GARNiDELiAのボーカリストとして活躍するMARiAが、自身2枚目となるソロアルバム『Moments』を6月22日にリリース。現代のシティポップを奏でる注目バンド・evening cinemaの原田夏樹による提供曲や、歌い手のluzとの初コラボ曲など、前作『うたものがたり』で広げたシンガーとしての表現の幅をさらに拡張しつつ、MARiAらしさをしっかりと刻んだ全10曲。
一瞬の煌めき、その“瞬間”を切り取ったアルバム
――今回のアルバム、全体を通してすごくポジティブな作品になりましたね。
MARiA そうなんですよ!前作の『うたものがたり』はどん底みたいな曲もあったのに(笑)。今回はキラキラした曲が多くて、ポジティブなアルバムになりましたね。
――それは意図してそういう作品にしたのか、あるいは自然とそうなったのか。どちらでしょうか?
MARiA 自然とそうなりましたね。『うたものがたり』は初めてのソロ作品だったので、MARiA節をあえて封印することをテーマにしていたし、10曲それぞれ10組のアーティストや作家の方々に自分の個性を発揮してもらう作り方だったので、基本、私が(曲を)選ぶというよりも、決め打ちで「この曲をどうぞ!」といういただき方をしていたんです。でも、今回のアルバムは、色んな曲の中から私が「これだ!」と思ったものをチョイスすることが多くて。そうすると、自分が好きなもの、自分が今伝えたい気持ちが自然と投影されていくので、明るくてキラッとした感じの曲が多くなったのかも。
――なるほど。
MARiA そのなかでも、evening cinemaの原田(夏樹)くんが書いてくれた「Think Over」に超ビビッときて。この曲のデモは制作の最初の段階でもらったんですけど、これが今回のアルバムのテーマだなと思ってリード曲にした部分もありますし、ここを軸にほかの収録曲も選んでいったので、この曲のキラッと感に引っ張ってもらったところはありますね。
――「Think Over」は“ほんの一瞬を 駆け抜けるようにして”という歌詞で始まりますが、そのフレーズも今回のアルバムタイトルの『Moments』に繋がりますね。
MARiA 『Moments』というタイトルは、「Think Over」を聴いて決めました。そのフレーズがずっと頭から離れなくて(笑)。それに(アルバム収録曲のうち)6曲くらい出来上がったところで、日常の瞬間を切り取ったり、一瞬の煌めきを歌った歌詞が多かったこともあったので、誰もが経験したことのある瞬間を切り取った10章、というイメージが浮かんで。それで“瞬間”“一瞬”を全体のテーマにしました。少しキラッとした少女の一面だったり、大人っぽい女性の一面だったり、色んな瞬間を切り取ったアルバムだと思います。
――『うたものがたり』では本間昭光さんがプロデューサーとして入っていましたが、今回のアルバムはどのような体制で制作されたのでしょうか。
MARiA サウンドプロデューサーとしては、清水信之さんに立ってもらいました。ディレクションも全部信之さんがやってくださって。原田くんとの出会いも、信之さんがきっかけだったんですよ。信之さんはSNSとかで最近の音楽もめっちゃリサーチする人だから、「面白いバンドがいるんだよね、聴いてみて」みたいな感じで紹介してくれて。そこから曲を書いてもらうことになり、「Think Over」のデモが上がってきたときに、すごくグッときたんですよ。
――前作は全曲ラブソングという縛りがありましたが、今回は楽曲を制作するにあたって何かテーマを設けていましたか?
MARiA 今回は特にそういう縛りはなくて、それぞれの作家さんが思うMARiAに合うんじゃないかという曲、MARiAに歌わせたい楽曲を提示してくれて、そのなかから選んでいく感じでした。アルバムの前半は、誰もが経験したことのある気持ちの一瞬を切り取った曲が多いけど、後半は世界観が壮大になっていって。でも、どの曲も描写の仕方が違うだけで、言っていることは同じなんですよね。君のことが好きで、あなたと共に生きていくっていう。ガルニデ(GARNiDELiA)のときは描いている愛の規模があまりにも大きすぎて、女の子とかを超えて“MARiA”っていう概念みたいな存在感があるかもしれませんが、MARiAという人間が歌うと、結局は愛をテーマにして歌うことになるんだなあって思いましたね。
原田夏樹(evening cinema)との出会いがもたらした新たな一面
――今作のリリースを発表した際に、「こんな私もいるんだ!と制作中から自分で自分に驚くことも多かったです」とコメントされていましたが、アルバムの収録曲の中でとりわけ新しい自分を発見できた楽曲を挙げるとすれば?
MARiA それはやっぱり「Think Over」ですね。「Think Over」と「Long Distance」はサウンド的にも80’sっぽくてちょっと懐かしい感じだし、MARiAがこういうシティポップを歌うことは今までなかったので。これは原田くんに直接聞いたんですけど、私はいつもリズムも音もカッチカチにハメて、いかにズレることなくスクエアに歌えるかで勝負しているところがあるので、今回はリズムをちょっともたらせたり、ピッチも幅の中であえて外していくような歌い方をしたらどうなるのかを聴いてみたくて曲を書いた、っておっしゃってました。だからめっちゃ音で遊ぶ感じの曲なんですよね。
――たしかに。しかもそれが心地良いグルーヴ感を生んでいますよね。
MARiA そう、その駆け抜けている感じがめっちゃ気持ち良くて。それもまた『Moments』の「この瞬間を生きてる!」って感じがするし、シティポップでありながらエモーショナルな感じもあって、不思議なバランス感の曲ですよね。リズムは淡々と進んでいくんだけど、歌詞の世界観はすごく熱い。この駆け抜けている感じは私っぽいなと、自分でも思いましたね(笑)。
――歌うにあたっては、いつもと違うアプローチをしたのですか?
