9月25日、品川インターシティホールにて“Run Girls, Run!5th Anniversary Live Tour Get Set, 5!”の東京公演が開催。林 鼓子・森嶋優花・厚木那奈美の3人からなる声優ユニット・Run Girls, Run!(以下:ランガ)の結成5周年を記念して開催された全国ツアー、そのファイナルとなる東京公演ではツアーの集大成にふさわしい、ランナー(=ランガファンの総称)を巻き込むブラッシュアップされたパフォーマンスを披露。
夜公演では、予定外のWアンコールまで行なわれるほどの高まりをもたらしてくれた。本稿では、その夜公演の模様をお届けする。

TEXT BY 須永兼次

凄み、きらめき、そして3人個々の魅力――5年間培った力をフルで発揮するステージ
開演直前にBGMとして流れた「never-ending!!」などの仕掛けもランナーのテンションを高めるなか、開演時間を迎えた品川インターシティホール。ステージ上をブルーの照明が照らすなか、荘厳なinterludeに乗せて3人が登場し、「蒼穹のBlue Grandia」でライブはスタート。終始キリッとした表情でシリアスに歌声を響かせながら、随所でトライアングル状のフォーメーションをとって周回しつつ美しく見せる。そのうえで1つ1つの振付には、迫力を感じる大きさが。続く「Share the light」は、楽曲冒頭の〝シェアする?”のフレーズでの、見返りのタイミングもピッタリ。その後もダンスのなかで各拍のリズムを活かしてメリハリをつけたり、間奏では次々と決めポーズを入れたりと、高いテクニカルさを要求されるダンスを見せてランナーを虜にしていく。黒がベースの1着目の衣装もよく似合う楽曲だからこそ、2番頭の厚木の歌声のピュアさもよく映えた。そして「スライドライド」は、冒頭ひらひらとさせた手の動きで麗しさを感じさせたかと思えば、猛々しいドラムが加わってからは一転してとにかく激しく力強いパフォーマンスを展開。その一方で、3人の表情には笑顔が交じり、この日初めて感情を滲ませる曲にもなった。

この日初となったMCパートでは、森嶋が冒頭3曲で作ったムードを受けて「この熱をヒートアップさせていきたい」と意気込みを語り「Break the Blue!!」へ。
この曲、特に印象深かったのが林のパフォーマンス。力感と良好なコンビネーションの両立が同時に求められるという難易度の高い楽曲において、Bメロで笑顔も見せながらふわっと大きく跳ねるなど、自身もライブを楽しんでいることが伝わるものであり、そこからも成長が感じられた。また、さらにシリアスかつパワフルなナンバー「RADIANT」では、冒頭から森嶋の表情が楽曲の雰囲気に非常にマッチする、どこか見下ろすような勝ち気さのこもったものに。この曲でも三角形状のフォーメーションの頂点は目まぐるしく入れ替わり、横一列になってしなやかに連動するといったテクニックを見せる部分も。しかも、こんなに激しい曲を畳み掛けているのに、歌声にはライブならではの感情の膨らみによるはみ出しはあるものの無意味な悪いブレがない。この進化にも改めて注目してほしいと、序盤ながらすでに思わされた曲だった。

一気に畳み掛けるように、激しいナンバーを5曲続けてきた序盤戦。一旦場内のランナーたちとのコミュニケーションをとるMCパートを挟んでから、ライブは中盤のソロ曲コーナーへ。まず幕開けを飾ったのは、リーダー・森嶋の「感情にダッシュ!」。のっけから満開の笑顔とキュートさ全開のパフォーマンスで、さらに会場のボルテージをブチ上げていく。しかし、ただ楽しいだけのステージではない。スピンの鋭さや前述したような歌声の安定感など、クオリティも担保している。
そうやってランナーの求めるものを発揮しきるという意味でも、特にこの曲の間、森嶋優花は“完璧”だった。

続いては、それとコントラストをなすかのようなゆるりと落ち着けるミドルナンバー「拝啓ディアナイト」を、厚木が披露。サウンドに合わせたしなやかな振付をベースにしつつ、メロラップ風のBメロでは節回しに合わせて客席を指差しながら、1人1人の心に寄り添うように優しく温かく歌唱。盛り上がる以外にも、こうして想いを交換するような場面もまた、ライブの醍醐味の1つだ。

そしてソロ曲のトリは、林による「点とミライ」。またもガラリとムードが変わり、ロックに対して熱く熱く突き抜けるような歌声をぶつけ、聴かせていく。サビのロングトーンなど力を込めるべきところにはぐっと込め、曲が進むにつれてさらにノッてきたのか歌声の圧はどんどん増していく一方で佇まいを見るとそこには余裕感が。それがまた、林の底知れない凄みを感じさせてくれた。

