2022年11月25日(金)、『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』の公開に合わせて、同作の主題歌や挿入歌が収録されたアルバム『永遠の絆』が発売された。これを記念して主題歌「Make Me Feel Better」を歌うMindaRyn、挿入歌「浄歌」を担当するTRUE、挿入歌「SPARKLES」を担当するR・O・N(STEREO DIVE FOUNDATION)にインタビューを実施。
TVアニメから関わってきた3人の楽曲、そして『転スラ』に対する想いを感じてほしい。

INTERVIEW & TEXT BY はるのおと


MindaRyn「『光の向こう』の歌い分けに注目してほしい」
――『転スラ』では第2期第2部OPテーマ「Like Flames」を歌われましたが、その後の反響はいかがでしたか?

MindaRyn 「こんなにたくさんの人が聴いてくれるんだ!さすが『転スラ』だなあ」と驚きました。「Like Flames」をリリースしたあとは自分のYouTubeチャンネルでも海外の人からのコメントが増えて、英語だけでなく今までに見たことない言語のものもありましたし。あと、この間フィリピンとマレーシアのイベントで「Like Flames」をパフォーマンスしたときに、みんなが一緒に歌ってくれてすごく嬉しかったです。



――そして今回、劇場版主題歌となる「Make Me Feel Better」を歌うことになりました。

MindaRyn はい。「Make Me Feel Better」は仲間との絆や、一緒に大変なことを乗り越えた先にある幸せを表現した曲になります。

――デモを聴いた際の印象を教えてください。

MindaRyn 「Like Flames」と同じアップテンポな曲ですが、あちらは激しい戦いやリムルの強さを表現するような曲だったものの、今回は雰囲気が明るく希望を感じられる曲だと思いました。あとすごく耳に残るメロディですよね。

――歌詞についてはいかがでしょうか。

MindaRyn すごく『転スラ』っぽいと感じています。
劇場版のプロットも読んだ状態で歌ったんですが、すごくリンクしているシーンもあって。ネタバレになるのでどんなシーンかは言えないんですけど……(笑)。

――歌う際はどういったところに気を付けましたか?

MindaRyn この曲には“光の向こう”という歌詞があって何度もリピートしているんですが、それぞれ歌い方を少しずつ変えています。例えば最初のサビでは「光まで一緒に行こうぜ」という気持ちを込めて地声で歌い、落ちサビでは「すごく大変だったけど、光のあるところまで来られたんだ」と少し疲れも感じるような様子を匂わせる歌い方にしました。その辺りにも意識して聴いていただけたら嬉しいです。

――MindaRynさんは以前から『転スラ』のファンだそうですが、劇場版についてどんな点を期待していますか?

MindaRyn 今回は『転スラ』初の劇場版なので、まずは絵やサウンドをすごく楽しみにしていますし、アクションシーンも期待しています。あとは新キャラクターのヒイロと、ヒイロを取り巻く仲間との絆ですね。絆を感じられるエモーショナルなシーンもあるようなので、そこにも注目しています。

――映画館で自分の歌声が流れることに対してはどんな想いがありますか?映画館だと音響が良いので、自分の声がクリアに聞こえますよね。

MindaRyn すごく楽しみにしています。映画館の音響で聴けるので、自分の声もそうですけど、ドラムやギターなどもよりクリアになると思うのでぜひじっくり聴いてほしいです。

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TRUE「歌詞にたくさんの仕掛けを施しました」
――『転スラ』にはこれまで「Another colony」「僕の中の君へ」「Storyteller」「黎明」で関わられていますが、特に印象深い曲はどれでしょうか? 1ファンとしては、ライブの定番曲となっている「Another colony」がお気に入りなのかなと推察しますが、いかがでしょう。


TRUE ご名答!やはり「Another colony」です。この曲に込めた「負けちゃいけない」というメッセージは、コロナ禍を経てより強いものになりました。作品を超えて、また新たな形で楽曲が育っていくというのは嬉しいものです。ファンの皆さんには本当に感謝しています。



――「浄歌」のサウンドについて、どんな印象を持たれましたか?

