを踏んでいってくれて、「どこから音出した!?」みたいな「ゲコッ」って音とかも出してて。本人がNGだと思っているやつはだいたい使われているっていうね(笑)。

――栞のエキセントリックさは回を重ねるごとに破壊力を増していきますよね。同様に希のシュールなボケもそうで。

水島 希はね、大野さんには「なるべくこの2人に着いていかないでください」っていうのをずっと言っていて。だから大野さんもそこをキープしながら、クールだけどでも心の中では楽しんでいるよって話をしているんで。その微妙なラインとかを頑張ってすごく出してくれてるっていう感じですね。

――たしかに、ボケとツッコミの応酬のなかで、全然違うボケを入れてくるタイプといいますか。

水島 結局あれは、己を保ってないとできないんで。やっぱり面白くなって乗っかっていっちゃうと変わってしまうんですよ。役者さんって、基本的には乗っかっていく芝居のほうが要求されがちなんですよ。コントだとそれが、自分が保ったり役割を持つなかで面白いミスマッチ感になるかだから。それでいうと面白かったのが、みちるってすごくツッコむんだけど、必ず引きずり回される役なんですよ。それが中島さんのボーイッシュな感じとめちゃめちゃ合っていて、かつその言い回しがなんか変なんですよ。それが逆にすごいハマってて、強く否定してもらうとそういうニュアンスが出たりする。しかもそのあとそのまままた引きずられていくっていうお芝居が非常にマッチしている。この3人になって良かった、結果オーライじゃんって。

――みちるのツッコミはお話の支柱でありつつも、そこからズルズル引っ張られている感じがして、そこがまた良いですよね。

水島 大ボケが強すぎるので。ツッコまれても止まらないで、どんどんボケていくっていう。しかもボケてるつもりあるのかなみたいなキャラじゃないですか。

――あのマジの“嘆きツッコミ”的なボヤキは魅力的ですよね。

水島 “嘆きツッコミ”ってジャンルがあるんだ(笑)。

――「そんなあ~!」っていうあの嘆き感というか(笑)。

水島 否定しているんだけど、嘆きながらそのまま流されていく(笑)。

――そうした3人の演技がつくづくハマっているお話だなと思います。

水島 キャスティングの妙って誰も計算してなかったと思うんだけどね。僕も高垣くんからもらったシナリオを読んでから、実際に本人たちの声とお芝居を聞いて、「ああ、こうやれば成立するのか」みたいなのを作っていたから。だからやっぱり受け身の仕事なんですよ。使命としては面白くするということだから、この本に対して3人を素材としてどれだけ持ち上げるかというところを念頭にディレクションして、かつ上がった素材をさらに面白くするために音をつけていく。そこは、自分の理想がここにあって……っていう作り方よりは、現状を常に確認、更新しながら詰めていくみたいなやり方になっていて。この3人で良かったなとは思いますね。面白くなったから。

――そこはやはりアニメのアフレコとは違いますよね。

水島 ああ、違いますよ。だってアニメは最初に絵というわかりやすい基準がある。音声は誰か1人が突拍子もない芝居をしたら、それを受けてシナリオを成立させなきゃいけない。それが役者だけじゃできないのをこっちで手助けするわけじゃないですか。これ面白いからこれ基準でやっていこうとなるとどんどんエスカレートしていくし、落としどころも大きいオチにならなきゃいけないから、めちゃめちゃ派手にしなきゃっていうのもやりながら逆算して。音だけの楽しみはすごくある。絵があるよりは音だけのほうが色々なことができるし。

――それが台本の面白さと相まってとんでもない方向にいくという。

水島 実際に出来たものは本よりエキセントリックになっています。高垣くんにも麻草さんと僕が作っていた本も読んでもらって、「これとまったく違う感じにしてくれ」ってオーダーして。だから全然違うキャラクターにしちゃっていいし、最初に6話分発注したんだけど、この6話でそれぞれのキャラの性格が入れ替わったりとかしていても構わない。とりあえず女の子3人の突拍子もないコントを書いて、残り2本くらいにはちょっと先へ繋げられるような設定を盛り込んでほしいって言ったのが、5話の“笑い寝の世界”なんです。で、6話では色んな世界に飛んじゃう、その先は本来のストーリーに繋がっていくぞって思っていたら、「この方向でまだ続けてください」って言われるっていうね。