こうして三者三様の魅力が届けられたところで、影ナレによるRADIOタイムでそのソロ曲や公演ごとに入れ替わる歌唱曲についてのトークを展開し、ツアーを振り返る3人。そして衣装チェンジを終えて再登場すると、「ルミナンスプリンセス」から後半戦がスタートする。
ドラマチックな楽曲自体の魅力はもちろん、特に細部に至るまでそれぞれの個性が光ったのがこの曲。林はパフォーマンス中の表情の1つ1つにまで意味を乗せたうえで、終盤の伸びやかなソロの歌声には聴く者の胸を熱くするエモーショナルさが。
また森嶋は2サビやDメロなどで一瞬の隙間にかわいさを盛り込み印象付け、厚木は2-Aメロ「OK」の瞬間に前傾になって客席と視線を交わすなどとことんランナーを意識したパフォーマンスを見せる。それに続く「プリマ☆ドンナ?メモリアル!」は、ゴージャスなサウンドに麗しさのあるダンスを乗せていきつつも、サビの冒頭ではぐんっと腕を回す振付で切れ味も見せ、かわいさとしとやかさを1曲の中でしっかり両立。Aメロ等のソロパートで、歌唱担当ではないメンバーがペアとなり手数の多いダンスを通じてキュートさを感じさせるのも、また見どころの1つだ。

そしてRADIOコーナーでも触れられた日替わり曲、ツアーファイナルのこの公演で歌われたのは「ドリーミング☆チャンネル!」。楽曲由来のアグレッシブさを乗せた精一杯のパフォーマンスが、クライマックス感のあるサウンドと合わさることで得も言われぬエモーショナルさを生み出す。ランナーと一緒に全力で駆け抜け続ける3人の姿が、やはりこの日もたまらなく胸を打ったところで、フルアルバムのリード曲「ランガリング・シンガソング」へ。1-Aメロの「足りない」のフレーズでの厚木の歌声にぶつけられた渇望感が、聴く側の感情をぐいっと持っていく。さらに2-Aメロでは林がラストをシャウトにするなど、とにかく心を熱くするパフォーマンスが目立ったのがこの曲。フォーメーションを入れ替えながらハイタッチを交わす姿も、楽曲を通じて3人の絆を確かめ合っているようでもあった。

最高のツアーが生んだ予定外の1曲は、まさに“ウィニングラン”だ
MCパートでは公演ごとに変わる曲が「『キラッとプリ☆チャン』テーマ曲をリリース順に歌ったもの」だと答え合わせがなされ、ツアーの途中から考察・推測してくれたランナーの存在も踏まえて「一生懸命考えたセットリストを、みんながちゃんと受け取ってくれていることが嬉しい(厚木)」と感謝も述べる。さらに林が「ランガリング・シンガソング」について触れ、「3周年のときのアルバムリード曲だったけど、コロナ禍になってしまってアルバムツアーができなかった。それを経て5周年で『夢へのバトン』っていうのが、いいなぁと思った」と、今回この曲を歌う意味をしっかり語ってくれた。


そして「Believer Switch」から、ライブは終盤へ。高らかに歌われた冒頭の森嶋ソロパートが、雲を突き抜け吹き飛ばすような歌声が、再びランナーをランガの楽曲世界へと一瞬でいざなう。そんな希望感が楽曲全体を貫く一方で、3人横一列に並んで隣のメンバーの背中のスイッチを押すような振付から少々意外なほどのキュートさも感じさせられると、本編ラストナンバー、ランガはじまりの曲「カケル×カケル」へ。イントロ中の森嶋の「ラスト、みんなの想い全部ぶつけてください!」のシャウトが場内のボルテージを一段と高め、ステージ上の3人も最後まで全力で力強いパフォーマンスを展開。それが場内すべての人に様々な形のエモーショナルさを生んだところで、3人はステージを一旦あとにする。

それからすぐ場内に響き渡る、アンコールを求めるクラップの音。そのリズムはもちろん、コロナ禍前にはランナーが揃ってコールしていた「Run Girls, Run!」のリズムだ。それに応えて3人が再び登場し、「My Best Shine!!」からアンコールパートをスタート。指ハートや頬ハートなども織り交ぜ、時折じゃれ合うような場面も交えつつキュートさを発揮しつつ、要所要所にはランガならではのハツラツさが散りばめられており、ランナーを決して飽きさせない。

さて、いよいよライブも、ツアーも大詰めのときが迫る。ここで2023年3月25日に山野ホールにてファイナルライブを開催することが発表され、各メンバーからランナーへメッセージが。

まず厚木は、楽曲選定会議に時間がかかったという話からユニットとしての足跡に改めて想いを馳せると、「これから半年間、『めちゃくちゃ濃厚だったな』『楽しかったな』と思ってもらえる期間にしようと思っているので、最後まで全力で楽しんでいきましょう!」とのエールで締め括る。
続いて林は、中学3年生だったデビュー時から5年経ち成人を迎えた感慨も口にし、「みんなに背中を押してもらえてここまできた」と感謝。続けて「悲しく3月を迎えたくないと思っていますので、その間もランガでみんなを笑顔にできたら」と想いを語ってくれた。最後に森嶋は、率直にこの瞬間の素直な感情を「とっても楽しかった!」と語り始めると、「普段からSNSとかで盛り上げてくれているのを見て嬉しいです。『みんなの気持ちに応えたい!』って励みになっています」と続け、「前向きに走っていきたいし、もっともっと笑って、ギュッと詰まった楽しい時間を作りたい」と、リーダーらしくポジティブに締め括ってくれた。

