2007年にhukeのイラストが発表されて以来、フィギュアやアニメ、ゲームなど様々な展開が行われてきた「ブラック★ロックシューター」。そんな人気コンテンツの、すべてを一新した新アニメプロジェクト『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』が始動!そのエンディングテーマ「Before the Nightmare」を高槻かなこが担当、さらにカップリング2曲を加えた3rdシングルが5月25日(水)にリリースされる。
エモいバンドのような歌い方を意識したタイトル曲
――huke氏のイラストから色々な展開を見せている「ブラック★ロックシューター」に対して、どんなイメージがありましたか?
高槻かなこ 知ったのはryoさんの楽曲「ブラック★ロックシューター」からでした。中学生の頃から聴いてきて、カラオケでもいつも歌っていたんです。その後アニメ化されたのは知っていたんですけど、こうやって時を経て新たな展開があるとは思っていなかったので、話を聞いたときはどのようなものになるのか全然想像ができませんでしたね。まったく新しいものになると聞いていたので、どんな世界観になるのだろうとワクワクしていました。
――今回のTVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』は、荒廃した世界が舞台になっていますが、その設定を聞いたときはどんな感想を持ちましたか?
高槻 ryoさんの楽曲の世界観である、ちょっと青春ロックっぽい感じをイメージしていたので、ここまでダークな世界になるんだ!と驚きました。
――「Before the Nightmare」ですが、曲作りはどのようにしていったのでしょうか。
高槻 作・編曲はebaさんが担当してくださっているんですけど、私がebaさんと一緒にやりたいと思いお願いしまして、ebaさんが数パターン送ってくださった曲の中から選ばせていただきました。
――この曲にした決め手はあったのですか?
高槻 イメージを持っていたロックな楽曲だったのと、爽快感があるけどダークな感じで、アニメのイメージそのままだったんです。私が選んだというよりは、割と満場一致で決まりましたね。
――エンディングテーマだけど、オープニングで流れていてもいいくらい激しくてかっこいい曲でした。“Nightmare”というワードチョイスも良くて、作品をよく表しているなと思いました。
高槻 私、夢をよく見るんですけど、悪夢を見ることが多くて……。いつも書きたいテーマをメモしているんですけど、そのなかで“Nightmare”というワードがあり、そんな時期にこの話をいただいたんです。楽曲を『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』とどうリンクさせていくのか、そして曲の物語をどうしていくのかを考えていたときに、荒廃した世界という話を聞いて。「ブラック★ロックシューター」というコンテンツには色々な世界線があるけど、そのなかでもかなり悪夢のような世界観だと思ったので、ちょうどリンクできるような気がしたんです。
――タイアップの作詞をするうえでは、作品のことを考えつつ自分の想いも入れると思うのですが、その辺りで大事にしているのはどんなことですか?
高槻 TVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』でも歌詞を書かせていただいていて、タイアップは2作目なのでノウハウはあるんですけど、今回はまず一番は主人公の気持ちを重視しました。主人公と自分をクロスさせ、キャラクターソングにはならないように視野を広げて、思いついた言葉をたくさん書き出す。そこからパズルみたいに曲の物語を作っていくような書き方をしています。
――自分とクロスするところはどんな部分ですか?
高槻 言葉ではあまり言い表せないんですけど、エンプレスの記憶を無くしながらも何かを守ろうとしているところとかは私的にすごくグッとくるところだったんですよね。作品のプロットを読ませていただいて、元の「ブラック★ロックシューター」の歌詞をもう一度深く読んでみて、どこか追いかけていて手を伸ばしても届かないけれど、それを儚く追いかけている感じがしたので、そういう面も盛り込みたいなと思いながら書いていきました。
――歌詞についてはリテイクもなく?
