DJをテーマにしたメディアミックスプロジェクト「D4DJ」。そのなかに登場する、お嬢様学校に通う4人組の高校生ユニット・Lyrical Lilyの1stアルバム『Lyrical Anthology』が、6月29日(水)にリリースされた。
リリリリとしての2年間で感じた、“成長”と“自立”
――アルバムのお話の前に、まずは最初の楽曲を発表されてから2年間のLyrical Lilyとしての活動を振り返っていただけますでしょうか。
反田葉月 Lyrical Lilyは「D4DJ」の6ユニット中一番遅く結成したので、最初はとにかく先輩の背中に着いていって必死に走っていく……というユニットだったと思うんです。でも最近では「D4DJ」として初の舞台を上演できたりと、背中を追うだけじゃなくてLyrical Lilyからも新しいものを発信できるようになってきたところは、すごく成長したところだなと感じています。
渡瀬結月 「自立できるようになった」っていう感じだよね。7月からは私たちの冠番組「23時にLyrical Lilyハウスでよろしくて?」も始まるので、「冠番組までできるようになったかぁ……」って思うんです。はーちゃん(反田)が言っていたように、皆さんの背中を追いかけていたところから徐々に自分たちで何かをできるようになってきたというところに、私もすごく成長を感じますね。
深川瑠華 先日も“メ~テレアニソンLIVE”に出させていただいたりと、「D4DJ」以外のイベントにも呼んでいただけるようになりました。しかも、今までと違って私たちを知っている方が100%じゃない……というかどちらかといえば少ないはずなのに、お客さんが私たちのパフォーマンス中にペンライトを振ってくれて。初めて聴く曲もあったはずなのにノってくれたり、その光景がすごく素敵でした。
反田 終演後にSNSを見ても、「初めて観たけど、ワンマンとか次のライブがあったら行きたいな」みたいな嬉しい言葉をたくさんいただいて。「頑張って良かったな!」って思ったよね。
渡瀬 うん!
――皆さんは2年前には、キャラクターとして歌うということも初めての経験だったと思います。なので、ただ歌うのとは違う難しさみたいなものも乗り越えてこられたのでは?
反田 そうですね。「汚れっちまった悲しみの色」のレコーディングがLyrical Lilyとしての最初のお仕事だったんですけど、そのときはまだキャラ指定みたいなものがなかったんだよね?
渡瀬 うんうん。
反田 だから私、まだ桜田美夢ちゃんの声がどんなものなのかまったくわからず、どうしたらいいのかもわからないまま録ったので、ラストのセリフが最近の曲の感じと全然違って、“私”がまだ残ってるような感じなんですよ。でも、この2年間で特別何かを練習したわけではないので、だんだんキャラに入っていけるようになったことで生まれた違いなんじゃないかなと思います。2人はどう?
渡瀬 私も「汚れっち」「(汚れっちまった悲しみの色)の略称)のときは「自分らしく歌って」と言われたんだけど、その“自分”が“「竹下みいこ」としての自分”なのか“「渡瀬結月」としての自分”なのかがわからなくて。それで「真っ直ぐ歌おう!」と思って歌ったものが、音源になっているんですよ。その真っ直ぐ突き刺すような歌声から、徐々に柔らかくて、張るよりもちょっと抑えめな感じにかわいく歌おう……と意識をしていくようになったので、多分最近の曲と「汚れっち」は、全然違う歌声になってるなって自分でも思いますね。
深川 (白鳥)胡桃ちゃんは基本「明るく」「元気!」という感じの子なので、その曲をキラキラさせられるように全部明るく元気に……というオーダーをいつもいただくんです。そこに到達するまでの時間が、レコーディングをするごとにどんどん短くなってきて、最近では最初のほうから「良いテイク録れたね」と言ってもらえることが増えたんですよ。
――逆に、今日いらっしゃらない進藤あまねさん(春日春奈役)は、すでにほかの作品を通じてキャラクターとして歌う経験をお持ちでした。
反田 そうですね。私はセンターだし最年長なんですけど、あまちゃん(進藤)がずっと先頭に立ってみんなを引っ張ってくれていて。その両隣で手を繋いでいるのがこの2人で、後ろを支えるのが私……みたいなポジションになっているんです。ガッツを持って先頭に立ってくれるところはすごくありがたいですし、私もあまちゃんのそういうところをリスペクトしています。
渡瀬 それこそ“メ~テレアニソンLIVE”のときは、共演した皆さんが大先輩の方々ばかりで挨拶のときもすごく緊張しちゃったんですけど、あまちゃんが最初に行ってくれたんだよね。
反田 あと、このメンバーってみんな努力しているところを見せないタイプだと思っていて。最近は舞台もあってずーっと一緒にいるんですけど、頑張っている部分を見ないのに、翌日のみんなは絶対に上達しているんです。そこにもきっと、あまちゃんの影響があるんでしょうね。あまちゃんはほかのコンテンツもあって一番忙しいはずなのに、「辛い」と言わずに常にポジティブなので、そういう姿からも刺激をもらっています。
――さて、今回『Lyrical Anthology』のA ver.には1stワンマンライブ“準備はよろしくて?”の模様が収録されます。
渡瀬 あのときはまず……雨がすごかった(笑)。
反田 そうだね(笑)。とにかく私たち、天候に恵まれないことが多くて。
渡瀬 配信でお披露目ライブをした日も、帰り際とか雷鳴ってたよね!?
