二次元と三次元を行き来する、ダンス&ボーカルグループ・学芸大青春(ガクゲイダイジュネス)。持ち前のアッパーなダンサブルなサウンドに加えて、ソロやデュオ曲など音楽的表現が格段に広がった前作2ndアルバム『PUMP YOU UP!!』からわずか半年後、早くも新作ミニアルバム『君と僕の唄』がリリースされた。
“楽しさ”とともに新たな可能性を見せたツアー
――新作のお話の前に、先日行われた“学芸大青春 4th LIVE TOUR「PUMP ME UP!!」”についてお伺いします。まさに学芸大青春らしい、二次元と三次元を行き来する圧巻のステージでしたが、ツアーを駆け抜けた今のお気持ちはいかがですか?
星野陽介 はい!楽しかったです!(笑)。
南 優輝 いや、小学生みたいな感想止めて!(笑)。最初の発言がそれなんてみんな困っちゃうでしょ!
相沢勇仁 でも一番最初に出てくるのはそれだよね。
南 それはそうだね。
相沢 楽しかったなって一番最初に思えて良かった。
――たしかにMCでも皆さんの楽しそうな表情がわかるような雰囲気があって。
南 そうですね。あと、7都市で8公演やらせていただいた、こんなにたくさんやれたのは今回が初めてだったので、ライブへの向き合い方というか、ライブに向けてのチームでの準備のクオリティも上がったなと思いましたし、8公演あることでライブが終わるごとに映像を観返して、スタッフさんからも色んなアドバイスをいただいて、それを修正して次に挑んで。それを8回も繰り返すことができたので、最終公演は今までの集大成を見せることができたと思いますし、今後ライブをするときに「こういう感じで準備していったら上手くいくんだな」というのが今回のツアーでより掴めたのかなと思います。
――二次元と三次元を行き来するというコンセプト通り、途中では三次元のメンバーと二次元のメンバーが共存する演出もありましたね。
南 僕たち的にはすごく新しい試みでしたね。今までも次元を超えて、二次元でパフォーマンスしていたのを途中から三次元の自分たちがステージに出てきたり、その逆だったりというのはあったんですけど、二次元のメンバーと三次元のメンバーが共存する、次元が共存するというのは初めてでした。僕たち自身もやりながらワクワクしていたし、実際にパフォーマンスできて自分たちの良さが出せたかなと思いますね。
相沢 まさにその「IF…」では自分と(内田)将綺と(仲川)蓮が三次元で、陽介と優輝が二次元で、という組み合わせだったんですよ。最終公演ならではの演出だったので、当日のリハで初めて後ろのスクリーンに二次元の陽介と優輝が投影されているのを見て、そこで動くタイミングやバミリとかを詰められたんですよね。いつもの全員が三次元の立ち位置のままだと、二次元の陽介と優輝とは被っちゃうから、今日だけは変えよう……とか、微調整をちゃんとして本番を迎えられました。
――そのほかステージで印象に残ったことはありましたか?
内田将綺 「JUST MadDancy Remix」をこのツアーでは初めて披露させていただいたんですけど、リミックスでの「JUST」の披露がワンマンでは初めてだったので、みんな乗りきってくれるのかな? っていう個人的な想いがあったんですけど、客席の真ん中にいた男性のお客さんがめちゃくちゃ盛り上がってくれていて。ほかにも「Don’t leave me alone」をアコースティックにアレンジしたナンバーもやりましたけど、色んなジャンルの楽曲が混ざったなかで男性のファンの方も楽しんでくださっているのを見て、こういう機会がもっと増えてほしいなと思えた新しい体験でした。
仲川 蓮 僕は地元の広島でライブができたのが大きかったですね。しかも今回やらせていただいたHIROSHIMA CLUB QUATTROは、僕が学生時代にライブを観に行っていた場所なので、思い出の場所でライブができるのは嬉しかったですし、楽屋に入っただけでテンションが上がりましたね。
――真っ先に「楽しかった」とおっしゃった陽介さんはいかがですか?
星野 難しいなと思ったのが、7都市8公演もライブをさせていただいたのが今回初めてだったんですけど、こんなに長い期間ライブすることってなかったので、モチベーションやテンションの維持というのがそれぞれ課題としてあったんです。
より身近なジュネスを見せるなかでの表現の幅
――そうしたなかでこのたびリリースされたミニアルバム『君と僕の唄』ですが、前作『PUMP YOU UP!!』から実に半年という短いスパンでのリリースとなりました。
南 今までも、常に次の作品に向けて曲作りをしているという状況はあったので、タイム感的にはいつも通りではあったんですよね。でも今回から蓮が作詞作曲したりというのがあったので、そういう部分ではよりタイトなスケジュールでしたね。
仲川 そうですね。
南 制作はツアーの準備前から進めていたので、『PUMP YOU UP!!』を出した直後くらいかな?
内田 そうだね。『PUMP ME UP!!』のプロモーションをしながらもう次のアルバムの制作をしているという(笑)。ちなみに僕はツアー中にもレコーディングをしていました。
――ファンの皆さんが『PUMP YOU UP!!』を楽しんでいる最中に、すでに制作は始まっていたんですね。そんな『君と僕の唄』ですが、ジュネスとしては珍しい日本語タイトル。どんな意味が込められているのでしょうか?
