堀江由衣が配信シングル「秘密の庭のふたり」を8月7日にリリース。本曲はABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット(『ANiMAZiNG!!!』枠)にて放送中のTVアニメ『最近雇ったメイドが怪しい』エンディング主題歌。
自身も五条院つかさ役として出演している。

さらに、配信リリース同日に、東名阪で開催された2019年以来約3年ぶりのツアー「堀江由衣ライブツアー2022 文学少女倶楽部II~放課後リピート~」のライブ音源も配信。心地の良い風を吹かせる「秘密の庭のふたり」について、そして3年振りとなったツアーについて探っていく。

ピュアでまっすぐな「秘密の庭のふたり」
――8月7日に配信開始となったニューシングル「秘密の庭のふたり」についておうかがいできればと思うのですが、発表された際のラジオ(6月放送の『堀江由衣の天使のたまご』)では「まだあまりお話できない」とおっしゃっていて。

堀江由衣 あはは、そうなんです。音源の発売となると、解禁のスケジュールとかいろいろあるじゃないですか。そういうのが自分の中で面白くて。そのラジオを録っている時はまだジャケット写真を撮ってなかったり、いろいろあったりしたんです。だから「まだここまでしか言っちゃいけない」みたいな感じがあって、それが面白かったので、逆にいじっていました(笑)。

――実際、制作はどのように進められていったのでしょうか。

堀江 今回は『最近雇ったメイドが怪しい』という作品のエンディング主題歌で。作品の曲に携わらせていただくときは、自分が思うことも言わせていただくのですが、ディレクターさんだったり、アニメの場合は監督さんだったり、原作者の方だったりと、いろいろな方のご意見が必要で。
いつもはそれを汲みつつ、自分の意見も出させてもらうんですが、今回の楽曲はアニメの現場の方達でイメージする雰囲気があって。それで「例えばこんな感じです」ということで出していただいた曲があったのですが、私自身がその曲をあまり知らなかったんですよね。でもご意見を大切にしたいなと思っていたので、おっしゃっていた曲のイメージに近いデモをディレクターさんたちに選んでいただいて。それが20曲くらいあったんです。そこから篩いにかけられた候補曲の中から、監督や皆さんとで「これが良い」「あれが良い」と票を入れていって、この曲に決まりました。きっと、監督や皆さんのイメージがいちばん色濃く表れた楽曲だったんだと思います。

――きっとどれも素敵な楽曲だったんでしょうね。「秘密の庭のふたり」のデモはどのような印象がありましたか?

堀江 柔らかさがあるなぁというのと……正直でまっすぐな感じがしましたし、変に飾っていないのに、元気さや明るさ、可愛さがあるっていう。そのピュアさが今回の物語と合うのかなって私は思いました。ゆったりかと思いきや、意外とテンポ感もあって。

――たしかにタイトルだけ見るとゆったりした雰囲気なのかなと思っていましたが、にぎやかさもありますよね。歌詞もコンペだったんですか?

堀江 歌詞もコンペで選ばせていただきました。
皆さん原作を読んでくださっていたので、作品のイメージに合った歌詞ばかりだったんです。その中でも、今回の歌詞が「私が演じさせていただくつかさちゃんの目線にも見えるし、主人公のふたりの目線にも見える」といった内容で。ここから膨らませたら良いものになりそうだなと思って選ばせていただきました。私自身はあのふたりをイメージしながら歌っていましたが、曲単体として聴いたときに、身近な誰かを思い出したり、自分の気持ちに当てはまったりするものになったら良いなと思いました。

――冒頭の“シャボン玉の匂い”という言葉にもすごく惹かれました。いろいろな想像が膨らむなって。

堀江 この曲で私が思い描いていたのは裏庭のような場所で。お屋敷の表の庭って人に見せる場所じゃないですか。一方の裏庭には、掃除道具が置いてあったり、洗濯物が干してあったりするイメージで。裏庭で洗濯物を干している姿を見ながら、その横でシャボン玉を吹いてる……といった景色が浮かびました。

――この楽曲で特にこだわったところや、大切にされたことを教えて下さい。

堀江 心の中にいる子たちが内緒話をしているような雰囲気にしたいなと思っていたんです。
というのも、私が演じているつかさちゃんは最初、影からふたりのことを見守っているキャラクターで。一見おとなしそうなんですけど、実は「ふたりの関係は熱いですわ!」って感じで、心のなかではいつもお喋りしているんですよね。だから歌も何人かいるかのように、不思議な感じで聴こえたら良いなと思って。ウィスパーで録った本線の声を重ねて、それをどこに配置したら気持ちよく聴こえるかなってエンジニアさんと相談しながら作っていったんです。

――イヤホンで聴いたときに耳元で内緒話をされているかのような不思議な感覚があったんです。それは音の配置が関係しているんですかね?