深川 鳴ってた(笑)。
渡瀬 で、例に漏れず1stも……。
反田 しっかり嵐。あと、ライブ自体も初めての私たちだけでのライブだったので、セットリストが過去イチ長かったんですよ。
渡瀬 たしかに。今までにないくらいの曲数をやったよね。
反田 だから練習は「覚えられるのか?」からのスタートだったんですよ。立ち位置も全部違いますし、繋ぎをみんなで考えたりもして。あとカバー曲は自分たちで振付を考えないといけなかったというのもあって、パフォーマンス的にチャレンジの多いライブした。
渡瀬 あとは、体力面も。
深川 うん。特に私、体力面が本当に心配だったから……。
反田 でもやる前は「厳しいんじゃないかな?」と思ってたのに、終わってから「いや、これまだいけるわ」って気づいて(笑)。自分たちの限界値が、思っていたよりも先にあった……ということが見えたライブになったんです。そのおかげできっと、そこからさらにパフォーマンスの幅も広がってきていると思います。
深川 あと、「Lyrical Lilyの4人だけで、どれくらいのディグラーさんが来てくれて、どれだけ今の自分たちが盛り上げられるんだろう?」というところもずっと不安だったんですけど、ライブ中にはマスク越しでも、来てくれた皆さんの笑顔が見えた気がして。それも嬉しかったですし、このタイミングでちゃんとライブをできて良かったなぁと思いました。
今まで培った魅力と新たな魅力が、共に詰め込まれた新曲
――そういった2年間の歩みが詰め込まれたのが、今回の『Lyrical Anthology』だと思います。改めて、アルバムが完成した今の率直なお気持ちをお聞きしたいのですが。
反田 「汚れっち」から始まって、それぞれの曲タイトルが目次みたいになっているので、1stアルバムはLyrical Lilyの最初から今までが全部詰まった小説みたいなものになったなと思っています。
――まさに、タイトル通りというか。
反田 本当にそうです!
渡瀬 「Anthology」だからね。私は、アルバムが決まったと聞いたときにはまず「そんなにいっぱい曲出てたんだ!」と思って。完成するまで、そんなに実感がなかったんです。それこそ、いただいたこのインタビューの質問状に「初の楽曲発表から丸2年」とあったのを見て、「もう2年かぁ」と思ったくらいで(笑)。
――2年に感じないくらいの濃さだった。
渡瀬 はい。でも振り返ると、2年間とは思えないくらいすっごくたくさんの曲を歌わせていただいてきたんですよね。だから「そっか、もうこんなに曲も出しているし、2年も経っているんだ……」と改めて思いましたし、その軌跡が詰まった1枚になったように感じています。
――新曲以外にも、フルサイズが初めて音源化される曲もありますからね。
渡瀬 そうなんです。しかも、カバー曲にもまだ音源化されていない曲がたくさんあるから……感慨深いですね。
反田 オリジナル曲でも、ライブで1番しか披露してない曲も多いよね?
渡瀬 うん。
深川 ライブでフルサイズをやる機会があっても、お披露目のときくらいっていう曲も多いしね。2番を歌ったライブのときには、逆に1番をやっていなかったりして。
反田 1番と2番で雰囲気が変わったり、メロディラインがちょっと違う曲もあったりするから、このアルバムを通じてライブ以上にリリリリを深く知れるような感じがするよね。
深川 うん。アルバムなら1曲丸々聴けるし、ライブのときってパフォーマンスも意識して観てくださる方が多いと思うけど、アルバムなら歌詞も見ながら何度も何度も聴けるからね。
――ユニットのコンセプトもあって、歌詞も大事にしているディグラーさんも多そうですね。
深川 それこそ「ねむり姫」の、渡瀬ちゃんが歌ってる“なのラップ”って呼ばれているところなんてそうじゃない?
渡瀬 あ、そうね。
深川 そこは次々に歌詞が飛び込んでくるラップ部分なので、初見だと頭の処理が追いつかないところもあると思うんです。でも歌詞を見ることで「なの」の1つ1つの意味もわかるし、それを見ながら聴いて改めて「小説家である中村(航)先生が書いた、このラップはすごいな」と言ってくださった方も結構いたんですよ。
渡瀬 「ねむり姫」で言うと、そのラップの最初の「Make a Chance!」というフレーズは、「『みいこちゃん』と聴こえるように言ってください」というご指摘をいただいたところなんです。だからディグラーの皆さんは、リリース前には「みいこちゃん」と言っていると思っていたみたいで、歌詞を見て初めて「あ、『Make a Chance!』って言ってるんだ!」と気づかれた方が多かったんです。だからそのとき、「そうなんだよ。やっと気づいたね」みたいな気持ちになって(笑)。
反田 感動してたもんねぇ。「『Make a Chance!』、めーかちゃんす、みーこちゃんす……『みいこちゃん』!!」みたいな(笑)。
渡瀬 そう!もう、しめしめですよ。私は(笑)。
深川 しかもこの曲は『グルミク』(スマートフォン向けリズムゲーム「D4DJ Groovy Mix」)のストーリーとも連動してるから、ストーリーを踏まえてそこを聴くと、「Make a Chance!」と「みいこちゃん」がかかっている意味の深さもわかるんですよ。
渡瀬 いや、すごいよね。やっぱり先生、天才だよ!
深川 あはは(笑)。
――そんな『Lyrical Anthology』には、新曲「ライム畑でつかまえて」も収録されています。この曲を聴かれたとき、皆さんは最初どんな印象を持たれましたか?
反田 軽快で頭に入ってきやすい、わかりやすい曲だなぁと思いました。あと、サビの歌詞が韻を踏んでいて、それを1フレーズずつリレーするようにみんなで歌っていくところも好きで、最近ずっと聴いています。
渡瀬 今までの曲のように合間合間にポエトリーリーディングみたいなセリフが挟まっているわけじゃなくて、最初と最後が美夢ちゃんの“私をつかまえてみて”と“つかまっちゃった”というセリフになっているのも、また新しいなぁと思うんですよ。しかもそのセリフが、消えてしまいそうなくらいの儚さのあるものだから、さらに曲の世界に惹き込んでくれるように感じて。最初は鳥肌が立ちましたし、「おー……つかまえてやろうじゃないか」ってなりました(笑)。
深川 それに、1stアルバムの新曲がセンターの美夢ちゃんから始まって終わって……というところで「やっぱり美夢ちゃんがリーダーなんだな」と思ったし、すごく爽やかさも感じたんですよね。個人的には、海辺とかで聴いているようなイメージが浮かんで。「7月の風!」みたいな感じがしました。8月じゃなくて、7月。
反田 あー、良い!わかる!
――そんなこの曲、レコーディングの際に皆さんは、どんなところをポイントにされたんでしょうか?
渡瀬 多分全員一緒じゃない?
反田 うん。みんな一緒だと思うんですけど……。
深川 せーので言おっか?
反田 えぇ……?大丈夫?
渡瀬 え?英語のほう?日本語のほう?
反田 ちょっと待って、ちょっと待って?英語のほう!?
深川 英語なんてあった?……あ!わかった!言いたいことわかった!
反田 えー!?うそ!?
深川 英語にしよっか。英語のほうがお洒落だから。
反田 「お洒落」って何!?
――では、そろそろお願いできますか?
