数々のヒット曲で知られる作曲家・白戸佑輔がゼネラルエグゼクティブクリエイティブプロデューサー(GECP=音楽制作総指揮)を務め、日本の音楽シーンの第一線で活躍中のクリエイターたちが集まった『くノ一ツバキの胸の内』のEDテーマプロジェクト『くノ一ツバキの音合わせ』の連載企画もこれでラスト。一般公募参加の2名を含む、9話~12話の参加メンバーによる座談会をお届け!アニメソング、キャラクターソングの仕事の根幹にも迫る熱い議論は、未来の展望にも繋がっていく……。
■第1回はこちら
音楽・白戸佑輔×音楽プロデューサー・山内真治、西田圭稀×鈴木Daichi秀行×椿山日南子×ha-j
■第2回はこちら
音楽プロデューサー・山内真治×伊藤 翼×青木征洋(ViViX)×菊池亮太×氏原ワタル(DOES)
酉班のことだけを考えて作った、二面性へのフォーカス
――この企画もついに最終回です。今回は第9話から第12話まで順番にそれぞれの楽曲について掘り下げさせていただければ。早速ですが9話の赤山コウさんの曲に関して、eijunさん、いかがでしたでしょうか。
eijun(菅波栄純/THE BACK HORN) めちゃくちゃクオリティが高くて震えましたよね。自分以外の皆さんの曲、全曲やばすぎて震えたんですけど、赤山さんの編曲は特に展開に意外性があったんです。サビの頭でリズムが抜けるところで、「あっ、そんな手があったのか」って。さすがにこれだけの数のアレンジが並んでいる企画だと、もうこういう展開はないと思ってました。ここまでやっても良かったんだな、みたいな。自分はまだまだ、考え方がぬるかったかもしれない……みたいなことをちょっと思いました。それくらい攻めたことをやっても、全然成立するプロジェクトなんだなって、教えられた気持ちでした。
赤山コウ ……(嬉しくて)死にそうですね。
eijun 「死にそう」って、そんな(笑)。
――今回の参加メンバーのうち、赤山さん、川口ケイさんはこのプロジェクトの一般公募枠で選ばれたお二人で、それでいきなりこの場は緊張されますよね。
yamazo 最終選考に残った10曲から選ぶとき、僕はお二人に票を入れたんですよ。決まるべき人が決まったなって、正直思っています。募集の時点でクオリティの高さは十分だったので、あとは作品というか、キャラクターにマッチするかどうかだけが気になっていたんです。でも、映像を観ても、バッチリだったなと思いました。eijunさんがいった展開力ももちろんそうだし、緩急のバランスも、サウンドもそう。言うことがない。自分がこれを作れるかって言われたら、絶対作れないです。素晴らしかったです。
川口ケイ この音合わせの企画に一般枠で応募させていただくときに、午班と酉班のどちらかが選べたんですけど、酉班の曲が僕には想像できなかったんですよね。ギャル二人と、真面目、まったく調和しなさそうな3人のチームを1曲にまとめるのは、自分には到底不可能だと思った。でも、こういうことか、と。
――いかがでしょうか、赤山さん。三者三様のご感想いただきましたけれども。
赤山 いや、やばいですね。得も言われぬ気持ちになります……(笑)。
――ご自身のこだわりのポイントは?
赤山 酉班の3人は、「ギャルと真面目」「遊びと修行」「自由と掟」みたいに、裏表というか、対比のようなものがあることが、原作を読み込むうちに見えてきたんです。だからそこにフォーカスを当てて作ってみようかな、というのが狙いでした。なので結果として出来上がった楽曲は、皆さんおっしゃるとおり、「冒険したな」みたいな雰囲気にはなると思うんですけど、でもそれは冒険することを狙ったからではなくて、酉班のことだけを考えて作ったからあの形になったんですよね。
yamazo 僕、実は選考のときには赤山さんほど酉班を掘り下げられていなかったんです。でもそこを、(作詞担当の)くまのきよみさんがしっかりとキャッチしていた。くまのさんのコメントを聞いて、キャラクターにマッチするかどうかもクリアできているとわかったから票を入れたんだけど、今の話を聞いて改めて腑に落ちました。くまのさん、さすがでしたね。
赤山 ありがたいかぎりです。半分くらい「ここまで深読みをしたら、伝わらないかもな」と思う気持ちもあったんです。その意味でもちょっと攻めた編曲ではあって、受け止めていただけたのは嬉しかったですね。
西田圭稀(アニプレックス・音楽ディレクター) 「ギャル」の要素にフォーカスを当てて、明るいEDM調で応募してくださった方も多かったんですよ。そのなかで割とスミレのほうに……というか、スミレも含めての酉班の二面性にフォーカスしていた赤山さんは、表面的なキャライメージだけじゃなくて、ちゃんとストーリーだとか、キャラの関係値を読み込んでいた。僕もすごいなと思いました。
アレンジによるネガティブとポジティブの対比
――では10話に進ませていただこうと思います。eijunさんのアレンジをお聴きになって、赤山さんはいかがでしたか?
赤山 僕はプレイヤーとしては、ずっとドラムをやっていたんです。
eijun ああ、嬉しい。
赤山 それこそ僕、THE BACK HORNもコピーしてたんですけど、このアレンジも「今すぐライブハウスに行ってコピバンを組みたい!」みたいな気持ちになりました。大好きな曲です。
yamazo 僕は自分との比較になっちゃいますけど、音の構築のイメージ感がやっぱり全然違うなと思いました。だからこそ、隣の芝生は青く見えるというか、すごく良いなと思う部分があったんです。サウンドのかわいさもそうだし、Aメロのかわいさもそう。特にAメロは、俺ももっとかわいくすればよかったな……って思わされました。
――面白いですね。同じ曲でも、赤山さんはバンドマン的な要素に注目されて、yamazoさんからするとむしろ作編曲家として表現されたかわいさ着目される。
川口 そうですね。まずAメロのメロディラインが、ネガティブなハギちゃんとポジティブなヒグルマちゃんの対比をとても綺麗に、上昇するメロディと下降するメロディとで表現していて、編曲でもそこが絶妙に拾われている。「ああ、これはキャラクター性が出ている、良いアレンジとメロディだな」と率直に感じたのと、そのあとのBメロでリーダーのタチアオイが出てきてからの、サビで曲のモチーフとなるフレーズであったり、音使いがまとまって出てくるところが非常にストーリー性があって、聴くだけで「この班の子たちは仲が良いんだな」っていうのが伝わってくるんですよね。その感覚が素敵で、楽しく聴かせていただきました。
――では皆さんのご感想を受けての、eijunさんのお話をお伺いできますか?
eijun たしかにこれは死にますね(笑)。
赤山 ですよね!(笑)
eijun 配信の番組(「くノ一ツバキの音合わせの答え合わせ!!」を見ていて、「いや、これは絶対死ぬわ」と思ってたら、本当に死ぬ(笑)。あの動画の出演者の皆さんの気持ちを、僕も今味わっています。……でも、そうは言いつつ、ありがたいですね。かわいさとロック感みたいなのもそうだし、キャラクターのメリハリ感もそう。今、指摘してくださったことは、全部意識して作ったことです。ちゃんと伝わっていて、すげぇ良かった。オーダー自体が、「この班のキャラクター的に、ネガティブとポジティブを結構行き来すること」と、「ジェットコースターみたいな展開」だったんです。
――その要素の配分はどう決めたんですか?
