シングルの話題を中心に、花澤自身もマキの声を担当したTVアニメ『それでも歩は寄せてくる」の見どころ、10周年を迎えた音楽活動に対する想いなどについて語ってもらった。
バランスを取ることを意識した等身大の自分の表現
――新曲「駆け引きはポーカーフェイス」は、TVアニメ『それでも歩は寄せてくる』のOPテーマ。アニメのストーリー、世界観と重なる、愛らしくて切ないポップチューンですが、花澤さんはどんな印象を持っていますか?
花澤香菜 原作を読んだときに、すごくピュアな高校生たちの恋愛模様が描かれているなと感じて。恐らくアニメも、もどかしさを感じたり、癒されたり、爽やかな気持ちになる作品になるだろうなと思っていたのですが、「駆け引きは~」もそれにピッタリの楽曲だなと。ポップでかわいらしくて、恋愛の切なさも入っているんですよね。宮川 弾さんの歌詞も、結構“歩”に寄せている印象がありました。“歩”という漢字も入っているし、恋愛の駆け引きをイメージさせるフレーズもあるので、アニメを楽しみながら聴くとしっかり作品の世界観に浸れると思うし、この曲を単体で聴いても楽しんでもらえると思います。“駆け引き”って生活の色んな場面にありますからね。
――たしかに!花澤さんの場合はどうですか?声優や俳優としてのお仕事、楽曲制作においても、「どこまで自分の意見を言うべきか」みたいな駆け引きがありそうですが。
花澤 それはすごく考えますね。作品に関わる方々にもそれぞれの想いがあるし、意見を伝えるときの言葉選びは慎重になるので。逆に「オブラートに包んで言ってくれてるけど、多分こういうことかな?」ということもあって(笑)。
――なるほど。「駆け引きは~」はエレクトロ系のキラキラしたサウンドですよね。
花澤 (作曲・編曲を担当した)KOHさんの楽曲はClariSさんの楽曲などで耳馴染みがあって。アニソンもたくさん手がけていらっしゃるので、安心感がありました。すごくキラキラしていてかわいい感じだなって。ただ、私はマキの声優としてアニメに関わらせてもらっているので、あまりかわいく歌ってしまうとキャラソンに近くなるような気がしたので、私自身の表現も入れないといけないなと思っていましたね。キャラソンの場合は、プラスの作業がメインなんですよ。もちろんキャラクターによっても違うんですが、かわいさ、かっこ良さ、面白さをといったニュアンスをどんどん入れていくんです。
――絶妙なバランス感覚が必要だったんですね。マキというキャラクターに関してはどう捉えていますか?
花澤 マキちゃんはヒロインで将棋部の部長の八乙女うるしちゃんの友達なんです。男の子に興味がない雰囲気だけど、マキちゃんは「どうやらうるしちゃんは歩くんが好きなんだな」と感じ取っていて。何かあるたびにちょっかいを出しちゃうんですよ。つまり、うるしちゃんのことがかわいくてしょうがないんだと思います(笑)。物語のうえでも大事な役割を果たすし、実はキーになるキャラクターなんですよ。あまり自分のことは語らないんですけど、等身大ではしゃぐ場面もあるので、マキちゃん好きの方は楽しみにしていてください。
――「駆け引きは~」のMVについても聞かせてください。楽曲のテイストと同じく、ポップでカラフルな映像が印象的でした。花澤さんは将棋だけじゃなく、チェスやトランプもやっていて。
花澤 そうなんです。撮影中は着替えて、メイクして、監督に言われるままに撮っていたので、「どういうふうに繋がるのかな?」と思ってたのですが、出来上がった映像を観て「こうなるのか!」と興奮しました(笑)。衣装も和洋が混ざっていたり、スーツでビシッと決めたり、ちょっとコスプレみたいな感じもあって。新鮮でしたし、楽しかったですね。
――カップリング曲「運命の扉」は北川勝利さんの作詞・作曲(作詞は藤村鼓乃美との共作)。
花澤 これもアニメのオープニングに合うんじゃない?と思いました。「駆け引きは~」はモジモジしながら、頑張って一歩踏み出すという描写なんですけど、「運命の扉」は扉がどんどん開かれていくようなワクワク感があって。はしゃぐような感じもあるし、北川さんらしさも満載で。私の楽曲を聴いてきた方だったら、聴き馴染みがある曲だと思います。
――北川さんは、花澤さんのアーティスト活動に欠かせないプロデューサーですからね。10年間一緒に制作してきて、お互いに変化を感じることはありますか?
花澤 北川さんに対しては、ずっと乙女だなって思っていますね(笑)。私が書く歌詞よりもずっと乙女だし、「どうしてこんなに乙女をキープできるんだろう?」って。
――北川さんご自身もアップデートしているんですね。
花澤 そうだと思います。あと、初期の頃は「こんな感じはどう?」と色んな球を投げてくれていて。最近は、今の私にピタッとくる楽曲を提示してくれるんです。それは多分、私の対応力の問題で。以前は背伸びして歌っていた曲を自然に歌えるようになってきたし、ライブ中に昔の曲を歌っていて、「私、こんなに軽やかに歌えてたっけ?」と感じる瞬間もありますね。
「私には音楽活動が必要なんだなって改めて感じています」
――先ほども話にありましたが、1stシングル「星空☆ディスティネーション」でデビューしてちょうど10年が経ちました。“10周年”という数字については、どう感じていますか?
花澤 10年も続けられて、本当にありがたいなと思います。楽曲を作ってくれた作家の皆さん、スタッフの皆さんはもちろん、聴いてくださる方がいてくれないと続けられないことので。
――それが変わってきたのはいつ頃ですか?