南 僕たちの中で、今回のアルバムは「20代の青春」を描いた曲を詰め込もうという話になって。なので今まで以上にみんなに親しみやすい楽曲が多いのかなと思っていて、だからこそタイトルも英語じゃなくて『君と僕の唄』というみんなが入り込みやすそうな、距離の縮まったタイトルにしたというのが理由としてあります。
――実にバラエティに富んだ8曲が収録されている本作ですが、まずは最初の楽曲「Easy Peasy」についてお伺いします。ジュネスらしいダンサブルなサウンドでありながら、ポップながら複雑な雰囲気を持つ楽曲ですね。
内田 この曲がリード曲になったことが、このミニアルバムの、個人的には勝負なところだと思っていて。ジュネスって今まではポップなダンスミュージックをリード曲として、ポジティブに希望を歌っていたり、明るい青春を届けてきたんですよね。でも「Easy Peasy」は、例えば昨今のSNSの誹謗中傷とか、世界では戦争があったりとかコロナ禍とか、ストレスを感じることが多い生活の中で、二次元と三次元を行き来する僕たちだからこそ寄り添えるような楽曲にしたいという気持ちがあって、それが形になったんだと思います。
南 色んな辛い想いがある人の支えになるのかなと思っていますし、辛いときは次元を超える僕たちがみんなを助けにいくし、僕たちの世界に来てもいいんだよっていう、2つの意味を持った歌詞になっているんですよね。それから、僕が歌うパートは全部英語になっていて、だからすごく大変でした(笑)。
――たしかにテクニカルなパートになっていますね。
南 英語の発音が苦手で、それでニューヨークに住んでいるキアラさんという方にネイティブの英語を教えていただいたんですよ。メンバーそれぞれ1時間くらい教えていただくなかで、「ユウキ、その発音はこうだから」と直していただいて、僕にとってはすごく勉強になりました。「ユウキはもっと口を動かしたほうがいい、英語のラップをしたいなら口を豊かに使ったほうがいい」って言われて。
――口を豊かに、ですか。
南 「エミネム見たことある? もっとエミネムを観て学んだほうがいいよ」って。僕もエミネムは好きでライブも観ていて、エミネム以外にもラッパーのフロウなどは意識していましたけど、口の動きまでは意識して見ていなかったんですよね。なのでその教えをきっかけに(エミネムが主演の映画)『8マイル』を観直して研究して、それでレコーディングに臨めたので、今回だけじゃなく今後にも活かせるくらい成長させていただきました。
内田 僕は、キアラさんには英語だけではなく歌のうたい方も教えてもらいました。発音を意識しすぎて、キアラさんに「違うマサキ、“Just feeling”やねん」って。“Just feeling”って、優輝がラップしているフレーズなんですけど、「マサキは上手くしようとしすぎだ、歌詞を理解して感じろ」って。ちなみにキアラさんはめっちゃ関西弁です(笑)。
――歌詞を感じるような歌い方ですか。
内田 はい、それは日本語にも通じるなと思うんです。特に「Easy Peasy」はシリアスな、僕らの内面を表現した曲になるので。僕はパッションや声量で表現するタイプで、それがあるからこそ内田将綺だという表現方法だったんですけど、それをシリアスでもちゃんと表現できるように感じろって、それは英会話とは別の学びでしたね。
――続いては今回の収録曲で最初に先行配信されていた「My Side」について。
内田 この曲は男女の友情を描いた曲です。男女に関わらず友情というのは色んな形があって、僕ら5人も共同生活をして4年以上経つので、この曲を歌うのはすごく歌いやすかったです。友情を思い浮かべる人がこんなにも身近にいるので(笑)、そういう意味では臨みやすい楽曲でしたね。
相沢 自分にとって大切な人や、友人、メンバーももちろんそうなんですけど、自分にとってかけがえのないその人が何か辛いときや抱え込んでいるときに、「1人じゃないんだよ」っていうのを自分は伝えたくて。僕は1番も2番もBメロを歌っているんですけど、この曲も「Easy Peasy」も英語の歌詞が多くあって、両方とも感情込めて歌いつつ英語の発音も考えつつ、その言葉の意味も歌に乗せられるように意識して歌いました。そこは僕もキアラさんに色々指導していただいたので、自分なりに練習して、自分が表現したいものは表現できたかなと思います。聴いている人の背中を押せるような、いつも自分たちがいるんだよっていう事を伝えたくて歌いましたね。
――この曲では5人が渋谷を闊歩する映像が印象的なMVも制作されました。
内田 以前「Hit the City!!」という曲で渋谷で演技パートは撮らせていただいたんですけど、街なかに出て踊るというのは初めてで。今回はスクランブル交差点やビルの屋上でもで撮ったりして、これまでのMVとはまた違う、三次元での表現ができたかなと思います。
仲川 5人の仲の良さが出たMVかなと思いますね。序盤でセンター街を歩くシーンがあるんですけど、そこを5人で撮影しながら歩いているのが楽しくて、そこがすごく印象に残っています。
――そして5人での楽曲がもう1曲、「雲の切れ間」は前の2曲から一転してメロディアスな楽曲になりました。
南 この楽曲は久しぶりなくらい真っ直ぐなラブソングで、それもあってテンションが上がる部分がありましたね。あと今回はジュネスにしてはわかりやすいパート分けになっていて。ジュネスの楽曲って、メンバーが行ったり来たりするパート分けが多いんですけど、冒頭から2番の頭くらいまででちょうど5人それぞれのパートが聴き終わるみたいな構成になっています。僕がラップするまでのパートは結構グイグイきているというか、“その瞳も 白い頬も すべてが宝石みたいだね”とか真っ直ぐ愛を伝えているパートが多くて。
内田 ロマンチック。
南 でも僕のパートになって急に弱気になるんですよ。“このままの僕じゃ 不安で仕方がないんだ”って。そういう弱気になっちゃう自分もいるというのが僕の役割なのかなと思って、そこを自分の声質やラップで出せるように意識してレコーディングに臨みました。
星野 個人的な話になっちゃうんですけど、この曲ではサビを歌わせていただいたのですが、レコーディングのときに1番と2番を何回も何回も歌ったんです。個人的にいいなって思ったテイクでも「もう1回いこうか」と言われたりして、「なんでこんなに録るんだろう?」と思いながら、最後に大サビを歌ったんです。そしたら声が枯れてちゃって……それで歌い終わったあとにスタッフさんになぜあんなに録ったのかを訊いたら、作家さんが「わざとだったんだよね」って。
――わざと声をかすれさせた?
