私たちは日常を取り戻しつつある。会場に集いし、ぢぇらっ子の背中がそう物語っていた。
angelaがアテンドする世界旅行へ、いざ出発!
“angela Tourism -aLIVE & Message-”というツアータイトルに沿った世界観で、ステージ上には空港ターミナルを模した装飾が並び、開演前のアナウンスではatsukoがフライトアテンダント調に諸注意を述べる。オープニングSEに合わせて拍手が巻き起こるなか、リゾート感のある衣装に身を包んだメンバーたちが入ってくると会場は総立ちだ。「やれんのか、ぢぇらっ子!」と、atsukoがいきなりのアオリをかました途端、かわいい声になってOPナンバー「乙女のルートはひとつじゃない!」のタイトルをコール。angelaがまたも新境地を開いたこの曲で一気に盛り上げ、コミカルな動きで視覚的に楽しませつつ、クラップを促したりコール&レスポンスの場では早くもカスタネットを求めたりと、angela流のエンターテインメントが冒頭から存分に発揮されていた。
atsukoのマイクから「突然ですが乱気流が発生しました」と発せられると曲調がハードに一転し、「DEAD OR ALIVE」へ。このバリエーションの豊かさもangelaならではの魅力で、会場のぢぇらっ子も即座に対応し、一糸乱れぬ応援を続ける。曲の合間の「Follow me Follow you」の掛け合いをライブらしくたっぷりと交歓し、落ちサビを高らかに歌い上げると思い切り体を折り力がみなぎっているようすを伺わせる。続いて10thアルバム『Battle & Message』からのハードな新曲『I’ll be…』をドロップ。
MCでは「この日をどうにか迎えられました」と、ツアーファイナル公演にatsukoは安堵した声を上げる。前日は台風15号の影響で天候や交通状況も大きく乱れていたが、当日になると台風が温帯低気圧に変わり、雨が収まった。この前の週に開催された“ナガノアニエラフェスタ”でも無事晴天に恵まれたことを指し、atsukoに対して「我らが太陽神」とKATSUは語る。この日初めてangelaのライブを観る観客を迎える体制をステージ上から促す空気づくりも忘れない。続いては、まさしくこのツアーで初披露された「アンダンテに恋をして!」のカップリング曲「愛を謳う」。バンドサウンドでの力強い4拍子から優雅なクラシックのメロディに乗せatsuko節をたっぷりと聴かせていく。挿入された「結婚行進曲」のメロディや、クワイアを伴うサビから多幸感を放っていった。
次の曲のイントロが流れるとライティングはピンクから青にチェンジ。2021年に完結を迎えた『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のOPテーマ「THE BEYOND」を披露する。
豊洲PITがカスタネットの音色に染まる!
1年ほど前からアコースティックギターを弾き始めたというatsuko。このMCではそんな彼女の白いギターが姿を表した。このギターは初心者用の約5万円のもので、一方KATSUのギターはギブソンG45の特別版で80万円だという。
MCではマニピュレーターのhanaが前日の広島でのライブから交通の混乱に遭い、この日の公演にギリギリで間に合ったという苦労話が披露されたあと、お待ちかねのカスタネットを使うゾーンへ。このカスタネットは感染症対策で声が出せないぢぇらっこがリアクションを伝えることなどを目的としたグッズ。8月にデジタルリリースした新曲「アロハTraveling」はこのカスタネットを合いの手のように使うことができ、事前に教則動画まで公開するという熱の入れようだ。「10ヶ国14ジャンル+1惑星」と銘打たれた多国籍なメロディやリズムが展開されていくなか、1000人規模の人が同時にカスタネットを叩く光景は音の響きとしても壮観で、特にKATSUが三線を弾いた沖縄民謡パートやジャズのパートでのatsukoのスウィングからは音源で聴いたときよりも祝祭感を感じられた。お祭り感のある楽曲で繋げた「全力☆Summer!」では、当然「ウ・ハ」のリズムに乗せてカスタネットを鳴らす。さらにKATSUが叩く太鼓も加わり、大打楽器大会の様相を呈する。
遠藤正明と見せた熱い熱いコラボレーション
一瞬の静寂を挟み、荘厳なイントロが流れてきた。これはangelaがJAM Project 20周年記念に提供した「HERE WE GO!」だ。登場した遠藤正明を高らかに紹介するatsukoはセルフカバーの形でデュエットする。お馴染みの男臭さ抜群の太い声が加わり、オープニングを見事なハモリで聴かせ、量感溢れるサウンドでじっくりと伝えていく。遠藤とともに客席に煽りを入れ、キックを繰り出し荒っぽいシャウトを繰り出すatsukoのパフォーマンスは普段とはまた違った一面だ。元々はJAM向けに作られただけあって、拳を振り上げて盛り上がるパートが多数あり、それに応じるかのように2人は体を折って熱唱していった。MCでは自己紹介から息の合ったやり取りを交わし、ぢぇらっ子たちを爆笑させる。この後、披露する「Battle & Message」でのデュエット依頼も、いきなり遠藤のLINEにatsukoが「爆竜戦隊アバレンジャー」のカラオケを歌う動画を送るという大胆な手法だったことが遠藤の口から明かされた。