堀江 嬉しい、そうです! 最近はイヤホンで聴く人が多いのかなと思って。実際、私自身もトラックダウンの作業のときにイヤホンやヘッドフォンで聴いていました。そのコショコショ声が耳の後ろくらいにきたら良いなと思っていたんです。ただ、そっちの(コショコショ声)が立ちすぎてしまうと、本線の歌がダブル(ボーカル)っぽくなってしまうので調整してもらいました。ちょっとでも自分の意図した雰囲気が聴こえると良いなぁと思っています。

――内緒話というお話がありましたが、実際に歌詞の中にも“明日みんなには内緒でそっと”という言葉がありますしね。

堀江 本当はタイトルにも“内緒”を入れたかったんです。
なかなかハマらなかったんですけども。“明日みんなには内緒でそっと”という言葉は、まさにふたりの関係性や、つかさちゃんの目線が表れているんじゃないかなと思います。

――そういえば、先のラジオの回で「はがきをこれまで出したことがない」という方がいらっしゃって。今イヤホンの話がありましたが、音の作り方にしかり、伝達方法にしかり、いろいろなことが変わってきているなとしみじみ感じます。

堀江 そうなんですよね! 「はがきを今まで出したことがない」という方のおはがきを読みながら「そういうものなんだなぁ!」と、なんだか新鮮でした。音のお話で言うと、きっとご自宅の良いスピーカーから音楽を聴かれるかたは少ないんじゃないかなって。コードのついてないイヤホンで聴く方が多いだろうから、それを見越して作れるとよいかなって。

――ジャケット撮影はいかがでしたか?

堀江 さきほどもお話したのですが、なんとなく、このふたりがいる場所って表の綺麗な庭というより、裏庭のイメージだったんです。それで裏庭っぽい雰囲気の場所を探していたところ、デザイナーさんがいい雰囲気のスタジオを見つけてきてくれました。主とメイドではあるんだけど、親しい関係性でもありますし、そういったふたりの雰囲気も出せたらなと思っていて。それで、ほうきがあったり、かごがあったり、洗濯物があったり……と。私のイメージとしては、メイドさんのお手伝いをしているお嬢様みたいな感じでした。


――小物類の彩りも素敵で。特ににんじんがかわいいです。

堀江 かわいいですよね! スタッフさんが「産地直送」的なにんじんをネットで買ってくださって(笑)。ピーターラビットみたいな世界観で、小道具としてもかわいいなと思っていました。で、撮影後にみんなで分けて持ち帰ったんです。バーニャカウダーとかで食べたら美味しいんじゃないかなんて話していたんですが……その日、ちょっとバタバタしていたので、にんじんは食べられませんでした(笑)。新鮮なうちに生で食べたかったなぁ。

アフレコ現場は和気あいあい
――アニメについてのお話も、もう少しおうかがいさせてください。『最近雇ったメイドが怪しい』は堀江さんから見てどのような作品と感じられていますか?

堀江 小さなお屋敷に一人で住む男の子・ゆうりくんと、ある日突然現れたメイド・リリスちゃんのふたりの関係が主に描かれていて。最初はメイドさんが主人である男の子を誘惑していく話なんだろうかと思っていたら、ゆうりくんがものすごくピュアで。そして、ゆうりくんの発言に対してリリスちゃんがタジタジする……っていう。

ゆうりくんの思いのまっすぐさにほっこりさせてもらえる作品だなと思っています。
なぜリリスちゃんが屋敷に来たのかなど謎な部分は多いんですが、一緒に過ごしているうちにふたりは家族のような信頼関係が生まれていって。でもちょっとドキドキする「この気持ちってなんだろうね」っていうふたりを、私が演じるつかさちゃんが影から見守っています(笑)。つかさちゃんはゆうりくんのクラスメイトで、幼いんですけど恋愛ものの本を読むのが大好きで知識が豊富なんです。だからふたりの関係を見て「これって本で読んだやつ!」って(笑)。一見おとなしそうな雰囲気なんですけど、ふたりを見たときの、心の中のはしゃぎ具合はすごいです。