星野 そうなんです。「大サビはちょっとエモーショナルにしたいからわざと1番2番を多く歌ってもらいたかったんだよね、ごめんね」って。声は結構カスカスになっちゃったんですけど、おかげで1番2番では真っ直ぐ素直に想いを伝える、大サビでは体の内から絞り出して気持ちを伝える……という表現ができたと思いますし、こういうレコーディングもあるんだなって学びになりました。
新たな自分自身を見出す新曲たち
――そしてここからは、前作同様ソロやデュオでの楽曲が続きます。まずは蓮さんが作詞作曲を担当したソロ曲「予報通り、雨」です。
仲川 前回作った曲(「Echo」)は、トラックは全部が全部自分で作ったわけではないんですよね。リフだったりメインとなるトラックは作っていたんですけど、今回はトラックまで全部自分で作ったので、そういう部分では成長できたかなと思いますね。ほぼほぼ自分の中でイメージしたものを形にできたと思います。
――トリッキーなメロディが印象的な仕上がりですね。
仲川 元々はボカロ曲みたいなものを作ると決めて制作に取り掛かりました。ボカロなので人間らしくないメロにしようと思って、今までは自分の鼻歌で曲を作っていたんですけど、今回は完全にピアノで弾いてメロディを作ったので、あえて人が歌いにくいようなメロディになっています。レコーディングで自分の首を締めるような曲になりました(笑)。
――続いては勇仁さんのソロ「僕らのNew Day」です。前作(「Present Day」)でもそうでしたが、勇仁さんのソロ曲はトラックやリズムに合わせた歌唱が印象的ですね。
相沢 そう言っていただけて嬉しいです。自分でもこの曲をいただいたときからトラックがお洒落で大人の感じがしていたので、そのトラックやビートに合わせて自分も歌っていきたいなと思いつつ、自分の良さを出していけたらいいなと考えながら歌いました。ただ実際に歌ってみると、Aメロやサビの語尾や伸ばす長さもそうなんですけど、あえて短くして伸ばさないほうが気持ちいいだろうなと思って。
――語尾はあえてスッキリまとめる歌唱という感触ですね。
相沢 普通に歌ったり自分の良さを出すなら、もう少し伸ばしたほうが気持ち良くなったりするのをあえて切ることで、いただいた曲の良さ、トラックの良さというものを表現できるのかなって。あと、この楽曲の歌詞が、「何気ない生活のありふれた日常にあるものってどうしても感謝するのを忘れがちになっちゃうけど、些細なことでも目を向けて感謝してみると、すべてのことがありがたいことなんだよ」っていう内容なんですね。いつも自分のことを応援してくれるファンもそうだし、メンバーやスタッフの存在を当たり前に思わずに、自分も感謝の気持ちを忘れないように、明日も扉を開いて生きていけたらという明るい気持ちで歌いました。
――そして将綺さんの「ヨルガオ」。
内田 この曲をいただいたときに、「禁断の愛の曲です」と言われて、「俺、そんな柄じゃないですよね」って言ったんですけど……(笑)。タイトルと同じヨルガオという花があるんですけど、それは夜に咲く花で、“夜の思い出”“夜”“妖艶”という花言葉をもっていて。鮮明に覚えている相手の肌の感触を歌詞で表現したものなんです。
――まさに禁断の愛への、哀愁のようなものが感じられます。
内田 僕は後悔や未練といった感情もパッションで表現するタイプだと思ってるんですけど(笑)、この曲を歌う上では「魂が抜けたような歌い方をしてほしい」というディレクションがあって。最初スタジオに入ったときには、ザ・内田将綺で歌ってしまっていたんですけど、「それはちょっとパッショナブルすぎるので抑えましょう」と言われて、それで2テイク目も「抑えましょう」と言われ、で、どんどん抑えていって、内田将綺のなかでも本当に、存在しているかどうかわからないくらいのクールな部分で表現していきました。この曲は、僕が最初にレコーディングしたあとからどんどん音数が増えていって、ベースや重い音が増えていったんですよね。これは完全に僕の憶測なんですけど、僕がそのベースやビートを最初から聴いていたら、テンションが上げちゃうんじゃないか、なるべくライトな音で歌わせて無機質な音からベースを入れようかなっていう魂胆だったんじゃないかなって。そういうのは初めての作り方だったので、完成した音源を聴いたときは「なるほどな」と思いました。僕の歌に音を寄せていただくという新しい形は、今後も5人曲でも活かせそうだなと思いましたね。
――シンプルなトラックでレコーディングすることで、将綺さんの中の喪失感のようなものを引き出したというか。
内田 なので、これから僕は歌うたびに何かを失わなければならないのかも(笑)。
――こうした男の哀愁、非常にさまになっていますね。
内田 嬉しいです、そういう男を目指しているので……。
全員 (無言)
内田 いや、笑え笑え(笑)。
星野 こいつ適当なこと言ってます!(笑)。
進化の先に見据える3周年記念ライブへ
――続いては再び蓮さんの詞曲による「Scene」です。ここでは陽介さんとのデュエットになっていますが、元々陽介さんのボーカルを想定しての制作だったんですか?
仲川 想定はしていなくて、曲が出来上がったところで陽介に歌ってほしいなって決めました。
星野 まさかこういう大人の色気がある曲で、自分が選出されるとは思っていなかったので、結構びっくりしましたね。
内田 選出って、日本代表か(笑)。
星野 この曲は、蓮の本気度がすごくうかがえた曲だったんですよね。僕がこの曲を上手く歌えるように、「陽介はこういう人の歌い方でやってみたら?」っていう資料をYouTubeから引っ張ってくれて。ジェジュンさんみたいな音をたっぷり使う歌い方というか、ちゃんと間を使いながらメロディを感じて歌ってほしいって言われて、色んな動画を送ってくれました。あとはレコーディングの本番で当初はなかったハモリを急遽その場で入れてみたり。そうやって楽曲を作っていくうえでよりよいものにしようって、蓮が常に試行錯誤しているのを見ると、僕もその期待に応えられるようにすごく努力しましたし、それがいい作用になって、この曲が完成したと思います。蓮の本気度はすごかったです。
仲川 曲のクオリティも高いものにしたいし、メンバーの僕が作るということで、ほかのメンバーの声の良さというものをどの作家さんよりも自分が知っていると思うので、陽介の良さを頑張って引き出そうと思いましたね。
――それを受けて陽介さんのパフォーマンスはいかがでしたか?
内田 厳し目にいこう(笑)。
仲川 そうですね……AメロやBメロとパートごとに歌ってもらったんですけど、今回はこだわりすぎて全部20テイクくらい歌わせてしまって(笑)。終わったあとヘトヘトになっていたので、かわいそうなことをしたなと。
星野 僕は、ここでも最後らへんは声カスカスになっていました(笑)。でも僕の底上げをしてくれた、成長してくれた曲になったので、蓮には感謝しかないですし、この曲を通して今後レコーディングでも活かせたらと思います。次の曲は10テイクくらいに収めたいですね(笑)。
内田 それだけこだわりがあるっていうことだからね。この人、レコーディング終わったあと爆睡してましたもん(笑)。
星野 ほかのどのクリエイターさんよりも緊張しますね(笑)。メンバーだからこそ。優輝も『PUMP YOU UP!!』で蓮の曲(『ECHO』)を歌っていましたけど、最初のほうは声が震えていたもんね。
南 メンバーの曲だからこそ、その期待に応えられるかなって緊張しますよね。
星野 いい緊張感の中でレコーディングできました。
――そして最後の曲「Chilling Day」ですが、作編曲に有名DJ/クリエイターの福富幸宏さんを迎えました。しかも福富さんのトラックに優輝さんが歌詞を書くという。
南 本当にめちゃくちゃ緊張したんですけど、すごく優しい方で。最初はトラックとメロディも作っていただいたんですけど、「ラップのフロウによってメロディも変わってくると思うので、優輝くんがラップするんだから自分が好きなメロディに変えていいよ」って言ってくださって。それで自分が好きなようにメロディもつけさせていただいて、今回作詞も初めてだったんですけど、メロディまでやらせていただいて、すごく貴重な経験をさせていただきました。
――たしかにラップのパートでのフロウも多彩で、中盤の熱いフロウはMOROHAを思わせるような。