渡瀬 いきましょう。
深川 ふふっ(笑)。
3人 せーの……!
渡瀬・深川 「ファルセット」!
反田 「上手く歌うな」?……ちょっと待って、そういうことか(笑)。
渡瀬 あはははは(笑)。
――たしかに、両方ともこの曲には大事だとは思うのですが……とりあえず、合っていたお二人からお聞きしてもいいですか?
反田 そうですね(笑)。
――この曲は特にBメロの音域が非常に高いので、ファルセットは大事になってくると思います。
渡瀬 「ライム畑」を録る前、別の曲のレコーディングのときに、みんなの裏声で歌える音域を調べてくださって。それを元にあのBメロができたんだと思うんです。でもそれまで裏声で歌うことって私自身も、同じ答えをした瑠華ちゃんもなくて。
深川 うん。今まではファルセットが苦手なのもあって、高い音は全部地声で歌ってた。
渡瀬 だから何回もリテイクして、「どれだけ良く歌えるか?」って詰めたんだよね。やっぱり美しく爽やかに聴こえないといけない曲なので、頑張って裏声を出すというよりも涼やかに歌うということを意識しました。
反田 そこはあまちゃんも最初地声で歌っていたらしくて。私も「ここファルセットなんだ!」って驚きました。
――でも、ファルセットとはいえ弱くなりすぎてはいけないし。
渡瀬 いや、そうなんですよ!
深川 私、ファルセットで声量が上手く出せなくて、ちょっと苦戦しちゃったんです。でも今回は「新しい試みとして、Bメロは全部ファルセットでいきたい」ということで、ちょっとキーを下げてみたりと色んなことを繰り返して、テイクを重ねて出来上がったので……ほかのメンバーと比べると劣るものはあるかもしれないですけど、リリリリにとって新しいタイプの曲ができて良かったなぁと思ってます。
――一方、反田さんは「上手く歌わない」とおっしゃっていましたが。
反田 今までの曲では、大サビとか決めになるところを歌うときには「やりたいように歌っていいよ」ということが多かったんです。でも「ライム畑」では、「あえてビブラートやコブシみたいな技術を使わないで、話しているように歌ってほしい」というお話をいただいて。それが自分の中では、すごく印象的だったんですよね。しかも、あまちゃんも同じようなアドバイスをもらって歌ったそうなんですよ。
――そこは共通したポイントだったんですね。
反田 そうなんです。おかげでみんなでお話しているような、優しくてふわっと包んでくれるような歌になったので、私自身としてもリリリリとしてもとても新鮮な、気づいたらずーっと聴いているような曲になったのかなと思います。
渡瀬 作業にピッタリだよね。
反田 うん。作業用BGMに聴いてほしいよねぇ。
深川 つるんとしてるからね。
次ページ:様々な方法で、ディグラーさんとの距離を縮められたら
様々な方法で、ディグラーさんとの距離を縮められたら
――そのほかも『Lyrical Anthology』には、この2年間に生まれた様々な楽曲が収録されています。その中で、あえて個人的なオススメを挙げるとしたらどの曲になりますか?
反田 そうですね……私は「プティプランス」が一番好きですね。私、星とや月、空がすごく好きで、「プティプランス」は「星の王子さま」をモチーフにした曲なんです。それに曲の中にキラキラした音がたくさん入っていますし、歌詞もストレートですっごくロマンチックなところがもう、どきゅーん!と刺さりました。
渡瀬 私、ずっと「銀河鉄道の夜に」が一番好きって言っていたんですけど、このアルバムだとフルが初めて音源化される「人間合格!!!!」かな?というのも、今までずっとライブでやってきたのに、多分ディグラーさんがフルで一度も聴いたことがない曲なんですよ。この間気づいたんだけど、そもそもイントロもみんな聴いてないよね?
反田 たしかに!
渡瀬 ライブだと、最初に曲の途中にある「331137拍子」の練習をして、それが終わったらイントロをはしょって頭サビから始まる……という流れなんです。だから初めてフルをじっくり聴いてもらえるという意味も込めて「人間合格!!!!」を推したいですね。
深川 あとは、「月に萌える」もとっても素敵なんですよ。これも今回初めてフルサイズが収録される曲で、昭和レトロ感がすごいんです。
渡瀬 うん。一番“強い”曲な気がする。
深川 リリリリちゃんってほかの先輩たちとキャラクターの年齢は一緒だけど、「箱の中の少女たち」みたいなお嬢様だから、設定年齢よりも子供に見られることが多いんです。でもこの曲は、歌詞に「ミラーボール」が入っていたりと昭和のディスコ感も強い、お洒落で大人っぽい曲なんですよね。それに、この曲もまだフルで披露したことがないので、アルバムでフルを聴いてお洒落なリリリリも知ってほしいなぁって思ってます。
反田 昭和レトロってLyrical Lily自体の強みでもあるからね。
深川 うん。カバー曲はお父さんお母さん世代の曲が多いし。
渡瀬 でも、例えば「赤いスイートピー」みたいに長年愛されてきた曲のレコーディングって、プレッシャーがすごくって。原曲の方の癖とか、メロディラインを何度も何度も聴き込んで、何回も歌いました。
反田 あと「男の勲章」は「男臭く歌ってください!」って言われて、「『男臭く』とは……?」ってなったり(笑)。
――「男の勲章」は、冒頭の深川さんのセリフも印象的なポイントです。
深川 やっぱり本家を聴いてこられた方は、私たちのバージョンを初めて聴いたときに「なんじゃこりゃ?」と思われた方も多かったみたいなんです。でもあのセリフから入ることがインパクトにもなるし、ライブで毎回「聴きたい」と言ってくださるディグラーさんもいっぱいいて。それがすごく嬉しい反面、「次にこういう曲がまたきたら、こういうふうに繋げていこうかな?」って学べる曲でもありました。
反田 最近ではライブで、最初の「ぶっちぎりですわよ」のセリフを聴けたら、ディグラーさんから「聴けた!」みたいな喜びの反応があるんです。
渡瀬 そう。ほかのカバー曲で、はーちゃんのロングブレスのパートのあとで拍手が起こったりもするんですけど、この曲は最初のセリフで拍手が起きるんです!