高槻 リテイクはなかったです。アニメのテーマになる曲の作り方として、最初にアニメの1コーラスを作って、それがOKだったら2番を書いていくという流れがあるんですけど、それがいつも難しいなと思っていて……。
――一度そこで完結してしまったりしますよね。
高槻 そうなんです、だからそこもいつもパズルのようだなって思います。結構悩んだのですが、しっかりとまとめることができました。
――歌詞の最後にもありますが、タイトルを「Before the Nightmare」にしたのは?
高槻 そこは願いも込めて、ですかね。現実か夢の中かわからないごちゃまぜ感を表現したくて、それだったら“Nightmare”だけではなく、希望がある感じを出したいなと思って出てきた言葉です。
――最初、“Woh”から始まっている感じが、とても熱かったです。
高槻 ebaさんからいただいたときから、あの始まり方だったかなと思うんですけど、ライブで盛り上がりそうでいいな!と思いました。
――拳を突き上げたくなりますよね。
高槻 早く声を出してライブがしたいです(笑)。
――ボーカルもかなりロックでかっこ良かったですが、意識したところはどんなことですか?
高槻 この曲はエモバンドみたいな歌い方を意識しようと思ったので、サビで泣き叫んでいる感じも入れたいと思い、きれいにしすぎないようにしようと意識しました。元々こういう歌い方をしてみたいとは思っていたので、レコーディングは早く終わりました。
――ラフで粗粗しい感じは出ていて、本当のバンドのような感じがしました。MVでも歌っている姿がすごく様になっていて。
高槻 はい、撮影で廃墟に行きました。建物がお化けが出そうな感じだったので悪夢のような雰囲気もありました。プロジェクターの映像を投影しながら撮ったんですけど、朝撮った映像をそのまま編集して、それを映し出していたので、すごいなぁって(笑)。プロジェクターで色んな映像がパッパッパッと切り替わっていく感じも、夢の中という感じがするんですよね。そのアイデアは監督が考えてくれたんですけど、この歌にぴったりだなと思いました。最後も光に向かって、起きたのか、まだ夢の中なのか?という終わり方をしていて、何度繰り返して観ても繋がるMVになったと思うので、たくさん観てほしいです。MVの映像も1つの物語として、この曲を良くしてくれているので!
――個人的には、バンドのボーカリストとしての動きがすでにできているなと思いました。
高槻 以前は「自由に動いて」って言われるのが苦手だったんですけど、最近楽しくて。好きなようにやろうと思って色んな動きを入れたりしていました。アドリブで動くことができるようになってきたんですかね?でも、MVでは何度も何度も撮るので結構体力が必要でした……(笑)。
“Love myself”――自分自身のために書き上げた楽曲
――続いてカップリングの「嘘つきダーティ」です。
高槻 カップリングでどういうことをやりたいかという話からスタートしたんですけど、私がボカロ曲みたいなアゲアゲな感じの曲をやりたいとオーダーをして、市瀬るぽさんにお願いをしました。最初はクラブっぽい曲にしようと思ったんですけど、いつの間にかジャズ、フュージョンっぽい感じになっていったんです。その曲をいただいてから歌詞のテーマを決めていき、「嘘つきは泥棒の始まり」というのをテーマにしようかなと。
――なるほど。どうしてそのテーマにしようと思ったのですか?