TRUE 「ポップスというより、まるで劇伴音楽のようだな」という印象でした。「浄歌」は荘厳で幻想的なミディアムバラードです。壮大で美しく憂いを帯びたメロディがとても加藤裕介さんらしくて素敵だなと思いました。アレンジもとても秀逸で、妖艶なメロディと硬くメタリックなサウンドのコントラストが、作品に奥行きと彩りを与えてくれます。早く劇場で聴いていただきたいですね。

――「浄歌」の歌詞について、どんなことをイメージして作られたか教えてください。

TRUE 劇場版のオリジナルキャラクターのトワが湖で身体を浄化するのを描いたシーンで使用される挿入歌とのことだったので、いただいたビデオコンテに合わせて制作しました。劇伴のような特殊な作り方をしたことも相まって、これまで『転スラ』と一緒に制作してきたどの楽曲よりも作品との親和性が高いものが完成したと思います。
また歌詞にたくさんの仕掛けを施していて、1サビの最後に「トワ」、フルサイズではトワの最後の呪文「アグリーティアラ」を入れ込んで、以前TVシリーズで制作した挿入歌「黎明」のタイトルも登場させてみました。最後までご覧いただいたのちに、改めて「浄歌」をお聴きいただくとより奥行きを感じていただけると思います。

――歌う際はどういったところに気を付けましたか?

TRUE 壮大な楽曲は歌声もダイナミックになりがちかと思いますが、なるべく力を抜いて、目の前にいる人に向かって話をするように、一言ずつ置いて歌うことを意識しました。またリズムを正確に歌うことよりも、情感たっぷりに歌うよう心がけました。ミックスでも“生感”を意識して音作りをしていますので、私自身の心の揺らぎを感じていただけたら嬉しいです!

――「浄歌」について「(ほかの『転スラ』挿入歌と比べ)圧倒的に歌声が情感豊か。コロナ禍に入ってからここ数年、ボーカリストとしてすごくスキルアップ出来たと思う」とツイートされていましたが、具体的にどういった点にそれを感じたでしょうか?

TRUE 発声の仕方です。より脱力した状態で豊かな声を出せるようにレッスンを重ねました。レッスンの成果だけでなく、コロナ禍を経てさまざまなことを経験したからこそだと思います。“伝えるための歌”を歌えるアーティストでいたいですね。

――現在の『転スラ』という作品の印象を教えてください。

TRUE TVシリーズの放送が始まった頃に比べ、よりたくさんの人に楽しんでいただけていると実感しています。先日サウジアラビアに遠征したのですが、現地でもとても人気でみんな「Another colony」を大きな声で一緒に歌ってくださいました。
テンペストに仲間が増えていくように、作品ファンが増えていく。その輪の中にいられることが本当に幸せです。

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R・O・N(STEREO DIVE FOUNDATION)「映像と歌詞がリンクするミラクルが起きた」
――これまで、『転スラ』には主題歌である「STORYSEEKER」のほかにも別アーティストへの楽曲提供や『転スラ日記』の劇伴でも関わられましたが、特に印象深い曲はどれでしょうか?

R・O・N 楽曲的には「STORYSEEKER」がお気に入りです。MVも素敵なものができましたし、サウンドも好きです。本編中にとても重要なシーンで挿入歌としても使っていただき、嬉しかったです。また、日常系のサントラを作るのが非常に好きなので『転スラ日記』のBGMは非常に気に入っています。



――「SPARKLES」のサウンドは、どんなイメージから作られていったか教えてください。

R・O・N 挿入歌が使用されるアフレコ後の映像を観てどんなサウンドが合うか考えた結果、素直なバラードを乗せるのがベストなのではないか、と。メロディーと歌詞に重きを置いた制作が作品との親和性を上げられるという判断です。映像が出来上がっていく過程で光の描写が印象的だったので、キラキラしたシンセを足すなどアレンジ面においてもより映像に貢献できる音作りを心掛けました。

――「STORYSEEKER」と「Reincarnate」ではイントロで仕掛けがありましたが、今回はそういった特別な仕掛けはあるでしょうか?