南 ああ、まさにそうですね。今回のアルバム全体を見たときに、大人っぽい曲が多くて、その中で自分が作詞する意味ってなんだろうなって思ったんですよ。元々僕はすごく生真面目で真っ直ぐな性格だと言われていて……。
内田 あと頑固で堅物で(笑)。
南 うん(笑)。だからこそ自分ができる曲を書きたくて。真っ直ぐストレートなリリックを書くことも、それもヒップホップだし、セルフボースティングとまではいかないですけど、自分の想いをぶつけるのがラッパーの一歩だなと思って、自分が思ったことをそのままぶつけようと。フロウも結構チルなトラックなので、そこに自分の印象もつけたくて、ポエトリーラップのMOROHAさんが好きなのもあって、そういう要素を入れたらハマるんじゃないかなということで2番目のヴァースで入れてみました。自分でも表現したいことが出せましたね。
――『PUMP YOU UP!!』という意欲作から半年後に、また個々のボーカルアプローチとしても進化が見られた『君と僕の唄』ですが、本作をリリースしたあとの秋には、大阪と東京でジュネスとしても最大規模となる3周年記念ライブが開催されます。およそ3ヵ月後ですが、そのライブに向けて、そして今後のジュネスの活動への意気込みをお願いします。
星野 残り3ヵ月しかないんですけど、3ヵ月で「前のツアーからこれだけ進化したんだ」って思わせるようなライブにしたいです。1分1秒自分たちのスキルアップに注いで、その成果を3周年ライブで皆さんに見せられたらなと思いますね。
相沢 4th LIVE TOURではいつも応援してくれるファンの皆さんや、いつも一緒にやっているメンバーやスタッフさんがいてくれるからこそ、自分たちのやりたいことをステージ上で好きな人たちの前で表現できるという感謝の気持ちを噛み締められました。3周年記念ライブは感謝の気持ちは変わらず、そこに自分たちの覚悟とかも含めてパフォーマンスで表現したいなと思っています。いつも応援してくれる人たちに少しでも恩返しがしたいですし、今後の学芸大青春の未来というものも見せたいと思っているので、そこは自分も楽しみにしています。
内田 今回のツアーでライブパフォーマンスという部分ではメンバー個々だったり学芸大青春としての感覚やスタイルというのはなんとなく出来上がってきたと思っていて。3周年記念ライブでもそれを、それこそ陽介が言ったような進化した姿を見せられたらと思ってます。それが僕らの目標や使命だと思っていますし、そのパフォーマンスのレベルに持っていくなかで、今回は会場も大きくなりますし、どれだけの人が観に来てくれるのかというのも課題だと思っているので。それこそ冒頭で言った男性ファンのような方も増えてほしいというのも、この3ヵ月間の僕たちの活動の仕方によって変わってくると思いますしね。とにかくひたむきに活動していくしかないと思っているので、この3ヵ月でどれだけの人を集められるか、どんな風にライブを楽しんでほしいかっていうのをこだわっていきたいと思います。
南 今回の7都市8公演を回ったツアーで、反省したものや課題として見つかったものはもちろん、3周年記念ライブでは自分たちのすべてをぶつけて、この先のジュネスがよりたくさんの人に知ってもらえるようなきっかけの公演になればいいなと思っています。あとは3周年ということで、ここまで僕たちを応援してきてくれたたくさんのファンの方たち、スタッフさん、クリエイターさんたちに、自分たちが少しでも成長した姿を見せることで、それが恩返しになるライブだと思うので、これまであまりやってこなかった曲も含めて、色んな楽曲をパフォーマンスできるライブにしたいと思います。
仲川 3周年に向かってもそうですし、それ以降もそうですけど、学芸大青春として、「ジュネスらしさ」というのを考えたときに、今は「二次元と三次元を行き来する」というビジュアル的な面に頼っている部分も大きいと思うんですよね。でも今後はそれだけじゃなくて、音楽のなかでもジュネスらしさを出したいです。元々は僕がピアノをやっていて作曲もやるようになりましたけど、このミニアルバム以降も僕がもっと制作に参加して、例えば全部の楽曲にピアノが入っていたら面白いんじゃないかなって。ピアノが入っているダンス曲という、それも学芸大青春らしさとして出していけたらいいなと思っているので、そういう挑戦も含めてどんどん僕たちの音楽を広げて、その過程で3周年ライブも成功できたらって思います。
INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
●リリース情報
『君と僕の唄』
2022年6月22日(水)発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
【通常盤(CD)】
品番:VOYZ-34
価格:¥2800(税込)
M1. Easy Peasy ※テレビ朝日系列全国放送「musicるTV」6月度オープニングテーマ
M2. My Side ※テレビ朝日系23局放送「BREAK OUT」5月度エンディング・トラック
M3. 雲の切れ間
M4. 予報通り、雨。- singing by Ren –
M5. 僕らのNew Day – singing by Yuto –
M6. ヨルガオ – singing by Masaki –
M7. Scene – singing by Yosuke & Ren –
M8. Chilling Day – singing by Yuki –
【完全生産限定盤A(CD+BD)】
品番:VOYZ-30,31
価格:¥6500(税込)
・通常盤共通内容CD
・Blu-ray / Behind the scenes footage of making 2 Music Videos
-「My Side」「Easy Peasy」のMusic Videoが完成するまで –
【完全生産限定盤B(CD+BD)】
品番:VOYZ-32,33
価格:¥6500(税込)
・通常盤共通内容CD
・Blu-ray / じゅねすの休日 Vol.2 -ドン・ペリニヨン 青春の味編 –
※3形態共通3周年記念ライブ最速先行抽選販売申込シリアル応募コード封入
●ライブ情報
学芸大青春・3周年記念ライブ
グランキューブ大阪
2022年9月23日(金・祝)
17:00開場 / 18:00開演予定
LINE CUBE SHIBUYA
2022年10月8日(土)
17:00開場 / 18:00開演予定
チケット
ピクチャー付きチケット(会場前方指定席):¥6,600(税込)
一般チケット(指定席):¥5,500(税込)
6月22日発売 2nd Mini Album『君と僕の唄』CD封入シリアル応募コード施策 最速先行抽選販売
ピクチャーチケット付きチケット(会場前方指定席)¥6,600(税込)
一般チケット(指定席)¥5,500(税込)
※当日の会場への入場は【会場入場電子チケット】を使用いたします。ピクチャーチケットは記念品となります。
応募受付期間:6月22日(水)12:00~7月10日(日)23:59
当選発表:7月15日(金)13:00
関連リンク
学芸大青春 公式サイト
https://gjunes.com/
学芸大青春 公式Twitter
https://twitter.com/GD_Junes
学芸大青春 公式YouTube
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学芸大青春 公式TikTok
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学芸大青春 公式Instagram
https://www.instagram.com/g.junes_official_stock/
前作同様にソロ曲やメンバーが積極的にソングライティングに関わった楽曲も含む全8曲は、ジュネスらしさを保ちつつ、ボーカル表現などで新たな進化を見せた仕上がりになっている。今回は大盛況のうちに終わった全国ツアー直後のメンバーを迎え、本作をフックにそれぞれジュネスとしての進化についてたっぷりと話を聞いた。
“楽しさ”とともに新たな可能性を見せたツアー
――新作のお話の前に、先日行われた“学芸大青春 4th LIVE TOUR「PUMP ME UP!!」”についてお伺いします。まさに学芸大青春らしい、二次元と三次元を行き来する圧巻のステージでしたが、ツアーを駆け抜けた今のお気持ちはいかがですか?