高槻 この歌詞を書いていた時期に、嘘をつかれて傷ついたことがあったんです。やっぱり嘘をつかれると、人を信じる心が奪われるなと思ったので、この曲にそれをぶつけようと思って。曲だけ聴くとかっこいいボカロ風の曲なんですけど、結構念がこもっているんですよ(笑)。
――嘘をつかれるのは嫌ですよね。
高槻 そのときの嘘のつき方も、嘘をついて騙してやろうというものではなくて、嘘も方便だっていう優しい嘘だったんです。それでもすごく傷ついたし、その鬱屈としたどこにもぶつけられない気持ちを込めていきました。
――相手は良かれと思ってついたんでしょうけど、それを知ってしまうと、もやもやは残りますよね。
高槻 そうですね。
――お話を聞いて、すごく共感ができる歌詞だと思いました。でもこの曲に歌詞を乗せるのも大変そうで。
高槻 音数も多いし長いので、試行錯誤はしましたね。ボカロ曲の歌詞って難しいんだなと改めて思いました。宝石の名前を入れてみたり、きれいにしすぎないようにしたり、ちょっと中二病みたいなワードも入れてみたりして書いていったんですけど。
――きっと歌うのも大変ですよね。
高槻 とにかく難しかったです!やっぱり人間が歌うメロディではないと思ったので、ライブだと不安です(笑)。まず、息継ぎをする場所がないので。キーもギリギリな感じだったので、レコーディングはすごく疲れましたが勢いで頑張りました。
――でもライブでも観てみたい曲ですね。
高槻 私も大変ですけど、演奏も大変そうなので全員にとって課題の曲ですね(笑)。
――「Love myself, All myself」は作詞・作曲を高槻さんがされていますね。
高槻 この曲は歌詞を先に書いていたんですが、編曲の森 拓人さんにピアノを弾いてもらって、そこで歌ってメロディを付けていき、その段階でこの曲でいいね!となったんです。自分の今年のテーマを“Love myself”にしているんですけど、それについての曲を書きたいなと思ったんです。だから、今を大事に生きられるようになるにはどうしたらいいかを考えながら作った曲ですね。これまで走り続けてきたなかで、コロナ禍になって、高槻かなこよりもさらに内側にいる自分の宝物をもっと増やしていきたいと思ったんです。その想いをこの歌詞では星座に例えていて。去年や今年、私の大事な友達たちにたくさん救われてきたので、それをもっと感じることで“Love myself”になるのかなと思っています。
――“All myself”を付け足したのはなぜですか?
高槻 無理をしていた頃も辛かった頃もすべて宝物にしたかったので、それを置いていきたくないと思ったんです。これまでのすべてが自分自身に繋がっているから、今優しくなれているというニュアンスを入れたかったのが理由です。だから今回の歌詞は、自分自身に書いた曲なんですよね。
――曲調も、これまで作ってきた曲とも違う感じになりましたね。
高槻 そうですね。これまではポップで、みんなで盛り上がろうよ!とか、みんなを楽しませたい曲が多かったんですけど、この曲に関しては自分自身のことだけを考えて作ったので、皆さんに聴いていただくのがちょっと恥ずかしいんですよ。こんなにさらけ出していいのかな?っていう感じです。
――素敵な歌詞だと思います。アレンジも素晴らしいですし。
高槻 すごく素敵なアレンジにしていただきました!自分だけでは引き出せない良さを引き出してくれているなと思いました。
――今回の3曲、すべて色が違いますが、完成した1枚を聴いていかがでしたか?
高槻 本当に全部バラバラでジャンルも違いますよね。自分の中ではebaさんと一緒に曲を作れたのもすごく嬉しくて!ebaさんとは、私がデビューする前に一緒にお仕事をしていて、ebaさんの楽曲の仮歌を歌うアルバイトをしていたんですよ。
――そうだったんですね!だから今回楽曲を書いてもらいたかったんですか?
高槻 それもあります。ずっとタイミングは見計らっていて、私の中で『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』は絶対に合う!という確信があったので、ebaさんにお願いしたんです。でも、この曲の制作のときは一度も会えなくて。そうしたら「嘘つきダーティ」の編曲がebaさんで、ボーカルのディレクションもしてくれたんです。そのとき「もう7~8年ぶりじゃない?」みたいなことを言ってくれて。なんというか、やっと成長できたのかなと思いました(笑)。
――ebaさんは何か言ってくれましたか?
高槻 ebaさんはそんな感動的なことを言うタイプではないので、「いっぱい練習したんだね」って言われました(笑)。
――あははは(笑)。難しい曲でしたからね。
高槻 コロナ禍で会えてもいなかったので、カップリングで会うことができて嬉しかったです。
――今回も全曲作詞をしていますが、今後書いてみたい歌詞や曲はありますか?