eijun メロディのラインは似てるけど、後ろのアレンジがメジャーとマイナーに分かれると、対比がわかりやすいと判断しました。あとはメロディの上昇と下降ですね。イントロのアルペジオで、和の旋律の上昇と下降を使っているのもそうですし、Bメロでは8bitっぽい音が出てくるんですけど、それも上がる音と下がる音を両方入れることを重視して作りました。……あとは、サビで2ビートをほかの人が使うかどうかが、ずっとめちゃくちゃ気になってました(笑)。
赤山・yamazo・川口 ああ~(笑)
山内真治(アニプレックス・音楽プロデューサー) 実はサビを2ビートにするアレンジは、絶対被るだろうなと思ってたんです。だからそこに関しては、事前に皆さんに一旦共有したほうがいいのかな?って一瞬迷ったんですよ。でも本プロジェクトのGECPこと白戸佑輔さんと話をしたら、「これはもう、『最後の最後までみんな知らなかった』ことにしたほうがいい。被っちゃったら被っちゃったで、『チッ、被った!』って盛り上がったほうが面白いんじゃないかな」と言われまして。それすらも盛り上がりになるだろうという考えの延長線上に、あの「答え合わせ」の動画があったんです。
eijun うわ、めっちゃ面白いな。そういう意図だったんだ。
山内 でも今日、初めて作っている人たちの、そういう被りを気にしながらも攻める気持ちがわかりました。説明から感じ取れる以上のことを、今の皆さんのやり取りで教えてもらえましたね。
eijun いやいや。しかし白戸さんはすべてわかって企画を仕切ってくれてますね。すごい。
西田 それでいうとくまのさんも、eijunさんからの曲を聞いただけで、「ここはハギで、ここはヒグルマで」って、オーダーが特になくても、メロディとアレンジで歌詞の書き分けをされてましたよ。それはやっぱり、アレンジに完璧に意図が反映されていたゆえなのかなと。
――そもそものお話として、10話の子班をeijunさんにお願いするのは、プロデュースサイドとしてはどういう狙いで?
山内 これは白戸GECP采配です。やっぱりTHE BACK HORN的なロック感のほうに、どうしても僕なんかは考えてしまいがちだったんですけど、白戸さんが「いや、eijunさんはそっちじゃないほうのほうが面白いから」と。普通だったら亥班を氏原ワタル(DOES)さんと取り合うように考えてしまうんですけどね(笑)。GECPはeijunさんのこと知り尽くしてるんだろうなっていう采配でした。
「白戸さんの原曲より良い曲にしよう」
――では11話のyamazoさんのお話に移りましょう。赤山さん、yamazoさんの曲はいかがでした?
赤山 もう本当に良くて、サビで天を仰いでしまいましたよ。「救済じゃん」と(笑)。それまで3点(ハイハット、スネア、バスドラム)で刻んでいたビートが、サビに入った瞬間に3連の入ったドラムロールになる。「ああ~!一番好きなやつ!」と。そこにホーン隊の3連のパパパーがきれいに鳴って、で、「音楽って最強だね」って歌詞がくるじゃないですか。音楽班である卯班の正解中の正解というか、この3人のキャラクターでこれやられちゃったら、膝から崩れ落ちるしかない。言葉にし尽くせないくらいのたまらなさでした。
――赤山さん的には、必殺技感のあるアレンジだったんですね。
赤山 そうですね。特にサビが本当に良かった。
eijun さっきyamazoさんには「隣の芝生が青く見えた」みたいなコメントをいただきましたけど、俺も逆側の芝生から同じ感覚で見ていました。それこそ、サビのコード進行の変化のさせ方は「こんなことがやれるのか、すごいな!」の一言ですよ。サビの頭で開けたメジャーの感じで進んで、折り返すところでマイナーのコード進行になるじゃないですか。めちゃくちゃ好きなんですけど、このサビのメロディにハマるこのコード進行を見つけたのがとにかくとんでもない。アレンジって、若干宝探し感があるじゃないですか。海底に深く潜って、すごい宝箱を見つけに行く感。
赤山・川口 (深く頷く)
eijun 「yamazoさん、すごいお宝見つけてるわ!」と思いました。マジで。ヤバかったです。
――プロも唸る「このメロディに、このコードを当てるのか」という仕事だった。
eijun そうですね。アレンジ含め、すごかった。
――川口さんはいかがでしたか?
川口 まずイントロを聴いたときのわくわく感がすごいです。歌姫が登場するかのような、日本武道館ワンマンの1曲目みたいな感じの印象を受けました。そこからきゅっと、ミクロの世界というか、アコースティックギターと歌の小さな編成になったところで、「あ、これはとんでもない展開になるぞ」ってわくわく感がさらに込み上げて。で、Bメロ、サビと進むごとにボルテージといいますか、どんどん、どんどん熱量が上がっていって、サビで開けて華やかになったときに、すごく感動しました。自分、中学のとき吹奏楽部に入ってたんですけど、初めての合奏で「こんなに音楽って楽しいんだ」と思ったんです。あのときの感情を呼び起こされましたね。そして分析的に聞くと、eijunさんのおっしゃるとおり、コード進行もすごい。好きだし、感動しました。
――まさに芸術班である卯班の曲として、凄まじい仕事をyamazoさんがされていた。ご本人としてはどんなことを考えて編曲を?
yamazo オーダー自体もそんな細かいものではなかったので、少しその、音楽班であるところを出しつつ……みたいな感じです。で、一番思ったのは、「白戸さんの原曲より良い曲にしよう」。
一同 (爆笑)
yamazo いやー、そこのところは強い想いがありましたよ!(笑)。先ほどからの話にも出てますけど、僕、一般公募の審査もやらせていただいたわけですよ。で、二百何十曲聴いて、まず思ったのは、「あ、俺のアレンジのコード進行、誰とも被ってない」と。
eijun いや、すごい。
yamazo それがね、結構良かったと思います。あとは、くまのさんの歌詞の力もありましたね。「音楽って最強だね」もそうだし、Bメロの鼻歌が入るところも素晴らしい。これが上がった時点で、「大丈夫だ」と思った。……ただまあ、「大丈夫だ」と思いつつ、これは動画でも公言してますけど、完成させる前にみんなの曲を先にちょっとずつ聴いてるんで、ちょっとズルですよね(笑)。
――いやいや、それでも凄まじいです。しかし、この企画の第1回でも「白戸さんの曲が正解すぎる」みたいな声が他の皆さんから出て、そこからどうズラすかに苦心されたそうなのですが、yamazoさんは正面からぶつかった。
yamazo でも、お世辞抜きに、ほかの皆さんもそうはいいつつ、ある意味で原曲を超えている部分がたくさんあるなと思うし、それも含めてすごく面白い企画だなと思いました。
――ちなみに11話、卯班をyamazoさんにお願いするのは、どなたの采配だったんですか?