――そうした外部からのリアクションもあって、本来想定していなかったコントというものがどんどん高度化していっていますよね。

水島 最終的にはお客さんに楽しんでもらうということは軸としてまったくブレないんだよね。でも今まではこの作品はこういうテーマがあって、着地点がこうで、全体を通してこういうことを訴えかけたい……みたいなことを考える仕事が多かったわけですよ。でもこれは行きがかり上一緒に乗っちゃった船でいつの間にか僕が前へ出なきゃいけなくなっている空気だから、後ろを見て「僕のせいじゃないからな!」って言いながら進められる(笑)。それをずっと面白がってやってる感じはありますね。

ぶっ飛んだドラマとリンクする、バラエティ豊かな音楽たち
――そして本作で水島さんは、ストーリーのほかにも音楽のプロデュースを手がけていますね。

水島 音楽プロデューサーとして取材されるのって、リスアニ!では初めてだと思うんだよね(笑)。

――そうでしたか?本誌で連載を持っているのに(笑)。

水島 最初は一二三のスタッフがプロデュースする予定だったんだけど、気がついたら「水島さんやってよ」って言われて、「えっ、僕が?」って(笑)。でもやっていることっていつもと一緒で、ドラマのほうが先行して作られているから、そのエピソードにどこか共有している楽曲を作ろうという。2話だったらファミレスでの話だから「ファミレスの中でかかってるような、ちょっとチルっぽい音楽とかあるよね」って話になって、ファミレスの中でかかってる曲っていう設定で作ってみたりとか。

――そこは「D4DJ」やかつて『アイカツ!』でやられたような流れがありますよね。

水島 あとはちょっと飛び道具的な企画でもあるので、各エピソードについている曲はジャンルも全部別になったほうがいい、っていうのは最初に話していて。アニメとかこういうコンテンツを好きな子って実はすごく雑食で、その曲が良かったりするとジャンル関係なく喜んでくれるじゃないですか。だから1話は、たまたまああいうバンドを始めますみたいな話だったから、「本当に高校生がバンド始めて、実際にライブでできるくらいの技量の曲」っていう発注をエンドウ.さんにお願いしたんです。やっていくうちに歌詞が思いついたから自分で歌詞書きますって感じで。

――たしかに最初はバンドものかと思いきや、以降は音楽的なジャンルもどんどん変化していくという雑食感があって。

水島 でもそのジャンルになるべくきちっと則る、というのも1つ大事なものだなと思っていて。

――そうしたバリエーションの面白さに対して、この3人のフレッシュな歌唱がまたいいですよね。

水島 中島さんは歌もお上手なので、そういう柱がそこにあるだけでやっぱり全然違うんですよね。その部分とみちるというキャラとが非常にマッチしていて。だからこそ栞と希がものすごいハマるようにできるんです。1曲目の「GO GO WEST」も一番最初に中島さんがボーカルを録って、最初の、がなっている歌い声を彼女がやってくれたからほかの2人にも説明しやすかったっていう部分もあるし。

――そういう点でも、やはり音楽というものは「VOISCAPE」の大きな武器ですよね。ドラマ、音楽両面で攻めて、それぞれの魅力を見出す面白さがあるという。

水島 そこがあまりにもマッチしすぎると、毎回ドラマの雰囲気の曲ばかりだな、みたいになっちゃうのも嫌なんですよ。だから5話でそこを裏切ろうみたいな感じがあったんです。で、6話はまた懲りずにプログレをやって、1話のフリを回収してみたりとか(笑)。

――「キグルミ惑星」(TVアニメ『はなまる幼稚園』第2話EDテーマ曲)の衝撃再びですね(笑)。そうしたなかで、現状配信されている6話と6曲があるわけですが……。

水島 あとはパッケージ版でさらに2本分の新作ドラマが入ります。それはもう少し日常に寄せたものです。

――それもまた含めて、今後の展開も楽しみですね。

水島 本当にどうなるかわからないので、飛んできた球を全力で打ち返す(笑)。そういう意味では、アニメーション監督としては今まで通り色んな仕事を手がけていますけど、その自分のポジションだと、ちゃんと計算して、元々決まっている尺とかフォーマットの中に落とし込む仕事なわけですよ。例えば1クールのTVアニメなら時間も最初に決まっていて、その1クールの中でどういうテーマのものをどういうふうに最終的に結論付ける。中身はどんなにフワフワしていてもちゃんと一本筋通す作り方をするんですけど、これに関してはやっても無駄なんですよ。