高槻 次はすごくかわいい、ティーンな恋愛の歌詞とか、少女マンガっぽい歌詞を書いてみたいです。今回も3曲かっこいい曲が続いていますが、ロック調にしたいというわけではなく、作品に合わせてこういうスタイルにしているところもあるので、次はポップな感じの曲もやってみたいですね!
INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一
●リリース情報
TVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』エンディングテーマ
高槻かなこ
「Before the Nightmare」
2022年5月25日(水)発売
【BRSDF盤】
品番:LACM-24264
価格:¥1,430 (税込)
<CD>※全形態共通
1. Before the Nightmare
作詞:高槻かなこ 作曲・編曲:eba
2. 嘘つきダーティ
作詞:高槻かなこ 作曲:市瀬るぽ 編曲:eba
3. Love myself, All myself
作詞・作曲:高槻かなこ 編曲:森 拓人 弦編曲:内田清孝
4. Before the Nightmare (Off Vocal)
5. 嘘つきダーティ (Off Vocal)
6. Love myself, All myself (Off Vocal)
【初回限定盤 (CD+BD)】
品番:LACM-34264
価格:¥2,750 (税込)
<CD> ※全形態共通
1. Before the Nightmare
作詞:高槻かなこ 作曲・編曲:eba
2. 嘘つきダーティ
作詞:高槻かなこ 作曲:市瀬るぽ 編曲:eba
3. Love myself, All myself
作詞・作曲:高槻かなこ 編曲:森 拓人 弦編曲:内田清孝
4. Before the Nightmare (Off Vocal)
5. 嘘つきダーティ (Off Vocal)
6. Love myself, All myself (Off Vocal)
<BD> ※初回限定盤のみ同梱
「Before the Nightmare」Music Clip
「Before the Nightmare」Behind The Scenes (メイキング映像)
関連リンク
高槻かなこ 公式サイト
https://kanako-tktk.com/
高槻かなこ 公式Twitter
https://twitter.com/Kanako_tktk
シングルに収録の全3曲について、話を聞いた。
エモいバンドのような歌い方を意識したタイトル曲
――huke氏のイラストから色々な展開を見せている「ブラック★ロックシューター」に対して、どんなイメージがありましたか?
高槻かなこ 知ったのはryoさんの楽曲「ブラック★ロックシューター」からでした。中学生の頃から聴いてきて、カラオケでもいつも歌っていたんです。その後アニメ化されたのは知っていたんですけど、こうやって時を経て新たな展開があるとは思っていなかったので、話を聞いたときはどのようなものになるのか全然想像ができませんでしたね。まったく新しいものになると聞いていたので、どんな世界観になるのだろうとワクワクしていました。
――今回のTVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』は、荒廃した世界が舞台になっていますが、その設定を聞いたときはどんな感想を持ちましたか?
高槻 ryoさんの楽曲の世界観である、ちょっと青春ロックっぽい感じをイメージしていたので、ここまでダークな世界になるんだ!と驚きました。
――「Before the Nightmare」ですが、曲作りはどのようにしていったのでしょうか。
高槻 作・編曲はebaさんが担当してくださっているんですけど、私がebaさんと一緒にやりたいと思いお願いしまして、ebaさんが数パターン送ってくださった曲の中から選ばせていただきました。
――この曲にした決め手はあったのですか?