山内 yamazoさんの場合は、ECP(エグゼクティブクリエイティブプロデューサー)という、GECPに次ぐ副番長みたいな役割でご参加いただいていたこともあるし、yamazoさんと白戸さんがTwitterでいちゃいちゃしているのを見たところからこの企画のアイデアがスタートしたという経緯もあったりするんです。だから一番おいしいと思わせておいて、一番プレッシャーがかかるポジションにyamazoさんにいてもらうのが良いのではないかという采配は、我々と白戸さんのどちらから言い出したでもない、自然な流れでしたね。で、元々11話をお願いすることを先に決めていて、結果的にそこが芸術班である卯班になったことで、よりプレッシャーが増して、なお良いね……みたいな。
yamazo そういう流れなんだ(笑)。
山内 ECPとして色々なところで発言していただいたとき、割と露悪的にというか、さっきのように「俺だけほかのみんなの曲を聴いて、これから直せる」みたいなことも言って強そうに振る舞っていただきましたけれど、内心多分、ものすごい心臓ばくばくな日々を過ごしておられたんじゃないかなと、我々としては想像していて。でも、そんな重責に耐えられるのはyamazoさんだけだろうという、白戸さんの友情の采配であり、悪魔の采配ですね。
yamazo でも良いのか悪いのか、そのプレッシャーをあんまり感じられずにというか、気づかずにここまできてしまいましたっていう感じはあります。
eijun 素晴らしいなあ。
yamazo とりあえず白戸さんを倒すことだけしか頭になかったので。
「王道」であり、1つの「正解」
――では最後に川口さんの曲について伺っていきましょう。赤山さんはいかがでしたでしょうか?
赤山 「かわいい」の王道ですよね。戌班の曲を最初に聴いたときも思ったんですけど、川口さんの曲を聴いたときに「『くノ一ツバキ』というアニメの、午班がメインになる回のエンディングでこれが流れたら嬉しいに決まってるよね!」みたいな。色んな楽器や音色などがたくさんすごい散りばめられてるんですけど、でも全部がちゃんと1曲の中で統一感を持ってまとまっている。何より好きなのは、サビ前の「シャキーン!」という効果音ですね。あの遊び心のひとつまみがツボです。同じ公募枠と思えないくらい、手練の雰囲気があって、ただただ「すごいなー」と思いながらずっと聴いていました。
eijun アレンジもメロディも圧巻でしたね、コードの運びも。たしかに午班の曲を作るなら、かわいい要素は絶対外せない。でも、かわいいのに同時にかっこいいみたいな部分が、常にこのアレンジのどの場面にもある。こういう女子に生まれたかったな、って思いました。ある種、これもまた1つの「正解」……王道的な雰囲気を持った、この曲のアレンジの「正解」なんじゃないのかなって思ったくらい、やられた感がありましたね。
yamazo 僕が最初に聴いたのは審査のときなわけですけど、曲を聴いたときに「多分これに決まるんじゃないかな」とは正直思ったんです。今、eijunさんが言った通り王道っぽいアレンジで、白戸さんとは別のアプローチだけど、「これって、みんな色々アレンジしているけど、原曲はこれだったんじゃない?」と思わせるくらい、アレンジのクオリティが高い。こういう応募企画だと、飛び道具を出す人が多い。その良さもあるけど、そのなかで割と王道で攻めて、それでもって勝ち残れるのは、やっぱりクオリティとセンス。その2つがある人だなって思いました。率直にいって、このアレンジはとても好きでした。
――皆さん、大絶賛ですね。
川口 嬉しい限りです
――ということで、川口さんご本人的にこだわりをお聞きしたいです。
川口 さっき赤山さんが、「かなり酉班にフォーカスした楽曲」とおっしゃってたんですけど、自分は本当に対照的に、「『くノ一ツバキ』のエンディングとしてどういう曲がいいか?」という軸と、「午班にはこういう要素があるよね」という軸、この2要素を確実に入れようと思ったんです。皆さんから「王道」といっていただけるアレンジになったのは、そうした意識があったからかなと考えています。
――キャラの軸と、作品の軸を立てていたんですね。
川口 で、さっき赤山さんがおっしゃっていた、「シャキーン!」の音だとか、和太鼓、和楽器の音とかをわかりやすく入れさせていただいたのも、『くノ一ツバキ』のエンディングであることを意識したからなんです。白戸さんはご自分の編曲に関して、「和楽器は極力減らした」という趣旨のことをおっしゃっていましたけど、こっちはあえてベタベタにいってやろうじゃないかということで(笑)。
――素敵な対抗意識です(笑)。
川口 でも、楽器の使用はそういうことを考えてたんですけど、午班らしさをどういう形で取り入れようかなって思ったときに、やっぱり「かわいい」は絶対条件なのと、あとはヒナギクの涙もろいところ。これはもう必要不可欠だなと思って。なので、アレンジは基本かわいく、そこにかっこいい要素も入れて、そのうえでコード進行であったり、Aメロのメロディラインで絶妙にかわいすぎないというか、切なさももりもりに入れさせてもらいました。そこを評価していただけたのかなと思っています。
――今のお話もまた面白いですね。同じ公募枠でも、赤山さんが「キャラクターソング」としての側面を強めに意識して応募されて、川口さんは「キャラクターソング」の意識もありつつ「アニメソング」……番組のEDテーマであることも意識してバランス感を決めておられた。
山内 プロの作家の人でも、キャラソンとアニメのテーマソングの違いを述べよって言われたら正解を言えない人、割といるかもしれないですね。それをわかっている人たちが応募で入ってくるこの今の世の中の恐ろしさですよ(笑)。14、5年前からDTMが一般化してきているなかで、最初はやりたいことをやろうと、勢いで作っていく人が多かった印象があるんですけど、年月を経てプロとしてのバランス感覚みたいなものを最初からちゃんとわかってやっている人たちがいる、しかも、まだプロとして世に出ていない。それなのに、プロと呼んでも過言ではないレベルのところにいらっしゃるというのが、良い意味で本当に恐ろしいです。
赤山・川口 ありがとうございます(笑)。
山内 赤山さんは一点突破のフォーカスみたいなことをやっているけれど、それも全体を俯瞰した上での「あえて」の手法である。逆に川口さんの場合は、王道of王道をいっているようで、そこにプロですらあえて避ける和楽器を入れ込んでくる気概がある。保守と革新が同時に2人出てきたかのような、そんな気持ちがあります。そんな姿を見ても、それに対する皆さんの講評を聞いていても、「あれ、これ他社さんもこういうのやったほうがよくない?」って改めて思いましたね。
一同 (笑)
山内 どんどんこうやって金の卵を発掘していって、何も悪いことはなにもないと思うので。今、トップランナーとして走ってる人たちも、後ろから追いかける人がいたらもっと速く走るじゃん?みたいなところとかもあるでしょうし(笑)。ぜひ他社さんも続いてほしいですね。もちろん自分も他作品でもやっていきたいですね。
「音合わせ」プロジェクトを通したそれぞれの想い
――実際参加してみて、皆さんいかがでしたか?ご自分の創作活動に影響を受けた点はありますか。
赤山 僕は自分の中で、作曲、編曲、ミックスの境界線が割と曖昧だったんです。1人で一気通貫にやってしまうことが多かったので、いまいちわからなくて。この企画を通して、皆さんの素晴らしすぎる編曲で12回殴られて、「あっ、なんかそういうことなのかな」っていう、今すぐ具体的に言葉にするのは難しいんですけど……制作にあたるときに考える頭のチャンネルがだいぶ増えたな、みたいな感触がありますね。
――それは大きな気づきですね。eijunさんはどうですか?
eijun めちゃくちゃ影響を受けましたね。個人作家として、楽曲提供なりアレンジの仕事などさせてもらうようになって僕はまだ日が浅くて。これまで主に、バンドで、メンバーと顔つきあわせて、ガーン!と音を出して……みたいなやり方がアレンジの作業だったんですよ(笑)。メロディも、弾き語りでできるメロディをぼーんと作って、「あとは頼んだ!」と後工程のみんなに投げるみたいな感じでやってきて。最近やっとバンド外の仕事も少しずつやらせてもらえるようになってきて、そのタイミングでちょうど白戸さんにこの企画に誘ってもらったのはなんかこう、白戸さんに僕を育てる意識があったんじゃないか、と。まるで千里眼で今の俺の状況を見ていたのかなと思うくらい、良い時期に呼んでもらえたんです。
――良いタイミングというのは、もう少し具体的にいうと?