深川 そのあと割とすぐに頭サビが始まるんですけど、それでも拍手してもらえるんです……(笑)。
反田 最初の「ブンブン!」っていう音で「くるぞ!」って察してくれて。
深川 すごい視線を感じる(笑)。
渡瀬 やっぱり感じるんだ(笑)。
深川 その最初のセリフも、ライブの緊張度とかによって言い方が変わっちゃうので、「今回はこんな感じだった」ってツイートとかを見ると、なんか恥ずかしいなぁ、って……(照)。
反田 5月の“D4DJ D4 FES. LIVE -ALL IN-”のときは、すごく気合いの入った「『ぶっ』ちぎり」だったんです。
深川 あのときは1年ぶりのコニファーフォレストだったし、去年よりも座席数が増えてたから、緊張で力が入っちゃって。
渡瀬 でも逆に、それが男臭くて良かったよね?
反田 そう!わざとやったのかと思うくらい良かった。
深川 そうなんだ。嬉しい!自分では「力みすぎちゃったなぁ」と思いながら踊り始めてて……。
反田 そのあとちょっと下向いてたもんね。
一同 あははは!(笑)
渡瀬 引きずってたんだ(笑)。
深川 たしかに、ちょっと縮こまっちゃってたかも(笑)。
反田 でも、そういうところがかわいかったりするんだよね。初々しさみたいなものを、瑠華ちゃんが出してくれてるから。
渡瀬 そうそう。しかも、すごく真面目だし。
――さて、アルバムリリース後も冠番組や舞台、さらにはアニメの2期など活動はまだまだ続いて広がっていきます。そこで、改めてリリリリとして今後やってみたいことについてお聞きしたいのですが。
渡瀬 私、個人的にはもっとバラエティっぽいことをやりたいと前々から強く願っていて。私たちをより深く知っていただけるような企画をやってみたいんですよ。みんなで遊園地に行ったり、日常的な1コマを映したり……それこそ、楽屋にカメラを置いたりとか(笑)。きっとこの4人って、1人1人が違うベクトルで変だと思うんですよね。
反田 うん。そう思う。
渡瀬 そういう部分もディグラーの皆さんにお見せできたら、もっと自分たちとの距離を縮められるんじゃないかなと思うんですよ。
反田 冠番組ももう収録は始まってるけど、みんな口を揃えて「楽屋のほうがヤバいよね」って言ってるよね(笑)。女子高の休憩時間というか……。
深川 すごいよね。リリリリの一番面白いところって、台本ないところなんだろうなぁって思う(笑)。
反田 何もストッパーのないLyrical Lily……というか素の私たちが出たときが、一番高校生みたいな感じがするよね。
渡瀬 ねぇ。メンバー半分高校生だからね。
反田 でも高校生じゃない側の私たちも……なんならもっと高校生(笑)。
渡瀬 そう、高校生に戻っちゃうんだよね(笑)。そういう素の部分を見ていただきたいです。あと距離を縮めるという意味では、お渡し会みたいなイベントをもっとやりたいです! お渡し会は一度やったことがあるんですけど、そのときはシールド越しに5秒くらい喋って、肝心のCDも奥にいたスタッフさんが渡すというものだったので、実際に私たちから直接手渡しできたらすごく良いなぁって。
反田 たしかに。でもディグラーさんに直接会うっていう意味だと……ちょっと先の話にはなるし、このご時世的にどうなるかわからないですけど、いつか海外でライブをしてみたいです。言葉がわからなくても、音楽は国境を超えて、誰とでも繋がれるものだと私は思っていて。私、Lyrical Lilyの曲は、本当に誰が聴いても楽しくなれる曲が多いと思っているので、いつか海外でライブをしたいですね。
――コロナ禍前だと、海外でのアニメ系のイベント内のライブステージというのも多かったですし。
反田 そうですね。海外で応援してくださる方も多いから、なかなか日本に来られない方のところにみんなで行けたらいいよね。
深川 うん。それに海外もだけど、日本でももっと色んなところに行けたらいいよね。特に学生のディグラーさんだと、遠くからライブに来るのが難しい方も結構多いから。
渡瀬 うん。全国ツアーとかね。
反田反田 全国ツアー、したいねぇ!
深川 リリリリの良さをもっとたくさんの方に知ってもらえるように、今までライブをやってきた東京とか名古屋以外でも、色んなところでライブしたいよね。今度は北海道とか、逆に沖縄とか……。
渡瀬 あ、行きたい!……で、でも、先に東名阪とかかな?(笑)
深川 そっかそっか(笑)。
反田 それを頑張って成功させて、それからいっぱい色んなところに行きたいね。
――ワンマンはもちろんですけど、色々なところでアニソンフェスが開催されていたりもしますから。
反田 そうですね!
渡瀬 そういう色んなフェスにもね、参加できたらね。
反田 たしかに。呼んでいただいて盛り上げられるように、頑張ります!
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
●リリース情報
Lyrical Lily 1st アルバム
『Lyrical Anthology』
2022年6月29日(水)発売
【A ver.】
価格:¥9,900(税込)
品番:BRMM-10525
【B ver.】
価格:¥4,400(税込)
品番:BRMM-10526
<収録内容>
■A ver.
【CD】
1.プティプランス
2.汚れっちまった悲しみの色
3.月に萌える
4.ライム畑でつかまえて
5.Journey to the West
6.Happy Prince
7.夢十Yah!
8.冒険王!
9.人間合格!!!!
10.吾輩よ猫であれ
11.銀河鉄道の夜に (Lyrical Anthology Remix)
<Blu-ray>
Lyrical Lily 1st LIVE「準備はよろしくて?」ライブ映像(1公演分)
■B ver.
【CD】
<DISC1>
1.プティプランス
2.汚れっちまった悲しみの色
3.月に萌える
4.ライム畑でつかまえて
5.Journey to the West
6.Happy Prince
7.夢十Yah!
8.冒険王!
9.人間合格!!!!
10.吾輩よ猫であれ
11.ねむり姫 (Lyrical Anthology Remix)
<DISC2>
Lyrical Anthology Non Stop Mix ver.