星野陽介 はい!楽しかったです!(笑)。
南 優輝 いや、小学生みたいな感想止めて!(笑)。最初の発言がそれなんてみんな困っちゃうでしょ!
相沢勇仁 でも一番最初に出てくるのはそれだよね。
南 それはそうだね。
相沢 楽しかったなって一番最初に思えて良かった。
――たしかにMCでも皆さんの楽しそうな表情がわかるような雰囲気があって。
南 そうですね。あと、7都市で8公演やらせていただいた、こんなにたくさんやれたのは今回が初めてだったので、ライブへの向き合い方というか、ライブに向けてのチームでの準備のクオリティも上がったなと思いましたし、8公演あることでライブが終わるごとに映像を観返して、スタッフさんからも色んなアドバイスをいただいて、それを修正して次に挑んで。それを8回も繰り返すことができたので、最終公演は今までの集大成を見せることができたと思いますし、今後ライブをするときに「こういう感じで準備していったら上手くいくんだな」というのが今回のツアーでより掴めたのかなと思います。
――二次元と三次元を行き来するというコンセプト通り、途中では三次元のメンバーと二次元のメンバーが共存する演出もありましたね。
南 僕たち的にはすごく新しい試みでしたね。今までも次元を超えて、二次元でパフォーマンスしていたのを途中から三次元の自分たちがステージに出てきたり、その逆だったりというのはあったんですけど、二次元のメンバーと三次元のメンバーが共存する、次元が共存するというのは初めてでした。僕たち自身もやりながらワクワクしていたし、実際にパフォーマンスできて自分たちの良さが出せたかなと思いますね。
相沢 まさにその「IF…」では自分と(内田)将綺と(仲川)蓮が三次元で、陽介と優輝が二次元で、という組み合わせだったんですよ。最終公演ならではの演出だったので、当日のリハで初めて後ろのスクリーンに二次元の陽介と優輝が投影されているのを見て、そこで動くタイミングやバミリとかを詰められたんですよね。いつもの全員が三次元の立ち位置のままだと、二次元の陽介と優輝とは被っちゃうから、今日だけは変えよう……とか、微調整をちゃんとして本番を迎えられました。
――そのほかステージで印象に残ったことはありましたか?
内田将綺 「JUST MadDancy Remix」をこのツアーでは初めて披露させていただいたんですけど、リミックスでの「JUST」の披露がワンマンでは初めてだったので、みんな乗りきってくれるのかな? っていう個人的な想いがあったんですけど、客席の真ん中にいた男性のお客さんがめちゃくちゃ盛り上がってくれていて。ほかにも「Don’t leave me alone」をアコースティックにアレンジしたナンバーもやりましたけど、色んなジャンルの楽曲が混ざったなかで男性のファンの方も楽しんでくださっているのを見て、こういう機会がもっと増えてほしいなと思えた新しい体験でした。
仲川 蓮 僕は地元の広島でライブができたのが大きかったですね。しかも今回やらせていただいたHIROSHIMA CLUB QUATTROは、僕が学生時代にライブを観に行っていた場所なので、思い出の場所でライブができるのは嬉しかったですし、楽屋に入っただけでテンションが上がりましたね。
――真っ先に「楽しかった」とおっしゃった陽介さんはいかがですか?
星野 難しいなと思ったのが、7都市8公演もライブをさせていただいたのが今回初めてだったんですけど、こんなに長い期間ライブすることってなかったので、モチベーションやテンションの維持というのがそれぞれ課題としてあったんです。
そんななか、折り返しの大阪公演で、5人の中で「今回はどうだったんだろう……」っていうタイミングがあったんですね。MCとかなんか噛み合わなかったかな、と感じることもあって。気を抜いていたわけではないんですけど、多分ツアーも中盤になってどこか変な慣れが生じちゃったのかなと感じて。。それって実際に迎えてみないと気づけなかった発見でもあったので、今後にも活かせる学びになりました。
より身近なジュネスを見せるなかでの表現の幅
――そうしたなかでこのたびリリースされたミニアルバム『君と僕の唄』ですが、前作『PUMP YOU UP!!』から実に半年という短いスパンでのリリースとなりました。
南 今までも、常に次の作品に向けて曲作りをしているという状況はあったので、タイム感的にはいつも通りではあったんですよね。でも今回から蓮が作詞作曲したりというのがあったので、そういう部分ではよりタイトなスケジュールでしたね。
仲川 そうですね。
南 制作はツアーの準備前から進めていたので、『PUMP YOU UP!!』を出した直後くらいかな?
内田 そうだね。『PUMP ME UP!!』のプロモーションをしながらもう次のアルバムの制作をしているという(笑)。ちなみに僕はツアー中にもレコーディングをしていました。
――ファンの皆さんが『PUMP YOU UP!!』を楽しんでいる最中に、すでに制作は始まっていたんですね。そんな『君と僕の唄』ですが、ジュネスとしては珍しい日本語タイトル。どんな意味が込められているのでしょうか?