eijun こんなに色んなアレンジが、同じ楽曲でもできるんだと肌身でわかったこともそうだし、自分は今まで「メロディと歌詞の組み合わせがかっこよければいいんじゃないか?」って、心の中で思ってるところがあったんです。作家仕事を始めたのに、バンドマン的な考えが抜けなかった。でもメロディと歌詞とアレンジと音像がどう組み合わさるかが大事だと、このプロジェクトをやらせてもらったことで、身に染みて理解しました。
――なるほど。yamazoさんはいかがでしたでしょうか。
yamazo 改めて自分の立ち位置を考えましたね。下からの突き上げ、なかなかどかない上、それに挟まれた、ちょうど中堅くらいになるのか(笑)。やっぱりどんどん才能ある若い人は出てきます。このプロジェクトに参加した人の中だと、今回選ばれた2人もだし、椿山日南子さん(3話担当)もそうですよね。それはそれとして、やっぱりDaichi(鈴木Daichi秀行)さんやha-jさんみたいに、手練れの技というか、長年ずっとプロでやってきたすごみを見せる人もまだまだ活躍している。その両方を目の前に突きつけられた機会でした。精進しようと思いましたね。
――川口さんはいかがでした?
川口 創作活動への影響が2点あると思っていて。クリエイティブ方面で言うと、作曲しながらも曲を俯瞰して聴ける力がついた気がします。このプロジェクトを通して、1つの楽曲でもこんなに幅のあるアレンジができるんだっていうのが非常によく見えた。これまでも頭では理解していたつもりでしたけど、現実として突きつけられたんです。だから自分が何かいただいた楽曲をアレンジするときにも、「この楽器を使う意味ってなんだろう」とか、「本当にこのアレンジで合ってるのかな」みたいなところを一度立ち返って確認といいますか、自問自答するようになりましたね。で、もう1点が、お仕事の面で、タイミングがたまたま重なっただけなのか、今回僕がアニメの企画で通ったっていうところを聞きつけてなのかわからないですけど、映像関係の仕事が色々と増えて(笑)
山内 おおー、そうなんだ。
川口 光栄な限りでございます。
――良い話ですね!映像業界の中で、注目度が高いプロジェクトだったのかもしれない。
yamazo これはもう、『くノ一ツバキの音合わせ』が育てた才能だ……ってことにしておきましょう(笑)。
――またこうした企画があるといいですね。
yamazo 今回のこの企画が好評で終われば、より予算を増やしていただき、今度はたくさんレコーディングをやりたいですね。
山内 それ、真面目に大事かも。
yamazo その過程も含めて、今度は映像として残していくみたいなね。作家が集まってやんややんややるのもいいですけど、本業であるレコーディングやセッションも見せられる機会があるとより面白いんじゃないかなと僕は思います。
山内 延々マイクの話だけしてるみたいなことになっちゃいかねないけど、それはそれで面白いかもしれないよね(笑)。
川口 映像で残るっていうのは僕も思ったところで。例えば1人の作家に注目して、依頼を受けたところからどういうふうに構想を練って楽曲に仕上げていくみたいなところが1本あると、それも非常に若手の身としては勉強、刺激になるかなというふうに思いました。
eijun いやー、たしかに。
yamazo ただ、それはいつできるかわからないからね……。
川口 わはははは。密着されても……って感じですよね(笑)。
yamazo 「情熱大陸」ばりに張り付かないとだめになっちゃう。
山内 でもyamazoさん、自分で動画配信はやってますよね?
yamazo まあ、そうですね。
山内 ああいうのを、もっと色んな人がやったらいいなと……音楽の制作過程って、この上ないドキュメンタリーだと思うんですよ。エンターテインメントの視点をちゃんと入れて、演出を計算したうえでやっていけたら面白くなるはずだし、音楽制作に興味を持つ人も増えるでしょう。それに、アニメの劇伴のレコーディング現場って、大編成のオーケストラのレコーディングができる数少ない現場の1つになってきているので、その技術の継承も含めて、動画で残していったほうがいいと思ってるんです。その第一歩として、yamazoさんがYouTubeでやっていることはすごく参考になると思います。
eijun 素晴らしい。
yamazo ……動画のデータだけたまって「いつ編集するんだよ」みたいな状態に今なってますけど。
山内 その問題ね。
eijun 動画のデータ、重いですもんね。
山内 もう編集マンに頼むか、あるいはそういう編集マンをみんなで育てるかだよね。業界共通の。音楽系YouTuberの編集をやる業者さんをみんなで育てるっていう。
eijun 良いですね!僕も頼みたい。
山内 音楽の専門用語をわかる業者の人がいると違うだろうからね。
yamazo そうそう、やっぱり音楽をわかってる人じゃないとできない編集がある。普通の動画編集の方には、申し訳ないけどお願いできない場面も多いんです。
山内 次はそういうプロジェクトか……。
――『音合わせ2』にはメイキングの動画編集の人も募集する。
eijun それだ。面白いじゃないですか。
yamazo 問題は、マネタイズ(笑)。山内さん、お願いします!
山内 ……(笑)。でも本当に、素晴らしい才能がたくさん世の中にはいるので、どんどんそういう方の力を伸ばしていけるように、そして皆さんに知ってもらえるように、作品を通じて頑張るのがプロデューサーの役目なんだなあというふうに、改めてこのプロジェクトを手がけたことで思い始めました。これからも頑張っていきます。まずは、まだまだ展開が続く『くノ一ツバキの胸の内』と『くノ一ツバキの音合わせ』の応援、よろしくお願いします!