高槻 イメージを持っていたロックな楽曲だったのと、爽快感があるけどダークな感じで、アニメのイメージそのままだったんです。私が選んだというよりは、割と満場一致で決まりましたね。
――エンディングテーマだけど、オープニングで流れていてもいいくらい激しくてかっこいい曲でした。“Nightmare”というワードチョイスも良くて、作品をよく表しているなと思いました。
高槻 私、夢をよく見るんですけど、悪夢を見ることが多くて……。いつも書きたいテーマをメモしているんですけど、そのなかで“Nightmare”というワードがあり、そんな時期にこの話をいただいたんです。楽曲を『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』とどうリンクさせていくのか、そして曲の物語をどうしていくのかを考えていたときに、荒廃した世界という話を聞いて。「ブラック★ロックシューター」というコンテンツには色々な世界線があるけど、そのなかでもかなり悪夢のような世界観だと思ったので、ちょうどリンクできるような気がしたんです。
――タイアップの作詞をするうえでは、作品のことを考えつつ自分の想いも入れると思うのですが、その辺りで大事にしているのはどんなことですか?
高槻 TVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』でも歌詞を書かせていただいていて、タイアップは2作目なのでノウハウはあるんですけど、今回はまず一番は主人公の気持ちを重視しました。主人公と自分をクロスさせ、キャラクターソングにはならないように視野を広げて、思いついた言葉をたくさん書き出す。そこからパズルみたいに曲の物語を作っていくような書き方をしています。
――自分とクロスするところはどんな部分ですか?
高槻 言葉ではあまり言い表せないんですけど、エンプレスの記憶を無くしながらも何かを守ろうとしているところとかは私的にすごくグッとくるところだったんですよね。作品のプロットを読ませていただいて、元の「ブラック★ロックシューター」の歌詞をもう一度深く読んでみて、どこか追いかけていて手を伸ばしても届かないけれど、それを儚く追いかけている感じがしたので、そういう面も盛り込みたいなと思いながら書いていきました。
――歌詞についてはリテイクもなく?
高槻 リテイクはなかったです。アニメのテーマになる曲の作り方として、最初にアニメの1コーラスを作って、それがOKだったら2番を書いていくという流れがあるんですけど、それがいつも難しいなと思っていて……。
――一度そこで完結してしまったりしますよね。
高槻 そうなんです、だからそこもいつもパズルのようだなって思います。結構悩んだのですが、しっかりとまとめることができました。
――歌詞の最後にもありますが、タイトルを「Before the Nightmare」にしたのは?
高槻 そこは願いも込めて、ですかね。現実か夢の中かわからないごちゃまぜ感を表現したくて、それだったら“Nightmare”だけではなく、希望がある感じを出したいなと思って出てきた言葉です。
――最初、“Woh”から始まっている感じが、とても熱かったです。
高槻 ebaさんからいただいたときから、あの始まり方だったかなと思うんですけど、ライブで盛り上がりそうでいいな!と思いました。
――拳を突き上げたくなりますよね。
高槻 早く声を出してライブがしたいです(笑)。
――ボーカルもかなりロックでかっこ良かったですが、意識したところはどんなことですか?
高槻 この曲はエモバンドみたいな歌い方を意識しようと思ったので、サビで泣き叫んでいる感じも入れたいと思い、きれいにしすぎないようにしようと意識しました。元々こういう歌い方をしてみたいとは思っていたので、レコーディングは早く終わりました。
――ラフで粗粗しい感じは出ていて、本当のバンドのような感じがしました。MVでも歌っている姿がすごく様になっていて。
MVはロケーションも良かったですね。
高槻 はい、撮影で廃墟に行きました。建物がお化けが出そうな感じだったので悪夢のような雰囲気もありました。プロジェクターの映像を投影しながら撮ったんですけど、朝撮った映像をそのまま編集して、それを映し出していたので、すごいなぁって(笑)。プロジェクターで色んな映像がパッパッパッと切り替わっていく感じも、夢の中という感じがするんですよね。そのアイデアは監督が考えてくれたんですけど、この歌にぴったりだなと思いました。最後も光に向かって、起きたのか、まだ夢の中なのか?という終わり方をしていて、何度繰り返して観ても繋がるMVになったと思うので、たくさん観てほしいです。MVの映像も1つの物語として、この曲を良くしてくれているので!