南 僕たちの中で、今回のアルバムは「20代の青春」を描いた曲を詰め込もうという話になって。なので今まで以上にみんなに親しみやすい楽曲が多いのかなと思っていて、だからこそタイトルも英語じゃなくて『君と僕の唄』というみんなが入り込みやすそうな、距離の縮まったタイトルにしたというのが理由としてあります。
――実にバラエティに富んだ8曲が収録されている本作ですが、まずは最初の楽曲「Easy Peasy」についてお伺いします。ジュネスらしいダンサブルなサウンドでありながら、ポップながら複雑な雰囲気を持つ楽曲ですね。
内田 この曲がリード曲になったことが、このミニアルバムの、個人的には勝負なところだと思っていて。ジュネスって今まではポップなダンスミュージックをリード曲として、ポジティブに希望を歌っていたり、明るい青春を届けてきたんですよね。でも「Easy Peasy」は、例えば昨今のSNSの誹謗中傷とか、世界では戦争があったりとかコロナ禍とか、ストレスを感じることが多い生活の中で、二次元と三次元を行き来する僕たちだからこそ寄り添えるような楽曲にしたいという気持ちがあって、それが形になったんだと思います。
南 色んな辛い想いがある人の支えになるのかなと思っていますし、辛いときは次元を超える僕たちがみんなを助けにいくし、僕たちの世界に来てもいいんだよっていう、2つの意味を持った歌詞になっているんですよね。それから、僕が歌うパートは全部英語になっていて、だからすごく大変でした(笑)。
――たしかにテクニカルなパートになっていますね。
南 英語の発音が苦手で、それでニューヨークに住んでいるキアラさんという方にネイティブの英語を教えていただいたんですよ。メンバーそれぞれ1時間くらい教えていただくなかで、「ユウキ、その発音はこうだから」と直していただいて、僕にとってはすごく勉強になりました。「ユウキはもっと口を動かしたほうがいい、英語のラップをしたいなら口を豊かに使ったほうがいい」って言われて。
――口を豊かに、ですか。
南 「エミネム見たことある? もっとエミネムを観て学んだほうがいいよ」って。僕もエミネムは好きでライブも観ていて、エミネム以外にもラッパーのフロウなどは意識していましたけど、口の動きまでは意識して見ていなかったんですよね。なのでその教えをきっかけに(エミネムが主演の映画)『8マイル』を観直して研究して、それでレコーディングに臨めたので、今回だけじゃなく今後にも活かせるくらい成長させていただきました。
内田 僕は、キアラさんには英語だけではなく歌のうたい方も教えてもらいました。発音を意識しすぎて、キアラさんに「違うマサキ、“Just feeling”やねん」って。“Just feeling”って、優輝がラップしているフレーズなんですけど、「マサキは上手くしようとしすぎだ、歌詞を理解して感じろ」って。ちなみにキアラさんはめっちゃ関西弁です(笑)。
――歌詞を感じるような歌い方ですか。
内田 はい、それは日本語にも通じるなと思うんです。特に「Easy Peasy」はシリアスな、僕らの内面を表現した曲になるので。僕はパッションや声量で表現するタイプで、それがあるからこそ内田将綺だという表現方法だったんですけど、それをシリアスでもちゃんと表現できるように感じろって、それは英会話とは別の学びでしたね。
――続いては今回の収録曲で最初に先行配信されていた「My Side」について。
内田 この曲は男女の友情を描いた曲です。男女に関わらず友情というのは色んな形があって、僕ら5人も共同生活をして4年以上経つので、この曲を歌うのはすごく歌いやすかったです。友情を思い浮かべる人がこんなにも身近にいるので(笑)、そういう意味では臨みやすい楽曲でしたね。
相沢 自分にとって大切な人や、友人、メンバーももちろんそうなんですけど、自分にとってかけがえのないその人が何か辛いときや抱え込んでいるときに、「1人じゃないんだよ」っていうのを自分は伝えたくて。僕は1番も2番もBメロを歌っているんですけど、この曲も「Easy Peasy」も英語の歌詞が多くあって、両方とも感情込めて歌いつつ英語の発音も考えつつ、その言葉の意味も歌に乗せられるように意識して歌いました。そこは僕もキアラさんに色々指導していただいたので、自分なりに練習して、自分が表現したいものは表現できたかなと思います。聴いている人の背中を押せるような、いつも自分たちがいるんだよっていう事を伝えたくて歌いましたね。
――この曲では5人が渋谷を闊歩する映像が印象的なMVも制作されました。
内田 以前「Hit the City!!」という曲で渋谷で演技パートは撮らせていただいたんですけど、街なかに出て踊るというのは初めてで。今回はスクランブル交差点やビルの屋上でもで撮ったりして、これまでのMVとはまた違う、三次元での表現ができたかなと思います。
仲川 5人の仲の良さが出たMVかなと思いますね。序盤でセンター街を歩くシーンがあるんですけど、そこを5人で撮影しながら歩いているのが楽しくて、そこがすごく印象に残っています。
――そして5人での楽曲がもう1曲、「雲の切れ間」は前の2曲から一転してメロディアスな楽曲になりました。
南 この楽曲は久しぶりなくらい真っ直ぐなラブソングで、それもあってテンションが上がる部分がありましたね。あと今回はジュネスにしてはわかりやすいパート分けになっていて。ジュネスの楽曲って、メンバーが行ったり来たりするパート分けが多いんですけど、冒頭から2番の頭くらいまででちょうど5人それぞれのパートが聴き終わるみたいな構成になっています。僕がラップするまでのパートは結構グイグイきているというか、“その瞳も 白い頬も すべてが宝石みたいだね”とか真っ直ぐ愛を伝えているパートが多くて。
内田 ロマンチック。
南 でも僕のパートになって急に弱気になるんですよ。“このままの僕じゃ 不安で仕方がないんだ”って。そういう弱気になっちゃう自分もいるというのが僕の役割なのかなと思って、そこを自分の声質やラップで出せるように意識してレコーディングに臨みました。
星野 個人的な話になっちゃうんですけど、この曲ではサビを歌わせていただいたのですが、レコーディングのときに1番と2番を何回も何回も歌ったんです。個人的にいいなって思ったテイクでも「もう1回いこうか」と言われたりして、「なんでこんなに録るんだろう?」と思いながら、最後に大サビを歌ったんです。そしたら声が枯れてちゃって……それで歌い終わったあとにスタッフさんになぜあんなに録ったのかを訊いたら、作家さんが「わざとだったんだよね」って。
――わざと声をかすれさせた?