「atsukoと歌うって大変なんですよ。クセが強いんで。でも意外とクセvsクセがいい具合になった」(遠藤)
「クセの相乗効果」(atsuko)
と、このデュエットの聴きどころを教えてくれた。
興奮冷めやらぬなか、アルバム新曲「連撃Victory」ではハイスピードでダンサンブルな楽曲で攻めていく。攻撃的なシンセにatsukoのロングトーンが冴えわたり、大きな動きで力強く歌い上げた。続いてシリアスな雰囲気を纏いながら歌われたのは2007年のシングル「gravitation」のカップリング曲「虚無の嵐」。13年前に一度、メドレーの中で歌われたレアトラックで、ヘビーで太いサウンドに載せながら存分に聴かせる楽曲だ。なぜこの曲が選ばれたのかは直後のMCで明かされた。
「あの頃は病んでいて、心身ともに状態が悪くて」「多分不安とかプレッシャーから来ていたと思う」(atsuko)
レギュラーのラジオ番組を休んだりライブ活動も行っていないなど、今の彼女からは信じられないような状況を振り返る。その時期の気分がダイレクトに反映されたのがこの楽曲だったという。
明るい気分を作り直し、こちらもまだまだ歌う機会が少なかった新曲の部類の「アンダンテに恋をして!」。ぢぇらっ子は再びカスタネットを使用しジャンプしながらメロディアスな楽曲を堪能する。ハイテンションでキレの良い展開で舞踏会のゾーンになるとステージ両脇から4人ずつのダンサーが登場し視覚的にも賑やかになる。atsukoは振付やステップも見事にこなし、多彩な声を次々に聴かせていく。シアトリカルで難度の高い楽曲をライブで見せるエンターテイナーぶりを見事に発揮していた。続いてクールなシンセサウンドのイントロが響きわたると、フロアからはどよめきの声が。ここで、TWO-MIXのトリビュートアルバムに提供した「JUST COMMUNICATION」が投下された。オリジナルの流麗な歌いまわしに加えてatsukoの深みを増したボーカルやアタックの強いリズム隊が迫り、楽曲の良さを改めて引き立てていった。
本編ラストは「みんな心のなかで、カスタネットで叫んで!」(atsuko)と、「叫べ」を歌う。ツーバスのドラムと太いベース音が大音量で響くなか、憂いの声からサビになると一気に弾け体を2つに折り、まさに叫ぶように歌う。間奏のメタリックなギターソロがかき鳴らされ、フロアはカスタネットで返して、落ちサビから高らかにキメ、最後のサビの絶叫リフレインからは不思議な陶酔感を覚えた。
この日のアンコールはもちろんカスタネットでリクエスト。ツアーTシャツでさらにアロハな服装でレイまでかけられているメンバーが登場。お知らせは「まだ言えるタイミングではない」というが、2023年は盛りだくさんで、すでに24年の仕事にも取りかかっているとのことで『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』にも参加が決定しているので、安心して続報を待ちたい。
angelaのライブでは欠かせない「Shangri-La」がアンコール曲として歌われ久々のタオル回しをしたことで、ようやく日常が戻りつつあると安堵する気持ちが半分と、いよいよ終演が近づく実感を覚える寂しさが半分といったところだろうか。この日のライブを象徴するアイテムとなったカスタネットはこの曲でも大活躍し、落ちサビ部分やリアクションでお馴染みの曲にも普段とは違ったアクセントを与える。オーラスの「シドニア」では冒頭のマーチ部分にもカスタネットの硬音が響き、サビの「ナイツ・オブ・シドニア」のコーラスにも当ててくる。ラストのシャウトも繰り返し、最後まで格好良くキメてステージを終えた。
atsukoはMCで繰り返し「無事に」と口にしていた。それは自身が新型コロナに感染し声の不調を体験したことだけでなく、台風シーズンにメンバー・スタッフ、そして会場に足を運ぶぢぇらっ子たちが無事でライブを最後まで観ることができたことへの安堵だったのだろう。KATSUは「3回では足りないですよね。コロナが落ち着いて本当に平和な世の中が戻ってくるといいなと強く思いすぎる今回のツアーでした」と話し、「メンバー1人欠けてもだめだし、みんなも近くにいる方を大事にしてください。今年色々あったんですけど、会いたい人には会っておいてください」と、失ってわかる想いをぢぇらっ子に対して実感を込めて伝え、「来年はangelaの20周年。一緒に過ごしましょう」と期待を持たせて終えた。atsukoは1stツアーの頃を振り返り、緊張を繰り返し強くなっていったことを述べ、「これからも皆と一緒に面白いことを、面白いステージを、面白い未来を目指してangela 突き進んで行きたいと思います!」と締め括った。
TEXT BY日詰明嘉
PHOTOGRAPHY BY 江藤はんな(SHERPA+)
<セットリスト>
01. 乙女のルートはひとつじゃない!