INTERVIEW & TEXT BY 前田 久
●リリース情報
「くノ一ツバキの胸の内 あかね組音楽集」
発売中
価格:¥3,850(税込)
品番:SVWC 70589~70590
商品仕様
・CD 2枚組、アニメ描き下ろし三方背ケース仕様
・あかね組くノ一・ランダムステッカー封入
https://kunoichi-tsubaki.com/music/
●作品情報
TV アニメ『くノ一ツバキの胸の内』
【原作】
山本崇一朗「くノ一ツバキの胸の内」(小学館「ゲッサン」連載中)
【スタッフ】
監督:角地拓大
シリーズ構成:守護このみ
キャラクターデザイン:奥田陽介
色彩設計:山口 舞
美術監督:吉原俊一郎
美術設定:青木 薫
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:千野勝平
編集:瀧川三智
音響監督:明田川 仁
音楽:白戸佑輔
制作:CloverWorks
【主題歌】
オープニングテーマ:the peggies「ハイライト・ハイライト」
【キャスト】
ツバキ:夏吉ゆうこ
サザンカ:根本京里
アサガオ:鈴代紗弓 ほか
関連リンク
「くノ一ツバキの音合わせ」特設サイト
https://kunoichi-tsubaki.com/otoawase/
『くノ一ツバキの胸の内』公式サイト
https://kunoichi-tsubaki.com/
『くノ一ツバキの胸の内』公式Twitter
https://twitter.com/tsubaki_anime
赤山コウ 公式Twitter
https://twitter.com/red_kou_drum
eijun(菅波栄純/THE BACK HORN) 公式Twitter
https://twitter.com/SuganamiEijun
川口ケイ 公式Twitter
https://twitter.com/K_3hp
yamazo 公式Twitter
https://twitter.com/yamazoo
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音楽・白戸佑輔×音楽プロデューサー・山内真治、西田圭稀×鈴木Daichi秀行×椿山日南子×ha-j
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音楽プロデューサー・山内真治×伊藤 翼×青木征洋(ViViX)×菊池亮太×氏原ワタル(DOES)
酉班のことだけを考えて作った、二面性へのフォーカス
――この企画もついに最終回です。今回は第9話から第12話まで順番にそれぞれの楽曲について掘り下げさせていただければ。早速ですが9話の赤山コウさんの曲に関して、eijunさん、いかがでしたでしょうか。
eijun(菅波栄純/THE BACK HORN) めちゃくちゃクオリティが高くて震えましたよね。自分以外の皆さんの曲、全曲やばすぎて震えたんですけど、赤山さんの編曲は特に展開に意外性があったんです。サビの頭でリズムが抜けるところで、「あっ、そんな手があったのか」って。さすがにこれだけの数のアレンジが並んでいる企画だと、もうこういう展開はないと思ってました。ここまでやっても良かったんだな、みたいな。自分はまだまだ、考え方がぬるかったかもしれない……みたいなことをちょっと思いました。それくらい攻めたことをやっても、全然成立するプロジェクトなんだなって、教えられた気持ちでした。
赤山コウ ……(嬉しくて)死にそうですね。
eijun 「死にそう」って、そんな(笑)。
――今回の参加メンバーのうち、赤山さん、川口ケイさんはこのプロジェクトの一般公募枠で選ばれたお二人で、それでいきなりこの場は緊張されますよね。
yamazo 最終選考に残った10曲から選ぶとき、僕はお二人に票を入れたんですよ。決まるべき人が決まったなって、正直思っています。募集の時点でクオリティの高さは十分だったので、あとは作品というか、キャラクターにマッチするかどうかだけが気になっていたんです。でも、映像を観ても、バッチリだったなと思いました。eijunさんがいった展開力ももちろんそうだし、緩急のバランスも、サウンドもそう。言うことがない。自分がこれを作れるかって言われたら、絶対作れないです。素晴らしかったです。
川口ケイ この音合わせの企画に一般枠で応募させていただくときに、午班と酉班のどちらかが選べたんですけど、酉班の曲が僕には想像できなかったんですよね。ギャル二人と、真面目、まったく調和しなさそうな3人のチームを1曲にまとめるのは、自分には到底不可能だと思った。でも、こういうことか、と。
正解を出されたような感じで、ずかーん!ともう、脳天にくらいましたね(笑)。やっぱり皆さんおっしゃるとおり、サビで落とすところのテクニックとか、かと思ったら、そのあとゴリゴリのスラップ(・ベース)が出てくるところ。そういう攻めたことをやりながら、でも1曲として完全に成立している。矛盾というか、全体を通したときの違和感がない。そこが非常に素晴らしいなと感じました。
――いかがでしょうか、赤山さん。三者三様のご感想いただきましたけれども。
赤山 いや、やばいですね。得も言われぬ気持ちになります……(笑)。
――ご自身のこだわりのポイントは?
赤山 酉班の3人は、「ギャルと真面目」「遊びと修行」「自由と掟」みたいに、裏表というか、対比のようなものがあることが、原作を読み込むうちに見えてきたんです。だからそこにフォーカスを当てて作ってみようかな、というのが狙いでした。なので結果として出来上がった楽曲は、皆さんおっしゃるとおり、「冒険したな」みたいな雰囲気にはなると思うんですけど、でもそれは冒険することを狙ったからではなくて、酉班のことだけを考えて作ったからあの形になったんですよね。
yamazo 僕、実は選考のときには赤山さんほど酉班を掘り下げられていなかったんです。でもそこを、(作詞担当の)くまのきよみさんがしっかりとキャッチしていた。くまのさんのコメントを聞いて、キャラクターにマッチするかどうかもクリアできているとわかったから票を入れたんだけど、今の話を聞いて改めて腑に落ちました。くまのさん、さすがでしたね。
赤山 ありがたいかぎりです。半分くらい「ここまで深読みをしたら、伝わらないかもな」と思う気持ちもあったんです。その意味でもちょっと攻めた編曲ではあって、受け止めていただけたのは嬉しかったですね。
西田圭稀(アニプレックス・音楽ディレクター) 「ギャル」の要素にフォーカスを当てて、明るいEDM調で応募してくださった方も多かったんですよ。そのなかで割とスミレのほうに……というか、スミレも含めての酉班の二面性にフォーカスしていた赤山さんは、表面的なキャライメージだけじゃなくて、ちゃんとストーリーだとか、キャラの関係値を読み込んでいた。僕もすごいなと思いました。
アレンジによるネガティブとポジティブの対比
――では10話に進ませていただこうと思います。eijunさんのアレンジをお聴きになって、赤山さんはいかがでしたか?
赤山 僕はプレイヤーとしては、ずっとドラムをやっていたんです。
それもあって、イントロのドラムでノックアウトされちゃいました。「ああ、気持ち良い!」って。で、サビで2ビートになるし、ハーフテンポにもなるし、もう終始ずっとリズムが気持ち良くって……。
eijun ああ、嬉しい。
赤山 それこそ僕、THE BACK HORNもコピーしてたんですけど、このアレンジも「今すぐライブハウスに行ってコピバンを組みたい!」みたいな気持ちになりました。大好きな曲です。
yamazo 僕は自分との比較になっちゃいますけど、音の構築のイメージ感がやっぱり全然違うなと思いました。だからこそ、隣の芝生は青く見えるというか、すごく良いなと思う部分があったんです。サウンドのかわいさもそうだし、Aメロのかわいさもそう。特にAメロは、俺ももっとかわいくすればよかったな……って思わされました。
――面白いですね。同じ曲でも、赤山さんはバンドマン的な要素に注目されて、yamazoさんからするとむしろ作編曲家として表現されたかわいさ着目される。
川口さんはいかがでしたか?
川口 そうですね。まずAメロのメロディラインが、ネガティブなハギちゃんとポジティブなヒグルマちゃんの対比をとても綺麗に、上昇するメロディと下降するメロディとで表現していて、編曲でもそこが絶妙に拾われている。「ああ、これはキャラクター性が出ている、良いアレンジとメロディだな」と率直に感じたのと、そのあとのBメロでリーダーのタチアオイが出てきてからの、サビで曲のモチーフとなるフレーズであったり、音使いがまとまって出てくるところが非常にストーリー性があって、聴くだけで「この班の子たちは仲が良いんだな」っていうのが伝わってくるんですよね。その感覚が素敵で、楽しく聴かせていただきました。
――では皆さんのご感想を受けての、eijunさんのお話をお伺いできますか?
eijun たしかにこれは死にますね(笑)。
赤山 ですよね!(笑)
eijun 配信の番組(「くノ一ツバキの音合わせの答え合わせ!!」を見ていて、「いや、これは絶対死ぬわ」と思ってたら、本当に死ぬ(笑)。あの動画の出演者の皆さんの気持ちを、僕も今味わっています。……でも、そうは言いつつ、ありがたいですね。かわいさとロック感みたいなのもそうだし、キャラクターのメリハリ感もそう。今、指摘してくださったことは、全部意識して作ったことです。ちゃんと伝わっていて、すげぇ良かった。オーダー自体が、「この班のキャラクター的に、ネガティブとポジティブを結構行き来すること」と、「ジェットコースターみたいな展開」だったんです。
だからジェットコースター部分をリズムで作って、ネガティブとポジティブの対比を、メロディとアレンジで表現したんです。
――その要素の配分はどう決めたんですか?