――ある意味、読者や視聴者にも近いような。

堀江 そうですね! そこにすごく近い目線だと思います。

――それにしてもゆうりくんのまっすぐな言葉にはやられてしまいました。リリスの気持ちも分かるなぁと。

堀江 天然イケメンなんですよね(笑)。現場でも「将来どうなるんだろうね」って話をしていました。

――アフレコ現場はどんな雰囲気なんでしょうか。

堀江 人数を限定してアフレコしているのですが、休憩のときに「これからどうなっていくんだろうね」って作品について話をしたり、女子が多いので美容の話をしたりしています(笑)。ご時世柄距離を取って話しているので、あまりわちゃわちゃした感じではないのですがすごく楽しいです。

3年振りのライブを振り返って
――それではここからは前日に開催された『堀江由衣 LIVE TOUR 2022 文学少女倶楽部Ⅱ ~放課後リピート~』を完走された今のお気持ちはいかがですか?

堀江 率直な感想を言うと……疲れました(笑)。毎回ライブが終わった直後は疲れてるんですけどね。リハーサルのときはあまり感じなかったんですけど、初日が終わったときに「えらい疲れたなぁ」と。でも全公演、皆様のご協力のおかげで全員も怪我もなく無事に終われたので本当に良かったです。

――ひさびさのライブですものね。ツアー中に特に印象的だった出来事はありましたか?

堀江 たくさんあるんですが……感染対策の一環で歓声は禁止とさせていただいていたんですが、皆さん一緒に振り付けをしてくれたり、曲ごとにペンライトの色を変える振り付けをしてくれたりして、それがすっごくうれしかったです。ハプニング的なエピソードで言うと、ライブ中にマニピュレーターさんのパソコンが止まってしまったんです。

――演奏中に突然ですか?

堀江 そうです。「YAHHO!!」という曲が始まった直後に、イヤモニの音がスッと消えたんですよね。私の最近のライブではマニピュレーターさんのパソコンから出る音と生の楽器の音とが合わさって流れるようになっているので、「あ、パソコンが止まったなぁ」とすぐに思って。その瞬間に横を見たらバンドマスターのエンドウ.さん(G / GEEKS、月蝕會議)が、弾きながらも「どうする?どうする?」って感じになっていて。そしたら、キーボード兼マニピュレーターの吹野クワガタさんがものすごい勢いで弾き始めたんですよ!

――ものすごい勢いで! 瞬時の判断ですね。

堀江 「俺がなんとかしなきゃ!」って感じで、本当にすごい勢いだったんです(笑)。おかげで演奏が止まることがなく、「よし、このままいこう!」となって。私の楽曲って皆さん原曲通りに演奏してくださることが多かったんですよ。私のためでもあるんですが、「お客さんが聴きやすいように」と考えてくださっていて。でも「YAHHO!!」だけは無い音を埋めるかのようにアレンジして弾いてくださって、それがエモかったんですよね。それに気づいたお客さんもいれば、気づかなかったお客さんもいらっしゃったんですけど、私の中では大きな出来事で。

――ライブならではの出来事ですもんね。

堀江 はい。ライブならではですごく楽しいなと思いました。「文学少女倶楽部」シリーズでバンドの皆さんとライブをするようになったので、その前は音源のオケで歌うことが多かったんです。だから「これがナマなんだ!」というのと、楽器ができない自分からすると「本当に弾いてるんだ」と(笑)。もちろん皆さんずっと演奏されているんですけども、アドリブで弾けることのすごさというか。これがプロなんだなと思いましたね。

――全員が全員プロフェッショナルだからできたことですね。ちなみに、「YAHHO!!」のどのあたりの出来事だったんです?

堀江 ド頭のほうでした(笑)。だからやり直そうと思えばやり直せたとは思うんです。だけど「いこうぜ」って感じがすごくカッコよかったです。きっと吹野さんは「自分のせいかも」と責任も感じられたと思うんですよね。でも私としては本当に楽しかったから、どこかで抜き打ちでまた音を止めてもらいたいくらいでした(笑)。さすがにそこまでの余裕が自分になかったのでやめましたけど。

あと、文学少女シリーズには、劇中劇のような幕間映像があるので毎回映像を作るんです。その撮影もすごく楽しくて。一日学校をお借りして、ダンサーさん、バンドのメンバーの皆さんに来ていただいて。いつも(文学少女シリーズの)幕間映像はライブのリハがはじまる前に撮るんですけど、そこでダンサーの皆さん、バンドの皆さんが仲良くなるんですよね。待ち時間にクイズ大会とか、人狼ゲームをやってるんですよ(笑)。