各々の想いが言葉となってランナーと共有されたところで、最後まで未来へと駆け続ける意志を改めて示すかのように、ラスト曲として歌ったのは「無限大ランナー」。「最後、この1曲にみんなの気持ちをぶつけてほしい!私たちもぶつけるから!(林)」との言葉に続いて始まったこの曲、サビではステージから客席を3人が指差し、客席のランナーはそれに呼応するかのようにステージへとペンライトを突き出す。全力と全力がぶつかり繋がる、Run Girls, Run!ならではのライブの光景を繰り広げて、ラストナンバーまで3人は無事“完走”。歌い終わった後の3人の表情は、いずれも満足感に満ち溢れていた。

その満足感は、その場の全員が感じていたものだろう。だから、3人がステージを降りてもランナーは席を立たずに、Wアンコールを求めるクラップを再び響かせていく。セットリスト的には完全に終演のはずだったが、拍手の音は大きくなり続け……ついに「カケル×カケル」のイントロが流れ、Wアンコールが実現。3人のライブが生んだランナーの熱い想いが、3人にもう1曲の機会をプレゼントしたのだ。


さすがにこの展開、ソロパート直前に森嶋はぐっときていたようにも見えた。だがそこを堪えて、特別すぎる1曲をしっかり歌っていく。その横で林と厚木は笑顔でパフォーマンスをみせ、Dメロ前には3人がステージ中央に集まって肩を抱き合う。その姿は言葉なしに3人の絆を改めて示すようでもあり、奇跡を起こすほどのツアーを形にできたことをねぎらうようでもあった。そんな一幕を挟んでも、涙などでパフォーマンスが大崩れすることはない。ランナーのボルテージの天井を改めて突き抜けさせて、5周年を記念したツアーを、3人は最後の最後まで完走しきったのだった。

今回のツアーの開幕直前に、来年3月末での解散を発表したRun Girls, Run!。そういった状況のなか、現実問題として、モチベーションの維持が困難であることは想像に難くない。だが、この日のライブはどうだろうか。林の歌う姿は凄みさえ感じるものとなり、森嶋は効果的に魅力をアピールしつつも感情を隠さず届けてランナーの胸を熱くする。そして厚木は元々武器にしていたダンスの迫力が増していただけでなく、歌声もピッと背骨を感じるものになっていた。そう、3人はこの状況下でも進化を止めていない。それも、もしかしたらこれまでを凌駕するような速度で、である。

だからこそ、あと半年という限られた期間をいたずらに悲観して過ごすのは、ただただもったいないように思うのだ。それよりも、凄まじい勢いで進化し続ける3人のスキルとそれを通じて表現されるものを、1つでも多く目に焼き付けようではないか。「カケル×カケル」のサビで拳を突き出しながら〝進むんだ”と歌い前進する3人を先頭に、「無限大ランナー」のように一緒に壁を叩き壊していこうではないか。その先にこそ、笑顔でゴールテープを切れる、輝かしい未来が待っているはずなのだから。

“Run Girls, Run!5th Anniversary Live Tour Get Set, 5!”東京公演 夜公演
2022.09.25@品川インターシティホール
【SET LIST】
M01. 蒼穹のBlue Grandia
M02. Share the light
M03. スライドライド
M04. Break the Blue!!
M05. RADIANT
M06. 感情にダッシュ!(森嶋優花 ソロ曲)
M07. 拝啓ディアナイト(厚木那奈美 ソロ曲)
M08. 点とミライ(林鼓子 ソロ曲)
M09. ルミナンスプリンセス
M10. プリマ☆ドンナ?メモリアル!
M11. ドリーミング☆チャンネル!
M12. ランガリング・シンガソング
M13. Believer Switch
M14. カケル×カケル

EN1. My Best Shine!!
EN2. 無限大ランナー
W-EN. カケル×カケル

●ライブ情報
Run Girls, Run!FINAL LIVE(仮)

【日時】
2023年3月25日(土)
(昼公演) 開場13:00/開演13:30 予定
(夜公演) 開場17:30/開演18:00 予定

【会場】
山野ホール

【チケット代金】
特典付きチケット:15,000(税込)
一般チケット 8,800円(税込)
※全席指定

― 特典内容 ―
・サイン入り集合タペストリー
・VIP PASS
・終演後ミーグリ
※特典グッズは入場時にスタッフよりお渡しさせて頂きます。
※ミーグリは安全な距離を保った状態で、飛沫シート越しとなります。
※特典付きチケットの内容は変更となる可能性がございます。予めご了承ください。

関連リンク
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