eijun メロディのラインは似てるけど、後ろのアレンジがメジャーとマイナーに分かれると、対比がわかりやすいと判断しました。あとはメロディの上昇と下降ですね。イントロのアルペジオで、和の旋律の上昇と下降を使っているのもそうですし、Bメロでは8bitっぽい音が出てくるんですけど、それも上がる音と下がる音を両方入れることを重視して作りました。……あとは、サビで2ビートをほかの人が使うかどうかが、ずっとめちゃくちゃ気になってました(笑)。
赤山・yamazo・川口 ああ~(笑)
山内真治(アニプレックス・音楽プロデューサー) 実はサビを2ビートにするアレンジは、絶対被るだろうなと思ってたんです。だからそこに関しては、事前に皆さんに一旦共有したほうがいいのかな?って一瞬迷ったんですよ。でも本プロジェクトのGECPこと白戸佑輔さんと話をしたら、「これはもう、『最後の最後までみんな知らなかった』ことにしたほうがいい。被っちゃったら被っちゃったで、『チッ、被った!』って盛り上がったほうが面白いんじゃないかな」と言われまして。それすらも盛り上がりになるだろうという考えの延長線上に、あの「答え合わせ」の動画があったんです。
eijun うわ、めっちゃ面白いな。そういう意図だったんだ。
山内 でも今日、初めて作っている人たちの、そういう被りを気にしながらも攻める気持ちがわかりました。説明から感じ取れる以上のことを、今の皆さんのやり取りで教えてもらえましたね。
eijun いやいや。しかし白戸さんはすべてわかって企画を仕切ってくれてますね。すごい。
西田 それでいうとくまのさんも、eijunさんからの曲を聞いただけで、「ここはハギで、ここはヒグルマで」って、オーダーが特になくても、メロディとアレンジで歌詞の書き分けをされてましたよ。それはやっぱり、アレンジに完璧に意図が反映されていたゆえなのかなと。
――そもそものお話として、10話の子班をeijunさんにお願いするのは、プロデュースサイドとしてはどういう狙いで?
山内 これは白戸GECP采配です。やっぱりTHE BACK HORN的なロック感のほうに、どうしても僕なんかは考えてしまいがちだったんですけど、白戸さんが「いや、eijunさんはそっちじゃないほうのほうが面白いから」と。普通だったら亥班を氏原ワタル(DOES)さんと取り合うように考えてしまうんですけどね(笑)。GECPはeijunさんのこと知り尽くしてるんだろうなっていう采配でした。
「白戸さんの原曲より良い曲にしよう」
――では11話のyamazoさんのお話に移りましょう。赤山さん、yamazoさんの曲はいかがでした?
赤山 もう本当に良くて、サビで天を仰いでしまいましたよ。「救済じゃん」と(笑)。それまで3点(ハイハット、スネア、バスドラム)で刻んでいたビートが、サビに入った瞬間に3連の入ったドラムロールになる。「ああ~!一番好きなやつ!」と。そこにホーン隊の3連のパパパーがきれいに鳴って、で、「音楽って最強だね」って歌詞がくるじゃないですか。音楽班である卯班の正解中の正解というか、この3人のキャラクターでこれやられちゃったら、膝から崩れ落ちるしかない。言葉にし尽くせないくらいのたまらなさでした。
――赤山さん的には、必殺技感のあるアレンジだったんですね。
赤山 そうですね。特にサビが本当に良かった。
eijun さっきyamazoさんには「隣の芝生が青く見えた」みたいなコメントをいただきましたけど、俺も逆側の芝生から同じ感覚で見ていました。それこそ、サビのコード進行の変化のさせ方は「こんなことがやれるのか、すごいな!」の一言ですよ。サビの頭で開けたメジャーの感じで進んで、折り返すところでマイナーのコード進行になるじゃないですか。めちゃくちゃ好きなんですけど、このサビのメロディにハマるこのコード進行を見つけたのがとにかくとんでもない。アレンジって、若干宝探し感があるじゃないですか。海底に深く潜って、すごい宝箱を見つけに行く感。
赤山・川口 (深く頷く)
eijun 「yamazoさん、すごいお宝見つけてるわ!」と思いました。マジで。ヤバかったです。
――プロも唸る「このメロディに、このコードを当てるのか」という仕事だった。
eijun そうですね。アレンジ含め、すごかった。
――川口さんはいかがでしたか?
川口 まずイントロを聴いたときのわくわく感がすごいです。歌姫が登場するかのような、日本武道館ワンマンの1曲目みたいな感じの印象を受けました。そこからきゅっと、ミクロの世界というか、アコースティックギターと歌の小さな編成になったところで、「あ、これはとんでもない展開になるぞ」ってわくわく感がさらに込み上げて。で、Bメロ、サビと進むごとにボルテージといいますか、どんどん、どんどん熱量が上がっていって、サビで開けて華やかになったときに、すごく感動しました。自分、中学のとき吹奏楽部に入ってたんですけど、初めての合奏で「こんなに音楽って楽しいんだ」と思ったんです。あのときの感情を呼び起こされましたね。そして分析的に聞くと、eijunさんのおっしゃるとおり、コード進行もすごい。好きだし、感動しました。
――まさに芸術班である卯班の曲として、凄まじい仕事をyamazoさんがされていた。ご本人としてはどんなことを考えて編曲を?
yamazo オーダー自体もそんな細かいものではなかったので、少しその、音楽班であるところを出しつつ……みたいな感じです。で、一番思ったのは、「白戸さんの原曲より良い曲にしよう」。
一同 (爆笑)
yamazo いやー、そこのところは強い想いがありましたよ!(笑)。先ほどからの話にも出てますけど、僕、一般公募の審査もやらせていただいたわけですよ。で、二百何十曲聴いて、まず思ったのは、「あ、俺のアレンジのコード進行、誰とも被ってない」と。
eijun いや、すごい。
yamazo それがね、結構良かったと思います。あとは、くまのさんの歌詞の力もありましたね。「音楽って最強だね」もそうだし、Bメロの鼻歌が入るところも素晴らしい。これが上がった時点で、「大丈夫だ」と思った。……ただまあ、「大丈夫だ」と思いつつ、これは動画でも公言してますけど、完成させる前にみんなの曲を先にちょっとずつ聴いてるんで、ちょっとズルですよね(笑)。
――いやいや、それでも凄まじいです。しかし、この企画の第1回でも「白戸さんの曲が正解すぎる」みたいな声が他の皆さんから出て、そこからどうズラすかに苦心されたそうなのですが、yamazoさんは正面からぶつかった。
yamazo でも、お世辞抜きに、ほかの皆さんもそうはいいつつ、ある意味で原曲を超えている部分がたくさんあるなと思うし、それも含めてすごく面白い企画だなと思いました。
――ちなみに11話、卯班をyamazoさんにお願いするのは、どなたの采配だったんですか?