02. DEAD OR ALIVE
03. I’ll be…
04. 愛を謳う
05. THE BEYOND
06. クライシス
07. KINGS
08. Alone
09. あなたがくれたヒカリ
10. アロハTraveling
11. 全力☆Summer!
12. HERE WE GO!
13. Battle & Message
14. 連撃Victory
15. 虚無の嵐
16. アンダンテに恋をして!
17. JUST COMMUNICATION
18. 叫べ
―ENCORE―
EN1. Shangri-La
EN2. シドニア
●リリース情報
デジタルシングル
「アロハTraveling」
作詞:atsuko 作曲:atsuko/KATSU 編曲:KATSU
配信中
配信リンクはこちら
デジタルシングル2ヵ月連続リリース第一弾
「Alone」
作詞:atsuko 作曲:atsuko/KATSU 編曲:KATSU
配信中
配信リンクはこちら
関連リンク
angela オフィシャルサイト
https://angela-official.com/
angelaオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/user/angelaOfficialCh
angelaオフィシャルTwitter(STAFF)
https://twitter.com/angela_staff
angelaにとって約3年ぶりのライブツアーだ。もちろん、この間も様々な形でangelaはパフォーマンスを披露してくれていたが、フルレンスのライブで様々なアニソンを歌い演奏し、MCで会場の皆と笑顔を共有する機会は本当に久しぶりだ。感染症対策のため、この日もシンガロングは解禁されていない状況ではあったが、それでもカスタネットという新たなコミュニケーションツールを提案し、演出。さらに『Battle & Message』でデュエットした遠藤正明がスペシャルゲストとして登場するという、お釣りが来るほどのファンサービスも!そんな“angela Tourism -aLIVE & Message-”ツアーファイナル東京公演の模様をレポートする。
angelaがアテンドする世界旅行へ、いざ出発!
“angela Tourism -aLIVE & Message-”というツアータイトルに沿った世界観で、ステージ上には空港ターミナルを模した装飾が並び、開演前のアナウンスではatsukoがフライトアテンダント調に諸注意を述べる。オープニングSEに合わせて拍手が巻き起こるなか、リゾート感のある衣装に身を包んだメンバーたちが入ってくると会場は総立ちだ。「やれんのか、ぢぇらっ子!」と、atsukoがいきなりのアオリをかました途端、かわいい声になってOPナンバー「乙女のルートはひとつじゃない!」のタイトルをコール。angelaがまたも新境地を開いたこの曲で一気に盛り上げ、コミカルな動きで視覚的に楽しませつつ、クラップを促したりコール&レスポンスの場では早くもカスタネットを求めたりと、angela流のエンターテインメントが冒頭から存分に発揮されていた。
atsukoのマイクから「突然ですが乱気流が発生しました」と発せられると曲調がハードに一転し、「DEAD OR ALIVE」へ。このバリエーションの豊かさもangelaならではの魅力で、会場のぢぇらっ子も即座に対応し、一糸乱れぬ応援を続ける。曲の合間の「Follow me Follow you」の掛け合いをライブらしくたっぷりと交歓し、落ちサビを高らかに歌い上げると思い切り体を折り力がみなぎっているようすを伺わせる。続いて10thアルバム『Battle & Message』からのハードな新曲『I’ll be…』をドロップ。
今回のツアーは昨年にリリースしたこのアルバムのツアーでもあり、この曲も客前では初披露の機会となった。生の演奏を間近にするとバキバキのリズム隊のグルーヴが素晴らしく、たちまちクラップが沸き起こり、atsukoの歌はスウィングする。サビではタテノリに展開し熱いビートを刻んでいった。
