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“雨上がりの雲間”に響き渡る、快晴サニーガール熊田の歌声!
本公演の会場となった科学技術館サイエンスホールは、ライブの聖地・日本武道館と同じく、皇居外苑の北の丸公園の敷地内にあるイベントスペース。関東地方は梅雨入りしていることもあり、この日の東京は雨の可能性が高いと予報されていたのだが(実際、雨に見舞われた地域もあった)、会場近辺の空は晴れ渡り、絶好のライブ日和に。お天道様も熊田の晴れ舞台を祝福しにきたのかもしれない。
開演時間になり、会場の照明が暗転すると、ステージがライトでカラフルに彩られ、SEに合わせて熊田が颯爽と登場。光沢感のあるシルバーから、太陽のように明るい黄色へとグラデーションがかかった衣装(スカート部分には雲の模様があしらわれていた)を着た彼女は、1stアルバムのリードトラック「いいんだよ」で記念すべき1stワンマンをスタートさせる。同曲のMVでの全力で走る姿も印象的だったが、悩んだり迷ったり不器用なことも“いいんだよ”と肯定する、その真っ直ぐな歌声からは、彼女のひた向きなスタンスがひしひしと伝わってくる。
1曲目を歌い終えて「皆さんこんにちは、熊田茜音です!盛り上がっていきましょう!」と元気いっぱいに挨拶すると、続けて「ココロハヤル」(TVアニメ『チート薬師のスローライフ ~異世界に作ろうドラッグストア~』OPテーマ)を披露。ステージ上を右に左にと移動しながら、満面の笑顔で“心はやる”気持ちを届ける。その歌声も振る舞いも、とにかくエネルギッシュの一言。間奏で「ハイハイハイハイ!」と盛り上げたかと思えば、ダイナミックにクルッと一回転してみたりと、今にもステージから飛び出さんばかりの勢いだ。オーディエンスも乗せられて、熊田のイメージカラーである黄色のペンライトを振って盛大に応える。
ラストはピースをしてニコッと決めると、MCではこの日のために作ってもらったという衣装をアピール。そして「今回は初めてづくしなんです」と、1stライブでようやくファンと直接会うことができた喜びを噛みしめる。さらに、2月に初めてのアルバムをリリースしたこと、そのアルバムの中で初めて自分で作詞したことを語り、次はその楽曲を披露するムードになったのだが……どうやら段取りを間違えたようで「……ウソ(笑)」と告げて強引に次の曲「Summer Jump YYYY!」へ。FLOWのTAKEが提供したハイテンションなサマーチューンを、ライブグッズのタンバリン片手にノリノリでパフォーマンスして一体感を作り上げると、「ここからもっともっと盛り上がっていきますよ!」と「カコ→イマ→ミライ→?」に繋げる。
続くMCで熊田は「聞いて!初っ端からセトリ、ミスったよ(笑)」と告白。「今日はいつも見てくれているスタッフさんに“かっこつけない”と約束したんだけど、そしたらこれよ!?」と笑いを誘う。この飾り気のない人柄、天真爛漫さも熊田の魅力の1つだ。そして改めて「デビューしてから今までの想いを込めて作詞させていただきました……デジャブ?(笑)」と語りつつ、「正解を探しがちな自分に、正解なんていらないことを教えてくれたのは、ここにいるみんなです」と前置きして、自ら作詞した楽曲「くらげ」を披露。まるでくらげのように波に流されながら様々な場所を巡る、明確な目的地(≒正解)を定めない旅(≒人生)の在り方を、心地良いグルーヴに体を揺らせながら歌う。“旅の行き先は自分次第 正解はもういらないから 心が鳴る色で描き始めよう”というフレーズこそが、今の彼女が導き出した答えなのだろう(ちなみにこの曲の歌詞には“ほら世界が晴れたら”という一節もある)。
そこからZAQの提供によるシリアスなロック「drizzling」、エモーショナルなバラード「濃い藍、油性の恋」で、それまでのチアフルな雰囲気とはまた違った、心にずしりと響く歌唱で表現力の幅をアピールすると、直後のMCで彼女は「今日は本当の本当に初めの一歩なんです」と、この日のライブに対する想いを吐露する。16歳の頃に歌手を目指し始め、たくさんのオーディションを受けた末にようやく掴んだアーティストデビュー。
そして再び笑顔に戻った熊田は、「初心に返って、みんなとイェイイェイしたいと思います!」と「YOUR FREE STAR」をパフォーマンス。彼女が初めてアーティストとしてステージに立った、2019年11月開催のライブイベント“Lantis New Generation LIVE”でも披露された、佐伯youthKの提供によるキラキラ輝くポップチューンだ。ファンはサビの“イェイイェイ”の部分でピースサインを掲げ、客席は一面星に包まれる。さらに同じく佐伯が作編曲した「自分磁針」で“自分自身”の道を踏み出さんとするすべての人々を鼓舞すると、nano.RIPE提供の「まほうのかぜ」(TVアニメ『スーパーカブ』OPテーマ)へ。2番サビの“私ひとりでは描けない夢を”というフレーズは、熊田の動きに合わせて一斉に黄色のペンライトを左右に振るオーディエンスの光景を目の当たりにしながら聴くと、彼女とファンの関係性がより身近に感じられて余計にグッとくる。