MARiA 「Think Over」も「Long Distance」もサウンド的に80’sっぽいので、カイリー・ミノーグやマドンナみたいに、強さで押していくというよりは、キュートで少しあざとい要素もある歌い方で作りたいなと思って。だから普段のMARiAよりもキラッと感が出るように、語尾をわざとらしくしゃくったり、キュートな響かせ方を意識しました。ぶりっ子なんだけど、エネルギッシュで熱さもある!っていう。歌詞も面白いですよね。だって“大抵ゾッコンだった”なんて言わないじゃないですか(笑)。
――ちょっと昭和っぽい言い回しですよね(笑)。
MARiA きっとそれもリバイバル的な感じで、あえて懐かしさと新しさを共存させてるんだと思いますけど。
――「Long Distance」はディスコっぽいテイストですよね。間奏のサックスとMARiAさんのフェイクの絡みもお洒落で。
MARiA 間奏のところは私も大好きで。レコーディングのときに原田くんが「フェイクやってみます?」って言うから「じゃあ原田くんも入れちゃえば?」ってなって、ディレクションしに来ただけなのに突然歌わされるっていう(笑)。「Think Over」と「Long Distance」に入っている男の人の歌声は原田くんなんですよ。ライブ(7月3日に開催されるMARiAのワンマンライブ“MARiA MUSIC LAND 2022 -Moments-”)にもevening cinemaがゲストに来てくれるので、楽しみですね。
――MARiAさんの歌声も、特にサビのところがすごく愛に溢れていて素敵です。
MARiA ありがとうございます!この曲、すっごくハートフルなんですよ。なので私もキラキラを炸裂させる歌い方をしました。今回のアルバムは、強く押すよりも抜け感を意識していたり、柔らかいんだけど耳に残ることを意識して歌っている曲が多いかな。眩しく輝いている部分が見えるといいなと思いながら歌いましたね。
――では逆に、今作で特に自分らしさ・MARiAらしさが出たと感じる曲は?
MARiA 「Galactic Wind」は自分で作詞しているので当然自分が出ているけど、それ以外だと「Star Rock」は私っぽいと思いますね。この曲を受け取ったとき、自分がステージで歌っている絵がバッと浮かんで。もうライブの画が見えているんですよ。最初はシルエットで出てきて、そこからバーンって歌うみたいな。それがやりたいがためにこの曲を選んだところもあります(笑)。
――ダンサブルなサウンドはもちろん、ありのままの自分を肯定するような内容の歌詞もMARiAさんっぽいですよね。
MARiA “どこか窮屈なこの世界で ただ待つのはやめたわ!”とか。もはや私が書いてそうですもんね(笑)。やっぱりパワフルでエネルギッシュなのが私なんだろうなと思っていて。元々、自分の中身が前向きでポジティブだし、伝えたいこともそういうことだから。あと、星がモチーフのところも私っぽいですね。「Asterisk」もそうだけど、意図せずして色々とリンクしているところがあって。
――きっとMARiAさん自身に星のイメージがあるんじゃないですかね。人柄は太陽のように明るいですけど、歌声的には切ない曲調が似合う声質なので、その印象が合わさった結果、星や月のモチーフが合うのかなと。
MARiA きっと昼というよりも、夜を照らす人なんでしょうね。自分ではわからないけど、ほかの人から見るとそういうイメージがあるのかもしれない。でも、キラキラはしていたいですね(笑)。
――先ほど話題にあがった「Galactic Wind」は、tokuさんが作編曲ということで、ガルニデと同じ体制で作った曲になりますが、いつもと変化はありましたか?
MARiA やり方も作り方もガルニデそのものでしたね(笑)。でも結果的に「Galactic Wind」が入っていても浮かないアルバムになっているということは、このアルバム自体に私っぽさが出ているんだろうなと自分でも納得していて。この曲の歌詞と「Star Rock」の歌詞もだいぶ近しいですし、これまた意図せず引き寄せてるんだろうなと思います。
――自然とMARiAさんらしさが浮かび上がってくるアルバムになっていると。
MARiA 曲を集めていくなかで徐々に見えてきたんですよね。出来上がっていくにつれて、どの曲にも共通点がめっちゃあるなと思って。今回は前作よりも自分が踏み込んで選んだ部分もあるし、歌詞に関しても「こういうテイストを入れてほしい」という話は制作段階でしていたので、MARiA節が効いてる……というか、もうこれはMARiAだよねっていう(笑)。
luz・堀江晶太との初コラボ曲「カフェラテのうた」
――そんなアルバムのなかでも目玉となっているのが「カフェラテのうた feat. luz」。luzさんとの初コラボによる男女デュエット曲になっています。
MARiA luzくんとは元々仲良しで、3年くらい前から「コラボできたら面白いよね」っていう話をしていたんですよ。で、機会を伺っていたなかで、私のソロアルバムの話が持ち上がり、しかも今はレーベルメイトなので、ぜひやりましょうということになって。楽曲は、luzくんが最近よく組んでいる堀江(晶太)くんにお願いしたんですけど、私、堀江くんとも初めてだったんですよね。逆に「なんで今までやったことがないんだろう?」と思うくらい、界隈的にはすごく近いところにいたんですけど。自分のソロアルバムだからこそできた組み合わせ、ありそうでなかった三角コラボになりました。
――ということは、この曲はluzさんとデュエットすること前提で作ったのですか?