MCでは「この日をどうにか迎えられました」と、ツアーファイナル公演にatsukoは安堵した声を上げる。前日は台風15号の影響で天候や交通状況も大きく乱れていたが、当日になると台風が温帯低気圧に変わり、雨が収まった。この前の週に開催された“ナガノアニエラフェスタ”でも無事晴天に恵まれたことを指し、atsukoに対して「我らが太陽神」とKATSUは語る。この日初めてangelaのライブを観る観客を迎える体制をステージ上から促す空気づくりも忘れない。続いては、まさしくこのツアーで初披露された「アンダンテに恋をして!」のカップリング曲「愛を謳う」。バンドサウンドでの力強い4拍子から優雅なクラシックのメロディに乗せatsuko節をたっぷりと聴かせていく。挿入された「結婚行進曲」のメロディや、クワイアを伴うサビから多幸感を放っていった。
次の曲のイントロが流れるとライティングはピンクから青にチェンジ。2021年に完結を迎えた『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のOPテーマ「THE BEYOND」を披露する。
こちらもリズム隊が太い音を繰り出すなか、atsukoは負けずと切れ味鋭い歌声を上げる。間奏シーンの爆音をたっぷり浴びてクラップが沸き起こるなか、優雅に歌う落ちサビから最後のシャウトまで、ライブステージらしい味付けを込めた流れるような歌い上げだ。次の曲もアルバム新曲の「クライシス」。“ファフソン”とはまた異なる路線のシリアスな楽曲で、パワフルなバンドサウンドに煌びやかなマニピュレーションが加わり、強弱の節を色濃く出したatsukoの歌い回しがライブ映えする。今後のライブでも歌い継がれてほしい楽曲だ。ドラムがクラップを促し、atsukoが振り付けの説明を始めると、angela屈指の参加型楽曲「KINGS」の合図だ。atsukoは「今日は雨が降っていたから虹の海を泳ぎたい」と、サイリウムの色分けを細かく作り、初心者に向けては振り付けの説明だけでなく、ウェーブのコツまで教えてくれる。ミドルテンポで展開しつつ、サビでは振り付けをしやすい速度にしたり、2番ではお立ち台に昇って一人ひとりと目を合わせたりとサービス精神も旺盛だ。繰り返されるサビでの高揚感やウェーブなど、特に一体感を覚える時間だった。
豊洲PITがカスタネットの音色に染まる!
1年ほど前からアコースティックギターを弾き始めたというatsuko。このMCではそんな彼女の白いギターが姿を表した。このギターは初心者用の約5万円のもので、一方KATSUのギターはギブソンG45の特別版で80万円だという。
この両者の聴き分けをオーディエンスにしてもらうという「格付けチェック」企画。結果は約半数の正解率と、意外にも健闘(?)した様子だ。そんなatsukoがギターを弾きながら歌う7月にデジタルリリースされたばかりの新曲「Alone」。atsukoがリズムを弾き、KATSUがリードを担当することでまた1つangelaのライブに見せ場を作っていく。サウンドだけでなくボーカルにも切なさが満載されており、夕焼けのライティングとともにしっとりとした空気を演出した。ツアー初披露の「あなたがくれたヒカリ」では、シンセとアコギを使ってメロディをリリカルに聴かせていったほか、サビのスウィング感も聴きどころだ。
MCではマニピュレーターのhanaが前日の広島でのライブから交通の混乱に遭い、この日の公演にギリギリで間に合ったという苦労話が披露されたあと、お待ちかねのカスタネットを使うゾーンへ。このカスタネットは感染症対策で声が出せないぢぇらっこがリアクションを伝えることなどを目的としたグッズ。8月にデジタルリリースした新曲「アロハTraveling」はこのカスタネットを合いの手のように使うことができ、事前に教則動画まで公開するという熱の入れようだ。「10ヶ国14ジャンル+1惑星」と銘打たれた多国籍なメロディやリズムが展開されていくなか、1000人規模の人が同時にカスタネットを叩く光景は音の響きとしても壮観で、特にKATSUが三線を弾いた沖縄民謡パートやジャズのパートでのatsukoのスウィングからは音源で聴いたときよりも祝祭感を感じられた。お祭り感のある楽曲で繋げた「全力☆Summer!」では、当然「ウ・ハ」のリズムに乗せてカスタネットを鳴らす。さらにKATSUが叩く太鼓も加わり、大打楽器大会の様相を呈する。
atsukoは屈指の早口ナンバーにもかかわらず、ステージを左右に走り回り会場を鼓舞し、間奏ではジャンプ・カスタネットのC&Rを即興で行なって思い切り盛り上げ、高らかな歌声とともにタオル回しで締め括った。