R・O・N 今回はそういった仕掛けは特に作りませんでした。ただ楽曲が使用されたシーンのある箇所で、映像と歌詞の内容がリンクするというミラクルが起きたんですよ。
フィルムスコアリングした曲ではなかったので挿入歌が入った映像を観た時は驚きました。皆さんにもぜひ映画館で楽しんでいただきたいポイントです。

――「SPARKLES」の歌詞について、どんなことをイメージして作られたか教えてください。特に“退紅色に揺れる花びら”というフレーズに珍しさを感じましたが、どこから発想されたのでしょうか?

R・O・N 基本的には挿入歌が使用されるシーンに沿った形で書いています。「人生は何を手に入れたかよりも何を残せたかが大事だ」というメッセージと共に、聴く人がそれぞれ様々なシチュエーションと照らし合わせて、ポジティブな感情を持てるようになるといいなと思います。「退紅色の花びら」については「ストーリーに深みを持たせられるといいな」という想いを込めて幼少期の大鬼族のシーンにあった桜を使いました。

――歌唱について特に注力したことやファンに聴いてほしいポイントを教えてください。

R・O・N SDFの楽曲はわりとキーが高めなことが多いですが、今回に関してはレンジを非常に広く作りました。難易度的には上がりましたが、“伝わる歌”が録れたのではないかと思います。また日本語が多めの歌詞にしたのですが、聴く人や観る人の人種に関わらずわかるであろう「ありがとう」という言葉をわかりやすい位置に持ってきたところがポイントです。

――曲を提供された「VISIONS(feat. 寺島拓篤)」のサウンドは、どんなイメージから作られていったか教えてください。

R・O・N 爽やかで解放感のあるイメージを持たせられるよう、素直なピアノロックを作りました。
元気いっぱいの熊田さんのボーカルと、クールな寺島くんのカウンターがうまく融合するようメロディーラインを工夫しました。ゲームアプリを起動したときに最初に流れると聞いていたので、ワクワクするようなものになっていると嬉しいです。

――現在の『転スラ』という作品の印象を教えてください。

R・O・N 派生作品やアプリゲーム、ラジオ番組など非常に多方面でメディアミックス展開をしている作品だなと思いました。仕事に関わりのない知人から『転スラ』の話が出ることもあったりするので、多くの人に愛されている作品なんだなと感じています。そのような素敵な作品に音楽面でご一緒できていることが本当に嬉しいですし、アーティストとしてだけではなく作家としても関わらせていただけていることに感謝しています。



●リリース情報
『劇場版 転生したらスライムだった件紅蓮の絆編』主題歌・挿入歌アルバム
『永遠の絆』
2022年11月25日発売

【通常盤】
品番:LACA-25024
価格:¥2,420(税込)

【流通限定盤(ドラマCD付)】
品番:LACZ-10119-20
価格:¥3,320(税込)

<Disc1>
1.Make Me Feel Better(『劇場版転⽣したらスライムだった件紅蓮の絆編』主題歌)
2. 浄歌(『劇場版転⽣したらスライムだった件紅蓮の絆編』挿⼊歌)
3. SPARKLES(『劇場版転⽣したらスライムだった件紅蓮の絆編』挿⼊歌)
4. VISIONS(feat. 寺島拓篤)(スマートフォンゲームアプリ『転⽣したらスライムだった件魔王と⻯の建国譚』主題歌 第⼆弾)
5. CALL YOUR NAME
6. Make Me Feel Better (Instrumental)
7. 浄歌(Instrumental)
8. SPARKLES (Instrumental)
9. VISIONS(feat.寺島拓篤)(Instrumental)
10.CALL YOUR NAME (Instrumental)

<Disc2>※流通限定盤(ドラマCD付)のみ
原作・伏瀬監修の映画オリジナルストーリードラマCD
1.ヴェルドラとミリムのお留守番①
2.ヴェルドラとミリムのお留守番②

©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

関連リンク
「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」公式サイト
https://movie.ten-sura.com/

『転生したらスライムだった件』公式Twitter
https://twitter.com/ten_sura_anime

MindaRyn 公式Twitter
https://twitter.com/mindaryn_

TRUE 公式Twitter
https://twitter.com/miho_karasawa

R・O・N(STEREO DIVE FOUNDATION) 公式Twitter
https://twitter.com/RON_SDF
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