MARiA はい。まずluzくんと堀江くんと3人でミーティングして、2人とも声質的にアダルティな楽曲が合うので「私たちが組むなら絶対にエロいやつやるしかないでしょ」みたいな話になって(笑)。歌詞の内容的には「男女の駆け引き」「夜っぽさ」「セクシーな雰囲気」、ジャンル的にはジャジーな方向性がハマるだろうということになり、その要素を全部回収して堀江くんが作ってくれました。堀江くんは即答で「わかった、オッケー」って感じだったので、さすがだなと思って(笑)。
――細かく説明せずとも汲み取ってくれると言いますか。心強いですね。
MARiA しかも私たち3人全員ネットカルチャーで生きてきたので、その強みを全部出した曲、ネット民も好きだけど、さらにリアルでもカラオケで歌いたくなるような曲にしよう!という話になって。だから私たちが当時ネットで盛り上がっていた時代の雰囲気も少し引っ張り出してきて、今までの流れを全部踏襲したフルコースみたいな曲になりました(笑)。
――「カフェラテのうた」ということで、男女の混ざり合う関係性をカフェラテに例えているところも面白いですよね。
MARiA そう、コーヒーとミルクに比喩していて。あと、こんなにかわいいタイトルなのに、そんな内容の曲なのかーい!っていう(笑)。良い意味で裏切っていく絶妙なギャップ感が面白いし、みんなに意味を考えさせて最後に「なるほど!」ってなるところもネットカルチャーっぽいな曲になったなぁと思いますね。
――レコーディングはluzさんと一緒に歌われたのですか?
MARiA はい。堀江くんもディレクションで来てくれたので、3人とも現場にいました。超豪華ですよね、ミニ“超パ(ニコニコ超パーティー)”ができますよ(笑)。私は元々ジャズやスウィング系は得意なので先行で歌を録って、そこにluzくんが歌を重ねてくれて、さらにコーラスとかを足していきました。吐息のギミックもたくさん入れていて、3人分のMARiAの吐息を重ねて隙間に入れていたりするので、ぜひイヤホンで聴いてほしいです。
――もはやASMR的ですね。
MARiA いやホントに!「これはどっちの吐息か?」って当ててほしい。吐息チャレンジ(笑)。ほかにも声色をめっちゃ変えてみたり、歌い手だからこその手法や遊びもたくさん入っていて。3人で超ワイワイやりながら録りました。それぞれの場所で活動している3人が集って、それぞれの技を組み合わせていく感じが面白くて、なんだかプロデューサーが3人いる感じでしたね(笑)。お互いのお客さんも楽しんで聴けるコラボになったと思います。
「一緒に行くんだよ」――今のMARiAが歌を通じて伝えたい想い
――アルバムの後半は壮大な曲調のものが多くなっていて、なかでも「Asterisk」は星がモチーフということを含め、従来のMARiAさんのイメージに近いナンバーです。
MARiA エモーショナルで熱い曲ですよね。ドラマチックだしダイナミック。この曲を作ってくれた早川(博隆)くんは、前作の「ガラスの鐘」も作ってくれたんですけど、私はその曲がすごく好きということで、今回早川くんからもデモを何曲かもらって。そのなかでも「Asterisk」が一番早川くん節が炸裂していたので選びました。彼はキャッチーなのにすごく難しい曲を書いてくるんですよね(笑)。この曲も「人間に歌わせようと思って書いてないでしょ!?」って思うくらいで……ウワーッてなりながら歌ったんですけど、でもそれもMARiAらしさだなと思っていて。それこそじんくんと一緒にやったときも、前作の(草野)華余子さんとの曲(「おろかものがたり」)もそうだったけど、あまりに人間技ではない曲もたくさん歌ってきたから(笑)。これは無理だろうというような曲も「やってやるぜ!」ってなるのが私なんですよね。「できない」とは言わないみたいな。
――そんなMARiAさんだからこそ、作家の皆さんも難しい曲を書いてくるんでしょうね。
MARiA お願いだからみんな優しくして!(笑)。でも「MARiAならいけるでしょ!」っていうのも嬉しいんですよね。楽しくなっちゃうからしょうがない。今回レコーディングに来てくれた作家さんは総じて、歌を聴いているのが楽しいと言ってくれて。みんなが「またやろうね!」と言ってくれるのがすごく嬉しかったですね。
――そして9曲目の「Pray」は、ケルト音楽っぽい要素を取り入れた、MARiAさんの楽曲としては珍しい世界観のナンバー。
MARiA この曲は「メメントモリ」というゲームのキャラクターソングという立ち位置で、楽曲もゲームの制作チームの方に作っていただいたからこそ生まれた、普段あまり触れないジャンルの曲になっています。でも、自分的には「私の声に結構ハマるかも」と思ったんですよ。私にはEDMとかデジタルなイメージがあると思うんですけど、実はファンタジー的な世界観もすごく好きなんですよね。そういうゲームもよくやるし、魔法とかもすごく好きなので。少女のときからそういうのが好きで、変身願望もあるからこそ、衣装も色々なものを着ているところがありますね。
――新しい扉を開きつつ、自分自身の中に元々あったものを表現できた曲になったと。そしてアルバムを締め括るのが、エモーショナルなミディアムナンバー「Labyrinth」。このアルバムの中では珍しく、やや重たいトーンの曲ですが。
MARiA でも最後はちゃんと「希望」で終わるんですよ。悲しいだけで終わらせないのは、自分で歌詞を書くときもずっとテーマにしていることで。もがいて迷っても強く生きていくというのは、私が歌い続けているテーマの1つだから、「共に生きていこう」で終わるこの「Labyrinth」は、聴いた瞬間に「これは絶対に(アルバムの)最後の曲にする!」って思いましたね。
――ビジョンが見えたわけですね。
MARiA それに、今の私の心境というか、このご時勢的にもハマっているところがちょっとあって。色々と迷って、信じたいけど信じられない気持ち、それでも君の手を離さないで一緒に進んでいくよ、っいうのは、自分がステージで常に言いたいことでもあるから。
――MARiAさん自身も、コロナ禍以降、迷いを感じる瞬間があったわけですか?
