観ていてワクワクが止まらない、最高にかっこよくて、かわいくて、ポジティブな気持ちになれるライブだった。声優の村上奈津実と田中ちえ美による音楽ユニット、NACHERRYの1st LIVE “Let’s start the party!!”。
デビューから1年を迎えるなか、ようやく実現した初のワンマンライブ。しかも彼女たち自身の念願でもあった生バンドの演奏をバックにしたパフォーマンスなのだから、盛り上がらないわけがないとは思っていたが、2人が1つになったときのワクワク感は、想像を遥かに上回っていた。

大阪・横浜の2都市を巡るツアー形式となった本ライブのうち、千秋楽となった11月19日の神奈川・KT Zepp Yokohama公演のレポートをお届けする。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
PHOTOGRAPHY BY 堅田ひとみ

2人の仲良し度がMAXに!? バンドとの全力パフォーマンス
最初に特筆しておきたいのが、NACHERRYの楽曲と生バンドの演奏は相性抜群だったということ。元々アメリカンロックを軸に様々な楽曲を届けてきたNACHERRYなので、バンドサウンドとのハマりが良いのは当然と言えば当然なのだが、今回はそれを支える演奏陣も素晴らしいメンバーが揃っていた。元BEAT CRUSADERSのマシータ(Dr)はNACHERRY曲の特色の1つであるカラフル&パンキッシュな曲調はお手のもののベテランだし、随所で熱いソロプレイを聴かせてくれたyu-ya(Gt)は元vivid undress、もう1人のギタリスト・山森大輔(ROCK’A’TRENCH、SKA SKA CLUB)はNACHERRYのサウンドプロデュースを手がけている、田中いわく「NACHERRYの父であり母」と言うべき存在だ。そしてバンドマスターのMIYA(Ba)。数々の現場を経験してきた熟練のバンドマンたちが、NACHERRYの楽曲をCD音源以上に熱量高く演奏することで、この日のライブは終始熱気溢れるものとなった。

そんなライブの開幕を飾ったのは、先日発売されたばかりの彼女たちの1stシングルの表題曲「エクリプス」。村上と田中がメインキャストとして出演するTVアニメ『4人はそれぞれウソをつく』のオープニング主題歌で、ややメタリックなギターサウンドが印象的なアップナンバーだ。それぞれチェック柄のロックな衣装を纏った2人は(村上は赤と青、田中は黄色と紫の2トーンを基調にしていた)、MVでお馴染みの振りも披露しながらエネルギッシュにパフォーマンス。最後にポージングを決めて次の曲へ……と思いきや、ここでハプニングが発生し、「これがライブじゃー!」(村上)と2人は笑いながら次曲の準備が整うまで客席に語りかけながら場を繋ぐ。


ともあれライブはラフなロックンロール「リブラ」で再開。観客もサビでタオルを振り回したりコブシを突き上げて盛り上がる。間奏では2人が恒例の自己紹介を行う場面もあった(村上は小さい頃から崎陽軒が好きなことをアピール、田中は横浜赤レンガ倉庫のクリスマスマーケットに行ってみたいとのこと)。歌唱後のMCで改めて挨拶した後は、前のめりなビートもかっこいい「KIDS ARE TOO LATE」を、2人でステージ中央に凛々しく真っ直ぐに立ちながら披露。そのクールな佇まいから一変、アッパーな「silly silly silly」では2人もタオルを手に取り、お立ち台に上って「オイ!オイ!」と熱く扇動しながらナチェメイト(NACHERRYファンの呼称)の心を一体に。Dメロのリズムがゆったりとなるパートではタオルを左右に振ったり、yu-yaのギターソロでは彼の側に駆けよってギターをアピールしたりと、賑やかに動きまくる。

最後は背中合わせになってノリノリで「silly silly silly」を締め括ると、2人は一旦退場してバンドの演奏パートへ。リズム隊によるワイルドな演奏が会場を沸かせていると、やがてパンキッシュなデザインの黒いトップスに着替えた村上が1人で登場し、彼女が右手をピンと伸ばしたのを合図にバンドの演奏がストップ。村上のソロ曲「Let’s Roll」に切り替わる。村上自身が作詞のみならず作曲にも関わったこの楽曲(作詞は岡田マリア、作曲は山森との共作)、歌詞は相方の田中に向けて書いたもので、「2人でならどこまでも行ける」という気持ちが詰まっている。ラスサビの辺りで客席の方ではなく(田中が見守っている)ステージ袖をチラリと見たうえで、“ふたりにしか描けないさくらんぼロード”と歌唱するところは、客席側から見ていてもグッときたし、ラストは「ずっと一緒だよ」という(音源にはない)セリフで締め括られたのもライブならではの特別感があった。