●関連リンク
D4DJ公式サイト
https://d4dj-pj.com/
D4DJ公式Twitter
https://twitter.com/D4DJ_pj
スマートフォン向けリズムゲーム「D4DJ Groovy Mix」公式サイト
https://d4dj.bushimo.jp/
結成から2年の間に生まれた、文学作品をモチーフにした数々の楽曲に加え、ミドルテンポの爽やかなデジタルポップに仕上がった新曲「ライム畑でつかまえて」も収録。本稿ではリリースにあたって、メンバーの反田葉月(桜田美夢役)・深川瑠華(白鳥胡桃役)・渡瀬結月(竹下みいこ役)へのインタビューを敢行。結成からの2年間を振り返りつつ、新曲を含めアルバム全体についてじっくりと語ってもらった。
リリリリとしての2年間で感じた、“成長”と“自立”
――アルバムのお話の前に、まずは最初の楽曲を発表されてから2年間のLyrical Lilyとしての活動を振り返っていただけますでしょうか。
反田葉月 Lyrical Lilyは「D4DJ」の6ユニット中一番遅く結成したので、最初はとにかく先輩の背中に着いていって必死に走っていく……というユニットだったと思うんです。でも最近では「D4DJ」として初の舞台を上演できたりと、背中を追うだけじゃなくてLyrical Lilyからも新しいものを発信できるようになってきたところは、すごく成長したところだなと感じています。
渡瀬結月 「自立できるようになった」っていう感じだよね。7月からは私たちの冠番組「23時にLyrical Lilyハウスでよろしくて?」も始まるので、「冠番組までできるようになったかぁ……」って思うんです。はーちゃん(反田)が言っていたように、皆さんの背中を追いかけていたところから徐々に自分たちで何かをできるようになってきたというところに、私もすごく成長を感じますね。
深川瑠華 先日も“メ~テレアニソンLIVE”に出させていただいたりと、「D4DJ」以外のイベントにも呼んでいただけるようになりました。しかも、今までと違って私たちを知っている方が100%じゃない……というかどちらかといえば少ないはずなのに、お客さんが私たちのパフォーマンス中にペンライトを振ってくれて。初めて聴く曲もあったはずなのにノってくれたり、その光景がすごく素敵でした。
反田 終演後にSNSを見ても、「初めて観たけど、ワンマンとか次のライブがあったら行きたいな」みたいな嬉しい言葉をたくさんいただいて。「頑張って良かったな!」って思ったよね。
渡瀬 うん!
――皆さんは2年前には、キャラクターとして歌うということも初めての経験だったと思います。なので、ただ歌うのとは違う難しさみたいなものも乗り越えてこられたのでは?
反田 そうですね。「汚れっちまった悲しみの色」のレコーディングがLyrical Lilyとしての最初のお仕事だったんですけど、そのときはまだキャラ指定みたいなものがなかったんだよね?
渡瀬 うんうん。
反田 だから私、まだ桜田美夢ちゃんの声がどんなものなのかまったくわからず、どうしたらいいのかもわからないまま録ったので、ラストのセリフが最近の曲の感じと全然違って、“私”がまだ残ってるような感じなんですよ。でも、この2年間で特別何かを練習したわけではないので、だんだんキャラに入っていけるようになったことで生まれた違いなんじゃないかなと思います。2人はどう?
渡瀬 私も「汚れっち」「(汚れっちまった悲しみの色)の略称)のときは「自分らしく歌って」と言われたんだけど、その“自分”が“「竹下みいこ」としての自分”なのか“「渡瀬結月」としての自分”なのかがわからなくて。それで「真っ直ぐ歌おう!」と思って歌ったものが、音源になっているんですよ。その真っ直ぐ突き刺すような歌声から、徐々に柔らかくて、張るよりもちょっと抑えめな感じにかわいく歌おう……と意識をしていくようになったので、多分最近の曲と「汚れっち」は、全然違う歌声になってるなって自分でも思いますね。
深川 (白鳥)胡桃ちゃんは基本「明るく」「元気!」という感じの子なので、その曲をキラキラさせられるように全部明るく元気に……というオーダーをいつもいただくんです。そこに到達するまでの時間が、レコーディングをするごとにどんどん短くなってきて、最近では最初のほうから「良いテイク録れたね」と言ってもらえることが増えたんですよ。
だから私も、「胡桃ちゃんのことがわかってきたのかな?」と思います。
――逆に、今日いらっしゃらない進藤あまねさん(春日春奈役)は、すでにほかの作品を通じてキャラクターとして歌う経験をお持ちでした。
反田 そうですね。私はセンターだし最年長なんですけど、あまちゃん(進藤)がずっと先頭に立ってみんなを引っ張ってくれていて。その両隣で手を繋いでいるのがこの2人で、後ろを支えるのが私……みたいなポジションになっているんです。ガッツを持って先頭に立ってくれるところはすごくありがたいですし、私もあまちゃんのそういうところをリスペクトしています。
渡瀬 それこそ“メ~テレアニソンLIVE”のときは、共演した皆さんが大先輩の方々ばかりで挨拶のときもすごく緊張しちゃったんですけど、あまちゃんが最初に行ってくれたんだよね。
反田 あと、このメンバーってみんな努力しているところを見せないタイプだと思っていて。最近は舞台もあってずーっと一緒にいるんですけど、頑張っている部分を見ないのに、翌日のみんなは絶対に上達しているんです。そこにもきっと、あまちゃんの影響があるんでしょうね。あまちゃんはほかのコンテンツもあって一番忙しいはずなのに、「辛い」と言わずに常にポジティブなので、そういう姿からも刺激をもらっています。
――さて、今回『Lyrical Anthology』のA ver.には1stワンマンライブ“準備はよろしくて?”の模様が収録されます。
渡瀬 あのときはまず……雨がすごかった(笑)。
反田 そうだね(笑)。とにかく私たち、天候に恵まれないことが多くて。
渡瀬 配信でお披露目ライブをした日も、帰り際とか雷鳴ってたよね!?