MARiA そうですね。でも『Duality Code』(2021年リリースのGARNiDELiAのアルバム)の曲を書いて吹っ切れたところもあるんですよ。ツアーもようやく完走することができたし、今までよりも前に進めていることはわかるけど、とはいえ、世界が完全に戻ったわけでもなく……というか自分はもう「戻す・戻さない」ではなく、新しい世界になっていくということだと思うので。過去のことを言っても仕方ないというのは『Duality Code』で表現できたし、今は「新しい未来をみんなと作っていかなくちゃ」という気持ちにシフトしているから、「新しい未来に一緒に行くんだよ」っていうことを言いたいんだと思う。
――そういった心境と、「Labyrinth」の歌詞がシンクロしたからこそ、この楽曲をアルバムのラストに選んだと。
MARiA そうなんです。これも引き寄せたのかもしれないですね、面白いことに。今回のアルバムは曲調やジャンルの幅は結構ありますけど、言いたいことは一貫していて、“あなた”に向けて歌っている曲ばかりなんですよね。私は(相手の)顔が浮かばないと(曲を)書けなくて。だからライブがすごく大事だし、好きなんですけど、今回はそれがちゃんと集まったアルバムになっていて。自分で曲を書かなくてもMARiAになるっていうのが、不思議ですよね。
――そんなアルバムを携えて、7月3日にはワンマンライブ“MARiA MUSIC LAND 2022 -Moments-”が行われます。どんなライブになりそうですか?
MARiA 『Moments』は音楽の遊び場というか、音楽ってめっちゃ楽しいということを改めて再確認できたアルバムだったんですよね。ガルニデのライブは“stellacage”というタイトルで、目でも耳でも楽しんでもらうことをモットーに掲げているけど、じゃあMARiAとしてのライブでは何を掲げていこう?となったときに、やっぱり総合エンタメでありたいから、“MUSIC LAND”という言葉が浮かんで。要は「音の遊園地」みたいなイメージ、「すごい!夢の国みたいにキラキラしてる!」っていうのを体現できるライブにしていきたくて。その第一歩として、“MARiA MUSIC LAND 2022 -Moments-”というタイトルにしました。今回のアルバムはライブ映えする曲ばかりなので、ライブで化けると思うし、1回限りのライブなので、この“瞬間”、この“Moments”にかけて頑張りたいと思います!
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
●リリース情報
MARiA 2nd アルバム
『Moments』
2022年6月22日(水)リリース
※音楽配信/サブスクリプションサービスも同時スタート
https://lnk.to/MARiA_Moments
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:PCCA-06134
価格:¥4,950(税込)
【通常盤(CD)】
品番:PCCA-06135
価格:¥3,300(税込)
<収録内容>※初回限定盤・通常盤共通
01.Think Over
作詞・作曲・編曲 : 原田夏樹
02.Star Rock
作詞:鈴木エレカ 作曲:Carlos K., nana hatori 編曲:Carlos K
03. Long Distance
作詞・作曲・編曲 : 原田夏樹
04. カフェラテのうた feat. luz
作詞:堀江晶太、luz 作曲・編曲:堀江晶太
05. 君といたい
作詞:nine, Carlos K. 作曲・編曲:Carlos K., ygarshy
06. Heartbreaker
作詞 : 早川博隆 作曲 : 早川博隆、古峰拓真 編曲 : 古峰拓真
07. Galactic Wind
作詞:メイリア 作曲・編曲:toku
08. Asterisk
作詞 : 中原徹也 作曲・編曲 : 早川博隆
09. Pray
作詞・作曲:BOI 編曲:高木龍一
10. Labyrinth
作詞:金子麻友美 作曲:久下真音、金子麻友美 編曲:久下真音
<初回限定盤Blu-ray収録内容>
Think Over -Music Video-
カフェラテのうた feat. luz -Music Video-
Behind The Scenes of “Think Over”
Behind The Scenes of “カフェラテのうた feat. luz”
■MARiA「Moments」店舗別オリジナル特典
・Amazon.co.jp
メガジャケ(形態別絵柄)
・きゃにめ、PCSHOP、魔法都市
オリジナル・ブロマイド(Type-A)
・楽天ブックス
オリジナル・ブロマイド(Type-B)
・タワーレコードおよびTOWER mini全店、タワーレコード オンライン
オリジナル・ブロマイド(Type-C)
・全国アニメイト(通販含む)
オリジナル・ブロマイド(Type-D)
・Neowing / CDJapan
オリジナル・ブロマイド(Type-E)
・その他法人
オリジナル・ブロマイド(Type-F)
※特典は先着の付与となりますので、なくなり次第終了となります。 予めご了承ください。
※一部店舗に取扱いのない店舗がございますので、ご予約・ご購入時にご確認ください。
※ECサイトでご予約の場合、特典付き商品をご希望の場合は必ず特典付きカートからご注文下さい。
(一部ECサイトでは予約済み商品がキャンセル不可の場合がございますのでご注意ください)
関連リンク
MARiA「Moments」特設サイト
https://www.garnidelia.com/special/maria_moments/
MARiA 公式Twitter
https://twitter.com/MARiA_GRND
彼女の今この瞬間の輝きが詰まった本作について、たっぷりと話を聞いた。
一瞬の煌めき、その“瞬間”を切り取ったアルバム
――今回のアルバム、全体を通してすごくポジティブな作品になりましたね。
MARiA そうなんですよ!前作の『うたものがたり』はどん底みたいな曲もあったのに(笑)。今回はキラキラした曲が多くて、ポジティブなアルバムになりましたね。
――それは意図してそういう作品にしたのか、あるいは自然とそうなったのか。どちらでしょうか?