――わははは、読めない(笑)。

水島 そう。最初からものすごい大振りし始めちゃったから。「水島さん、あと3本ぐらいでやめなさい」って言われるまで、とにかく全振りしないと多分パワー落ちていっちゃうから。そうならないように、逆にプラスにする要素を限られた予算の中でどうやって足していくかというのを、みんなで知恵を絞るコンテンツになったんじゃないですかね。とにかく早く色んな人に見つけてほしいな、という気もします。初めて聴いてみて、気になって遡って聴いてみたらずーっとおかしいことやってんじゃん!って思われなきゃいけないんで(笑)。

――自分が聴いたのがたまたまぶっ飛んでいる回だと思ったら全部そうだったみたいな(笑)。

水島 「毎回こんなことやってんの?こいつら何やってんだ?」っていうのが狙いなので(笑)。

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一

●リリース情報
VOISCAPE アルバム
『まだ、世界の果てじゃない』
出演:VOISCAPE<飯森みちる(CV:中島由貴)、中沢 栞(CV:鈴代紗弓)、太田 希(CV:
大野柚布子)>
3月30日(水)発売

【通常盤】

品番:GNCA-1613
価格:¥3,850(税込)

【あにばーさる限定盤(飯森みちる盤)】

品番:GNCT-0033
価格:¥7,700(税込)

【あにばーさる限定盤(中沢栞盤)】

品番:GNCT-0034
価格:¥7,700(税込)

【あにばーさる限定盤(太田希盤)】

品番:GNCT-0035
価格:¥7,700(税込)

発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

<CD>
・CD1
*ピクチャーボイスドラマ「まだ、世界の果てじゃない」各話主題歌
*本商品のみ収録のオリジナル楽曲
(合計8曲)

・CD2
*本商品のみ収録のオリジナルボイスドラマ(2本)

<あにばーさる限定盤特典>
・特典CD収録
*CD1収録曲の各キャラクターによるソロバージョン(合計8曲)
・特典DVD-ROM収録内容
*ピクチャーボイスドラマ「まだ、世界の果てじゃない」映像データ 他
・特製スリーブケース仕様

●作品情報
ピクチャードラマプロジェクト「VOISCAPE」
まだ、世界の果てじゃない

<作品概要>
どこの「世界」にでもいる3人の女子高校生。
この3人でしか作れない「世界」の中で、刹那のキラメキを
どこまで笑い飛ばしながら生きていく日常系コメディ

<キャラクター>
飯森みちる(CV:中島由貴)
まっすぐで真面目。面倒見が良く、仲間思いの元気ムスメ。
頑固だけど理屈に弱く、長い時間かけて説得されると納得してしまうことがある。
学級委員長などを任されるタイプだが、本人は地位や権限にさほど興味はない。
運動能力が高い。

苦手なものは「特にない」
好きな食べ物は「ごはん」

中沢 栞(CV:鈴代紗弓)
考える前に動くポジティブガール。
行動力が高いが、衝動的でツメが甘い部分もある。
その行動から周囲を混乱させるところがあるが、純粋さと優しさで不思議と人が集まってくる。
「お笑い」や「占い」などのカルチャーを人一倍リスペクトしている。

苦手なものは「おばけ」
好きな食べ物は「何かに入っているイチゴ」

太田 希(CV:大野柚布子)
直感が鋭く、常識に囚われない不思議な優等生。
物怖じせず、周囲を冷静に見渡すことができる。
成績優秀で運動神経も高く、どんなことでも少し練習すればできてしまう。
占いが得意。

苦手なものは「大勢の子供が同じ歌を歌っている景色を見ること」
好きな動物は「悪夢を食べるバク」

【スタッフ】
エグゼクティブプロデューサー:水島精二
クリエイティブプロデューサー:荒木 悟

シナリオ:麻草 郁・高垣雄海
キャラクター原案/キャラクターデザイン:いぬもと
背景・彩色:鴨鳴アヒル
動画:おれお
音響ディレクター:水島精二
音楽:グシミヤギ ヒデユキ
音楽プロデュース:水島精二・Hifumi,inc.
映像制作/音楽制作:Hifumi,inc.
総合プロデュース:Hifumi,inc./NBCユニバーサル

●ラジオ番組情報
文化放送・超!A&G+「RADIO VOISCAPE」
放送局/放送日時:文化放送・超!A&G+にて毎週月曜日23:30-24:00
(リピート放送:毎週火曜日11:30-12:00)
出演:VOISCAPE
<中島由貴(飯森みちる 役)、鈴代紗弓(中沢栞 役)、大野柚布子(太田希 役)

©VOISCAPE

関連リンク
「VOISCAPE」オフィシャルTwitter
https://twitter.com/voiscape_PR

水島精二 公式Twitter
https://twitter.com/oichanmusi
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