星野 そうなんです。「大サビはちょっとエモーショナルにしたいからわざと1番2番を多く歌ってもらいたかったんだよね、ごめんね」って。声は結構カスカスになっちゃったんですけど、おかげで1番2番では真っ直ぐ素直に想いを伝える、大サビでは体の内から絞り出して気持ちを伝える……という表現ができたと思いますし、こういうレコーディングもあるんだなって学びになりました。
新たな自分自身を見出す新曲たち
――そしてここからは、前作同様ソロやデュオでの楽曲が続きます。まずは蓮さんが作詞作曲を担当したソロ曲「予報通り、雨」です。
仲川 前回作った曲(「Echo」)は、トラックは全部が全部自分で作ったわけではないんですよね。リフだったりメインとなるトラックは作っていたんですけど、今回はトラックまで全部自分で作ったので、そういう部分では成長できたかなと思いますね。ほぼほぼ自分の中でイメージしたものを形にできたと思います。
――トリッキーなメロディが印象的な仕上がりですね。
仲川 元々はボカロ曲みたいなものを作ると決めて制作に取り掛かりました。ボカロなので人間らしくないメロにしようと思って、今までは自分の鼻歌で曲を作っていたんですけど、今回は完全にピアノで弾いてメロディを作ったので、あえて人が歌いにくいようなメロディになっています。レコーディングで自分の首を締めるような曲になりました(笑)。
――続いては勇仁さんのソロ「僕らのNew Day」です。前作(「Present Day」)でもそうでしたが、勇仁さんのソロ曲はトラックやリズムに合わせた歌唱が印象的ですね。
相沢 そう言っていただけて嬉しいです。自分でもこの曲をいただいたときからトラックがお洒落で大人の感じがしていたので、そのトラックやビートに合わせて自分も歌っていきたいなと思いつつ、自分の良さを出していけたらいいなと考えながら歌いました。ただ実際に歌ってみると、Aメロやサビの語尾や伸ばす長さもそうなんですけど、あえて短くして伸ばさないほうが気持ちいいだろうなと思って。
――語尾はあえてスッキリまとめる歌唱という感触ですね。
相沢 普通に歌ったり自分の良さを出すなら、もう少し伸ばしたほうが気持ち良くなったりするのをあえて切ることで、いただいた曲の良さ、トラックの良さというものを表現できるのかなって。あと、この楽曲の歌詞が、「何気ない生活のありふれた日常にあるものってどうしても感謝するのを忘れがちになっちゃうけど、些細なことでも目を向けて感謝してみると、すべてのことがありがたいことなんだよ」っていう内容なんですね。いつも自分のことを応援してくれるファンもそうだし、メンバーやスタッフの存在を当たり前に思わずに、自分も感謝の気持ちを忘れないように、明日も扉を開いて生きていけたらという明るい気持ちで歌いました。
――そして将綺さんの「ヨルガオ」。
内田 この曲をいただいたときに、「禁断の愛の曲です」と言われて、「俺、そんな柄じゃないですよね」って言ったんですけど……(笑)。タイトルと同じヨルガオという花があるんですけど、それは夜に咲く花で、“夜の思い出”“夜”“妖艶”という花言葉をもっていて。鮮明に覚えている相手の肌の感触を歌詞で表現したものなんです。
――まさに禁断の愛への、哀愁のようなものが感じられます。
内田 僕は後悔や未練といった感情もパッションで表現するタイプだと思ってるんですけど(笑)、この曲を歌う上では「魂が抜けたような歌い方をしてほしい」というディレクションがあって。最初スタジオに入ったときには、ザ・内田将綺で歌ってしまっていたんですけど、「それはちょっとパッショナブルすぎるので抑えましょう」と言われて、それで2テイク目も「抑えましょう」と言われ、で、どんどん抑えていって、内田将綺のなかでも本当に、存在しているかどうかわからないくらいのクールな部分で表現していきました。この曲は、僕が最初にレコーディングしたあとからどんどん音数が増えていって、ベースや重い音が増えていったんですよね。これは完全に僕の憶測なんですけど、僕がそのベースやビートを最初から聴いていたら、テンションが上げちゃうんじゃないか、なるべくライトな音で歌わせて無機質な音からベースを入れようかなっていう魂胆だったんじゃないかなって。そういうのは初めての作り方だったので、完成した音源を聴いたときは「なるほどな」と思いました。僕の歌に音を寄せていただくという新しい形は、今後も5人曲でも活かせそうだなと思いましたね。
――シンプルなトラックでレコーディングすることで、将綺さんの中の喪失感のようなものを引き出したというか。
内田 なので、これから僕は歌うたびに何かを失わなければならないのかも(笑)。
――こうした男の哀愁、非常にさまになっていますね。
内田 嬉しいです、そういう男を目指しているので……。
全員 (無言)
内田 いや、笑え笑え(笑)。
星野 こいつ適当なこと言ってます!(笑)。
進化の先に見据える3周年記念ライブへ
――続いては再び蓮さんの詞曲による「Scene」です。ここでは陽介さんとのデュエットになっていますが、元々陽介さんのボーカルを想定しての制作だったんですか?
仲川 想定はしていなくて、曲が出来上がったところで陽介に歌ってほしいなって決めました。
星野 まさかこういう大人の色気がある曲で、自分が選出されるとは思っていなかったので、結構びっくりしましたね。
内田 選出って、日本代表か(笑)。
星野 この曲は、蓮の本気度がすごくうかがえた曲だったんですよね。僕がこの曲を上手く歌えるように、「陽介はこういう人の歌い方でやってみたら?」っていう資料をYouTubeから引っ張ってくれて。ジェジュンさんみたいな音をたっぷり使う歌い方というか、ちゃんと間を使いながらメロディを感じて歌ってほしいって言われて、色んな動画を送ってくれました。あとはレコーディングの本番で当初はなかったハモリを急遽その場で入れてみたり。そうやって楽曲を作っていくうえでよりよいものにしようって、蓮が常に試行錯誤しているのを見ると、僕もその期待に応えられるようにすごく努力しましたし、それがいい作用になって、この曲が完成したと思います。蓮の本気度はすごかったです。
仲川 曲のクオリティも高いものにしたいし、メンバーの僕が作るということで、ほかのメンバーの声の良さというものをどの作家さんよりも自分が知っていると思うので、陽介の良さを頑張って引き出そうと思いましたね。
――それを受けて陽介さんのパフォーマンスはいかがでしたか?