MARiA 自然とそうなりましたね。『うたものがたり』は初めてのソロ作品だったので、MARiA節をあえて封印することをテーマにしていたし、10曲それぞれ10組のアーティストや作家の方々に自分の個性を発揮してもらう作り方だったので、基本、私が(曲を)選ぶというよりも、決め打ちで「この曲をどうぞ!」といういただき方をしていたんです。でも、今回のアルバムは、色んな曲の中から私が「これだ!」と思ったものをチョイスすることが多くて。そうすると、自分が好きなもの、自分が今伝えたい気持ちが自然と投影されていくので、明るくてキラッとした感じの曲が多くなったのかも。
――なるほど。
MARiA そのなかでも、evening cinemaの原田(夏樹)くんが書いてくれた「Think Over」に超ビビッときて。この曲のデモは制作の最初の段階でもらったんですけど、これが今回のアルバムのテーマだなと思ってリード曲にした部分もありますし、ここを軸にほかの収録曲も選んでいったので、この曲のキラッと感に引っ張ってもらったところはありますね。
――「Think Over」は“ほんの一瞬を 駆け抜けるようにして”という歌詞で始まりますが、そのフレーズも今回のアルバムタイトルの『Moments』に繋がりますね。
MARiA 『Moments』というタイトルは、「Think Over」を聴いて決めました。そのフレーズがずっと頭から離れなくて(笑)。それに(アルバム収録曲のうち)6曲くらい出来上がったところで、日常の瞬間を切り取ったり、一瞬の煌めきを歌った歌詞が多かったこともあったので、誰もが経験したことのある瞬間を切り取った10章、というイメージが浮かんで。それで“瞬間”“一瞬”を全体のテーマにしました。少しキラッとした少女の一面だったり、大人っぽい女性の一面だったり、色んな瞬間を切り取ったアルバムだと思います。
――『うたものがたり』では本間昭光さんがプロデューサーとして入っていましたが、今回のアルバムはどのような体制で制作されたのでしょうか。
MARiA サウンドプロデューサーとしては、清水信之さんに立ってもらいました。ディレクションも全部信之さんがやってくださって。原田くんとの出会いも、信之さんがきっかけだったんですよ。信之さんはSNSとかで最近の音楽もめっちゃリサーチする人だから、「面白いバンドがいるんだよね、聴いてみて」みたいな感じで紹介してくれて。そこから曲を書いてもらうことになり、「Think Over」のデモが上がってきたときに、すごくグッときたんですよ。
なので原田くんには当初は1曲だけお願いする予定だったんですけど、もう1曲お願いして、「Long Distance」も書いてもらいました。
――前作は全曲ラブソングという縛りがありましたが、今回は楽曲を制作するにあたって何かテーマを設けていましたか?
MARiA 今回は特にそういう縛りはなくて、それぞれの作家さんが思うMARiAに合うんじゃないかという曲、MARiAに歌わせたい楽曲を提示してくれて、そのなかから選んでいく感じでした。アルバムの前半は、誰もが経験したことのある気持ちの一瞬を切り取った曲が多いけど、後半は世界観が壮大になっていって。でも、どの曲も描写の仕方が違うだけで、言っていることは同じなんですよね。君のことが好きで、あなたと共に生きていくっていう。ガルニデ(GARNiDELiA)のときは描いている愛の規模があまりにも大きすぎて、女の子とかを超えて“MARiA”っていう概念みたいな存在感があるかもしれませんが、MARiAという人間が歌うと、結局は愛をテーマにして歌うことになるんだなあって思いましたね。
原田夏樹(evening cinema)との出会いがもたらした新たな一面
――今作のリリースを発表した際に、「こんな私もいるんだ!と制作中から自分で自分に驚くことも多かったです」とコメントされていましたが、アルバムの収録曲の中でとりわけ新しい自分を発見できた楽曲を挙げるとすれば?
MARiA それはやっぱり「Think Over」ですね。「Think Over」と「Long Distance」はサウンド的にも80’sっぽくてちょっと懐かしい感じだし、MARiAがこういうシティポップを歌うことは今までなかったので。これは原田くんに直接聞いたんですけど、私はいつもリズムも音もカッチカチにハメて、いかにズレることなくスクエアに歌えるかで勝負しているところがあるので、今回はリズムをちょっともたらせたり、ピッチも幅の中であえて外していくような歌い方をしたらどうなるのかを聴いてみたくて曲を書いた、っておっしゃってました。だからめっちゃ音で遊ぶ感じの曲なんですよね。
――たしかに。しかもそれが心地良いグルーヴ感を生んでいますよね。
歌詞の内容も、新しい場所に勢いよく飛び込んでいくようなワクワク感があって。
MARiA そう、その駆け抜けている感じがめっちゃ気持ち良くて。それもまた『Moments』の「この瞬間を生きてる!」って感じがするし、シティポップでありながらエモーショナルな感じもあって、不思議なバランス感の曲ですよね。リズムは淡々と進んでいくんだけど、歌詞の世界観はすごく熱い。この駆け抜けている感じは私っぽいなと、自分でも思いましたね(笑)。
――歌うにあたっては、いつもと違うアプローチをしたのですか?