山内 yamazoさんの場合は、ECP(エグゼクティブクリエイティブプロデューサー)という、GECPに次ぐ副番長みたいな役割でご参加いただいていたこともあるし、yamazoさんと白戸さんがTwitterでいちゃいちゃしているのを見たところからこの企画のアイデアがスタートしたという経緯もあったりするんです。だから一番おいしいと思わせておいて、一番プレッシャーがかかるポジションにyamazoさんにいてもらうのが良いのではないかという采配は、我々と白戸さんのどちらから言い出したでもない、自然な流れでしたね。で、元々11話をお願いすることを先に決めていて、結果的にそこが芸術班である卯班になったことで、よりプレッシャーが増して、なお良いね……みたいな。
yamazo そういう流れなんだ(笑)。
山内 ECPとして色々なところで発言していただいたとき、割と露悪的にというか、さっきのように「俺だけほかのみんなの曲を聴いて、これから直せる」みたいなことも言って強そうに振る舞っていただきましたけれど、内心多分、ものすごい心臓ばくばくな日々を過ごしておられたんじゃないかなと、我々としては想像していて。でも、そんな重責に耐えられるのはyamazoさんだけだろうという、白戸さんの友情の采配であり、悪魔の采配ですね。
yamazo でも良いのか悪いのか、そのプレッシャーをあんまり感じられずにというか、気づかずにここまできてしまいましたっていう感じはあります。
eijun 素晴らしいなあ。
yamazo とりあえず白戸さんを倒すことだけしか頭になかったので。
「王道」であり、1つの「正解」
――では最後に川口さんの曲について伺っていきましょう。赤山さんはいかがでしたでしょうか?
赤山 「かわいい」の王道ですよね。戌班の曲を最初に聴いたときも思ったんですけど、川口さんの曲を聴いたときに「『くノ一ツバキ』というアニメの、午班がメインになる回のエンディングでこれが流れたら嬉しいに決まってるよね!」みたいな。色んな楽器や音色などがたくさんすごい散りばめられてるんですけど、でも全部がちゃんと1曲の中で統一感を持ってまとまっている。何より好きなのは、サビ前の「シャキーン!」という効果音ですね。あの遊び心のひとつまみがツボです。同じ公募枠と思えないくらい、手練の雰囲気があって、ただただ「すごいなー」と思いながらずっと聴いていました。
eijun アレンジもメロディも圧巻でしたね、コードの運びも。たしかに午班の曲を作るなら、かわいい要素は絶対外せない。でも、かわいいのに同時にかっこいいみたいな部分が、常にこのアレンジのどの場面にもある。こういう女子に生まれたかったな、って思いました。ある種、これもまた1つの「正解」……王道的な雰囲気を持った、この曲のアレンジの「正解」なんじゃないのかなって思ったくらい、やられた感がありましたね。
yamazo 僕が最初に聴いたのは審査のときなわけですけど、曲を聴いたときに「多分これに決まるんじゃないかな」とは正直思ったんです。今、eijunさんが言った通り王道っぽいアレンジで、白戸さんとは別のアプローチだけど、「これって、みんな色々アレンジしているけど、原曲はこれだったんじゃない?」と思わせるくらい、アレンジのクオリティが高い。こういう応募企画だと、飛び道具を出す人が多い。その良さもあるけど、そのなかで割と王道で攻めて、それでもって勝ち残れるのは、やっぱりクオリティとセンス。その2つがある人だなって思いました。率直にいって、このアレンジはとても好きでした。
――皆さん、大絶賛ですね。
川口 嬉しい限りです
――ということで、川口さんご本人的にこだわりをお聞きしたいです。
川口 さっき赤山さんが、「かなり酉班にフォーカスした楽曲」とおっしゃってたんですけど、自分は本当に対照的に、「『くノ一ツバキ』のエンディングとしてどういう曲がいいか?」という軸と、「午班にはこういう要素があるよね」という軸、この2要素を確実に入れようと思ったんです。皆さんから「王道」といっていただけるアレンジになったのは、そうした意識があったからかなと考えています。
――キャラの軸と、作品の軸を立てていたんですね。
川口 で、さっき赤山さんがおっしゃっていた、「シャキーン!」の音だとか、和太鼓、和楽器の音とかをわかりやすく入れさせていただいたのも、『くノ一ツバキ』のエンディングであることを意識したからなんです。白戸さんはご自分の編曲に関して、「和楽器は極力減らした」という趣旨のことをおっしゃっていましたけど、こっちはあえてベタベタにいってやろうじゃないかということで(笑)。
――素敵な対抗意識です(笑)。
川口 でも、楽器の使用はそういうことを考えてたんですけど、午班らしさをどういう形で取り入れようかなって思ったときに、やっぱり「かわいい」は絶対条件なのと、あとはヒナギクの涙もろいところ。これはもう必要不可欠だなと思って。なので、アレンジは基本かわいく、そこにかっこいい要素も入れて、そのうえでコード進行であったり、Aメロのメロディラインで絶妙にかわいすぎないというか、切なさももりもりに入れさせてもらいました。そこを評価していただけたのかなと思っています。
――今のお話もまた面白いですね。同じ公募枠でも、赤山さんが「キャラクターソング」としての側面を強めに意識して応募されて、川口さんは「キャラクターソング」の意識もありつつ「アニメソング」……番組のEDテーマであることも意識してバランス感を決めておられた。
山内 プロの作家の人でも、キャラソンとアニメのテーマソングの違いを述べよって言われたら正解を言えない人、割といるかもしれないですね。それをわかっている人たちが応募で入ってくるこの今の世の中の恐ろしさですよ(笑)。14、5年前からDTMが一般化してきているなかで、最初はやりたいことをやろうと、勢いで作っていく人が多かった印象があるんですけど、年月を経てプロとしてのバランス感覚みたいなものを最初からちゃんとわかってやっている人たちがいる、しかも、まだプロとして世に出ていない。それなのに、プロと呼んでも過言ではないレベルのところにいらっしゃるというのが、良い意味で本当に恐ろしいです。
赤山・川口 ありがとうございます(笑)。
山内 赤山さんは一点突破のフォーカスみたいなことをやっているけれど、それも全体を俯瞰した上での「あえて」の手法である。逆に川口さんの場合は、王道of王道をいっているようで、そこにプロですらあえて避ける和楽器を入れ込んでくる気概がある。保守と革新が同時に2人出てきたかのような、そんな気持ちがあります。そんな姿を見ても、それに対する皆さんの講評を聞いていても、「あれ、これ他社さんもこういうのやったほうがよくない?」って改めて思いましたね。
一同 (笑)
山内 どんどんこうやって金の卵を発掘していって、何も悪いことはなにもないと思うので。今、トップランナーとして走ってる人たちも、後ろから追いかける人がいたらもっと速く走るじゃん?みたいなところとかもあるでしょうし(笑)。ぜひ他社さんも続いてほしいですね。もちろん自分も他作品でもやっていきたいですね。
「音合わせ」プロジェクトを通したそれぞれの想い
――実際参加してみて、皆さんいかがでしたか?ご自分の創作活動に影響を受けた点はありますか。
赤山 僕は自分の中で、作曲、編曲、ミックスの境界線が割と曖昧だったんです。1人で一気通貫にやってしまうことが多かったので、いまいちわからなくて。この企画を通して、皆さんの素晴らしすぎる編曲で12回殴られて、「あっ、なんかそういうことなのかな」っていう、今すぐ具体的に言葉にするのは難しいんですけど……制作にあたるときに考える頭のチャンネルがだいぶ増えたな、みたいな感触がありますね。
――それは大きな気づきですね。eijunさんはどうですか?
eijun めちゃくちゃ影響を受けましたね。個人作家として、楽曲提供なりアレンジの仕事などさせてもらうようになって僕はまだ日が浅くて。これまで主に、バンドで、メンバーと顔つきあわせて、ガーン!と音を出して……みたいなやり方がアレンジの作業だったんですよ(笑)。メロディも、弾き語りでできるメロディをぼーんと作って、「あとは頼んだ!」と後工程のみんなに投げるみたいな感じでやってきて。最近やっとバンド外の仕事も少しずつやらせてもらえるようになってきて、そのタイミングでちょうど白戸さんにこの企画に誘ってもらったのはなんかこう、白戸さんに僕を育てる意識があったんじゃないか、と。まるで千里眼で今の俺の状況を見ていたのかなと思うくらい、良い時期に呼んでもらえたんです。
――良いタイミングというのは、もう少し具体的にいうと?