――皆さん距離がグッと縮まる機会に。

堀江 そこで仲良くなってから、後々リハが始まるという。皆さんいい雰囲気にしてくれるので、撮影も和気あいあいとして進みました。

――そういった皆さんだからこそ、堀江さんも安心して背中を預けられるというか。

堀江 ダンサーさんはお付き合いの長い方が多いんですけど、バンドさんとは前回からお世話になっていて。前回とはメンバーが少し変わっているんですけど、皆さん良い方たちです。話が少し変わってしまうんですが、自分はずっとバンドの人たちが苦手だと思いこんでいたんです。でも前回のライブで、昔の楽曲も新鮮に聴かせてくれるってことを知って。しかもすごく良い方たちなので、輪に入りやすかったです。

――苦手だったんですか?

堀江 そう思い込んでました。ファーストライブはバンドの皆さんとやっていたんですけど、自分が若かったこともあって……今も17歳ですけど(笑)、当時はどう接していいか分からなかったんです。だから接点があんまり持てなかったんですけど、今は皆さん寄り添ってくださるので、構えずにお話ができています。あと衣装がみんな学生服というのも一体感があるなと。皆さんのフレンドリーなお人柄のおかげでもあって、楽しい撮影とライブになりました。

――配信シングルと同日に、その「堀江由衣 LIVE TOUR 2022 文学少女倶楽部Ⅱ~放課後リピート~」 のライブ音源がデジタルリリースされましたね。

堀江 ライブの音源が全曲配信されました!

――めちゃくちゃ豪華ですよね。

堀江 想像以上に皆さんに喜んでいただけて、自分としてはただただ恥ずかしいだけなんですけども(笑)。例の「YAHHO!!」は収録された日とは別の日の公演だったので入っていないんですけどね。

――ところで、今年もあっという間に後半に入りましたが、堀江さんの中でやりたいことはありますか?

堀江 せっかくだから……ガッツリ部屋の片付けをしたい!

――ラジオでもお話されていましたね(笑)。

堀江 本当になんとかしたい……! いや、なんとかしよう!と思っています。ここ数年推し活をしているので、家に大量に缶バッチなどのグッズがあるんです。YouTubeに「推し活整理術」みたいな動画がたくさんあって、そういうのを見ていたら、皆さんめちゃくちゃ綺麗に収納されていて。見ているとやってみたくなるんですよね。それでOPP袋を買って、缶バッチを袋詰して引き出しに入れてみたんですが、ポストカード、ラバスト、アクスタ、しおり……と後から後からいろいろなものが出てきて(笑)。そういうのを全部袋詰めました。たぶん、今300袋くらいあります。業者かなっていうくらいグッズを詰めました(笑)。

――すごい! まるでお店のように(笑)。

堀江 ただ袋詰めしたのは良いんですけど、今度は置くスペースを作らなきゃいけなくて。だから大改造したいなと思っています。でも昔からずーっと片付けの話ってしてきているので、根本的になんとかしたいと思っています(笑)。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

●リリース情報
TVアニメ『最近雇ったメイドが怪しい』ED主題歌
「秘密の庭のふたり」
配信中

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「堀江由衣 LIVE TOUR 2022 文学少女倶楽部Ⅱ~放課後リピート~」ライブ音源
配信中

配信リンクはこちら

●作品情報
TVアニメ『最近雇ったメイドが怪しい』
放送中

ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット(『ANiMAZiNG!!!』枠):
毎週土曜 26:00~
AT-X:毎週水曜 20:30~(リピート放送 毎週金曜8:30 / 毎週火曜14:30~)
BS12:毎週金曜26:00~

【スタッフ】
原作:昆布わかめ(掲載 月刊「ガンガンJOKER」スクウェア・エニックス刊)
総監督・シリーズ構成:湊 未來
監督:星野美鈴
助監督:伊部勇志
キャラクターデザイン:吉野万智
音楽:藤本コウジ(Sus4 Inc.)/ササキオサム
オープニング主題歌:≠ME
エンディング主題歌:堀江由衣「秘密の庭のふたり」
アニメーション制作:SILVER LINK.×BLADE

【キャスト】
ゆうり:早見沙織
リリス:高橋李依
五条院つかさ:堀江由衣
藤崎:小松未可子
中島ナツメ:富田美憂

関連リンク
堀江由衣オフィシャルサイト
https://horie-yui.com/

堀江由衣オフィシャルファンクラブ「黒ネコ同盟」
https://www.kuroneko-union.com/

TVアニメ『最近雇ったメイドが怪しい』 公式サイト
https://maid-ga-ayashii.com/
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