MARiA 「Think Over」も「Long Distance」もサウンド的に80’sっぽいので、カイリー・ミノーグやマドンナみたいに、強さで押していくというよりは、キュートで少しあざとい要素もある歌い方で作りたいなと思って。だから普段のMARiAよりもキラッと感が出るように、語尾をわざとらしくしゃくったり、キュートな響かせ方を意識しました。ぶりっ子なんだけど、エネルギッシュで熱さもある!っていう。歌詞も面白いですよね。だって“大抵ゾッコンだった”なんて言わないじゃないですか(笑)。
――ちょっと昭和っぽい言い回しですよね(笑)。
MARiA きっとそれもリバイバル的な感じで、あえて懐かしさと新しさを共存させてるんだと思いますけど。
「Long Distance」の“あぁ 血肉になるよ”も耳を惹くし、ただかわいいだけじゃないワードチョイスが面白いバランスだなあって。
――「Long Distance」はディスコっぽいテイストですよね。間奏のサックスとMARiAさんのフェイクの絡みもお洒落で。
MARiA 間奏のところは私も大好きで。レコーディングのときに原田くんが「フェイクやってみます?」って言うから「じゃあ原田くんも入れちゃえば?」ってなって、ディレクションしに来ただけなのに突然歌わされるっていう(笑)。「Think Over」と「Long Distance」に入っている男の人の歌声は原田くんなんですよ。ライブ(7月3日に開催されるMARiAのワンマンライブ“MARiA MUSIC LAND 2022 -Moments-”)にもevening cinemaがゲストに来てくれるので、楽しみですね。
――MARiAさんの歌声も、特にサビのところがすごく愛に溢れていて素敵です。
MARiA ありがとうございます!この曲、すっごくハートフルなんですよ。なので私もキラキラを炸裂させる歌い方をしました。今回のアルバムは、強く押すよりも抜け感を意識していたり、柔らかいんだけど耳に残ることを意識して歌っている曲が多いかな。眩しく輝いている部分が見えるといいなと思いながら歌いましたね。
――では逆に、今作で特に自分らしさ・MARiAらしさが出たと感じる曲は?
MARiA 「Galactic Wind」は自分で作詞しているので当然自分が出ているけど、それ以外だと「Star Rock」は私っぽいと思いますね。この曲を受け取ったとき、自分がステージで歌っている絵がバッと浮かんで。もうライブの画が見えているんですよ。最初はシルエットで出てきて、そこからバーンって歌うみたいな。それがやりたいがためにこの曲を選んだところもあります(笑)。
――ダンサブルなサウンドはもちろん、ありのままの自分を肯定するような内容の歌詞もMARiAさんっぽいですよね。
MARiA “どこか窮屈なこの世界で ただ待つのはやめたわ!”とか。もはや私が書いてそうですもんね(笑)。やっぱりパワフルでエネルギッシュなのが私なんだろうなと思っていて。元々、自分の中身が前向きでポジティブだし、伝えたいこともそういうことだから。あと、星がモチーフのところも私っぽいですね。「Asterisk」もそうだけど、意図せずして色々とリンクしているところがあって。
私が引き寄せたんですかね?
――きっとMARiAさん自身に星のイメージがあるんじゃないですかね。人柄は太陽のように明るいですけど、歌声的には切ない曲調が似合う声質なので、その印象が合わさった結果、星や月のモチーフが合うのかなと。
MARiA きっと昼というよりも、夜を照らす人なんでしょうね。自分ではわからないけど、ほかの人から見るとそういうイメージがあるのかもしれない。でも、キラキラはしていたいですね(笑)。
――先ほど話題にあがった「Galactic Wind」は、tokuさんが作編曲ということで、ガルニデと同じ体制で作った曲になりますが、いつもと変化はありましたか?
MARiA やり方も作り方もガルニデそのものでしたね(笑)。でも結果的に「Galactic Wind」が入っていても浮かないアルバムになっているということは、このアルバム自体に私っぽさが出ているんだろうなと自分でも納得していて。この曲の歌詞と「Star Rock」の歌詞もだいぶ近しいですし、これまた意図せず引き寄せてるんだろうなと思います。
――自然とMARiAさんらしさが浮かび上がってくるアルバムになっていると。
MARiA 曲を集めていくなかで徐々に見えてきたんですよね。出来上がっていくにつれて、どの曲にも共通点がめっちゃあるなと思って。今回は前作よりも自分が踏み込んで選んだ部分もあるし、歌詞に関しても「こういうテイストを入れてほしい」という話は制作段階でしていたので、MARiA節が効いてる……というか、もうこれはMARiAだよねっていう(笑)。
luz・堀江晶太との初コラボ曲「カフェラテのうた」
――そんなアルバムのなかでも目玉となっているのが「カフェラテのうた feat. luz」。luzさんとの初コラボによる男女デュエット曲になっています。
MARiA luzくんとは元々仲良しで、3年くらい前から「コラボできたら面白いよね」っていう話をしていたんですよ。で、機会を伺っていたなかで、私のソロアルバムの話が持ち上がり、しかも今はレーベルメイトなので、ぜひやりましょうということになって。楽曲は、luzくんが最近よく組んでいる堀江(晶太)くんにお願いしたんですけど、私、堀江くんとも初めてだったんですよね。逆に「なんで今までやったことがないんだろう?」と思うくらい、界隈的にはすごく近いところにいたんですけど。自分のソロアルバムだからこそできた組み合わせ、ありそうでなかった三角コラボになりました。
――ということは、この曲はluzさんとデュエットすること前提で作ったのですか?