村上が袖に捌けるのと入れ替わりに、田中がステージ中央へ。
すれ違う際にハイタッチを交わす2人からは絆の深さが伝わってくる。そして歌われた田中のソロ曲「We Fly We Sing」もまた、田中が相方の村上のことを思って作詞したもの(岡田マリアとの共作)。村上とは対照的な白のトップスを着た田中は、真っ直ぐな歌声で“君といるとどんな夢も叶えられる”と歌う。彼女もまた終盤、視線をチラッとステージ袖の方に向けていたのも印象的だったし、何より最後に「大好き」とマジ照れでセリフを付け加えていたのが最高だった(その後のMCによると、大阪公演で村上が「大好き」と言った返事だったらしい)。

まるで公開告白のようなお互いのソロ曲の送り合いに続いては、2人で歌詞を共作した「Melodious days」を揃って披露(村上、田中と岡田マリアの共作)。先ほどのくだりで親愛度がより増したのか、2人はお互いに肩を組んだり、腕を絡ませ合ったり、田中が村上のほっぺをツンツンしたりと、いつも以上に親密な雰囲気で、青春全開のポップなロックンロールを届ける。Dメロでお互いステージ中央で見つめ合いながら歌うパートも含め、ステージ上で仲良くイチャイチャしている2人の姿に思わずほっこりしてしまった。

続くMCで「近寄りたくなっちゃいました」(田中)、「イチャイチャ曲でした(笑)」(村上)と「Melodious days」を振り返った2人は、さらに、お揃いのエクステを付けてきたことをアピール。村上が「田中にもこの色似合うかなと思って」持参したという。そんな仲睦まじいエピソードに続いては、みんなで踊れる振り付けも楽しい「HAPPY NACHERRY BIRTHDAY」へ。2人が客席に向けて呼びかけたところ、この日が誕生日の人も数人いたようだが、その人たちだけでなく「生まれて来てくれてありがとうだよ。みんなの生命に向けて、この曲を歌いたいと思います」(田中)と宣言。
明るい曲調に乗せ、2人は生命力に溢れた歌声を会場いっぱいに響き渡らせて、この日の出会いを祝福した。

NACHERRYの輪を広げたその先に――2人が掲げた大きな目標
次曲のビートルズライクなギターポップ「MY FIRST DAY」では、スタンドマイクに切り替えて、両手をペンギンのようにパタパタと動かす愛らしい動きとともに歌唱。澄んだ声音のハーモニーワークも素晴らしく、ラスサビでは一方が歌っている間にもう一方がクラップして盛り上げるなど、息の合ったステージングで魅せる。そこから水の中に沈んでいくようなSEとギターの逆再生音を導入に「パールを落としたマーメイド」へ。再びハンドマイクを手にした2人は、ステージ中が青いライトに照らされるなか、それぞれ上手・下手に置かれたお立ち台に座って、“泣かなくていいよ”と、優しく力強い歌声をみんなに投げかける。

その直後のMCで、村上が「パールを落としたマーメイド」について「人生で色々失うこともあるじゃない。そんなときにこそこの曲を聴いてほしい」と話している途中で、彼女の耳飾りがポトリと落ちて「耳飾りを失う」ミラクルが発生。村上がステージ上で耳飾りを付け直すなか、田中は「本当に今日は色々あるね(笑)」と2人らしくマイペースに進行していく。そこからバンドメンバーの紹介を経て、いよいよライブも終盤へ。ライブグッズのアクリルプレートライトを光らすよう呼びかけた2人は、さらに拍手を用いたコール&レスポンスで会場の気持ちを1つにすると、NACHERRY流のパーティーチューン「ナチェリのWa!!」に突入。ミラーボールが回転して光が煌めくなか、村上と田中はタイトなフロウでオーディエンスのボルテージをブルンブルンと引き上げていく。元々ラップ曲をやってみたかったという村上はもちろん、田中のラップも堂に入ったもので、2人はステージを縦横無尽に巡りながら今この状況を遊び尽くしていく。
終盤では2人で大きく輪を作って「もっと広がれ、ナチェリのWa!!」とアピール。熱狂の輪が会場全体に広がっていく。

さらにNACHERRY曲のなかでもひと際ラウドでアッパーな「Brave?」が投入され、オーディエンスも「お前らの全力見せてみろ!」(村上)との煽りに応えて、この日最高潮の盛り上がりを見せる。「私がコブシを突き上げたら、みんなもウォーッてなって、最高に気持ちいいよ!」(村上)と、2人からも高揚が伝わってくるが、楽しいライブもついに次の楽曲がラストということで、ここで改めて1人ずつ挨拶することに。

村上は大阪公演のMCで「みんなが安心してついてこれるようなかっこいいアーティストになりたい」と語ったことに触れつつ、現状の自分自身は「まだまだ弱い」と自己分析。そんななか、自身の支えになっているのはナチェメイトの存在だと感謝の気持ちを伝える(もちろん一番の支えは相棒の田中だと前置きしていたが)。さらに「めちゃめちゃ言うのが怖い」と体を震わせながらも、「ここにいるみんなを(日本)武道館に連れて行きたい!」と自らの野望をステージ上で力強く宣言してみせた。