“ここでこの場所で 一歩目を踏み出した”最高の1stライブ
「楽しすぎるねー、ありがとう!」と充足感に満ちた表情の熊田は、ここで「私、本当にポンコツなの」と自己評価する自身の活動を支えてくれるスタッフ、そして会場に観に来ていた家族、親友、さらにファンのみんなに向けて、改めて感謝の気持ちを伝える。そして「これからもここにいるみんなと一緒に歩いて行けたらいいなと思います。そんな私の始まりの一歩を、もう一回、踏み出させてください」と告げ、デビューシングルのカップリング曲「First Step, Fun Step!」を歌い始める。熊田は、ときに声を震わせ、涙声になりがらも、1つ1つの言葉を大切に歌い紡いでいく。歌詞に“始まりはいつも自分から”とあるように、最初の一歩を踏み出すのは自分自身。だが、その一歩がたくさんの人々との出会いに繋がっていくことを、今の彼女は知っている。みんなと踏み出したこの日の新たな一歩も、これからの彼女の世界を大きく変えていくことだろう。
そこから佐伯youthK提供のミディアムナンバー「またね、よろしくね」(『絆体感TV 機動戦士ガンダム第07板倉小隊 ~ゆく絆くる絆~』EDテーマ)を力強い歌声とともに届け、陽だまりのように温かなムードを作り上げると、ライブ本編の最後はパワフルなピアノロックチューン「Brand new diary」(TVアニメ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』OPテーマ)を投下。客席がクラップやジャンプで盛り上がるなか、熊田も「ハイ!ハイ!」と合いの手を入れて会場はさらに熱狂。間奏前には「行くぞ!」と煽り、ラストスパートとばかりに飛び跳ねたりと、まだまだ歌い足りないとばかりに弾けまくったパフォーマンスでライブ本編を完走した。
アンコールでは、ライブTシャツを大胆にアレンジしたヘソ出し+ショートパンツの健康的な衣装に着替えて登場。
そしてラストの曲、「私はここにいるみんなと自分のことを信じて、未来に向かっていこうと思います。今日は本当にありがとうございました!」との言葉に続いて披露されたのは、畑 亜貴(作詞)×黒須克彦(作曲・編曲)によるアッパーなポップロックチューン「Everybody, JUMP&JUMP!」。“「信じたいから信じる」で、いいね?”という歌い出しをはじめ、歌詞からは、どこか不完全な部分があったとしても、まずは自分の中の情熱を信じてポジティブにいこう!といったメッセージが感じられるが、それを等身大の言葉でダイレクトに伝えることができるのが、熊田の強みであり、彼女の人柄の成せる業だろう。最後は誰もが晴れやかな笑顔を浮かべながら、みんなでジャンプして1stライブ“世界が晴れたら”は締め括られた。
彼女の歌声は素直でストレート、とにかく純粋で裏表がない。そして生で浴びるとよくわかるが、まるで生命力そのもののような、熊田茜音という人間がそのままぶつかってくるような、不思議なパワーがある。今回のライブはそれが特に顕著で、会場には終始、陽のエネルギーが漲っていたように思う。彼女は観客との記念撮影の際、「将来、ここにいるみんなと一緒に、武道館に行きたいです」と夢を語っていたが、周りの人々の心を“晴れ”にする熊田の歌声と人間力があれば、それも決して夢物語ではないと思わせる魅力が今回のライブには感じられた。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
■熊田茜音 1st LIVE『世界が晴れたら』
日時:2022年6月12日(日)開場16:00 / 開演17:00
<SET LIST>
M.01 いいんだよ
M.02 ココロハヤル
M.03 Summer Jump YYYY!
M.04 カコ→イマ→ミライ→?
M.05 くらげ
M.06 drizzling
M.07 濃い藍、油性の恋
M.08 YOUR FREE STAR
M.09 自分磁針
M.10 まほうのかぜ
M.11 First Step, Fun Step!
M.12 またね、よろしくね
M.13 Brand new diary
EC.01 Sunny Sunny Girl◎
EC.02 Everybody, JUMP&JUMP!
関連リンク
熊田茜音 公式サイト
https://kumaka.jp/
熊田茜音 公式Twitter
https://twitter.com/official_kumak
熊田茜音 1stライブ「世界が晴れたら」プレイリスト
https://lnk.to/KumadaAkane1stLive