MARiA はい。まずluzくんと堀江くんと3人でミーティングして、2人とも声質的にアダルティな楽曲が合うので「私たちが組むなら絶対にエロいやつやるしかないでしょ」みたいな話になって(笑)。歌詞の内容的には「男女の駆け引き」「夜っぽさ」「セクシーな雰囲気」、ジャンル的にはジャジーな方向性がハマるだろうということになり、その要素を全部回収して堀江くんが作ってくれました。堀江くんは即答で「わかった、オッケー」って感じだったので、さすがだなと思って(笑)。
――細かく説明せずとも汲み取ってくれると言いますか。心強いですね。
MARiA しかも私たち3人全員ネットカルチャーで生きてきたので、その強みを全部出した曲、ネット民も好きだけど、さらにリアルでもカラオケで歌いたくなるような曲にしよう!という話になって。だから私たちが当時ネットで盛り上がっていた時代の雰囲気も少し引っ張り出してきて、今までの流れを全部踏襲したフルコースみたいな曲になりました(笑)。
――「カフェラテのうた」ということで、男女の混ざり合う関係性をカフェラテに例えているところも面白いですよね。
MARiA そう、コーヒーとミルクに比喩していて。あと、こんなにかわいいタイトルなのに、そんな内容の曲なのかーい!っていう(笑)。良い意味で裏切っていく絶妙なギャップ感が面白いし、みんなに意味を考えさせて最後に「なるほど!」ってなるところもネットカルチャーっぽいな曲になったなぁと思いますね。
――レコーディングはluzさんと一緒に歌われたのですか?
MARiA はい。堀江くんもディレクションで来てくれたので、3人とも現場にいました。超豪華ですよね、ミニ“超パ(ニコニコ超パーティー)”ができますよ(笑)。私は元々ジャズやスウィング系は得意なので先行で歌を録って、そこにluzくんが歌を重ねてくれて、さらにコーラスとかを足していきました。吐息のギミックもたくさん入れていて、3人分のMARiAの吐息を重ねて隙間に入れていたりするので、ぜひイヤホンで聴いてほしいです。
――もはやASMR的ですね。
MARiA いやホントに!「これはどっちの吐息か?」って当ててほしい。吐息チャレンジ(笑)。ほかにも声色をめっちゃ変えてみたり、歌い手だからこその手法や遊びもたくさん入っていて。3人で超ワイワイやりながら録りました。それぞれの場所で活動している3人が集って、それぞれの技を組み合わせていく感じが面白くて、なんだかプロデューサーが3人いる感じでしたね(笑)。お互いのお客さんも楽しんで聴けるコラボになったと思います。
「一緒に行くんだよ」――今のMARiAが歌を通じて伝えたい想い
――アルバムの後半は壮大な曲調のものが多くなっていて、なかでも「Asterisk」は星がモチーフということを含め、従来のMARiAさんのイメージに近いナンバーです。
MARiA エモーショナルで熱い曲ですよね。ドラマチックだしダイナミック。この曲を作ってくれた早川(博隆)くんは、前作の「ガラスの鐘」も作ってくれたんですけど、私はその曲がすごく好きということで、今回早川くんからもデモを何曲かもらって。そのなかでも「Asterisk」が一番早川くん節が炸裂していたので選びました。彼はキャッチーなのにすごく難しい曲を書いてくるんですよね(笑)。この曲も「人間に歌わせようと思って書いてないでしょ!?」って思うくらいで……ウワーッてなりながら歌ったんですけど、でもそれもMARiAらしさだなと思っていて。それこそじんくんと一緒にやったときも、前作の(草野)華余子さんとの曲(「おろかものがたり」)もそうだったけど、あまりに人間技ではない曲もたくさん歌ってきたから(笑)。これは無理だろうというような曲も「やってやるぜ!」ってなるのが私なんですよね。「できない」とは言わないみたいな。
――そんなMARiAさんだからこそ、作家の皆さんも難しい曲を書いてくるんでしょうね。
MARiA お願いだからみんな優しくして!(笑)。でも「MARiAならいけるでしょ!」っていうのも嬉しいんですよね。楽しくなっちゃうからしょうがない。今回レコーディングに来てくれた作家さんは総じて、歌を聴いているのが楽しいと言ってくれて。みんなが「またやろうね!」と言ってくれるのがすごく嬉しかったですね。
――そして9曲目の「Pray」は、ケルト音楽っぽい要素を取り入れた、MARiAさんの楽曲としては珍しい世界観のナンバー。
MARiA この曲は「メメントモリ」というゲームのキャラクターソングという立ち位置で、楽曲もゲームの制作チームの方に作っていただいたからこそ生まれた、普段あまり触れないジャンルの曲になっています。でも、自分的には「私の声に結構ハマるかも」と思ったんですよ。私にはEDMとかデジタルなイメージがあると思うんですけど、実はファンタジー的な世界観もすごく好きなんですよね。そういうゲームもよくやるし、魔法とかもすごく好きなので。少女のときからそういうのが好きで、変身願望もあるからこそ、衣装も色々なものを着ているところがありますね。
――新しい扉を開きつつ、自分自身の中に元々あったものを表現できた曲になったと。そしてアルバムを締め括るのが、エモーショナルなミディアムナンバー「Labyrinth」。このアルバムの中では珍しく、やや重たいトーンの曲ですが。
MARiA でも最後はちゃんと「希望」で終わるんですよ。悲しいだけで終わらせないのは、自分で歌詞を書くときもずっとテーマにしていることで。もがいて迷っても強く生きていくというのは、私が歌い続けているテーマの1つだから、「共に生きていこう」で終わるこの「Labyrinth」は、聴いた瞬間に「これは絶対に(アルバムの)最後の曲にする!」って思いましたね。
――ビジョンが見えたわけですね。
MARiA それに、今の私の心境というか、このご時勢的にもハマっているところがちょっとあって。色々と迷って、信じたいけど信じられない気持ち、それでも君の手を離さないで一緒に進んでいくよ、っいうのは、自分がステージで常に言いたいことでもあるから。
――MARiAさん自身も、コロナ禍以降、迷いを感じる瞬間があったわけですか?