深川 鳴ってた(笑)。
渡瀬 で、例に漏れず1stも……。
反田 しっかり嵐。あと、ライブ自体も初めての私たちだけでのライブだったので、セットリストが過去イチ長かったんですよ。
渡瀬 たしかに。今までにないくらいの曲数をやったよね。
反田 だから練習は「覚えられるのか?」からのスタートだったんですよ。立ち位置も全部違いますし、繋ぎをみんなで考えたりもして。あとカバー曲は自分たちで振付を考えないといけなかったというのもあって、パフォーマンス的にチャレンジの多いライブした。
渡瀬 あとは、体力面も。
深川 うん。特に私、体力面が本当に心配だったから……。
反田 でもやる前は「厳しいんじゃないかな?」と思ってたのに、終わってから「いや、これまだいけるわ」って気づいて(笑)。自分たちの限界値が、思っていたよりも先にあった……ということが見えたライブになったんです。そのおかげできっと、そこからさらにパフォーマンスの幅も広がってきていると思います。
深川 あと、「Lyrical Lilyの4人だけで、どれくらいのディグラーさんが来てくれて、どれだけ今の自分たちが盛り上げられるんだろう?」というところもずっと不安だったんですけど、ライブ中にはマスク越しでも、来てくれた皆さんの笑顔が見えた気がして。それも嬉しかったですし、このタイミングでちゃんとライブをできて良かったなぁと思いました。
今まで培った魅力と新たな魅力が、共に詰め込まれた新曲
――そういった2年間の歩みが詰め込まれたのが、今回の『Lyrical Anthology』だと思います。改めて、アルバムが完成した今の率直なお気持ちをお聞きしたいのですが。
反田 「汚れっち」から始まって、それぞれの曲タイトルが目次みたいになっているので、1stアルバムはLyrical Lilyの最初から今までが全部詰まった小説みたいなものになったなと思っています。
――まさに、タイトル通りというか。
反田 本当にそうです!
渡瀬 「Anthology」だからね。私は、アルバムが決まったと聞いたときにはまず「そんなにいっぱい曲出てたんだ!」と思って。完成するまで、そんなに実感がなかったんです。それこそ、いただいたこのインタビューの質問状に「初の楽曲発表から丸2年」とあったのを見て、「もう2年かぁ」と思ったくらいで(笑)。
――2年に感じないくらいの濃さだった。
渡瀬 はい。でも振り返ると、2年間とは思えないくらいすっごくたくさんの曲を歌わせていただいてきたんですよね。だから「そっか、もうこんなに曲も出しているし、2年も経っているんだ……」と改めて思いましたし、その軌跡が詰まった1枚になったように感じています。
――新曲以外にも、フルサイズが初めて音源化される曲もありますからね。
渡瀬 そうなんです。しかも、カバー曲にもまだ音源化されていない曲がたくさんあるから……感慨深いですね。
反田 オリジナル曲でも、ライブで1番しか披露してない曲も多いよね?
渡瀬 うん。
たしかに。
深川 ライブでフルサイズをやる機会があっても、お披露目のときくらいっていう曲も多いしね。2番を歌ったライブのときには、逆に1番をやっていなかったりして。
反田 1番と2番で雰囲気が変わったり、メロディラインがちょっと違う曲もあったりするから、このアルバムを通じてライブ以上にリリリリを深く知れるような感じがするよね。
深川 うん。アルバムなら1曲丸々聴けるし、ライブのときってパフォーマンスも意識して観てくださる方が多いと思うけど、アルバムなら歌詞も見ながら何度も何度も聴けるからね。
――ユニットのコンセプトもあって、歌詞も大事にしているディグラーさんも多そうですね。
深川 それこそ「ねむり姫」の、渡瀬ちゃんが歌ってる“なのラップ”って呼ばれているところなんてそうじゃない?
渡瀬 あ、そうね。
深川 そこは次々に歌詞が飛び込んでくるラップ部分なので、初見だと頭の処理が追いつかないところもあると思うんです。でも歌詞を見ることで「なの」の1つ1つの意味もわかるし、それを見ながら聴いて改めて「小説家である中村(航)先生が書いた、このラップはすごいな」と言ってくださった方も結構いたんですよ。
渡瀬 「ねむり姫」で言うと、そのラップの最初の「Make a Chance!」というフレーズは、「『みいこちゃん』と聴こえるように言ってください」というご指摘をいただいたところなんです。だからディグラーの皆さんは、リリース前には「みいこちゃん」と言っていると思っていたみたいで、歌詞を見て初めて「あ、『Make a Chance!』って言ってるんだ!」と気づかれた方が多かったんです。だからそのとき、「そうなんだよ。やっと気づいたね」みたいな気持ちになって(笑)。
反田 感動してたもんねぇ。「『Make a Chance!』、めーかちゃんす、みーこちゃんす……『みいこちゃん』!!」みたいな(笑)。
渡瀬 そう!もう、しめしめですよ。私は(笑)。
深川 しかもこの曲は『グルミク』(スマートフォン向けリズムゲーム「D4DJ Groovy Mix」)のストーリーとも連動してるから、ストーリーを踏まえてそこを聴くと、「Make a Chance!」と「みいこちゃん」がかかっている意味の深さもわかるんですよ。
渡瀬 いや、すごいよね。やっぱり先生、天才だよ!
深川 あはは(笑)。
――そんな『Lyrical Anthology』には、新曲「ライム畑でつかまえて」も収録されています。この曲を聴かれたとき、皆さんは最初どんな印象を持たれましたか?
反田 軽快で頭に入ってきやすい、わかりやすい曲だなぁと思いました。あと、サビの歌詞が韻を踏んでいて、それを1フレーズずつリレーするようにみんなで歌っていくところも好きで、最近ずっと聴いています。
渡瀬 今までの曲のように合間合間にポエトリーリーディングみたいなセリフが挟まっているわけじゃなくて、最初と最後が美夢ちゃんの“私をつかまえてみて”と“つかまっちゃった”というセリフになっているのも、また新しいなぁと思うんですよ。しかもそのセリフが、消えてしまいそうなくらいの儚さのあるものだから、さらに曲の世界に惹き込んでくれるように感じて。最初は鳥肌が立ちましたし、「おー……つかまえてやろうじゃないか」ってなりました(笑)。
深川 それに、1stアルバムの新曲がセンターの美夢ちゃんから始まって終わって……というところで「やっぱり美夢ちゃんがリーダーなんだな」と思ったし、すごく爽やかさも感じたんですよね。個人的には、海辺とかで聴いているようなイメージが浮かんで。「7月の風!」みたいな感じがしました。8月じゃなくて、7月。
反田 あー、良い!わかる!
――そんなこの曲、レコーディングの際に皆さんは、どんなところをポイントにされたんでしょうか?
渡瀬 多分全員一緒じゃない?
反田 うん。みんな一緒だと思うんですけど……。
深川 せーので言おっか?
反田 えぇ……?大丈夫?
渡瀬 え?英語のほう?日本語のほう?
反田 ちょっと待って、ちょっと待って?英語のほう!?