遠藤正明と見せた熱い熱いコラボレーション
一瞬の静寂を挟み、荘厳なイントロが流れてきた。これはangelaがJAM Project 20周年記念に提供した「HERE WE GO!」だ。登場した遠藤正明を高らかに紹介するatsukoはセルフカバーの形でデュエットする。お馴染みの男臭さ抜群の太い声が加わり、オープニングを見事なハモリで聴かせ、量感溢れるサウンドでじっくりと伝えていく。遠藤とともに客席に煽りを入れ、キックを繰り出し荒っぽいシャウトを繰り出すatsukoのパフォーマンスは普段とはまた違った一面だ。元々はJAM向けに作られただけあって、拳を振り上げて盛り上がるパートが多数あり、それに応じるかのように2人は体を折って熱唱していった。MCでは自己紹介から息の合ったやり取りを交わし、ぢぇらっ子たちを爆笑させる。この後、披露する「Battle & Message」でのデュエット依頼も、いきなり遠藤のLINEにatsukoが「爆竜戦隊アバレンジャー」のカラオケを歌う動画を送るという大胆な手法だったことが遠藤の口から明かされた。
「atsukoと歌うって大変なんですよ。クセが強いんで。でも意外とクセvsクセがいい具合になった」(遠藤)
「クセの相乗効果」(atsuko)
と、このデュエットの聴きどころを教えてくれた。
遠藤はカバーアルバム『ENSON』でangelaの「明日へのbrilliant road」をカバーしており、歌手としてatsukoへのリスペクトも口にし、ツインボーカル曲「Battle & Message」へ。atsukoはデュエットの部分では歌詞の内容に合わせて問い詰めるような仕草で分厚いサウンドとのギャップを見せたり、遠藤の向こうを張る開放感のある声を響かせたりと存分に見せ場を作る。そしてサビでの2人のボーカルはもはや咆哮のような迫力だ。負けじとKATSUもギターで暴れまわり、この日、最も大きな音量はこの曲で記録されたとみられる。最後は2人の大ハーモニーとクラップで締め、「angela最高!」とシャウトしステージをあとにした。
興奮冷めやらぬなか、アルバム新曲「連撃Victory」ではハイスピードでダンサンブルな楽曲で攻めていく。攻撃的なシンセにatsukoのロングトーンが冴えわたり、大きな動きで力強く歌い上げた。続いてシリアスな雰囲気を纏いながら歌われたのは2007年のシングル「gravitation」のカップリング曲「虚無の嵐」。13年前に一度、メドレーの中で歌われたレアトラックで、ヘビーで太いサウンドに載せながら存分に聴かせる楽曲だ。なぜこの曲が選ばれたのかは直後のMCで明かされた。
「あの頃は病んでいて、心身ともに状態が悪くて」「多分不安とかプレッシャーから来ていたと思う」(atsuko)
レギュラーのラジオ番組を休んだりライブ活動も行っていないなど、今の彼女からは信じられないような状況を振り返る。その時期の気分がダイレクトに反映されたのがこの楽曲だったという。
当時は周りの人の支えがあって回復し、「もう嫌だと思っていた時期に書いた曲を15年後に良い曲だなと思いながら歌えるとは……」と話したところでようやく、ぢぇらっ子から温かい拍手が送られた。「すごく私は幸せだなと思ってて、それもangelaを途中で辞めなくて頑張った私のお陰です!」と笑いに変えた。KATSUは「みんなもストレスや不安を抱えているけれども解決をしてくれるいろんな方法があると思う。楽しいと思えることは必ず来ます。そしてangelaと一緒にいたら必ずみんなを楽しませます!」そしてatsukoは改めて「本当に辛い時期は皆さんにもきっとあると思う。でも、angelaは絶対にぢぇらっ子を裏切りません!」と宣言し、この日一番のアツい拍手を浴びていた。
明るい気分を作り直し、こちらもまだまだ歌う機会が少なかった新曲の部類の「アンダンテに恋をして!」。ぢぇらっ子は再びカスタネットを使用しジャンプしながらメロディアスな楽曲を堪能する。ハイテンションでキレの良い展開で舞踏会のゾーンになるとステージ両脇から4人ずつのダンサーが登場し視覚的にも賑やかになる。atsukoは振付やステップも見事にこなし、多彩な声を次々に聴かせていく。シアトリカルで難度の高い楽曲をライブで見せるエンターテイナーぶりを見事に発揮していた。続いてクールなシンセサウンドのイントロが響きわたると、フロアからはどよめきの声が。ここで、TWO-MIXのトリビュートアルバムに提供した「JUST COMMUNICATION」が投下された。オリジナルの流麗な歌いまわしに加えてatsukoの深みを増したボーカルやアタックの強いリズム隊が迫り、楽曲の良さを改めて引き立てていった。