田中は、デビューしてからこの1年、アーティスト活動は簡単なことではないと不安や悩みを感じることもあるなかで、NACHERRYの活動をしている自分が励ましてくれると語る。それは村上やナチェメイト、スタッフ、家族などを含め、色んな人がNACHERRYの活動を支えてくれるからであり、歌詞も強い内容が多いのでそれを歌う自分も強くなれるのだという。そして彼女も「NACHERRYとして活動している自分はとても幸せなので、私がみんなのことを幸せにする!」と宣言。村上に近づき肩を寄せ合って、「本当に頼もしい相方なので、この奈津実とだったら、いつか武道館に行けるんじゃないかと思います」と、改めて日本武道館を2人の目標として定めた。

お互いに「大好きだよ!」と語り合いながらも、照れくさそうに「はい、この話は終わり!」(田中)と締め括り、2人はライブ本編の最後の楽曲「夕立のあと」を歌唱。
オレンジ色のライト演出が夕焼け空のような切なくも温かなムードを作り上げるなか、例えそれぞれの道を歩むときが来たとしても、絆は永遠であることを確かめ合うような、そしてだからこそ一緒にいられる時間の尊さを噛みしめるような、優しい歌を2人で紡ぎあげていく。特に後半、2人の歌とハーモニーが複雑に絡み合うパートは、胸に迫るものがあった。

アンコールは、2ndミニアルバム『Now Loading!!』のリード曲「Catch me⇄Catch you」でスタート。お揃いのグッズTシャツを着た2人は、一緒にステージの左右を隈なく歩き回って客に向けて手を振ったりしながら、ポップでポジティブな歌声と楽しそうな笑顔を会場中に振りまく。その後は、1stライブの思い出を形にして残すべく、村上が自撮り棒を持ってきて動画撮影したり、カメラマンを呼び込んで写真の記念撮影を行うなど和気あいあいとした雰囲気に。このアットホーム感もNACHERRYの魅力だ。さらに初のライブアルバム『1st Live Album “Let’s start the party!!” at KT Zepp Yokohama』を2023年3月15日にリリースすることを発表。本公演の音源に加え、ライブ映像のダイジェストやメイキングムービーを収録したBlu-rayとフォトブックを同梱した豪華な内容になるとのことだ。

そして1stライブのフィナーレを飾ったのは、彼女たちのデビュー曲「フォーチュンテラー」。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの山田貴洋が作編曲したこの楽曲はドライブ感溢れるロックチューンで、ツインギター編成による厚みのある生演奏が会場中の空気を震わせるなか、疲れ知らずの2人は心から楽しそうな表情を浮かべながら、ナチェメイトたちにロッキンな歌を投げかける。途中のMCでも明かしていたように、彼女たちは2人とも普段から自信に満ち溢れているタイプではないのかもしれないが、こうして一緒にパフォーマンスしている姿は、実にエネルギッシュで華やかだ。それはお互いのことを信頼し、支え合い、補い合っているからこその輝き、NACHERRYだけの特別な輝きなのだろう。
終演後、最後に2人で客席に向けてお辞儀するときも、わざわざ手を恋人繋ぎに握り直したりしていたが、このライブの中でも端々で見られたように、彼女たちの絆はとても深いし、そんな2人だからこそ掴める未来がきっとあるはずだ。この日のライブのように“世界がキラキラと色付く”瞬間を、この先も何度だって見せてほしい。

<セットリスト>
M1 エクリプス
M2 リブラ
MC
M3 KIDS ARE TOO LATE
M4 silly silly silly
Band Section
M5 Let’s Roll
M6 We Fly We Sing
M7 Melodious days
MC
M8 HAPPY NACHERRY BIRTHDAY
M9 MY FIRST DAY
M10 パールを落としたマーメイド
MC
M11 ナチェリの Wa!!
M12 Brave? MC
M13 夕立のあと ENCORE
M14 Catch me⇄Catch you
MC
M15 フォーチュンテラー

●リリース情報
NACHERRY
「1st Live Album “Let‘s start the party!!” at KT Zepp Yokohama」
2023年3月15日発売
価格:¥5,280(税込)
品番:LACA-25042

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対象店舗:全国アニメイト(通販含む)
対象期間:2022年11月19日(土)~12月11日(日)23:59

超早期予約キャンペーン特典
NACHERRY CARD(2022-23 Winter Edition)

対象商品
NACHERRY「1st Live Album “Let‘s start the party!!” at KT Zepp Yokohama」
¥5,280(10%税込)/¥4,800(税抜)
LACA-25042
4540774250424
2023年3月15日(水)発売

関連リンク
NACHERRYオフィシャルサイト
https://nacherry.jp

NACHERRY OfficialYouTubeChannel
https://www.youtube.com/channel/UCidjZB0LX5l8aKzjLN0-1ZQ

NACHERRY STAFF Twitter
https://twitter.com/NACHERRY_STAFF

村上奈津実Twitter
https://twitter.com/natyaaaaaaan07

田中ちえ美Twitter
https://twitter.com/t_chiemi1006
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