花澤 2nd アルバム『25』(2014年)のときですね。1st アルバム『claire』(2013年)のときは、“私の声を活かして、色んな作家の方に楽曲を作っていただく”という状態だったんです。『25』というアルバムは、歌詞の中に“25歳の私”を込めたんですよね。小さい頃の思い出、そのときに考えていたこと、未来のことなどを作詞家の岩里祐穂さんと話し合いながら歌詞を作って。つまり、私という人間と音楽活動がぴったり結びついた作品なんです。その頃からライブに対する意識も変わってきました。アニメ作品のイベントなどでは、キャラクターや役を背負っているし、ほかのキャストの方もたくさんいてくれるので、あまり気負いみたいなものはなかったのですが、いざ自分1人でライブをやるとなったときに変にプレッシャーを感じてしまって……。
――ライブが楽しめなかった?
花澤 そうですね。でも、ライブを重ねるにつれて、「素直に楽しめばいいんだな」と思うようになって、少しずつ「楽しいな」という瞬間が生まれ始めたんです。「お客さんは私が楽しんでいる姿を見て楽しんでくれてるんだな」とわかってきて、だったらまずは自分が楽しまなきゃって。それからはずっと楽しくやっています(笑)。
――そして今年2月にはニューアルバム『blossom』をリリース。テーマは“再出発”だったとか。
花澤 テーマ自体はスタッフの皆さんと話し合って決めました。音楽活動の初期の頃から関わってくれていたスタッフや作家の皆さんが集結してくれたし、“新たなスタート”ではなく、“今までと地続きの再出発”という感じだなと。『blossom』というタイトルは私が決めさせてもらいました。レーベルを移籍したタイミングで新たに関わってくれた方もいますし、コロナ禍のときに「何もできない時間がもったいないな」と思っていたので、また動き出せる嬉しさがありました。
――ポルカドットスティングレイの雫さんが作詞・作曲した「SHINOBI-NAI」、花澤さんのラップが聴ける「息吹 イン ザ ウィンド」(作詞・作曲:小出祐介)など、新鮮なテイストの曲もあって。花澤さんの音楽の世界がさらに広がっているのを感じました。
花澤 ありがとうございます。「次はこういう曲を歌ってみたいです」ということはいつもお伝えしていますし、北川さんから「こういう感じはどう?」と言ってもらえることもあって。雫さんに曲を書いていただいたのも、北川さんの提案なんです。ポルカの音楽は以前から聴いていたし、かっこいいなと思っていたのですが、自分が歌うという発想はなくて。提案されたときは「その発明、何!?」と思いました(笑)。5月に幕張で行われたポルカのライブ(ポルフェス57 “幕張メッセワンマン”)にゲスト出演させてもらったのですが、それもすごく楽しかったです。
――アルバムには矢野博康さん、沖井礼二さん、ミトさん、宮川 弾さんなど、花澤さんの音楽を支えてきたクリエイターの皆さんも参加されていますね。
花澤 新しい方とご一緒するのも楽しいですが、何曲も作っていただくことで生まれる物語もあって。続けていくことで、色んなことが起きるんだなって。
――当然ですけど、音楽をやっていなければ出会えない方ばかりですからね。
花澤 本当にそうでなんですよ。やっぱり私には音楽活動が必要なんだなって改めて感じています。この先も色々と考えてることがあって。新しい楽曲もそうだし、ライブの場所だったり。結構息つく間もなく続いていくので、ぜひ楽しみにしていてください。
INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之
●リース情報
「駆け引きはポーカーフェイス」
7月20日(水)発売
【通常盤(CD)】
品番:PCCG-02163
価格:¥1,400(税込)
【初回限定盤(CD+BD)】
品番:PCCG-02162
価格:¥2,200(税込)
初回限定盤封入特典:フルカラーブックレット
<CD>
1. 駆け引きはポーカーフェイス
作詞:宮川 弾 作曲・編曲:KOH
2. 運命の扉
作詞:北川勝利・藤村鼓乃美 作曲・編曲:北川勝利
3. 駆け引きはポーカーフェイス(TV size ver.)
4. 駆け引きはポーカーフェイス(Instrumental)
5. 運命の扉(Instrumental)
<Blu-ray>
・「駆け引きはポーカーフェイス」MV
・「駆け引きはポーカーフェイス」MVメイキング
共通特典(初回製造分のみ)
2022年9月10日(土)開催『HANAZAWA KANA Live 2022 “Pokerface”』チケット優先販売申込券封入。
●ライブ情報
『HANAZAWA KANA Live 2022 “Pokerface”』
2022年9月10日(土)開場17:00/開演18:00
会場:なかのZERO 大ホール
チケット
①全席指定(グッズ付)¥9,200(税込)
②全席指定(通常)¥7,700(税込)
※未就学児童入場不可
※営利目的の転売禁止
※開場・開演時間は変更となる場合がございます。
参加方法
2022年7月20日発売の花澤香菜「駆け引きはポーカーフェイス」初回製造分に、チケット優先販売申込券が封入されます。申込券記載の注意事項等をご確認・ご了承の上、記載のシリアルナンバーを使い、受付期間内に専用の受付URLにてお申込みください。
●配信情報
花澤香菜
音楽配信リンクはこちら
関連リンク
花澤香菜オフィシャルサイト
http://hanazawa-kana.com/
『それでも歩は寄せてくる』公式サイト
https://soreayu.com/
花澤香菜 オフィシャルファンクラブ「Destination Club」
https://hanazawakana-fc.com/