本編ラストは「みんな心のなかで、カスタネットで叫んで!」(atsuko)と、「叫べ」を歌う。ツーバスのドラムと太いベース音が大音量で響くなか、憂いの声からサビになると一気に弾け体を2つに折り、まさに叫ぶように歌う。間奏のメタリックなギターソロがかき鳴らされ、フロアはカスタネットで返して、落ちサビから高らかにキメ、最後のサビの絶叫リフレインからは不思議な陶酔感を覚えた。
この日のアンコールはもちろんカスタネットでリクエスト。ツアーTシャツでさらにアロハな服装でレイまでかけられているメンバーが登場。お知らせは「まだ言えるタイミングではない」というが、2023年は盛りだくさんで、すでに24年の仕事にも取りかかっているとのことで『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』にも参加が決定しているので、安心して続報を待ちたい。
angelaのライブでは欠かせない「Shangri-La」がアンコール曲として歌われ久々のタオル回しをしたことで、ようやく日常が戻りつつあると安堵する気持ちが半分と、いよいよ終演が近づく実感を覚える寂しさが半分といったところだろうか。この日のライブを象徴するアイテムとなったカスタネットはこの曲でも大活躍し、落ちサビ部分やリアクションでお馴染みの曲にも普段とは違ったアクセントを与える。オーラスの「シドニア」では冒頭のマーチ部分にもカスタネットの硬音が響き、サビの「ナイツ・オブ・シドニア」のコーラスにも当ててくる。ラストのシャウトも繰り返し、最後まで格好良くキメてステージを終えた。
atsukoはMCで繰り返し「無事に」と口にしていた。それは自身が新型コロナに感染し声の不調を体験したことだけでなく、台風シーズンにメンバー・スタッフ、そして会場に足を運ぶぢぇらっ子たちが無事でライブを最後まで観ることができたことへの安堵だったのだろう。KATSUは「3回では足りないですよね。コロナが落ち着いて本当に平和な世の中が戻ってくるといいなと強く思いすぎる今回のツアーでした」と話し、「メンバー1人欠けてもだめだし、みんなも近くにいる方を大事にしてください。今年色々あったんですけど、会いたい人には会っておいてください」と、失ってわかる想いをぢぇらっ子に対して実感を込めて伝え、「来年はangelaの20周年。一緒に過ごしましょう」と期待を持たせて終えた。atsukoは1stツアーの頃を振り返り、緊張を繰り返し強くなっていったことを述べ、「これからも皆と一緒に面白いことを、面白いステージを、面白い未来を目指してangela 突き進んで行きたいと思います!」と締め括った。
TEXT BY日詰明嘉
PHOTOGRAPHY BY 江藤はんな(SHERPA+)
<セットリスト>
01. 乙女のルートはひとつじゃない!
02. DEAD OR ALIVE
03. I’ll be…
04. 愛を謳う
05. THE BEYOND
06. クライシス
07. KINGS
08. Alone
09. あなたがくれたヒカリ
10. アロハTraveling
11. 全力☆Summer!
12. HERE WE GO!
13. Battle & Message
14. 連撃Victory
15. 虚無の嵐
16. アンダンテに恋をして!
17. JUST COMMUNICATION
18. 叫べ
―ENCORE―
EN1. Shangri-La
EN2. シドニア
●リリース情報
デジタルシングル
「アロハTraveling」
作詞:atsuko 作曲:atsuko/KATSU 編曲:KATSU
配信中
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デジタルシングル2ヵ月連続リリース第一弾
「Alone」
作詞:atsuko 作曲:atsuko/KATSU 編曲:KATSU
配信中
配信リンクはこちら
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