内田 厳し目にいこう(笑)。
仲川 そうですね……AメロやBメロとパートごとに歌ってもらったんですけど、今回はこだわりすぎて全部20テイクくらい歌わせてしまって(笑)。終わったあとヘトヘトになっていたので、かわいそうなことをしたなと。
星野 僕は、ここでも最後らへんは声カスカスになっていました(笑)。でも僕の底上げをしてくれた、成長してくれた曲になったので、蓮には感謝しかないですし、この曲を通して今後レコーディングでも活かせたらと思います。次の曲は10テイクくらいに収めたいですね(笑)。
内田 それだけこだわりがあるっていうことだからね。この人、レコーディング終わったあと爆睡してましたもん(笑)。
星野 ほかのどのクリエイターさんよりも緊張しますね(笑)。メンバーだからこそ。優輝も『PUMP YOU UP!!』で蓮の曲(『ECHO』)を歌っていましたけど、最初のほうは声が震えていたもんね。
南 メンバーの曲だからこそ、その期待に応えられるかなって緊張しますよね。
星野 いい緊張感の中でレコーディングできました。
――そして最後の曲「Chilling Day」ですが、作編曲に有名DJ/クリエイターの福富幸宏さんを迎えました。しかも福富さんのトラックに優輝さんが歌詞を書くという。
南 本当にめちゃくちゃ緊張したんですけど、すごく優しい方で。最初はトラックとメロディも作っていただいたんですけど、「ラップのフロウによってメロディも変わってくると思うので、優輝くんがラップするんだから自分が好きなメロディに変えていいよ」って言ってくださって。それで自分が好きなようにメロディもつけさせていただいて、今回作詞も初めてだったんですけど、メロディまでやらせていただいて、すごく貴重な経験をさせていただきました。
――たしかにラップのパートでのフロウも多彩で、中盤の熱いフロウはMOROHAを思わせるような。
南 ああ、まさにそうですね。今回のアルバム全体を見たときに、大人っぽい曲が多くて、その中で自分が作詞する意味ってなんだろうなって思ったんですよ。元々僕はすごく生真面目で真っ直ぐな性格だと言われていて……。
内田 あと頑固で堅物で(笑)。
南 うん(笑)。だからこそ自分ができる曲を書きたくて。真っ直ぐストレートなリリックを書くことも、それもヒップホップだし、セルフボースティングとまではいかないですけど、自分の想いをぶつけるのがラッパーの一歩だなと思って、自分が思ったことをそのままぶつけようと。フロウも結構チルなトラックなので、そこに自分の印象もつけたくて、ポエトリーラップのMOROHAさんが好きなのもあって、そういう要素を入れたらハマるんじゃないかなということで2番目のヴァースで入れてみました。自分でも表現したいことが出せましたね。
――『PUMP YOU UP!!』という意欲作から半年後に、また個々のボーカルアプローチとしても進化が見られた『君と僕の唄』ですが、本作をリリースしたあとの秋には、大阪と東京でジュネスとしても最大規模となる3周年記念ライブが開催されます。およそ3ヵ月後ですが、そのライブに向けて、そして今後のジュネスの活動への意気込みをお願いします。
星野 残り3ヵ月しかないんですけど、3ヵ月で「前のツアーからこれだけ進化したんだ」って思わせるようなライブにしたいです。1分1秒自分たちのスキルアップに注いで、その成果を3周年ライブで皆さんに見せられたらなと思いますね。
相沢 4th LIVE TOURではいつも応援してくれるファンの皆さんや、いつも一緒にやっているメンバーやスタッフさんがいてくれるからこそ、自分たちのやりたいことをステージ上で好きな人たちの前で表現できるという感謝の気持ちを噛み締められました。3周年記念ライブは感謝の気持ちは変わらず、そこに自分たちの覚悟とかも含めてパフォーマンスで表現したいなと思っています。いつも応援してくれる人たちに少しでも恩返しがしたいですし、今後の学芸大青春の未来というものも見せたいと思っているので、そこは自分も楽しみにしています。
内田 今回のツアーでライブパフォーマンスという部分ではメンバー個々だったり学芸大青春としての感覚やスタイルというのはなんとなく出来上がってきたと思っていて。3周年記念ライブでもそれを、それこそ陽介が言ったような進化した姿を見せられたらと思ってます。それが僕らの目標や使命だと思っていますし、そのパフォーマンスのレベルに持っていくなかで、今回は会場も大きくなりますし、どれだけの人が観に来てくれるのかというのも課題だと思っているので。それこそ冒頭で言った男性ファンのような方も増えてほしいというのも、この3ヵ月間の僕たちの活動の仕方によって変わってくると思いますしね。とにかくひたむきに活動していくしかないと思っているので、この3ヵ月でどれだけの人を集められるか、どんな風にライブを楽しんでほしいかっていうのをこだわっていきたいと思います。
南 今回の7都市8公演を回ったツアーで、反省したものや課題として見つかったものはもちろん、3周年記念ライブでは自分たちのすべてをぶつけて、この先のジュネスがよりたくさんの人に知ってもらえるようなきっかけの公演になればいいなと思っています。あとは3周年ということで、ここまで僕たちを応援してきてくれたたくさんのファンの方たち、スタッフさん、クリエイターさんたちに、自分たちが少しでも成長した姿を見せることで、それが恩返しになるライブだと思うので、これまであまりやってこなかった曲も含めて、色んな楽曲をパフォーマンスできるライブにしたいと思います。
仲川 3周年に向かってもそうですし、それ以降もそうですけど、学芸大青春として、「ジュネスらしさ」というのを考えたときに、今は「二次元と三次元を行き来する」というビジュアル的な面に頼っている部分も大きいと思うんですよね。でも今後はそれだけじゃなくて、音楽のなかでもジュネスらしさを出したいです。元々は僕がピアノをやっていて作曲もやるようになりましたけど、このミニアルバム以降も僕がもっと制作に参加して、例えば全部の楽曲にピアノが入っていたら面白いんじゃないかなって。ピアノが入っているダンス曲という、それも学芸大青春らしさとして出していけたらいいなと思っているので、そういう挑戦も含めてどんどん僕たちの音楽を広げて、その過程で3周年ライブも成功できたらって思います。
INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
●リリース情報
『君と僕の唄』
2022年6月22日(水)発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
【通常盤(CD)】
品番:VOYZ-34
価格:¥2800(税込)
M1. Easy Peasy ※テレビ朝日系列全国放送「musicるTV」6月度オープニングテーマ
M2. My Side ※テレビ朝日系23局放送「BREAK OUT」5月度エンディング・トラック
M3. 雲の切れ間
M4. 予報通り、雨。- singing by Ren –
M5. 僕らのNew Day – singing by Yuto –
M6. ヨルガオ – singing by Masaki –
M7. Scene – singing by Yosuke & Ren –
M8. Chilling Day – singing by Yuki –
【完全生産限定盤A(CD+BD)】
品番:VOYZ-30,31
価格:¥6500(税込)
・通常盤共通内容CD
・Blu-ray / Behind the scenes footage of making 2 Music Videos
-「My Side」「Easy Peasy」のMusic Videoが完成するまで –
【完全生産限定盤B(CD+BD)】
品番:VOYZ-32,33
価格:¥6500(税込)
・通常盤共通内容CD
・Blu-ray / じゅねすの休日 Vol.2 -ドン・ペリニヨン 青春の味編 –
※3形態共通3周年記念ライブ最速先行抽選販売申込シリアル応募コード封入
●ライブ情報
学芸大青春・3周年記念ライブ
グランキューブ大阪
2022年9月23日(金・祝)
17:00開場 / 18:00開演予定
LINE CUBE SHIBUYA
2022年10月8日(土)
17:00開場 / 18:00開演予定
チケット
ピクチャー付きチケット(会場前方指定席):¥6,600(税込)
一般チケット(指定席):¥5,500(税込)
6月22日発売 2nd Mini Album『君と僕の唄』CD封入シリアル応募コード施策 最速先行抽選販売
ピクチャーチケット付きチケット(会場前方指定席)¥6,600(税込)
一般チケット(指定席)¥5,500(税込)
※当日の会場への入場は【会場入場電子チケット】を使用いたします。ピクチャーチケットは記念品となります。
応募受付期間:6月22日(水)12:00~7月10日(日)23:59
当選発表:7月15日(金)13:00
関連リンク
学芸大青春 公式サイト
https://gjunes.com/
学芸大青春 公式Twitter
https://twitter.com/GD_Junes
学芸大青春 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC5BJAjGD8n0Aa_xdZ5a5-Dg/
学芸大青春 公式TikTok
https://www.tiktok.com/@gdjs_official
学芸大青春 公式Instagram
https://www.instagram.com/g.junes_official_stock/
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