MARiA そうですね。でも『Duality Code』(2021年リリースのGARNiDELiAのアルバム)の曲を書いて吹っ切れたところもあるんですよ。ツアーもようやく完走することができたし、今までよりも前に進めていることはわかるけど、とはいえ、世界が完全に戻ったわけでもなく……というか自分はもう「戻す・戻さない」ではなく、新しい世界になっていくということだと思うので。過去のことを言っても仕方ないというのは『Duality Code』で表現できたし、今は「新しい未来をみんなと作っていかなくちゃ」という気持ちにシフトしているから、「新しい未来に一緒に行くんだよ」っていうことを言いたいんだと思う。
――そういった心境と、「Labyrinth」の歌詞がシンクロしたからこそ、この楽曲をアルバムのラストに選んだと。
MARiA そうなんです。これも引き寄せたのかもしれないですね、面白いことに。今回のアルバムは曲調やジャンルの幅は結構ありますけど、言いたいことは一貫していて、“あなた”に向けて歌っている曲ばかりなんですよね。私は(相手の)顔が浮かばないと(曲を)書けなくて。だからライブがすごく大事だし、好きなんですけど、今回はそれがちゃんと集まったアルバムになっていて。自分で曲を書かなくてもMARiAになるっていうのが、不思議ですよね。
――そんなアルバムを携えて、7月3日にはワンマンライブ“MARiA MUSIC LAND 2022 -Moments-”が行われます。どんなライブになりそうですか?
MARiA 『Moments』は音楽の遊び場というか、音楽ってめっちゃ楽しいということを改めて再確認できたアルバムだったんですよね。ガルニデのライブは“stellacage”というタイトルで、目でも耳でも楽しんでもらうことをモットーに掲げているけど、じゃあMARiAとしてのライブでは何を掲げていこう?となったときに、やっぱり総合エンタメでありたいから、“MUSIC LAND”という言葉が浮かんで。要は「音の遊園地」みたいなイメージ、「すごい!夢の国みたいにキラキラしてる!」っていうのを体現できるライブにしていきたくて。その第一歩として、“MARiA MUSIC LAND 2022 -Moments-”というタイトルにしました。今回のアルバムはライブ映えする曲ばかりなので、ライブで化けると思うし、1回限りのライブなので、この“瞬間”、この“Moments”にかけて頑張りたいと思います!
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
●リリース情報
MARiA 2nd アルバム
『Moments』
2022年6月22日(水)リリース
※音楽配信/サブスクリプションサービスも同時スタート
https://lnk.to/MARiA_Moments
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:PCCA-06134
価格:¥4,950(税込)
【通常盤(CD)】
品番:PCCA-06135
価格:¥3,300(税込)
<収録内容>※初回限定盤・通常盤共通
01.Think Over
作詞・作曲・編曲 : 原田夏樹
02.Star Rock
作詞:鈴木エレカ 作曲:Carlos K., nana hatori 編曲:Carlos K
03. Long Distance
作詞・作曲・編曲 : 原田夏樹
04. カフェラテのうた feat. luz
作詞:堀江晶太、luz 作曲・編曲:堀江晶太
05. 君といたい
作詞:nine, Carlos K. 作曲・編曲:Carlos K., ygarshy
06. Heartbreaker
作詞 : 早川博隆 作曲 : 早川博隆、古峰拓真 編曲 : 古峰拓真
07. Galactic Wind
作詞:メイリア 作曲・編曲:toku
08. Asterisk
作詞 : 中原徹也 作曲・編曲 : 早川博隆
09. Pray
作詞・作曲:BOI 編曲:高木龍一
10. Labyrinth
作詞:金子麻友美 作曲:久下真音、金子麻友美 編曲:久下真音
<初回限定盤Blu-ray収録内容>
Think Over -Music Video-
カフェラテのうた feat. luz -Music Video-
Behind The Scenes of “Think Over”
Behind The Scenes of “カフェラテのうた feat. luz”
■MARiA「Moments」店舗別オリジナル特典
・Amazon.co.jp
メガジャケ(形態別絵柄)
・きゃにめ、PCSHOP、魔法都市
オリジナル・ブロマイド(Type-A)
・楽天ブックス
オリジナル・ブロマイド(Type-B)
・タワーレコードおよびTOWER mini全店、タワーレコード オンライン
オリジナル・ブロマイド(Type-C)
・全国アニメイト(通販含む)
オリジナル・ブロマイド(Type-D)
・Neowing / CDJapan
オリジナル・ブロマイド(Type-E)
・その他法人
オリジナル・ブロマイド(Type-F)
※特典は先着の付与となりますので、なくなり次第終了となります。 予めご了承ください。
※一部店舗に取扱いのない店舗がございますので、ご予約・ご購入時にご確認ください。
※ECサイトでご予約の場合、特典付き商品をご希望の場合は必ず特典付きカートからご注文下さい。
(一部ECサイトでは予約済み商品がキャンセル不可の場合がございますのでご注意ください)
関連リンク
MARiA「Moments」特設サイト
https://www.garnidelia.com/special/maria_moments/
MARiA 公式Twitter
https://twitter.com/MARiA_GRND
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