深川 英語なんてあった?……あ!わかった!言いたいことわかった!
反田 えー!?うそ!?
深川 英語にしよっか。英語のほうがお洒落だから。
反田 「お洒落」って何!?
――では、そろそろお願いできますか?
渡瀬 いきましょう。
深川 ふふっ(笑)。
3人 せーの……!
渡瀬・深川 「ファルセット」!
反田 「上手く歌うな」?……ちょっと待って、そういうことか(笑)。
渡瀬 あはははは(笑)。
――たしかに、両方ともこの曲には大事だとは思うのですが……とりあえず、合っていたお二人からお聞きしてもいいですか?
反田 そうですね(笑)。
――この曲は特にBメロの音域が非常に高いので、ファルセットは大事になってくると思います。
渡瀬 「ライム畑」を録る前、別の曲のレコーディングのときに、みんなの裏声で歌える音域を調べてくださって。それを元にあのBメロができたんだと思うんです。でもそれまで裏声で歌うことって私自身も、同じ答えをした瑠華ちゃんもなくて。
深川 うん。今まではファルセットが苦手なのもあって、高い音は全部地声で歌ってた。
渡瀬 だから何回もリテイクして、「どれだけ良く歌えるか?」って詰めたんだよね。やっぱり美しく爽やかに聴こえないといけない曲なので、頑張って裏声を出すというよりも涼やかに歌うということを意識しました。
反田 そこはあまちゃんも最初地声で歌っていたらしくて。私も「ここファルセットなんだ!」って驚きました。
――でも、ファルセットとはいえ弱くなりすぎてはいけないし。
渡瀬 いや、そうなんですよ!
深川 私、ファルセットで声量が上手く出せなくて、ちょっと苦戦しちゃったんです。でも今回は「新しい試みとして、Bメロは全部ファルセットでいきたい」ということで、ちょっとキーを下げてみたりと色んなことを繰り返して、テイクを重ねて出来上がったので……ほかのメンバーと比べると劣るものはあるかもしれないですけど、リリリリにとって新しいタイプの曲ができて良かったなぁと思ってます。
――一方、反田さんは「上手く歌わない」とおっしゃっていましたが。
反田 今までの曲では、大サビとか決めになるところを歌うときには「やりたいように歌っていいよ」ということが多かったんです。でも「ライム畑」では、「あえてビブラートやコブシみたいな技術を使わないで、話しているように歌ってほしい」というお話をいただいて。それが自分の中では、すごく印象的だったんですよね。しかも、あまちゃんも同じようなアドバイスをもらって歌ったそうなんですよ。
――そこは共通したポイントだったんですね。
反田 そうなんです。おかげでみんなでお話しているような、優しくてふわっと包んでくれるような歌になったので、私自身としてもリリリリとしてもとても新鮮な、気づいたらずーっと聴いているような曲になったのかなと思います。
渡瀬 作業にピッタリだよね。
反田 うん。作業用BGMに聴いてほしいよねぇ。
深川 つるんとしてるからね。
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様々な方法で、ディグラーさんとの距離を縮められたら
――そのほかも『Lyrical Anthology』には、この2年間に生まれた様々な楽曲が収録されています。その中で、あえて個人的なオススメを挙げるとしたらどの曲になりますか?
反田 そうですね……私は「プティプランス」が一番好きですね。私、星とや月、空がすごく好きで、「プティプランス」は「星の王子さま」をモチーフにした曲なんです。それに曲の中にキラキラした音がたくさん入っていますし、歌詞もストレートですっごくロマンチックなところがもう、どきゅーん!と刺さりました。
渡瀬 私、ずっと「銀河鉄道の夜に」が一番好きって言っていたんですけど、このアルバムだとフルが初めて音源化される「人間合格!!!!」かな?というのも、今までずっとライブでやってきたのに、多分ディグラーさんがフルで一度も聴いたことがない曲なんですよ。この間気づいたんだけど、そもそもイントロもみんな聴いてないよね?
反田 たしかに!
渡瀬 ライブだと、最初に曲の途中にある「331137拍子」の練習をして、それが終わったらイントロをはしょって頭サビから始まる……という流れなんです。だから初めてフルをじっくり聴いてもらえるという意味も込めて「人間合格!!!!」を推したいですね。
深川 あとは、「月に萌える」もとっても素敵なんですよ。これも今回初めてフルサイズが収録される曲で、昭和レトロ感がすごいんです。
渡瀬 うん。一番“強い”曲な気がする。
深川 リリリリちゃんってほかの先輩たちとキャラクターの年齢は一緒だけど、「箱の中の少女たち」みたいなお嬢様だから、設定年齢よりも子供に見られることが多いんです。でもこの曲は、歌詞に「ミラーボール」が入っていたりと昭和のディスコ感も強い、お洒落で大人っぽい曲なんですよね。それに、この曲もまだフルで披露したことがないので、アルバムでフルを聴いてお洒落なリリリリも知ってほしいなぁって思ってます。
反田 昭和レトロってLyrical Lily自体の強みでもあるからね。
深川 うん。カバー曲はお父さんお母さん世代の曲が多いし。
渡瀬 でも、例えば「赤いスイートピー」みたいに長年愛されてきた曲のレコーディングって、プレッシャーがすごくって。原曲の方の癖とか、メロディラインを何度も何度も聴き込んで、何回も歌いました。
反田 あと「男の勲章」は「男臭く歌ってください!」って言われて、「『男臭く』とは……?」ってなったり(笑)。
――「男の勲章」は、冒頭の深川さんのセリフも印象的なポイントです。
深川 やっぱり本家を聴いてこられた方は、私たちのバージョンを初めて聴いたときに「なんじゃこりゃ?」と思われた方も多かったみたいなんです。でもあのセリフから入ることがインパクトにもなるし、ライブで毎回「聴きたい」と言ってくださるディグラーさんもいっぱいいて。それがすごく嬉しい反面、「次にこういう曲がまたきたら、こういうふうに繋げていこうかな?」って学べる曲でもありました。
反田 最近ではライブで、最初の「ぶっちぎりですわよ」のセリフを聴けたら、ディグラーさんから「聴けた!」みたいな喜びの反応があるんです。
渡瀬 そう。ほかのカバー曲で、はーちゃんのロングブレスのパートのあとで拍手が起こったりもするんですけど、この曲は最初のセリフで拍手が起きるんです!