eijun こんなに色んなアレンジが、同じ楽曲でもできるんだと肌身でわかったこともそうだし、自分は今まで「メロディと歌詞の組み合わせがかっこよければいいんじゃないか?」って、心の中で思ってるところがあったんです。作家仕事を始めたのに、バンドマン的な考えが抜けなかった。でもメロディと歌詞とアレンジと音像がどう組み合わさるかが大事だと、このプロジェクトをやらせてもらったことで、身に染みて理解しました。
――なるほど。yamazoさんはいかがでしたでしょうか。
yamazo 改めて自分の立ち位置を考えましたね。下からの突き上げ、なかなかどかない上、それに挟まれた、ちょうど中堅くらいになるのか(笑)。やっぱりどんどん才能ある若い人は出てきます。このプロジェクトに参加した人の中だと、今回選ばれた2人もだし、椿山日南子さん(3話担当)もそうですよね。それはそれとして、やっぱりDaichi(鈴木Daichi秀行)さんやha-jさんみたいに、手練れの技というか、長年ずっとプロでやってきたすごみを見せる人もまだまだ活躍している。その両方を目の前に突きつけられた機会でした。精進しようと思いましたね。
――川口さんはいかがでした?
川口 創作活動への影響が2点あると思っていて。クリエイティブ方面で言うと、作曲しながらも曲を俯瞰して聴ける力がついた気がします。このプロジェクトを通して、1つの楽曲でもこんなに幅のあるアレンジができるんだっていうのが非常によく見えた。これまでも頭では理解していたつもりでしたけど、現実として突きつけられたんです。だから自分が何かいただいた楽曲をアレンジするときにも、「この楽器を使う意味ってなんだろう」とか、「本当にこのアレンジで合ってるのかな」みたいなところを一度立ち返って確認といいますか、自問自答するようになりましたね。で、もう1点が、お仕事の面で、タイミングがたまたま重なっただけなのか、今回僕がアニメの企画で通ったっていうところを聞きつけてなのかわからないですけど、映像関係の仕事が色々と増えて(笑)
山内 おおー、そうなんだ。
川口 光栄な限りでございます。
――良い話ですね!映像業界の中で、注目度が高いプロジェクトだったのかもしれない。
yamazo これはもう、『くノ一ツバキの音合わせ』が育てた才能だ……ってことにしておきましょう(笑)。
――またこうした企画があるといいですね。
yamazo 今回のこの企画が好評で終われば、より予算を増やしていただき、今度はたくさんレコーディングをやりたいですね。
山内 それ、真面目に大事かも。
yamazo その過程も含めて、今度は映像として残していくみたいなね。作家が集まってやんややんややるのもいいですけど、本業であるレコーディングやセッションも見せられる機会があるとより面白いんじゃないかなと僕は思います。
山内 延々マイクの話だけしてるみたいなことになっちゃいかねないけど、それはそれで面白いかもしれないよね(笑)。
川口 映像で残るっていうのは僕も思ったところで。例えば1人の作家に注目して、依頼を受けたところからどういうふうに構想を練って楽曲に仕上げていくみたいなところが1本あると、それも非常に若手の身としては勉強、刺激になるかなというふうに思いました。
eijun いやー、たしかに。
yamazo ただ、それはいつできるかわからないからね……。
川口 わはははは。密着されても……って感じですよね(笑)。
yamazo 「情熱大陸」ばりに張り付かないとだめになっちゃう。
山内 でもyamazoさん、自分で動画配信はやってますよね?
yamazo まあ、そうですね。
山内 ああいうのを、もっと色んな人がやったらいいなと……音楽の制作過程って、この上ないドキュメンタリーだと思うんですよ。エンターテインメントの視点をちゃんと入れて、演出を計算したうえでやっていけたら面白くなるはずだし、音楽制作に興味を持つ人も増えるでしょう。それに、アニメの劇伴のレコーディング現場って、大編成のオーケストラのレコーディングができる数少ない現場の1つになってきているので、その技術の継承も含めて、動画で残していったほうがいいと思ってるんです。その第一歩として、yamazoさんがYouTubeでやっていることはすごく参考になると思います。
eijun 素晴らしい。
yamazo ……動画のデータだけたまって「いつ編集するんだよ」みたいな状態に今なってますけど。
山内 その問題ね。
eijun 動画のデータ、重いですもんね。
山内 もう編集マンに頼むか、あるいはそういう編集マンをみんなで育てるかだよね。業界共通の。音楽系YouTuberの編集をやる業者さんをみんなで育てるっていう。
eijun 良いですね!僕も頼みたい。
山内 音楽の専門用語をわかる業者の人がいると違うだろうからね。
yamazo そうそう、やっぱり音楽をわかってる人じゃないとできない編集がある。普通の動画編集の方には、申し訳ないけどお願いできない場面も多いんです。
山内 次はそういうプロジェクトか……。
――『音合わせ2』にはメイキングの動画編集の人も募集する。
eijun それだ。面白いじゃないですか。
yamazo 問題は、マネタイズ(笑)。山内さん、お願いします!
山内 ……(笑)。でも本当に、素晴らしい才能がたくさん世の中にはいるので、どんどんそういう方の力を伸ばしていけるように、そして皆さんに知ってもらえるように、作品を通じて頑張るのがプロデューサーの役目なんだなあというふうに、改めてこのプロジェクトを手がけたことで思い始めました。これからも頑張っていきます。まずは、まだまだ展開が続く『くノ一ツバキの胸の内』と『くノ一ツバキの音合わせ』の応援、よろしくお願いします!
INTERVIEW & TEXT BY 前田 久
●リリース情報
「くノ一ツバキの胸の内 あかね組音楽集」
発売中
価格:¥3,850(税込)
品番:SVWC 70589~70590
商品仕様
・CD 2枚組、アニメ描き下ろし三方背ケース仕様
・あかね組くノ一・ランダムステッカー封入
https://kunoichi-tsubaki.com/music/
●作品情報
TV アニメ『くノ一ツバキの胸の内』
【原作】
山本崇一朗「くノ一ツバキの胸の内」(小学館「ゲッサン」連載中)
【スタッフ】
監督:角地拓大
シリーズ構成:守護このみ
キャラクターデザイン:奥田陽介
色彩設計:山口 舞
美術監督:吉原俊一郎
美術設定:青木 薫
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:千野勝平
編集:瀧川三智
音響監督:明田川 仁
音楽:白戸佑輔
制作:CloverWorks
【主題歌】
オープニングテーマ:the peggies「ハイライト・ハイライト」
【キャスト】
ツバキ:夏吉ゆうこ
サザンカ:根本京里
アサガオ:鈴代紗弓 ほか
関連リンク
「くノ一ツバキの音合わせ」特設サイト
https://kunoichi-tsubaki.com/otoawase/
『くノ一ツバキの胸の内』公式サイト
https://kunoichi-tsubaki.com/
『くノ一ツバキの胸の内』公式Twitter
https://twitter.com/tsubaki_anime
赤山コウ 公式Twitter
https://twitter.com/red_kou_drum
eijun(菅波栄純/THE BACK HORN) 公式Twitter
https://twitter.com/SuganamiEijun
川口ケイ 公式Twitter
https://twitter.com/K_3hp
yamazo 公式Twitter
https://twitter.com/yamazoo
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