――個人的には、バンドのボーカリストとしての動きがすでにできているなと思いました。
高槻 以前は「自由に動いて」って言われるのが苦手だったんですけど、最近楽しくて。好きなようにやろうと思って色んな動きを入れたりしていました。アドリブで動くことができるようになってきたんですかね?でも、MVでは何度も何度も撮るので結構体力が必要でした……(笑)。
“Love myself”――自分自身のために書き上げた楽曲
――続いてカップリングの「嘘つきダーティ」です。
高槻 カップリングでどういうことをやりたいかという話からスタートしたんですけど、私がボカロ曲みたいなアゲアゲな感じの曲をやりたいとオーダーをして、市瀬るぽさんにお願いをしました。最初はクラブっぽい曲にしようと思ったんですけど、いつの間にかジャズ、フュージョンっぽい感じになっていったんです。その曲をいただいてから歌詞のテーマを決めていき、「嘘つきは泥棒の始まり」というのをテーマにしようかなと。
――なるほど。どうしてそのテーマにしようと思ったのですか?
高槻 この歌詞を書いていた時期に、嘘をつかれて傷ついたことがあったんです。やっぱり嘘をつかれると、人を信じる心が奪われるなと思ったので、この曲にそれをぶつけようと思って。曲だけ聴くとかっこいいボカロ風の曲なんですけど、結構念がこもっているんですよ(笑)。
――嘘をつかれるのは嫌ですよね。
高槻 そのときの嘘のつき方も、嘘をついて騙してやろうというものではなくて、嘘も方便だっていう優しい嘘だったんです。それでもすごく傷ついたし、その鬱屈としたどこにもぶつけられない気持ちを込めていきました。
――相手は良かれと思ってついたんでしょうけど、それを知ってしまうと、もやもやは残りますよね。
高槻 そうですね。
それを誰にも言えないし、どうしようと思ったので曲に込めました(笑)。なので、そう思って聴いていただくとちょっと感じ方が変わるかもしれないです。
――お話を聞いて、すごく共感ができる歌詞だと思いました。でもこの曲に歌詞を乗せるのも大変そうで。
高槻 音数も多いし長いので、試行錯誤はしましたね。ボカロ曲の歌詞って難しいんだなと改めて思いました。宝石の名前を入れてみたり、きれいにしすぎないようにしたり、ちょっと中二病みたいなワードも入れてみたりして書いていったんですけど。
――きっと歌うのも大変ですよね。
高槻 とにかく難しかったです!やっぱり人間が歌うメロディではないと思ったので、ライブだと不安です(笑)。まず、息継ぎをする場所がないので。キーもギリギリな感じだったので、レコーディングはすごく疲れましたが勢いで頑張りました。
――でもライブでも観てみたい曲ですね。
高槻 私も大変ですけど、演奏も大変そうなので全員にとって課題の曲ですね(笑)。
――「Love myself, All myself」は作詞・作曲を高槻さんがされていますね。
高槻 この曲は歌詞を先に書いていたんですが、編曲の森 拓人さんにピアノを弾いてもらって、そこで歌ってメロディを付けていき、その段階でこの曲でいいね!となったんです。自分の今年のテーマを“Love myself”にしているんですけど、それについての曲を書きたいなと思ったんです。だから、今を大事に生きられるようになるにはどうしたらいいかを考えながら作った曲ですね。これまで走り続けてきたなかで、コロナ禍になって、高槻かなこよりもさらに内側にいる自分の宝物をもっと増やしていきたいと思ったんです。その想いをこの歌詞では星座に例えていて。去年や今年、私の大事な友達たちにたくさん救われてきたので、それをもっと感じることで“Love myself”になるのかなと思っています。
――“All myself”を付け足したのはなぜですか?