深川 そのあと割とすぐに頭サビが始まるんですけど、それでも拍手してもらえるんです……(笑)。
反田 最初の「ブンブン!」っていう音で「くるぞ!」って察してくれて。
深川 すごい視線を感じる(笑)。
渡瀬 やっぱり感じるんだ(笑)。
深川 その最初のセリフも、ライブの緊張度とかによって言い方が変わっちゃうので、「今回はこんな感じだった」ってツイートとかを見ると、なんか恥ずかしいなぁ、って……(照)。
反田 5月の“D4DJ D4 FES. LIVE -ALL IN-”のときは、すごく気合いの入った「『ぶっ』ちぎり」だったんです。
深川 あのときは1年ぶりのコニファーフォレストだったし、去年よりも座席数が増えてたから、緊張で力が入っちゃって。
渡瀬 でも逆に、それが男臭くて良かったよね?
反田 そう!わざとやったのかと思うくらい良かった。
深川 そうなんだ。嬉しい!自分では「力みすぎちゃったなぁ」と思いながら踊り始めてて……。
反田 そのあとちょっと下向いてたもんね。
一同 あははは!(笑)
渡瀬 引きずってたんだ(笑)。
深川 たしかに、ちょっと縮こまっちゃってたかも(笑)。
反田 でも、そういうところがかわいかったりするんだよね。初々しさみたいなものを、瑠華ちゃんが出してくれてるから。
渡瀬 そうそう。しかも、すごく真面目だし。
――さて、アルバムリリース後も冠番組や舞台、さらにはアニメの2期など活動はまだまだ続いて広がっていきます。そこで、改めてリリリリとして今後やってみたいことについてお聞きしたいのですが。
渡瀬 私、個人的にはもっとバラエティっぽいことをやりたいと前々から強く願っていて。私たちをより深く知っていただけるような企画をやってみたいんですよ。みんなで遊園地に行ったり、日常的な1コマを映したり……それこそ、楽屋にカメラを置いたりとか(笑)。きっとこの4人って、1人1人が違うベクトルで変だと思うんですよね。
反田 うん。そう思う。
渡瀬 そういう部分もディグラーの皆さんにお見せできたら、もっと自分たちとの距離を縮められるんじゃないかなと思うんですよ。
反田 冠番組ももう収録は始まってるけど、みんな口を揃えて「楽屋のほうがヤバいよね」って言ってるよね(笑)。女子高の休憩時間というか……。
深川 すごいよね。リリリリの一番面白いところって、台本ないところなんだろうなぁって思う(笑)。
反田 何もストッパーのないLyrical Lily……というか素の私たちが出たときが、一番高校生みたいな感じがするよね。
渡瀬 ねぇ。メンバー半分高校生だからね。
反田 でも高校生じゃない側の私たちも……なんならもっと高校生(笑)。
渡瀬 そう、高校生に戻っちゃうんだよね(笑)。そういう素の部分を見ていただきたいです。あと距離を縮めるという意味では、お渡し会みたいなイベントをもっとやりたいです! お渡し会は一度やったことがあるんですけど、そのときはシールド越しに5秒くらい喋って、肝心のCDも奥にいたスタッフさんが渡すというものだったので、実際に私たちから直接手渡しできたらすごく良いなぁって。
反田 たしかに。でもディグラーさんに直接会うっていう意味だと……ちょっと先の話にはなるし、このご時世的にどうなるかわからないですけど、いつか海外でライブをしてみたいです。言葉がわからなくても、音楽は国境を超えて、誰とでも繋がれるものだと私は思っていて。私、Lyrical Lilyの曲は、本当に誰が聴いても楽しくなれる曲が多いと思っているので、いつか海外でライブをしたいですね。
――コロナ禍前だと、海外でのアニメ系のイベント内のライブステージというのも多かったですし。
反田 そうですね。海外で応援してくださる方も多いから、なかなか日本に来られない方のところにみんなで行けたらいいよね。
深川 うん。それに海外もだけど、日本でももっと色んなところに行けたらいいよね。特に学生のディグラーさんだと、遠くからライブに来るのが難しい方も結構多いから。
渡瀬 うん。全国ツアーとかね。
反田反田 全国ツアー、したいねぇ!
深川 リリリリの良さをもっとたくさんの方に知ってもらえるように、今までライブをやってきた東京とか名古屋以外でも、色んなところでライブしたいよね。今度は北海道とか、逆に沖縄とか……。
渡瀬 あ、行きたい!……で、でも、先に東名阪とかかな?(笑)
深川 そっかそっか(笑)。
反田 それを頑張って成功させて、それからいっぱい色んなところに行きたいね。
――ワンマンはもちろんですけど、色々なところでアニソンフェスが開催されていたりもしますから。
反田 そうですね!
渡瀬 そういう色んなフェスにもね、参加できたらね。
反田 たしかに。呼んでいただいて盛り上げられるように、頑張ります!
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
●リリース情報
Lyrical Lily 1st アルバム
『Lyrical Anthology』
2022年6月29日(水)発売
【A ver.】
価格:¥9,900(税込)
品番:BRMM-10525
【B ver.】
価格:¥4,400(税込)
品番:BRMM-10526
<収録内容>
■A ver.
【CD】
1.プティプランス
2.汚れっちまった悲しみの色
3.月に萌える
4.ライム畑でつかまえて
5.Journey to the West
6.Happy Prince
7.夢十Yah!
8.冒険王!
9.人間合格!!!!
10.吾輩よ猫であれ
11.銀河鉄道の夜に (Lyrical Anthology Remix)
<Blu-ray>
Lyrical Lily 1st LIVE「準備はよろしくて?」ライブ映像(1公演分)
■B ver.
【CD】
<DISC1>
1.プティプランス
2.汚れっちまった悲しみの色
3.月に萌える
4.ライム畑でつかまえて
5.Journey to the West
6.Happy Prince
7.夢十Yah!
8.冒険王!
9.人間合格!!!!
10.吾輩よ猫であれ
11.ねむり姫 (Lyrical Anthology Remix)
<DISC2>
Lyrical Anthology Non Stop Mix ver.
●関連リンク
D4DJ公式サイト
https://d4dj-pj.com/
D4DJ公式Twitter
https://twitter.com/D4DJ_pj
スマートフォン向けリズムゲーム「D4DJ Groovy Mix」公式サイト
https://d4dj.bushimo.jp/
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