高槻 無理をしていた頃も辛かった頃もすべて宝物にしたかったので、それを置いていきたくないと思ったんです。これまでのすべてが自分自身に繋がっているから、今優しくなれているというニュアンスを入れたかったのが理由です。だから今回の歌詞は、自分自身に書いた曲なんですよね。
――曲調も、これまで作ってきた曲とも違う感じになりましたね。
高槻 そうですね。これまではポップで、みんなで盛り上がろうよ!とか、みんなを楽しませたい曲が多かったんですけど、この曲に関しては自分自身のことだけを考えて作ったので、皆さんに聴いていただくのがちょっと恥ずかしいんですよ。こんなにさらけ出していいのかな?っていう感じです。
――素敵な歌詞だと思います。アレンジも素晴らしいですし。
高槻 すごく素敵なアレンジにしていただきました!自分だけでは引き出せない良さを引き出してくれているなと思いました。
――今回の3曲、すべて色が違いますが、完成した1枚を聴いていかがでしたか?
高槻 本当に全部バラバラでジャンルも違いますよね。自分の中ではebaさんと一緒に曲を作れたのもすごく嬉しくて!ebaさんとは、私がデビューする前に一緒にお仕事をしていて、ebaさんの楽曲の仮歌を歌うアルバイトをしていたんですよ。
――そうだったんですね!だから今回楽曲を書いてもらいたかったんですか?
高槻 それもあります。ずっとタイミングは見計らっていて、私の中で『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』は絶対に合う!という確信があったので、ebaさんにお願いしたんです。でも、この曲の制作のときは一度も会えなくて。そうしたら「嘘つきダーティ」の編曲がebaさんで、ボーカルのディレクションもしてくれたんです。そのとき「もう7~8年ぶりじゃない?」みたいなことを言ってくれて。なんというか、やっと成長できたのかなと思いました(笑)。
――ebaさんは何か言ってくれましたか?
高槻 ebaさんはそんな感動的なことを言うタイプではないので、「いっぱい練習したんだね」って言われました(笑)。
――あははは(笑)。難しい曲でしたからね。
高槻 コロナ禍で会えてもいなかったので、カップリングで会うことができて嬉しかったです。
――今回も全曲作詞をしていますが、今後書いてみたい歌詞や曲はありますか?
高槻 次はすごくかわいい、ティーンな恋愛の歌詞とか、少女マンガっぽい歌詞を書いてみたいです。今回も3曲かっこいい曲が続いていますが、ロック調にしたいというわけではなく、作品に合わせてこういうスタイルにしているところもあるので、次はポップな感じの曲もやってみたいですね!
INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一
●リリース情報
TVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』エンディングテーマ
高槻かなこ
「Before the Nightmare」
2022年5月25日(水)発売
【BRSDF盤】
品番:LACM-24264
価格:¥1,430 (税込)
<CD>※全形態共通
1. Before the Nightmare
作詞:高槻かなこ 作曲・編曲:eba
2. 嘘つきダーティ
作詞:高槻かなこ 作曲:市瀬るぽ 編曲:eba
3. Love myself, All myself
作詞・作曲:高槻かなこ 編曲:森 拓人 弦編曲:内田清孝
4. Before the Nightmare (Off Vocal)
5. 嘘つきダーティ (Off Vocal)
6. Love myself, All myself (Off Vocal)
【初回限定盤 (CD+BD)】
品番:LACM-34264
価格:¥2,750 (税込)
<CD> ※全形態共通
1. Before the Nightmare
作詞:高槻かなこ 作曲・編曲:eba
2. 嘘つきダーティ
作詞:高槻かなこ 作曲:市瀬るぽ 編曲:eba
3. Love myself, All myself
作詞・作曲:高槻かなこ 編曲:森 拓人 弦編曲:内田清孝
4. Before the Nightmare (Off Vocal)
5. 嘘つきダーティ (Off Vocal)
6. Love myself, All myself (Off Vocal)
<BD> ※初回限定盤のみ同梱
「Before the Nightmare」Music Clip
「Before the Nightmare」Behind The Scenes (メイキング映像)
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高槻かなこ 公式Twitter
https://twitter.com/Kanako_tktk
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